新修名古屋市史 資料編「近世3」

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ページID1004657  更新日 2025年10月17日

尾張藩九代藩主宗睦から幕末維新期まで

『新修名古屋市史』資料編「近世3」 概要

資料編「近世3」の特徴

近世後期、尾張藩九代藩主宗睦から幕末維新期までを対象とし、本文編第四巻を刊行するにあたって収集した資料を中心に、各分野ごとに良質な資料を収録しています。

本書について

B5版 本編928ページ(上製本) 定価4,500円 平成23年5月20日(金曜日)販売開始

写真:自悞画稿
自悞画稿(名古屋市博物館所蔵)

『新修名古屋市史』資料編「近世3」 目次

第一章 藩政の展開

  • 第一節 政治と社会
  • 第二節 村々と人口
  • 第三節 藩政と家中
  • 第四節 開国と攘夷
  • 第五節 藩の編さん事業

第二章 商工業の発展と生活の変化

  • 第一節 商工業の発展
  • 第二節 生活の変化

第三章 交通

  • 第一節 鳴海宿
  • 第二節 熱田宿
  • 第三節 尾張廻船と堀川水運

第四章 文化

  • 第一節 江戸中期
  • 第二節 江戸後期
  • 第三節 出版文化と薬品会
  • 第四節 町人の文芸活動

『新修名古屋市史』資料編「近世3」 本文抜粋

解説抜粋 第一章 第四節 開国と攘夷

朝旨にしたがい二〇日、慶勝は親幕派とみられていた年寄列渡辺新左衛門・大番頭榊原勘解由・
大番頭格石川内蔵允ら一四人を「年来姦曲の処置」・「朝命により」・「志不正」という理由で処刑した。
刑死した一四人のうちには、前藩主茂徳(玄同)の側近として隠居謹慎中の武野新左衛門・横井孫
右衛門等が含まれる。「青松葉事件」である。朝廷と一体化した慶勝ら在京尾張藩関係者は、藩内
の佐幕派ないしは新政府の反対派となりうる者の粛正と、近隣諸領主への勤王誘引に藩論を一挙
にもっていく役割を朝命に担わされていたのである。
青葉松事件によって尾張藩の藩論は一機に勤王へと統一され、近隣諸領主への勤王誘引活動が
本格化していく。

(略)

誘引活動は伊勢・三河・遠江・駿河・甲斐・信濃・上野など広範囲にわたったが、尾張藩に大名及び
旗本から差し出された勤王証書には、朝命を尊奉して勤王に励むことと、「御家」に属して「大納言録」
「御館様」の指揮の下に「相応の御用」を勤めることが共通して盛り込まれていたという。そこには東海
筋の大藩で徳川御三家の一つである尾張藩の指揮下に諸藩や旗本を組み込み、慶勝を旗頭に幕府
軍に対峙させようとする新政府の深謀遠慮があった。

(略)

逢左文庫所蔵の[11勤王誘引記事]には、青松葉事件の顛末、勤王誘引掛りとして各方面に派遣さ
れた藩士三九名と活動の実態、証書を提出した大名・旗本ら四七四人の氏名が列記されていて、尾
張藩における藩論統一から勤王誘引活動への展開を知る上で貴重である。

本文抜粋 第一章 第四節 開国と攘夷

三月廿七日
一勤
王之諸侯、始證書太政官江直奏之儀ニ付、左之通建言す
謹而奉上言候、先般臣慶勝不肖を不被為捐、隣境大小名、勤
王之志を興起せしめ候様誘引可致旨、蒙 朝命感恩之至奉存
候、就夫追々勤王之証書取集及奏聞候通、最早近傍おゐて
王室ニ帰向不仕候ものハ無御座、全聖徳之所致と奉存候、殊ニ当
時東海・東山両道ニハ、総督府行台も被為置候得ハ、横目之者
ハ不及申、含生之類ニ至候迄仁風ニ靡、至治ニ浴し候儀ニ御座候、
旁以臣慶勝、努(駑)劣之身を以在其間、徴(微)功を相偸候而者恐縮之至ニ
奉存候間、夫々隣境江勤王誘引筋之儀ハ差止、向後証書等持
参仕候もの有之候ハヽ、太政官江直奏可仕旨可申談候、依而顚末
之概略及奏達候、誠隍誠恐頓首頓首
三月
右ニ付、総督府江も左之通申上
丁卯以降 大政御興隆之際、海内鼎佛人心不一、随而簫牆之憂も
不少候付、戊辰正月十六日大納言事、依命帰藩之折柄、引続追々
被 仰出之趣窺之、朝旨ニ基キ摂疆近傍之諸侯等、皇化之
一途ニ帰向いたし、勤 王赤心之実効相顕候様、精々勉強誘引
取計候処、其後いつれも勤 王誠意之誓書持参、家来之者共名
古屋表江罷出候ニ付、於待賓館応対之上、猶実効相立候様之底意
相尋候上、口書等請取之所束、悉皆行政官江進達仕置候事
正月廿四日
一思召を以、左之通金壱万五千両を下し賜ふ
尾州江
思召有之、金壱万五千両被下之候事
正月
右ニ付、同年五月廿八日金子御渡有之
正月廿七日
一二条城太政官代ニ被 仰出候趣等、左之通被 仰下
今日ゟ以二条城、太政官代被用候旨被 仰出候事
引続御警衛相勤候事
一成瀬隼人正儀、是迄之通用向為取扱方之儀ニ付、左之通申上候処、
御付札之通被
(「勤王誘引記事」、名古屋市蓬左文庫所蔵)

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