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ゴキブリ類について

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このページを印刷する最終更新日:2021年6月4日

ページID:5434

ページの概要:身の回りで見られるゴキブリ類について

ゴキブリ類

[学名] Blattaria
[分類] 網翅目(ゴキブリ目)

中型ないし大型の昆虫で、不完全変態(蛹の時期を欠く)を行う。

熱帯から亜熱帯にかけて多くの種が分布している、暖地系の代表的な昆虫。雑食性で、野外生活性のものがほとんどであるが、一部の種が屋内生活に適応し害虫化している。

日本からは59種が記録されており、そのうち10種程度が屋内で見られる。クロゴキブリ、チャバネゴキブリが最も普通に見られる屋内性種である。トビイロゴキブリ、ワモンゴキブリ、コワモンゴキブリなどは、人や物の交流が盛んになったことによって東南アジアなどから侵入したものが、冬期の暖房などで国内でも繁殖が可能になった結果、都会のビルなどで生息が認められるようになっている。

名古屋市内の屋内環境からはヤマトゴキブリ、クロゴキブリ、トビイロゴキブリ、ワモンゴキブリ、コワモンゴキブリ、キョウトゴキブリ、チャバネゴキブリが見つかっている。他に、屋外性の種類としてモリチャバネゴキブリ、オオゴキブリが知られている。

ワモンゴキブリ

[学名] Periplaneta americana (Linnaeus)
[分類] 網翅目(ゴキブリ目),ゴキブリ科

ワモンゴキブリ(成虫)

屋内生息性のゴキブリの中では大型で、成虫の体長40mm以上になる。前胸背板の縁に沿って輪状の黄白色紋があるので、普通種のクロゴキブリとは容易に区別できる。

クロゴキブリよりも高い温度を必要とし、沖縄、奄美、九州南部に加え、東京などの大都会のビルやホテルの厨房など、年間を通して温度の保たれた場所で繁殖している。貸し植木などを扱う園芸施設などで繁殖していた例もある。

名古屋市での定着は確認されていないが、発見例はある。

コワモンゴキブリ

[学名] Periplaneta australasiae (Fabricius)
[分類] 網翅目(ゴキブリ目),ゴキブリ科

コワモンゴキブリ(左:成虫,右:幼虫)

ワモンゴキブリに似ているが、前胸背板の輪紋がより明瞭・体色は黒色に近いことなどで区別できる。

日本では南西諸島や小笠原に見られる。その他の地域では、大都会の暖房されたビルや地下街などで散発的に発見されている。

トビイロゴキブリ

[学名] Periplaneta brunnea Burmeister
[分類] 網翅目(ゴキブリ目),ゴキブリ科

トビイロゴキブリ(成虫)

ワモンゴキブリに似た外観であるが、前胸背板の輪紋が赤褐色であることで区別できる。正確には生殖板などの形状で確認することが必要。

ワモンゴキブリと同様、熱帯から亜熱帯に広く分布する。日本では九州南部以南に生息していたが、1970年代以降に九州北部、四国、本州、北海道から発見されている。年間を通じて温度調節のされた大都市のビルなどを中心に定着している。名古屋市内でも1960年代に見られるようになり、現在では定着していると考えられる。

クロゴキブリ

[学名] Periplaneta fuliginosa (Serville)
[分類] 網翅目(ゴキブリ目),ゴキブリ科

クロゴキブリ(左:雌成虫,右:雄成虫)

成虫の体長約35mm。全体黒褐色で光沢がある。

原産地は不明。日本にはかなり古い時点で渡来したと考えられている。今ではほぼ全土に分布しており、名古屋市内の家庭では最も普通に見られるゴキブリである。

クロゴキブリ(左:若齢幼虫,右:幼虫)

卵は卵鞘と呼ばれる袋状のケースの中に入っている。卵鞘の長さは約1cmで、物陰や戸棚の隅などの潜み場所に産み付けられる。約50日で孵化する。

若齢幼虫は黒色で細い白帯がある。中齢から老齢幼虫になるにしたがって赤褐色となる。11から12回の脱皮を繰り返して成虫となる。

成虫は翅が発達し、雄雌とも全腹部をおおう。

ヤマトゴキブリ

[学名] Periplaneta japonica (Carny)
[分類] 網翅目(ゴキブリ目),ゴキブリ科

ヤマトゴキブリ(左:雌成虫,右:雄成虫)

クロゴキブリよりやや小型で、成虫の体長約30mm。黒褐色で、クロゴキブリより光沢を欠く。雄はいくぶん細長い体形で、翅が腹部を完全におおう。雌は翅が短く腹部の半分をおおうのみ。

完全な屋内性ではなく、屋外の朽木や落葉層などにも見つかる。

日本の在来種。休眠する性質があるので、ゴキブリ類にとっては寒い日本の冬を耐えることができる。クロゴキブリほど重要な害虫ではない。

チャバネゴキブリ

[学名] Blattella germanica (Linnaeus)
[分類] 網翅目(ゴキブリ目),チャバネゴキブリ科

チャバネゴキブリ(左:雌成虫,右:雄成虫)

小型の屋内性ゴキブリ。成虫の体長10-13mm。黄褐色で、前胸背板上に2本の黒色の縦線がある。よく似た種類にモリチャバネゴキブリがあるが、前胸背板上の2本の黒条が後方で近接するので区別できる。

雌は約40卵の入った卵鞘を、幼虫の孵化直前まで腹端に付けている。クロゴキブリのような大形種に比べて発育期間が短く、約4ヶ月で成虫になる。

原産地は不明。全世界の、おもに都市のような人口集中の激しいところに分布する、都市型の代表的昆虫である。本来、低温下では繁殖できないが、暖房設備の普及により分布を拡大した。名古屋市内でもビル、地下街、飲食店などに多い。一般の家庭で発見された事例もある。

モリチャバネゴキブリ

[学名] Blattella nipponica Asahina
[分類] 網翅目(ゴキブリ目),チャバネゴキブリ科

モリチャバネゴキブリ(成虫)

成虫の体長11-12mm。全体が黄褐色で、前胸背板上に1対の黒色の縦条がある。チャバネゴキブリと大きさ・色彩ともに酷似するが、成虫では前胸背板上の2本の黒条がやや太めで、後方で接近していることで区別できる。(下画像左:チャバネゴキブリ,右:モリチャバネゴキブリ)

左:チャバネゴキブリ前胸背板,右:モリチャバネゴキブリ前胸背板

種子島、九州、四国、本州の関東以南に分布する日本の在来種で、野外活動性。平地の草地や林地など、里山的環境に多い。

偶発的に家屋内に入ることはあっても、定住、繁殖することはない。

キョウトゴキブリ

[学名] Asiablatta kyotensis (Asahina)
[分類] 網翅目(ゴキブリ目),チャバネゴキブリ科

キョウトゴキブリ(成虫)

チャバネゴキブリより一回り大きく、体長15-18mm。全体黒褐色。

京都で採集された標本に基づいて1976年に命名された種。名古屋市では1983年に生息が確認された。その後中部地方を中心に各地で採集されている。

公園・動植物園内あるいはその近くの建物など、野外環境に接した人為環境で発見されることが多い。

オオゴキブリ

[学名] Panesthia angustipennis spadica (Shiraki)
[分類] 網翅目(ゴキブリ目),オオゴキブリ科

オオゴキブリ(成虫)

体長約40mm。全体黒色で光沢がある。表皮は硬くて丈夫。雄の前胸背板には、前縁に一対の角状の小突起がある。幼虫や雌では、この小突起は不明瞭。成熟した成虫の翅は、完全なものが非常に少ない。個体によってはほとんど無くなっているものもある。これは、群れて生活している間に、お互いがかじり合う習性があるためらしい。

普段は朽木の中に幼虫や成虫が群棲し、腐朽木部を食べている。森林のゴキブリで、人工林でも見られるが、多くの棲息地は良好な環境の天然林である。

名古屋市内では熱田神宮の林内に棲息している。「名古屋市版レッドリスト2020」および「レッドデータブックあいち2020」では、準絶滅危惧に選定されている。

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