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第4章 やりがいと苦悩-つらいこともいっぱいあるんですよ-

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このページを印刷する最終更新日:2015年9月4日

ページID:73460

第4章 やりがいと苦悩-つらいこともいっぱいあるんですよ-

前回のあらすじ

水族館の飼育係になるためには、厳しい採用試験を受けます。晴れてトレーナーになったあとも、体力と知識がフル活用されます。

本文

司会:

では、続いて、この仕事のやりがいをアツーく語っていただきたいと思います!

森:

新人の頃は、担当している動物をお客様が見て喜んでくれることが単純に嬉しかったと記憶しています。

経験を積んでくると、私のモチベーションを上げながら動物と100パーセントで接していくこと難しいですが、動物がこちらの要求に反応してくれたり、長い時間かけて教えたことを覚えてくれたりするのが嬉しい。親の気持ちですね。(笑)「よくぞ育ってくれた!」みたいな。それがやりがいになっています。

司会:

さっきトレーニングの様子を見せていただいた時には、「子どもをしつけているみたいだな」と思いました。

トレーニングの様子

森:

そうですね。実は忍耐がかなり必要ですよね。(笑)

司会:

楽しそうにしか見えませんでしたよ。(笑)

森:

つらいこともいっぱいあるんですよ。

司会:

噛まれたりとか?

森:

そういうこともありますが、動物との意思疎通はめちゃめちゃ難しいんですよ。

意思疎通をするために毎日がんばっているが、全然だめな日もあります。動物は言葉を発しませんからね。原因がわからない。(笑)

それが一週間、一ヶ月続くこともあります。

それから、動物も飼育係の好き嫌いもある。動物に好かれるときはトレーニングやコミュニケーションが上手くいくんですけど、逆に嫌われたときは何もかも上手くいかないんですよ。そうしたとき、感情的にならず、少しずつ少しずつ関係を改善していくしかない。人間関係と似ています。

司会:

ホントに人間と一緒ですね。

森:

基本的には人間と同じように接しています。

言葉が話せるわけではないので、やっぱり非常に苦労していますけどね。「今日は体調悪いから優しくしてくれよ」って言ってくれれば、こちらも分かるんですけど、わからないと無理させしちゃう。いつもとちがうなと感じたときには、熱があったりするんですよ。だから、常に第6感的なセンサーを働かせて、いち早く動物の体調の変化に気づかないといけない。

司会:

聞けば聞くほど凄い仕事ですね!

森:

チョット大きく言い過ぎた。(笑)

でもまぁ、直感で気づいて、早めに手を打っておかないとダメですね。もともと野生動物なので、自分が弱っているところを見せられないんですね。それで体調が悪くてもぎりぎりまで無理をしてしまうんですよ。それを見逃さないように常に気を張っています。何かいつもと違うなと感じたとき、何が違うか徹底的に考えるようにしています。

司会:

最悪、死んじゃうかもしれませんもんね。

森:

そうですね。動物が死んでしまうと本当にショック。そうならないように、最初のちょっとした変化を見逃さないように常に気を張っています。

司会:

体温を測るとか?

森:

それは基本ですよ。体温を測るとか、血液検査とか目でみえる数値とは別の、大きく言えば第六感的な感覚は必要ですね。いつもと私に対する距離感が違うなとか。

司会:

単に機嫌が悪いとか?

森:

もちろんあります。十中八九そっちのほうが多いです。ただ、その他の要因で手遅れになってしまうことがゼロではないので、もう、かなり気を使いますね。

見つめあうミライと森さん

司会:

では、次に水族館の仕事で「ここがしんどい」ってところを教えてください。

森:

まず動物の健康状態が悪いときですね。

24時間観察することもあれば、普段のケアも必要です。不幸にも死んでしまうと精神的にドーンと来ます。私たちは仕事でやっているので単純に悲しいとかだけでなく責任もあります。そこの使い分けも辛いですね。

それから、個人的にしんどいこととしては、お客様にいかにわかりやすく説明するのが難しいですね。

司会:

たとえば、公開トレーニングなんかの説明のことですか?

公開トレーニングの様子

(公開トレーニングの様子。緑の服が森さん、奥の黄色の服の女性が解説をしています。)

森:

そうです。自分たちは、動物のことを好きだったり、よく知っているので、お客様の知識とギャップが出てしまうんですね。

こっちも当たり前のように話す気はないんですが、「分かるだろう」と思って話すと全く伝わらないことが結構ありますし。「あー、ああいう解説しなければ良かった」って反省をしたりしますね。

司会:

公開トレーニングで話してたトレーナーさんは、めちゃくちゃ上手かったですけどね。

森:

彼女は上手いんですよ。

司会:

まったくよどみがないし、何も読んでいないですし。

森:

一応、シナリオはあるんですよ。あとは個人でアレンジ。しゃべり方とか、客層みて今日は小学生が多いなと思ったら、この話をやめてこっちの話にしようとか、外国人が多い場合は、わかりやすいものにしたりとか。あと、動物が落ち着いてない時は早めに終わらせたりします。

司会:

ホントに飼育係はマルチな仕事ですね。

森:

多分ほかの職種の方と同じくらいマルチだと思います。

司会:

飼育して芸を仕込んでいるだけだと思っていました。

森:

たぶん、どこの飼育係もこのくらいやっていると思います。むしろ、私みたいにベルーガとアザラシだけでじゃなく、水族館によっては魚とか他の動物を同時にいろいろ飼育している人もいます。

 

次章へ続きます。 エピローグ ―森さんの一面―

目次

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