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名古屋港湾福利厚生協会の立松さんにご一緒いただき、名古屋港木材倉庫株式会社の今野さんと、大会で筏師さんをされている手嶋さん、植松さん、日下さんにインタビューさせてもらえることになりました。
第1章では筏師さんをとりまく現状や、入社して間もない頃はよく水に落ちていた話などを聞くことができました。
しかし今では、大会前に練習しなくても乗れてしまうのでは?という疑問を、筏師さんにぶつけてみました。
●立松:
業務内で技能が身についているから、最近はそんなには練習する必要ないんですよね?
●手嶋:
あ、競技はやっぱり練習が必要。まあ落ちてナンボですから。競技の練習ではもうバンバン落ちます。
■司会:
姿勢が保てる限界を、練習で探っていく感じでしょうか?
●手嶋:
そうですね。足裏の感覚とか。もう自転車乗るぐらいの感覚で。
初めはそれこそ自転車に初めて乗る人の「後ろ持っとってよ!」って世界ですけど(笑)
競技の練習では限界まで行きます。あと若干、曲芸みたいなもんですから、ちょっと無理してるところもある。
●立松:
日下さんよりも後輩の方は、やっぱりもうちょっと練習が必要?
●手嶋:
まだまだ全然ですよ。練習が必要。
■司会:
一方で、日下さんはプロの領域と言いますか・・・
●手嶋:
それはもう達者ですよ!(笑)
●立松:
最近の、大会の写真でも皆さんよく登場してますよ。
■司会:
本当ですか?今度探してみます!(笑)
色んな写真見てて個人的に凄いなと思ったのが、「蓮台(れんだい)乗り」っていう演目なんですけど・・・
曲乗り -蓮台(れんだい)乗り-
●手嶋:
あれは、お隣の会社(名港運輸)の十八番ですね。
●今野:
うちの会社は2人の(駕籠乗り)です。
曲乗り -駕籠(かご)乗り-
●手嶋:
でも向こう(名港運輸)も人間が少なくなったんで、結果僕らが駆り出されるんですけど。演技に関しては角(角材)を一人でどんだけ回せるかで、もう後は相手に合わせる感覚だけ。
■司会:
木材倉庫さんと名港運輸さんで引き継がれている技が違うみたいですね。
●手嶋:
昔は会社同士で競ってたらしいです。今は競うほどの人間もいないし、世界大会もない。
●立松:
残念ながら、国内の大会もないですね。
●手嶋:
全国区で「筏」っていう種目がない。そういう見せ合いの場しかないから競わない。
■司会:
そういえば最近、富山で行われた丸太の大会に出場して、御三方が圧倒的な勝利を収めたと聞きましたが・・・?
●手嶋:
まあそうですね。「本職V.S.趣味」の世界ですから(笑)
それでも、運はやっぱりあるもんで。まあプロ野球選手と草野球の選手が戦うようなもんです。
■司会:
一本乗り大会の中でも競うような競技があったと思いますが・・・
●手嶋:
競うような競技は、「突き乗り(一本乗り)」と、あと「ロッグローリング」と・・・
ロッグローリング(2人が乗っている丸太を回転させて、お互いを落とし合う競技)
●手嶋:
「曲乗り」ってやつ以外、基本的に競い合ってたらしいです。スピード勝負とか。「曲乗り」は見世物ですね。お客さんを喜ばせるための。「ロッグローリング」は世界大会が・・・今でもあるのかな?けんちゃん(日下さん)どうだった?
●日下:
今も世界大会があるかどうか分からないですけど、アメリカのケチカンっていうところと、カナダのバンクーバーのグラスマウンテンの頂上で木こりのショーをやってるんですけど、そこには観光客に見せる丸太落としとか木登りとか、丸太割りとかがありますね。
■司会:
昔は名古屋勢が世界大会でも圧倒的な強さを誇っていたと聞きましたが・・・
●手嶋:
昔は練習台があったんですよ。人間も400人とかいて、一本乗り大会をメインに頑張るような人もいたらしいです。
今は人数もだいぶ減っちゃって、全員で10人前後です。
■司会:
だいぶ少なくなっちゃいましたね。競技の得意・不得意が、大会に影響しそうですけど・・・
●立松:
こちらの3人は全部できるんですよね?でも、大会の中で連続して全部の競技はやれないからってことで・・・
●手嶋:
2人はどう?俺は全部できるよ(笑)
(植松さん・日下さん、うなずく。どうやら3人とも、一通りの競技をこなせるみたいです。)
一応全部できるけど・・・やっぱり競技によって上手い下手はあるって感じですね。
■司会:
練習は、一本乗り大会の直前に、集中的に練習されるのですか?
●手嶋:
そうですね。練習期間はだいたい6月末から7月20日くらい(本番直前)まで。
天気と、そのときの体調や仕事で疲れてないかどうかを考慮して練習します。
■司会:
例えばですけど、4月入社で1年目の方は、その年の7月までに練習してできるようになりますか?
●手嶋:
「一本乗り」ってやつが一番仕事にも関係してくる、基礎中の基礎です。
他の競技は基本、仕事とあんまり関係ないです。観客に見せるもの。消防隊の出初式に似てますね。「そんなこと仕事でしないだろ」っていう、現実で考えたら「火事なのにそんなポーズとってる場合じゃないだろ」っていう感じです(笑)
角(角材)に乗るのも似たような位置づけです。昔は角も仕事で入って来てたんですけど今はそんなにない。
まあ、丸太も仕事で取り扱っているものよりもちょっと細いもんで、「これが乗れりゃあ、まあ最低レベルだろ?」ってやつだもんで、まあ1年生はその年にギリギリ乗れるか乗れないかっていう代物です。
細い丸太も、昔は入って来てたらしいんですけど、僕らは見たことない。
■司会:
なるほど。「一本乗り」は仕事にも関係してくるけど、それ以外の競技は仕事とあまり関係なくて、それ専用の練習をしていないとできないってことですね。
●手嶋:
できないし、やろうとすると変な癖がついちゃう。一本乗りは丸太を回さないんですよ。仕事で使う竿とかそういうのを上手く使う見せ物なんですよ。他の競技は材(材木)を回しちゃうもんで、それを先に覚えちゃうと、材に乗ったらすぐ回しちゃうようになっちゃうんですよ。普段仕事で回すときもあるんですけど大きさが全然違う。
●立松:
無形民俗文化財は、これを、指定いただいてるんです。一本乗りだけですね。
一本乗り(丸太一本突き乗り)
●手嶋:
これ(一本乗り)が、仕事の技術のすべてにつながりますね。1年生・2年生はそればっかり練習です。
他の競技の練習も、余裕があったら本当は3年目ぐらいからやらせたいんですけど、人がいないもんで、まあ2年目から早く練習してます(笑)
■司会:
じゃあ、植松さんとか日下さんも2年目ごろから・・・
●手嶋:
この2人は、1年目の終わりがけにはもう練習してました。最初からそこそこ乗れちゃってるもんだから。
・・・初日から乗ってた?(笑)
●今野:
(笑)
●日下:
乗れました。漕いではないけど(笑)
●植松:
めちゃめちゃ難しかったです。最初は。
■司会:
慣れちゃえば自転車乗るような感じなんでしょうか?
●手嶋:
自転車でちょっとした段差を「ピョン」ってやるのも慣れてないと飛び損ねて「ズガガガガー」ってなると思うんですけど(笑)、そのうち慣れりゃ手放しでも乗ってると思うんです。筏も同じで、最初の補助輪も取れてないような子に「手放し運転やれ」つっても無理な話で・・・(笑)
■司会:
するとやっぱり、本当は3年目まではしっかり基礎を練習させたいってのが本音なんですね・・・
●手嶋:
僕でもそうなんですけど、本当は一本乗りをもっとしっかりと練習しないといけない。もう定年しちゃってる人とかのを見てると動きが全然違うんで。僕らとは経験と練習量が全然違う。それこそ、祭りメインの人たちなんかは。
昔は400人いたわけですから。しかも若い衆たちは仕事が終わったら、それこそ晩の8時9時までひたすらやってた。その中でもエリートさんたちが上に行けて、その時にエリートになれんかった人たちは「別にもう、いいわ」みたいな感じ(笑)
■司会:
そのエリートの人ってのは、筏の技術が上手いと社内でもエリートになったりしたのでしょうか?
●手嶋:
それは、そうでもないみたいですね(笑) 。祭りに特化してて。
結局、材にそれだけ乗れるってことはみんなに頼られるもんで、仕事でも「あれ取って来いよ」って言われて、普通の人が大回りして取りに行ってるところを、上手い人は「トントントン」って渡って行って。すぐに取って来れるもんだから、仕事で役に立つ。逆に未熟で水に落ちちゃうと、そいつは着替えるために帰ってっちゃうもんで、「1人いなくなっちゃったがや」ってなる(笑)
夏なら濡れた服を絞るだけで仕事を続行できるけど、冬はさすがにかわいそうですもんね(笑)
昔は3回落ちたら「帰ってけー!」って言われましたね(笑)
落ちて、服着替えて、帰ってきた瞬間そのまま「ドーン」って落っこちて、「お前は帰ってけー!」って言われて「はいぃー」って(笑)
●今野:
熾烈な争いだった。高校野球と一緒で地区予選みたいなことを会社の中でやって、上手い人が大会に出られる。
第2章 大会の裏側・練習と競技の裏話 (現在のページ)
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