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3.部落差別(同和問題)をめぐってこのような問題があります

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このページを印刷する最終更新日:2023年12月14日

ページID:87934

1 結婚における部落差別(同和問題)

 Aさんは同和地区出身の女性です。同じ職場の青年と交際するようになり、二人の愛情は高まり、結婚を約束し、新居まで決めました。ところが、彼女が同和地区出身であることを知った青年の両親や親戚の人たちは、この結婚に強く反対し始めました。二人の気持ちが「しっかりしていれば、愛し合っていれば」と考えていた青年もついに周囲の反対に負けて、彼女との婚約を解消するという結末をむかえました。
 わが国の憲法では、第24条で「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し……」と定められていますが、現実には、両親や親戚など、まわりの人たちにとっても大きな関心事であることも否定できません。しかし、この事例のように相手が同和地区出身であるという理由によって婚約を解消するようなことがあってよいのでしょうか。
 私たちの社会には、依然として家柄や出身などを重視する人がいます。こうしたことにこだわるものの見方や考え方が、部落差別(同和問題)を始めとするさまざまな差別を生む土壌ともなっています。結婚に際しては、家柄や出身などではなく個人の人柄をみていくことが大切ではないでしょうか。

2 就職における部落差別(同和問題)

 就職は生活の安定に必要なだけでなく、仕事を通しての自己実現や社会参加など豊かで人間らしい生活を送る上でとても大切なことです。
 しかしながら、求人にあたり、本人の能力や適性とは関係のない本籍地や親の職業などを採用選考の資料とする企業がありました。
 例えば、国や地方公共団体により、部落差別(同和問題)解決への本格的な取り組みが進められているさ中の1975(昭和50)年には、同和地区・被差別部落の所在地などが記載された「部落地名総鑑」という冊子が販売され、多くの企業などが購入し、就職差別などに利用していたことがわかりました。

 こうしたことから、就職のための応募書類(履歴書)から本籍欄や家族欄などが削除されたり、身元調査は行わないこと、一定の規模の事業所には公正な採用を推進するための推進員を置くことなどが定められました。
 こうした取り組みにより、同和地区の人だけでなく、外国籍の人や一人親家庭の人など多くの人が安心して就職活動に取り組めるようになったのです。しかし、1998(平成10)年には、調査会社が多くの企業から依頼を受け、就職希望者が同和地区出身であるかどうかなどの身元調査を行っていたことがわかりました。
 就職差別をなくし憲法で保障された職業選択の自由を守るためには、雇用主には公正な採用選考を行うよう不断の努力が求められています。また、私たち一人ひとりが人権感覚を磨き、こうした就職差別を許さない、人権の尊重された社会を築いていくことが必要です。

3 結婚や就職の際の身元調査

 身元調査とは、個人の身上関係の情報を収集・調査することです。本籍地・家系・家族状況・居住環境などを戸籍や住民票などで確認したり、聞き込みなどの方法で行ったりします。
 しかし、こうした身元調査は、憲法が保障する基本的人権の侵害につながるおそれがあることを理解する必要があります。
 人生の重要な門出となる結婚や就職に際し、本人の人柄や能力とは関係がなく、本人の力ではどうにもならない血筋や家柄、出身地などを調査し、その調査結果を理由に結婚に反対したり、採用で不利益な取り扱いをすることは、その人を傷つけ人権を侵害することになります。また、個人のプライバシーを本人の同意なく調査し利用することも許されないことです。
 こうした身元調査は、依頼する側や調査を行う会社に問題があるのはもちろんですが、このような調査に協力しないことも大切です。

4 地域生活の中であらわれる部落差別(同和問題)

 私たちの暮らしは、家庭を始め職場や学校、サークル、友人関係、親戚関係などさまざまな場面の中で営まれています。そして、その場面も固定的なものではなく、広がりのあるものです。
 たとえば、子どもが生まれて成長すれば近所の公園で同じ年代の子どもどうしで遊んだり、保護者どうしの交流が生まれることがよくあります。また、気のあった人どうしで散歩をしたり、おしゃべりをしたりという近所付き合いの輪は自然に生まれるものです。さらに、町内会や子ども会、女性会や高齢者クラブ、その他さまざまな地域活動やまちづくり活動を通じても地域社会とのつながりが育まれ、人の交流も生まれます。
 しかしながら、部落差別(同和問題)に対する正しい理解がないために、「同和地区だから」という理由でつきあいを避けたり、同和地区のある小学校や中学校への通学をやめ違法な方法でほかの学校に通学させたり、住宅をさがすにあたって同和地区かどうかを調べるといった事例などがあります。

 差別は、ときには人の命を奪うことがある重大な人権侵害です。

 町に暮らす人一人ひとりが自分の地域に誇りと愛着を持って、それぞれの立場で交流を深めていくことで「まち」も「ひと」も豊かなものになっていくはずです。

 出身や職業、国籍や障害の有無、家族の状況などに関わらず、すべての人がお互いを尊重しあい、地域でともに暮らしていく大切な隣人としての意識を持つことが、人権を大切にするまちづくりの重要な一歩ではないでしょうか。

5 同和地区であるかどうかの問合わせ

 家を購入したり、マンションを借りたりするなど、住宅を選ぶ際に、噂や偏見に基づいて、その物件が同和地区やそこを含む学区にあるのかどうかを問い合わせたり、調べたりする事例が、今もなおあります。
 こうした忌避意識のもと、同和地区かどうかを調べるといったことは、差別につながる行為です。
 住んでいる場所で人を差別することは、相手の心を傷つけ、人権を侵害することになり、許されないことです。
 わたしたち一人ひとりが、身近にある偏見や不合理な差別に気づき、同和地区への忌避意識を解消していくため、部落差別(同和問題)に対する正しい理解と認識を持つことが大切です。

6 インターネット上における部落差別(同和問題)

インターネットは、情報の収集や発信、コミュニケーションの手段などとして誰もが簡単に利用でき、私たちの生活を便利で快適なものにしています。

その一方で、自分から名乗らなければどこのだれが発信しているのかわからないというインターネットの特質を悪用して、電子掲示板やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、動画投稿サイトなどにおいて、差別を助長する表現や、他人に対する誹謗中傷、プライバシーの侵害など、人権上問題となる発信も増えてきています。

部落差別(同和問題)に関しては、インターネットの電子掲示板で「〇〇地区は同和地区・被差別部落である(あった)」と書き込んだり、動画投稿サイトで、特定の地域を撮影した動画に「ここは同和地区・被差別部落である(あった)」という旨のテロップやナレーションを入れて公開したりする行為が近年増えています。

部落差別は、同和地区・被差別部落といわれる地域の出身であることや住んでいることなどを理由とした差別であり、現在も差別に苦しむ人々がいます。そのような現実の中では、特定の人を同和地区・被差別部落の出身者や在住者と示すこと自体が人権を侵害する可能性があります。

特定の人のことをいうものでなく、特定の地域が同和地区・被差別部落であるという情報を公開するだけでも、その地域の出身者や在住者が差別され、人権侵害を受ける可能性があります。法務省は、この考え方に基づき、これらの情報について、原則として削除要請等、人権侵害の救済措置の対象としています。

インターネットを利用する皆さん一人ひとりが、「部落差別をしない、させない、ゆるさない」という信念をもち、みんなで、部落差別につながるような発信をしない、させない、ゆるさないインターネット空間をつくっていきましょう。

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スポーツ市民局 人権施策推進室 調整担当
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