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2.不合理な偏見や思い込みをなくしましょう

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このページを印刷する最終更新日:2023年12月21日

ページID:87917

1 同和地区の人たちは、先祖が違うから差別されたのではありませんか。

 同和地区の人たちの先祖が日本人ではないとする考え方です。この考え方が一般的に広まったのは、明治以降、日本が他国へ侵略するようになってからです。その背景には、他民族を低くみたり、さげすんだりする差別意識を助長することによって、侵略を正当化したという事情があります。
 この考え方は、学問的にまったく根拠のない点で否定されなければいけません。なによりも問題なのは人を民族や人種によって差別しようとする誤った意識があることです。人は「生まれ」によって差別されることがあってはなりません。

2 同和地区の人たちにも差別される原因があるのではないですか。

 部落差別は同和地区の人々に問題があるのではなく、同和地区以外の人々の偏見や誤った認識によって生まれるものです。
 他人のうわさをそのまま信じて、同和地区に対する偏見を持ったり、たまたま目についた個人の悪い行いを、そこに住んでいるすべての人が悪いといった見方に結びつけてはいないでしょうか。
 かつて同和地区の人々は、部落差別によって長い間、安定した職業につくことができない状況にありました。また、十分な教育を受ける機会もあまりなく、古くからの慣習もあり、周辺との日常的な交流もさまたげられてきました。そのため、生活の安定が得られず、生活環境なども悪化してきました。
 こうしたことを背景に同和地区に対する根強い偏見が残ったのですが、このことは、「部落に差別される原因がある」から起こったのではなく、逆に「差別によって引き起こされた結果である」ということがいえます。
 しかし現在では、同和地区の人びとの差別をなくす自主的な活動の高まりや努力、さらにはこれまでの行政施策の推進により、同和地区の生活環境などは大きく変わっています。
 部落差別(同和問題)だけでなく人権問題一般にいえることですが、他人のうわさや偏見で物事を判断するのではなく、事実にもとづき、そしてその事実の裏にある背景に思いをはせて、つねに人権を守る立場で考えていくことが、差別のない人権が尊重された社会につながるのではないでしょうか。

3 そっとしておけば、部落差別は自然となくなるのではないですか。

 「そっとしておけば、年月がたつにつれて差別は自然になくなるだろう。だからあまり、同和、同和といわないほうがよい」という声をよく聞きます。はたしてそうでしょうか。
 なにもしなくてそっとしておいても差別がなくなるのなら、1871(明治4)年に解放令が出されてからほぼ150年、また、基本的人権を保障した日本国憲法の制定から70年以上たった現在では、もうすでに差別はなくなっていなければならないはずです。
 しかし、現実には、結婚や就職などにおいて差別されることがあります。
 そっとしておけば……という考え方では、この問題の解決に少しも役立たないだけでなく、かえって親から子へと誤った考えや偏見が伝えられ、差別の温存に手を貸すことになってしまいます。
 ですから、私たちみんなが、この問題について正しく理解・認識し、その解決に向かって行動をおこしていくことが大切です。

4 同和地区の人たちが分散して住むようになれば、差別がなくなるのではありませんか

 「同和地区の人たちは、かたまって住んでいるから差別されるのだろう」という考え方です。
 しかし、これには、基本的なまちがいが含まれています。
 まず、国民に等しく保障されている居住権の問題です。だれでも自分の好きなところに住む権利を持っています。それが自分の意志に反して移転させられるとしたら、それは憲法で保障された基本的人権の著しい侵害です。
 次に、同和地区の分散を考える多くの人は、分散したら同和地区の出身かどうかわからなくなるので、差別もなくなるという考えにもとづくものと思われます。しかし、同和地区出身だとわかれば差別されるというのでは、根本的な解決にはなりません。部落差別が存在していることこそが問題なのであって、各地に分かれて住むとか、かたまって住むとかの問題ではないのです。

5 わたしは差別していないから部落差別と関係ないのではありませんか。

 差別について問われたとき、「自分は差別したことはなく、差別意識もありません」とか、「自分は差別とは関係ありません」と答える人が多いように思われます。しかし一方で私たちは、「差別はいけないことだ」と口で言いながら、自分に直接かかわる問題になると、誤った習慣や偏見で判断し、差別してしまう場合があります。
 たとえば、わが子の結婚など身近な問題になると、人物本位の立場でものごとを見ることができなくなり、ときとして相手の人権を侵害してしまうことがあります。これは、差別を建前だけでとらえているからではないでしょうか。
 私たちのまわりには性差別、外国人差別、障害者差別などさまざまな差別や人権侵害があります。とりわけ部落差別は最も深刻な人権侵害のあらわれの一つです。これらの差別や人権侵害をなくすためにも、「差別は自分とは無関係である」と第三者的立場に立つのではなく、私たち一人ひとりが人権感覚を磨くことによって、差別を見抜く目を養い、その解消に向けて主体的に取り組み、行動することが大切です。

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