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はじめに
このたび、総務省統計局より平成12年国勢調査の人口移動集計の結果が公表されました。これは、人口の移動状況を把握するため、5年前に生まれていなかった人(5歳未満)を除く5歳以上人口について、「5年前の常住地」を調査したものです。
ここでは、その名古屋市分について紹介します。
1.概況
約3割がこの5年間に住所を移動
平成12年10月1日現在、名古屋市に常住している5歳以上人口について、5年前の常住地をみると、現住所が全体の67.1%を占め、移動率(移動人口が5歳以上人口に占める割合)は32.9%となっている。
5年前の常住地別を移動率でみると、「自区内で移動した人」11.7%、「自市内他区へ移動した人」8.0%、「県内他市町村から転入した人」4.2%、「他県から転入した人」8.4%、「国外から転入した人」0.7%となっており、自区内での移動率が最も高い。
2.年齢別にみた人口移動
20代・30代の移動率が高い
年齢5歳階級別に移動率をみると、「25から29歳」が58.8%で最高、以下「30から34歳」58.3%、「20から24歳」50.3%と続いており、進学・就職・結婚などに関わる20歳代・30歳代での高さが目立つ。それ以後、移動率は概ね年齢の上昇に伴って低下していくが、75歳以上ではわずかながら移動率は上昇する。
これを5年前の常住地別にみると、県外(他県、国外)からの移動率は「20から24歳」で、県内他市町村では「25から29歳」で、市内では「30から34歳」で最も高くなっている。また、75歳以上での移動率の上昇が、市内での移動率の上昇によることがわかる。
3.年齢別、男女別にみた人口移動
移動率の男性のピークは30代前半、女性は20代後半
年齢5歳階級、男女別に移動率をみると、男女でピークがずれており、75歳以上では女性の上昇が目立っている。ピークのずれは、男女の結婚年齢の差が影響し、75歳以上では男女の平均寿命の差により、配偶者の死亡で移動する場合などが影響していると考えられる。
4.産業別にみた人口移動
金融・保険業は転勤族が多い
就業者の移動率を産業別にみると、「第1次産業(農・林・漁業)」が他の産業と比べて極端に低く、9.9%となっている。
移動率が高いのは、「金融・保険業」の45.2%が最高、以下、「電気・ガス・熱供給・水道業」41.5%、「公務」41.3%と続いており、中でも「金融・保険業」は、5年前の常住地別にみると、県外からの移動率が22.9%であり、移動の半数以上を占めている。
5.教育関係別にみた人口移動
大学・大学院卒業者の移動率が高い
教育関係別に移動率をみると、「大学・大学院卒業者」43.8%、「短大・高専卒業者」39.9%の順で高く、特に「大学・大学院卒業者」では4割以上がこの5年間に住所を移動していることになる。
5年前の常住地別にみると、県外からの移動率が「大学・大学院卒業者」で18.7%であるのに対し、「小学校・中学校卒業者」では2.2%と、ここでも県外からの移動率の差が、全体の移動率の差として現れている。
6.世帯の家族類型別にみた人口移動
単独世帯の移動率は58.5%
一般世帯877,508世帯のうち、現在の世帯主に移動があった世帯は345,864世帯で一般世帯に占める割合は39.4%となっている。
世帯の家族類型別に移動率をみると、「単独世帯」が58.5%で、「親族世帯」の29.3%の約2倍となっている。
5年前の常住地別にみると、「単独世帯」では、県外からの移動率が26.3%と、他の家族類型に比べ著しく高くなっているのが目立つ。
一方、「親族世帯」の移動率は低く、特に親族世帯のうち核家族世帯を除いた「その他の親族世帯」では15.8%と低くなっている。
7.区別にみた人口移動
移動率が高い名東区、天白区
区別に移動率をみると、名東区、天白区、千種区、昭和区の順で高くなっている。
5年前の常住地別にみると、名東区では他県からの移動率が、東区・天白区では自市内他区からの移動率が高くなっている。
一方、移動率が低いのは南区、中村区であり、これらの区は比較的他区からの移動率が低い。
8.大都市との比較
大都市は移動率が高い
名古屋市の移動率を大都市(他の政令指定都市、東京都区部)及び全国、愛知県と比較すると、名古屋市を含めた大都市はすべて全国より移動率が高い。
また、名古屋市は愛知県よりも高いものの、大都市中では北九州市、京都市に次いで低率となっている。
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