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『新修名古屋市史』資料編「民俗」 概要
資料編「民俗」の特徴
名古屋地域の近世祭礼文化を取り上げる第一部祭礼資料編と、主に太平洋戦争以前の市民生活を取り上げる第二部民俗調査資料編の二部構成となっています。
第一部 祭礼図をカラー図版で掲載するとともに祭礼関係文献を翻刻掲載し、解説を加えました。
第二部 本文編編集の際に実施した聞き書き調査について、調査資料を民俗項目に従って編集し、解説を加えました。
本書について
B5版 本編974ページ(上製本) 定価4,500円 平成21年5月20日(水曜日)販売開始
名古屋若宮祭礼図巻(名古屋市博物館所蔵)
名古屋東照宮祭礼図巻(名古屋市博物館所蔵)
『新修名古屋市史』資料編「民俗」 目次
第一部 祭礼資料編
第一章 総説
第二章 祭礼図
第三章 東照宮祭
第一節 東照宮御神事記
第二節 御祭礼全書
第三節 伊藤次郎左衛門家資料
第四章 熱田天王祭
第一節 八ヶ村祭礼之覚
第二部 民俗調査資料編
第一章 自然
第一節 景観・水環境
第二節 開発と災害
第三節 気象・動植物
第二章 社会生活
第一節 村の社会生活
第二節 町の社会生活
第三章 生産
第一節 農業
第二節 漁業
第三節 亜炭採掘
第四章 商工業
第一節 商家のくらし
第二節 職人の民俗
第五章 衣生活
第六章 食生活
第七章 住居
第一節 農村の住まい
第二節 町場の住まい
第三節 建築工程と儀礼・俗信
第八章 人の一生
第一節 婚姻
第二節 産育
第三節 葬送
第九章 年中行事
第一節 正月行事
第二節 春の行事
第三節 夏の行事
第四節 盆行事
第五節 秋の行事
第六節 冬の行事
第十章 信仰
第一節 神社の信仰
第二節 寺院の信仰
第三節 組と家の神仏
第四節 民間信仰
第五節 登拝・巡礼・参拝
第六節 信仰の諸相
『新修名古屋市史』資料編「民俗」 本文抜粋
本文抜粋 第一部第一章 総説
名古屋の東照宮祭礼は近世名古屋城下における最大の公式行事であった。この祭りは既に紹介したように城下の町々から繰り出す山車や練り物風流だけでなく、武士や神官、僧侶なども参加した一大祭礼絵巻が見所であった。その行列は名古屋城の東照宮から本町御門を出て、名古屋の目抜き通りである本町通を城下の南に設けられた若宮八幡宮北の御旅所を目指して進んだ。しかし、先頭が御旅所へ到着しても、まだ最後尾は出発していなかったという。行列の通過する本町通には竹矢来が組まれ、その沿道の商店や町屋が貸し出され見物する桟敷に変わった。このように見られる祭りを意識したことも東照宮祭礼の特色である。そのため庶民だけでなく、武士、さらに殿様までが祭り見物を楽しみとしたため、時の有り様が城下で話題になったこともある。また、尾張藩士であった朝日文左衛門重章が記述した『鸚鵡籠中記』や、高力猿猴庵種信の『猿猴庵日記(金明録)』などには、毎年といってもよいほど四月の「御祭礼」、つまり東照宮祭礼は記述されていることから、武士側からの関心も高かったのである。
第二部第九章 年中行事
三月節供に「オガンドを打つ」といって、子どもが近所の雛人形を見て歩き、雛菓子をもらい歩く習慣は中心部の碁盤割でも伝えられていたし、同じく弘法大師の命日に、大師像を祀る家を廻って施しを受ける行事も盛んであった。今とは異なり、碁盤割の町内の結びつきは強く、そこが人々の生活の場になっていたことの表れであろう。また、町場ではムラには見られない独特の行事も展開していた。正月一日の早朝、雑煮を炊くための火を那古野神社に取りに行くしきたりは京都のそれに通じ、長者町の芸者衆が火縄をまわしながら火を受けて帰る様は、今では見られない華やかな正月風景である。
<左義長>
左義長(守山区瀬古)
ムラにあるお天王さんで門松、お飾りなど集めて焼く。その火で餅を焼いて食べる。焼く場所がなくなってきたが実施している。
ドント焼(守山区川村)
正月一四日、この日に正月飾りや普段燃やさないお札や地祭りの縄などを燃やす。また、習字の手習いで使用した半紙(天筆ともいい、かつては「天筆和合楽」「地福円満楽」「家内安全楽」などと書いた)を燃やした。高く上がるほど字が上手になるといわれている。このドントの火で竹や松を燃やし、竹三節ほどや松の枝の燃えさしを屋根にのせる。こうすると火事や雷除けになるという。
左義長(西区中小田井)
五、六年の小学生、高等科の子どもたちが竹や藁を調達し、燃えた三節竹(長さ一メートルくらい)を持ち帰り屋根に上げた。棟ごとに上げ、これは雷除けになるという。お飾りの餅などを各自持参して焼いて食べ、そうすると病気にならないといった。
ドンド焼き(西区比良)
地元ではドンド焼き(ドンドン焼き)といった。正月の一五日の行事で、六所神社に北と南の氏子が集まる。正月のお供え物を焼いた。餅も持ってきて焼き、持ち帰って食べる。そうすると一年間病気をしないといった。中には習字を持ってきて燃やす人もいた。
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