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ウエストナイル熱、ウエストナイル脳炎

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このページを印刷する最終更新日:2024年5月16日

ページID:13275

ページの概要:ウエストナイル熱、ウエストナイル脳炎について

ウエストナイル熱とはどんな病気?

蚊を介してヒトに感染します

 この病気は「ウエストナイルウイルス」という病原体によって引き起こされます。1930年代に初めて病原体が確認されたアフリカの地方の名前が由来となっています。ウエストナイルウイルスの感染の特徴は、蚊を媒介としています。ウエストナイルウイルスを持った蚊に刺されることで感染をして、輸血や臓器移植など特殊な例を除いてヒトからヒトへの感染は起こりません。病原体的・仕組み的にも「日本脳炎」とよく似た感染症です。このウイルスに感染しても症状が出るのは約2割の方で、残りの約8割の方は症状が出ないまま治癒します。しかし一旦発病すると稀に重い脳炎を起こすことがあり、特に高齢者の方は注意が必要です。現在のところ日本での感染の報告はありません。

インフルエンザに似た症状です

 潜伏期間は3日~15日程度で、発症すると突然の高熱にみまわれ発疹、頭痛、筋肉痛、食欲不振などインフルエンザに似た症状が見られます。多くの場合は1週間程度で回復するのですが、麻痺、痙攣、昏睡などを伴った髄膜炎・脳炎症状など重症化する場合もあります。この様な重い状態に至るのは感染者の約1%で、特に高齢者に多く見られます。ウエストナイル脳炎になると命を落とす危険性が出てきます。

「特効薬」はありません

 治療薬(抗ウイルス剤)は残念ながら、まだありません。症状を緩和するための「対症療法」が行われています。ワクチンについても開発段階であります。蚊がウイルスを媒介することからアメリカやヨーロッパでは夏場の感染が多く、アメリカでは特に7月から10月に多くの患者が報告されています。もちろん日本も関係がないわけではなく日頃から蚊を増やさないこと、蚊に刺されないことに心がける必要があります。

ウエストナイル熱は「動物由来感染症」「輸入感染症」

 結核や麻疹のように、ヒトからヒトへの感染が拡がっていくことはよく知られています。しかしヒトとヒトとの間で感染しないウエストナイル熱が、どうしてアメリカの様な大規模な地域で感染拡大が起こるのでしょうか? この病原体がアメリカに侵入した経緯はウエストナイルウイルスを持った蚊が航空機でニューヨークに運ばれて現地の鳥を吸血し、その吸血された鳥がウエストナイルウイルスを拡大させた可能性が指摘されています。この様にウエストナイルウイルスは他国から運ばれ輸入されるという意味で「輸入感染症」(Afferent infectious disease)であり、また動物(鳥)からヒトに感染するという意味で「動物由来感染症」(Zoonosis)でもあります。

 感染拡大の原因が「航空機で蚊が運ばれたことによる」のであれば日本も決して他人事ではありません。海外から到着した航空機内に蚊が侵入していないか調べるのはもちろん、我々の身近な地域において蚊の状況を把握することが大切です。

流行状況について

国外の状況

 1937年にウガンダのウエストナイル地方で初めて確認された後、アフリカ、西アジア、中東、ヨーロッパ等で感染者が確認されています。

 1999年にアメリカ合衆国ニューヨーク市周辺での流行が報告されてから大きな注目を集める様になり、蚊の活動が活発になる7月から10月頃にかけて主に米国、カナダなど北米地域でウエストナイルウイルス感染者が報告されています。

日本国内の状況

 2005年9月にアメリカ合衆国ロサンゼルスから帰国した30歳代の男性会社員が神奈川県内で診察を受け、国立感染症研究所で血液検査をした結果、国内初のウエストナイル熱患者と診断されています。日本における国内感染の報告はありません。

厚生労働省の対策

「媒介蚊対策に関するガイドライン」を策定

 平成15年6月、厚生労働省は蚊に対する対策として「ウエストナイル熱媒介蚊対策に関するガイドライン」を関係機関に示し、次の内容が指示されています(「サーベイランス」とは発生状況を把握し、動向を監視することです)。

  • 蚊のサーベイランスを実施し、地域に分布する蚊の種類や生息場所などを十分に把握する。
  • 蚊のサーベイランスで得られた情報をもとにして、蚊の幼虫の育つ水たまりなどの環境を改善することにより、幼虫の発生源をなくし成虫蚊の発生を抑制する。

 アメリカの調査によれば、30種類以上の蚊の体内からウエストナイルウイルスが検出されたと言います。ヒトや野鳥の血を吸う習性をもち、発生する数も多く日本でも注意すべき蚊としては、アカイエカ、チカイエカ、ネッタイイエカ、コガタアカイエカ、ヒトスジシマカ、ヤマダシマカ、キンイロヤブカ、ヤマトヤブカ、セスジヤブカ、オオクロヤブカ、シナハマダラカの11種類があげられています。

法律により患者の届け出が義務づけられています

 アメリカでの流行を受け厚生労働省は平成14年11月に感染症の発生の予防と蔓延の防止を目的とし、ウエストナイル熱を「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」の対象としました。医師がウエストナイル熱の患者を診察した場合は知事(保健所)への届出が義務づけられサーベイランスの実施により患者数を全国的に集計してます。名古屋市衛生研究所も患者の発生動向調査やウイルス検査などを通して早期発見、感染拡大の防止に努めてまいります。

名古屋市の対策

感染症発生動向調査事業

 医療機関から各区保健センターへの届け出に基づき、市内の患者の発生状況をとりまとめ、毎週の集計結果を週報としてホームページ上に公開しています。特定の場所で患者が多く発生した際には、保健センターが現地調査等を実施します。

蚊の発生状況調査

 ウエストナイル熱はヒトがウイルスを持った蚊に刺されることにより感染します。5月から10月にかけて、主な媒介蚊であるイエカやヤブカを感染症対策・調査センターが捕獲し、衛生研究所で蚊の同定とウイルス検査を行います。

患者が発生(またはウイルスを検出)した際の対策

市民への情報提供

 患者の発生状況や蚊の発生動態について市民や医療機関に情報提供するとともに、広報等により市民に注意喚起をいたします。

必要な医療の確保

 確定診断のための検査を実施いたします。

蚊の駆除対策

 ウイルスを媒介する蚊の駆除は重要です。保健センターで相談にあたっています。

‐蚊の退治は幼虫から‐(健康福祉局生活衛生部環境薬務課)

蚊の発生状況調査結果

蚊の捕集結果とウエストナイルウイルス検査結果

関連リンク

このページの作成担当

健康福祉局衛生研究所疫学情報部

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ファックス番号

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