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生物多様性2020あいち・なごや宣言

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このページを印刷する最終更新日:2020年2月26日

ページID:125928

生物多様性EXPOの写真


 2020年1月11日、12日に名古屋国際会議場で開催された「あいち・なごや生物多様性EXPO」を新たな出発点とし、様々な立場の人々が、広い視野を持って連携の輪を広げ、「自然と共生する世界」の実現に向けて行動していくことを宣言したものです。


生物多様性2020あいち・なごや宣言(全文)


 2010年、あいち・なごやで開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は、遺伝子資源の利用に関する枠組みを定めた「名古屋議定書」と、2050年の「自然と共生する世界」実現に向け、2020年までに緊急かつ効果的な行動を推進する「愛知目標」の採択という歴史的な成果を生み出しました。

 あいち・なごやは、人口750万人を抱え、日本一の産業集積を誇る大都市圏である一方で、森里川海の多様で豊かな自然が存在する地域特性を踏まえて、県では「生態系ネットワークの形成」と「あいちミティゲーション」を両輪に人と自然との共生を目指す「あいち方式」を推進し、また、名古屋市では身近な自然の保全・再生を進める市民協働の拠点として「なごや生物多様性センター」を設立するなど、愛知目標の達成に貢献するため、様々な取組を進めてきました。

 

【生物多様性の現状把握】

 「愛知目標」の重要な柱である生物多様性保全のためには、まず生物多様性の現状を把握する必要があります。あいち・なごやでは、研究者、住民、行政の連携によって多くの生物の生息・生育状況が明らかになり、土地利用の変化や外来種の圧力などにより、在来種が圧迫されている状況も判明しました。その成果は、県、名古屋市ともに2回にわたるレッドデータブック・レッドリスト改訂の形でまとめられ、さらに全国に先駆けて、グリーンデータブックあいち(全種リスト+指標種情報集)・ブルーデータブックあいち(外来種情報集)も公表されました。

 しかしながら、生物多様性にはまだまだ未解明の部分が多く、保全の試みが新たな課題を引き起こすこともあります。生物多様性保全のためには、何よりも生物多様性に関する検証可能な情報の蓄積と調査研究が必要です。

 

【生態系の保全・再生】

 あいち・なごやでは、都市部に残された貴重な干潟や里山等の生態系を住民や地域団体・NPO等が中心的な役割を担い保全・再生する取組が進んだほか、都市や工場・事業所、農林水産業の場での生態系の保全や配慮が進みつつあります。また、開発(工事)時の生態系配慮に関する新たなノウハウも生まれています。しかしながら、市街地の拡大や、都市内緑地の減少、里地・里山の手入れ不足、外来種の生息拡大など、生態系への圧力はなお大きい現状にあります。

 生態系の保全・再生は、「自然と共生する世界」の実現の鍵となるものであることから、今後、より一層、生態系保全の取組や様々な社会・経済活動への導入を拡大していくことが必要です。

 

【生態系サービスの持続可能な利用】

 生態系サービス(自然がもたらす恩恵)は、食べ物など生活に必要な物だけでなく、文化的・精神的なもの、気候の調整や災害の軽減など、幅広いものであり、私たちにとって生存の基盤をなす不可欠なものです。

 COP10以降、あいち・なごやでは、都市内で自然の恵みを感じられるまちづくりや県産木材の利用拡大、有機農業や漁場環境の整備など、生態系サービスの価値とその持続可能な利用に着目した様々な取組が広がっています。また、名古屋市がフェアトレードタウンに認定され、まちぐるみで活動を展開するなど、消費者の意識に働きかける取組も広がっています。

将来にわたって自然の恩恵を共有し続けるため、こうした取組を一層拡大していくとともに、私たち一人ひとりが生態系サービスの価値を高める行動を実施していくことが重要です。

 

【多様な主体の連携】

 あいち・なごやでは、以前から、「なごや環境大学」や「環境パートナーシップ・クラブ(EPOC)」、「藤前干潟協議会」など、自然の保全と活用さらには環境全般に関する協働のプラットフォームが活発に活動してきました。COP10以降は、県内9地域の「生態系ネットワーク協議会」や「なごや生物多様性保全活動協議会」、「三河湾環境再生パートナーシップ・クラブ」といった、生物多様性に着目した新たな連携のプラットフォームが構築され、生物多様性に関する活動の輪は大きく拡大しました。

 こうした基盤の上に、企業やユースが中心になって地域を巻き込む取組など、各地域で様々な連携が進み、生物多様性の解明や生態系の保全・再生、生態系サービスの持続可能な利用、次代の担い手育成などに効果を上げています。

 「自然と共生する世界」を実現し、未来の世代に引き継いでいくためには、今後、地域・世代・分野を越えた連携をさらに進め、社会変革にもつながるシナジー(相乗効果)を生み出していくことが重要です。 


 COP10以降、あいち・なごやでは、住民、NPO、企業、研究・教育機関、行政等が様々な取組を行い、多くの成果を挙げました。

 また世界では、2015年9月の国連サミットで「誰一人取り残さない」持続可能な社会の実現を目指す「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択され、その基礎となる生物多様性の重要性への認識が高まっています。しかし、一方で、2019年5月に発表された世界の生物多様性に関する政府間組織(IPBES)の報告書は、直ちに、幅広い分野における変革的な行動を世界規模で実施しなければ、「自然と共生する世界」を実現することはできないと警告しています。 

 私たちは、様々な立場の人々が一堂に会したこの「あいち・なごや生物多様性EXPO」を新たな出発点として、広い視野を持って連携の輪を広げ、「自然と共生する世界」の実現に向けて、一人ひとりが行動していくことをここに宣言します。

 

2020年1月12日

このページの作成担当

環境局環境企画部環境企画課生物多様性に係る企画調整担当

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