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なごや生物多様性歳時記(季節の生きものカレンダー)

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このページを印刷する最終更新日:2015年3月12日

ページID:67373

なごや生物多様性歳時記(季節の生きものカレンダー)

 このページの掲載内容は、市民の皆さまに「生物多様性」への理解を深めていただくために、「広報なごや」で平成20年11月号から平成21年10月号までに掲載された「なごや生物多様性歳時記」の内容を掲載しています。
 「生物多様性」というとなんだか難しそうですが、この地球上には人間以外の多くの種類の生き物が暮らしているということに気づいて、その違いを大切にしていこうということです。「なごや生物多様性歳時記」では俳句の季語になっている身近な生きものについて紹介しています。

その1 11月 枯蟷螂(かれとうろう)

蟷螂の写真

 初冬とは、立冬(11月7日ごろ)から大雪の前日(12月6日ごろ)までのことをいいます。初冬の季語に、「枯蟷螂(かれとうろう)」ということばがあり、これは枯れ葉色をしたカマキリのことです。
 カマキリにもいろいろ種類があるのですが、おなじ種類でも緑色のものと褐色のものが発生します。カマキリの寿命は一年で、秋に卵を産むと生涯を終えます。枯蟷螂(かれとうろう)とは、そうして最後まで生き残った褐色のカマキリのことです。
 秋が過ぎて、カマキリのすむ草むらが枯れてくると、緑色のカマキリは天敵に見つかりやすくなるので、褐色のカマキリのほうが長生きできるのかもしれません。

 

その2 12月 冬菜(ふゆな)

大高菜の写真

 冬の季語に、「冬菜(ふゆな)」という言葉があります。これは、初冬から晩冬までの広い期間に使われる言葉です。
 冬菜(ふゆな)とは、秋に種を蒔いて冬に収穫する野菜類のことで、具体的には、小松菜や白菜、水菜などの葉物の野菜の総称です。鍋物やお雑煮に使われる野菜のイメージですね。
 そうした「冬菜」の中に、名古屋市の地名がついたものがあるのをご存じですか。緑区の大高地区で古くから栽培されてきた「大高菜」という野菜です。「あいちの伝統野菜」にも選ばれている大高菜はアブラナ科の植物で、形は野沢菜に似ています。
 プランターでも比較的簡単に栽培できるそうなので、種からそだててみるのはいかがですか。

 

その3 1月 初雀(はつすずめ)

雀の写真

 スズメは、一年中、人の近くで普通にみることができる野鳥です。
 誰でもよく知っていることから、バードウォッチングの時には、他の鳥を説明するのに「スズメ位の大きさ」といって、大きさを示すのに使われます。また「雀の涙」など、「小さいこと・少ないこと」の表現としても使われています。
 そんなスズメは、「初雀(はつすずめ)」という、新年の季語に使われています。新たな年を迎えると、いつも聞き慣れたスズメの鳴き声も、初々しく、清々しく聞こえる、ということでしょう。
 新しい一年が始まります。一度、新鮮な気持ちで身近な生きもの達に目を向けてみて下さい。なにげなく見過ごしている、小さくてありふれた生きものも、いつもと違う気持ちで見てみると、新しい発見があるかもしれません。
 新年の朝、スズメ達の声に耳を澄ませてみませんか。

 

その4 2月 片栗の花(かたくりのはな)

片栗の花の写真

 里山の木々がまだ芽吹きを迎える前、スプリング・エフェメラル(春のはかない命)と呼ばれる、可憐な草花たちが春の訪れを告げてくれます。その代表的なものが「片栗の花」です。
 歳時記では、初春(2月4日ごろから3月5日ごろ)の季語とされています。この地域では3月から4月ごろに開花し、夏が近づき木々の葉が繁るころには、球根を残して地上から姿を消してしまいます。そして次の春をじっと待ちます。
 かつては片栗粉を作るために使われたカタクリですが、現在では市の絶滅危惧種。人の手で管理された明るい里山などを好みます。そんな春の命を見つけたら、里山と人の暮らしの関わりにも思いを馳せてみませんか。けれどはかない命、持ち帰ったりせずそっとしておいてあげてくださいね。

 

その5 3月 鮒の巣離れ(ふなのすばなれ)

鮒の写真

 卒業シーズンになりました。学校を卒業し、新しく社会へ出て行く、若い人たちの姿に希望と清々しさを感じます。
 私たちの身近な川やため池では、フナも巣離れの季節を迎えます。寒い冬の間、水底にじっと身を潜めていたフナは、春の日差しを受けて水が温まると、浅場に姿を現します。これを「鮒の巣離れ」といい、仲春(3月6日ごろから4月4日ごろ)の季語になっています。そして巣離れの後、春が深まるにつれ、より浅い所に移動して、産卵期を迎えます。
 なじみ深い魚ですが、近頃、名古屋市内では、開発や外来種の影響などで、若いフナの姿が少なくなってきました。巣を離れ、命をつないでいこうとするフナたちを見つけに、近くの水辺を散策してみませんか。

 

その6 4月 初蛙(はつかわず/はつがえる)

蛙の写真

 うららかな陽気に誘われて、生きもの達が活動を始める春です。わたしたち人間も、なんだか外に出かけたい気分になりますね。
 春の季語には、数多くの生きもの達が登場します。その一つがカエルです。春になり冬眠から覚めたカエル達が、ため池や水田に姿を見せ、鳴き声が聞こえ始める様子を、「初蛙」といいます。歳時記では、カエルは、初春から晩春まで、広く春を表します。
 子供の頃、カエルを捕まえて遊んだ記憶はありませんか?かつてはどこにでもいたものですが、近頃はその数を減らしています。すみかとなる水辺が減ったことなどが原因です。カエルが身近にいた頃のなごやの姿を、思い出してみませんか?

 

その7 5月 常磐木落葉(ときわぎおちば)

楠の写真

 新緑の木漏れ日が美しい季節になりました。
 「常磐木」という言葉をご存じですか?樹木には、一年中緑の葉をつけている常緑樹と、冬に葉を落とすサクラのような落葉樹があります。常磐木とは、この常緑樹のことです。
 常緑樹とはいえ、古くなった葉は、新しい葉に生え替っています。歳時記では、「常磐木落葉」は初夏(5月6日ごろから6月5日ごろ)の季語にあたります。
 常磐木の中でも、神社や公園など、ごく身近に見られるのがクスノキです。「名古屋市の木」にも選ばれています。散歩のついでに、根元を見てみて下さい。落ち葉がつもっているかもしれません。いつも同じ姿に見える木も、季節にあわせて変化しているのです。

 

その8 6月 蜥蜴(とかげ)

蜥蜴の写真

 私たちの身近で見かける「は虫類」といえばトカゲでしょう。梅雨の晴れ間には、日当たりの良い石の上などで、のんびり体を温めているかもしれません。
 季語としての「蜥蜴」は、初夏から晩夏まで広く夏を表します。
 ひとくちにトカゲといっても、よく見かけるものには、光沢のある鱗で縞模様のニホントカゲと、乾いた感じの褐色の鱗に長いしっぽが特徴のニホンカナヘビの2種類がいます。
 しっぽを切って逃げるトカゲを、見たことはありませんか?しっぽは切れても生えてきますが、身を守るための苦肉の策です。むやみにいたずらしては、かわいそうですよ。

 

その9 7月 青田(あおた)

青田の写真

 皆さんは野菜やお米を育てたことがありますか?楽しい収穫までには、育ち具合や天候に合わせて、何かと手が掛かりますね。歳時記には、茄子や芋の植え付けなど、いろいろな作物にちなむ季語がよく登場します。
 晩夏(7月7日ごろから8月7日ごろ)の季語には、「青田」「田草取」「水番」など、お米づくりに関わる言葉が並びます。梅雨明けを迎えるこの時季は、稲も草も伸び盛り。こまめな管理が大切なことも、歳時記から伝わってきます。
 今、自宅のベランダで、バケツを使った稲づくりに挑戦しています。自分で育ててみると、草が生えたり水の中で何かが動いたり、いろいろな発見があります。バケツの中の小さな田んぼが、「自然の恵み」に気づくきっかけになっています。

 

その10 8月 星草(ほしくさ)

白玉星草の写真

 もうすぐお盆。皆さんは、お盆休みをどこで過ごす予定ですか? 故郷に帰省したり、海外旅行をしたり、なごやを離れて遠くで過ごす方も多いと思います。旅に出ると、その土地ならではの花や生き物に、感激することがありますよね。
 では、「なごやならでは」という花をご存じですか? 初秋(8月8日ごろから9月7日ごろ)の季語である「星草」の一種に、シラタマホシクサがあります。金平糖草という別名のとおり、細い茎の先に、白い金平糖の様な花が咲く様子は、とても可愛らしいものです。東海地方の湿地を特徴づける植物です。
 時には、遠く離れた旅先の自然と、なごやの自然を比べてみるのもいいかもしれません。皆さんは、どんな自然の違いに気づきますか?

 

その11 9月 蜻蛉(とんぼ)

蜻蛉の写真

 まだまだ暑い日が続いていますが、歳時記では今は秋。夜風の涼しさや虫の声に、秋のおとずれを感じませんか?秋の季語は、いろいろな虫たちでにぎやかです。
 皆さんは、トンボの群れを追いかけたことはありませんか?「蜻蛉」は、歳時記では、初秋から晩秋まで広く秋を示します。トンボのことを、昔の言葉で「秋津(あきつ)」といいます。まさに秋の虫ですね。
 なごやでも、いろいろなトンボを見ることができます。アキアカネは、涼しくなると産卵のために山から下りてきます。街なかでも、ウスバキトンボの群れ飛ぶ姿を見ることができますよ。皆さんも、身近で小さな秋を探してみて下さい。

 

その12 10月 木の実拾う(このみひろう)

木の実の写真

 「収穫の秋」、「食欲の秋」など、人によって秋のイメージはいろいろですね。多くの植物にとって、秋は実りの季節です。
 近くの公園で、ドングリやギンナンを拾うのを楽しみにしている方もいらっしゃると思います。歳時記では、「木の実拾う」は広く秋を示します。特に晩秋(10月8日ごろから11月6日ごろ)には、多くの植物が実りを迎えます。
 一年間、歳時記に登場する生き物について紹介してきました。このコラムが、大都市なごやで頑張っている生き物の存在に気づくきっかけになってくれれば幸いです。皆さんの暮らしが、自然の恵みを身近に感じる、実り多いものとなりますように。ご愛読ありがとうございました。

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