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報告書(14)女性教員管理職登用に関する件

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このページを印刷する最終更新日:2011年9月27日

ページID:26287

ページの概要:報告書(14)女性教員管理職登用に関する件

1.調査経過

平成14年12月18日申出事案「教員管理職登用における性差別に関する件」及び平成18年5月8日申出事案「女性教員管理職登用に関する件」の苦情処理と同様の申出趣旨であると思われるため、女性教員の管理職登用に関する重要な問題であることをかんがみ、前2回の事案と同様に、3人の苦情処理委員が共同で調査検討をした。

調査検討は、委員の打ち合わせ3回、教育委員会からのヒアリング1回、政令指定都市への書面調査2回、女性校長への書面調査、抽出した女性教員への書面調査及びヒアリングにより、前々回の市長への意見書及び前回の報告書を提出した後の状況について調査した。

2.名古屋市女性教員の管理職登用のこれまでの取組みと現状

(1)これまでの取組み状況

 1回目及び2回目の苦情処理申出に対して、女性教員の管理職登用を進めるため、登用制度の改善を検討する必要がある等の意見書及び報告書を提出した。それを受け、教育委員会が行った取り組み状況は次のとおりである。

女性教員の管理職への意欲醸成への働きかけという点では、ロールモデルとなるような女性管理職の各区への配置、管理職になるのに役立つ各種研修を女性教員が受講するための積極的な働きかけ、また、新任校長を対象とした男女平等に関する研修や、積極的な女性登用を呼びかけるための教育委員会事務局の管理主事による各学校訪問など、様々な働きかけのほか、登用率の目標数値の設定と経年変化の把握により女性管理職登用への意識付けを行ってきている。しかし、平成19年度より導入した教職員の目標管理による教職員評価を管理職登用に生かすための工夫や、多様なルートによる管理職登用制度の検討には至っていない。

(2)女性教員の管理職登用率の現状

 名古屋市立小・中・特別支援学校の教員の男女比は、平成22年5月1日現在、男性は42.6%、女性は57.4%で、女性教員の方が約15%多く占めているが、校長、教頭という管理職全体に対する女性教員の割合は平成22年度12.7%という水準である。平成18年度の10.0%と比べると、この4年間で2.7%の増加となっており、一定の取り組みの成果がみられると考えられる。

 しかしながら、第1期男女平等参画審議会答申項目を達成するために掲げた数値目標(平成22年度までに女性管理職比率を校長14%、教頭16%以上に引上げ)については、校長12.6%、教頭12.9%といずれも未達成である。また、平成22年4月1日現在の女性教務主任比率は、女性教頭の比率より下がっており、教務主任を経験することを管理職登用条件とする現在の登用方法を継続すれば、上記の管理職比率の数値は近い将来更に下降していくことが予想される。

(3)登用率の政令市比較

 政令指定都市における女性教員の管理職への登用をみると、平成21年5月1日現在、政令指定都市平均では15.3%となっており、もっとも女性教員の管理職登用が多い岡山市では28.3%に達するのをはじめとして、多くの政令指定都市が10%半ばの登用率となっている。名古屋市は、18政令指定都市の中で12位と、平成17年の14政令指定都市中13位と比べると若干の向上が見られるが、依然として政令指定都市の中では低い状況である。

(平成21年刊 「指定都市教育統計資料の比較」指定都市教育委員会事務局調査統計主管課より)

3.女性管理職登用率が数値目標を達成できなかった原因

(1)管理職になるための必要条件について

 名古屋市の場合、教務主任の経験を有することが管理職になるために必要な条件であると現在も考えられている。このため、教務主任の経験年数2年以上となる者の中から校長等所属長推薦により管理職を登用することが基本となっている。他の政令指定都市では、教務主任経験を管理職登用の条件にしていない都市が多く、その管理職登用方式としては、勤務経歴の勘案による校長推薦だけではなく、試験による客観的な能力評価を行っているところが多い。中でも、神戸市が平成20年度より校長推薦制を廃止し、選考の透明性の確保と本人の意欲・意思を尊重して志願制を導入している。このような例を参考に、出産、子育てと両立しつつ職務にも努力し能力と意欲を有している女性の教員が管理職に登用される道を開く登用方法の検討が必要と考えられる。

(2)教務主任候補者への選任方法について

 名古屋市の場合、教務主任候補者になるには校長推薦が必要である。校長推薦の運用は、推薦枠は1校3名まで(平成19年度から口頭により、女性は1校3名まで別枠で推薦可能)、対象年齢は、35歳以上かつ明文化されていないものの実際には48歳以下であり、それまでの勤務期間の校内活動(学年主任、保健主事、生徒指導主事)の実績のほか、各種研究会発表等の校外活動を積んだ者のなかから推薦するということが多い。これらの活動は勤務時間外に掛かるものも多く、これらの経歴を積まなければならない時期が女性にとっては出産、子育ての時期と重なることが多いため、結果としてこの時期に校長による推薦を受けにくくしている。

(3)女性教員の意識について

 女性教員にとってはロールモデルとなる女性が少ないうえに、管理職への負担感が大きく、また、教育現場には女性教員への特定業務の割当などの性別役割分担意識を助長するような傾向もあることから、現場志向が強くなっているという現実がある。

 しかしながら、男女がともに、責任ある役割を果たしていくことは、男女平等参画推進のためには不可欠であり、このための啓発は行われてはいるものの、女性教員の意識変革には至っていない。

(4)学校現場における男女平等参画の必要性についての理解不足

 学校において男女平等参画を進めることは、女性教員が能力を発揮しやすい環境を作り、学校の活性化につながる。また、子どもたちにとって、一番身近な社会である学校現場で女性が責任ある職に就くことは、男女平等参画を身近に学ぶ機会となる。しかしながら、女性教員の能力発揮に伴うメリットやその必要性について、学校経営に携わる人たちに十分に理解されていないという現状がある。

4.調査検討の結果

 調査検討の結果、申出の「数値目標が達成できなかった理由」については、多様なルートによる管理職登用の仕組みが導入されていない点、女性教員が管理職を目指す意識が醸成されない点が明らかになった。女性の管理職登用のメリットをより具現化するため「管理職登用に際しての女性差別を早急になくすこと」と併せて、現在の登用制度及び女性教員の意識醸成などについて、本報告とは別に、是正の要望として、意見書を提出することとした。

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