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報告書(12)教員管理職登用に関する件

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このページを印刷する最終更新日:2007年6月4日

ページID:6660

ページの概要:報告書(12)教員管理職登用に関する件について

1.調査経過

平成14年12月18日申出事案「教員管理職登用における性差別に関する件」の苦情処理と同様の申出趣旨であると思われるため、女性教員の管理職という多岐の課題を有する重要な問題であることをかんがみ、先回の事案と同様に、3人の苦情処理委員が共同で調査検討をした。
調査検討は、委員の打ち合わせ2回、教育委員会からのヒアリング2回により、先回の市長への意見書を提出した後、新たに意見を付す状況変化が生じているかどうかを確認した。

2.名古屋市女性教員の管理職登用の現状

(1)女性教員の管理職登用率

名古屋市立小・中・養護学校の教員の男女比は、男性は43.5%、女性は56.5%(平成18年度)で、女性教員の方が10ポイント以上多くを占めているが、校長、教頭という管理職全体に対する女性教員の割合は平成18年度10.0%という水準である。決して高い水準ではないが、この4年間で2.1ポイントの増加となっており、それ以前の3年間の増加が1.0ポイントに比べると取り組みの成果がみられると考えられる。

(2)登用率の政令市比較

政令指定都市における女性教員の管理職への登用をみると、平成17年5月1日現在、全国平均では14.9%となっており、政令市で見ると、例えばもっとも管理職への女性の登用がみられる広島市では22.9%に達するのをはじめとして、多くの政令指定都市が10%半ばの登用率となっている。名古屋市が、14政令指定都市の中で下から2番目である状況は変わっていない。
(平成17年刊 「指定都市教育統計資料の比較」指定都市教育委員会事務局調査統計主管課より)

3.女性管理職登用率の低さの原因

(1)教務主任経験の条件明示について

名古屋市の場合、教員の管理職への登用は、「名古屋市立小・中・養護学校教頭任用候補者選考審査要項(以下「教頭任用選考要項」という。)及び「名古屋市立小・中・養護学校校長任用候補者選考審査方針(以下「校長任用選考方針」という。)に基づいて、教務主任の経験年数2年以上となる者のなかから、管理職を登用することが基本となっている。政令指定都市の中には、教務主任経験を管理職登用の条件にしていない都市もあるが、名古屋市の場合、教務主任の経験を有することが管理職になるために必要な条件であると現在も考えられている。

(2)管理職への登用方法について

教員の管理職への登用の方法が、教頭の場合、校長等所属長の推薦方式がとられ、1校1名のみを推薦できるという仕組みが採用されていること、そして、教務主任への登用の方法も、校長推薦方式がとられ、1校3名まで推薦できるという仕組みが採用されていることも、名古屋市の特徴である。校長によるこの推薦の運用は、例えば教務主任の場合、35歳以上が資格者となっているため、それまでの勤務の期間に様々な経歴(学年主任、保健主事、生徒指導主事、各種研究会発表等)を積んだ者のなかから推薦するというものが多い。この様々な経歴を積まなければならない時期が女性にとっては出産、子育ての時期と重なっていることが多く、結果としてこの時期に校長による推薦を受けにくくしている。
この状況の下で、特に、次の二つの研修会への女性教員の参加を促してきている。それは教育実践における具体的な問題を究明し、学校教育の振興に資することを目的とする長期研修制度である「教育研究員」や「学校運営推進講座」であり、これらの修了者及び受講者は学校全体の動きに目を向ける意識が醸成されることから管理職になる割合が高い。そのことに着目して、女性の教員に「教育研究員」や「学校運営推進講座」を積極的に受講するよう働きかけを行っており、その結果、女性の応募や受講する割合が増えてきている。女性が学校を運営するという意識を醸成できる環境づくりから努力していると思われる。また女性が多い養護教諭からの管理職への登用を行ったり、学校の校長や教頭だけでなく、同様の管理職である教育委員会事務局の指導主事や管理主事へ女性を登用するなど、女性の登用を増やす取り組みが始められている。しかし勤務経歴の勘案による校長推薦だけではなく、試験による客観的な能力評価という方式もあれば、複数かつ多年の経歴を積んでいる被推薦者と比較すると、出産や子育てなどによりそのような経歴を経ていなく、キャリア不足として次順位とされがちな女性も、職務にも努力し能力を有していれば、その試験成績の結果を反映することによって、登用される途がより開かれると思われるので、引き続き登用の方法から検討が必要と考える。

(3)女性教員の管理職への意欲醸成について

女性教員が管理職をめざすという希望や意欲を醸成するために、各区に女性管理職を配置し、ロールモデルとなるよう配慮されてきている。教育委員会事務局の管理主事が各学校を訪問し、積極的に女性の登用を行うよう働きかけを行うとともに、新任の校長を対象とした男女平等に関する研修を新たに開始している。女性教員自身の消極的な姿勢が推薦を行う校長からは、女性教員自身が管理職を望んでいないと判断されがちな原因となっていることから、女性教員のための意識啓発や研修などを実施するとともに、管理職になるために役に立つと思われる「教育研究員」と「学校運営推進講座」を女性教員が受講するよう、積極的な働きかけを行っている。消極的と思われている女性であるが、夏季休業中の応募研修においては男性受講者数を大きく上回っている。この女性の熱心な向上意欲が学校運営の中にも活かされていくことを望みたい。

4.現状についての調査を終えて

申出の「現状では目標達成にほど遠い」については、目標が5年後のものであり、1年を経た実績で判断はできるものではない。教育委員会とのヒアリングを通して、女性教員の管理職登用について取り組んでいるが、先回の事案で調査検討をおこなった状況との変化が期待するほどには現れていないことが確認できたため、先回事案の意見内容を引き続き真摯に取り組んでいただきたい。とりわけ授業力向上に対する女性教員の強い研究意欲を学校運営全体につなげるよう、多様なルートによる管理職登用の仕組みについて、積極的に検討いただきたい。
また女性の登用が学校運営や地域社会にどのような意味をもつのかについて根本に立ち返って考えることや消極的になりがちな女性に対して継続して粘り強い働きかけを行うこと、他都市の管理職登用について調査研究することが重要であることも申し添える。

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