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報告書(4)教員管理職登用に関する件

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このページを印刷する最終更新日:2009年2月25日

ページID:6650

ページの概要:報告書(4)教員管理職登用に関する件について

1.調査経過

名古屋市男女平等参画苦情処理委員は、申出の内容が女性教員の管理職登用という多岐の課題を有する重要な問題であることにかんがみ、この事案に関しては、3人の委員が共同で調査検討した。

調査検討は、委員の打合わせ7回、教育委員会からのヒアリング2回、女性教務主任からのヒアリング1回、大阪市教育委員会及び広島市教育委員会への調査のための教育委員会教職員課主任管理主事及び苦情処理担当課職員の派遣1回、京都市教育委員会への書面による質問及び回答が1回という、膨大なものとなった。

2.名古屋市女性教員の管理職登用の現状

この調査検討の結果、名古屋市における女性教員の管理職登用について、以下の現状が明らかとなった。

  1. 名古屋市立小・中・養護学校の教員の男女比は、男性は43.5%、女性は56.5%(平成14年度)で、女性教員の方が10%以上多くを占めている。しかし、校長、教頭という管理職への女性教員の登用はきわめて少なく、管理職全体に対する女性教員の割合は平成11年度当初6.9%、平成13年度末7.9%という水準にとどまっている。確かに、この3年間で1.0%の増加となっており、わずかではあるが前進がみられる。これは、教育委員会としても、女性の登用がまだ十分ではないということを認識し、一定の努力をした結果であると考えられるが、十分な登用率であるとは言いがたい。
  2. 政令指定都市における女性教員の管理職への登用をみると、平成14年5月1日現在、全国平均では14.7%となっており、政令市で見ると、例えばもっとも管理職への女性の登用がみられる広島市の場合、その割合は30%に達するのを初めとして、多くの政令指定都市が10%半ばの登用率となっているのに対して、名古屋市のそれは、12政令指定都市の中で下から2番目というのが現状である。

3.女性管理職登用率の低さの原因

委員は、名古屋市の女性教員の管理職への登用率が低いというこの現状は、どこに原因があるかについて、集中的に調査検討を行った。その結果、以下に掲げることをその原因として指摘できると考える。

(1)教務主任経験の条件明示について

名古屋市の場合、教員の管理職への登用は、「名古屋市立小・中・養護学校教頭任用候補者選考審査要項(以下「教頭任用選考要項」という。)および「名古屋市立小・中・養護学校校長任用候補者選考審査方針(以下「校長任用選考方針」という。)に基づいて行っている。その特徴は、教育委員会事務局等に勤務する者からの登用もあるとはいえ、教務主任の経験年数2年以上となる者のなかから、管理職を登用することが基本となっている点にある。これは、名古屋市の場合、管理職ではないとはいえ、教務主任が、学校のなかで、教員間、父母との間、そして子どもとの間で連絡調整にあたるという、要となるきわめて重要な役割を担う教員という位置づけが与えられており、その結果、名古屋市では長年にわたり、この重責を果たすことが管理職となるための不可欠の経歴と考えられ、この職を経験した後に登用された管理職は90%にも達している。

しかし、調査したいくつかの政令指定都市では、名古屋市の教頭任用選考要項のような教務主任経験を明示の条件とするような規定はみられなかった。

(2)管理職への登用方法について

教員の管理職への登用の方法が、教頭の場合、校長等所属長の推薦方式がとられ、1校1名のみが推薦できるという仕組みが採用されていること、そして、教務主任への登用の方法も、校長推薦方式がとられ、1校3名まで推薦できるという仕組みが採用されていることも、名古屋市の特徴である。校長によるこの推薦の運用は、例えば教務主任の場合、35歳以上が資格者となっているため、30代後半から40代前半の教員で、それまでの勤務の期間に、校長が教務主任へ推薦することができると考える様々な経歴(学年主任、保健主事、生徒指導主事、各種研究会発表等)を積んだ者のなかから推薦するというものが多い。しかし、この様々な経歴を複数かつ多年にわたって積まなければならない時期が、女性にとって、出産、子育ての時期と重なっていることは明らかであり、女性にとって、このハンディが、結果として事実上、この時期に校長による推薦を受けにくくしているといえる。平成14年度に、教務主任への推薦を受けた男性教員が85.7%にのぼるのに対して、女性教員が14.3%にとどまることは、このことの証といえる。

他の政令指定都市の場合、管理職への登用方式として、名古屋市のようなそれまでの勤務経歴の勘案による校長推薦だけではなく、試験による客観的な能力評価を行っているところも多い。経歴という目に見える実績を積んだ結果が一つの指標であるとしても、それだけが管理職として必要な能力をはかる指標とは考えられていないことを示している。この場合、試験方式が、女性の出産、子育てというハンディを有しつつ、職務にも努力し、たとえ複数かつ多年の経歴を経ていないとしても、能力を有していれば、その試験成績によって、この時期の女性も登用される途がより開かれているといえる。確かに、名古屋市の場合も、教頭への登用には筆記および面接試験があるものの、実際の運用は、現在までのところ試験を受けたものがすべて(教頭任用)名簿に登載されてきたという結果となっているため、競争試験の実質を有せず、女性が経歴不足を他の能力判定の方式で補う機能を果たすものとはなっていない。

教員という職に就いている人々において、男女の性差による能力差があるとは考えられないのに、管理職登用時には教員の男女比率と乖離した比率になる現実は、能力ある教員を引き上げていないともいえよう。

(3)女性教員の管理職への意欲醸成について

こうした女性教員の管理職が少なく、ロール・モデルがないという職場環境は、女性教員にとって、将来管理職をめざすという希望や意欲を醸成せず、このことが、また、女性教員の管理職への進出を阻むこととなっていることも看過できない。こうした女性教員自身の消極的な姿勢が、推薦を行う校長からは、女性教員自身が管理職を望んでいないと判断されがちな原因となっていることも事実である。

調査検討の結果は、以上のとおりである。そこでは、女性教員の管理職登用の割合が低いという現状、その原因として、いくつかの構造的な問題があることが明らかになった。

そこで、本報告とは別に、是正の要望についても、意見として提出することとした。

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