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報告書(2)(5)地下鉄広告に関する件

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このページを印刷する最終更新日:2009年2月25日

ページID:6640

ページの概要:報告書(2)(5)地下鉄広告に関する件について

 この二つの苦情申出は、二人の市民から別個に提出されたものである。しかし、その苦情の申出の内容は、いずれも交通局の地下鉄車内および駅構内の広告物について、性の商品化およびジェンダー・ハラスメントのチェックを求めるという点、すなわち、地下鉄関連施設における広告物に人の関心を向けさせるために女性のヌードを使うという手法を用いた広告物の掲載を問題にする点で、同一のものだったためである。
 他の政令指定都市の交通局および帝都高速度交通営団がもっている広告掲出審査の基準を取り寄せ、他都市の状況と比較するとともに、平成15年2月6日に、交通局営業推進課および広告物掲出の事務を直接行っている交通開発機構から、当市の運用の実情について聞き取りを行った。
 以上の調査の結果、次のことが明らかとなった。

  1.  名古屋市を含め政令指定都市の交通局および帝都高速度交通営団は、すべて広告掲出審査の基準を備えている。そして、今回問題となった女性のヌードに関する基準についても、一定の基準をもって運用している。
     それは、例えば、「裸体や性について、露骨・卑猥な表現のものは承認しない」(他都市例)、あるいは、「裸体やそれに近い姿態 広告する商品とは無関係に、単に目立たせるために添えた姿態等必然性のないもの。ただし、展覧会や出品作品の一例として掲載するものは、その都度適否を判断する。」(名古屋市)といった基準が一般的である。そして、これらの女性のヌードに関する基準は、「青少年保護の観点から適切でないものは承認しない」(他都市例)、あるいは、「社会秩序を乱すような表現で認められないもの」(名古屋市)といった包括的な基準のなかに盛り込まれた一つの基準になっている。
     したがって、名古屋市を含め政令指定都市の交通局および帝都高速度交通営団は、すべて女性のヌードに関する基準をもっているが、それは、もっぱら、『青少年保護』または『社会秩序の維持』といったいわば伝統的な警察目的を達成するためのものとして位置づけられていることがわかる。
     女性のヌードに関する基準について、男女平等の視点からこれを見直し、より適正なものにしていくという試みは、これからの課題であることがわかる。
  2.  交通局営業推進課および交通開発機構から、当市の運用の実情について聞き取りを行った結果、次のことが明らかとなった。
     まず、男女平等参画推進なごや条例の制定後、交通局では、交通機構を含めた業者等の集まりのなかで、条例の紹介およびその精神に則った協力の要請を行っている。そして、当面、運用において、交通局としても条例の精神を徹底していく方針をもっている。具体的には、これまでの「裸体」と「わいせつ」という視点だけではなく、ジェンダー、「性差別」の視点も考慮するようになったとの説明があった。
     また、今回苦情の申出があった事例については、当初の露出度が高かったものを、女性も加えて審査して穏当なものに修正したこと、実際にこの広告の商品を決めるのは女性である場合が多いことから女性をターゲットにしたアイキャッチのために女性を使うことも、マーケットリサーチの視点からは合理性があり必要と判断したとの説明があった。
     さらに、今後の方針として、現在の基準について、条例の精神を踏まえた改正を検討する、それは、他都市の動向をみてではなく、独自の必要な改正として、積極的にとりくむ意向が表明された。
     交通局では、一般的には、条例の制定を受けて業者等へその内容を周知徹底したり、これまでの運用の見直しに取りくんだりしてきたことがわかる。また、条例の精神を踏まえた基準の改正にも積極的な姿勢を示している。しかし、個別具体的な事例に関する対応という点では、露出度の程度の問題として処理したところからわかるように、警察目的からの規制という視点がなお強く影響している。また、この広告の「商品を選ぶのは女性」という「性別による固定的な役割分担」を反映した社会慣行や意識の解消をめざすのではなく、マーケッティングリサーチという経済の論理に流される事例もみられた。
  3.  上記の二つの苦情申出について、調査、検討した結果は以上の通りである。この調査、検討結果からわかるように、女性のヌードに関する基準をはじめとして、地下鉄関連施設における広告物について、条例の精神に即した掲出基準の見直し、この新たな基準に基づく運用への移行、関連業者の意識改革等、今後是正を必要とする事項も多い。
     そこで、本報告とは別に、是正の要望についても意見として提出することとしたので、参照されたい。

このページの作成担当

スポーツ市民局市民生活部男女平等参画推進課男女平等参画推進担当

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