ロンドンオリンピック近代五種日本代表 富井慎一さんインタビュー
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ページの概要:千鳥丘中学校出身のオリンピック日本代表である、富井慎一さんからお話をうかがいました。
緑区では、夏休みの初めに、青少年の非行防止や青少年に関する地域の取り組みをアピールするキャンペーンとして、毎年、緑区青少年育成キャンペーン「夏の青少年をまもる運動」を行っています。今年度のキャンペーンでは、ロンドンオリンピック近代五種日本代表の富井慎一さん(千鳥丘中学校出身)から、青少年へのメッセージをいただく機会に恵まれました。
そこで、富井さんにインタビューを行い、近代五種との出会いや、ついにオリンピック出場を勝ち取るまでなど、お話をうかがいました。
(この企画は、広報なごや緑区版7月号との連動企画です。)
フェンシング、水泳、乗馬、ピストル射撃、ランニングの5種目を一日で行う競技です。
19世紀、ナポレオンの時代のフランス軍将校が戦果を伝えた故事を体現したスポーツで、心・技・体の能力がバランスよく要求される競技です。近代オリンピックの創設者であるクーベルタン男爵の提案により、1912年から正式競技となり、現在、競技人口は世界で約3万人です。
これまでのオリンピックで、日本人選手(個人)の最高成績は、東京オリンピック(1964年)とメキシコシティーオリンピック(1968年)での15位です。
名古屋市緑区出身。小学1年生から水泳を始める。その後、大学まで水泳を続けるも、自衛隊からスカウトされたのを機に、近代五種へ転向。平成14年から自衛隊に所属。平成23年、アジア選手権での4位入賞により、男子では唯一(女子は2人)ロンドンオリンピック日本代表に内定。
「9歳か10歳くらいのときに、水泳の全国ジュニアオリンピック大会で優勝したときから、オリンピックを目標にしようと思うようになりました。近代五種に転向したのは、自衛隊からスカウトされたのがやはり一番のきっかけです。水泳をずっとやっていたので最初は見向きもしませんでしたが、近代五種のビデオを見せてもらってだんだん興味が湧いてきて……。水泳でオリンピックに行けなかったので、もう一度目指してもいいかなという気持ちで始めました」と、しっかりした口調で語ってくださった富井さん。
5つの競技については、「水泳以外は全く初めてでした。フェンシングなどはルールも知らなかったです」と笑います。それでも、自信がないというよりは、「いろいろやってみたいなと思っていたところだったので、やってみようという気になった」とのこと。
お話からは、チャレンジ精神の旺盛さや、スポーツに対する前向きな姿勢を感じることができました。
近代五種に転向して、オリンピックへの夢の続きが始まりましたが、その後も道のりは険しいものでした。
「本音で言いますと、運動神経は自分でもいい方だと思っていました。水泳は得意ですし、陸上も、長距離が大好きで、長い距離を走るのが苦ではなかったので、『ちょっとやればオリンピックも行けるかな』と思っていました。ただ、北京オリンピックの予選のとき、日本代表として予選会に出ましたが、惨敗で、すごく悔しい思いをして……。やっぱりそんなに甘くはなかったと思い直しましたね」と苦しかった日々を振り返ります。
しかし、「人より努力するということは自分の大事にしていることです。予選で敗退してからは、夜も一人で残って練習して、朝も人より早く起きて練習して、という生活を4年間続けました。諦めなかったのは本当によかったと思います」とエピソードを交え、粘り強く目標に向かっていくことの大切さや素晴らしさを直接教えてくださいました。
そして、富井さんにとって、今やオリンピック出場は最終目標ではなくなったようです。「オリンピックの出場が決まって、年齢から見ても最後かな、と思ったこともありましたが、これで最後にしないようにというのが今の考えです。オリンピックもステップアップの途中だと思うようになりました。」
富井さんに、緑区での思い出についてうかがいました。
「中学校までしかいなかったので、あまり思い出せることがないのですが……自分が中学生の時まで泳いでいたプールがもうないというのが一番残念ですね。そのプールでずっと鍛えていたので、思い出の場所です。緑区の山下にあるスイミングクラブで、自転車や親に送ってもらうなどして通っていました。今は同じ場所に別のスポーツクラブができています。今はわからないですが、少し前までは、自分と同じ時に選手だった人がコーチをしていたという話を聞いたことがあります。両親がたまにそこに行っているので」とのこと。
話されているうちに記憶がだんだんとよみがえって来た様子で、声には楽しげな調子が加わってきていました。「出場が決定したのも昨年5月だったので『やっとここまで来たな』と思いますし、徐々に胸の高鳴りのようなものを感じます。最近は各所に挨拶に行くなどで忙しい毎日ですし、これまでなかったようなことがたくさんあり、今かなり実感しています。
子どものころの友達など、いろんな人に応援してもらって向かうオリンピックですし、夜遅くまでのトレーニングでも支えてくれた監督などのおかげでここまで来ることができました。その人たちに恩返しできるように、少しでも上の順位を目指して、メダルをとりたいと思っているので、最後まで諦めないで全力で、悔いのないように終わりたいと思います。」
富井さんが出場する近代五種競技は、8月11日(土曜日)に実施予定です。
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