史跡 大曲輪貝塚の紹介

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ページID1017387  更新日 2026年5月7日

史跡 大曲輪(おおぐるわ)貝塚(Oguruwa Shell Mound(Nationally Designated Historic Site))

写真:近年、整備されたあとの大曲輪貝塚の様子で、芝生に覆われ、憩いの場として使えます
現在の大曲輪貝塚の様子(整備後:令和8年 西から)

1.大曲輪貝塚・大曲輪遺跡とは

大曲輪貝塚は、名古屋市瑞穂区にある縄文時代の遺跡です。今から約6,000年前(縄文時代前期)から約3,000年前(縄文時代晩期)ごろを中心とする貝塚です。八事丘陵から流れる山崎川によって作られた平らな場所であり、当時はすぐ目の前まで海が迫っていました。

大曲輪貝塚の発見

昭和14年(1939)、瑞穂陸上競技場の前身にあたる名古屋綜合運動場の建設中に発見されました。当時の愛知県史蹟名勝天然紀念物調査会主事であった小栗鉄次郎氏によって発掘調査がおこなわれ、縄文時代の土器や石器、人の骨など多くの遺物が出土しました。その成果が認められ、貝塚の一部は昭和16年(1941)には「大曲輪貝塚」として国の史跡に指定されました。「大曲輪」の名前は、当時の地名「昭和区弥富町字大曲輪」からつけられたものです。

大曲輪遺跡とは

昭和55年(1980)、競技場の改築工事にともなう発掘調査では、新たな発見がありました。小栗氏が発見した貝塚の周辺に縄文時代の住居跡、お墓など、当時の「ムラ」の跡が次々と見つかったのです。この一帯は「大曲輪遺跡」として詳しく調査されました。

写真:整備前の史跡の状況です。チェーンと木でできた杭で囲まれてます
史跡大曲輪貝塚 全景(整備前:平成30年 南東から)

国の指定史跡に

昭和14年(1939)におこなわれた大曲輪貝塚および近接する下内田貝塚の発掘調査の成果は、小栗鉄次郎氏によって報告書にまとめられました。

「大曲輪貝塚」は全国的に有名になり、昭和16年(1941)1月27日に国の史跡に指定されました。名古屋市内では、八幡山古墳、名古屋城跡、大高城跡に続き、4番目の史跡となりました。

最近のスタジアム改築に合わせた調査でも、史跡の東側に状態の良い貝塚が残っていることが判明しました。令和3年(2021)10月11日に134.98平方メートルが史跡に追加指定され、史跡の範囲は合計489.52平方メートルとなりました。

2.貝塚とは

貝塚とは、海辺で暮らしていた人々が、食べ終わった貝殻や魚・動物の骨、壊れた道具などを捨て続けた場所のことです。いわば「大昔のゴミ捨て場」ですが、実はお墓や祈りの道具(土偶)が見つかることもあり、単なるゴミ捨て場以上の「特別な場所」だったのかもしれません。

貝塚から何がわかるの?

みつかった貝殻や骨、道具を詳しく研究すると、当時の人々がどんなものを食べ、どのように暮らしていたのかがわかります。
通常、日本の土は骨などを溶かしやすい性質(酸性)ですが、貝塚では貝殻の成分が土を中和してくれるため、数千年前の骨や道具が、腐らずにきれいな形のまま残っているのです。

この辺りは海だった!

今から約7,000年前頃には、今より温暖で、現在よりも平均海面が2、3m高くなっていたと考えられます。これを「縄文海進」と呼びます。
当時は、瑞穂公園のすぐ西側まで海が広がっており、海の幸に恵まれていました。さらに周りの森にはニホンジカやイノシシなどの動物もいたため、縄文人にとってこの場所はとても暮らしやすく、定住に適した場所だったのです。

3.大曲輪貝塚・大曲輪遺跡からみつかったもの

よみがえるくらし-土器・石器・住居跡

大曲輪貝塚では、おもに縄文時代前期から晩期にかけての土器・石器・骨角器などの遺物や住居跡や墓などの遺構がみつかっています。
この場所が縄文人にとって、何千年も住み続けたくなるほど魅力的な場所だったことがわかります。特に約7,000年前から約3,000年前ごろの住居跡や土器が多く発見されています。

写真:今から約6,000年前の土器です
縄文時代前期の土器片
写真:今から約3,000年前の土器です
縄文時代晩期の土器片

特別なムラの可能性-土偶-

「土偶」は、当時の人々の祈りが込められた道具だと考えられています。
東日本で多くみつかるものですが、大曲輪遺跡からも各時期の土偶が発見されました。あえて壊されたのでしょうか。バラバラの形でみつかることが多いです。

写真:いろいろな形の土偶
見つかった土偶

縄文グルメを解き明かす-貝・魚骨・獣骨-

大曲輪貝塚では、ハイガイ、マガキ、シジミ、ハマグリ、アカニシガイなどの貝殻、アジ、タイ、スズキ、マグロ、アカエイなどの魚骨、二ホンジカ、イノシシなどの動物の骨がみつかっており、狩猟・漁労・採集を主とした人々の食生活と、この土地が様々な生き物をつかまえることができる豊かな自然環境であったことがわかります。

写真:遺跡から見つかった魚や動物の骨
左:魚骨 右:獣骨

犬と過ごした縄文人

昭和55年(1980)の調査で縄文人の骨がみつかり話題になりました。中でも「2号人骨」と呼ばれる男性は身長が162cmほどで、歯を抜く風習(抜歯)を経験した大人だとわかりました。驚くことに、この男性の胸のあたりからは「イヌ」の骨もみつかりました。
 縄文時代、イヌは狩りの相棒として活躍していました。死んだ後も、大切なパートナーとして人間と一緒に丁寧に葬られたのでしょう。

写真:1980年に出土した縄文人の骨です
昭和55年に出土した縄文人の骨(2号人骨)

イラスト:犬と戯れる縄文人

4.整備を終えた 史跡 大曲輪貝塚

写真:おおぐるわ縄文ミュージアムの入り口です
おおぐるわ縄文ミュージアム

令和8年(2026年)アジア・アジアパラ競技大会に向けた瑞穂競技場の整備に合わせ、大曲輪貝塚もきれいに整備されました。

史跡は芝生が広がる広場になり、誰でも利用できます。また、地下に貝塚が確認された範囲にはゴムチップで目印が付けられています。また、史跡の周囲のスロープには「10000年ウォール」と名付けられた壁があり、土器や石器の図面、立体的な模型を見ることができます。

また、大曲輪貝塚・大曲輪遺跡からみつかった本物の資料(教育委員会所蔵)が大曲輪貝塚のそばに新たに作られたガイダンス施設に展示されており、間近で見学することができます。

5.大曲輪遺跡に関するリーフレットや書籍

リーフレット

史跡大曲輪貝塚を紹介するリーフレット類です。現地の見学や学習の機会などにお使いください。

発掘調査報告書

(1から6は市図書館にて閲覧可能で、2・4については市役所西庁舎1階市民情報センターで購入可能、5・6については奈良文化財研究所のサイト「全国文化財総覧」で閲覧可能です)

  1. 名古屋市見晴台考古資料館『瑞穂陸上競技場内 大曲輪遺跡発掘調査概要報告書』(1981年)
  2. 名古屋市教育委員会文化財保護室『文化財調査報告97 埋蔵文化財調査報告書80 大曲輪遺跡』(2018年)
  3. 名古屋市教育委員会文化財保護室『大曲輪遺跡試掘調査概要報告書 平成27・28・30年度および令和元年度試掘調査の概要』(2020年)
  4. 名古屋市教育委員会文化財保護室『文化財調査報告108 埋蔵文化財調査報告書91 大曲輪遺跡(試掘調査)』(2021年)
  5. 名古屋市教育委員会文化財保護課『文化財調査報告116 埋蔵文化財調査報告書99 大曲輪遺跡 ( 令和3・4 年度調査 )』(2024年)
  6. 名古屋市教育委員会文化財保護課『文化財調査報告121 埋蔵文化財調査報告書104 大曲輪遺跡 ( 瑞穂2号墳・大曲輪遺跡 )』(2025年)
  7. 名古屋市教育委員会文化財保護課『文化財調査報告124 埋蔵文化財調査報告書105 大曲輪遺跡 ( 補遺・自然科学分析編 )』(2026年)

整備報告書

 8.名古屋市教育委員会文化財保護課『史跡大曲輪貝塚整備事業報告書 名古屋市瑞穂公園陸上競技場整備等事業』(2026年) 

 

愛知県史・名古屋市史

(9・10は市図書館にて閲覧可能です)

 9.愛知県史編さん委員会「第2章 主要遺跡概説 50大曲輪遺跡」『愛知県史 資料編1 考古1 旧石器・縄文』(2010年)

 10.新修名古屋市史資料編編集委員会「第2章 主要遺跡概説 旧石器・縄文-19大曲輪遺跡」『新修名古屋市史 資料編 考古1』(2008年)

その他の書籍

(11から14は市図書館にて閲覧可能で、13・14については名古屋市博物館で購入可能です)

 11.愛知縣『愛知縣史蹟名勝天然紀念物調査報告 第十九』(1941年)

 12.名古屋市見晴台考古資料館『名古屋の縄文時代 資料集 特別展』(1993年)

 13.名古屋市博物館『愛知の縄文遺跡 名古屋市博物館資料図版目録』(2004年)

 14.名古屋市博物館『平成21年度名古屋市博物館企画展 小栗鉄次郎-戦火から国宝を守った男-』(2009年)

交通案内

地下鉄:地下鉄桜通線「瑞穂運動場西」・地下鉄名城線「瑞穂運動場東」、市バス:金山15・瑞穂巡回「瑞穂グランド」

写真:史跡整備の終わった大曲輪貝塚
大曲輪貝塚(整備後:北東から)

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このページに関するお問い合わせ

教育委員会事務局 生涯学習部 文化財保護課 文化財保存活用担当
電話番号:052-253-9278 ファクス番号:052-253-9217
Eメール:a3268@kyoiku.city.nagoya.lg.jp
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