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平成25年7月に名古屋市立中学校の生徒が転落死した件について、名古屋市立中学校生徒の転落死に係る検証委員会から報告書が提出されましたので公表します。
事例の概要
平成25年7月10日(水曜日)午後3時30分頃、地域住民より「男子生徒が、マンションから落ちたらしい」との連絡が学校に入る。
ほぼ同じころ、母親が、自宅で見つけた自殺をほのめかす内容やいじめが疑われる記述があるノートを持って学校を訪れた。知らせを受け、職員・母親が現場に急行した。
当該生徒は病院に緊急搬送されたが、午後5時ごろ、死亡が確認された。
検証委員
蔭山 英順 日本福祉大学 教授(委員長)
大河内祥晴
川本 健仔 元学校長
窪田 由紀 名古屋大学大学院教授
古井 景 愛知淑徳大学教授
山田万里子 弁護士
検証報告書
検証報告書


検証報告書 概要
1 結論
本件転落死は、犯罪性のない「自死」である。
本生徒Aは、「提出物忘れ」と学級や部活動での「死ね」などの暴言・その他「いじめ」による苦痛が蓄積していた上に、前々日の提出物忘れに対する指導、前日の部活動の「汚い」と言われてばい菌扱いされたことなどが続く中で、7月10日の4時限目から帰りの会にかけて学級内で「死ね」と言われたことに対して、「死ぬわ」と口に出したことで、一気に「死」を現実的な選択肢として捉え、自死に至った。
自死の要因は、これら「提出物忘れ」と「いじめ」である。
なお、当日のAの「死ぬわ」の発言に対して「今日、Aが死ぬんだって。」という趣旨の生徒発言に対して、担任が発言しているが、担任発言を聞いた生徒はいずれも「そんなことを言ってはいけない」という制止の意味と受け止めていた。
2 問題点
(1)学校の組織的対応がなく、「いじめ」に対する理解も不十分であったこと
本校では、個々の教師が生徒の問題行動の対応に追われ、学校全体で方針を共有し連携して取り組むという組織的対応がなされていなかった。
本校生徒の多くが日常的に些細なことで「死ね」と言うことについても、学校ぐるみの取り組みがされていなかった。Aへの「いじめ」については、本校教師の誰もが「ふざけ合い」「ちょっかい」と見ており、「いじめ」と認識しておらず、学校全体として、「いじめ」についての理解と対応も不十分であった。
(2)部活動での「いじめ」が認知されていなかったこと
(3)提出物忘れと評価
Aは、真面目で理解程度が高いのに提出物忘れが多いことを教師から不思議に思われていた。Aは、決まり事に忠実で「提出物はきちんと出さねばならない」という思いが強かったが、いくら忘れまいと思っても、新しい情報が入ることで元の情報が失われてしまい、情報の同時処理が苦手であった。
本校では、学習状況の評価をする教師たちは、「関心・意欲・態度」を評価するファクターとして提出物に重点を置いており、生徒たちは、提出しなければ内申が下がるという共通認識を持っていた。Aも提出物を出すことが評価につながると認識していたが、Aの提出物忘れについて、母親・担任いずれも、Aが決して怠けている訳ではないが、「他の情報が入ることで提出物の存在そのものを忘れる」という理解をしてAを注意・指導したほか、他の教師もAの提出物忘れの多さは気にしていても、その背景にどのような特性があり、解決に向けてどのような手立てが取れるかについて、相互に話し合ったり、スクールカウンセラーに相談したりすることはなく、Aの提出物忘れの背景が正しく理解されないまま、提出物忘れが繰り返され、Aの苦悩を深めることとなった。3 提言
(1)学校の使命と教師の覚悟
学校は、プロとしての自覚と責任を持った者が、職務分担をして、学校の教育目標を達成するために連携・協働する組織である。
子どもの成長保障という役割を果たすために、教職員自ら、相互に、あるいは全体で自らを磨きあげる意識と努力が必要である。
(2)「いじめ防止基本方針」「学校いじめ防止対策委員会(仮称)」への要望
(3)いじめ防止の取り組み
(4)包括的心の健康教育の推進
いじめの未然防止の具体的手立てとして、自他を尊重し、コミュニケーションの能力やストレス対処能力を育む幅広い視点からの心の健康教育の実践が必要であり、基礎的な対人スキルアップ学習、いじめ防止と基礎的な対人スキル、いじめ防止に特化した教育、自殺予防教育の展開が重要である。
(5)スクールカウンセラーの多面的な活用
スクールカウンセラーは、直接関与できる時間が限られているからこそ、予防啓発的な活動を通して生徒全体の心の健康を促進したり、早期に問題を発見・対応することで重篤化を防ぐような活動の意味もより大きく、そうすることで学校全体に互いに支えあう雰囲気が生まれ、健康な生徒たちが重篤な問題を持つ生徒を暖かく見守り、受け入れられることも可能となる。
学級や生徒の実態を把握したり、それに応じたプログラムの選定、指導案や教材作りなどの過程では、専門家としてのスクールカウンセラーの関与が欠かせず、担任とともに、計画段階から関与し、実際の授業実施の際にも学級に入るなど、生徒の直接的支援から学校全体への支援まで行うことで、結果生徒の抱える問題の解決や成長発達の支援に寄与することができる。(6)地域での学習支援
(7)中学2年生の35人学級編制の早期実現
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