2月定例会は、2月19日から3月17日までの28日間にわたって開かれ、令和2年度予算などの市長提出案件83件、議員提出議案5件についての審議などを行いました。
また、市内での新型コロナウイルス感染症に関連する患者の発生・拡大を受け、緊急質問をはじめさまざまな対応を行いました。
2月定例会の日程
2月定例会の日程
月日 |
会議 |
2月19日 |
開会
本会議
市長提出案件について市長より提案説明 |
2月26日 |
本会議 緊急質問・個人質疑 |
2月27日から3月3日 |
常任委員会
令和2年度予算に関係のない案件について審査 |
3月4日から3月9日 |
本会議
代表質問・個人質問
令和2年度予算に関係のない案件について議決など |
3月10日から3月16日 |
常任委員会
令和2年度予算及び関連議案などについて審査 |
3月17日 |
本会議
令和2年度予算及び関連議案などについて議決 閉会 |
新型コロナウイルス感染症への対応として緊急質問などを実施
2月26日の本会議では、急きょ日程を追加して、新型コロナウイルス感染症に関する本市の対応について緊急質問を行いました。
2月26日の本会議では、各会派を代表して、北野よしはる議員(自民)・森ともお議員(民主)・手塚将之議員(減税)・木下優議員(公明)・岡田ゆき子議員(共産)が、「今回の新型コロナウイルス感染症に関する本市の対応」について緊急質問を行いました。これは、東海豪雨災害のあった平成12年以来、約20年ぶりのことです。
緊急質問の主な内容
- デマなどの不正確な情報に対してホームページ等で注意喚起を!
- 高齢者や子どもなどの配慮が必要な方に対し、今後マスクの備蓄を!
- 新型コロナウイルスへの基本方針を打ち出して早急な対応を!
- 休校措置が取られた場合も受験生が不利にならない対応を!
- 局面の変化に合わせて受診目安などの適切な情報提供を!
- 感染拡大防止のために市バスや地下鉄、駅などのアルコール消毒を!
- 市民の安心・安全や感染拡大防止のために検査体制の強化を!
- 市民サービス継続のために職員へのマスク配布や時差出勤の実施を!
- 患者受け入れに協力してくれる医療機関に本市として支援を!
- 医療機関の体制整備のために国や県にも財政措置の要求を!
新型コロナウイルス感染症を受けて追加提出された以下の3件については、いずれも全会一致により原案どおり可決しました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を全市一丸となって防止するための条例
全市一丸となって新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止に向けた取り組みを推進するため、新型コロナウイルス感染症のまん延の防止に関する市・事業者・市民の責務などを定めるものです。
- 市の責務
正しい知識の普及啓発と情報の収集・整理・発信に努める。この場合、感染者などの人権を尊重しなければならない。 - 市民の責務
正しい知識を持ち、感染症拡大の防止に十分に注意を払うよう努める。 - 事業者の責務
正しい知識を持ち、管理する場所での感染症の発生やまん延の防止に努める。
従業員による感染拡大の防止に向け、市が行う情報提供の求めなどが円滑に行われるよう努める。 - 市長は感染が疑われる者に対し、健康状態などの情報提供を求めることや不要不急の外出をしないよう協力を求めることができる。
中小企業の支援に関する補正予算(2件)
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上高などが減少している中小企業の支援として、融資に係る信用保証料のおおむね3年間分を免除するため、名古屋市信用保証協会に対して令和2年度に補助を行うための債務負担行為を設定するものです。
ひとくちコラム 債務負担行為とは?
複数年度にわたる契約の締結などにより、翌年度以降に債務を負う内容をあらかじめ予算で定めておくものです。
このほか、議会の役割を果たしつつも、感染症対応の行政機能を停滞させず、さらなる感染拡大を防止するため、さまざまな対応を行いました。
- 当局・議会ともに新型コロナウイルス感染症への対応に注力していくため、令和2年度予算及び関連議案に係る常任委員会の審査を当初の予定から2日間短縮する日程変更
- 新型コロナウイルス感染症への対応に当たっている職員の負担を軽減するため、本会議における質問時間の短縮や委員会運営に支障のない範囲での出席説明員の調整
- 本会議・委員会におけるアルコール消毒液の配備をはじめとした感染拡大防止策や、3月2日から当分の間の傍聴自粛のお願い など
令和2年度予算を可決(総額2兆7,481億円)
「令和2年度名古屋市一般会計予算」はじめ令和2年度各会計予算18件については、いずれも全会一致または賛成多数により原案どおり可決しました。
「令和2年度名古屋市高速度鉄道事業会計予算」については、全会一致により附帯決議(強い要望・意見)を付して原案どおり可決しました。
成立した令和2年度予算の各区分における主な施策は次のとおりです。(1万円未満は四捨五入しています。)
一般会計
市民の福祉と健康
保育士等の技能・経験に応じた処遇改善… 10億9,993万円
保育士などの確保や就業継続を図るため、民間保育所などにおける職員の処遇改善や国において定められたキャリアパスの仕組みを構築
都市の安全と環境
災害救助基金の設置… 19億円
救助実施市の指定を受けたことに伴い、避難所運営や応急仮設住宅の供与などの応急救助の費用の支弁の財源に充てるため、災害救助基金を設置
市民の教育と文化
ナゴヤ・スクール・イノベーション事業… 9億7,585万円
個別最適化された学びを提供する授業改善の推進やICT環境整備など、子ども一人一人の興味・関心や能力、進度に応じた学習を推進
市街地の整備
未就学児等や高齢者の交通安全緊急対策… 9億2,113万円
未就学児が日常的に移動する経路などへの防護柵等の設置や、保育所・幼稚園などにおける交通安全教育の拡充、高齢者安全運転支援装置の設置助成などを実施
市民の経済
スタートアップ共創促進事業… 5,000万円
コーディネーターの配置と協力企業の認定制度の創設による共創を促す仕組みの構築や既存企業とスタートアップ企業との共創を促進するプログラムを実施
人権と市民サービス
マイナポイントの利用に係る申し込み支援… 1億6,284万円
国が実施する「マイナポイントを活用した消費活性化策」の開始に合わせて、各区役所・支所に申込用の情報端末の設置や申し込みを補助する支援員を配置
特別会計
フレイル対策の推進… 700万円
現在の心身の状態を知り、介護予防に取り組むきっかけづくりを目的としたフレイルテストの実施やフレイルサポーターを養成
公営企業会計
可動式ホーム柵の整備… 55億2,291万円
ホームからの転落などを防止するため、名城線・名港線の可動式ホーム柵の全駅設置や、鶴舞線(庄内緑地公園から平針)の可動式ホーム柵設置に向けた測量を実施
「令和2年度名古屋市高速度鉄道事業会計予算」(公営企業会計)については、自由民主党・名古屋民主・公明党の3会派共同により、次の附帯決議(強い要望・意見)が提出され、3月17日の本会議において採決を行った結果、全会一致により附帯決議を付して原案どおり可決しました。
附帯決議(強い要望・意見)の内容
- 鶴舞線における可動式ホーム柵の整備については、名鉄との共用駅である上小田井駅、赤池駅に関し、名鉄との協議を早急に進めることにより、地下鉄全駅での設置を早期に実現すること。
「令和2年度名古屋市一般会計予算」については、採決に先立ち、日本共産党から反対討論(理由:現下の経済危機にもかかわらず、市民への負担増が押し付けられていること。市民サービスの後退と公共施設の統廃合・民営化が進められていること。リニア開通を前提とする大型事業に前のめりの予算であること。)が行われました。
「歯と口腔の健康づくり推進条例の一部改正について」などの議員提出議案を可決
以下の議員提出議案5件については、いずれも全会一致により原案どおり可決しました。
条例案
歯と口腔の健康づくり推進条例の一部改正について(自由民主党提案)
平成25年3月に議員提案により制定された「歯と口腔の健康づくり推進条例」について、市民のための歯と口腔の健康づくりに関する取り組みをより一層推進し、市民の健康寿命の延伸に資するため、条例を改正し、関連施策の充実を促進しようとするものです。
主な内容
- オーラルフレイル対策に取り組むこと
- 生涯を通じた切れ目のない歯科検診に関すること
- 医科歯科連携・多職種連携に関すること など
ひとくちコラム オーラルフレイルとは?
口腔機能のささいな衰えが生じはじめ、それを放置すると心身の活力低下や要介護状態につながる状態をいいます。
名古屋市会委員会条例の一部改正について
スポーツ市民局が新設され、市民経済局の経済部門が経済局とされることに伴い、総務環境委員会の所管事項にスポーツ市民局を追加し、経済水道委員会の所管事項のうち市民経済局を経済局に変更するものです。
意見書
災害ボランティアへの支援に関する意見書
被災地支援を行うボランティアの負担軽減を図るとともに、誰もがボランティア活動に参加しやすい環境の整備に努めることなどを強く要望するものです。
地域の中小企業への支援充実を求める意見書
中小企業基本法の理念の具体化を図る支援策を充実させ、中小企業が正規雇用をふやすために必要な施策を実施することなどを強く要望するものです。
中高年のひきこもりに対する実効性ある支援と対策を求める意見書
より身近な場所での相談支援を行うため、自立相談支援機関の窓口にアウトリーチ支援員を配置し、信頼関係の構築から同行相談、就労支援といった自立までの一貫した支援等を行うアウトリーチを充実させることなどを強く要望するものです。
意見書の全文は、令和2年2月定例会 可決された意見書でご覧いただけます。