名古屋市公共施設等総合管理計画 概要版 令和4年5月 1ページ 計画策定に当たって(第1章) 計画の目的 本計画は、名古屋市アセットマネジメント推進プランの改定を機に、本市のアセットマネジメントに関する計画等におけるこれまでの取組を踏襲しつつ一部見直しや充実を図る形で、それらの計画等を1つに集約するものであり、公共施設等を健全な状態で維持し、利用される皆様へ安心・安全で適切なサービスを継続的に提供していくために、公共施設等の維持管理・更新等に関する理念を定め、計画的かつ効率的な取組を推進することを目的に策定するものです。 計画体系・対象施設・計画期間等 計画体系・対象施設・計画期間等を次のとおり一覧にしています。 区分 計画体系 内容 ・名古屋市総合計画2023における個別計画に該当 ・国の求める公共施設等総合管理計画に該当 ・本計画に基づいて施設類型ごとの具体的な対策内容等を定めたものを個別施設計画として策定 区分 対象施設 内容 市設建築物(一般施設、学校、市営住宅等)、公共土木施設(道路、河川、公園等)、公営企業施設(上下水道施設、交通事業施設)及び公立大学法人名古屋市立大学の施設並びにそれらの敷地等の土地 区分 計画期間 内容 令和4(2022)年度から令和13(2031)年度までの10年間 (計画期間内であっても必要に応じて内容を見直し) 区分 SDGsとの関係 内容 「持続可能な開発目標(SDGs)」で掲げる17の目標を見据えて、公共施設等の計画的かつ効率的な維持管理・更新等に取り組むことにより、経済・社会・環境が調和した持続可能なまちづくりを推進 【図表1-1】計画体系 計画体系を図で示しています。 2ページから5ページ 公共施設等を取り巻く状況と課題認識(第2章) 公共施設等の状況 ○市設建築物を始めとして多くの公共施設等が人口増加や高度経済成長等に伴う社会的ニーズに対応するために整備されてきた結果、今後更新等の対策が必要となる施設が増加することが見込まれます。 【図表2-1】市設建築物の保有資産量と人口の推移 市設建築物の保有資産量と人口の推移をグラフで示しています。 ○今後更新等の対策が必要となる施設が増加することで、将来の施設整備費が近年の施設整備費を上回ることや施設整備が必要となる時期が集中することが見込まれます。 ○敷地面積に対する延床面積の割合(容積率)について、庁舎や市民利用施設等の多くは法定容積率200%以上の地域に立地していることを考慮すると、土地のさらなる高度利用を図ることができる余地があるといえます。 【図表2-2】土地の有効利用度(令和2年度末時点) 令和2年度末時点の土地の有効利用度を表で示しています。 人口や財政の状況 ○総人口は令和5(2023)年頃をピークに今後は減少に転じますが令和12(2030)年までは微減に留まる見込みです。 【図表2-3】人口の推移と将来推計 人口の推移と将来推計をグラフで示しています。 ○今後総人口に占める老年人口の割合が大きく増加し、生産年齢人口や年少人口の割合が減少するなど、人口構造が大きく変化する見込みです。 【図表2-4】年代別人口と市設建築物の保有資産量の推移 年代別人口と市設建築物の保有資産量の推移をグラフで示しています。 ○歳出では、扶助費の増加等に伴い義務的経費(人件費・扶助費・公債費)の増加が進んでいる状況です。 【図表2-5】一般会計の歳出決算に占める義務的経費の推移 一般会計の歳出決算に占める義務的経費の推移をグラフで示しています。 公共施設等が抱える課題認識 ○更新等の時期を迎える公共施設等が増加し、その時期が集中することも見込まれる中、個々の施設に応じた長寿命化等に向けた維持管理・更新を計画的かつ効率的に進めること。 ○近い将来おとずれる人口減少や人口構造の変化に伴う社会的ニーズの変化等に対応し、適正な施設機能を確保すること。 ○歳出において義務的経費が増加している中、投資的経費の増加も見込まれることから、将来に向けてさらなる経費の抑制と平準化を図ること。また、土地の状況や施設の機能に応じて土地の高度利用を進めることで余剰地を創出するなど、有効活用により財源確保を図ること。 これまでの取組の振り返り 平成21年3月に策定した「名古屋市アセットマネジメント基本方針」で掲げた公共施設等の計画的かつ効率的な維持管理・更新、安心・安全で適切なサービスの提供といった理念に基づき進めてきた取組の中で、主なものである「施設の長寿命化」、「施設の再編整備」及び「保有資産の有効活用等」の3つの取組と「個別施設計画の策定」について振り返ります。 【図表2-6】これまでの取組と課題 これまでの取組と課題を次のとおり一覧にしています。 取組 施設の長寿命化 詳細 ○長寿命化改修の推進(主に建築物) ○予防保全の推進(主に土木構造物) 課題 今後更新等が必要となる施設が増えるためこれまで以上に計画的かつ効率的に施設の長寿命化に取り組むこと 取組 施設の再編整備 詳細 ○再編整備モデル事業 ・学校を中心とした地域コミュニティ拠点の整備モデル ・民間活力活用モデル ・周辺施設の集約化等による複合施設整備モデル 課題 再編整備の取組を加速させるために、社会的ニーズの変化を的確に捉え、施設の特性等に応じた取組を進めることに加えて、施設の再編整備により生じる余剰資産について具体的な有効活用の検討を進めること 取組 保有資産の有効活用等 詳細 ○土地の売却・貸付 ○建物の貸付 ○用途転用 ○ネーミングライツ、企画提案型広告、公募設置管理制度(Park-PFI) ○土地の取得の抑制 課題 民間活力をより積極的に活用し、民間の持つノウハウ等をさらに取り入れるために公民連携を全庁的に進めること 取組 個別施設計画の策定 詳細 ○中長期の取組の見通しを施設類型ごとに記載 ○令和2年度末までに概ね全ての施設で策定済 課題 施設の長寿命化等を計画的かつ効率的に進めていくために施設の現状等を踏まえて計画を適切に更新していくこと その他の課題認識 ○新型コロナウイルス感染症対策等の影響 ○SDGs(持続可能な開発目標)等への対応 6ページ 基本理念(第3章) 今後も公共施設等の安心・安全で適切なサービスを継続的に提供するために、第2章で認識した課題解決に向けた理念等を以下のように掲げます。 基本理念 T 安心・安全な公共施設等の維持管理・更新  適切な点検により現状を把握し、計画的かつ効率的な維持管理・更新を行うことで、公共施設等を安心・安全に保ちます。  個別施設計画等により、将来の見通しを把握し、より合理的な整備を実施できるように計画の進捗管理・見直しを続けていきます。 U 社会的ニーズに対応した公共サービスの提供  公共施設等は、一度整備をすると世代を超えて長期間利用されるため、持続可能な開発目標(SDGs)の達成、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う感染症対策の観点といった新たな社会的ニーズを始めとして、今後の人口減少、人口構造の変化に伴い時代とともに変化する社会的ニーズを的確に捉えることが重要です。  各種施策(将来のまちづくり、強靱化対策や避難所の環境整備を始めとした防災・減災対策、ユニバーサルデザインの導入、環境配慮など)とも連携し、施設の配置や整備を検討するなど、長期間にわたり効果的に利用される公共サービスの提供を目指します。 V 継続的かつ持続可能なコスト管理  これまでは、経済成長・人口増加等の社会情勢によって必要となった公共施設等を順次整備してきましたが、今後は更新時期を迎える多くの公共施設等について、限られた財源の中で維持管理・更新等していくための長期的なコスト管理が必要です。  また、保有する資産を有効に活用し、財源確保を図っていくことも必要です。  今後の更新需要に対応するため、既存施設の長寿命化や施設の再編整備に取り組み、かつ、保有資産の有効活用等を図ることで、財政負担の抑制・平準化や財源確保を図ります。 本計画では、基本理念を念頭にこれまでもアセットマネジメントとして取り組んできた ・施設の長寿命化 ・施設の再編整備 ・保有資産の有効活用等 の3つの取組について、より一層進めることにより、計画的かつ効率的な維持管理・更新等を推進します。 7ページから18ページ 施設類型ごとの取組(第4章) 各施設共通 -基本的な事項- 公共施設等については、施設類型ごとにその特性に応じて取組は異なりますが、ここでは各施設類型に共通する基本的な事項を整理します。 @点検・診断等の実施 ○点検・診断等の着実な実施による公共施設等の状態の的確な把握 A維持管理・更新等の実施 ○点検・診断等を踏まえた適切な維持管理・更新等 B安全確保の実施 ○点検で得られた情報等を踏まえた必要な対策等の実施 ○利用見込みのない建物等の除却等 C耐震化等の実施 ○耐震対策や災害に備えた整備等 D長寿命化の実施 ○計画的かつ効率的な機能回復 ○社会的ニーズに応じた機能向上 Eユニバーサルデザイン化等の実施 ○ユニバーサルデザインの導入等の社会的ニーズを満たす整備 F環境配慮の実施 ○高効率な省エネルギー設備への更新 ○断熱性能の向上 ○太陽光発電などの新エネルギーの積極的な導入 G統合や廃止の推進 ○施設の規模の見直し ○機能の統合、集約化・複合化、用途転用、廃止等 H保有資産の有効活用や処分の推進等 ○既存の公共施設等や土地の有効活用 ○土地取得の抑制 ○未利用資産の処分 I民間活力活用 ○公共施設等の運営、維持管理・更新等における民間企業等の持つ経営能力や技術的能力などの積極的な活用(PPP/PFI) J情報等の収集・蓄積、活用 ○点検・診断等の結果や維持管理・更新等の対策の過程で得られた情報やノウハウ等の収集・蓄積、活用 市設建築物の取組 市設建築物の大部分は、鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートで造られているものの、一般施設、学校、市営住宅等の施設類型ごとで施設の仕様や機能面に違いがあります。 しかしながら、一般施設、学校、市営住宅等のいずれも、築40年を超える施設が今後ますます増えてくる等の課題は概ね共通しており、経費の抑制と平準化を図るとともに社会的ニーズに対応するために施設の長寿命化や再編整備等の取組を進めていく必要があります。 こうしたことから市設建築物としての共通的な考え方をもとに、個別施設計画も踏まえて一般施設、学校、市営住宅等の施設類型ごとの特性に応じた適切な取組により、計画的かつ効率的な維持管理・更新等を進めます。 1 施設の長寿命化 施設の長寿命化に当たっては、原則として概ね80年建物を使用することを目標に長寿命化を進めます。 @適切な維持管理の実施 ○日常的な点検や建築基準法に基づく定期点検等の実施 ○点検等を踏まえた経常的な保守や補修の実施 A計画的かつ効率的な改修等の実施 ○設備や外壁等の計画的な改修等の実施 (なお、改修等の実施時期が近いものについてはまとめて効率的に実施) ○構造体耐久性調査の実施 (原則として概ね築40年程度が経過した施設について、改修等の検討を行う際には構造体が今後どの程度使用することができるのか確認) 【図表4-1】長寿命化による維持管理・更新等の概念 長寿命化による維持管理・更新等の概念を図で示しています。 【図表4-2】施設別改修等の取組内容 施設別改修等の取組内容を次のとおり一覧にしています。 施設 一般施設 内容 個々の施設の状況等に応じた整備手法により長寿命化を進めます。 ○標準的な周期で改修する整備手法 ・リニューアル改修 概ね築40年を経過した施設に対して実施する大規模な改修 ・メンテナンス改修 概ね築20年又は築60年を経過した施設に対して実施する中規模な改修 ・部分改修 長期の休館を伴う改修が困難な場合などにリニューアル改修やメンテナンス改修に替えて行う小規模な改修 ○劣化状況に応じて修繕する整備手法 ・機能保全 施設の重要度や劣化状況に応じて部位・設備単位で実施する修繕 施設 学校 内容 建築年度に応じたグループごとに適切な改修を組み合わせて実施します。 ○リニューアル改修 屋根防水や外壁、内装の一体的な改修とともに、受変電設備や受水槽、埋設給排水管などの更新や、社会的ニーズに対応するための機能向上などを図る改修 ○保全改修 機能回復を図るための屋根防水や外壁などの一体的な改修 ○設備改修 受変電設備、受水槽、埋設給排水管など、特に老朽化した設備機器に特化した改修 建築年度に応じたグループごとの適切な改修の組み合わせの例示を図で示しています。 施設 市営住宅等 内容 長寿命化に資する予防保全的な管理や改善を計画的に推進します。 ○計画修繕 外装、屋根防水、屋内排水管、屋内給水管、エレベーター等を対象とした計画的に行う修繕 ○改善 安全性確保、福祉対応、居住性向上を目的とした機能向上を図る改修 2 施設の再編整備 保有資産量の適正化に向けて施設の再編整備を推進します。推進に当たっては、保有資産量の適正化が単なる廃止や削減ではなく、様々な工夫により多くの市民の方がサービスの納得感や充実感を得られるようなものとなるよう、必要なサービスは確保しつつ、長期的な視点に立って効率的な再編(集約化・複合化等)・再配置を行い、運営面などを工夫することにより、市民サービスの維持・向上を目指して施設の再編整備に取り組みます。 @適正な保有資産量 ○人口動向や財政状況等を踏まえて現在において見込まれる令和32(2050)年度時点の適正な水準に向け、個別施設計画に基づいて施設類型(一般施設、学校、市営住宅等)ごとに取り組んでいきます。 ○適正な水準は変動し得ることから、必要に応じて適正な保有資産量の見込みを更新しながら推進していきます。 【図表4-3】保有資産量の見込み 保有資産量の見込を次のとおり一覧にしています。 区分 一般施設 個別施設計画に基づく基準年度(※1) 272万u 令和32(2050)年度 251万u(※2) 差引(減少率) マイナス21万u(マイナス8%) 区分 学校 個別施設計画に基づく基準年度(※1) 267万u 令和32(2050)年度 203万u〜218万u(※3) 差引(減少率) マイナス49万u〜マイナス64万u(マイナス19%〜マイナス24%) 区分 市営住宅等 個別施設計画に基づく基準年度(※1) 63,000戸 令和32(2050)年度 55,000戸(※4) 差引(減少率) マイナス8,000戸(マイナス13%) (※1)一般施設は「名古屋市市設建築物の個別施設計画(一般施設編)」、学校は「名古屋市学校施設リフレッシュプラン」、市営住宅等は「名古屋市営住宅等アセットマネジメント実施方針」で試算・推計したものであり、それぞれの基準年度について、一般施設は令和元年度、学校は平成28年度、市営住宅等は平成27年度です。 (※2)一般施設は今後の人口動向や財政状況等の変化を踏まえ、必要に応じて適正な水準について見直しを検討します。 (※3)学校は今後少人数学級を拡大する学級編制基準の見直し等の状況変化を踏まえ、必要に応じて適正な水準について見直しを検討します。 なお、学校施設リフレッシュプラン作成時の児童数を基に小学校の学級編制基準を35人(第1学年及び第2学年は原則30人)とした場合、学級数の増加による必要教室数の増加や小規模校の減少等が見込まれることにより保有資産量は6万〜7万u程度の増加が見込まれます。 (※4)市営住宅等は、市内の人口・世帯数の推移や住宅確保要配慮者の増減、各種事業の実施状況などの状況変化を踏まえ、定期的に名古屋市営住宅等アセットマネジメント実施方針を見直すこととしています。 【試算・推計の考え方】 一般施設:将来の施設整備費が近年の施設整備費以内となる保有資産量及び将来の人口推計を加味した保有資産量を推計 学校:将来の施設整備費が近年の施設整備費以内となる保有資産量を推計 市営住宅等:目標年度までの将来人口・世帯数をもとに著しい困窮年収未満の世帯の数を推計したうえで、それら世帯に対する民間賃貸住宅等の活用、県営住宅による対応などを総合的に勘案して推計 A再編整備の取組方針 ○施設の更新(建替)に当たっては再編整備を基本とします。 ○類似・重複した機能を統合する「機能重視」の視点による再編を促進します。 ○長期的な視点から必要なサービスを整理し、将来のまちづくりを見据えた施設の再編・再配置を図ります。 ○再編整備に合わせて、民間活力活用の促進や施設の運営・管理の一元化、民営化等による本市が資産を保有しない行政への転換など、施設運営の効率化を図ります。 ○再編整備の実施によって得られたノウハウ等を全庁的に共有し、活用することで、施設の再編整備の更なる促進を図ります。 B再編整備に伴い用途廃止される資産の活用 ○従前の用途が廃止される資産の有効活用について検討します。 ○売却や貸付などによる収入を基金(アセットマネジメント基金・名古屋市営住宅等管理運営等基金)に積み立てることで、将来の施設整備費の財源として活用します。 【図表4-4】施設別再編整備の取組内容 施設別再編整備の取組内容を次のとおり一覧にしています。 施設 一般施設 内容 ○再編整備の加速化に向けた取組 ・施設の現状を客観的に示す指標の整備 −資産評価− 建物・土地といった資産面から施設を評価する「資産評価」により、施設の現状を客観的に把握分析します。 ・「資産評価」を踏まえた再編・再配置 大規模な施設整備を検討する際に、資産評価を踏まえ、事業施策の観点やまちづくりの観点、施設の必要性・効果性・効率性の観点、立地環境の観点などからも総合的に検討したうえで、施設整備の方向性を決定し、再編・再配置を図ります。 ○効率的な再編に向けた取組 ・類似・重複機能の統合 事業目的は異なるものの、利用実態が似通っている機能(集会室、和室、会議室など)を有する施設については、実態を踏まえて類似・重複機能の統合を図ります。 ・1区1館施設の集約化・複合化 1区1館施設の更新(建替)に当たっては、類似・重複機能を有する施設との集約化・複合化による機能統合を図ります。 また、施設の持つ機能性を重視し、適切な連携・補完による市全体としてのサービス向上を図ることができる配置・規模の検討とともに、交通利便性の高い駅そば生活圏への再配置などを図ります。 ○余剰土地の有効活用 再編整備により生じた余剰土地を有効活用し、他の再編用地としての活用や財源の確保等を図ります。 施設 学校 内容 ○望ましい学校規模の確保 少子化が進む社会状況の中、小規模校が増加していることから、学校の統合等により望ましい学校規模を確保することにより教育環境の改善を進めます。 ○地域コミュニティの拠点形成 地域住民にとって最も身近な施設である学校施設の複合化整備に当たっては、地域コミュニティ関連施設、交通弱者の利用が多いと見込まれる老人福祉施設や子育て支援施設などと複合化を図ることで学校を地域コミュニティの拠点と位置づけた再編整備を進めます。 ○統合後の資産の有効活用 統合後に使用しなくなった校舎や敷地の有効活用に当たっては、相当程度の面積を有することから、例えば防災拠点など地域に必要となる部分について十分に調整を図ったうえで、有効活用を図ります。 ○学校施設の有効活用 今後、少子化の進行により児童生徒数の減少が見込まれることから、余裕教室については、他用途への転用など幅広い視点での有効活用を進めます。 施設 市営住宅等 ○総量(管理戸数)の見直し 中長期的な市営住宅等の需要見通しに基づいて、著しい困窮年収未満の世帯に対する民間賃貸住宅等の活用や県営住宅による対応などを総合的に勘案し、必要な将来ストック量(目標管理戸数)を設定します。また、市内の人口・世帯数の推移や住宅確保要配慮者の増減、各種事業の実施状況などの状況変化を踏まえて名古屋市営住宅等アセットマネジメント実施方針を見直す際には、目標管理戸数についても検討します。 ○建替により生じた余剰土地の有効活用 市営住宅等の各団地の状況に応じた適正規模の建替を進めるとともに、団地の再編についても検討し、余剰土地についてはその有効活用を図ります。 ○持続可能で安定的な管理運営 住宅セーフティネットの中心的な役割を担う市営住宅等について、適切な維持管理・更新を計画的に行うとともに、「名古屋市営住宅等管理運営等基金」を活用するなど、将来にわたり持続可能で安定的な管理運営を図ります。 公共土木施設の取組 公共土木施設は、道路・河川・公園等多種多様な施設が存在することから、施設ごとに策定した個別施設計画に基づき計画的な調査・点検を実施し、損傷が深刻化する前に補修を行う「予防保全型維持管理」により施設の長寿命化に取り組むとともに、調査・点検結果や補修履歴のデータベース化を進め、更新や廃止を含めた計画的な維持管理・更新に活用していきます。 また、策定済みの個別施設計画についても、施設の点検結果や利用状況、社会情勢の変化等により、個別施設ごとの対応方針も変化していくことから、対応方針の見直しを含めて、個別施設計画の定期的な更新に努めます。 このほか、一部の施設では、構造的に長寿命化が困難なものや、交通事故、建築工事などの影響により破損するものもあり、このような施設については、日常点検や市民の皆様からの通報等により、施設の異常な状態を発見した後に利用停止措置や修繕を行うなど、施設の特性に応じた適切な維持管理・更新を実施していきます。 施設の維持管理・更新に当たっては、施設の老朽化による施設の利用停止、人身及び物損事故並びに浸水被害などの2次災害を防ぐように安全確保を行います。また、大規模地震発生時に機能や安全性を確保するため、耐震対策が必要な施設に対して計画的に耐震対策を実施していきます。 さらに、社会情勢や周辺状況の変化等に伴い、役割を終えたと思われる施設については撤去の検討を実施し、供用を廃止した施設については、安全確保の観点から撤去を推進していきます。 【図表4-5】公共土木施設の取組 公共土木施設の取組を次のとおり一覧にしています。 区分 道路橋 内容 すべての道路橋について、桁や床版などすべての部材を定期的に点検し、橋の状態(健全性)を把握することで、損傷が軽微な段階で補修する「予防保全型維持管理」により、長寿命化を図ります。 区分 横断歩道橋 内容 すべての横断歩道橋について、桁や床版などすべての部材を定期的に点検し、横断歩道橋の状態(健全性)を把握することで、損傷が軽微な段階で補修する「予防保全型維持管理」により、長寿命化を図ります。 区分 大型標識等 内容 すべての標識について、柱や梁などすべての部材を定期的に点検し、大型標識等の状態(健全性)を把握することで、損傷が軽微な段階で補修する「予防保全型維持管理」により、長寿命化を図ります。 区分 大型カルバート 内容 すべての大型カルバートについて、頂版、側壁などすべての部材を定期的に点検し、大型カルバートの状態(健全性)を把握することで、損傷が軽微な段階で補修する「予防保全型維持管理」により、長寿命化を図ります。 区分 トンネル 内容 トンネルのすべての部材について、近接目視による点検を実施し、トンネルの状態(健全性)を把握することで軌道の運行に支障の無いよう、損傷が軽微な段階で補修を行い、長寿命化を図ります。 区分 車道舗装 内容 舗装の状態調査を計画的に実施し、初期のひび割れに対して、アスファルト材等の注入を行う「目地補修」、必要時に「切削オーバーレイ」をそれぞれ実施し表層管理を徹底します。これにより、ひび割れからの水の浸入を防ぎ、路盤を損傷から守ることで、舗装の長寿命化を図ります。 区分 道路照明 内容 塗装仕様の幹線道路照明は更新に併せて亜鉛メッキ仕様に変更することで、腐食を抑制し長寿命化を図ります。亜鉛メッキ仕様の道路照明については、点検に基づき計画的に塗り替えを実施することで、鋼材劣化を防ぎ、長寿命化を図ります。 区分 街路樹 内容 街路樹の巡視・点検及び診断等によって異常の早期発見に努め、事故を未然に防止するとともに、道路空間との調和を図り、果たすべき機能や役割が発揮できる健全な街路樹として更新、撤去、保全・育成を図ることで持続可能な維持管理を進めます。 区分 自転車駐車場 自転車駐車場等 内容 躯体(地下施設、橋りょう)においては、定期的に点検を実施し、健全性を把握することで、損傷が軽微な段階で補修する「予防保全型維持管理」により、長寿命化を図ります。設備については、定期的な点検や日常の維持管理により、設備の状況を把握し、利用者の安全を確保し、長期の利用停止など多大な影響を及ぼさないよう更新を行っていきます。 区分 河川 内容 河川巡視、点検を行い、その結果を分析・評価して適切な時期に維持・修繕を着実かつ効果的かつ効率的に実施することで状態監視保全による長寿命化を図ります。 区分 ポンプ施設 内容 計画的な点検によりポンプ設備の状態を把握し、適時適切な整備を行うことで、大規模な損傷を防ぐ「予防保全型維持管理」を実施しています。 区分 排水路 内容 管路内部の計画的な点検・調査を実施し、路面調査では発見できない軽微な段階での損傷を把握し計画的に補修を行う「予防保全型維持管理」を実施することで、劣化の進行を抑制し長寿命化を図ります。 区分 貯留施設(ため池・雨水貯留施設) 内容 定期的な巡視、点検により、早期に変状を発見し、結果を分析して適切な時期に維持・修繕を実施することで長寿命化を図ります。 区分 公園施設 内容 計画的・定期的な点検により施設の損傷を早期に発見し、損傷が軽微な段階で補修を実施することで長寿命化を図るとともに、必要な場合は迅速に使用禁止などの措置により安全確保に努めます。 また、施設を更新する際には、使用材料や構造に工夫を重ねることで更新後の施設をより長期間使用できるようにし、長寿命化を図ります。 上下水道施設の取組 上下水道施設は、浄水場・水処理センター・ポンプ所や配水管・下水管などの管路等によって構成されており、計画的な改築・更新や適切な維持管理により、施設全体の健全性を保つ取組を進めます。併せて、地震対策や浸水対策、環境保全への取組などと整合を図りながら改築・更新を進めることで効率的に機能向上に取り組みます。 1 施設の長寿命化 施設の改築・更新を計画的に進めるために、上下水道システム全体の最適化を見据えた長期的な将来像の検討と改築・更新需要の把握を行ったうえで取り組みます。 ○これまでの使用実績や調査研究結果、技術的知見、施設の特性などから、施設の改築・更新時期の目安として目標耐用年数を定めるとともに、劣化予測により将来的な施設の状態を推測することで改築・更新時期を把握します。 ○長期的な視点に立ってアセットマネジメントの取組を進めながら、事業費の抑制に努めます。 ○施設の耐震化などを考慮した改築・更新時期の前倒しや、耐震補強や予防保全の実施などによるさらなる長寿命化により改築・更新事業の平準化を図ります。 【図表4-6】長期的な視点に立った改築・更新のイメージ 長期的な視点に立った改築・更新のイメージを図で示しています。 2 施設の再編整備 施設の改築や業務執行体制の効率化に合わせて、集約化について検討するとともに、多様な官民連携手法を導入することにより民間事業者の技術・ノウハウを効果的に活用します。 ○水処理センターの再構築 現在15か所ある水処理センターを4つのグループに分けて再構築を図り、グループ内の集約化を検討します。 ○空見スラッジリサイクルセンター第2期施設(焼却施設)の整備 汚泥処理施設の集約化の一環として、老朽化した汚泥処理施設の代替措置である空見スラッジリサイクルセンター第2期施設(焼却施設)の整備をPPP/PFIの手法により実施します。 ○上下水道局営業所の方面別再編 市内各区16か所に設置していた営業所を4方面別の営業センター体制に順次再編します。 交通事業施設の取組 交通事業施設は、バス事業ではバス車両のほか、営業所、バスターミナルなどの施設を管理し、地下鉄事業では電車車両のほか、地下鉄のトンネルなどの土木施設並びに駅出入口、車庫、変電所などの建築施設及び信号設備、防災設備、自動改札機など、多数の設備を管理しています。 施設の維持管理・更新に当たっては、対象施設をその特性に応じA型、B型、C型に分け効率的な維持管理・更新を実践します。 そのほか、建築物の更新等の機会を捉えて、施設の複合化について検討します。また、公民連携の促進により民間企業等の持つ資金、ノウハウ等の活用を検討します。 【図表4-7】維持管理手法 維持管理手法を次のとおり一覧にしています。 区分 A型 予防維持管理型 維持管理手法 劣化が顕在化する前に対応 対象施設 土木構造物(トンネル、高架構造物) 建築構造物(バス営業所、車両工場・車庫、変電所、地下鉄駅出入口など) 区分 B型 点検維持管理型 維持管理手法 点検により劣化・損傷を確認し対応 対象施設 軌道(レール)、変電機器、電線路設備、信号・通信設備 建築内外装 建築物及び地下鉄駅に付帯する建築設備 駅務機器 バス・地下鉄車両 区分 C型 観察維持管理型 維持管理手法 機能の管理限界時などに取替え・更新 対象施設 A、B型以外の対象施設で、経常的な費用で対応する施設 各区分の対策実施時期と管理水準のイメージを図で示しています。 各施設共通の取組 -保有資産の有効活用等- 本市が保有する土地や建物等の資産は市民の貴重な共有財産です。これらを利活用がなされないままに保有し続け、維持管理費用の支出だけが積み重なっていくことはあってはなりません。再編整備の取組を通じた公共施設等の跡地の発生等を見据えたうえで、保有資産が未利用・低利用とならないよう、時代や地域のニーズに合わせて戦略的に管理・活用する必要があります。 1 保有資産の有効活用 ○市が保有する資産のうち、余剰となった資産については、将来的な本市としての活用見込みや資産価値などを踏まえて、民間への売却や一時貸付を始めとした活用方策を検討し、市の財源確保や維持管理経費の削減を図る取組を進めます。 ○資産の活用を円滑に推進していくために、資産活用の方向性を統一的に判断できる基準を設け、機動的かつ戦略的な余剰資産の活用に取り組みます。 【図表4-8】保有資産の有効活用の取組 保有資産の有効活用の取組を次のとおり一覧にしています。 項目 土地の売却・貸付 取組の内容 将来的に本市としての活用見込みがない土地は、売却を進めます。 また、将来の活用が見込まれる等今後も保有し続けるものは、可能な期間での貸付を行います。 項目 建物の貸付 取組の内容 既存施設の余剰スペースについては、貸付により活用を図ります。 項目 用途転用 取組の内容 用途廃止や統廃合・集約化による移転後の空き施設は、用途転用により、公的利用及び民間等による活用を図ります。 2 公民連携の推進(広告事業、ネーミングライツ等) ○広告事業やネーミングライツの導入等の取組を進めます。 ○民間の資金やノウハウの活用により低廉かつ良質な行政サービスの提供ができるよう公共施設等におけるPPP/PFIの導入を進めます。 ○行政と民間が共同して新たな事業機会の創出や行政課題の解決に取り組むため、民間からの提案を一元的に受け付ける窓口の整備に向けた検討を進めているところです。 【図表4-9】公民連携の主な取組 公民連携の主な取組を次のとおり一覧にしています。 項目 ネーミングライツ 取組の内容 本市が保有する施設等に対して愛称を付ける権利(命名権)を売却するもの 項目 企画提案型広告 取組の内容 本市の資産について民間企業等からの企画提案により、広告媒体として活用するもの 項目 公募設置管理制度(Park-PFI) 取組の内容 都市公園において、飲食店、売店等の設置・管理を行い、その収益を活用して周辺の園路、広場等の整備を一体的に行う民間事業者を公募により選定する制度 3 土地の取得の抑制 ○事業を実施するに当たり、土地を取得しなければならない場合がありますが、まずは、保有資産の利活用や借地を始めとした土地を取得しない事業実施を検討することで、土地の取得の抑制に取り組むこととしています。 19ページ 計画の推進に向けて(第5章) 組織体制 本計画を推進するに当たっては、アセットマネジメント推進部門、施設所管部門及び営繕部門が密接に連携し、本市一丸となって取り組みます。 そのために、各局室の局長級で構成されるアセットマネジメント推進委員会や公有財産運用協議会を通じた協議・調整及び意思決定を行い、全庁横断的に取組を進めます。 情報開示と市民協働 持続可能で健全な施設の維持管理・更新等の検討を行うに当たっては、市民と行政が施設に関する情報と問題意識を共有することが重要です。市民と行政が問題意識を共有し、将来の公共施設等のあるべき姿について幅広い議論を進めるために、施設に関する情報を可能な限り開示するよう努めます。 また、施設の再編整備等を進めるに当たっては、老朽化の度合いや利用状況等を見ながら進めていくこととなりますが、市民生活への影響が大きい施設では、市民との協働により進めていくことが重要です。ワークショップや市民シンポジウムの開催等、様々な機会をとらえた市民参画が行われるよう十分配慮しながら進めていきます。 進捗管理 本計画の進捗管理に当たっては、本計画に基づき施設類型ごとに策定された個別施設計画を基に取組を進め、事業の進捗や社会情勢の変化などにより、適宜個別施設計画の更新や取組の見直しを行う等、所管部門において適切に個別施設計画を進捗管理するとともに、全庁的に情報共有を行い、それぞれの取組にも生かしていきます。 そのうえで、PDCAサイクルを活用することで、定期的に取組の検証を行いながら、取組内容等をより一層充実させるように努めていきます。 名古屋市公共施設等総合管理計画(概要版) 名古屋市財政局財政部資産経営戦略室 住所 名古屋市中区三の丸三丁目1番1号 電話 052−972−2338 FAX 052−972−4122 電子メール a2338@zaisei.city.nagoya.lg.jp