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資料3

〇骨子案作成に向けた意見聴取の進め方について
≪以下は枠で囲われた中に記載≫
人権に関する条例制定へ向けて人権全般についてご意見をうかがいます
(例)
・条例がめざすべき社会
・条例の基本理念
・条例で禁止する差別等
・差別等への対応策
・差別を解消していくための基本的な取り組み
など
≪枠内への記載ここまで≫
↓
(各意見を条例形式に整理し骨子案作成・次回提示します)


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【参考①】
〇人権に関する条例制定に向けた提言
「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証について(最終報告)より抜すい(43~44頁)

実効性のある人権条例の制定

現在、市には、特定分野の人権尊重に関する条例(男女平等参画推進なごや条例、なごや子どもの権利条例、障害者差別解消推進条例など)があるが、人権課題には様々なものがあり、さらにその複合性に鑑み、それら諸条例を補完し、本市の人権尊重の根幹となる包括的で実効性のある人権条例の制定を求めたい。
さらに、検証委員会としては、名古屋市が、我が国における人権尊重のまちづくりの先頭に立ち、他都市をリードし全国水準を高めていく「人権施策先導都市」となることを目指して、一歩も二歩も踏み込んだものとすべきであると考え、以下に方向性を示す。

(基本的考え方)
・差別は、単なる個人の意識の問題のみではなく、多数派にとって優位な社会構造から発生し、無自覚であることの問題も大きい。このことから、社会構造的差別を含むあらゆる差別の根絶を目指すとともに、そうした差別や様々な人権課題を認識し対応できるよう職員の高い人権意識・人権感覚を養成し、また、広く市民に向けた人権教育・啓発等を通じて、人権文化を確立すること。

(体制の方向性)
・行政として、あらゆる人権侵害から市民を守る必要があることから、既存の相談窓口では対応できないような差別事案(複合差別を含む)についても漏れなく対応し、単なる助言にとどまらず関係団体等と連携協力しながら解決につなげられるようにしていくこと。
・人権侵害に関する相談機関での解決が困難な場合や、市が人権侵害の主体である場合に、市民にとっては裁判など煩雑な手続を避け、やむをえず受忍することも考えられる。このことから、解決困難事例や、市の施策に対して人権上の疑義が生じている場合に、市から独立した立場で調査し、市へ必要な提言ができる権限を有した専門機関の設置を検討すること。
・人権に関する相談や調査にあたっては、当該人権に関する当事者視点を取り入れることができるような仕組みの構築に努めること。
・人権施策の重要性を十分に踏まえて、人権施策の検討・実施に必要な予算と人員を確保するように努めること。


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(取組みの方向性)
・社会に根付いた差別の解消は、一朝一夕には解消しない。このことから、人権が尊重され、差別のない社会に向けて、子どもの頃からの人権教育の重要性を認識し、ライフステージに応じた人権教育・啓発を実施し、人権意識や人権感覚を育成し、人権文化の確立に取り組むこと。

・市職員には、特に高い人権意識や人権感覚(適正手続の保障等のリーガルマインドを含む。)が強く求められるため、そのための市職員に対する研修制度を拡充・充実すること。
・市民が日常生活・社会生活を送るうえでは、行政に限らず、さまざまな事業者や地域社会との関わりも深い。このことから、事業者や地域社会における人権尊重の取組みへの支援を含めて、地域が一体となって人権尊重のまちづくりに資する内容を検討すること。
・インクルーシブ社会の実現のために、多様性を認め合い包摂することが組織の機能を向上させることを示すとともに、そうした視点に基づく実践を共有・発信するプラットフォームの構築を検討すること。
・誤った情報や不十分な情報によって偏見や差別が助長され、人権侵害につながることがある。このことから、人権の視点での情報の質の保障を含めた内容を検討すること。また、情報の質の保障については、情報の受け手が情報を入手し理解できるものにすることも含めて検討すること。
・インターネットやSNSには、匿名性を悪用した誹謗中傷や差別を助長するような表現の掲載がなされ、拡大・拡散される悪質な事例も散見されており、今回の名古屋城の件でも発生していた。このことから、インターネット上での不当な差別的言動による人権侵害へ対応できる内容を検討すること。
・市や職員が直接的に差別をしないことはもちろんのこと、間接的にも差別に関与することがないよう努める必要がある。このことから、市の施設や公共の場等での差別的言動への予防や対応に関する内容の検討を行うこと。


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【参考②】
『「人間性豊かなまち・名古屋」をめざして』の宣言
公告
『「人間性豊かなまち・名古屋」をめざして』を次のように宣言する。
平成10年5月1日 名古屋市長
「人間性豊かなまち・名古屋」をめざして ~世界人権宣言採択50周年にのぞみ~
基本的人権の尊重は、日本国憲法の基本理念であり、名古屋市においても、まちづくりの基本理念に人間性の尊重を掲げ、これまでも様々な施策を行ってきました。しかしながら、人権については未だ多くの議論がなされ、時代とともに新たな課題も生じています。
本年は、国連総会で世界人権宣言が採択されて50周年の節目にあたります。
人権の世紀とも言うべき21世紀を間近にひかえ、一人ひとりの人権に対する意識をより一層高めることが求められています。
世界人権宣言は「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」とうたっています。このことを改めて確認し、名古屋市基本構想に掲げる「人間性豊かなまち」をめざして、市民とともに、人権が尊重され差別や偏見がない地域社会の実現に、たゆむことなく努力をつづけていくことをここに宣言します。


なごや人権施策基本方針 第2章
1 基本理念
市民一人ひとりの人権が尊重され、差別や偏見がない人権感覚にすぐれた「人間性豊かなまち・名古屋」の実現をめざします。

2 基本的な視点
(1)一人ひとりが大切にされるまちづくり
誰もが自分らしく生きるためには、それぞれの個性や能力が尊重され、一人ひとりが主体的に自らの生き方を選択することができることが重要です。
一人ひとりの人権が尊重され互いに人間としての尊厳を認めあい、すべての人が大切にされるまちづくりを推進します。
(2)多様性を尊重し支えあうまちづくり
市民一人ひとりには、国籍、民族、出自、宗教、言語、文化、習慣、性別、世代などさまざまな違いがあります。
誰もが、お互いの生き方や価値観の違いを認めあい、多様性を尊重し支えあうまちづくりを推進します。
(3)市民の参画と協働によるまちづくり
日常の市民生活の中で人権について主体的に考え、学び、行動していくことが大切です。
人権の尊重と擁護にあたっては、一人ひとりの市民の主体的な参画と協働により、人権尊重のまちづくりを推進します。


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【参考③】
【差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例 逐条解説 11ページから抜すい】
<各用語の関係図>
≪以下に3重に囲まれた枠がある。3つの枠は、外から「人権問題」、その中に「人権侵害行為」、一番内側が「不当な差別」。それぞれ説明書きは次のとおり≫

人権問題
条例に基づく人権施策(相談を含む)の対象
※人権に関する問題
Ex
・≪下線始まり≫不特定多数の者が共通の人種等の属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を公然と摘示する行為≪下線始まり≫⇒「部落地名総鑑」の発行 など
・人権に関する社会的な課題⇒貧困、方針決定の場への女性の参画が十分でないという課題、高齢者の介護問題 など
・国際的な人権に関する問題⇒飢餓、紛争、環境問題  など

人権侵害行為
(基本理念としての)禁止の対象
※他人の権利利益を侵害する行為(インターネットを通じて行われるものを含む)
Ex
・いじめ・虐待・プライバシーの侵害・誹謗中傷・セクハラ・DV・パワハラ・体罰
・≪下線始まり≫対象者の同意のない人種等の属性についての情報収集等≪下線終わり≫
・本人の同意のない属性の暴露 など
*なお、これらの行為は、「不当な差別」に該当することもあり得る

不当な差別
紛争の解決を図るための体制の対象
※人種等の属性(人種、皮膚の色、国籍、民族、言語、宗教、政治的意見その他の意見、年齢、性別、性的指向、性自認、障がい、感染症等の疾病、職業、社会的身分、被差別部落の出身であることその他の属性)を理由とする 不当な区別、排除又は制限であって、あらゆる分野において、権利利益を認識し、享有し、又は行使することを妨げ、又は害する目的又は効果を有するもの
Ex
・不当な差別的取扱い⇒正当な理由のない特定の人種等の属性を理由とするサービスの提供拒否  など
・不当な差別的言動 ⇒特定の人種等の属性を理由とする誹謗中傷、ヘイトスピーチ  など

≪以上の図において、人権問題の中に「・不特定多数の者が共通の人種等の属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を公然と摘示する行為⇒「部落地名総鑑」の発行 など」の記述があるが、その内側の「人権侵害行為の(基本理念としての)禁止の対象部分に矢印が引いてある。
人権侵害行為の中に「・対象者の同意のない人種等の属性についての情報収集等」の記述があるが、その内側の「不当な差別の紛争の解決を図るための体制の対象」に矢印が引いてある。≫


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【参考④】

条例で明記する差別等の禁止の対象、相談の対象、実効性ある紛争解決の対象の規定

主なポイント
・禁止の対象は、大きくわけて3パターン(①不当な差別的取扱い②不当な差別的取扱い及び不当な差別的言動③人権侵害行為)
・相談の対象は、差別に限らず広く人権の相談として受け入れている。
・差別的言動についてはすべてを対象とせず、本邦外出身者に限定したり、表現活動の場を公共の場やインターネット上など限定していることが多い。

1 他自治体の条例
※網掛けは、公表のみ≪以下、網掛け部分は[]で表示≫

≪以下、「区分」「禁止の対象」「相談の対象」「実効性ある紛争解決の対象」≫
〇区分
愛知県
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
人権に関する相談
〇実効性ある紛争解決の対象
[※不当な差別的言動(本邦外出身者《公共の場》)]

〇区分
三重県
〇禁止の対象
人権侵害行為
〇相談の対象
人権問題に関する相談
〇実効性ある紛争解決の対象
不当な差別(属性収集等含む)

〇区分
相模原市
〇禁止の対象
不当な差別的取扱い
不当な差別的言動(本邦外出身者《公共の場》)
〇相談の対象
人権侵害に関する相談
〇実効性ある紛争解決の対象
不当な差別的取扱い
不当な差別的言動(本邦外出身者《公共の場》)
[※不当な差別的言動(本邦外出身者、障害者《インターネット等》)]

〇区分
川崎市
〇禁止の対象
不当な差別的取扱い
不当な差別的言動(本邦外出身者《公共の場》)
〇相談の対象
人権侵害による被害の相談
〇実効性ある紛争解決の対象
不当な差別的言動(本邦外出身者《公共の場》)
[※不当な差別的言動(本邦外出身者《インターネット》)]

〇区分
大阪市
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象

〇区分
堺市
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
秋田県
〇禁止の対象
不当な差別的取扱い
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
栃木県
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
東京都
〇禁止の対象
不当な差別的取扱い
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
[※不当な差別的言動(本邦外出身者《公共の場・インターネット》)]

〇区分
福井県
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
山梨県
〇禁止の対象
不当な差別的取扱い
〇相談の対象
不当な差別に関する相談
〇実効性ある紛争解決の対象
なし


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〇区分
滋賀県
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
大阪府
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
奈良県
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
和歌山県
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
鳥取県
〇禁止の対象
不当な差別的取扱い
〇相談の対象
人権に関する相談
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
愛媛県
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
高知県
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
佐賀県
〇禁止の対象
人権侵害行為
〇相談の対象
人権に関する相談
〇実効性ある紛争解決の対象
人権侵害行為

〇区分
大分県
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
宮崎県
〇禁止の対象
不当な差別的取扱い
〇相談の対象
人権に関する相談
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

〇区分
沖縄県
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
不当な差別に関する相談
インターネット上の不当な差別その他の中傷
性的指向・性自認に関する相談
〇実効性ある紛争解決の対象
[※不当な差別的言動(本邦外出身者《公共の場・インターネット》)]

2 本市人権分野別の条例

男女平等参画推進なごや条例
〇禁止の対象
性別による権利侵害
・不当な差別的取扱い
・セクシャルハラスメント
・ドメスティックバイオレンス
〇相談の対象
なし
〇実効性ある紛争解決の対象
なし

障害者差別解消推進条例※
※障害者差別推進条例…名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例
〇禁止の対象
不当な差別的取扱い
合理的配慮の不提供
〇相談の対象
差別に関する相談
〇実効性ある紛争解決の対象
差別相談に係る事案

名古屋市子どもの権利擁護委員条例
〇禁止の対象
なし
〇相談の対象
権利侵害に関する事項
〇実効性ある紛争解決の対象
権利侵害に関する事項