1ページ 第8回「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証委員会 議事録 令和6年7月16日(火)  午前10時00分〜午後0時05分 《事務局には◎、外部有識者の委員には●、それ以外の委員及び会長には○をつけ区別しています。》 ○杉野会長 本日は、お忙しい中、ご出席いただきありがとうございます。 定刻となりましたので、ただ今から、「第8回「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証委員会」を始めさせていただきます。 まず初めにですけれども、会議開催に先立ちまして、1点ご報告をさせていただきます。先般、名古屋市会の経済水道委員会、常任委員会があるんですが、そこで名古屋城木造復元市民向け説明会の総点検に係る調査が行われました。そして7月4日に経済水道委員会から当委員会に対しまして、検証の参考にされるようにということで、この調査に使用した資料の提供を受けました。提供された資料はお手元配付の通りでございます。検証の参考資料として取り扱いたいと考えますので、どうぞよろしくお願いいたします。また、これらの資料につきましては本日の他の公開資料とあわせて、即日公開とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 それでは、本検証委員会の公開・非公開についてです。 本検証委員会は、要綱第4条第3項におきまして原則公開となりますが、本日は、名古屋市情報公開条例第36条第1号の非公開情報が含まれる事項の審議として、すべて非公開としておりますので、よろしくご承知おきいただきたいと存じます。では、議事に入ります前に、報道機関の撮影のため、少しお待ちをいただきたいと思います。 <報道機関 撮影> 大変申し訳ありません、報道機関の方はご退室をお願いいたします。 <報道機関 退出> それでは、これより議題に入ります。だんだん終盤に近づいて参りましたが、本日はすべて検証に関わる議題ということですので、田中検証委員長、よろしいでしょうか。進行をお願いいたします。 2ページ ●田中検証委員長 皆さん、おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。それでは検証の内容に入って参りたいと思います。 まず、資料等についてということで、事務局からご説明をお願いいたします。 ◎事務局(伊藤担当課長) スポーツ市民局人権施策に係る特命事項の処理担当課長の伊藤でございます。 本日配布の資料につきまして、簡潔にご説明させていただきます。まず資料1でございます。 冒頭、会長から報告がありました、市会経済水道委員会から当検証委員会あてに、検証の参考として資料提供があり、その趣旨が述べられております。また、その添付としまして、資料1−1から1−5までにつきまして、実際に経済水道委員会において調査された際の資料ということで添付されております。 続きまして、資料2でございます。 これまで同様、委員からの質問事項としていただきました内容に対し、観光文化交流局から回答があった件でございます。 次に、資料3でございます。 中間報告で提言いただきました7点の再発防止に向けて取り組むべき事項の検討実施状況についてでございます。「1 職員研修の充実」として、「(1)人権意識、人権感覚の育成」では、5年目研修等に新たな人権科目を追加したり、各基本研修において今回の差別事案に関する内容追加を行っております。また、「(2)障害及び障害者理解の一層の促進」では、意識のバリアフリー行動宣言の全職員への依頼や、令和6年度から、課長補佐級職員について研修対象の拡大を行っております。 「2 障害者差別解消の推進に関する法律、条例の周知徹底」としましては、後ほどの資料にも出て参りますが、条例改正を検討しております。 次に、「3 局長級の人権施策推進委員会・幹事会の企画運営の見直し」でございます。令和6年4月の人権施策推進会議で、人権に関する責任者や差別事象マニュアルの見直し、差別用語集の作成などの取り組みを開始することとしました。 「4 差別事案発生防止のための体制づくり」では、人権に関する責任者を人権監理者として各局・室・区に1名以上置く仕組みやイベント等におけるチェックリストについて完成に向け進めております。 「5 差別事象マニュアルの抜本的見直し」でございます。こちらはガイドブックとして注意喚起の発言例や分野別の事例集など、より実践的な内容で充実したものの作成を進めております。 次に、「6 市民・事業者の障害及び障害者理解の一層の促進」について 3ページ は、先ほどの条例改正の他、障害のある方に対するちょっとした手助けや配慮の実施を行う「あいサポート事業」を令和6年10月から実施予定でございます。 最後に「7 対話によるバリアフリーを推進するための仕組みの整備」として、検討調査を実施しております。 続きまして、資料4「障害者団体への照会について」でございます。 お手元の資料の通り、平成29年の天守閣部会で、エレベーターを設置しない考えが示された時期から公募選定に至るまで、名古屋市からの説明に対する受け止めや市民討論会の開催理由についての説明等を受けていたかなどご回答いただきました。 資料5「「障害者差別解消推進条例」改正の方向性について」でございます。 お手元の通り、趣旨の他、2点の方向性について健康福祉局から提出いただいております。 次に、資料6「田中検証委員長・小林委員による検討資料」でございます。 前回、検証委員会において、提言に向けては人権条例のポイントをまとめる作業が必要ではないか、とのご意見があり、別途、7月4日に田中検証委員長と小林委員のお二人に検討作業をしていただきました。具体的には、後ほど、小林委員からもお話をいただく予定です。 次に、資料7「最終報告の骨子案」でございます。 中間報告書と一体の冊子を予定しておりますが、本日の骨子案資料では中間報告部分は再掲として省略しております。1ページでは、平成26年6月の木造復元に関する議会答弁以降、プロポーザルや公募、それらに対する市民向け説明会など、討論会までの経緯をはじめ、背景や遠因に関する客観的事実を記載してございます。 5ページでございます。この5ページから背景・遠因として、前回協議いただきました、史実に忠実な復元の解釈の不一致を始め4点について、これまでの議論やヒアリングの際に出されましたご意見など、まず項目として挙げられております。 12ページをお願いします。再発防止として取り組むべき事項として、(1)では、中間報告で提言いただいた内容と対応状況についての記載を予定し、(2)以降に、信頼回復に向けた提言として、これまで具体的に提言内容としてお話いただきました障害者差別解消推進条例や人権条例の内容を記載しております。 最後の資料8でございます。 前回の検証委員会で中間報告の記述から変更箇所があればご指摘を、というお話がありまして、この度、小林委員から、修正案の提示がありましたので、こちらの方も添付させていただいております。資料説明につきま 4ページ しては、以上でございます。 ●田中検証委員長 それでは次ですけれども、まず、先ほど会長の方からご報告をいただきました、経済水道委員会からの総点検に関する報告書を参考にしてくださいということで提出いただいた資料ですけれども、こちらの方をどう取り扱うかということでございます。各委員の皆さまからもご意見をいただきたいところですけれども、私も目は通させていただきまして、少し検討を考えたんですけれども、この資料提供の理由として、当検証委員会に提出された文面を見ますと2つあると思います。1つは非常に精緻にヒアリングがなされておりまして、過去のヒアリングの記録等が充実しているということもあって、我々が検証の目的としている差別発言の背景・遠因の調査に役立つであろうという視点からご提供いただいているという点が1つです。それからもう1つは、市長からのいわゆるサクラ問題ですね、賛成派を呼べないかという発言があって、その事実確認とそれから本年3月の予算委員会での答弁で、自分はそんなこと言ってないんだということで市長と職員との間でのやりとりがあったという辺りを注目して欲しいと、そういう趣旨に受け止めました。 これについては、報告書では、市長の賛成派を呼べないかという言葉の真意ですけれども、これはサクラを呼ぶと、そういう趣旨ではなくて、市民説明会の中で反対派の参加者からの意見が多いということもあって、市民説明会の中で、やはり賛成派の方からの意見も聞きたいと。幅広く意見を聞きたいという趣旨で、説明会に幅広い意見を持った方の参加があってもいいのではないかと。そういう趣旨からご発言をされたということで、結論としても、市民説明会への悪影響というものは確認できないと。そういう結論付けになっています。そうすると当委員会としても、何か具体的に事実関係を取り上げて、最終報告案に書き込むということではなくて、この平成30年前後からの経緯、かなり多くのヒアリングを積み重ねていただいていますので、そのやりとりを参考にして、参照した上で最終報告案に必要な部分があれば盛り込むと、そういうスタンスで検討してはどうかと。私はそのように受け止めましたが、委員の皆さまはいかがお考えでしょうか。 ●小林委員 基本的にはそういうことで、直接的に大きく触れることはないと思うんですけれども、どの程度、結論的もあれだと思うんですけれども、どの程度触れるかっていうところは、ちょっと検討がいるのかなと思っていまして。経済水道委員会から、こういう形でご提供があったということなので、それに対してきっちり受け止めたということはわかるように書いた方がいいかなっていうのがありまして。私の中では、直接的にはあれなんだけれども、 5ページ そういう疑念を持たれるとか、それは外からということも含めてですけれども、そういうこと自体が大きなプロジェクトを推進するにあたって、あんまり良くないことだと思っていまして、そういう意味合いで取り上げるっていうんですかね。直接的ではないんだけれどやっぱりこういうことが問題にされること自体が、いろんな発言とか、そういう普段の説明とかのやっぱりちょっと不十分さとかがあったんじゃないのかなっていう、コミュニケーションの不十分さっていうんですかね。そういうところの関係で、触れるのがいいかなって思っております。そういう意味では本当の遠因とか背景みたいなところですよね。そこに入れたらどうかなって。 ●浅田委員 私もそのまま触れるということではないとは思うんですが、最終報告のところでも市民への説明が不十分ということを書いていくと思うので、実際にここでも平成28年度から令和4年度にかけて3,425人が参加された市民説明会という数字も出ていて、考えてみれば非常に参加者も少ない。十分な説明ができていたかというとやはり、この数字の上でも十分に説明ができていなかったのではないかということは、こちらで検討されてきたこととか、関わっていらっしゃった職員の話から言えるのかなと。もう一つ気になったのは、賛成・反対という二極化した捉え方になっているというのが、本当は最初からできるだけ説明を受けに来る人たちの中には賛成でも反対でもなく話を聞きたいという人々が相当数いるはずなのに、賛成・反対で二極化されているように、受け止められることが自分は問題だなと感じました。それをどう使うっていうところは、ごめんなさい、うまく考え切れてはいないんですが、気になった点です。 ●田中検証委員長 両委員のご意見を伺っていて、そうすると整理としては、職員の苦悩と葛藤のところで一部触れるということと、それから市民への正確な情報提供の部分で一部触れると。それは市長の真意がどうだったかということはさておき、やはり責任ある首長の立場ですから、誤解がないような表現をやはり使う。あるいは、職員が混乱しないような指示を出すというところは、立場上、配慮があっていいということは言えるかと思いますので、そういうニュアンスで最終報告案にも取り入れると。取り入れる際には経済水道委員会からの報告書を「参照し」とか。「基づき」って書いちゃうとちょっとあれなんですけれど、確かに資料として検討資料といたしました結果、ということがわかるような記載にするという扱いでまとめてはと思いますが、どうでしょうか。 ●小林委員 基本にそれでいいと思います。この資料だけを参照したみたいな雰囲気だと変になるので、これまでのいろんなもののひとつの中にこれが入って 6ページ いて、これらを踏まえてこうだって形にするのが綺麗かな。 ●田中検証委員長 局長の皆さんもよろしいでしょうか。そのような扱いで進めたいと思います。 次に、先ほど事務局の方から、中間報告における名古屋市の再発防止の状況についての資料が出されておりました。この提供された資料をご覧になって、各委員からご意見をいただきたいと、そういう趣旨でございました。この点はどうなっているのかとか、もう少しこういうところを進めたらいいんじゃないかとか、そういう忌憚のないご意見をお持ちの委員、おられましたらぜひご発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○杉野会長 会長の杉野ですけれども、今の委員長からのご提案は、資料としては、資料3、資料5、資料6でよろしいでしょうか。 例えば、再発防止に向けて取り組むべき事項は、こういうことをしますよって書いてありますが、資料3で、総務局、健康福祉局、スポーツ市民局から、取り組む内容についてまとめてありまして、資料5は、障害者差別解消推進条例の改正の方向性について、健康福祉局の方でまとめたもの。そして資料6は、田中検証委員長と小林委員で、人権条例の骨子についてまとめていただいておりますが、まずは、資料3についてのみでいいですか。 ●田中検証委員長 資料3をまずご覧いただいて、これについてご意見いただけたらと思います。 ●小林委員 とりあえず当面、取り組むということなので、こういうことでいいのかなと思うんですけれども、例えば、「人権意識・人権感覚の育成」のところで新しい科目を追加とか、当面、これでいいと思うんですけれども、例えば、45分やったところで、どれだけ人権意識を高めるパフォーマンスが上がるのかっていうと、やらないよりはもちろんいいんですけれども、それで十分かって言われると、多分、十分じゃないような気は正直しているっていうところがあるのと、実際それをやるとして、実際やっていると思うんですけれども、フィードバックする仕組みっていうんですかね。例えば、新しい科目を追加してそれでどういうような変化が起きて、次にどうやって生かすのかっていう、このところですよね。多分、必要だし、それはすぐにできることだと思うんで、やっているかもしれないし、必要だと思うんですけれども、そういうところもある気がしています。多分、本格的にやっていくんだったらもっときっちり時間もかけて、かなりやっていかないといけない。それは今後の再発防止とかに繋がっていくところかなというふうに思っておりま 7ページ す。 あと、ちょっとこれ、教えて欲しいんですけれども、人権監理者。これは、どんな資格で位置付けの人なのかっていうのを教えてもらえたら。 ◎事務局(伊藤担当課長) 人権監理者につきまして、所管のスポーツ市民局担当課長の伊藤からご説明させていただきます。 特に人権に関して、各局区室のすべての所属が責任を持って対応できるように、主に職員倫理等を担当する、それぞれの局の課長級の方から選任しまして、市民が自由に発言する様々な市のイベント事業、そういったものを事前にチェックしたり助言したりですね、あとは事業所管の方から何か相談したいことあれば相談を受ける。そういったような事例をそれぞれの局が対応しますけれども、それらを全庁的に吸い上げて、全市的にフィードバック、情報共有しながら全市的な人権意識を高めていくと、そういったところのキーマンといいますか、責任者というような位置付けで考えております。 ●小林委員 ありがとうございます。何かこう資格というか、そのポジションにつくためのシステムづくりは、検討中という形なんですかね。 ◎事務局(伊藤担当課長) 相談に対応できるようにということで、専門研修の方を検討しておりまして、いわゆる基本的な考え方というよりは、やっぱり実践的にどう動くかチェックするには、どういったところに注意しながらチェックするかポイントがわからないといけないので、今回の名古屋城の件も一つの事例になりますが、いわゆる実践的な研修を構築することで、それを受講した方が監理者になるという仕組みで考えております。 ●小林委員 これまだ置かれてない。これから、そういうのを作って置いていくって感じですね。 ◎事務局(伊藤担当課長) 検討中でございます。 ●小林委員 わかりました。ありがとうございます。あとこの監理者の字、漢字はこだわってこの監理者にしたってことですよね。 ◎事務局(伊藤担当課長) 名称はですね、もともと責任者というものがございまして、どういった役割とかを踏まえて、どんな名称がいいかということで全市的にいろんな確認をしたときに、他の市のポストに「監理者」の名称もございまして、これがふ 8ページ さわしいんじゃないかということで、検討してこの案として置いております。 ○鳥羽委員 今、小林委員から研修等々ですね、どうやってやっていくんだという趣旨のこともありましたけれども、この仕組みを作るのは、やはり人権に関して知識だけではなくて実践的な行動もできるような人材を育成していくという趣旨も色濃くありますので、そういったことができるような人材をこれから増やしていく、その糸口であるというふうにまず思っております。 ○杉浦委員 人権についての研修の取り組みにつきましては、新規採用時ですとか、課長補佐の昇任、あるいは課長への昇任とかですね、職員の経験年数とか職責の節目ごとに実施をしている基本研修というのがございまして、この中で人権科目を扱っております。どのぐらいのボリュームでそれを扱っていくのかというところについては、そういう基本研修の中で時間的に人権科目の枠をもう少し取ったりすることや、また、先日の中間報告を受けまして、今年度から実施する基本研修につきましては、中間報告の検証内容、これを確認する講義、こういったものを追加いたしまして、今回の差別事案ですとか、その発生要因を自分事として認識できる取り組みを実施しているところでございます。 また、今後の部分につきましては、グループワークやワークショップ形式の研修の中に今回の差別事案や検証内容を踏まえた事例研究、こういったものを加えて実施するとともに、車いす等の疑似体験を通じて、人権感覚の醸成を図っていく。こういった講義を追加しながら、知識だけじゃなくて言動に結びつけることができるような研修、こういったものも実施をしていきたいというふうに考えています。また、12月が人権週間という位置付けになりますので、人権週間をしっかりと活用してですね、単に資料を使って学ぶだけじゃなくて実効性のある取り組みとなるようですね、これは今後のこともありますので、関係各課と一緒になって検討していきたいというふうに思っております。この案件につきましてはやはり、スポーツ市民局とか健康福祉局と連携しながらやっていく必要性が非常に重要だと思っていますので、研修内容の充実も含めまして、一体的に取り組んでいけるように、一緒になって協力して進めて参りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ●小林委員 ありがとうございます。あと、細かいですけれどこの人権指導者養成研修というのと、先ほど人権監理者の方の専門研修っていうものは、これイメージは別もので、この人権指導者養成研修を受けて人権指導者になった人が、人権監理者になるっていうイメージじゃなくて、全く別のものってい 9ページ うことですか。 ◎事務局(伊藤担当課長) はい、別です。 ●小林委員 わかりました。 ●浅田委員 今回出していただいた研修などにつきまして、先ほども局長さんたちのお話にもありましたが、研修で知識だけではなくて実践的に行動できるっていうところが随所にセットで学ぶ形になっているところがいいなと。知っているんだけれど、動けないということが、実は前回も起きていたのかなと思うと、「あれ、なんかおかしい」、「じゃあどうしよう」って思っているうちに時間がなくなってしまった感じがあったときに、速やかに動く、実際に動くことができるための内容として、やっていただいているんだなって思いました。 実際に本当に緊張感のある場面に出たときに、すぐに言葉を出す、あるいは行動する、どんな言葉をかけたらいいんだろうっていうところを実際に練習して、ロールプレイであるとかシミュレーションとかがしてあることで、あの時スムーズにできたなっていう、そこに繋がっていくのかなと思うので、そういう意味でも今回お考えいただいている案の内容で、実際に皆さんが学んでいただくことができるのは好ましいことだなと感じました。ありがとうございます。 ●田中検証委員長 ありがとうございました。その他、追加のご説明とかよろしいでしょうか。 そうしましたら、中間報告における再発防止の実施状況につきましては以上とさせていただきます。 次に、前回から今回にかけての期日の間でですね、小林委員が中心になって人権条例の骨子案の方、ご提出いただいておりますので、まず小林委員の方からご説明を先にいただけたらと思います。お願いいたします。 ●小林委員 資料6をご覧ください。人権条例の骨子案ということなんですけれども、基本的にはここに書いてある通りということですが、人権問題について取り組む決意というものは前文の方できっちり書いた方がいいかなっていうところで、イメージするフレーズは何か考えて入れたほうがいいかなと個人的には思っています。私は「人権施策先導都市なごや」みたいな感じで、全国を引っ張っていくみたいな感じのイメージを出すのがいいかなっていうことで、例として挙げさせていただいております。この辺りは要検討ということでいいかなと思います。人権条例の目的としてはですね、人権文化 10ページ を確立するということと、社会構造的差別を含めてあらゆる差別を根絶するということをきっちり明記した方がいいかなというふうに思っております。今回、本邦外出身者に限らず、広い意味でのいわゆる差別、ヘイトスピーチに近い差別表現が問題になったと思うんですけれども、そういう差別表現って何が問題かというと、もちろん言葉の概念自体の問題もあるし、その文脈ですよね、多数派がいて少数派がいてっていうのは文脈の問題なんですけれども、それに加えて、いわゆる言論媒介行為ってよく言うんですけれども、そういう発言があったことによって、周りに対して影響を与えていろんな行動を変えさせるみたいな、市長の発言というのもそういうことがあるからこそ問題視されたんだろうということだと思うんですけれども。そういう差別表現っていうものの言論媒介行為が行き着くところが、いわゆるヘイトクライムに繋がっていって、例えば、差別されている人に対しては酷いことしてもいいんじゃないかとか、最終的に犯罪とかにも惹起するようなことが、実際、障害者に対する施設の不幸なひどい事件とかもあったりですね、そういうふうに繋がることが大きな問題で、ここで人権文化っていうのを強調したかったのは、そういう差別表現があったとしても、それによって悪い方向に傾かないような、強い人権意識を持った社会を作っていくことが大事だっていうことと、それと今回の問題で単に差別しないってことではなくて、やっぱり社会構造的に弱い、差別を受けている人たちがいるわけで、そういうの社会構造的差別をなくしていくっていうところを出すことで、積極的な意味を盛り込みたいという思いもあってですね、目的として出した方がいいかなというふうに思っております。その流れで、社会構造的な差別を解消する意味でのポジティブアクション、アファーマティブアクションというものを積極的に行うのと同時に、それをちゃんと奨励していくんだっていうことも、出したほうがいいだろうということです。 あと、市とか事業者とか市民の責務ってのはよく明示されていることで、それをきっちり書いていった方がいいかなということです。 人権施策に関する基本計画の策定については、今でもプランが出されているわけですが、それを改めて条例上きっちり位置付けた方がいいということと、あとこれも行われているわけですけれども、いわゆるパブリックコメント的な形で市民の意見を取り入れるっていうことで、ここは単に市民の意見を取り入れるっていうことの意味と同時に、そういう機会を設けることで市民の方々への啓発にも役立てたい。人権問題で関心を持ってもらって意見を言う機会を設けることで、啓発にもつなげていきたいという意味でいるのかなと。 次の、いわゆる人権デュー・ディリジェンスの話ですけれども、いわゆる人権問題に対する組織としての評価というのをきっちりやっていくっていうこ 11ページ とと、一般的には、委託先とかも含めて評価をちゃんとやっていく、名古屋市だけじゃなくて、名古屋市がいろんな仕事を委託するところについてもちゃんと評価ができるような仕組みを作っていくことが大事だし、そういうのをやる事業者に対するサポートもいるのかなっていう気がしております。人権問題については単に名古屋市だけで行えるものではないので、いろんなところとの連携とか支援というものがいるだろうということと、施設の利用についての基準をきっちり定めるということと、あと次のところで、公共の場における、いわゆる差別的言動への対応を入れると。一般的にはいわゆる狭い意味でのヘイトスピーチですね、本邦外出身者に対する不当な差別的言動について定めている場合が多いんですが、今回はそれに限らず、障害者差別とか部落差別とかも含めた形で広くきっちり対応していくということが必要かなというふうに思っております。具体的にどうするかっていうところについてはいくつかの選択肢があって、検討が必要なわけですが、対象が広がる関係があるので、その部分、例えば罰則型をやるとしたらかなり対象を限定しないと当然いけなくなる関係にあると。事実を公表する形だったら罰則型に比べるとかなり限定が緩くなるという関係性が多分、出てくると思うんですけれども。そうした中で、どういう形がいいのかっていうことは検討がいるだろうとは思っておりますが、いずれにしろ日本国憲法で保障されている表現の自由、その他の人権との関係を十分に考慮した形で考えていく必要があるだろうと。いずれにしても考えたものをちゃんと条文で入れるということかなと。公共の場における問題、ある程度は、団体とか本人が顕名性が高い形でやっているものなんですけれども、インターネットの場合はそれとまた別だと思っていて、どちらかというと厳密な匿名じゃないですが、匿名性が高いような雰囲気の中で行われる言動ということで。これはちょっと別立てで対応した方がいいのかなっていうことで、愛知県の方も別立てになっていまして、モニタリングでいろいろ法務局に削除要請をするとかあると思うんですけれども、それについて別立でやった方がいいだろうということです。 次の多様性憲章についてですが、ドイツなどの企業で結構、展開しているものなんですけれども、イメージとしては単に障害のある人や困難を抱えている人達に対して、機会を提供する話ではなくて、むしろ、そういういろんな人たちの多様性を包含していくことが組織としてのパフォーマンスを高めていくんだよっていう、そんなイメージなんですよね。そういう意味では、厳密にはCSRと違ってですね、会社としてこれをやらなきゃというんじゃなくて、むしろ、そうしていくことが、会社、組織としてのパフォーマンスをどんどん高めていって、結果、社会的責任も果たせるみたいな感じのイメージだと私は理解していて。ちょっと積極的なイメージを打ち出せるようなものができればいいのかなあという気がしておりまして、そういうのを 12ページ 事業者に賛同してもらってやっていく。意見交換とか情報交換ですね、こういうことやっているよ、みたいなコミュニケーションの場が作れたらいいかなというふうに思っております。 次のIQAといってこだわって言っているところなんですけれども、これ何故こだわっているのかっていうと、行政とかあるいは市長の発言の影響力ってやっぱりあるわけですよね。先ほど、言論媒介行為の話じゃないですけれども、そういうところがやっぱりすごく今回の重要なポイントになっていると。まさに情報の話だけではなくて、そういう人権問題に繋がるようなところがかなりあるのかなっていうところがあって、かなりこだわっていると。例えばヘイトスピーチの問題もありまして、一般の人の言論活動と影響力のある人の表現っていうのはやっぱり別物で、一般市民の表現の自由と市長とか行政の表現の自由は違いますよ、というのはヘイトスピーチの話なんですけれども、そういうところも意識しながらできたらなということと、アメリカのIQAの場合って、クオリティの中にユーティリティも含まれていて、つまりちゃんと使える情報じゃないといけないってことなんです。そういう点では、例えば、視覚障害の人に点字とかあるいは知的障害のある方に対してわかりやすい表現するとかですね、情報の受け手がちゃんと理解できるような情報発信っていうところまで含めたクオリティになっているので、そういうところもやっぱり意識していくっていうことが、人権問題として非常に重要で、単に形の上でホームページに上げていますよとか、情報出しますから責任ありません、みたいな話じゃなくて、ちゃんと情報の受け手を、当然情報出すときは想定されていて、そこに届く、理解できる情報発信っていうのが必要で、受け手が外国の人のこともあるかもしれないし、いろんなことがあると思うんですけれども、そういうものを含めたイメージでの情報の質、クオリティが大事だということだと思っています。具体的にどうするか、細かいところは、どんどん時代によって変わっていくので、細かいことは多分、条例で決められないので、手引きとかガイドラインになっていくんですけれども、そういうものをきっちり、やっていくんだぞということが言えたほうがいいんじゃないかなという意味で、ちょっとこだわっているところでございます。 あと、相談窓口をつくるってことで、この相談窓口っていうのは、軽い話じゃなくて、相談窓口を作るとそこが人権課題、人権問題の最前線になっちゃうわけですよね、そこにみんな来ちゃうから。そこの人が、ちゃんと話を聞いてくれない人だったらですね、かえって信頼を失っていくので、これ作った方がいいんですけれど、作る以上はそこで対応する人の能力が非常に重要になってくるし、また属性もあると思うんですね。例えば、50代の男性ばかり並んでいたら、DVの被害を受けている女性が相談に行くかというと、行かないでしょうからね。いろんな属性とか聞く能力ってすごく大 13ページ 事だと思っていまして。人権侵害に対して苦しんでいる人って、何が困っているかも言えなかったりもするし、だから聞き取り能力ですね、そういうのも含めた能力がやっぱり必要になると思っていまして。そういう点で、これ作った方がいいんですが、作るのとセットで、その職員の能力とか多様性とか、ここら辺が、それなりに覚悟を持って、場合には人もいるし、委託するんだったら委託料がいるかもしれないし、研修のお金もいるかもしれないしということで、そこも含めたものがいるということです。 あと職員研修とか人権監理者の話にも繋がるところだと思うんですけれども、人権問題、リーガルマインドとかも含めた人権に関する職員の研修というものをきっちり義務づけて、結構、時間を取ってやるような仕組みを作った方がいいと思っておりまして。やるとしたら例えば、大学とかで履修証明制度を作ってもらってですね、そういうものをやったり、そこで一定の資格認定を行うとかですね、人権監理者みたいな感じでもいいと思うんですけれど、そういうものがあった方がいいということです。 あと、職員の方だけじゃなくて市民とか事業者への啓発、教育の提供というのも義務づけて、具体的には、大学とか大学院とかリカレント教育とかを支援して活用できるようにしていったらいいんじゃないかと思っております。 次のところは、かなり最終的には議論があるかもしれませんが、いわゆるパリ原則で言われているような、人権機関的なものを可能な限りそれに近いものを作ることが望ましいと思っておりまして、人権に関する市の取り組みに関する調査とか、諮問を受けた場合の答申とかですね、政策提言とかあるいは人権侵害事案に対してですね、認定を行ったり調停を行ったりですね、そういうような専門的な第三者的な機能を持った機関をつくることがいると思っております。もちろん法令上の限界っていうのもあるのでしょうが、可能な限り、独立性の高いものを作った方がいい。ただ単に諮問を受けて答えるだけではなくて、独自に動けるような形がいいと思っています。名古屋市が何か問題を起こしたときに、諮問を受けないと動けないんだったら諮問しなかったらもう何もないって話になりかねませんから。何か独自に動いて言えるような、あるいは市民からの申請を受けて、申し出を受けて動けるようなものがいいということです。 おそらくは、市民からの申し出を受けて動く流れっていうのは、相談窓口を作ってそこを経由して上がってくるような仕組みになるのかなというふうに思っていまして、そことのセットの仕組みがいいかなって個人的に思っております。仮にこういうことをきっちり全部やっていくとすれば、特に相談窓口を作るっていうところも含めた流れで、予算も人も必要になることだと思うので、それを外に委託するにしてもお金が要るし、中でやるとしたら職員のお金もいるし、ってことなので、条例の趣旨を実現するために必 14ページ 要な予算の確保と、人員体制ですね、これははっきり条例で書いておかないと結局、使えない条例になっちゃうということで、そこはかなり強調しておきたいと思っております。 個人的な思いとしては、相談窓口はとても重要だと思っていて、人も予算もつけられないんだったらやらないほうがいいと思っています。やる以上はきっちりやらないと、人も予算もつけないで適当な相談窓口つけたら信頼をなくすだけですよね。相談行っても、たらい回しにされましたとか相手にされませんとか、話も聞いてもらえませんって言ったらかえってマイナスになるので、全然やる気がないならやらないほうがいいし、やるんだからきっちりやった方がいい、特に相談窓口はそう思っています。以上です。 ●田中検証委員長 今ご報告をいただきました人権条例のイメージですけれども、皆さま、何かご意見お持ちの方おられますでしょうか。 浅田委員、何か一言お願いしていいですか。 ●浅田委員 すごく丁寧なお話を伺って、人権条例を作る意義を強く感じましたし、小林委員と田中検証委員長の思いを感じました。ありがとうございます。特に今、お話しくださった多様性を包含していく社会を作っていくことがパフォーマンスを高めるっていうところは、まさにこれからの名古屋を、先進都市としての意味があるところなのかなと感じました。ありがとうございます。 自分は2点お尋ねしたいというところがありまして、不当な差別的言動のところで、本邦外出身者に対するとか、障害者差別とか部落差別というふうに挙げられていて、愛知県とかもインターネットの被害者の他には、本邦外出身者とか、部落差別の解消とか、性的指向・性自認の多様性というところが章立ての中で挙げられています。今後、名古屋としてはどういう視点の書き方をされるのかにもよると思うんですが、自分は多様性というのは、最近言われている中に、ジェンダー平等の視点、それから子どもや高齢者っていう視点が、最近目にするものでは非常に多いと思ったので、その辺りも含めていくことが今後の名古屋を未来都市として、というところにも入ってくるのかなというふうに思いましたのと、もう一点はそういう中にやはり子どもが入ってきていると、将来の市民の育成になってくるので学校教育が必要なのかな。この条文の中のどこかに市民と子どもと別立てで立てていく必要があるのではないかと思いました。以上です。 ●小林委員 もちろん広く差別を根絶するっていうことなので、そういうのも全部含めて、そういうイメージだということなんですけれども、確か子ども関係の条例は別に名古屋市は作っていましたよね。多分、この人権条例っていうの 15ページ は、他にすでに条例が、個別分野としてあった場合は、そっちが優先的に対応して、それらの抜け落ちているところを補完するという位置付けになってくるのかなっていうイメージでして、おっしゃるとおり、広く人権一般、差別一般を対象とするという位置付けで、個別のところについては個別の特殊性がありますので、子どもには子どもの特殊性があるので、そこの条例で対応していく、特別法と一般法の関係みたいな感じになるのかなというイメージをしております。愛知県の人権尊重社会づくり条例については、公の場所での差別表現についてのチェックというか市民から申し入れによって公表しますよっていうのは、本邦外出身者に関するものに限定していまして、やはりこう、いわゆるヘイトスピーチの話の中で作られている形になっているんですが、今回のこの骨子案の提案では、いわゆる本邦外出身者の方に対する差別に限定しないで、障害者に対する不当な差別的な言動とか、あるいは部落に対する差別言動とかも、全部カバーしたほうがいいだろうというイメージで考えています。そういう意味で、もちろん性的マイノリティ、ジェンダーの問題とかも含めてっていうことで考えて、そういう意味では広く、公共の場所での不当な差別的言動について対応したほうがいいというふうに思っています。ただ、ここの関係で、私は対象を広げた方がいいという立場をとっているので、そうすると罰則型は、別の形で要件をかなり限定していかないと、多分、現実的に難しくなるっていう問題があるっていうことですね。だから何か厳しいことをやろうとすると、かなり要件を限定していかないといけなくなるということになって、逆に公表ぐらいで止めるんだったら、緩くてもいいっていう話になってくるっていうところで、そこら辺の関連性の中で、より良いもの、良い形っていうものを検討しないといけないっていうところで、この骨子案の段階では、公表型じゃないといけないとか、罰則型にしないという限定まで書けるかというと、具体的な制度設計は要検討になるのかな、というふうに思っております。 個人的には、事実のみの公表パターンを推しているところがありまして。愛知県の条例もそうなっているんですけれども、公の場所でやっている場合は、本人が顔出して、あるいは団体名出してやっているので、堂々とやっているわけですよね。その場合に、名前や団体名を出すことにはそんなに効果がないのかなというふうに思っていまして。むしろこんなひどいことが名古屋市で起きているんだよっていうことを広く共有することで、そういう問題についてみんなで取り組むきっかけにしていくっていう啓発的な意味合いが重要かなというふうに思っています。罰則っていうのもやっぱりメッセージ性がすごく高くて、こんなことやったらあかんねんでっていうメッセージ性という意味ではあるんですけれど、実際、かなり限定をかけないと難しいっていうことと、実際使えないんじゃないかなという思いも、 16ページ 罰則の行使はなかなか難しいっていうのもあるので、そういう点では個人的には事実の公表型っていう形がいいかなと思っています。そこはちょっといろいろ検討が必要なところになるのかな、という気はしております。匿名性が高い方は実はインターネットとかの話で、わーっと書いてあるやつで、それはモニタリングをかけて削除要請するとか、証拠保全するとかっていうパターンがいいのかな。あるいはもちろん啓発動画とか必要ですけれどもっていう、場合によったら犯罪になるとかっていうことですよねっていう形かなと思っています。まずは広くカバーするというイメージでいるということでございます。 ●田中検証委員長 ありがとうございました。それではよろしいですか。他の委員の皆さま、何かご意見お持ちの方、おられますでしょうか。 ○鳥羽委員 いろいろ、かなり具体的にご提案いただきまして、ありがとうございます。先ほどの罰則等々の話、これはおそらく、条例案を検討する中で出てくることだと思います。ただ、小林委員が言われたように、適用というのが結構、難しいのではないかということで、名古屋市の条例の中で罰則を設けている条例はかなり少ないわけでありますので、実効性あるいは本当に適用できるのかどうかということを十分踏まえて議論していきたいと思っております。それから、ここの中で相談窓口と人権擁護の機関の提案をいただいております。先ほどの話で、予算あるいは定員がしっかりつかないと、結局、実効性は無いというお話をいただきました。市全体の中でしっかりと検討していかなければいけないと思っていますし、それから他の条例、他の規程等を全部一回洗い出してですね、いろんな関係も整理していかなければいけない。そういった中で相談窓口も非常にたくさんありますので、そこら辺の役割もしっかり整理した上で考える必要があるかなというふうに思ったところであります。またいろいろ考えていく中で、アドバイスいただきたいことあるかもしれませんので、よろしくお願いしたいと思います。 ●小林委員 もうちょっとだけ。既に名古屋市は男女関係の問題については紛争処理委員を作って、既にいくつかの取り組みが行われているところもあるので、こういう相談窓口を作って、場合によっては調査員みたいなものを作って対応するってことがいいと思うんですけれど、それについては、分野によってはもう既に実績もあるところなので、そういうものを踏まえながらやっていくと。既にあるところはそっちでやればいいので、そこでカバーできてないところっていうことになると、ある程度、限定もできると思うので、前向きにご検討いただけたらというふうに思っています。おそらくこの骨 17ページ 子案だったら、多分、全国的にですね、名古屋市はやる気、みたいな、ちょっと注目されるんじゃないかなっていうふうに思っていまして。今回のことをきっかけとして名古屋市は人権課題について本気だなっていうことが全国的に注目されるんじゃないかってことですので、前向きにこれをやっていただけるとありがたいかなと思っております。 ●田中検証委員長 はい、ありがとうございました。 私も少しだけコメントさせていただくと、やはり今回の件をきっかけにして、小林委員が作成いただいたこういった骨子案を発表するということは非常に意味が大きいと思っています。おそらく具体的な検討は、何らかの別途、部会が立ち上がって、そこでいろんな委員の方が選任されて進んでいくんだろうと思いますが、一つはですね、よく法律なんかに書いてありますけれど「必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない」という一文がよく入っています。そういったものをこの人権条例にも入れておいた方がいいかと。これはもう義務的に講じなければならないんだということを確認する意味でも、良いのかなと思ったりしました。それから小林先生からご報告があった情報の正確性ですね、IQA関連の取り扱いですけれども、これ本当にいいなと思っていて、特にスローコミュニケーションっていう言葉をよく聞きますけれども、知的障害のある方なんかにもわかりやすい、いわゆる「わかりやすい版」を作るというところに取り組むということが、とても大事かなと思います。私も最近勉強したんですけれども、二重否定を使わないとか、一つの文を30字から50字ぐらいで収めるとか、そういうノウハウもあるようですので、その辺りを市の情報発信、すべては難しいと思いますけれど、重要なものについてはそういったものを取り組んでいくという姿勢を見せると、名古屋市すごいなという感じになってくるかなと思います。それからこれも小林委員からありましたけれども、やっぱり相談窓口のところが非常に大きい役割を担います。ここは相談を受ける方のメンタルもケアしていかなくてはいけませんから、個人に集中するということではなくて、ある程度、人数に余裕を持った選任をいただいて、チームで取り組んでいくという形をとらないと、長く継続的な相談体制を維持するには必要だというふうに思いました。私がちょっとコメントさせていただいてしまいましたが、他よろしいでしょうかね。 そうしましたら、人権条例の骨子案については、このイメージを中心にして最終報告に取り込んでいくというふうにしたいと思います。 それから、ちょっと差別解消条例についても、田嶌委員から。 ○田嶌委員 資料5について、差別解消条例の改正の方向性について簡単に説明させていただきます。前回も骨子についてはお話させていただきましたが、 18ページ 現在検討中の案です。まず、差別解消条例で、市が関わる差別事案の相談解決の仕組みがないということで、助言、あっせんの申し立てという条文を、具体的に追加を検討しています。 障害者等は、市または事業者を相手方とする差別相談に係る事案について、差別相談センターが調整を行ってもなお解決しないときは、市長に対し必要な助言、あっせんを行うよう申し立てをすることができるという条文の追加を検討しています。ただ、事業者に関しましては、その後のあっせん案を受託しない場合ですとか従わない場合の措置の求め、さらには措置をするよう勧告等することができるという条文が事業者にはありますけれども、現段階では、市を相手とする場合は助言、あっせんの申し立てまでとしたらどうかというふうに考えています。またこれにつきましては、障害者団体等の意見を聞きながら検討していきたいと考えております。 2つ目が障害者理解のさらなる促進ということで、意識のバリアフリー行動ということを、名古屋市は平成20年度から実施しておりまして、周囲の無意識による偏見、差別による、意識上のバリアをなくすために、障害のある方を理解して、バリアを感じてる人の身になって考えて行動を起こすこと、そういった意識のバリアフリー行動ということを条例にも位置付けて取り組んでいきたいと考えています。さらに、市及び市職員の責務ということで、市の責務として、職員対応要領を定めてしっかりと周知を行うこと、という条文の追加を予定しています。また、市の職員の責務ということが今まで書かれておりませんでしたので、新たに市の職員の責務として、対応要領を遵守して率先して意識のバリアフリー行動を実践するということの追加を予定しています。 裏面に参りまして、事業者及び市民の責務といたしましても、積極的な意識のバリアフリー行動を実践するよう努めるものとするという一文を、それぞれ追加を予定しています。その他、啓発といたしまして、こういった意識のバリアフリー行動を行うこと、イコール「あいサポート運動」というものを、今年度10月から実施して参りたいというふうに考えております。鳥取県でスタートしたものですけれども、全国9県16市6町に広がっているということで、本市につきましても進めていきたいというふうに考えております。 障害者差別解消条例は、障害者の社会参加ですとか自立のための条例ということになりますので、参加を阻む、障壁をなくしていくという趣旨で作っておりますので、今回、小林委員が提案していただきました人権条例は、その中の人権の部分ということで、特に差別解消条例は、事業者と行政の差別は対象としておりますけれども、市民の言動については対象としてないところもありますので、また人権条例で補完されるものというふうに考えております。説明は以上でございます。 19ページ ●田中検証委員長 私からちょっと1点だけ。条例のですね、13条だったかと思いますけれども、不利益取り扱いの禁止の項があったと思うんです。差別相談をしたことを理由として、事業者は不利益に取り扱ってはならないというところですね。今、事業者だけになっていますけれども、ここに市も入れておいてもいいかなと。市が具体的に相談の相手方として組み込まれるということですので、この辺り、またご検討いただけたらと思いますが。 ○田嶌委員 ありがとうございました。この部分につきまして、確かに「事業者は」となっていますので、市も追加させていただきたいと思います。 ●田中検証委員長 では、最終報告の骨子案について検討したいと思います。 資料7で、中間報告と一体のものとして最終報告書を提出するということで、前回までの議論でそのようになっています。今回、お示ししていますのは、事実経緯のところで背景や遠因に関するところが追加されているという点と、それから第5ですね。ここが今まで、数字の3までだったんですけれども、数字の4として背景と遠因の関係で(1)から(4)まで入れています。何かというと、えっと・・・ ○杉野会長 読み上げさせていただくと、「史実に忠実な復元の解釈の不一致」、そして「市民への正確な情報提供の不十分性」、そして「職員の苦悩と葛藤の延長」、そして「無作為抽出で方針決定する手法を選択した経緯の疑問点」というところです。 ●田中検証委員長 というところで、4点に絞ってまとめてあります。 中間報告と同様に、問題の所在と検証の結果と、それから評価という形でまとめていきたいと思っていますけれども。このまとめ方で文章化していくということになりますが、いかがでしょうかと言っても意見出づらいと思いますので、まず、私から1つ目ですね。史実に忠実なというこの理解の不一致のところですけれども、この項目を取り上げる必要があるということは私もそう思うんですが、どういう認識の違いがあったのかを報告書の中でやっぱり明確にしておいたほうがいいかと。市長がどういう理解をしていて、市職員はどういう理解をしていたかというところですね。特に公募をする前に、一旦、一致が見られたという記載がありましたけれども、これはその通りだと思います。柱や梁を傷めない、そういう新技術を公募すると。これは市長の了承も得られていると。ところが市長としてはできる限り歴史的な、元あった木造の名古屋城を再築するという理解でしたので、昇降技術といったものは、この新技術に入らないというような理解があったと。 20ページ 一方で市職員は、柱や梁を傷めない新技術であれば、たとえ昇降技術であろうともそれは採用すべきだと。こういう理解があったというところがあろうかと思いますので、その辺り、報告書の中で明確にどういう違いがあったかをはっきり明記した方が良いのかなと。そんなふうに感じました。 他に、この(1)の項目のところで、こういうところを明確に打ち出したほうがいいんじゃないかとか、意見をお持ちの委員おられましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ●浅田委員 今、委員長さんがおっしゃったように、認識の違い。市長は、文化財を作る。職員はそうではないというところも、そして副市長もまた違う。この三者がそれぞれ違うということが書かれると、私もより認識の違いが伝わるのではないかと感じました。それがまた認識に相違があるまま事業を進めた、というところとも関係してくる、この問題点の2点のいずれにも関わってくるのかなと感じました。 ●田中検証委員長 ありがとうございます。そうしましたら、この(1)のテーマについては今、浅田委員が指摘されたような、どういう認識の相違があったかを明確にする。副市長も含めて、確かにそうですね、三者三様の理解があったと思いますので、ここは明確にする形で報告案をまとめていきたいと思います。 それから、市民への正確な情報提供の不十分性というところですけれども、ここについては浅田委員も言われたように、最初の、史実に忠実なという解釈がまちまちなまま、市長や市職員がそれぞれの理解に基づいて市民に発信をしているということで、どうしても正確な情報提供が難しいと、できなかったと。つまりその一つ目のテーマが、二つ目のテーマにもかなり影響しているというところはあろうかと思いますので、そこのリンクがはっきりするような表現を使う必要があるかなと思いました。この辺りはいかがでしょうか。ご意見お持ちの方、おられますでしょうか。 よろしいですかね。 それから三つ目ですけれども、「職員の苦悩と葛藤の影響」というところですけれども、ここはこの点でこういう内容を明確に打ち出したほうがいいというご意見お持ちの方、おられますでしょうか。ここは私は(1)のテーマとも関連するんですけれども、やはり市長の思いというものがあって、理解が違うまま、平行線のまま進んでいってしまっていますので、市長の言動というものが事実上、職員の方への影響を支配したというと言い過ぎなんですけれど、大きく影響したと。そういうあたりが内容として入るといいかなと。特に冒頭、経済水道委員会の報告書を参照するということを申し上げましたけれども、これは小林委員からもありましたが、やはり市のトップとして、職員に指示を出す場合の出し方としては、責任ある立場として 21ページ は一定の配慮が必要だろうとそのように思いますし、その辺りを記載してもいいかなというふうに思いましたが、いかがでしょうか。 ●小林委員 9ページの評価のところの一番下の苦悩や葛藤を抑制・解消っていう、これ抑制はちょっとよくない気がしていて、せいぜい調整ぐらいかなという気がするんですが。苦悩や葛藤を抑制しちゃうとなんかハラスメントみたいな感じになるので、忘れないうちに表現だけ指摘させていだきます。 ●浅田委員 まだ今後に障害者団体の方のお話を聞く機会があるのですが、実はこの職員の苦悩と葛藤にはそれも影響しているのではないかと、自分は推察しておりまして。そのはざまに立たれていた、説明をする側であり、より上層階というふうに話してきたという、そのはざまにあったところを、また障害者団体の話をお聞きするところでこの辺りに、考えていかなければいけない内容があるのかもしれないなということを、考えています。 ●田中検証委員長 ありがとうございました。この辺りは市の委員の皆さんは、意見が言いづらいテーマになってこようかと思いますので。この辺りは、今、小林委員、浅田委員のご指摘の点も含めて、適切な内容を盛り込んで参りたいと、そのように思います。 ●小林委員 浅田委員のところと重なるんですけれども、一般論として、大プロジェクトでは苦悩や葛藤があるのは当然なんだけれども、今回の事案の特殊性っていうところに流れを持っていって展開した方がいい気がしていて。そこの特殊性っていうのは結局、障害者団体の方々と大分、積み重ねがある中で、方針が変わったっていうところではざまに立っているっていうことですよね。そこら辺のイメージを書くことが、正確に今回の苦悩と葛藤というところになるのかなって気がしています。その辺り具体的には障害者団体の方々のお話を聞いてからになるとは思うんですけれども、そこが、一般論だけれども今回はこううまく書き込むことが必要かなというふうに思っております。 ○杉浦委員 ここの職員の苦悩と葛藤の部分につきましては、中間報告のところで、遠因ということで、さらなる検証が必要だということで、この職員の苦悩と葛藤という項目が項目立てされて出てきたというふうに思っておりますし、また職員ヒアリングした中で職員から様々な発言があって、いろんな要素が出てきた中で、問題点とか、検証結果というのを、ここに具体的に記載しているというような状況かなというふうに思っているのですが、やはりここの中に、また後ほどの議論になるかもしれませんが、ここの苦悩と葛藤を 22ページ 踏まえて、第6のところで検証の総括というところがあるんですけれども、ここの総括の中で一定、触れていく必要があると思っております。というのは、さっき田中先生の方からありました、市長と副市長と職員間の間で考え方の乖離とか溝があって、それが埋まらないまま事業が進んできてしまったというような状況があったりですね、あるいは職員の中からは、この検証結果の中にも書いてありますように、パワーハラスメントと受け止めた職員がいたというようなことも事実が出てきていることから考えますと、このパワハラも広い意味でいきますと、人権意識というところに最終的には繋がってくるのかなという部分もありますので、そういう部分で市長とそれから副市長、それから職員について、本来どうあるべきだったのかというような視点の中から、その辺りを記載していく必要があるのかなと思っております。さらには、再発防止といったところでも何らか触れる部分はあるのかなというふうに思っております。特に市長、副市長につきましては、我々、職員の立場から申しますと、なかなか市長、副市長に対して何か提言をしたりとか、そういうことがなかなか難しい部分がございまして、今回の事案の遠因としてですね、職員の苦悩と葛藤があって、そこに市長とか副市長、あるいは職員間との乖離とか溝があったとすると、やはりそこの部分を提言していただける、特に個別事項について提言していただけるところというのは、この検証委員会ならではのところがあるのかなというふうにも感じておりまして、その辺りの総括ですとか、あるいは再発防止の中へそういったことも盛り込んでいくということについて、委員の皆さんのご意見を伺えられたらなというふうに思っております。 ●田中検証委員長 ありがとうございます。いかがですか、今の点は。小林委員、浅田委員から何かありますか。 職員の苦悩と葛藤の中で、今、杉浦委員から指摘いただいたようなことを評価の中では必要だろうなと思ってお聞きしていましたし、確かに再発防止の中でも取り上げたいところですけれどもね。どういう形で取り上げればいいかが、ここちょっと知恵を絞らないといけないかなと思いますね。 ●小林委員 今回、ザクッとしたイメージでいくと、今回の話は、この報告案骨子でも書いてある通り、まずこの名古屋市の内部でのいろんな調整、認識も不十分だった中で、どんどん走っていく中で、障害者団体等々の外部の方々との調整が行われていて、結局、そこの方針がずれていく中で調整が不十分になって、さらにそこが不十分なので内部で再調整しようとしたところ、そこも十分できなくなったっていうところで、調整の不十分さっていうものが連鎖して解決しないままの状態が起きていることだと思っていまして。私の理解では、本来はそうした調整を整える責任はやっぱり、副市長、市 23ページ 長というラインに多分、なっていくっていう意味では、その責任が十分果たせていなかったんだろうという思いはあります。それが私の中では何となく副市長というイメージはあるんですけれども、職員といわゆる政治家である市長との間に立って調整するのは副市長っていうイメージがあるので、副市長なのかなって気はあるんですけれども。そこら辺を具体的にああせいこうせいとは書けないと思うんですけれども、そうした責任が果たせてなかったっていうところまでは、どこかで書くっていうことがいるのかなっていう気はしています。 市長についてはやはりこう発言、ちょっと誤解を招くような、あるいは多種多様な発言を、難しいとは思うんですが、市長って一方で政治家であるのと同時に、やっぱり行政の長で責任者っていう行政機関としての責任者という意味の二つが重なっているわけですよね。そうした点で考えたときに、やっぱり名古屋市の行政機関のトップとしての、行政の長としての発言っていう場合は、名古屋市として意見を整えて、それを言っていかないといけないところがあるので、そういう点での問題っていうのは指摘できるし、そのことをちゃんと考えて言ってよねってというところまでは言えるのかなって気はしているんですけれども。そこまで書くかどうか。どこまでがこの委員会で書くことの対象になるのかなと。そういう責任が果たせなかったっていうとこまではいけるけれども、そこら辺はこの程度というか、要検討かなって気がするので。どうでしょうか。 ○杉浦委員 非常に難しいというか、デリケートな問題だと思いつつ私も発言しておったんですけれども、ここがいけなかったとか、そういうような形の表現っていうのはなかなか難しいのかなあというふうには思っていまして。本来、どのように立ち居振る舞いすべきだったかというような見方の中から、例えば市長さんとか副市長さんでも、少しこうやってやれるとよかったよねというか、例えば市長でいくと、もう少し耳を傾けて欲しかったなとかですね、副市長で言えばさっき小林委員からもあったように、もう少し職員と市長との間をつなぐ役割を強く意識するですとか。そんなようなところを何らかの形で触れていくというところは必要かな、というふうに思っています。 もう一つは骨子の9ページのところに、一番最後の行になりますが、「苦悩や葛藤を抑制・解消する仕組みが重要であり」、といった記載がありますが、その仕組みってのは例えばどういうような形があるのか、フォロー体制っていうのは例えばどういうのがあるのかっていうようなところがですね、これを受けてどのような対応ができるのかって言うところを考えていくっていうことも発生してくるので、その面で、どういうふうに書くのかすごく難しいところはありますけれども、ここに職員の苦悩と葛藤の項目を設けているという観点から見ると、総括、あるいは再発防止の中で何らか 24ページ の形で触れていくのかなっていうような感じを持っています。 ●小林委員 私のイメージは、そういう苦悩や葛藤があって、調整が必要になった段階でそれを何とかするっていうのは、何とかする責任者が最後出てきて、全部、責任取ってやってもらうという仕組みでないといけないと思っていまして。多分、今回の事はそこら辺が曖昧な中で、ずっと現場に留めたままでやっちゃっていて。本当は最終的には市長が出てちゃんと、こういうことだと言って、やるしかなかったと思うんですけれど、そこまで行かないまでも副市長かどっかの段階だと思うんですけれど、結局、現場で全部やらせていたからそこで苦悩や葛藤が留まったという感じがしてるっていうところですね。だから本来はどっかの段階で、もうちょっと上の責任者ですよね。所長なのか、局長なのか、副市長なのか、どこかあると思うんですけれど、というところだったとは思っています。書き方としては、例えば総括のところでこういう委員からこういう意見もあったみたいな形で、こう入れていくっていうのが一つかなというふうに思っています。議事録としては、そういう意見が出ると思うので、そういうことでいいんじゃないかなって気はしていて。検証委員会としての最終結論としてこう出すっていうのはちょっと考える必要があるんですけれども、検討段階で委員からこういう意見もあったということを入れていく形で、ちゃんとやってよっていうメッセージ性を盛り込むのは一つかなって。裁判でいう補足意見とか、そんな感じの多数意見ではなく、補足意見を入れておくとか。例えばということで。 ○杉野会長 小林委員からご意見がいただきましたが、この検証委員会は、どうして市民討論会でこうした差別発言が起こっていったかに焦点を合わせたときに、その遠因に職員の苦悩、葛藤があったと。職員の苦悩、葛藤そのものをどうすればよかったのかということは、検証委員会の検証の趣旨というか、求められている答えではないだろうと思いますので、あくまでも、この史実に忠実な復元ということに対する三者の見解の相違。そこに生まれた職員の苦悩や葛藤で、そこの職員の苦悩や葛藤の再発防止ではなくて、市民討論会において差別発言が起きていることに対する再発防止ということだとすると、その過程の中でこうして指摘いただいた問題については、先生方のご意見として、本来こうあるべきじゃないかということを書き添えていただいていくということが一番良いかなという気が私もいたしますので、ぜひそのようにご検討いただけるとありがたいなと思います。 ●田中検証委員長 ありがとうございました。まあ、書きぶりはちょっと考えないといけませんけれども、やはり市長としても今まで積み重ねてきた手続きの、今、どの時点まで合意ができているかとか、どういう手続きで進んできたのかというと 25ページ ころはちゃんと尊重して、そこは踏まえた上で、それをひっくり返すような進め方は、これはやっぱりできないと思っていますので、その辺りを少し抽象的な表現になるかもしれませんが、そこは書けるかなと、そんなふうに思います。積み重ねてきた手続きを尊重すること、とか、職員に対する指示の出し方については、やはり最高責任者として一定の配慮が必要であるとか、そういった書き方はできるかなというふうに思いました。 それから、委員としての意見を書き添えるというところは重い宿題だなと思って、どこでどう書こうかなっていうのを考えています。 とりあえずテーマを先に進めさせていただいて、次に(4)ですね、無作為抽出で方針を決定しようとした手法についてというところですが、ここにはどういう書きぶり、内容を明確に示していけばよいかというところです。一つはやっぱり、もう何回か各委員から指摘されていますけれども、公募条件として柱や梁を傷めないという要件が示されていて、最優秀者が決定された後で市民討論会が企画されたと。そうなるとやはり流れとしては、最優秀案の説明であったり、あるいは最優秀案を前提とした進め方でないといけなかったと思いますが、この討論会ではそういったものがかなりトーンが落ちてですね、むしろ最優秀案は決まったけれどもそれはともかく、もう一度市民の皆さまの意見を聞いて決めていきたいというようなニュアンスが出てしまったという辺りが少し問題だったかなと思っています。だからこの(4)のテーマですけれども、無作為抽出によって方針を決定しようとしていたかどうか、そこまで強く言っていいかどうかは少し議論が要るかと思いますけれども、無作為抽出によって市民討論会を開催した手法について、くらいがいいかもしれませんが、とりあえず私はそんなふうなイメージを持っています。他にこの点について、意見をお持ちの委員おられますでしょうか。 特にございませんかね。これ確か、浅田委員も以前言われていたかと思いますけれど、「設置しない」っていう選択肢ですね。これが設けられたことが非常に、この市民討論会で改めて方針を決定しますというニュアンスが非常に強く出てしまった原因にもなっているかと思いますので、この辺りを明確に指摘していければなと、そんなふうに思います。 ●小林委員 (4)の項目は、無作為抽出で方針を決定する手法を選択した経緯の疑問点というのが、今、見出しですけれど、「公募選定後に」っていうのを入れた方が、中身と見出しが対応するかなって気がします。 ●田中検証委員長 確かにそうですね。「公募選定後に」ですね。その辺りはぜひ修正を入れたいと思います。 それから、そのあと第6のところで総括を書くようになっています。これを 26ページ ちょっと見たときに、総括をどう書くかっていうちょっとイメージが私、浮かばなくて。要するに総括を書こうとするとこれまでの評価を全部、繰り返して書いてしまうことになりかねないなと思っているんですけれど、ちょっと総括は、これはどんな。杉浦委員からちょっとご意見いただいたところですけれど、どんなイメージで書きましょうか。入れるとしたらどんなイメージなんでしょう。 中間報告のときも何か総括を入れようかという議論があった覚えがあって、でも結局、評価のところに全部書かないと何か落としてしまうんじゃないかということになって、繰り返しになる可能性もあるから、総括は入れずに評価で記載しようという話があったような記憶もあるんですけれども、いかがいたしましょうか。事務局の方で何かイメージがありますか。 ◎事務局(伊藤担当課長) 総括につきましての中間報告の際のことは、今、田中先生がおっしゃった通りでございます。ただ、中間報告の内容につきましては、例えば、職員の人権意識が低かっただとか、全体を通しては、いろんな報道等が結果的にされた中で、市民の皆さんにわかりやすく、もしこういった総括ということでお伝えできるような方法があるかというふうなことはありました。ただ、今、田中検証委員長がおっしゃったように総括でなくても、「おわりに」だとか、何かその全体を通したものを、検証委員として何かお書きいただくようなところがやっぱり望ましいのかなといいますか、他の検証の報告書など見ましても、全体をまとめたような記述をいただければというふうなところで、事前にこういった構成を相談させていただいた中で、入れる形になっています。 ●田中検証委員長 はい、ありがとうございます。なるほど。 ●小林委員 そういう意味では第6と第7の順番を入れ替えて、再発防止として取り組むべき事項とかも含めて、最後のこの報告書全体のまとめみたいなのを入れる形の方がいい気はしています。そこら辺は、今後に向けた決意じゃないですけれど、ちゃんとやってよ、みたいなことをベースに、ちょっと書くって感じかなっていう事だったら書きやすいのかなっていう気はしています。 ●田中検証委員長 ありがとうございます。まあそうですね、なるほどという感じがしました。一番最後の、「結びに代えて」みたいな。そういうところですかね。検証を終えた総括という形で、少し入れてみましょうか。確かに市民へのメッセージとして何かあった方が、報告書としてわかりやすいかなと、小林委員のご意見をいただいてそう思いました。じゃあ、順番をちょっと入れ替えて最後 27ページ にしましょうか。そしたら再発防止のところは、今のところ追加するところはないかなと思っています。中間報告からもし進んだところがあれば、そこは盛り込んでいって、現時点ではここまで進んでいます。今後はこうしていきたいっていうような内容にすればよいかと思っています。 骨子案は概ね議論できたかと思いますが、スケジュール的にはまだ障害者団体のヒアリングも残っていますので、それを踏まえて8月29日までに大体、文章化を行うというスケジュールでよろしいでしょうか。事務局の方は。 ◎事務局(伊藤担当課長) スケジュールに関してはおっしゃる通りで、障害者団体への聞き取りにつきましては、有識者の先生方には7月25日で調整を進めさせていただいておりますが、そういったことも含めて文章化いただきます。中間報告と同じように、ちょっと一週間なのか、また中間報告の方が分量が多かったのでもう少し短くなるのか、先生方にまたそこは相談させていただきながら、次回検証委員会の10日ぐらい前までには、完成できるところから逆算してスケジュールを、改めて相談させていただきたいと思います。 ●田中検証委員長 最後に、最終報告書の執筆についてですけれど、ここはそれぞれまた、浅田委員、小林委員にはご負担をおかけしますけれども、ご協力を、ご尽力をいただけたらと思います。 最後に資料8ですね。中間報告では少しグレーな感じの記載ぶりだったところを、もう少し断定的な表現に変更したらどうかという指摘もあったところですけれども、これはどなたに説明をいただいた方がいいですか。 ◎事務局(伊藤担当課長) こちらの案につきましては、小林委員から「判断する」ということでどうかと、ご提出いただきました。 ●田中検証委員長 これ個別にご説明いただくよりも、小林委員からこういったご提案があったので、それぞれの委員で確認をして、意見表明をまた次回ということでよろしいですか。小林委員から一言、何かあれば。 ●小林委員 考え方としては、中間報告では推認していたところについて、その後、推認を覆すようなことが出ない限りは、検証委員会としては「判断する」という形で報告がまとめられるのかなということで、今回、推認したところについて特にそれを覆すような事情がなかったので、検証委員会としてはこう判断するという形が適切になるかなというふうに思って書かせていただきました。 28ページ ●田中検証委員長 ありがとうございました。それでは、検証については以上ということにしたいと思います。それでは司会進行を会長の方へお返しいたします。 ○杉野会長 長時間にわたりまして、本日もありがとうございました。 また、本日の議題はこれで皆さん、議論いただいたわけですけれども、次回は8月29日を予定させていただいております。先ほど障害者団体のヒアリングがまだ残っているということと、8月29日に向けて最終報告の取りまとめをしていくんですが、もう一度、全体を見て議論をして、確かなものにしていくための日程を取るのも必要かなというふうに考えておりまして、9月の12日か18日を予備日としてご予定をさせていただいております。 この辺りでは、もう結論として出していけるといいなと思っておりますが、よろしかったでしょうか。ではそのようにお願いをいたします。 では、本日の会議は以上でございます。長時間ありがとうございました。