1ページ 「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証委員会による検証のための松雄副市長ヒアリング発言記録 令和6年5月20日(月) 《有識者の委員には○、市長には▲をつけ区別しています。》 ○小林委員 まず最初ですが、史実に忠実な復元とか本物という言葉や説明がいろいろ出てきていたと思うんですが、具体的な内容については、かなり人によって幅が一般論としてはあると思います。史実に忠実な復元とか本物ということの具体的な内容について、市長及び職員の方々、特に名古屋城の担当者の間で、認識をきっちり合わせて、意識的に認識を共有するように合わせることを行ってきたかどうかについて教えてください。 ▲松尾副市長 そこが今回の差別発言を生んだ最大の課題というか問題点だというふうに思っておりまして。正直、市長と私、そして観光文化交流局との間で、先生がおっしゃられました史実に忠実な復元ということと、バリアフリーをどういうふうに両立させるかについての意見の差異がありました。 市長はご存知のように、やっぱり史実に忠実な復元を最大限尊重したい立場。要するに文化財の復元をしたい当時の姿に戻すことに最大の力点を置いて考えるべきという立場です。それから名古屋城の方々は、障害者の方々ともずっと詰めて参りましたので、どちらかというと復元も大事だけど、復元するときにはできる限りバリアフリーを進めていきたいということです。私はどっちかというと中間なんですけども、復元時には障害者の方が望むようなバリアフリーはできないかもしれないが、技術は日進月歩なので、やっぱり少し時間をかけながら最終的には最上階までバリアフリーを進めていきたいという立場でありまして、ここが最大にすり合わせをすることなく、当日の討論会に当たってしまったことが最大の問題だというふうに思ってます。 ○小林委員 すり合わせができてなかった。行ってこなかったっていうこと。 ▲松尾副市長 いや、相当行いました市長と。相当やりましたけど、副市長として市長を説得できずに、曖昧のまま討論会に臨んでしまった。むしろ市民の意見をお聞きすることによって、市長のお考えを変えていただきたいというような思いも多分にございましたので、失敗に繋がってしまったというふうに思っております。 2ページ ○小林委員 名古屋市としての認識、見解というものと、市長としての認識と職員の認識、いろいろあると思うんですけど、それが一致しなかったんですかね。名古屋市としての見解と市長の見解はこれ一致してるという理解になるんですかね。 ▲松尾副市長 微妙ですけども、細部まで完全に一致してるかっていうと、今でも一致しておりません。それは正直先生方にも今日資料お渡ししようかなと思っとるんですけども、やっぱり文化財の復元とバリアフリーをどういうふうに両立するかについては、国の基準がないんですね、国の基準が。国会の答弁でもある面で大臣がですね、「非常に悩ましい問題だ」というような答弁をしているもんですから、そこにどちらに重きを置くのかっていうのはもう全国的にも分かれてるんですね。 例えば、木造で復元いたしました大洲城とか掛川城。一切やってません。今回の国が主導でやってる首里城もですね、やっぱり文化財を復元するから、内部エレベーターはつけないというふうにはっきりと国の資料の中で書いてありますので、そこはやっぱり価値判断の問題と言ってはいけないなんですけども、どう考えるのか。すなわち、史実に忠実な復元とバリアフリーとどういうバランスを取るかについては、私は最終的にこういう判断ができるのは市長しかいないから、本会議答弁で市長に最終的にはご判断をいただきたいと申し上げたのはこうした判断に基づくものです。政治的責任も市長にとってもらうというぐらいでないと答えが出せないものですから、そういうことでございます。 ○小林委員 市長の考えている史実に忠実な復元とか本物という意味は、副市長としてはどういうふうに認識されてますか。 ▲松尾副市長 私は副市長ですし、民生局っていう福祉の部門も若い頃やっておりましたので、市長のおっしゃるように、文化財の復元、史実に忠実な復元だろうと言って何もバリアフリー化しないということについては、ありえないと思ってます。役所としてそれは絶対にありえない。そうは言っても、私だって名古屋城天守の復元には強い思いもありますので、何らかのバリアフリーの対応しながら、これからそういう技術っていうのは日進月歩でありますので、いきなり最高のものを求めるのではなくて、少し時間をかけながら、市民の皆様にも、バリアフリーとはこういうものなんだと見ていただきながら漸進的に進んでいくっていうのが私の考えでございます。 3ページ ○小林委員 市長の立場は。 ▲松尾副市長 つけないです。 ○小林委員 その市長の、つけないという考え方というものは、職員が賛成するかどうかは別ですよね。職員の間には市長のそういう考えというのは共有されていた。 ▲松尾副市長 共有されています。 ○小林委員 市長はそう考えていて、名古屋市としては、どう考えてたっていうふうに認識されてますか。名古屋市としての、おっしゃるような見解としてはどういうふうに、史実に忠実とかを考えていたか。 ▲松尾副市長 最大限忠実な復元をしなくちゃいけないというふうに思っておりました。それはやっぱり僕らも文化財の復元と考えてましたので国の令和2年基準に基づき在りし日の国宝第一号の城を復元したい想いは市長と一緒です。ですけども、今の世の中、共生社会を目指さなくちゃいけないですから、バリアフリーについても、できるだけのことはしなくちゃいけないと考えていたのが、私であり、所管の観光文化交流局です。城の復元時に、どこまでバリアフリー化をしなくちゃいけないか、一挙に実現するのか、少し時間をかけて漸進的に実現させるのかというこの振り幅の考えが、私と観光文化交流局では違ったということです。 ○小林委員 観光文化交流局の方は、もっと初めからかなりつけるっていう認識があって副市長としては、いきなりは現実的に難しいところがあるので、バリアフリー化をちょっとずつ広げていくっていうか。 ▲松尾副市長 そういう考え方でおりました。市長の考えも当然尊重しなければ前に進みませんので。 ○小林委員 副市長の考え方と観光文化交流局や、場合よっては名古屋城総合事務所の間で、その考え方は共有されていた。 ▲松尾副市長 市長と私、名古屋城事務所との間の考え方の違い、開きがあるということは、共有されていたと思います。 4ページ ○小林委員 ただ、それがすり合わせというとこまではできてなかった。 ▲松尾副市長 先生、この問題を、どこかのところで結論を出さなくちゃいけないと思うんです。もうこれは市長を説得しなくちゃいけないというふうに思っております。中間報告を読ませていただいた後ですね、決意を固めておるというのが事実でございます。 ○小林委員 観光文化交流局の考え方に合わせてそっちの方に説得すると。 ▲松尾副市長 いや、観光文化交流局も説得します。市長の考えを理解、改めるべきものは改めてもらわないといけないと思っております。 ○小林委員 観光文化交流局も説得する。 ▲松尾副市長 はい。市長も説得します。そういうある程度一定の、まさにおっしゃられた考え方ですね、それをまとめなくちゃいけないというのはもう僕の役割だもんですから。その前提として、もう一つの当事者である障害者の皆様ともきちんとすり合わせないといけない。いわゆる建設的な対話ですね。ここをやってまさに結論を得たいと。こういうふうに思っております。歴史的建造物の復元とはどういうことなのか、バリアフリーについて国はどう考えているのか、世界の事例はどうなのかなど、丁寧に会話を重ねたいと思っております。 ○小林委員 今回の出来事の段階では、それができていなかったということですよね。 ▲松尾副市長 はい。 ○小林委員 努力も十分できてなかったということなんですかね。 ▲松尾副市長 努力、そうですね。十分、やり方を詰めて、臨まなかったというのは、本当に検証委員会の皆様の中間報告通りですから、その通りですね。 ○小林委員 やらないといけないとは思ってたけども、できなかったっていう認識なんですかね。やらないといけないというところも抜けてたっていう認識なんですかね。 5ページ ▲松尾副市長 やらなくてはいけない、ここまで終えなくちゃいけないという認識はありませんでした。要するに人権問題とかあの討論会のような対立構造になるっていう想像力ですね、これは欠如してました。今考えても。 ○小林委員 次の質問に行きたいんですけども、昇降技術をつけることに反対される方々の意見の中にはですね、「市長と同じ」だとか、「市長の言う通りに」という感じの発言も度々見られるんですけども、そうした意見の中には、市長の認識を誤解した内容もあるのかもしれないとも考えられると思うんですけども。そうしたことが対立背景の遠因にもなったかもしれないと思っているんですが。本音のところはちょっといろいろ議論はあると思うんですが、市長は、実際には当然、江戸時代になかったようなスプリンクラーとか照明設備とか、鉄筋の基礎構造など現代設備というものが予定されていることは、認識されてたと思うんですね。本当に江戸時代そのままっていうことは、当然、現実的には想定してないと、市長も理解していたと思うんですよね。そういう現代的な設備があることを認識した上で、「本物」と主張していたわけですが、市長と同じように、現代的設備があることを、昇降技術をつけることに反対している市民の方々の多くが、その認識があったとお考えでしょうか。 ▲松尾副市長 そこはですね、何十回と説明会をしておりますけども、繰り返し繰り返し、説明してきたつもりでございます。姫路城でも地震に備えたダンパーをつけておりますし、鉄骨である程度補強をしてると。それから、国の、「史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準」においても、人命的な、あるいは防災的なことについてはしっかり対応しないといけない、じゃないと認めないということまで書いてありますので、当然それは、やる前提であります。 ただ市長は、最初のころは、昔の史資料が豊富に残っているので往時の名古屋城と寸分違わぬ復元ができるって言っておられましたね。だから、それは後あと誤解を生みますので、市長さん、その言い方はやめてくださいと、寸分違わぬはできませんし、史実に忠実なというような言葉に変えていただいたとお願いしたのは事実でございます。人命や防災の観点から必要な現代技術を加えることについては、繰り返し説明をしてきましたけど多くの市民の皆さんに正確に伝わったかというと、誤解がある方もたくさんいるというふうに思っております。 6ページ ○小林委員 仮に誤解されている市民の方々も一定数いたと認識しているとすれば、それは違うということを正しく認識してもらうために、今から考えると、どういうことが必要だったとお考えでしょうか。 ▲松尾副市長 バリアフリーをどう導入するかという問題と、防災対策、人間を入れますので、そこを人命をどういうふうに守るかっていうことは、私は、別の問題だと考えています。なぜならば、この国の基準の中でもバリアフリーのことについては一切触れていない。大洲城でもそれから掛川城でも何もつけずに通ってると。一方で金沢城みたいな、いろいろバリアフリー対策をしているところもあります。繰り返しになりますが、名古屋城として、どういうふうに政策判断するかっていうことですね。ですから、国の基準からすれば、防災上、人命上の観点から鉄骨構造とかダンパーを入れること等、現代技術を導入することはマストなんですけれども、だからバリアフリーを入れなくちゃいけないっていうことは国の基準に記載がない。各自治体で判断することになっておりますので、私の中では直接的に結びついておりませんし、それは市長の認識も正しいと思います、僕は。 ○小林委員 ただ、市民の側からすると、バリアフリーに反対する時に、全く江戸時代と同じようなものを作るって言ってるんだから、そこに手を加えるのは…っていうふうに思ってる人もいて。でも実際は全く同じものを作る想定ではなくて、ある程度手を加えられるんですよということが正しく認識されていれば、市民の側からすればですね、そこがちょっと相対化するっていうんですかね、多少あってもいいんじゃないかというふうになったんじゃないのかなっていうのもあって。 そういう行政の側から見た振り分けの話と、市民の側の受けとめ方ってずれ感があると思うんですけど、その市民の側から見たときのことを考えた場合、その辺りをちゃんと説明できていれば、多少対立っていうんですかね、直接じゃないですが遠因としては、緩和されたんじゃないのかなっていうところでご確認したいんですけど。 ▲松尾副市長 先生おっしゃる通りだと思います、それは。思いますが、いろいろ私ども努力はしてきたつもりですけどなかなかそこの辺はやっぱり伝わってない。史実に忠実に図面が完璧にあるからということで、本当にそのままできるっていう市民の皆さんは、本当にたくさん見 7ページ えて、そこをやっぱりなかなか十分ご説明できなかったっていうのは、その通りだしそれが遠因になってるってこともその通りだというふうに僕も思います。 ○小林委員 もう少し踏み込んでお伺いすると、例えばホームページでPDFとかをきっちり見ていくと、当然初めから江戸時代と同じもの作る想定ではないことは理解はできるはずなので、名古屋市として、情報発信を全くしなかったわけじゃないと思うんですけども、ただ、いろんな説明会でもそれが繰り返し行われてると認識してるんですけども、例えばホームページのPDFをどれだけの人が、積極的に何十ページ見るかというと、あんまり見ないと思うんですよね。 つまり、形の上では情報発信は行われていた。また、説明会に来る人が、名古屋市民のどれぐらいの割合かってのもあるので、名古屋市として情報発信はしてるけど、それが広く市民の誤解を解く手段として、十分だったかっていうと。 ▲松尾副市長 十分ではありません。 ○小林委員 それを前提に、再発防止も考えたときにですね、どうしたらよかったとのお考えが、もしあれば教えて欲しいです。 ▲松尾副市長 これだけ木造復元に時間がかかり、バリアフリーの差別発言問題を含め様々な課題が噴出している状態では、市民の関心も薄れていくのは当然であり、行政の責任は大きいと思っております。そして、私たちが目指している名古屋城天守の復元とはどういうことなのか、またどういう基準に即して復元するのかなど、議論の土台を改めて説明し、障害者を含めたオール市民が共通の認識に立つ努力をすること。ここが、大変大きい課題だと思っておりますし、そこを丁寧にやらないと理解が、なかなかやっぱり交わらないというのも事実だと思います。 ○小林委員 次の質問に行きたいと思うんですけども、一般的なエレベーターと、名古屋市で考えている、いわゆる昇降技術というものは、一応別物、エレベーターとは異なる技術ということが前提だと思うんです。今回の昇降技術は、平成30年5月に決定した付加設備の方針に従って、いわゆるエレベーターを設置しない代わりの新技術として公募されてるものだと思うんですが、この昇降技術は、柱や梁を痛めたり、内部構造を壊したりしないという、従来のエレベーターとは 8ページ 違う新技術なんだということがちゃんと市民に伝わっていたと、多くの市民が理解できていたというふうにお考えでしょうか。 ▲松尾副市長 僕は、従来のエレベーターとは違うんだということは、マスコミの皆様には、絶対そこは間違えずに書いて欲しいということは繰り返し申し上げてきたつもりです。柱・梁を抜かずに何とか折り合いをつけて昇降装置、新技術を開発して、ということについては、一定伝わってるというふうに思っております。市長は別ですけど。 ○小林委員 市長は思ってなかったと。 ▲松尾副市長 市長は政治家ですので、有権者を意識する。意識的にエレベーターと言います。何度僕らが、「新技術です」と、「これはエレベーターとは構造が違います」というふうに言っても、市長の中では外見はエレベーターのように見えるので、これはやっぱりエレベーターと発言しておりましたね。 ○小林委員 多分その影響があったのかもしれないですけど、反対意見を述べてる方々の中でもエレベーターと同一視されている方もやっぱり散見していて。 ▲松尾副市長 それは否定しません。 ○小林委員 その辺りが対立の遠因にもなったんじゃないのかなっていうことがあるんですけども、その辺りはある程度伝わってるけどなかなか徹底はされてなかったってことなんですかね、市民に。 ▲松尾副市長 相当広報やったつもりですけども、誤解してる方も大勢いるかもしれませんね。エレベーターがつくんだと。 ○小林委員 もし何かお考えがあれば聞きたいんですけど、場合によっては市長発言の中で、いろいろ市民の中で誤解が深まるところもあり得る発言も多分あると思うんですけども。そうした中で、いや名古屋市としてはそれは違うんだって発信が必要というときですね、なかなか通常難しい。情報の発信の課題が出ると思うんですけど、そういうことを踏まえたときに何かこうしておけばよかった、こういうことが必要だという、もしお考えがあれば。 9ページ ▲松尾副市長 今となっては大きな反省点ですが、役所内の確固とした意思統一を欠いた状態で、あのような差別発言が出るような、その「討論会」という名称も含めてですね、結果論ですがやるべきではなかったですね、これが一つ。 あとですね、やっぱりああいう大きな問題を起こしたとき、副市長としてはですね、当然早く謝罪に行きたい。関係修復の糸口をつかまなければいけないと思ったんですけど、如何せんですね、障害者の方々との人脈が全くないんですよ、私自身も。このため、初動対応が決定的に遅れました。これはもう私自身の危機管理上の大失敗だと思っておりまして、大いに反省しなければなりません。やっぱりああいう役所の不手際があるときに、何か大きな事が起こった時にちゃんとすぐに謝罪する、そして、次の建設的対応、どういう対応をしたら元の状態に戻すことができるのかを率直に話すことができるようなパイプ、人脈ですね、これを自分で作ってこなかったことは、致命的なミスだと思っております。バリアフリーに対する障害者とのやりとりは全部局に任せていたことも含めてですね、失敗でした。 ○小林委員 問題は起こさないことは大事ですけど、問題が起きたときの対応。 ▲松尾副市長 そうです。対応が全部後手に回ってしまいました。 ○小林委員 討論会をやるんだったら、きっちり、ちゃんと詰めてという話もさっきされたと思うんですけど、市民対話で方針を決める場合には、当然市民が昇降技術を正しく理解するための説明が必要だったと思うんですけども、名古屋城総合事務所の方はですね、そのためには2年程度はかかるんだというスケジュールを考えて副市長の方に、具体的に提案していたという話を聞いてるんですけども。 ▲松尾副市長 それは、市民に理解いただくには2年程度かかるんだというふうに名古屋城が言っているってことですか。 ○小林委員 市民に意見聴取をするにあたって、事前にちゃんと理解を深めないといけないからそれやるんだったら2年ぐらいは時間かけて、やらないといけないということを、名古屋城総合事務所の方が副市長に提案してたということなんですけども、副市長としては、令和5年8月の復元検討委員会に間に合わせないといけないので、そのスケジュールを強く指示したと聞いてるんですけども。先ほどのお話の通 10ページ り、市民の意見を聴取するならできるだけ正しく認識してもらった上で、聞いた方がよかったというふうにも思うんですが、それであれば、令和5年8月という時期を優先させるんじゃなくて時間をかければよかったとも思うんですけど、あえて優先させた理由を教えていただきたいです。 ▲松尾副市長 その認識は少しおかしいと思います。 ○小林委員 それはおかしい。 ▲松尾副市長 なぜおかしいかと言いますと、私の知る限り当時の所管の局長が、令和4年3月の経済水道委員会と令和4年10月の経済水道委員会、つまり予算委員会と決算委員会において、バリアフリーなど課題はありますが、「令和4年度内に、名古屋城天守復元の全体計画を局を挙げて全力で取り組んでまいる」という決意を述べておりますし、それを受け、令和5年2月の本会議において、私が同趣旨の答弁をしております。議会という公式な場で、説明をしてるんです。ですから、名古屋城総合事務所を統括する局長が2度、3度と決意を述べておられますので、そのスケジュール的に最大限守るよう努力するのが役所の普通のルールではないか。2年間かかるからというのを、ちょっと僕はあまり理解できません。 ○小林委員 すでに観光文化交流局の方で、局長の方で、もうスケジュールについて、たくさん説明していると。 ▲松尾副市長 公式な委員会で、局内でスケジュールについては相当議論し、その積み上げの経緯として答弁している以上、その認識はすごく重いと思います。このことを含め、結局のところ、冒頭に申しましたように、市長と私と観光文化交流局との間のしっかりとしたすり合わせ、意思統一ができなかったというのが根本にあると思います。 ○小林委員 委員会の方でスケジュールを言っている。 ▲松尾副市長 局長がですね。 ○小林委員 言っている以上は、市の職員としては、当然それが市のオフィシャルな見解になってくるので、それに合わせてちゃんと実務的な作業をしていくのが筋になってくると。 11ページ ▲松尾副市長 局としてですね。 ○小林委員 そうなると、無理に意見聴取の会を入れて、そのスケジュールをずらすよりは、むしろどちらかというとそれはやらないという話になるんですかね。 ▲松尾副市長 今思えば、やらない方がよかったと思うんです。ちゃんと最後は市長のご意見を伺った上で、市長が市の方針を決定するというプロセスを何度も本会議で答弁しておりますので、それでやればよかったなというふうに、結果論なんですけども、思います。 ○小林委員 なんか無理に意見聴取して、委員会でもすでに言っているスケジュールを無視するような展開という方が。 ▲松尾副市長 できれば令和4年度までに全体計画をまとめてほしい、その後文化庁とも調整のうえ国に提出することは、有識者会議の先生方にも、この時期に出しますということはもう言ってありますし、文化庁がある程度ご存じのことですから、事務的に2年先送りするっていうことは、国との信頼関係も失うことになりますので、それはできないと言わざるを得ません。 ○小林委員 なるほど。はい。わかりました。 それぐらいだったら、もう討論会をやらない方がよかったんだっていうことですよね。 ▲松尾副市長 現実、障害者の方の人権を大きく傷つけてしまいましたし、文化庁への提出時期も守れなくなりました。やるべきでなかったです。 ○小林委員 わかりました。ここの辺りでまた改めて、文章だけちょっと整理して聞くことになるかもしれないですがよろしいですか。 ▲松尾副市長 結構です。はい。 ○小林委員 関連する次の話なんですけど、令和4年12月5日の市長定例記者会見で市長は、三階以上の設置の場合は、本物を壊すとかですね、本物性を全部毀損するという感じの表現を使ってたんですけども、市長に対して、「いやこの新しい昇降技術は、内部構造を壊すものでは 12ページ ないよ」ということは、きっちり説明されて、市長もそれをご理解されていたかどうかの認識を教えていただけたら。 ▲松尾副市長 どういったらいいですかね、新しい昇降技術は柱や梁を抜かなくても済む最低限の史実性を守ることができる「考え」としては、理解していると思いますけど、政治家として、市長として、文化財を復元するんだという強い思いからすれば、いや、それは「復元」ではないと思っておられると思っています。 ○小林委員 もうちょっとですね。 ▲松尾副市長 市長は、すべてバリアフリー技術を否定しているわけではなく、天守の階段を車いすで直接昇降できる技術等によって最上階まで昇れるならそれが一番いい。そういった技術を積極的に開発していきたいとおっしゃっておられます。何とかバリアフリーについては、しなくちゃいけないって思っておりますけれども、やっぱり3回も4回も名古屋城が争点になり、エレベーターは付けない、史実に忠実な復元をすると有権者に約束しておられますので、新技術の昇降技術といえども、エレベーターのように見えるものを技術的に別だからと言って「はい、そうですか」っていうわけにはいかない。そもそも、文化財を復元すると言っているのに、そこにバリアフリーという別の概念を入れてもよいのかという根本の問題も提起しておられます。ここは、もう市長の信念と言ってもいいです。 副市長である私としては、市長のそうしたお考えは十分理解した上で、障害のある方もそうでない方も共生社会をつくっていくという課題がありますので、「復元」と「バリアフリー」をどこかでバランスを取るべきであり、0か100はあり得ない。だから今後よくよく市長と議論し、場合によっては市長を説得していく覚悟をもって臨んでいきたいと思っております。 ○小林委員 先ほどちょっと聞いたことに重なるんですけど、市民の激しい意見対立、差別発言の前提になるようなことを緩和・解消していくためにはですね、やっぱり市民への正しい情報提供が重要だとお考えですか。 ▲松尾副市長 重要です。 ○小林委員 でもこれまでは、先ほどの話しだと、それが不十分だったことが今 13ページ 回の差別発言みたいなところに繋がるという認識がまだ弱かったので、そこら辺についての意識がちょっと弱かったので、できてなかった。 ▲松尾副市長 仰るとおりです。 ○小林委員 今後そのための何らかの仕組みっていうのが、やっぱり必要になってくる。 ▲松尾副市長 これまでも職員は様々工夫をしながら一生懸命説明してくれていますが、なかなか市民の理解が進まないのが現状です。だから今後はそういうことに造詣の深い学識経験者にもお願いして、集客力も期待しつつですね、役所とは違う観点からわかりやすく説明いただくことも、ひとつの方法かなと思っております。 ○小林委員 ちなみに法的な枠組みではですね、アメリカとかではインフォメーションクオリティアクトみたいなのがあってですね、行政側が発信している情報について、ちょっと誤解招くものだったり、偏りがあったり、あるいは受けとめ側がちょっと理解できないような情報だった場合について、市民の側がそれについて訂正を求めるような、情報をきっちりとクオリティを高めていこうみたいな仕組みもアメリカではあるんですけども、そういうことも参考に。 ▲松尾副市長 ぜひ学びたいですね、そういう手法があるということだったら。 ○小林委員 例えば、再発防止の一つとしてそういうこともあり得るとお考えということですかね。 ▲松尾副市長 考えます、それは。ぜひ学びたいと思います。 ○小林委員 いつでも情報提供できます。 次に、今回意見聴取をする前に、バリアフリーの対応をいろいろ名古屋市として考えていくにあたって、新技術の公募までにかなり障害者団体から意見聴取を積み重ねてきたことが前提としてあると思うんですが、そうした障害者団体との信頼関係とか意見聴取の積み重ねがあったにもかかわらず、改めて、市民の意見を聞いて方針を決めるんだといった場合ですね、障害者団体からすると、今まで聞いてくれてたの何だったのと、多数決で決めるべきなのかみたいな 14ページ ふうに受け取られることもあり得るとは思うんですけども、そういう意味では障害者団体との信頼を失うとともに、新たに意見対立が改めて浮き彫りになることも出てくると思うんですけども、そういう感じで障害者団体との積み重ねの合意形成の経緯とは別に、改めて市民の意見を聞いて方針を決定する手法ですね、選んだわけですよね名古屋市として。その合意形成の経緯と今回の市民討論会の関係について、以前もちょっと聞いたとこもあるかもしれませんが、改めて副市長としてのお考えを教えてください。 ▲松尾副市長 最終的に審査をする文化庁からは、バリアフリーをどこまで施すかについては、広く市民の皆さんの合意形成を得て市としての計画を持ってきてくださいねというふうに言われておりましたので、もちろん、この間の障害者団体の皆様との積み上げてきたことは是としながらもですね、最終的には広く市民の皆さんの合意形成を得る機会を設けて計画をまとめる。そしてその上で、名古屋市の有識者会議に諮って承認を得るというプロセスは必ず踏む必要があったと思っておりました。なので、こうした考え方に立って令和5年2月の本会議において、「大変難しい問題であるので、木造復元のバリアフリーに関しては、今一度市民意見を聴取する機会を設けて市民意見を伺った上で、その結果を踏まえて、最終的には市長の判断を仰ぎたい」と答弁しています。やり方はいかんかったですけども障害者団体と詰めてきた前提で、市民の意見を聞くっていうことは、私は矛盾してないと思ってます。 ○小林委員 なるほど。 これはいいかどうかじゃなくて一応可能性として聞くんですけども、そういう障害のある方とか配慮が必要な方々への施策について、なかなか一般論で言うとみんながみんな障害のある方に理解が十分あるわけではないところもある中で、そうした施策を考えるときにみんなの意見、多数意見で決めていくのが馴染まないところもあると思ってるんですけども、そのあたりについて、それもやっぱりみんなの理解を深める前提でやったほうがいいってこともあるかもしれないし、そこら辺についてもしお考えがあれば。 ▲松尾副市長 まさに今先生がおっしゃられたようにですね、バリアフリーの昇降装置を何階まで設置することが正しくて何階までは正しくないという絶対的な基準はないものですから、やっぱり、最終的には合理的・理性的な判断を市長にしていただいて、「これでいきたい」と 15ページ いう判断をしていただかないと先に進めない。事務的な積み上げで最上階の5階までがいいとか3階までがいいとか1階までとかゼロ、何もつけないのがいいっていう・・・ゼロはありませんけど。というのは、基準がない以上、事務的には判断できない。決定の仕方として、市長に判断していただく以外はないというふうに思っておりましたので、幅広い市民の皆さんの意見を聞いて、もちろん障害者団体も含めて、合理的、理性的に市長に判断していただくための場の設定があの「討論会」でしたが、意識統一が図られずにバラバラの状態で環境整備だけを先行してしまったものですから、失敗してしまったというふうに思っております。 ○浅田委員 ここまでの段階で、局の方では障害者団体の方たちとより上層階までのバリアフリーをずっと話してきていた流れの中で、今回のアンケートを取ることになって。そうすると、障害者団体の方から見ると、より上層階という話だったのに、皆さんの意見によって、今までの話がもしかして覆るかもしれないというような、そういうアンケートだと思われかねないことについて、どんな考えですか。 ▲松尾副市長 今考えれば、委員がおっしゃられたことは今回の失敗の核心の部分であって、事務方は確かに障害者団体の方と、できるだけ上層階と、こうやって何十回も詰めてきておりましたが、どんな話をしてきているのか、どこまで詰めているのかなど、そのプロセスを市長にタイムリーに上げてきたかと。市長の理解を得ながらキャッチボールしながらやってきたかというと、そこは多分、やられてこなかった。だから市長も局も不満がたまる。副市長である私が、間をとりもって調整しなければならないのに、介在をあまりしてなかったというところにバラバラ感を生んでしまいました。大いに反省しております。今こういう事態になっておりますので、もう一度、障害者団体と市長と溝をつなぐ役割を果たさないといけないと考えております。 ○小林委員 市民の多数意見を聞くという作業は、ある意味障害者団体との議論の積み重ねでは、できるだけ上っていうふうになっていて、それを市長に判断してもらって市民の意見を聞くっていうふうになると、基本的にはこれよりも下げるために意見を聞くという話になっていくような気がするんですけど。上までやるんだったら、聞かないでも、積み重ねで上までやりますって話になっちゃうので。 そうすると、どっちかっていうと、上までにしないよう、根拠づけ 16ページ るためにやったようにも見えないわけでもないんですけど、そういうわけでもないんですか。 ▲松尾副市長 私は、そういう何か打算的要素があって開催したのではありません。理想としてできるだけ上層階までいきたいというのは、そう思っていますけど、じゃあ上層階とはどこまでなんだということについては、市として答えを出してないんです。私個人は5階までは一気にいけないと、それは。この前も申し上げました。文化財の復元ですので、技術的にどこまで行けるかという前に、やっぱり文化財的な価値はきちっと見なくちゃいけない。海外の事例では、最上階の5階、言い換えれば文化的価値が高い部分はあえて別のところで復元した海外の最先端の事例というのもあるわけです。そうしたことを市長とキャッチボールしながら行政内部の中で、意思決定をしていくプロセスが欠如してしまいました。さっきの市民討論会において、一般市民の皆さんがですね、上の方まで行って欲しいというようなご意見を頂戴しました。私はうれしかったというふうに申し上げたと思いますけども、やっぱりそういう声も聞いていただいて、最終的に市長において合理的、理性的に判断していただきたいと。そこで2階まで、1階まで、3階まで、4階まで、5階までっていう最終判断をもらったら、当たり前ですが、私は従うつもりでおりましたし、観文局も従う準備はあったというふうに思っています。 ○小林委員 なるほど。障害者団体との話し合いで積み重ねていったことだけだと、それについてはなかなか十分市長のところには理解が得られてないというか。 ▲松尾副市長 市長とのキャッチボールをないがしろにしたのが失敗ですね、私の責任は大きいと思っております。 ○小林委員 ちょっと言い方、聞き方を変えるんですけど、今回の事象をちょっと横に置いといて、こうした大きな事業をやるときに、当事者団体からの意見だけで施策を決めるのではなくて、一般論としてもやっぱり広く、それを前提しながらも広く一般の人に理解を求める作業が必要であったとして位置付けたって感じですかね。 ▲松尾副市長 そうです。 ○小林委員 もともとの話だと討論会というよりは、市民の意見を聞くというか 17ページ 説明の要素が強かったからですよね。 ▲松尾副市長 その通りです。 ○小林委員 その中でコンセンサスを得てやっていくというのが本来の形ですかね。 ▲松尾副市長 委員おっしゃる通りです。この反省に立って、今後は、障害者団体と私ども行政が対等な立場で、どういう議論をしてるかも含めて全部見える化をしてというようなことをやらないと、事柄によっては対立になってしまう。だから、計画づくりの段階から団体の方々と一緒に考える。そしてその合意に基づいて予算をつけて政策を実行していく。それを全部いわゆる検討過程から市民の皆さんに見える化して、もう合意形成をあらかじめつくっていくようなやり方をこれから考えなければいけないと思っています。特に名古屋城の問題では。 ○小林委員 今のお話だと、時間もかかると思うんですけど、かなり理解を得ながら計画を作ってやっていくっていうことになるので。そうすると元々市長が考えているようなスケジュール感とか、いろんなものが結構ずれることもあると思うんですけど、そういうことですか。 ▲松尾副市長 天守のバリアフリーをどうするかだけを議論すると、また対立関係が生じるかもしれない。天守の問題は少し切り離して名古屋城全体のバリアフリーの問題を先に議論してはどうですかね。だって今のままでは障害者の方はスムーズに名古屋城にたどり着けませんよ、車椅子で。目の不自由な方に対して実質何も対策を講じていません。もし対話がもう一度できるならば私は障害者団体に対して全体のバリアフリーの議論を先にやりませんかと、いうことを申し上げながら、プロセスも全部、今までの単なる意見を聞くだけじゃなくて、計画そのものを一緒につくるまで行う。こうしたことは特別史跡では初の試みであり、先進的です。きっと市長も乗ってくると思うのです。 ○小林委員 次ですけど、エレベーターとか昇降技術に対するレクの中で、市長の言動が職員の意識にどれぐらい影響したかというところをちょっと聞いておきたいんですけども。市民アンケートの記述とか討論会当日の昇降技術の説明など、必ずしも十分説明できてなかったとこ 18ページ ろもあると思うんですけども、そういうところについて、市長のいろんな言動が影響していたと思われますか。 ▲松尾副市長 大きな影響があったと思います。 ○小林委員 やっぱり、あった。 ▲松尾副市長 相当、大きな影響があったと思います。 ○小林委員 やっぱり職員の方としては、ちょっと言いにくい雰囲気があったみたいな感じですかね。 ▲松尾副市長 記憶が確かではありませんが、職員から私のもとに、市長が昇降装置を「付けない」と言っているとの情報がありました。どうしてそういう重要な市長レクに副市長を呼んでないんだということ、君らだけで説得できるのかと市長を、と申し上げた記憶があります。障害者団体の皆さんとできるだけ天守の上層階まで昇ってもらおうと調整してきたものを「付けない」と言われれば困惑します。私も市長のとこに何度も行きましたし、お互い口も聞かないような状況になりましたし、役所としてちゃんと公募の手順を踏んで決定してきましたので。ということで、極めて大きな影響があったと思います。 ○小林委員 市長のそういう言動が職員にかなり影響して、なかなか昇降技術の説明とかいろんな話とかっていうものが十分に説明が、討論会の時も含めて説明ができてなかった。 ▲松尾副市長 多分おっしゃる通りじゃないかと思います。 ○小林委員 なるほど。 ▲松尾副市長 ですから、ごめんなさい。市長が一方的に悪いわけではなく、最終決定権者である市長との丁寧なキャッチボールですね。障害者の皆様とどのような意見交換を行い、どう結論を見出してきたのか。一方で、市長が、どういうお考えでいるのかということを我々もやっぱり十分理解をせずにやったこと、ある時、結論だけを市長に伝えたら市長だって困るわけでして、これは本当に繰り返しになりますけれども、失敗の一番の大きな原因だと思っております。 19ページ ○小林委員 職員の方々とのヒアリングにおいてですね、市長が判断する上で必要な情報として、昇降技術の詳細とか、それがエレベーターと違うんだということについてですね、なかなか職員の方が市長に説明しても理解してもらえないというか、聞いてもらえないということで、ちょっと苦悩、悩んでいたという状況も感じているんですけども。副市長としても、その場にいたかどうか別にして、いろんな間接に聞くのも含めて、副市長としてもそうした状況というものは感じられていた、職員の人たちが困っていると感じられていた。 ▲松尾副市長 大いに感じていました、それは。自らが市長の事務所に行って説得しましたし、いろんな市長に近い方にもお会いして市長を説得してほしいとお願いにもまいりました。なお、私が市長にどうしてもお伝えしたかったことは、繰り返しになりますが、役所として公募の手続きを適正に行ってきましたので、行政として決定した昇降技術を「採用しない」ということはできませんということです。 ○小林委員 役所としても、ちゃんとそういう何とか説得するための。 ▲松尾副市長 木造復元の計画を年度内にまとめることにしておりましたので、早く進めるためにも、一定妥協が必要ですということは何度も何度も市長に申し上げました。 ○小林委員 職員の方に対して何かこう、フォローっていうんですかね。大丈夫だよみたいな、そんなことはされてたんですかね。 ▲松尾副市長 職員にはね、自分が説得するということは、職員にも言いました。だけど、時間をくれと職員には。時間っていうのは、いきなり最初からゼロの人と5階までっていうことではすり合わないじゃないですか。ですから、時間という概念を入れろと。最初は1階2階3階でいいじゃないかということはずっと言い続けました。 ○小林委員 そこら辺のすり合わせが難しくなったと思うんですが、令和4年から5年の年末年始、一時期ちょっと名古屋城と副市長の間でちょっと意思疎通が難しかった時期があったって話を聞いてるわけですけども、その考え方の手順っていうんですかね、そういう違いの中で議論が白熱することは当然いろんなところであっていいと思うんですけど。白熱して言い合って終わっていたらあれなので、それを何と 20ページ かこう擦り合わせるっていうのは、できていたんですか。 ▲松尾副市長 今思えば、それぞれの思惑や考えに開きがあって、名古屋城の職員に方針が確定しないことによる負担感は相当なものだったでしょうね。バリアフリー討論会そのものは、参加者の冷静な議論を想定しておりました。あのような言い合いになることは想定もしてませんでしたので、とにかく、市民の皆さんの意見を直接市長は聞いていただくことにしておりましたので、少なくともゼロ、何も付けないという判断はありえないと考えておりました。 ○小林委員 最終的には副市長の考え方をやっぱりこうしろって決めたという流れになるんですかね。名古屋城総合事務所としては、やっぱりもっと上までつけたいっていう話をしていたけど、やっぱりそれはちょっと難しいからという副市長の考え方があって、意見がすりあわなかったので、最終的には副市長として、副市長の考えでやるようにと決定というか、指示が出た感じなんですか。 ▲松尾副市長 バリアフリー対策をどうするのか、最終の意思決定の場面は、所管の観光文化交流局長と市長と私との会議を持とうと思ってましてね、そこで市長のご意見を伺って、最終的に市はこういう方針にするんだという判断をしようと思っておりました。その過程で副市長として、「君ら5階までっていうけど、じゃあ5階まで本当に市長を説得できるのか」と。「市長からゼロ、付けないと言われたら、じゃあ君らどうするんだ」というのはかなり言いました。つまり、ある程度柔軟な考え方で臨めばいいのではないか。それよりも意思決定で揉めて、結果、全体計画の取りまとめが遅れれば、議会との約束も反故になる。木造復元に期待をしてくださっている方々を落胆させるという思いがあったからです。 ○浅田委員 5階まで説得できるのかっていうのは職員の方に。 ▲松尾副市長 職員は、この間ずっと障害者の皆さんとすり合わせてますので。でも本当に5階までって言ったんですかね。 ○浅田委員 いや、より上層階までっていう表現でした。 ▲松尾副市長 そうですね。ですからより上層階というのは、何階までなんでしょうかねっていうのはみんな曖昧模糊なんです。でもそれも、最初か 21ページ らより上層階なのか、最終的により上層階なのか。ここの時間軸ですね。でも、市長の気持ちはゼロ。そこをどういうふうに意思決定をしていくのかがですね、一番の根本の原因でした。 ○浅田委員 失敗の大きな原因が市長と職員と。 ▲松尾副市長 副市長との意見の一致ができなかったこと。 ○浅田委員 そのキャッチボールがうまくできなかったのは、その考え方の違いを、お互い譲れないというかどこで折り合うかっていう地点が見つからないっていうところですかね。 ▲松尾副市長 そうですね。そういう文化財を復元するのかっていう立場と、市が実施主体となりますので、公共建築物を造る立場ってありますよね。ここに決定的なやっぱり、擦り合わないんです。市長は文化財を復元したいんです、最終的には国宝にしたいですから。職員は、税金使う以上、公共建築物というふうに思うもんですから、バリアフリーの根本の考え方として0対100になる。 でも、いろんな有識者の先生にお聞きすると、「答え」っていうのはこの間にあるんだと。海外も含めて全部が全部、バリアフリー対応しているわけではない。でも文化財だから全くバリアフリー対応しないという理屈もない、ここの答えを見つけるんだっていう理論ですね。そこを、あんまり勉強してませんでしたね。今、ようやくそこがわかってきましたので。 ○浅田委員 副市長さんが。 ▲松尾副市長 市長も。それから、彼らも、局も。 ○浅田委員 今ようやくというのは、この討論会のあと。 ▲松尾副市長 学識経験者の方にお聞きするとか、海外の先進事例というのはどこまでバリアフリー対応しているんだというようなことを、それぞれ勉強して。一方で公共建築物を造るのだから、どうせまがい物だから何でも良いという立場でもなく、文化財を復元すると言っても現代技術を加えますので、往時と全く同じ構造物を造るわけではない、ここの間にどういうふうに表現をしていくのか、バランスですね。 22ページ ○浅田委員 そこで説得していかれようという考えでいらっしゃる。 ▲松尾副市長 はい。世界のバリアフリー事例を含め、有識者のご意見を踏まえて冷静に市長と議論していく、論理的に説得っていうか、プロセスを丁寧にすり合わせないと、また対立構造になってしまいますので気を付けたいと思っております。でも、最終的にはやっぱり国がきちっと答えを出さないと、こうあるべきだと。非常に悩ましい問題と言って大臣が答えてるときはね、我々も悩ましくなっちゃうじゃないですかね。 ○小林委員 昨今のいろんな状況を踏まえて、あくまで念のために聞いておきたんですけども、名古屋城の職員の方がちょっと市長に説明に来たら、昇降技術等々について説明に来た時の市長の色んな発言、言動等が、副市長としてハラスメント的に、映っていたかどうかっていうのはありますかね。 ▲松尾副市長 市長って結構やさしいですよ。 ○小林委員 市長はやさしい。決してハラスメント、ああいうしゃべり方するけども、ハラスメントっぽいということではない。 ▲松尾副市長 今の市長がですね、ハラスメントっていうのは、僕はあんまり感じないですし、職員とも気軽にいっぱい飲んだりしますからね、市長と。それはあんまり感じないと思いますけど。ただ、型に嵌ったものについてはなかなか頑固ですから譲りませんけども。 ○小林委員 なんか議会でもちょっと問題なることがあると思うんですけど、切腹しろとか言った時もあると思うんですけど。何ていうんですかね、そのワードだけ取り上げると結構ハラスメントワードに感じるときもあるんですけど。その言葉だけ取るとですよ。その全体の雰囲気っていうんですかね、発言のやりとりの場の中では、ハラスメント的には受け取られるようなことではないと。 ▲松尾副市長 僕が切腹しろと言われた張本人ですから、名古屋城の木造復元ができなければ切腹しろということですけど、決してハラスメントには感じませんでした。大プロジェクトですし、それぐらい強い思いで名古屋城の木造復元に当たって欲しいということですので、その期 23ページ 待には応えたいと思っています。でも、逆説的ですが、強い思いで名古屋城の問題に向き合っておりますので、強い思いで市長に進言したことは、市長も聞き入れてほしいですけどね。 ○小林委員 副市長がハラスメント的な発言をされたという認識もないですよね。 ▲松尾副市長 ううん、ないと思いますけど、それは受け取り方によってですからね。 ○小林委員 今回の市民討論会の話なんですけども、これまでの職員の方々からのヒアリングではですね、市民の意見を聴取する理由としては昇降技術の公募結果公表後に多数の市民の意見が届いたということもあるので、肌感覚ではなくて、市民全体の意向をフラットに把握したいからだっていう説明があるんですけども、一方で、市長だけは、松雄副市長が議会で要請されたからだっていうふうに、認識しているとこもあってですね。 ▲松尾副市長 それはどういう意味でしょうか。 ○小林委員 松雄副市長が議会からやるよう言われたからやったというような認識であると。 でも職員の方々からすると議会に言われたからではなくて、フラットに皆で、市民の意見を聞き把握するためにやったんだという認識があるということで、職員の方々の意見は一致してるんですけども、市長だけ認識が違う形になっているんですけども。これは何でなのかということ。 ▲松尾副市長 その市長との認識の違いがなぜ起こったかっていうことですか。 ○小林委員 副市長として、何か理由についておわかりになるところがあれば。 ▲松尾副市長 それちょっと僕はわかりませんね。議会からの要請ではなく合理的に理性的に最後は市長に判断してもらう目的で市民討論会をすることにしましたので。ただ市民討論会の趣旨目的や詳細な進め方などは、市長に十分説明したかどうかっていうことは、多分やってないと思いますけど。いついつにこうやりますから出席をお願いしますっていうぐらいのことだったんじゃないですか。僕も市長説明の場 24ページ に入っていたわけではないので。 ○小林委員 今みたいに検証委員会とかがあるからそこら辺の話がクローズアップされるわけですけども、初めから問題が起きると想定していませんから、そこら辺、説明あったとしてもかなりこうサラっとするところもあるので市長として十分認識ができてなかったって感じなんですかね。 ▲松尾副市長 でも議会から言われたか言われてないかっていうことは市長の独特の言い回しですけども、市長としても最終的に市民の皆さんの意見を聞いて、自分なりに合理的な判断をしなくちゃいけないよっていうことは思っていたと思います。なぜならば、絶対に俺を、それに出させてくれよというふうにおっしゃられましたから。必ず聞かせてくれよと。 ○小林委員 基本的にはこれ、総合事務所の方からの発案でこうやるっていう話ですよね。説明を十分に市長が理解されてないってことはないですよね。理解してるってことですよね。 ▲松尾副市長 言い回し色々あると思いますけども、理解していると思います当然それは。 ○小林委員 そういう意味では、市長の認識はちょっと誤解に基づいているというか。 ▲松尾副市長 議会から言われたからやったというのは、それは誤解ですね。 ○小林委員 障害者団体との合意を、いろいろやりとりを積み重ねて尊重していくこともあると思うんですけども、副市長の立場で苦労されたこと、具体的に何かあれば教えてください。 ▲松尾副市長 それはもう遡れば、障害者団体の方が、市役所の前でハンガーストライキをやったことがありましてね、このバリアフリーの問題で座り込みをやったというような、そんなことがあってはいけないことだと思うんです。それは僕が局長職を引き継いだ時、ハンガーストライキが行われるような対立構造を生んでは駄目だから、しっかり障害者団体と意見のすり合わせをしながら、一定の合意形成を図るべきだということを職員に命じて始まっていますので、一定目的は 25ページ 積み上げてきたと思うんです。今は信頼を失くしてしまいましたから、もう一度真摯に向き合う姿勢については、堅持しなくちゃいけないというふうに思っております。 ○小林委員 副市長の立場で今、この問題が起きた後、障害者団体を回ってとか、あるいはいろいろ考えてらっしゃることがあると思うんですけども、この問題が起きる前において、副市長が障害者団体と、何かこう、やりとりっていうんですかね、間に立って調整するみたいなこととか、そういうのはあったんですか。 ▲松尾副市長 冒頭申し上げましたように、そこを、職員に丸投げをしてしまったもんですから、人脈もないし、起こった時の修復方法もないということは、大いに反省材料ですから、やれてません。 ○小林委員 市民への説明っていうところについても、副市長として、何かああせいこうせいとか、積極的に乗り出して指示をしていたわけでもない。 ▲松尾副市長 市民説明会ですか。 ○小林委員 諸々ですね、市民説明会も含めて、市民にちゃんと理解をしてもらうための、説明責任っていうんですかね。そこについて、副市長の立場として何か名古屋城総合事務所とか観光文化交流局に対して、これじゃ駄目だからとか指示を。 ▲松尾副市長 それはもう頻繁にやってきましたよ。 市民に理解を得ない限り、こんな505億円もかけて名古屋城の木造復元なんかできませんので、相当きめ細かく市民説明会を経なくちゃいけないからねと、みずからも必ず市民説明会には出るようにしましたので、それは本当に市長も同じ気持ちです。 ○小林委員 その説明責任について、市民への説明責任について副市長の立場として苦労された点が、もしあれば教えてください。 ▲松尾副市長 出席される方の人数が少ない、関心の低さは常々悩んでおりました。それから、やっぱり反対の方々がどうしても多いと、本当にこれが賛成・反対の意見が交わっていくような効果的な市民説明会になっているのかなっていうことは常に自問自責しておりました。だ 26ページ から、どうやったら市民の皆さんに「復元」という、この本質的なところが伝わるのかっていうことは、もう常に思っておりまして、なかなか答えが出なかったところですね。 ○小林委員 これまでの説明とも重なるんですけど改めてです。市長と観光文化交流局や名古屋城総合事務所も含めた職員の方々との間での調整で、副市長の立場として苦労された点を教えてください。 ▲松尾副市長 やっぱり、在りし日の天守を木造で復元し、いつか国宝として将来の市民に残すという想いが強いです市長は。ものすごく名古屋城の木造復元に関しては想いが強いですから、例えば、当初の段階では、一面、木造復元を重視し往時のまま残っている石垣を軽視したので、石垣部会とぶつかるわけです。どちらが本質的価値が高いのかって、方針変更の連続です。名古屋城木造復元事業では、どうしてもやり遂げたいという想いはみんな共通しておりますけれども、市長の強い想いが時として従来の行政の進め方に反することが生じます。そこの調整は正直苦労します。 ○浅田委員 そのせめぎあいの間に挟まれてらっしゃるところで、職員の人達が苦悩されていると感じられることは。 ▲松尾副市長 それは、苦悩しますって。これだけ大きな大プロジェクトですから。歴史的にやったことがないような大プロジェクトをこれから進める、最大の木造建築物の復元ですから。国の基準も初めて適用されますので。だから、苦悩はあって当然だと思うんですけど、でも、それが実現した時、それを上回る喜びとか、こんな大きい仕事なんて役所人生の中でできないよっていうのは、職員とは共有してきたつもりですけど。ほんとにないですよ、こんな大プロジェクトに関われるなんて。 ○浅田委員 長い年月引き継がれながら、職員の方たちがやってらっしゃる事業なんですね。 ▲松尾副市長 焼失する前の名古屋城は国宝でしたので、当時の名古屋市の職員は文化庁や名工大の技術指導を受けて詳細な実測図を残しています。「昭和実測図」と呼ばれるものです。戦争が激しくなり名古屋もたびたび空襲に見舞われる事態となり、万一名古屋城が焼け落ちても再び復元できるように職員は命がけでこの「昭和実測図」を疎開さ 27ページ せ守ったんです。そのときは、本丸御殿も障壁画も疎開させ、本丸御殿は燃えてしまいましたが、障壁画は残りました。今重要文化財になっています。そういう歴史をしょっておりますので、もちろん業務を遂行する上での苦悩は当然ありますけど、それを乗り越えないといけないです。それぐらいの大プロジェクトですから。先ほど申し上げましたように河村市長の天守復元にかける想いは強いです。でも、前の松原市長は本丸御殿を復元したんですけど河村市長に匹敵するぐらい強い気持ちをお持ちでした。本丸御殿の復元のことばかり言っていましたよ。それぐらい首長っていうのは、歴史に対する造詣というのか、敬意というのか、文化財に対する凄い理解がありました。事業を進める側の職員は大変でしたよ。市長のものすごい風圧を感じますので。 ○小林委員 次に行くんですけども、資料の上ではですね、名古屋城の木造化をめぐる過去最も大きな、数だけで言うとですね、観光文化交流局に届いたエレベーター等に対する市民の賛否の件数は、平成30年以降、数字の上では、だんだん減っているんですけども。その辺りの実感ですね。名古屋城に関わることになった局長時代の令和元年から、これまでの間、どういう風に実感していたのかをお伺いしたいんです。資料の上では、件数はだんだん減っていっていたわけですがそれについて、だんだん市民の理解が深まっていたから、減っていったと感じられていたのかどうか。それともそういうわけではなかった。別にそういう対立がなくなったとか理解が深まったわけではないって思っていたのか。 ▲松尾副市長 バリアフリーに対する市民の理解が深まったから件数が減ってきたわけではないと思います。令和4年12月の新聞にバリアフリーの一環として昇降装置をつけますといった報道が出ましたときの大反対の声。これはもう本当に、肌感覚としては凄まじいものがありましたので。「なぜつけるんだ」という意見はいっぱい受けましたので、いわゆる肌感覚と大多数の市民はどう考えておられるのだろうか、どう理解したらいいのかというのは、ちょっとわからなかったですね。 ○小林委員 ということは、やっぱりまだ対立の状況というものは当然あったんでしょうね。 ▲松尾副市長 あると思います。 28ページ ○小林委員 そう感じていることを前提として、討論会の開催に当たって、もっと注意しないとあかんよみたいな指示は行ったかどうかっていうと。 ▲松尾副市長 名古屋城の説明会を幾度となく開催しておりますが、意見や批判の矛先は常に行政に来ていましたので、市民討論会でもバリアフリーの問題についての意見は経験的に行政に向いて発せられると考えておりました。まして、あの場で市民同士が意見を戦わせることは、正直、想定しておりませんでした。 ○小林委員 今回の討論会について、もともとちょっと消極的だったと思うんですけど。 ▲松尾副市長 私はね。 ○小林委員 でも、結局やるようになったことを前提にして、やるにあたって、ちょっとこれは、この形でやると、対立がね、やっぱり起きるから、もっと慎重にやらないといけないよとか、注意っていうのは、されたかどうかっていうと。 ▲松尾副市長 同じ所管の中で施策の方向性が2分していたのが、木曽川導水路への参画の有無があり、どう市民意見をまとめるのか一番ずっと検討をしてきたのは上下水道局ですから、そこにやっぱり、やり方も含めて、十分連携して事を進めてほしいという点は、何度か言ったと思っております。名古屋城の市民討論会の参加者があんまり集まっていないので、もう少し小さな会場に変えるというふうに局から説明がありましたので、僕はそれは駄目だぞと。やっぱり大きい空間の中で、多くの方に、また関心を持っていただいている方にその場で発言してもらえばいいがねというような指示をしましたけど、最終的に市長のところに意向を伺ったら、むしろ小さな部屋で意見を聞くことになったと思います。もっときちっと主張しておけばよかったなというふうに思います。 ○小林委員 その思いが、十分に徹底できてなかったっていう感じですかね。 ▲松尾副市長 あまりすり合わせをしていなかったです。 29ページ ○小林委員 副市長としては、ちょっと対立関係もあるから、それは慎重っていうかちゃんと、前例、参考になることを踏まえてちゃんとやって欲しいとか。 ▲松尾副市長 もちろん。木曽川導水路の市民説明会と歩調を合わせてほしい、やり方、手法ですね。上下水道局は時間をかけて検討しておりましたので。 ○小林委員 そのあたりがなかなか上手く、結果としては機能しなかったっていうことですかね。 ▲松尾副市長 十分な連携が結果として取られておりませんでした。でも根本は行政内部の考え方において一枚岩になっておらずに、開催してしまったことにあると思います。繰り返しなりますけど。 ○小林委員 次の質問になるんですけども、名古屋城天守閣のバリアフリー検討においては、平成28年の竹中工務店さんの提案の中ではですね、小型エレベーターの提案がもともとありまして、次の平成29年には、エレベーターは設置せずに、チェアリフトで代替する案とかですね、令和4年には新技術の公募と、どんどん変遷してきているわけなんですけども。竹中工務店さんの最初の提案に対する市長の考え方を、名古屋城の担当者が理解、納得し十分に共有できていたかどうかっていうことをお伺いしたいっていうことなんですけども。 バリアフリーに関する考え方の変遷があるんですよね。最初小型エレベーターを竹中さんがつけるよって提案して、いやいや、エレベーター設置せずに、チェアリフトなんだって言ったり、新技術で昇降やるといった、こうした提案等々についてですね、適時、市長の考え方を職員の間でも、ちゃんと共有が、十分その都度行ってきたか確認したいんですけども。 ▲松尾副市長 どこまでバリアフリー技術を導入するかについては行政内部でかなり検討しました。小型4人乗りのエレベーターを技術提案交渉権者である竹中さんは提案をしておりましたけども、本当に実現できるのか、私も一度、エレベーターの専門家の方に来ていただいて、竹中工務店さんと一緒になって、名古屋城天守の狭い空間に技術的に本当に設置できるのかといったことをお聞きしたことがありますけど、「やれない」と言いました。それはエレベーター会社としては、たしか、地震が起こったときにお城というのは揺れることによ 30ページ ってエネルギーを吸収しますが、エレベーターの構造的にしっかり固定して備える。地震に対する構造面からの考え方において根本的に違いがあります。だからエレベーターの技術はそれはできないというふうに言いましたので、完全に宙に浮いたなと、がっかりしたことを覚えております。11人乗りのエレベーターをやれば、柱29本、梁10本抜かなくちゃいけないから文化財の復元としては採用できない。4人乗りエレベーターも技術的にできないとなると、垂直に昇降するならばエレベーターとは異なる新しい技術を求めることになり、あるいは市長が仰っているように、直接、車椅子で階段を登ってくような技術ということになるんだろうなあというふうに思っておりました。その点は職員と共有していると思います。 ○小林委員 それを共有するために結構会議を。 ▲松尾副市長 やりました。いろいろとどうやったら上まで昇降できるのかっていうことは。 ○小林委員 次なんですけども、最終的に技術的に難しいから小型エレベーター設置しないと決まった経緯は、竹中さんも技術的にやっぱり難しいって話になったからだと思います。その際に、学識経験者の方とか文化庁から何かこう言われたり、協議したってことはあるんですかね。 ▲松尾副市長 文化庁からのご助言は特段なかったと思っております。文化庁は、「復元」ならば、審査に当たって史実性を重視する、バリアフリー技術を採用するならばどのくらい史実性と離れているか、それで復元基準に合致しているかをチェックするようなご助言をいただきました。そして名古屋城を管理している名古屋市で考えてくださいということだったと思います。国会答弁もありますけど。 ○小林委員 これも先ほど聞いたところと重なるんですけど、元々小型エレベーターの提案があったけどもそれは技術的にできないから、エレベーターと違うものとして公募して、今、昇降技術って話になっているんですけども。市長は、そこの区別はついているんですよね、一般的なエレベーターではないと。 ▲松尾副市長 ついてると思います。 31ぺージ ○小林委員 ついてるんですよね。 ▲松尾副市長 概念は、エレベーターとは違うものを、我々が持ってきてるおるということは理解してると思います。もう構造的なものが全然違いますから、エレベーターとは。 ○浅田委員 エレベーターと違うというふうに理解されているけど、あまり付けたくはないと。 ▲松尾副市長 でも見た目エレベーターと変わらないですから。 ○浅田委員 ああそういう意味で。 ▲松尾副市長 そういう意味です。 ○田中委員長 そこなんですけども、新技術ということで、昇降技術の公募が行われたわけですけど、この公募については、柱や梁を痛めないというのは、もうそういう条件で公募されているんですよね。 ▲松尾副市長 はい。 ○田中委員長 ただ、どうもそのことは観光文化交流局も副市長も、それは十分共有されていたと感じるんですけど、市長については、市長の中だけに括弧書きがあって、「柱や梁を痛めない技術である(但し、箱が上下に動くものは除く)」という何かそういう理解があるように感じるんですけど。そこはいかがですか。 ▲松尾副市長 昇降装置を選定する前に私も職員も結構全国を回って、どんな技術があるのか探っておりました。その中で市長に対しエレベーターとは異なる技術で垂直に昇降できるものがあると説明した記憶があります。でも、市長の期待はエレベーター技術でなくても、天守内部を垂直に昇降する、それはやっぱりエレベーターのように見えるのではなく、天守の階段を直接昇っていくものをイメージしておりました。そうした垂直昇降技術を採用すれば「エレベーターは付けない」ことと矛盾します。市長も困惑されたのではないですかね。 ○田中委員長 しかし、公募して条件を満たした新技術である以上、これは、市長であったとしても、レクを受けて了承して公募に踏み切っているわ 32ページ けですよね。そこはもう、箱だから認めないとは言えないですよね。 ▲松尾副市長 おっしゃる通りですから、市長にも決裁をいただいて公募して、公平公正な審査を経て決まった技術ですと。ですからそれを何か会社が不正をしたとか、そういう外形的な問題がないのにかかわらず、市長の一存で、付けないということは役所としては「わかりました」とは申し上げられない。それが12月とかその辺りです。 ○田中委員長 市長の中では、条件を満たしている新技術ではあるけれども、要するに、理解はするけども納得いかないというそういう感じですか。 ▲松尾副市長 そういう感じです。 ○小林委員 柱や梁を痛めないっていうのが条件になっているけど、市長の中では、この箱、見た目も、暗に入っていたって感じなんですか。 ▲松尾副市長 見た目がエレベーターですから、「お前らがどんだけ言ったとしても、市民はエレベーターと言っているじゃないか」ということは何度も言われました。「それは全く構造的にも違います」と、「新技術です」ということは、私からも、市長にもマスコミに対しても常に申し上げておりました。 ○小林委員 市民に対して説明がつかないから、それはちょっとためらうという判断を市長がしていると現場認識されているのか、もうそもそも市長として、この箱があるっていうことが許せないっていうこと。 ▲松尾副市長 両面あると思います、それは。実物大の階段を名古屋城の横に作りました。「ステップ名古屋」と言いますけど、市長の中では車いすで直接、上がっていく技術を期待していたと思うんです。インターネットで検索すればいろいろなメーカーが車いすで直接上がってくるものを作っています。 ○田中委員長 その柱・梁を痛めない新技術を公募するっていうことは、これは公募を行う前に一般市民の方にも十分説明を行っていたのでしょうか。 ▲松尾副市長 十分ではないかもしれませんけど、当然説明をしておりましたし、 33ページ 何よりもこの文化財を復元するときには、いわゆる有識者会議ですね、ここの了解が取れない限り一歩も進まないんです。文化庁に許可を得るためにはバリアフリー技術を導入するとして、何をもって、「史実に忠実」ということが言えるのかということを審議会の委員の先生方と徹底的に議論するわけです。 主架構となる柱や梁は取らない、そして可逆性ですね、設置したものを外せば元のままに戻るというのを担保してくれれば、それは史実性に当たるということでご了解をいただいておりましたので、それ念頭に置きながら障害者の皆さんのご意見も伺って公募してきました。 ○田中委員長 そうすると、新技術の公募をする前においては、一般市民の方も、障害者団体の方も、それから市長も柱・梁を痛めない新技術として公募するということでは、合意ができていた。 ▲松尾副市長 できていたと思います。 市民の皆さんがどこまで理解されていたかということは別ですけども、そういう形で公募しますということは説明会もしておりますし、ホームページも出ておりますし、ましてや公募の基準づくりは障害者団体の皆さんと一緒にやりましたから、当然障害者団体も知っている。市長も決裁とっていますから知っている。というところで、やりました。でも現実に公募で決定した技術ともともと市長が期待していた技術とは異なっていたと思いますけどね、それは。 ○浅田委員 市長は、今の段階では1階までというふうには、考えてらっしゃる。 ▲松尾副市長 その場で記者から聞かれたから、1階までだったらええと言ったんじゃないですか。信念を持って、1階までだったらいい、2階までは駄目、3階も駄目とかいうことじゃなくて。 ○浅田委員 市長とその辺りは、お話は。 ▲松尾副市長 これからです。でも僕は一貫して、先ほど仰られたように、公募していますから。公募したものをつけないということは、行政としてはありえませんということは一貫して言おうと思ってますので。障害者の方々とは、できるだけ上層階までつけるというふうに、一応、一応っていうか約束したんですから。ですから時間はかかりますよ。時間はかかりますけど、上層階まで時間をかけて行く。そし 34ページ て、必ず1階まではつけるというのは譲れません。それは、役所としてですね。 ○浅田委員 市長さんが記者の方に話されているということから1階という考えだというふうに受けとめてらっしゃる。 ▲松尾副市長 現代技術を導入する部分はありますけど、できる限り往時の状態で復元したい。昔なかった垂直昇降装置はつけたくないと思いますよ。 ○浅田委員 今は、変わっているかもしれない。 ▲松尾副市長 市長の中では。文化財を復元するんだということをずっと言ってますから、1階もつけたくないんじゃないですか、市長は。 ○小林委員 一応、市長にも聞かなきゃいけないんですけど。 ▲松尾副市長 ぜひ。文化財とは何ぞやということを、どういうふうに先生方思ってるんだってことを多分言うと思いますよ。 そこが一番の論点ですね、こういう失敗をした。 ○浅田委員 そういう、考えのずれが。 ▲松尾副市長 そこをきちっと詰めずにやってきたのがもう最大の問題ですから。 ○田中委員長 事実確認をさせてください。市長は史実に忠実な復元ということで、文化財を再現するんだということなんですけれども、その復元した名古屋城に人を入れるということは、人が入って観覧できる、そういう名古屋城にするという理解ですか。 ▲松尾副市長 もちろんそうです。はい。大勢の方に入っていただきたいと市長も心から思っていると思います。 ○田中委員長 そうすると、さっき副市長が言われたように、人を入れる以上は、防災とか地震対策とか。 ▲松尾副市長 どういう避難をするかということはちゃんとやらなくちゃいけないですし、それは国の基準にもちゃんとやれというふうに書いてあり 35ページ ますから。それは整備しないと国の許可は得られません。 ○田中委員長 というところまでは、つまりスプリンクラーをつけるとか、照明をつけるとか、そういったことは了解して。 ▲松尾副市長 火災報知器つけるとか、あるいは地震対策のダンパーつけるとかですね。それはもう絶対なくちゃいけないですし、理解しています、それは。姫路城でもやってますから、松本城でもやっている。 ○田中委員長 それからもう1点、先ほど令和5年の8月の文化庁の復元検討委員会に計画書を提出するということを、議会の委員会で表明されたと。これは復元計画を提出するスケジュールとして、令和5年8月の復元検討委員会に出すということを答弁されているということですか。 ▲松尾副市長 と思います。令和4年度中に何としてでも全体整備計画をまとめると。それは今の局長じゃなくて、前の局長のときに、2回か3回明確に答弁しております。それは、必然的に令和5年度早々の復元検討委員会に諮っていただくことを意味します。それは名古屋城の職員も委員会室にいる中で、議会への約束という形で答弁しているのでそれは重いです。局長がそうやっておっしゃっているんですから。だからそこを2年かかりますということを、安易には言ってはいかんことだと僕は思いますけど。それぐらい局長の答弁っていうのは重いですから。 ○田中委員長 分かりました。 ○小林委員 よろしいですかね、いくつかまたちょっと整理して、改めてまたお伺いすることもあるかもしれません。その際はよろしくお願いいたします。 ▲松尾副市長 ちょっと、いいですか。 ○小林委員 はい。 ▲松尾副市長 ちょっと、バリアフリーの問題がものすごく難しいんだという新聞記事がありますので、ぜひそれをもしよろしければ、委員の先生方にお渡しをしたいというふうに思っておりますけれども。お許しいただければ。 36ページ 名古屋城木造復元に関する国会審議の資料も併せて提供しますので、よろしければご覧ください。 ○小林委員 ヒアリングは以上で終わります。