(資料4-3) 表紙 「名古屋城天守閣の整備」 《名古屋城とその堀が見える航空写真添付》 1スライド目 1 趣旨 現在の名古屋城天守閣は、再建から半世紀以上が経過し、コンクリートの劣化や設備の老朽化、耐震性の確保など様々な問題が顕在化しており、いずれかの時期には建て替えの必要があると考えています。 天守閣については、「木造復元した方が良い」、「耐震改修した方が良い」などの意見がありますが、名古屋市においては、市長の「世界にアピールできる千載一遇のチャンスである東京オリンピック・パラリンピックにあわせ、2020年7月までに天守閣を木造復元する」という方針が示されたことから、4年余りの中での迅速な整備が求められています。 2スライド目 天守閣の木造復元の際には、仕様の前提となる条件の確定が困難な工事であることなどから、民間ノウハウを活用する「技術提案・交渉方式」を採用することとし、工期・工程・概算事業費などを明らかにするため、2020年7月までに天守閣を木造復元するという提案を募集しました。 今回の報告会は、優秀提案の内容や収支計画などの情報をお知らせし、みなさまのご意見をお伺いするものです。 名古屋城天守閣の整備については、市民の皆様のご理解を得ながら進めてまいります。 3スライド目 2 名古屋城の概要  (1)現状 ■概要 特別史跡名古屋城跡:約50万u(有料区域:約25万u) 重要文化財:旧本丸御殿障壁画 1,047面 東南隅櫓、西北隅櫓、西南隅櫓 表二之門、旧二之丸東二之門、二之丸大手二之門(有料区域外) その他:名勝二之丸庭園、天然記念物カヤの木 など ■入場者数《以下、表形式で平成22年度〜平成26年度の入場人数と全国順位を列記》 平成22年度 人数(万人、切捨て)151 全国順位 3位 平成23年度 人数(万人、切捨て)141 全国順位 4位 平成24年度 人数(万人、切捨て)147 全国順位 5位 平成25年度 人数(万人、切捨て)165 全国順位 2位 平成26年度 人数(万人、切捨て)164 全国順位 4位《表終わり》 ■開園状況 開園時間:午前9時〜午後4時30分(桜まつり、宵まつり期間中は延長) 休園日:12月29日〜1月1日 4スライド目 (2)あゆみ《以下表形式にて名古屋城にかかる主要なイベントについて、時期と内容を掲載》 時期:慶長15年 1610年 内容:徳川家康の命により築城に着手 時期:慶長17年 1612年 内容:天守閣が竣工 時期:明治5年 1872年 内容:陸軍省の所管となる 時期:明治26年 1893年 内容:宮内省に移管され名古屋離宮となる 時期:昭和5年 1930年 内容:宮内省から名古屋市に名古屋城を下賜 天守閣等が城郭として国宝第1号に指定(旧国宝) 時期:昭和7年 1932年 内容:名古屋城の実測調査を開始(昭和27年に実測図完成) 時期:昭和20年 1945年 内容:第二次大戦中の空襲により焼失 時期:昭和34年 1959年 内容:天守閣再建 時期:平成21年 2009年 内容:本丸御殿復元工事に着手《表終わり》 5スライド目 名古屋城本丸復元イメージCG《名古屋城のCG図を添付》 復元 三浦正幸氏 CG 株式会社エス 6スライド目 (3)焼失前の名古屋城 戦前に撮影され、戦火を逃れた700枚を超える写真が現存しています。 《名古屋城の天守閣が移っているモノクロ写真を添付》 7スライド目 (4)名古屋城と姫路城の比較 延床面積では、歴代天守閣で日本一。姫路城の約2倍です。 《名古屋城の絵添付》 名古屋城 旧国宝指定:昭和5年12月 5層5階、地下1階 高さ(石垣上):約36.1m 延床面積: 約4564.0u 《姫路城の絵添付》 姫路城 旧国宝指定:昭和6年1月 5層6階、地下1階 高さ(石垣上):約31.5m 延床面積: 約2409.0u 8スライド目 大天守閣(概要) 《天守閣南側から撮影されたモノクロ写真を添付》 ・層塔型天守 ・5層5階、地下1階 ・延床面積:4,564.0u ・総高:48.5m ※延床面積と総高は、昭和実測図より算定 ※総高は本丸地盤からの高さ(石垣の高さを含む) 9スライド目 小天守閣(概要) 《北側から撮影されたモノクロ写真を添付》 ・2層2階、地下1階 ・延床面積:831.9u ・総高:24.7m ※延床面積と総高は、昭和実測図より算定 ※総高は本丸地盤からの高さ(石垣の高さを含む) 10スライド目 (5)戦災による焼失 《大天守が燃えるモノクロ写真添付》 写真:東海軍管区司令部報道部 岩田一郎氏 撮影「名古屋空襲を記録する会」蔵 ・昭和20年 5月14日 空襲により大天守閣、小天守閣ともに焼失。 ・天守閣の他にも、本丸御殿など多くの建物が焼失しました。 11スライド目 (6)天守閣の再建 《石垣の上に足場や天守閣の骨組みが組まれている写真、「祝 金鯱城鯱上げ」と垂れ幕がかかり、天守閣でセレモニーが行われている様子の写真を添付》 ・昭和32年に工事に着手し、 昭和34年に竣工しました。 ・総工費6億円のうち、約2億円が寄附で賄われました。 12スライド目 焼失した大天守閣は5階建てでしたが、再建された天守閣は7階建てです。 天守閣の下には、大天守4本、小天守1本のケーソン基礎という箱型のコンクリート柱が埋まっており、戦災により劣化した石垣には荷重がかからないように建てられています。 《大天守と小天守の内部構造がわかる図を添付》 ・総工費約6億円(内、約2億円が寄附) ・鉄骨鉄筋コンクリート造の建物として再建 《囲み開始》 大天守閣 5層7階、地下1階 小天守閣 2層3階、地下1階 《囲み終わり》 13スライド目 3 天守閣整備に対する課題 (1)内容 再建から56年が経過し、課題が発生しています。 @コンクリートの劣化や設備の老朽化、石垣の変形などが進行しています。 A耐震性能が現行基準に合わず、耐震改修したとしても概ね40年の寿命されています。 ・耐震診断の評価 U−2(本市耐震基準による) 震度6強程度の地震に対して、倒壊又は崩壊する可能性が高い 14スライド目 こうした課題を踏まえると →いずれかの時期には名古屋城を建て替える必要があります。 名古屋市では、平成26年度に『可能な限り早期に木造復元した場合』と、『耐震改修した後に木造復元した場合』に分けて、課題等について比較検討を行いました(下表参照)。その結果、「一般木材の流通量」はそれほど変わりませんが、「太い木材」の入手については、40年後には極めて困難になるという結果になりました。また、「社会情勢」につきましても、大工や技術者の確保など、今後より一層厳しくなると予想がなされています。 15スライド目 《以下、表形式で木造復元を行う場合の検討項目として、木材調達/社会情勢/40年の維持管理費/財源 の4点を挙げて可能な限り早期に復元した場合と耐震改修し40年後に復元した場合の難易度を示す。〇は普通、△は困難、×は極めて困難の意。》 木造復元を行う場合の検討項目 木材調達 大径木の流通量(400mm角以上) →可能な限り早期復元:△ 耐震改修し40年後に復元:× 木曽ヒノキ(国有林)の流通量 →可能な限り早期復元:△ 耐震改修し40年後に復元:△ 一般木材の流通量 →可能な限り早期復元:〇 耐震改修し40年後に復元:〇 社会情勢 建設コスト →可能な限り早期復元:△ 耐震改修し40年後に復元:△ 生産年齢人口 →可能な限り早期復元:〇 耐震改修し40年後に復元:△ 税収 →可能な限り早期復元:〇 耐震改修し40年後に復元:△ 大工や技術者の確保 →可能な限り早期復元:〇 耐震改修し40年後に復元:△ 40年間の維持管理費 →可能な限り早期復元:〇 耐震改修し40年後に復元:× 財源 →可能な限り早期復元:△ 耐震改修し40年後に復元:△ 《表終わり》 ※ ○:普通 △:困難 ×:極めて困難 ※ 平成26年度「名古屋城整備検討調査」による 16スライド目 (2)天守閣復元の「考え方」 ■復元に関する文化庁の見解(平成27年6月22日) ・天守の再建については、整備主体である地元の自治体がどのような整備を行うか考えることが第一。 ・その上で、天守を復元する場合は、原則として材料等は同時代のものを踏襲する必要があるが、それ以外の可能性を排除するものではない。 ・名古屋城天守閣については、往事の資料が十分そろっていることを踏まえると、いわゆる復元検討委員会において木造によるできうる限り史実に忠実な復元をすべきとの意見が出される可能性が極めて高いと考えられる。 ※「復元検討委員会」とは、歴史的建造物の復元に関する具体的案件等について検討を行うため、文化庁に設置された専門委員会です。 ※復元に関する文化庁の見解については、市長と議会で様々な意見が交わされました、詳しくはスライド31・32・33をご覧ください。 17スライド目 (3)昭和実測図 《名古屋城の大天守閣立面図(西側)添付》 実測図があるため、史実に忠実な復元が可能と言われています。 昭和7年から27年にかけて、天守閣をはじめ国宝建造物24棟の実測図面を作成しています。 大天守閣:56枚 小天守閣:15枚 18スライド目 昭和実測図 A 《名古屋城の大天守閣南北断面図、東西断面図 添付》 19スライド目 昭和実測図 B 《名古屋城の小天守閣東西断面図、小天守閣南北断面図 添付》 20スライド目 昭和実測図復元イメージCG@ 《名古屋城大天守のCG図添付》 制作:川地正数氏 21スライド目 昭和実測図復元イメージCGA 《名古屋城内部 廊下のCG図添付》 制作:川地正数氏 22スライド目 昭和実測図復元イメージCGB 《名古屋城内部 上り階段のCG図添付》 23スライド目 4 民間業者からの技術提案 (1)概要 天守閣については、「木造復元した方が良い」、「耐震改修した方が良い」などの意見がありますが、名古屋市においては、市長の「世界にアピールできる千載一遇のチャンスである東京オリンピック・パラリンピックにあわせ2020年7月までに天守閣を木造復元する」という方針が示されたことから、4年余りの中での迅速な整備が求められています。 木造復元の際には、仕様の前提となる条件の確定が困難な工事であることなどから、民間ノウハウを活用する「技術提案・交渉方式」を採用し、工期・工程・概算事業費などを明らかにするため、2020年7月までに天守閣を木造復元するという提案を募集しました。 その結果、「株式会社 竹中工務店」の提案を「優秀提案」に選定しました。 今後、当該業者と価格や設計、施工計画、施工方法を交渉した上で、契約の相手方に決定することになります。 24スライド目 ■技術提案・交渉方式を採用した理由 ・劣化した石垣や既存のケーソン基礎の取扱いなど様々な課題があり、仕様の確定が困難である。 ・特別史跡内に大規模木造建築物を復元する工事であるため、最も優れた技術提案によらなければ工事目的の達成が難しい。 ※「技術提案・交渉方式」とは、技術提案を募集し、最も優れた提案を行った者を優先交渉権者として、その者と価格や施工方法等を交渉し、契約の相手方を決定する方式 ■技術提案・交渉方式のメリット・デメリット メリット ・これまでにない厳しい条件下で、高度な技術が必要とされる工事の施工が可能である。 ・施工業者がノウハウを活かして設計を行うことから、効率的な施工が可能となり、工期の短縮に繋がる。 デメリット ・提案する目的物の品質・性能と価格等のバランスの判断が困難になり、発注者にとって過剰な品質で高価格な提案となる恐れがある。 ・施工業者が実施する設計に対し、的確な判断や指示を行う能力が発注者に必要となる。 25スライド目 (2)優秀提案の内容 後ほど、「優先交渉権者」よりご説明します 26スライド目 5 天守閣木造復元にかかるお金等 (1)収支計画(財源フレーム) 優秀提案に示された概算事業費(建設費・設計費)505億円を基に収支計画を試算しました。運営管理費も含めた総事業費については、市債を発行するなど財源を確保し、全額、入場料収入で返済します。 27スライド目 ■入場料の考え方 今回の収支計画を試算するにあたり、入場料については、市民450円、市民以外1,000円と設定しました。市民については、「名古屋城は長年にわたり市民に支えられてきた施設ですが、来場者の中で市民の占める割合が少なく市民に配慮する必要がある」、「戦略的なシティプロモーションの一環として、市民に名古屋城の魅力を情報発信する役割を担ってもらう」ことなどから特別料金を設定しています。なお、入場料の変更には、条例の改正が必要になります。 《以下、名古屋城来場者アンケートの結果(来場者の中の市民等の区分とその割合等が分かるもの)を表形式で示す》 市内 11% 県内 7% 県外 64% 国外 18%《表終わり》 「名古屋城来場者アンケート調査2015報告書」より 28スライド目 ■収支計画(全国型市場公募債の場合による試算) ・期間:平成28年度〜平成81年度 ・名古屋城入場料(竣工後):市民450円 市民以外1,000円/現行500円 《以下、表形式で収入と支出の見込みを示す》 収入 事項:入場料収入 金額(百万円):97,928 積算:名古屋城全体の入場料収入のうち、75%を天守閣に充当 H32(8カ月) 1,791百万円 (入場者331万人) H33 2,413百万円 (入場者446万人) H34 2,170百万円 (入場者401万人) H35以降1,948百万円 (入場者360万人) 計 金額(百万円):97,928 支出 事項:建設費(利子含む) 金額(百万円):60,567 積算:元金→50,500百万円 利子→10,067百万円 事項:運営管理費 金額(百万円):27,645 積算:H26年度実績に基づき算出 H28〜H31年度(天守閣閉鎖中) 各年度平均約114百万円を計上 H32〜81年度 各年度平均約544百万円を計上 事項:集客促進費 金額(百万円):200 積算:木造復元にかかる周年事業 事項:修繕費 金額(百万円):3,086 積算:H81年度までの必要額 事項:基金積立 金額(百万円):6,430 積算:支出を上回る収入について基金積立 計 金額(百万円):97,928 《表終わり》 ・収支計画は、起債の償還期間終了までの平成28〜81年度で作成しています。 ・起債の発行年率や年次割等は、直近の実績などを参考に一定の条件で算出(年率0.665%、40年償還、20年債1回借換え等) 注「運営管理費」については、効率的・効果的な運営や大阪城など他の城郭における民間活力の活用状況を検討することにより、さらなる経費削減に努めます。 29スライド目 (2)入場者数見込み 《以下、表形式で年度ごとの入場者数見込みを示す》 27年度 入場者数→174 28年度 入場者数→180(197) 増加要因 →閉鎖に伴う駆け込み需要 本丸御殿第2期公開 減少要因 →天守閣閉鎖 29年度 入場者数→90(98) 減少要因 →天守閣閉鎖中 30年度 入場者数→160(174) 増加要因 →天守閣木造復元見学施設完成 金シャチ横丁第1期開業 本丸御殿全面公開 減少要因 →天守閣閉鎖中 31年度 入場者数→160(174) 増加要因 →展示収蔵施設完成 32年度 入場者数→384(418) 増加要因 →木造天守閣竣工 33年度 入場者数→446(485) 減少要因 →ブーム縮小 34年度 入場者数→401(437) 減少要因 →ブーム縮小 35年度 入場者数→360(393) 減少要因 →ブーム縮小 36年度〜81年度 入場者数→360(393)《表終わり》 ()内の数字は入場者数の最大見込みの数 30スライド目 (3)経済波及効果(試算) 「木造復元」を行った場合、今の入場者174万人から約倍増して360万人(186万人増)と見込んでおり、それに伴う経済波及効果は1年で約100億円と試算しています。なお、「耐震改修」では、入場者の増加は想定しておりません。 《以下、表形式で木造復元を行った場合と耐震補強を行った場合の必要経費と建設工事による経済波及効果、入場者数の増加による経済波及効果を示す》 概算経費 木造復元を行った場合の名古屋市試算→約270〜400億円(使用木材に幅あり) 木造復元を行った場合の優秀提案(竹中工務店)→約474〜505億円(工事内容に幅あり) 耐震改修を行った場合→約29億円 建設工事による経済波及効果 木造復元を行った場合の名古屋市試算→約530〜780億円 木造復元を行った場合の優秀提案(竹中工務店)→約925〜985億円 耐震改修を行った場合→約60億円 入場者数の増加による経済波及効果→毎年 約100億円(約186万人増)《表終わり》 ※建設工事による経済波及効果は、総務省が平成23年度産業連関表のデータから作成した簡易計算ツールにより算出 ※入場者数の増加による名古屋市観光客・宿泊客動向調査(平成25年度)及び簡易計算ツールを用いて単年度ベースで算出 31スライド目 (4)他城郭の整備後比較 整備後の入場者数は大幅増です 《以下、表形式で熊本城、姫路城、掛川城、大洲城の4城の整備内容、事業費、入場者数等を示す。》 熊本城 整備内容→本丸御殿一帯整備 事業費(百万円)→5,379 入場者数 着工前→790 竣工後→2,219(2.8倍) 26年度→1,631(2.1倍) 入場料収入 着工前→293 竣工後→854(2.9倍) 26年度→662(2.3倍) 売店等収益 着工前→88 竣工後→346(3.9倍) 26年度→290(3.3倍) 姫路城 整備内容→大天守保存修理等 事業費(百万円)→3,692 入場者数 着工前→1,195 竣工後、26年度 予想値→2,000(1.7倍) 入場料収入 着工前→580 竣工後、26年度 予想値→2,563(4.4倍) 売店等収益 着工前→97 竣工後、26年度 予想値→200(2.1倍) 掛川城 整備内容→天守復元 事業費(百万円)→2,218 入場者数 着工前→7 竣工後→494(62.2倍) 26年度→117(14.8倍) 入場料収入 着工前→1 竣工後→129(116.3倍) 26年度→39(35.0倍) 売店等収益 着工前→未設置 竣工後→未設置 26年度→6(―) 大洲城 整備内容→天守復元 事業費(百万円)→1,594 入場者数 着工前→― 竣工後→85(―) 26年度→27(―) 入場料収入 着工前→― 竣工後→24(―) 26年度→11(―) 売店等収益 着工前→― 竣工後→1(―) 26年度→1(―)《表終わり》 ※ ()書きは、着工前と比較した伸び率 ※ 数値は単位未満切り捨てているので、伸び率とは合わない ※ 姫路城は、平成27年3月27日から公開のため、「竣工後」及び「26年度」欄は平成27年度の予想値 32スライド目 6 市民意見・議会の議論等 名古屋市では、これまで「名古屋城天守閣の整備」について、インターネットを活用したアンケートを実施するとともに、タウンミーティングや地域等での説明会などを、数々の場で市民の皆様のご意見を伺ってまいりました。また、名古屋市議会においても、さまざまな議論が交わされております。その一部をご紹介します。 33スライド目 (1)インターネットを活用したアンケート調査 平成25年度には、「現在の天守閣」についての課題・要望を把握し施策に生かすため、18歳以上、500人の市民をモニター(任期2年)として公募し、インターネットを活用したアンケート調査を実施しました。 【平成25年度 第11回 ネット・モニターアンケート】 (平成26年2月21日〜3月3日)の調査結果(抜粋) ■現在の天守閣を今後どうしていくとよいと思いますか 現在の天守閣を存続させて、耐震補強や改修などを行う:71% 現在の天守閣を解体して、木造で復元する:15% 現在の天守閣を解体して現状と同じく鉄骨鉄筋コンクリートで再建する:3% わからない:9% その他:2% 34スライド目 アンケートの設問項目「鉄骨鉄筋コンクリートで再建する」という選択肢に関連し、文化庁の見解を巡って、以下のように議論されました。 ■名古屋市(当局)の認識 【当局の認識】 (平成26年6月定例会 本会議 市民経済局長答弁) アンケートの実施に際して、鉄骨鉄筋コンクリートでの天守閣再建の可能性について文化庁に照会しなかったことについては配慮が足りなかったと認識している。 (平成27年7月1日 経済水道委員会における市民経済局長発言) 6月17日の所管事務調査において、名古屋城天守閣の整備に関し、文化庁の見解として「再建する場合は木造復元に限る」と説明したが、今回改めて文化庁に確認したところ、まず日本国内の城郭全体についての一般論として、「天守の再建については、整備主体である地元の自治体がどのような内容の整備を行うか考えることが第一」であり、「その上で、天守を復元する場合は、原則として材料等は同時代のものを踏襲する必要があるが、それ以外の可能性を排除するものではない」、一方、具体論として、「名古屋城天守閣については、往時の資料が十分そろっていることを踏まえると、いわゆる復元検討委員会において木造によるできうる限り史実に忠実な復元をすべきとの意見が出される可能性が極めて高いと考えられる」との見解であった。前回の委員会における文化庁の見解についての資料および説明において、正確性を欠いていた。 35スライド目 ■議会の意見、市長の見解 【議会での意見】 (平成27年7月1日 経済水道委員会) ・天守を復元する場合は、それ以外の可能性を排除するものではないということであれば、木造もあり、そして今の鉄骨鉄筋もあり、そしてハイブリッドのようなものもありということ。 ・今回、木造にするのか、あるいは、ハイブリッドなのか、あるいは延命をしていくのかという、三つの選択肢が示されたということだと思う。 【市長の見解】 (平成27年7月6日 市長定例記者会見) (文化庁の)復元検討委員会が開かれるときに、木造で建てなさいよという意見が出る可能性が極めて高いということは、そこの中でわかってくださいよということです。だからこれは木造ということになるんですよ。 36スライド目 (2)市民意見 ■討論会やフォーラム等での主な意見 これまでも、適宜、市民向けの討論会やフォーラムなどを開催し、市民の方の意見を聞いてきました。 【平成23年度】 「名古屋城の将来を語る市民大討論会」での主な意見 ・日本の歴史的文化遺産として後世に残すためにも木造天守閣は必要 ・東北隅櫓、多聞櫓の復元を優先すべきで、天守閣の木造復元はその後に考えること 【平成26年度】 「名古屋城天守閣フォーラム」、「寄附者懇談会」での主な意見 ・“尾張名古屋は城でもつ”と言われるように天守閣は名古屋のシンボルである 一刻も早く本来の木造で復元すべき ・天守閣を建て替える必要性がまだ感じない ・やるならば多聞櫓や馬出の復元が望ましい ・木造復元する際には市民の方も寄附をできる範囲でさせて頂きたいと思う 【平成27年度】 「名古屋城天守閣フォーラム」での主な意見 ・「木」にしていただきたいと強く思う ・現在の天守閣を今後も大切に保存していただきたいと思う 37スライド目 ■タウンミーティングでの主な意見 平成27年12月6日から平成28年1月17日にかけて16区において、天守閣の現状や課題、過去の調査結果、経済波及効果、検討状況などについての説明会を実施し、のべ2632人の方々にご参加いただきました。 【平成27年度】タウンミーティングでの主な意見 ・これだけの資料が残っているのでぜひ木造でやってほしい ・日本古来の技術を伝承するために再建してほしい ・観光資源として木造復元を望む ・2020年にこだわる必要はない ・市民生活が苦しい中で、今木造復元をするべきではない ・バリアフリー、財源、木材の確保をどうするのか 38スライド目 (3)議会の議論 議会でも、天守閣の整備については、これまでも積極的に議論がなされてきました。 平成27年6月17日 経済水道委員会における主な議論 ・ 名古屋城全体の整備に対する考え方 ・ 木造復元に係る工期・事業費 ・ 木造復元に伴う経済波及効果 平成27年7月1日 経済水道委員会における主な議論 ・ 整備に関する文化庁の見解 ・ 木造復元に係る財源の確保 ・ 天守閣の整備手法 39スライド目 平成27年9月定例会 経済水道委員会における主な議論 ・ 新たな市民アンケートの実施時期、方法及び市民負担の明示に係る考え方 ・ 特別史跡名古屋城跡全体整備計画との整合性 ・ 寄付金募集の重要性に対する当局の認識 ・ 整備に係る想定スケジュール 平成27年9月定例会 補正予算可決時に付された附帯決議 名古屋城天守閣の木造復元に係る概算経費が約270億円から400億円と莫大であり、厳しい財政状況の中、市民生活に大きな影響を与える懸念があることから、関係局との協議を踏まえ、国・県支出金、寄附金、地方債、市税等の割合を含めた財源フレームを明確にし、優秀提案選定後の工期・工程・概算事業費等が明らかになった段階で速やかに、市民アンケートを実施しあわせて議会へ報告すること 〈附帯決議〉議決された条例案・予算案に関して付される施行についての意見などを表明する決議 40スライド目 平成28年2月定例会 経済水道委員会における主な議論 ・ 天守閣整備に係る今後の想定スケジュール ・ 2万人アンケートの位置づけ及び内容 ・ 財源フレームの考え方 平成28年2月定例会 予算可決時に付された附帯決議より 名古屋城天守閣の整備検討に係る市民アンケートの実施にあたり、当局が市民に対し情報提供を行うとした技術提案・交渉方式に係る優秀提案の内容、天守閣整備に係る財源フレーム(案)などが、本予算審議において明らかにならなかった。こうした状況に鑑み、名古屋城天守閣の整備検討に係る市民向け報告会、市民アンケート及び広報なごや特集号の各予算については、正確な情報提供に基づいて天守閣整備に対する意向を市民に判断いただく必要があるため、優秀提案の選定結果、財源フレーム(案)及びこれらの内容を正確に踏まえたアンケート項目などが明確になった段階で、その内容について速やかに議会へ報告・協議した上で執行すること 41スライド目 7 その他の名古屋城整備 名古屋城に残る貴重な文化財を後世に伝えるとともに、名古屋城の魅力を高めるため、『特別史跡名古屋城跡全体整備計画』を策定し、同計画に基づいて整備を行っています。また、特別史跡の区域外においても、名古屋城の賑わいをさらに創出するために金シャチ横丁の計画を推進しています。 42スライド目 (1)名古屋城の整備状況 名古屋城は特別史跡に指定されており、現在、本丸御殿の復元を始め、名勝二之丸庭園の保全整備、石垣の修復の保全などを行っています。 《名古屋城の天守閣や本丸御殿、堀や石垣、隅櫓などの俯瞰図を添付》 43スライド目 (2)本丸御殿の復元 本丸御殿は、現在国宝である京都・二条城の二の丸御殿に並ぶ武家風書院造の最高傑作と言われています。その歴史的意義を踏まえ、焼失前と同等の文化的価値を有するとともに広く市民が活用でき、世界的な市民の財産となるように、工期を3期10年で総事業費約150億円をかけて本丸御殿の復元を進めています。 《以下、本丸御殿の図面を添付。各部の公開予定を示す。》 平成25年5月29日 第1期公開 玄関・表書院 平成28年6月1日 第2期公開 対面所・下御膳所など 平成30年 第3期公開 上洛殿 など 44スライド目 焼失前の本丸御殿と同等の歴史的文化的価値を有する建物を再現するよう、原則として旧来の材料・工法による、旧状再現を図るものとしています。 《本丸御殿 玄関 車寄せの写真を添付》 45スライド目 《「竹林豹虎図」(重要文化財)の絵画写真を添付》 戦災を逃れた障壁画1,047面が重要文化財に指定されています。 46スライド目 (3)名勝 名古屋城二之丸庭園の保存整備 《北御庭の写真添付》 愛知県で唯一国による名勝指定を受けた庭園です 《発掘調査現場の写真添付》 現在発掘調査を行うとともに整備を実施しています。 47スライド目 (4)石垣(本丸搦手馬出)の修復 《石垣の写真2枚を添付》 名古屋城の石垣は西国を中心とした20の外様大名により築かれる。現在本丸東に位置する本丸絡手馬出の石垣を修復中 ・平成16年度から石材の取り外しを開始 ・現在4000石に及ぶ解体がほぼ終了 ・今後、積み直しを実施 48スライド目 (5)金シャチ横丁の推進 《名古屋城周辺の絵図を添付。正門と東門付近に赤点線で囲まれた箇所あり。》 名古屋城とその周辺の魅力向上、賑わい創出するとともに来場者へのおもてなし、さらには名古屋の魅力発信を図るため、金シャチ横丁の整備を推進しています。平成30年3月ごろの開業予定です。 49スライド目 お越しいただいた皆様になごやめしやお土産をご提供します。 《金シャチ横丁のイメージ図添付》 50ページ目 「名古屋城天守閣の整備」についてこれからも市民の皆様の理解を得ながら進めてまいります。