(資料2) 1ページ 〇名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施行タイプ)による公募型プロポーザル実施に伴う意見聴取会議事録(だだし、審査区分のうち、「史実に忠実な復元」と「バリアフリー」に係る内容に限る。) ■第1回意見聴取会(平成27年11月29日) (前略) 有識者(麓委員) 名古屋城跡は特別史跡という文化財なので復元工事をするときには文化庁の復元検討委員会に試案を諮って、そこの許可が得られないと工事そのものに着手出来ません。先ほどの事業想定スケジュールにはそれが全く入ってないですよね。少なくともそれが得られないと工事着手が出来ないわけですね。許可申請はゼネコンなどに出来るわけではなくて、やはり市や県の教育委員会経由で文化庁に申請しなくてはなりません。そういうことがある一方で、業務の実施方針のところの業務内容の理解度には、特別史跡内での業務であることとか、史実に忠実な復元であることということは書かれているのですけど、じゃあ、特別史跡内でどこまで許されるのかだとか、史実に忠実な復元というのはどの程度までのことを言うのかっていうことについては、多分一般の建設会社では大きな所でも普段そういう仕事はしていませんからわかりにくいと思うのですよね。ですからもし設計条件・施工条件ということで事前に提示するのであれば、その辺をどこまで許されるものかということについてある程度示してやらないと、応募する方も難しいと思うのですけどね。 名古屋城担当主幹 資料の4に業務要求水準書というのがあります。(特別史跡における条件の説明)こちらに書いてあります。これは文化庁に行きまして内容のご確認をいたしております。 有識者(麓委員) ここに書かれているようなことはごく基本的なことで、実際に設計しようとしたらこれが触れることになるのか、可能なことなのかという判断に随分迷ってくると思うのです。そういうときに、先ほどの別紙1求める技術提案書、別紙1の工程計画のところで調査・設計(文化庁との協議・手続き)と書いてあるとおり、文化庁との協議・手続きを設計業務の中として候補者にやらせるのか、それともそれは市がやることなのかっていうことの判断をはっきりさせておく必要がある。 河村市長 それはまあ私どもがやります。しかし業者さんにもやっぱり行って欲しいですね。年に2回、3回ともっと会合をやって下さいとかね。 (中略) 有識者(瀬口委員) いま麓先生が言った史実に忠実なということはどこでチェックするのかっていうのが議論の中に実はいままで出ていませんが、次のところで出てくるのでしょうか。 2ページ 名古屋城担当主幹 業務要求水準書の要件で縛られるのですが、今回はこういう限られたプロポーザルの短い期間の中で@番の所の実施方針のところで理解度を計る、つまりどれだけこの業者さんは理解出来ているかというところを史実に忠実というところで計っていきたいという趣旨です。 有識者(瀬口委員) 何かありますか、安井さん。 安井建築設計事務所 史実に忠実というのが評価項目の中にいま出ていないところで、どういう手法でそれを確認するのかということが見えてないと、提案する方からすれば、提案しなくていいんだなと判断すると思われます。それを打ち合わせしながらやっていくということになっているのが非常に不安を感じます。実際には業務実施方針のところなどに入れた方が良いのでは。 有識者(瀬口委員) 必須項目入れてもらうか。 安井建築設計事務所 それよりもやり方を書かないといけないかもしれません。必須項目だから、それを実現するにはどうしたらいいかということを書くべきだと思います。工程計画の方も絶対条件なんだけれどもその工程で出来るという裏付けをそこで書くということだと思います。そうするとそれが確かに出来そうだなとなったら、信頼出来るなってことで点数がつくということだと思います。 (中略) 有識者(瀬口委員) 史実に忠実なという評価についてこの場には全然無いというのが気になるのですが、どういうチェックですか。 有識者(麓委員) それは必要だと思うし、求める技術提案書の中にそういうものがないと、何をもって評価出来るのかと言うのがわからない。 河村市長 だから一番大事なところだな。 (中略) 有識者(瀬口委員) (評価項目の配点について)先ほどの史実に忠実に関しては項目を入れた方が良いのではないか。そこに配点が入るので全体のバランスや点数が変わるかもしれない。 有識者(小野委員) 史実についての話は盛んに出ているのだけども、いま麓先生が言われたように、史実の忠実な復元について限定的に項目を入れられるのですか。 有識者(麓委員) 例えば木造でやろうっていうときに、どこからどこまでを木造でやるかということは前提条件として私はあると思うのです。つまり基礎のケーソンは残さないといけないかもしれない。そこにスラブは残るかもしれないし、でもそこから上、今日入っていった穴蔵、地下一階ですけど、地下一階から上は史実に忠実ということであれば、それは全部木造でやらないといけない。そうすると周辺の石垣のところに荷重がかかる。そういうものを史実に忠実 3ページ に復元しようとするとどうなっていくかということを検討しておかなければいけない。 有識者(小野委員) それは、この枠の中で設計者が考える話だし、石垣に力がかからないという説明を受けたときに、もうそれ前提の話になっていると私は理解していました。 有識者(瀬口委員) どういう工夫を求めるかっていうことですね。 有識者(小野委員) 史実に忠実な復元ということについては、細かい項目はあげられるのですかということを聞いている。ここは安全性、耐震性に対する工夫だから、どういうふうにやるかは提案だからと言っているのです。 有識者(古阪委員) 発注者がきちんと指示をしながらやっていくもので提案しなさいではないんだと思います。東京駅も復元されて、賛否両論あります。それは発注者がどこまで資料をもっていてどうしようとするかっていうことに依存している。例えばこれはどうしますかという提案求めるのはいいですね。今日見せていただいた施設などで例えば復元はどうしますかというようなことを例示とすることであって、本当は発注者が全部見せてこれはきちんとやって下さいよっていう趣旨の問題で、初めから提案なんかそこに出さない方がいいです、出ないです。どういうことで発注者の要望を満たすかということを書かせれば十分。 有識者(瀬口委員) 設計なのですよ、だから設計行為を外に出す。そこはどっかで提案を受ける。 有識者(麓委員) そのことについてなんですが、結局先ほど言われた木材調達と構造計画とバリアフリーの話と防災避難計画は、それが史実に忠実な復元に対してどこで折り合いを付けられるかということになってくるのです。ですから先ほど私がお話しさせてもらったのは、その4つの項目については、史実に基づいてどうバランスを取るかっていう提案を求めているというように私は考えます。 名古屋城担当主幹 いま古阪先生がおっしゃられていますけど、最初のところの理解度にどうしてこの史実に忠実な復元であることを入れたかといいますと、この考えが全ての計画に反映されなければいけないのです。つまり現代建築のやり方でこういう下に書いた項目がなされているということは理解度が足らないということだということで、それはここで書くことによって、全ての考えの中に、史実に忠実だという考えがなければいけないということです。先ほどの防災計画もそうです。ですからこれは理解度の問題なのですね。それが自ずと図面に出るはずなのです。だから、ここにその史実に忠実な復元であるということをその理解度として入れさせていただいたというのはそこにあるわけです。 4ページ 有識者(瀬口委員) 東京駅なんかは、文化庁がほとんどチェックしておらずJR東日本の主導で復元しているわけです。だから同じ史実に基づいて両方のスタンスがあるのだけど結果が違う。 名古屋城担当主幹 ただ、ここは特別史跡という文化庁の管轄の中で決められたルールに則って、しかもそれは名古屋だけでなくて全国がそのルールに則ってやっていかなければならないということです。 有識者(麓委員) 私がさっき申し上げたことにかかわるのですが、木造で本体を作って、石垣はあとから修理だっていうことがもう条件としてあるじゃないですか。ではそれが本当に木造で作って、石垣の載っている部分の木造建築がちゃんと維持出来た状態で石垣の修理が出来るのかどうか。そういうことを考えれば、当然その部分はあとで石垣の修理が出来るような構造を提案すると思うのです。そうすると史実に忠実と言いながらも、あとの他の項目と関連して、この範囲はもうこういう条件を満たすためには、史実に忠実といいながらもある程度目をつぶってもらわなければならない。そういうのが出てきたら困る。そもそもそういう提案だったら文化庁の復元検討委員会は通りませんからね。そうするとじゃあそれをどうクリアしてこの史実に忠実な復元を可能とするのか、そのやっぱり提案に工夫が無いといけないと思いますね。 河村市長 エレベーターなんかどうなる。作らざるを得ないと提案すると史実に忠実ではないところで0点になる、どうなのですか。 有識者(麓委員) それはですね、一旦史実に忠実なものを作っておいて、それ+α現代の活用のために何かを加えるとか、あるいはエレベーターじゃなくても、耐震補強が必要であれば、かつては無かった補強も許されます。ですから基本としては史実に忠実で、+αいまの耐震診断にちゃんと適合する。そして活用もある程度考慮するということは認められています。 有識者(瀬口委員) そういう言い方をしたらさっき麓さんが最初に言った、いわゆる上の加工、石垣のこと、それも石垣をあとから手を入れるという前提の中で現在の技術で変えていくことは、私は全く同じ土俵で評価出来る話じゃないかと思うのだけど。 有識者(麓委員) それがですね、そういうことを文化庁の復元検討委員会でこれまで認めているかというと全く認めてないものですから。結果がある程度見えてくるものですから、そういうことは担保しておかないといけません。 名古屋城担当主幹 先ほどの業務要求水準書に基準をお付けしてあります。そのなかの7頁で、(3)配慮事項というのがあります。その中で1.歴史的建造物の構造及び設置後の管理の観点から、防災上の安全性を確保することということがございまして、これは史実に忠実なのですけれども、そういうものについて、防災上を含めてですね、安全を確保することというのがございますから、その辺を総合的に判断しながら、それはいま先生がおっしゃったとおり、文化庁 5ページ が良いと言わなければ勿論ダメでございます。この中で次のところで「復元的整備」という新しい考え方も出ておりますけれども、文化庁もいろいろ協議をしながら今後やっていくという事例と実際に重要文化財でも鉄骨による補強というものはなされております。ただしそれはその選択肢しかないのだと、この建物を維持するにはそれしかないんだというところまで突き詰めた上で提案しなさいというのが文化庁のスタンスでございますので、今回の提案の中で如何に真摯にですね、提案してくるのか。その辺の工夫というのを求めるのかなというところが今回この書式を作らせていただいたときの考えです。 ■第2回意見聴取会(平成28年3月20日) (前略) 名古屋城担当主幹 技術提案書の審査基準の中の必須項目といたしまして、木材については書いてございます。その中に、「原則として国産材を使用していること、調達困難な場合は代替案が注記されているということ」、つまり絶対に人が出来ないということまで求めることは出来ないということが書いてあります。文化庁の方とも事前にお話しさせて頂いている中で、手を尽くしても無い場合、それは文化庁の方もそれを求めることは当然出来ませんから、例えば短期間に工期を縮小させるためとか、経費を縮減するために代替の外国材を使う考えではないということ、つまり、史実に忠実な再現とありますのでその中でどうしても手に入らないというものについては代替案をという趣旨であります。この長尺ものですとか基礎の土台ですとかそういうことではなくて、全ての物について原則はやはり国産であって、手を尽くしてもどうしても不可能な物については代替案ということでございますので、今回、A者は代替案、B者は全部国産だという中で、その辺が一つの議論かなと私は思っています。考え方としてはそういうことであります。 有識者(瀬口委員) 手を尽くしたかどうかは文化庁にいった時に手を尽くしたかどうかであって、いまこのプロポーザルの段階でそれが最初から入っているか、そこをベースにして進むわけでしょ。 有識者(麓委員) 物理的に不可能な材料はそれがそろわなかったら復元出来ないというそういうものじゃない。だったらもうその辺は。 有識者(瀬口委員) プロポーザルに基づいてやっていればO.K. 有識者(麓委員) それは最初に市から出している条件の通りでいいと思いますけど。 (中略) 6ページ 有識者(麓委員) 物理的な話じゃなくて、もう一つ私が気になったのは、どこに書いていたのか忘れたんですけど、鎗鉋とかそういう手間をかけると経費がかかるのでそれを経費削減の条件、削減案として加工方法を変えますっていうのがありましたよね。それは史実に忠実な復元に関わってくるのでしょうか。どうしても出来ないことじゃなくて、うちが受けたら経費削減のためにはこうしますってことだから、それはちょっと話が違うと思うんですけど。 有識者(瀬口委員) それはやるなというふうに言う。 有識者(三浦委員) 木材の表面加工ですね。手斧と鎗鉋をかけるというのは復元には基本的には関係ないんです。何故かというとですね、鎗鉋使ったとか手斧使ったという復元を見たことありますけど、実際手斧や鎗鉋使った復元よりも、台鉋使った方が本物により近いということはよくわかっています。要するにあまりにも鎗鉋と手斧の使い方、今の人たち下手くそすぎる。それからもう一つは手斧の刃の大きさと使い方が400年前と江戸時代後期から明治の新しい手斧と根本的に違います。その辺のところを研究者がよく理解していないので、だから我々が城を復元したのを見た時、鎗鉋と手斧使いましたって、こんなひどい手斧は400年前にはあり得なかっただろう。400年前に手斧かけたのはこれだって彦根城で実現したらよくわかった。要するに工具について伝統的な工具使わなければならないというよりも、より焼けた名古屋城の実物に近い仕上げになるように努力せよという方が正しいんじゃないかと思います。 (中略) 有識者(麓委員) さっきの表面加工の話ですが、先ほどの三浦先生のご意見は個人的なご意見であって、上手いか下手かで、最近のは下手だから違う表面加工でも良いんだっていう発言に取れたんですけど。それは違う話で、史実に忠実なっていうのは最終的な表面加工は本来見えてくる部分は本来の加工法でやるっていうのが一番の原則というか、一般的にやっている修理でもそうですし、復元でもそうですよね。 有識者(三浦委員) 重要文化財・国宝の手斧がけ、復元のところはですね、明らかに手斧と鎗鉋の形状が違っています。それで400年前の手斧痕というのはライトを斜めに当ててよく、そこに手斧がかかっているという先入観をもって見ない限り見えないくらい非常に精密なものなので、その辺のところの評価が今全く出来ていないんですよ。 有識者(麓委員) いま私が言っているのは、手斧を使って非常に精巧に仕上げているものもあれば、床下に見える梁等で粗く仕上げている加工痕もあるわけですよね。それは使われる場所によって工具が同じでも非常に精巧に加工する時もあるし、そうじゃないこともある。そういうものをとにかくそれは関係ないんだっていうようなことで問題にしないっていうのはおかしいと思うんですけどね。 7ページ 有識者(三浦委員) それはまた別な機会で。 有識者(小野委員) 史実に忠実なといういい方は、議論が進まないことが非常に多いんですね。史実というのは時代を受けて変化するものですから、その時代の中でどうするかっていうこともやっぱり、史実に忠実なという言葉の中で我々は考えていかなきゃいけないんだろうなと。いろいろとやっている中でいつも思うものですから。これ感想です。 (中略) 河村市長 金鯱をどうするの、これ。 安井建築設計事務所 それをどうするかなんです。 河村市長 もう一個作るということですか。 安井建築設計事務所 いまは、元々の工事費には入っていて、もう一回新築で作るということですけれども、いま提案しているのは再利用ということです。 有識者(川地委員) 昭和34年に未来永劫光り輝くということで金鯱は作られたはずですよ。だからその思いを伝承するという意味でも、私はそれはね、もう残すということを前提にしてほしい。(後略) 名古屋城担当主幹 今の金鯱はブロンズが骨となっていますが、昔は木の骨ですよね。当然ですけど棟への載せ方もボルトです。そこは変わっていますから、それは一概に、実は考え方としてはあるかもしれません。けれども史実に忠実ということでいけば、まずはそこから作るということも史実に忠実でございますから、いまのものをそのまま使えないことはないと思いますが、それは文化庁とも協議しながらやるべきこと。やはりまずは大前提の史実に忠実からくるものだろうなと思います。 (中略) 有識者(小川委員) 忠実に忠実というのは原則ですね。大原則なのでこの辺の言葉はどうですかね。 有識者(瀬口委員) 検討された…ですか。 有識者(下山委員) 構造計画の一番上に、史実に忠実な木造復元に配慮した構造計画っていうようなのがありますから、いま先生がおっしゃった大原則の上で、耐震は現行の基準に照らして良いのかということをどう克服するかっていうことです。基本は史実に忠実っていうことですね。 有識者(片岡委員) 提案内容に工夫がされているかどうかじゃなくて、構造計画で。 有識者(瀬口委員) 史実を考えないで構造計画を立てても、それはダメですね。 有識者(片岡委員) ただ、耐震性に関する工夫をする必要があるのかという疑問があります。地震に対する安全性は検証しないといけませんが、それは当たり前のことです。そういったものを勘案する、新しい耐震 8ページ 的な工夫をするっていうことは正しいことでしょうか、復元に関して。この辺りは疑問に思います。 有識者(瀬口委員) 言葉の使い方だけなんですけど。 安井建築設計事務所 このことに関することですね。工夫なのかどうか。 有識者(片岡委員) 言葉のニュアンスで。 有識者(小野委員) 我々はこういう観点で評価しましょうというだけの話だから。相手がこれがあるために新しいことを入れて工夫してしまうんじゃないかという懸念があって。 有識者(川地委員) 今の段階はもう無い。 有識者(片岡委員) いえいえ、採点する方でそういった観点や新しい何か工夫が伝統工法という範疇の中で。 有識者(小野委員) 新しくなくてもいい。耐震性がちゃんと検討されていているかを見るわけですね。 有識者(片岡委員) それでいいと思います。 有識者(小川委員) ではこの件については次回決めて頂くということでよろしくお願いいたします。 ■第3回意見聴取会(平成28年3月27日) (前略) 安井建築設計事務所 (A者への質疑)三番目でございます。史実に忠実な復元を目指すために、想定されていた仕様が文化庁の見解と異なった場合、どのような対応となるのでしょうか。これ特に先ほどのA3の右の方に書いてある。 A者 基本的には史実に忠実な木造復元ということで復元検討委員会を重ねながら、中身についての調整をしていくというふうに考えております。原則と致しましては、文化庁様の見解、有識者様からの見解を守ることになるというふうには理解していますが、これについても今後協議の中で、最終的な方針は決めさせて頂きたいと考えています。 (中略) 有識者(三浦委員) なるほど、良く研究されていますね。もう一つお聞きしたいのは、階段を増設する場合があるという提案があります。それは大変にけっこうなことだと思うのですが、5階の増設階段の位置が東南の部屋に設置されていますね。この東南の部屋は、5階の4部屋ある中の一の間であって、一番大事な部屋です。そのど真ん 9ページ 中に新しい階段を計画されていますが、それについては検討されたのですか。 A者 5層については、いま三浦先生がおっしゃいましたように、一番重要なエリアだと考えております。この辺りをどのようなしつらえにするかということですが、我々としては、五層については現状のままの一本の階段で上がって頂き、バリアフリーに関しては■■■■■■■■■■■■■■■■■もあるのかな、というふうに今は考えております。やはり■■■■■■■■■■■■■■■、より利用しやすくなればということで、一つの例として入れさせていただいています。 有識者(三浦委員) 付けてはいけないということではなくて、あと三部屋あるうちの何故一番大事な部屋に付けたのかっていうことです。 A者 部屋のグレード感ということだと思います。これを付ける時には、やはり五階にたくさんのお客様を導きたいという状況だと思います。導線を考えた時に既存の階段と対照的に配置した方がスムーズに行くかと思いまして、一案という形で入れさせていただいております。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■今後協議をさせて頂きたいと思います。 有識者(三浦委員) ありがとうございました。 有識者(麓委員) 今回のプロポーザルをやるに当たって業務要求水準書があったと思うのですが、それを見ると非常に困難なことがたくさん書かれていますよね。史実に忠実な復元ということで、穴蔵から5階まで全て木造でやると。そしてこれは工期の関係だと思うのですが、天守を復元したあとで石垣の積み直しをやるというような工程の順番がありました。しかも特別史跡における条件として、仮設工事も含めて地中を荒らす恐れのある行為や、杭の打設は認められないとか、そういうことが書かれていました。今、私が言ったようなことを全て満足するというのは非常に困難で、今回の提案につきましても、56頁ですが、耐震性を向上させながら忠実な木造復元を実現しますと書いてある。その二番目、右端の一番上です。2地盤・石垣検討を含む基礎構造で、一番目のところに書いてある図です。これは石垣の中、穴蔵と天守台の外側の石垣との間にコンクリートの跳ね出しの架構を設けるような構造になっている。それがたぶん木造で穴蔵から上まで復元しながら、あとから石垣を積み直し工事が出来るような、あるいは石垣に荷重をかけないような案としての提案だと思うのです。しかし、記念物の担当者は、特別史跡として石垣が最も重要だと考えられておりますので、そもそもこれが認められない可能性があるんですよね。その場合に、こういう工法じゃなくて他の案を提案して、工期までに実現することが出来るかどうか。その辺は如何でしょうか。 10ページ A者 麓先生のおっしゃるとおりでありまして、文化庁との協議を深めていかなければ回答にはつながらないのですが、例えば現状の天守閣を造られた時に、当然当時も文化庁との協議をしていきながら造られていると思います。その当時地層として触っている部分、そういったものが仮に明確になっていれば、それも交渉材料の一つになるかなと、手前どもと致しましては一つの情報として考えております。石垣は、特別史跡の中で一番重要な史跡であるということは認識しております。そういったところをどういった形で、影響のないように進めていくのかというのが、これからの設計を進めていく上での大きな課題でもあるとも考えておりますし、施工手順についてもこの辺りをクリアにしていかなければならないとは思っています。 (中略) 有識者(川地委員) (前略)それとバリアフリーの話ですが、4人乗りの最少のエレベーターをお付けになる。これは個々の協議の中でということですが、その前提として、最近いわゆる車いす対応の、階段の勾配なりに上がれる設備がいろんなメーカーから出ております。車いすを使う人だけではなくて、もう一方で階段を上がるのに大変な高齢者への対応、ないしは乳児の問題もあります。一方で、史実に忠実なというところで、やっぱりエレベーターはかなり相容れないところがあります。一つの解決方法として、いまの階段はもう普通の住宅並みの階段ですから、十分設備が設置可能だと思うんですよね。だからエレベーターを設置する前にそれをお考えになったかどうかの確認をさせて頂きたい。(後略) A者 (前略)バリアフリーのお話しですが、エレベーターというのはおっしゃるとおり、一つのケースとして検討いたしました。実は手前どもの検討の中でも、四層から五層までの階段については、そういった補助的な昇降路というものも一つのアイデアとしてあるのではないか、ということでご提案差し上げております。昨今、いろいろとバリアフリーに対するアイデアとか機器がございます。そういったものも、今後どのような形で活用するかは協議させて頂きながら進めていきたいと思います。それはご指摘の通りです。 (中略) 有識者(小野委員) 最後になりましたので、質問が重ならないようにしたいと思います。バリアフリーに関しては、小型のエレベーターと階段との案で、私はそれなりに考え方が合っているとは思います。さきほど姫路城の1.9倍の面積があるから云々という話がありましたが、小型エレベーターの混雑時の処理ということについては、現段階で少しは考えられたのですか。 A者 極力史実に忠実という観点に立った時に、非常に安易な考え方かもしれませんが、やはりエレベーターを付けるにしても極力小さ 11ページ なものという、そういった位置づけで入れさせていただきました。やはり、かなりの入場者を入れるべきだという考えはもっておりまして、そのためには基本的には階段を利用していただくのが原則となると思います。ただどうしても昨今、バリアフリーという概念が世の中にございますから、こういうところを今後どう折り合いをつけていくかということが、一つの課題かなとは認識しております。 有識者(小野委員) むしろ入場制限をしながら、史実に忠実な復元をしていただきたい。(後略) (中略) 有識者(小野委員) (前略)それからCLTのお金の有効性について質問があります。いわゆる史実に忠実なっていう点で小屋組みは大丈夫ですか。 A者 大丈夫だというように考えております。 有識者(小野委員) そのように回答頂いているのでけっこうです。それから一つ、史実に忠実ということと、やはり現代の中で耐震性を確保していくこと。今の技術の中でその折り合いをうまくつけていただきたい。史実に忠実ということは現代技術と相容れないようなところもある。ぜひ現代技術をうまく生かした形で、史実に忠実な復元を技術者の力で実現して頂きたいと、私はそう思っております。要望ですね。 有識者(瀬口委員) ありがとうございます。私からも質問させて頂きます。先ほどの話で、エレベーターを作る時に階段の位置を動かしたという話がありました。当初の階段の位置は非常に重要だから、そんなに簡単に動かしもらっては困る。今の鉄筋コンクリートの天守だって、最初は旧来のとおりスタートして、いざ実施の時に、エレベーターを入れるために階段の位置を変えている。中央にもってきています。今の段階で史実に忠実と言いながら、実施の時に変わってしまうかもしれない。色々な都合で。予算の都合だとか、いまの観客動員のことだとか。どこまで史実に忠実かということに関して、どういうふうに考えていますか。基本的なことで申し訳ないですがお聞かせ下さい。 A者 先程の説明の中で誤解があったかもしれませんが、元からある階段を動かすつもりはありません。元からある階段はそのままの位置で計画を考えております。提案書の51頁をご覧になって頂きたいのですが、今出ている右側の断面図の中に水色で囲ってあるのが、新たな階段をコアとして、防災的な防火区画のコアとして作る場合です。これも■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、この様な形で提案させて頂いております。 12ページ A者 史実に忠実な復元という価値判断と、やはり防災・バリアフリーといったものをどうするかという価値判断は、ある意味では真逆な判断になるやもしれません。そういったものを今後協議させて頂くことが一番重要な課題の一つかなと考えております。関係者の皆様方と協力しながら、どこで落としどころを付けていくのかというのが今回のプロジェクトの胆ではないかと認識しております。それが非常に難しい課題であるということも認識しております。 有識者(瀬口委員) 大変な課題だと思います。今提案しているものがベースになると思いますが、それよりも史実に忠実なことをやろうとすると、コストアップになる可能性がありますよね。外材50%で米ヒバ書いているでしょう。でも説明ではあまり触れてないような。 A者 違います、違います。 有識者(瀬口委員) それはコスト縮減で入れるということですね。 A者 コストもありますけれど、まず手段として入っています。あとは、赤身の部材を使いたいというところで、今は外材という提案を入れさせて頂いています。地上部分では3本だけが私どもの提案になってきます。 有識者(瀬口委員) 22頁のところで、「梁丸太材に………確保されない場合は、松を50%、米ヒバを50%」としますということで、見積をしている。その場合は減額になるという言い方ですね。 A者 はい。今は松を見積もりしておりますが■■■■■■■■■■■■■■やはり赤身の入った松を採用したいと思っておりまして、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■そこは協議をさせて頂きたいと思っています。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■と考えておりますので、その辺りも協議させて頂くポイントかと思っております。 有識者(瀬口委員) 白太を使うってことは当然無いと思います。提案当初の見積だから、やっぱりちょっと理想を書いていて、それが現実のところで少し変わっていくのかなという認識で良いですか。当初からコストを下げるために低くしていると、史実に忠実な方に戻りにくいのではないかと思ったのですが、そういうことはないのですね。今、十分史実に忠実な提案になっているんですね。 A者 現状、提案をさせて頂きました総事業費の中で、今後協議をさせて頂きたいと思います。そういう答えでよろしいでしょうか。 有識者(瀬口委員) ということは、史実に忠実でない部分もあると。 A者 そういうわけではないです。 13ページ 有識者(古阪委員) 史実云々とは全部別の問題ですよ。これは全部事業者の問題で、提案者に全部それを求めるのは、この大雑把な話では無理です。 有識者(瀬口委員) 提案者が見積の段階でどう考えているのかということです。これで全部やるというわけではないでしょうから。それから、先ほどから聞いていると、一案だとおっしゃっている。つまり一つの案として見積をしているわけですよね。 A者 確かに、全て国産材でというお話しがあった時に、現状集められる確約がない材料まで単価を入れることは出来ませんから、この様な提案の出し方をさせて頂いています。史実に忠実ということで、もしどこかにそういう材料を持っているという方がみえて、今回の名古屋城のために供出してもいいという話がありましたら、それを調達することについては全力を挙げたいと考えております。先生、そういう考え方では難しいでしょうか。 有識者(瀬口委員) 実現性を考えた提案になっていて、史実に忠実にしようとするとそれは協議。そういう理解でよろしいですか。はい、ありがとうございました。 有識者(川地委員) 追加で質問させて頂きます。先ほど史実に忠実ということとバリアフリーとの間で、落としどころとおっしゃいましたよね。A者さんとして、今の段階で落としどころというのは、どのように考えられているのか。いずれにしても、基準法の3条を免除される代わりに、構造的な防災避難所の安全を担保しなければいけない。今やられていなかったとしても、おそらく今後避難シミュレーションをやりながら、要は安全ですよということを言わないといけない。もし既にやっていればその話と、また、付加する項目として完全なガラスによる防火核を提案されていますが、それはある程度根拠があって、例えば避難シミュレーションなどによって、これが必要だと判断されたということなのか、それをお聞きしたい。 A者 手続きとしてはまず、防災の方の安全性を証明し、その上で3条摘要の審査会にかけさせて頂くのかなと思っております。いきなり審査会の方へ資料をお持ちしても評価して頂けないと思いますので、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■防災の先生たちですので、そちらの安全性を優先した考え方はどうなるのかと。ただ、そうすると史実の重きを置いた判断にはならないかもしれないですが、それは仮設の避難シャフト、避難コアと呼んでいますが、そちらの方でなんとかご説明が付くのではないかと考えております。今のところ、シミュレーションというところまではまだ行っていません。 (中略) 14ページ 安井建築設計事務所 では4番目でございます。史実に忠実な復元を目指すために、想定されていた仕様が文化庁の見解と異なった場合、どのような対応となるのでしょうか。 B者 文化庁さんとの協議により、今回の提案がそのまま通ることはないと我々も認識しております。ただ、文化庁さんとの話し合いの中の対応につきましては、我々の持っているノウハウ、また協力設計事務所のもっているノウハウ、実績によって対応したいと思っております。その対応の中で工期やコストは守っていきたいとは思っておりますが、いかんせん交渉ごとでもありますので、我々の今出したものと文化庁さんとの見解の違いの大きさにもよりますが、その都度、名古屋市様と協議してやらせて頂ければと考えております。 (中略) 有識者(小野委員) はい。それからバリアフリーに関して。比較的大型のエレベーターを建物の真ん中へ、5階まで通すという提案ですが、これと史実に忠実とかとの関係はどのように考えていますか。 B者 一つは人的サポートによるバリアフリーの実現、もう一つはエレベーターによるバリアフリーの実現として、二つ提案させて頂いております。私どもとしましてはエレベーターを設置することが望ましいということで、先ほどプレゼンテーションさせていただきました。しかし、文化庁様との協議を含め、史実に忠実な復元を考えた場合、エレベーターを設置出来ないことも考えられます。その時は、提案書の中では人的サポートということで、階段昇降型の車いすを配置しまして、それで上まで上がっていく。時間と手間がかかるのですが、それでも上へ上がることは可能です。そういった考え方をしております。我々が決定出来ることではございませんので、今後の協議の中で。 有識者(小野委員) 今のお答えはわかりますが、大型のエレベーターと史実への忠実さということの兼ね合いは、このくらいはかまわないというふうに考えていらっしゃるのですか。 B者 現在考えておりますエレベーターの大きさというのは、大体3.3×3.3mぐらいの大きさのグリッドが必要です。現在の梁と桁を考えますと、それぞれ1本ずつ、少しずらすことが必要となってきます。図面の中にも明示させて頂きましたが、必要最低限、梁1本、桁1本少しずらすことで、エレベーターが入るような形としています。設置については、基本的に鉄骨で自立させて、水平力に関しては本体の方にもたせる。そんなに大きい水平力じゃないものですから。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 15ページ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■そういった対応をしようと考えております。 (中略) 有識者(川地委員) (前略)それと、二つめの、史実に忠実なということと、バリアフリーということにどういうふうに折り合いを付けるかということですが、冒頭でご説明されていましたように、御社は天守閣も含めて非常に実績がありますというようにおっしゃっています。私は11人乗りのエレベーターが果たしているのかという疑問も思っていまして、本当のところ、経験豊富な御社が今後の協議の中で、史実に忠実なということとバリアフリーというところを、どういうふうに折り合いを付けようと思っておられるのか、その辺りの自信のほどをお聞かせ願えればと思います。 B者 バリアフリーに対する考え方ですが、エレベーターが一番大きなお話だと思うんですけれど、それ以外にスロープがございます。階段のところとか。基本的な考え方は提案書に書いていますが、史実に出来るだけ忠実に作ったものの上に木造のスロープを掛けて、勾配はちょっときつくなりますけど、そこはボランティアさんだとかスタッフの方が介添えをして、人的なサポートでそこを乗り越えていくというような考え方をしています。復元との絡みでしたら、木造で造ったスロープを外せば復元状態に戻るという考え方をしています。私どもも、史実に忠実ならばやっぱり人的サポートでやるしかないとそれはそれで考えました。ただ、平等に見られるようにという観点からすると、やっぱりエレベーターもあるのかなと。史実に忠実なということを最後まで大事にするのなら、階段、車いすの昇降機を使ったり、あるいは人的に上まで連れて上がったりという、いまの他の城郭のやり方という形になろうかと。ただ、これから100年200年経っていく中で、やっぱり多くの方に平等に見て頂くという目線が、名古屋市民の方々だとか、いろんな方から意見がもし出た場合には、こういう対応も必要になるのではないかというところで、正直、我々もその辺をどう判断すべきかと迷っているところはございます。それにつきましては、先生方のご指導と名古屋市民の方々の意見、それから文化庁さんの意見、皆さんの意見を総合して、一番いいところに落ち着けばいいんじゃないかなというふうに考えております。 有識者(川地委員) 落としどころとまではまだ考えが至っていないということですね。 B者 はい、そういうことです。 (中略) 有識者(麓委員) はい。最後に一つ。説明の時、自分たちの知っている知識だとか経験の範囲内における史実に忠実、というふうにしきりにおっしゃっている印象を受けたのですが、それはこの4頁、5頁にある設計段階のチーム編成だとか工事段階のチーム編成だとか、ここ 16ページ に書かれているメンバーの方々の知識、経験の範囲内ということでしょうか。 B者 先ほども申しましたように、いろいろ調査をしまして、先生方のご指導、それからご教示を頂きながらそれを受け止める側の受け止め方として、そういう知識とか経験とか実績とかを持った方々を今回集めましたということです。そういうことにつきましては我々もいろいろ調査をしまして、先生方からいろいろご教示頂きながらこのプロジェクトを進めていければというふうに考えております。 (中略) 有識者(三浦委員) 史実に忠実というのは非常に良いことです。昭和実測図が何枚もありましてですね、大丈夫わかると解説していますが、この実測図はあちらこちらで間違っています。今回の資料に付けて下さった昭和実測図は修正された後です。新刷りした時に直したんですかね。昭和実測図が間違っていると気がついたのは高く評価するのですが、実は図面が間違っているのか、本当にずれているのかよくわからないんです。実施設計する時に直すことも重要なのですが、安易に直されているような気も致します。今回、窓の位置だとか、図面をちょっと修正されたって言いましたけれど、その修正された根拠というのはどういう根拠だったのか教えてください。 B者 実際は現地に入って、実測等いろいろ調査をした上で確認しなければならないという作業が当然入ってきます。今回修正したのは、とりあえず私どもが図面を尺貫法で計算しまして、表記されている尺の寸法と、実際CAD上で描かれている寸法をチェックしていったといったことが中心になっております。窓の位置につきましては、隅柱を入れますと窓との間の扉の漆喰が塗れる梁が無くなってしまっていて、これではちょっと納まらないねということで、実際は漆喰を塗らないといけないのでその分ちょっとずらしてあります。そういった、今後我々が注視してみていかなければいけないであろうなというところを、とりあえずCADを見ながらチェックしていったと。そのような趣旨で受け止めてもらえたらと思います。要するに図面の中で疑問に思うところとか、これは何でこうなんだろうということで、分析だとかそういったことも含めて図面を修正しましたということであります。 有識者(三浦委員) 図面でそのまま作ればいいという安易な考えでなくて、作図し直したことは高く評価出来ます。作図のし直しについて、もし受注された場合は重々注意をしてやって頂きたいと思います。 B者 はい、わかりました。 有識者(三浦委員) もう一点あります。知られる限り史実に忠実で、知らないところはしょうがないということのような気がしますが、『金城温古録』という江戸末期に記された詳細なものがありまして、昭和実測図 17ページ では建ったまま実測しておりますから外壁の中、軒先、それから桁梁との接合部について中は空白になっています、どうなっているかわからないですよね。『金城温古録』を見てみますと、少なくとも外壁には厚さが4寸のケヤキ板、もしくは樫の板の類を鎧状に落とし込んである。そこに隠し鉄砲座も切ってあります。寸法まで入っている。そのような事実が知られた場合、設計計画等を変更しなければならなくなりますけれど、そういう体制、もしくはそれに対応する覚悟のほどを教えていただけませんか。特に外壁の部分と軒先について明らかに図面のままでは出来ません。どうですか。 B者 いまの外壁の、要は玉留めの飾りだと思うのですが、それは見込んで一部は作ってあります。ただ私どもでこれをそのまま使うわけにはまいりません。来月以降にこの事業が進んでいくと、早い時期に検討会を開いて頂いて、そこでご指導なりご決定を頂き、それに沿って図面の方も進めていく。そういう進め方になろうと思います。『金城温古録』の存在も我々も知ってはいたのですが、詳細の読み込み、検討、相談、そういう場がまだ持たれておりませんので、もし交渉権者になった場合は、至急資料の読み込み、残りの資料の存在の確認も含めて動くことは考えております。 有識者(三浦委員) はい、ありがとうございます。 (中略) 有識者(瀬口委員) (前略)それから、今回のこの評価というのは非常に、応募者も工程的・予算的に非常に困難な状況にある。それはわたしどもも十分に承知をしていないかも知れませんけど、そういう関係者が多く、関係者の判断によって工期が延びるかも知れない。そういう意味で言えば名古屋市議会、文化庁、市役所当事者、それから今後は事業者ですね、が共同して、協力して是非工期・予算の内で達成するように、評価委員全員として市長さんにお願いをしておきたいということです。業者に対しては、特に史実に忠実な復元を第一にして、工費削減に努める。工費削減を優先しないで、是非提案にあるような工程どおりに完成することを、関係者が協調して努めて欲しいということは皆さんの総意です。市長さんを始め、皆さんよろしくお願いいたします。 ■第8回意見聴取会(平成31年1月18日) (前略) 事務局 (実物大階段模型と施設棟建設工事について、技術提案に)まったく入っていないとは言えなくて。今回、基本協定に基づいて竹中工務店さんと、価格交渉して契約していくというかたちです。 18ページ もともと入っていなかったというのは、この施設を建てるということは入っていなかったですけど、技術提案の中にモックアップを造るということは、当然ありました。この階段模型を造ることによって、建築センターのほうで防災評定をとる時に、建築センターの方から避難を検証しなければいけないという話がありました。その中でモックアップを制作しなければいけない、ということがひとつありました。それは技術提案の中に入っている内容ですので、竹中工務店との基本協定に基づくものであります。バリアフリーについても新技術の確認をしていこうということがあり、バリアフリー対策もやりましょうというものも、プロポーザルの中に入っています。ただ、昨年5月に名古屋市が方針を決めたということもあり、そのための技術。そのバリアフリー対策自体が、竹中工務店が事業者としてやっていかなければいけないひとつでもあります。そういった意味の中で、この施設が基本協定に基づく今回の事業としてやっていきましょう、という整理の中で進めたということです。 有識者(古阪委員) いきましょうまでは、わかりました。では、どういう性能仕様を注文されたのか、ということです。それは、おまかせしますというのが、あっていいんですよ。あるいは、こういうふうにしたんですよ。ってね。その報告書、簡単なのが、まずはここに出されるべきで。 事務局 それが本当の概要ですね。 有識者(古阪委員) これ多分、10分の1以下でいいと思います。ものすごいむだなんですよ。一般市民とか、記者がここにいても、わからないですよね。そうではなくて、市民の方たちに言うべきことは、今お話しされたようなことです。こういうものが、こういうふうに実際に実現しているんですよ。この数量は、きちんとチェックしてもらいましたよ、と。その前のほうが問題で。その性能仕様書はどういうふうに。 事務局 性能仕様書というかたちで竹中工務店と、文書を交わしているわけではありません。今回の場合は、史実に忠実な復元をすると。その時に、人の避難や昇降ができるかどうかの確認、それにあわせてバリアフリー対策として何か新しい技術を実証実験するために、復元する元の姿をここの中に模型を造ります。それが、本当の求める性能ということで。実施設計を竹中工務店にやっていただいていますので。その実施設計というのが、史実に基づく昭和実測図などに基づいたもので造る前提で、図面を作っています。それをもってくるということで、今回の性能ではそこを一番求めています。 (中略) 事務局 (モックアップについて)完成までにバリアフリーの新技術、昇降技術を開発して対応していきたいというのがひとつあります。 19ページ そうすると4年。それ以降も、この施設を使って技術がよりいいものになるということのために、継続して使えるということも必要なので、仮設と言いながらもある程度の期間ずっと保持していかなければいけないということもあります。それでテントでは、というふうには発想が。 有識者(瀬口委員) さっきの提案で可動にするということと、史実に忠実にというのは、どういうふうに考えているのですか。可動にしてあっても構わないということですか。 事務局 そうです。 有識者(瀬口委員) 限度がどこにあるかを見たいという考え方ですね。 事務局 はい。可動というのは、先ほども説明いたしましたが、幅を広くするのはちょっとあれかもしれないけど、幅を小さくするのは手すりの位置を変えたりすることで対応できます。勾配については、踏み面のところに板を置いて、だんだん嵩上げしていくことで、勾配を変えていくことはできます。そういう対応していこうかと思っています。 有識者(瀬口委員) 可動ではないですね。 事務局 可動ではないです。応用させて、対応していきます。 実験については、常に実験を行っているわけではなくて、せいぜい月1回くらいのペースかと考えています。それ以外の時は、機運醸成のために、常に一般の方に見ていただくことを考えています。復元された階段はこんなものなんだよ、というのを体験していただくとか。 有識者(瀬口委員) 大変だと思うよ。大変ですね、今のやつを上って歩いて。 事務局 そういった意味も含めて、空調が完備された建屋が必要になってきます。 有識者(瀬口委員) 大変だという実感ができているんですね。 有識者(古阪委員) それが、史実に忠実とか、そういうことでいいのか、ということです。まともな普通の人間として、身障者の人に対しても、これが史実だって。それは昔いじめたのではないの、っていう話。本当はそのへんも議論をしないといけないのだけど。文化庁が京都に来たら、もう少し見直しがあるかと思いますが。 有識者(小野委員) 最初にお話しのあったプロポーザルと基本協定の関係のところは、ご説明をいただいたので、それはきちっとしていってほしいね。協議会の際。テント構造という話が出ましたが、それはちょっと。 有識者(瀬口委員) 確認してみます。一度。 20ページ 有識者(小野委員) この施設の本来の目的が、新しい身障者向けの設備を開発するために、実験場というものがあるのだろうけども。VRの体験室というのは、特定の前に立ってくる体になっているわけでしょ。でも現実は、史実に忠実ということで、現状に即したかたちになって、簡単に個室でもそういうことをやろうとした時に、最初の頃に説明があったように、VRで上のほうを見せるという話がありましたよね。こんなかたちのものでは、ないのではないかと思うのね。こんな小さなテレビ画面の前で、こんなふうに見えますよ、というのではなくて。今の技術だったら一部屋全体で、360度ではないけど、そういうものができるスペースがほしい。身障者などの人たちが、いろいろな流れの中でやむを得ないけども、これだけのものが仮想空間の中で体験できるのであればいいかと、納得してもらうところも、意味合いとしては大きいと思います。そういう意味でVR体験室というのが、取って付けたみたいにあるよりは、今の新しい技術で、部屋全体が天守の一番上に相当するような映像を作って、それを見てもらうと。上がらないけど、こういう体験ものがあるというくらいのことを、VR体験室に入れてほしいと思うね。実験でもあるけども、そういう人たちの理解を得るかたちのものにしたらいいのではないかなという気がします。 本当は、実験というかたちならば、こんなモックアップではなくて、もっと単純な勾配や幅というものは、提案できるもの。これを見ると、現実のものにあわせるように、柱を木で包んだりとかで、すごくこういうところにお金がかかるのね。でも実際の実験だったら、そんなところはほとんど必要なくて、通常の鉄骨の柱でもいいし、通常の木のものでもいい。先ほどフレキシブルという話が出ましたが、そういうかたちのものを置いて、そこで実験できるようなかたち。もっと実質的な意味で、フレキシブルに。いくつか、そういうものを造っておいて、勾配の高いもの、低いものを造っておいて、それを置き換えるとどうか、実験できるようなかたちにするとかね。これを見ると、現実に即したもののかたちにこだわっていて、いわゆるそういう機械の開発のための階段ではなくて、現実はこうですよと。逆の言い方をすると、こんな勾配があると、やっぱり史実に忠実では今の時代だめだよっていう意見を得るためのものになりかねない。これは姫路城に行っても、私は年だからかもしれませんけども、あの階段を上がるのが大変なんですよ。逆効果になり得る感じもあるので、もう一度考えられて、本当の意味での開発の実験棟になれば。そういうことがわかるようなかたち。それからVR体験室を今の新技術でちゃんとできるようなもの、お金がかかるかもしれないけど。むしろモックアップはどっちでもいい。モックアップはどっちでもいいのではなくて、そういうものを造るといいのではないかと思いました。 事務局 VRについてですが、バリアフリーの方針の中でVR施設を設置する方針を掲げています。それについては、これからどうするのか 21ページ というのは検討しないといけないところです。それとは別の話で考えています。今年度VRのゴーグルを5台、名古屋城で作成しました。こういったかたちで見る、ゴーグルで見るVRを作りますので。せっかく作ったので、部屋を利用して、 有識者(小野委員) そういうかたちのものなのね。画面で見せるということではなくて、全体を見るようなものですね。 事務局 一応全体を見ることができます。 有識者(瀬口委員) 屋外で使えるでしょ。別に部屋の中ではなくて、屋外で使える。 事務局 屋外でも使えます。 有識者(瀬口委員) 室内用というのがあるの?いろいろなお城に使っているのは、屋外用のゴーグルだよね。 事務局 雨に濡れるといけないタイプです。 有識者(瀬口委員) 雨が降っていたら使わなければいいだけ。そうするとスペースはいらない。 有識者(川地委員) 小野先生の言われたことに賛成です。VRは、今言われたようにゴーグルを付けてしか見られないわけです。必ず一人ゴーグルを付けて、いわゆるヴァーチャルリアリティなんです。今、少し変わってきて、ARというのがあります。拡張現実という。それは今、小野先生が言われた壁のところに、現実の壁とは違った映像を見せる。そうするとみんなで見られます。今は、VRからARの時代になりつつあります。VRというのは狭いし、人数が限られます。そういう意味では、ここのマスコミエリアですか、傍聴スペース、ここにARの壁を画面にして、みんなでいろいろな階段の検討したものを、現実に試作品で上り下りすると同時に、壁にARで見せるという意味で、VRの時代ではなくARの時代だと思っています。 事務局 今後ARについても、今本丸御殿の中をARで、部屋を見たい人は部屋だけを見ますけど、ARで歴史的にこうであったのではないか、徳川家康がこうとか、そういう動きとかを見えることを行っています。今後ソフトの開発という観点で、ここの使い方も工夫していきます。実験棟を造る時に、単に実験だけではなくて、市民の機運醸成に有効活用していこうという考え方になりました。実験に使わない時には、機運醸成のための資料などもここで、資料館のように見えるようにします。その1画を、今開発しているソフトがありますので、それを見てもらえる場所として使おうと。ソフトなどもこれから切り替えていく中では、使い方も変わってくるのではないかと、当面の使い方もこういうふうに考えています。