(資料12) 相模原市人権尊重のまちづくり条例 目次 前文 第1章 総則(第1条―第11条) 第2章 不当な差別的取扱いの解決に向けた取組の推進(第12条―第18条) 第3章 不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進(第19条―第27条) 第4章 声明(第28条) 第5章 人権委員会(第29条―第33条) 第6章 雑則(第34条) 附則 全ての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。世界人権宣言はこのようにうたい、日本国憲法も基本的人権の尊重をその基本原理としている。人権は、国家を始めとした公権力により侵害されてはならないことはもちろんのこと、私人間においても相互に尊重し合う必要がある。 このような中、国際人権規約を始めとした人権に関連する諸条約の締結及び人権に関連する法令の整備が進み、本市においても、これまで人権尊重を基調とした市政を推進してきた。 しかしながら、本市においては、平成28年に神奈川県立津久井やまゆり園で多くの尊い命が奪われる大変痛ましく、許しがたい事件が起きた。この事件は、障害者に対する不当な差別的思考に基づく犯罪であり、断じて容認できず、決して風化させてはならない。また、こうした事件が二度と繰り返されることがないよう、改めてあらゆる人の生命と尊厳が守られ、安全で安心して暮らせる社会の実現に向けて取り組まなければならない。 また、社会においては、子ども、女性、障害者、高齢者、本邦外出身者を始めとした外国につながりのある者、感染症患者、性的少数者等への不当な差別又は虐待等の人権問題は、依然として存在し、さらには、インターネットを利用した人権侵害等、新たな人権問題も発生している。 こうした状況を踏まえ、人権尊重の理念が行き渡り、一人ひとりがかけがえのない個人として尊重され、互いの人権を認め合う共生社会を実現するため、ここに、この条例を制定する。 第1章 総則 (目的) 第1条 この条例は、人権尊重のまちづくりについて基本理念を定め、並びに市、市民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、人権尊重のまちづくりに関する施策の基本となる事項、不当な差別的取扱いの解決及び不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する事項、声明に関する事項等を定めることにより、一人ひとりがかけがえのない個人として尊重され、互いの人権を認め合う共生社会を実現することを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1)市民等 市内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。 (2)事業者 市内で事業活動を行うものをいう。 (3)不当な差別 人種、民族、国籍、信条、年齢、性別、性的指向(性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和5年法律第68号)第2条第1項に規定する性的指向をいう。)、ジェンダーアイデンティティ(同条第2項に規定するジェンダーアイデンティティをいう。)、障害、疾病、出身その他の属性(以下「人種等の属性」という。)を理由とする不当な区別、排除又は制限であって、あらゆる分野において、権利利益を認識し、享有し、又は行使することを妨げ、又は害する目的又は効果を有するものをいう。 (4)不当な差別的取扱い 正当な理由なく人種等の属性を理由に、財、サービス若しくは機会の提供を拒否すること、又は当該提供に当たって場所、時間帯等を制限し、若しくは当該人種等の属性を有さない者に対しては付さない条件を付すことその他の不当な差別のうち取扱いによるものをいう。 (5)本邦外出身者 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(平成28年法律第68号)第2条に規定する本邦外出身者をいう。 (6)本邦外出身者に対する不当な差別的言動 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律第2条に規定する本邦外出身者に対する不当な差別的言動をいう。 (7)障害者に対する不当な差別的言動 障害者(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第2条第1号に規定する障害者をいう。以下同じ。)に対する差別的意識を助長し、又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し、又は障害者を著しく侮蔑するなど、障害者であることを理由として、障害者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。 (8)表現活動 次に掲げる表現行為をいう。 ア インターネットその他の高度情報通信ネットワークを利用する方法その他の不特定多数の者が表現の内容を知り得る状態に置くような場所又は方法で行われる表現行為 イ 表現行為の内容を記録した印刷物、光ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)その他の物の販売若しくは頒布又は上映その他の表現行為の内容を拡散する表現行為 (基本理念) 第3条 人権尊重のまちづくりは、誰もが一人ひとり異なる存在であることを踏まえ、多様性を認め合い、不当な差別を解消し、互いの人権を尊重し合うことを旨として実施されなければならない。 (表現の自由等への配慮) 第4条 この条例の規定の適用に当たっては、表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。 (市の責務) 第5条 市は、第3条に定める基本理念にのっとり、人権尊重のまちづくりに関する施策を推進しなければならない。 2 市は、あらゆる施策の策定及び実施に当たっては、人権尊重の視点をもって取り組まなければならない。 (市民等及び事業者の責務) 第6条 市民等及び事業者は、市が実施する人権尊重のまちづくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。 (推進指針) 第7条 市長は、人権尊重のまちづくりに関する施策を推進するための指針(以下「推進指針」という。)を策定しなければならない。 2 市長は、推進指針にのっとり人権尊重のまちづくりに関する施策を具体的かつ計画的に推進するものとする。この場合において、第11条第1項に規定する調査等の結果を踏まえるものとする。 3 市長は、推進指針を策定しようとするときは、あらかじめ、相模原市人権施策審議会の意見を聴かなければならない。 4 市長は、推進指針を策定したときは、速やかに、これを公表しなければならない。 5 前2項の規定は、推進指針の変更について準用する。 (人権教育及び人権啓発) 第8条 市は、人権尊重のまちづくりを推進するため、市職員、市民等及び事業者に対し、人権教育(人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成12年法律第147号)第2条に規定する人権教育をいう。以下同じ。)及び人権啓発(同条に規定する人権啓発をいう。以下同じ。)を行うものとする。 2 市は、市民等がその発達段階に応じて人権についての理解を深めるため、多様な機会を活用して人権教育及び人権啓発を行うものとする。 (相談及び支援体制の充実) 第9条 市は、人権侵害に関する相談及び支援に係る体制の充実に努めるものとする。 (多様な主体と連携した取組) 第10条 市は、人権尊重のまちづくりの推進に向けた市民等の意識の醸成を図るとともに、効果的な人権教育及び人権啓発並びに人権侵害に関する相談及び支援を行えるよう、関係行政機関、市民等、事業者、関係団体等の多様な主体と連携するよう努めるものとする。 (調査及び情報の収集) 第11条 市長は、人権尊重のまちづくりに関する施策を効果的に推進するため、必要な調査及び情報の収集を行うものとする。 2 市長は、前項の調査を行ったときは、その結果を公表するものとする。ただし、市長が公表することが適当でないと認めるときは、この限りでない。 第2章 不当な差別的取扱いの解決に向けた取組の推進(不当な差別的取扱いの禁止) 第12条 何人も、不当な差別的取扱いをしてはならない。 (申立て) 第13条 市民等は、不当な差別的取扱いを受けたと思料するときは、当該不当な差別的取扱いに係る紛争(以下「差別事案」という。)について、市長に対し、当該差別事案を解決するために必要な助言又はあっせんを行うべき旨の申立てをすることができる。 2 市民等の家族その他の関係者は、当該市民等が不当な差別的取扱いを受けたと思料するときは、差別事案について、当該市民等に代わって、市長に対し、当該差別事案を解決するために必要な助言又はあっせんを行うべき旨の申立てをすることができる。 3 前項の申立ては、不当な差別的取扱いを受けたと思料される者の意思に反してすることができない。 4 第1項及び第2項の申立て(以下単に「申立て」という。)は、当該申立てに係る差別事案が次のいずれかに該当するときは、することができない。 (1)裁判所による判決、公的な仲裁機関又は調停機関による裁決等により確定した権利関係に関するものであること。 (2)裁判所又は公的な仲裁機関若しくは調停機関において係争中のものであること。 (3)法令(民事調停法(昭和26年法律第222号)を除く。)に基づくあっせん、 調停、和解の仲介又は紛争の解決の援助の申請等をすることができる紛争に関するものであること。 (4)行政不服審査法(平成26年法律第68号)その他の法令に基づく不服申立て又は苦情の申出をすることができる行政庁の処分その他公権力の行使又は職員の職務執行に関するものであること。 (5)申立ての原因となる事実のあった日(継続する行為にあっては、その行為の終了した日)から3年を経過したものであること。 (6)現に犯罪の捜査の対象となっているものであること。 (7)差別事案に係る相手方(以下単に「相手方」という。)が不明であるものであること。 (8)さがみはら男女共同参画推進条例(平成16年相模原市条例第1号)第21条第1項の規定による申出をすることができるもの、相模原市子どもの権利条例(平成27年相模原市条例第19号)第22条第1項の規定による救済の申出をすることができるものその他の市の制度による救済の申出等をすることができるものであること。ただし、申立てをしようとする差別事案が人種等の属性のうち複数の属性に関わるものである場合等、これらの制度で対応することが困難である場合を除く。 (9)市の区域外で生じたものであること。ただし、差別事案がインターネットその他の高度情報通信ネットワークを利用する方法により行われた場合であって、相手方が市民等又は事業者であるときは、市の区域内で生じたものとみなす。 (助言及びあっせん) 第14条 市長は、申立てがあったときは、当該申立てをした者(前条第2項の場合における不当な差別的取扱いを受けたと思料される者を含む。以下「申立人」という。)、相手方その他の関係者に対し、助言又はあっせんを行うものとする。ただし、助言又はあっせんを行うことが適当でないと認められるときは、この限りでない。 2 市長は、申立てがあったときは、当該申立てに係る差別事案の事実関係について調査を行うことができる。この場合において、申立人、相手方その他の関係者は、正当な理由がある場合を除き、これに協力しなければならない。 3 市長は、助言若しくはあっせん又は前項の調査を行うに当たり必要があると認めるときは、その対象となる差別事案に関係する市の機関(市長を除く。)に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。 4 市長は、助言又はあっせんを行うに当たり、あらかじめ、相模原市人権委員会(以下「人権委員会」という。)の意見を聴くものとする。ただし、第2項の調査の結果等から人権委員会に意見を聴く必要がないと市長が認めるときは、この限りでない。 5 助言又はあっせんの対象となる差別事案の当事者が市であるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、市長は、助言又はあっせんを行うに当たり、あらかじめ、人権委員会の意見を聴くものとする。 6 市長は、あっせんによっては申立てに係る差別事案の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。 (あっせんに関する勧告) 第15条 市長は、前条第1項のあっせんを行った場合において、不当な差別的取扱いに該当する行為をしたと認められる者が、正当な理由なく当該あっせんの内容に従わないときは、当該者に対して、必要な措置をとるよう勧告することができる。 (意見の聴取) 第16条 市長は、前条の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告の対象となる者にその理由を通知し、その者が意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。 (助言及びあっせん並びに勧告の状況の公表) 第17条 市長は、差別事案の発生の防止又は差別事案が発生した場合における当該差別事案の解決に資するため、第14条第1項の助言若しくはあっせん又は第15条の規定による勧告を行った場合において、申立人、相手方その他の関係者の秘密を除いて、必要な事項を一般に公表するものとする。ただし、特別の事情があるときは、公表しないことができる。 (差別事案に係る調査) 第18条 人権委員会は、第14条第4項本文又は第5項の規定により意見を聴かれた場合において、必要があると認めるときは、差別事案の事実関係について調査を行うことができる。この場合において、申立人、相手方その他の関係者は、正当な理由がある場合を除き、これに協力しなければならない。 2 人権委員会は、必要があると認めるときは、その指名する委員又は臨時委員に、あらかじめ指定する範囲で前項の調査を行わせることができる。 第3章 不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進 (本邦外出身者に対する不当な差別的言動に係る公の施設の利用の承認等の基準等) 第19条 市長は、市が設置する公の施設(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条第1項に規定する公の施設をいう。以下同じ。)において、本邦外出身者に対する不当な差別的言動が行われるおそれがある場合における公の施設の利用の承認及びその取消しの基準その他必要な事項(以下「基準等」という。)を定めるものとする。 2 市長は、前項の規定により基準等を定める場合は、当該基準等に、公の施設において本邦外出身者に対する不当な差別的言動が行われるおそれのある案件に対し措置を講じようとするときは、当該措置の内容に応じて人権委員会へ意見聴取することについて定めるものとする。 (本邦外出身者に対する不当な差別的言動又は障害者に対する不当な差別的言動に係る拡散防止措置) 第20条 市長は、次に掲げる表現活動が本邦外出身者に対する不当な差別的言動又は障害者に対する不当な差別的言動に該当すると認めるときは、事案の内容に即して当該表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置を講ずるものとする。 (1)市の区域内で行われた表現活動 (2)市の区域外で行われた表現活動(市の区域内で行われたことが明らかでないものを含む。)で次のいずれかに該当するもの ア 表現の内容が市民等を対象としたものであると明らかに認められる表現活動 イ アに掲げる表現活動以外の表現活動であって、市の区域内で行われた本邦外出身者に対する不当な差別的言動又は障害者に対する不当な差別的言動の内容を市の区域内に拡散するもの 2 前項の場合において、市長は、当該表現活動が本邦外出身者に対する不当な差別的言動又は障害者に対する不当な差別的言動に該当する旨、当該表現活動の概要及びその拡散を防止するために講じた措置その他規則で定める事項を公表するものとする。ただし、これを公表することにより本邦外出身者に対する不当な差別的言動又は障害者に対する不当な差別的言動の解消に悪影響を与えると認められるとき、その他特別の理由があると認められるときは、公表しないことができる。 3 前2項の規定による措置及び公表は、市民等の申出又は職権により行うものとする。 4 市長は、第1項の措置を講じようとするとき、又は第2項本文の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、人権委員会の意見を聴かなければならない。 5 市長は、第2項本文の規定による公表をするに当たっては、当該本邦外出身者に対する不当な差別的言動又は障害者に対する不当な差別的言動の内容が拡散することのないよう十分に留意しなければならない。 (本邦外出身者に対する不当な差別的言動の禁止) 第21条 何人も、市の区域内の道路、公園、広場その他の公共の場所において、拡声機(携帯用のものを含む。)を使用し、看板、プラカードその他これらに類する物を掲示し、又はビラ、パンフレットその他これらに類する物を配布することにより、本邦の域外にある国又は地域を特定し、当該国又は地域の出身であることを理由として、次に掲げる本邦外出身者に対する不当な差別的言動を行い、又は行わせてはならない。 (1)本邦外出身者をその居住する地域から退去させることを煽動し、又は告知するもの (2)本邦外出身者の生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加えることを煽動し、又は告知するもの (3)本邦外出身者を人以外のものに例えるなど、著しく侮辱するもの (勧告) 第22条 市長は、前条の規定に違反して同条各号に掲げる本邦外出身者に対する不当な差別的言動を行い、又は行わせた者が、再び当該本邦外出身者に対する不当な差別的言動に係る国又は地域と同一の国又は地域の出身であることを理由とする同条の規定に違反する同条各号に掲げる本邦外出身者に対する不当な差別的言動(以下「同一理由差別的言動」という。)を行い、又は行わせる明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときは、その者に対し、地域を定めて、この項の規定による勧告の日から6月間、同一理由差別的言動を行い、又は行わせてはならない旨を勧告することができる。 2 市長は、前項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、人権委員会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合で、その意見を聴く時間的余裕がないときは、この限りでない。 (命令) 第23条 市長は、前条第1項の規定による勧告に従わなかった者が、再び同一理由差別的言動を行い、又は行わせる明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときは、その者に対し、地域を定めて、この項の規定による命令の日から6月間、同一理由差別的言動を行い、又は行わせてはならない旨を命ずることができる。 2 市長は、前項の規定による命令をしようとするときは、あらかじめ、人権委員会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合で、その意見を聴く時間的余裕がないときは、この限りでない。 (公表) 第24条 市長は、前条第1項の規定による命令を受けた者が、当該命令に従わなかったときは、次に掲げる事項を公表することができる。 (1)命令を受けた者の氏名又は名称及び法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)にあっては、その代表者又は管理人の氏名 (2)命令の内容 (3)その他規則で定める事項 2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、人権委員会の意見を聴かなければならない。 3 市長は、前項に規定する人権委員会の意見を聴いて、第1項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表をされる者にその理由を通知し、その者が意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。 (人権委員会による調査) 第25条 人権委員会は、市長又は第20条第4項の規定により意見を聴かれ調査審議の対象となっている表現活動に係る同条第3項の規定による申出を行った市民等に意見書又は資料の提出を求めること、適当と認める者にその知っている事実を述べさせることその他必要な調査を行うことができる。 2 人権委員会は、第22条第2項本文、第23条第2項本文若しくは前条第2項の規定により意見を聴かれ調査審議の対象となっている者又は前項の表現活動を行ったと認められる者に対し、相当の期間を定めて、書面により意見を述べる機会を与えることができる。 3 人権委員会は、必要があると認めるときは、その指名する委員又は臨時委員に、あらかじめ指定する範囲で第1項の調査を行わせることができる。 (報告) 第26条 市長は、第22条第2項ただし書又は第23条第2項ただし書の規定により、人権委員会に意見を聴かず、第22条第1項の規定による勧告又は第23条第1項の規定による命令をしたときは、当該勧告又は命令をした後、人権委員会にその旨を報告しなければならない。 (報告及び質問) 第27条 市長は、第22条から第24条までの規定の施行に必要な限度において、第21条の規定に違反して同条各号に掲げる本邦外出身者に対する不当な差別的言動を行い、若しくは行わせたと認められる者又は第22条第1項の規定による勧告若しくは第23条第1項の規定による命令に従わなかったと認められる者に対し、必要な報告を求め、又はその職員に、関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により質問を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。 3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 第4章 声明 第28条 市長は、不当な差別に該当する事案で深刻なものが発生したと認める場合において、必要があると認めるときは、市民等及び事業者への不当な差別意識の広がりを抑えるため、声明を発出することができる。 2 市長は、前項の規定により声明を発出しようとするときは、あらかじめ、人権委員会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合で、その意見を聴く時間的余裕がないときは、この限りでない。 3 人権委員会は、前項本文の規定により意見を聴かれたときは、市長が定めた期間内に市長に答申するものとする。 4 市長は、第2項ただし書の規定により、人権委員会に意見を聴かず、第1項の規定により声明を発出したときは、当該声明を発出した後、人権委員会にその旨を報告しなければならない。 5 人権委員会は、第2項本文の規定により意見を聴かれた場合においてその調査審議のため必要があると認めるときは、関係者に意見を述べる機会を与えることができる。 第5章 人権委員会 (設置) 第29条 市長は、次の事項を行わせるため、地方自治法第138条の4第3項に規定する附属機関として、人権委員会を置く。 (1)第14条第4項本文及び第5項、第20条第4項、第22条第2項本文、第23条第2項本文、第24条第2項並びに前条第2項本文の規定により市長から意見を聴かれた場合(第19条第2項の規定により基準等に人権委員会への意見聴取について定めた場合において、当該基準等に基づき意見を聴かれたときを含む。)において、調査審議し、その結果を答申すること。 (2)第26条及び前条第4項の規定により市長から報告を受けること。 (3)前2号に掲げるもののほか、第2章に規定する不当な差別的取扱いの解決に向けた取組の推進に関する事項、第3章に規定する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する事項及び前章に規定する声明に関する事項について、市長から意見を聴かれた場合において、調査審議し、その結果を答申し、又は意見を建議すること。 (組織) 第30条 人権委員会は、委員7人以内で組織する。 2 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、人権委員会に、臨時委員を置くことができる。 (委員及び臨時委員) 第31条 人権委員会の委員及び臨時委員は、人権に関する豊かな知識及び経験を持ち、中立性及び専門性を有する学識経験のある者から、市長が委嘱する。 2 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。 3 臨時委員の任期は、当該特別の事項に関する調査審議が終了するまでとする。 4 委員は、再任されることができる。 (守秘義務) 第32条 人権委員会の委員及び臨時委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。 (規則への委任) 第33条 この条例に定めるもののほか、人権委員会の運営について必要な事項は、規則で定める。 第6章 雑則 (委任) 第34条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。 附 則 (施行期日) 1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 (1)第3章(第19条を除く。)及び第4章の規定並びに附則第4項の規定 公布の日から起算して7月を超えない範囲内において規則で定める日 (2)第2章(第12条を除く。)及び第19条の規定並びに附則第3項の規定 公布の日から起算して1年1月を超えない範囲内において規則で定める日 (経過措置) 2 この条例の施行の際現に策定されている推進指針は、第7条第1項の規定により策定された推進指針とみなす。 3 第2章(第12条を除く。)の規定は、申立ての原因となる事実のあった日(継続する行為にあっては、その行為の終了した日)がこの条例の施行の日以後であるものについて適用する。 4 第3章(第19条を除く。)及び第4章の規定は、附則第1項第1号に掲げる規定の施行の日以後に行われた表現活動又は不当な差別に該当する事案で深刻なものについて適用する。 (人権委員会の任期の特例) 5 第31条第2項本文の規定の適用については、人権委員会の委員の最初の委嘱に当たっては、同項中「2年」とあるのは、「1年又は2年」とする。 (検討) 6 市長は、附則第1項第2号に掲げる規定の施行後3年を目途として、この条例の施行の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 (相模原市非常勤特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正) 7 相模原市非常勤特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年相模原市条例第31号)の一部を次のように改正する。 別表第1の11の項中「情報公開・個人情報保護・公文書管理審査会の委員」の次に「、人権委員会の委員及び臨時委員」を加える。 (附属機関の設置に関する条例の一部改正) 8 附属機関の設置に関する条例(昭和37年相模原市条例第17号)の一部を次のように改正する。 別表市長の部相模原市人権施策審議会の項中「人権施策の」を「相模原市人権尊重のまちづくり条例(令和6年相模原市条例第28号)第7条第3項(同条第5項において準用する場合を含む。)の意見を答申するとともに、人権施策の」に改める