(資料1-3) 表紙 技術提案書 平成28年3月25日 名古屋城天守閣整備事業 1ページ (4)施設計画概要 施設計画の概要と特徴等 バリアフリー・防災・避難機能がベストフィットした、実現性のある史実に忠実な復元計画をご提案します。 1施設計画の考え方 (1)調査・協議の度合いに応じた2段階の施設計画 ・本提案書では最低限必要な設備・技術等を付加した実現可能性の高い復元計画案を提示します。 ・今後、調査・協議により決定される仕様について付加の可能性のある検討項目も提示します。 調査・協議により付加の可能性がある検討項目《以下、図により施設計画提案の構成を示す》 消失前の天守閣に耐震構造技術、防災・避難設備、仮設エレベータバリアフリー設備、仮設避難コア防災設備増強を付加 《うち、消失前の天守閣に耐震構造技術、防災・避難設備については「最低限の設備・技術等の付加で実現可能な復元」として囲いがついている》《図終わり》 2史実に忠実な天守閣の復元方針 (1)施設計画の概要と特徴 ・最低限の設備・機材等の付加で実現可能な計画とします。 ・宝暦大修理後(焼失前と同じ)の天守閣を復元します。 ・大天守・小天守とも地層の穴蔵から上をすべて木造で復元します。意匠のみならず材料・工法とも、すべて焼失前にならいます。 ・木材は、原則、国産材とします。⇒F木材調達1/3_4 ・国宝姫路城などと同等の防災設備・技術の付加を最低限必要なものと考えます。 (2)最低限付加する防災設備・技術の特徴等 ・石垣に荷重をかけないための、鉄筋コンクリート(RC)造の底版構築、既存ケーソン基礎利用 ・壁・床面内への耐震要素の設置 ・室内階段中央に手摺を付加 ・業務要求水準書で必要とされた設備・サイン等 ・小天守外部階段に手摺・段差解消スロープを設置 ・既設売店のユニバーサルステーションとしての建替え ・大天守3〜4層に木造階段を1か所追加設置 ・橋台東側塀に避難口・避難器具を設置 ・防災設備等については施設計画概要4、平面図を参照 ・1日15000人を上限とする姫路城に対し、大天守の床面積が約1.9倍の名古屋城ではそれ以上の入場者数とする可能性はあります。ただし入場者数の上限設定は、所管庁や指定評価機関等と、天守閣に設置可能な防災設備と火災条件及び避難人員についての防災避難計画の妥当性を協議、検証する中で最終的に決定されます。 《紙面中央に、名古屋城の大天守と小天守の内部構造の絵を2枚掲載した上で、「最低限の設備・技術等の付加で実現可能な施設計画」及び「調査・協議により付加の可能性がある検討項目」について示す。大天守と小天守のどこに何を設置するかについて、説明から絵の中の設置部に線が伸び場所が特定できるようになっている。》 最低限の設備・技術等の付加で実現可能な施設計画 構造(小天守も同様) 壁・床面内への耐震要素の設置《図の大天守閣屋根に線が伸びている》 上部木造架構の史実に忠実な復元と石垣保全のためのRC造の底版構築《図の大天守の基礎(石垣との接地面)に線が伸びている》 設備(小天守も同様) 国宝などと同等の防災・避難設備設置《図の大天守閣屋根に線が伸びている》 ユニバーサル 階段中央に手摺付加《図の大天守三層部分に線が伸びている》 小天守外部階段に手摺・段差解消スロープ設置《図の小天守外部階段に線が伸びている》 階段中央に手摺付加《図の小天守に線が伸びている》 売店を建て替えてユニバーサルステーションを整備各種設備・サイン設置《大天守・小天守図外の余白に説明記載あり》 防災 橋台東側塀に避難口・避難器具設置《図の小天守外部階段そば壁面に線が伸びている》 防災、安全 3〜4層に木造階段1か所追加設置《図の大天守三層部分に線が伸びている》 調査・協議により付加の可能性がある検討項目 構造(小天守も同様) ケーソン内に支持層に到達する杭を構築《図の大天守の基礎(岩盤支持層との接地面)に線が伸びている》 防災 仮設避難コア・加圧ファン設置(地層〜4層までの避難階段・地層の避難トンネル)《図の大天守四層部分に線が伸びている》 東側格子窓の消防破壊進入対応《図の大天守二層部分に線が伸びている》 消防活動空地として耐圧路盤設置災センサー・放水銃設置《図の大天守そばの地面部分に線が伸びている》 橋台東側塀の消防破壊進入対応《図の大天守と小天守をつなぐ橋台部分に線が伸びている》 本丸御殿との間にドレンチャー設置《図の小天守そばの地面部分に線が伸びている》 意匠 銅板屋根の上、黒ちゃん塗り《図の大天守閣屋根に線が伸びている》 5層にグレードの高い桧を使用《図の大天守五層部分に線が伸びている》 ユニバーサル 地層〜初層、初層〜4層 車いす用仮設エレベータ設置《図の大天守四層部分に線が伸びている》 橋台通路にスロープ設置《図の大天守と小天守をつなぐ橋台部分に線が伸びている》 地上から小天守入り口までのスロープ(1/15勾配)設置《図の小天守そばの地面部分に線が伸びている》 防災、安全、ユニバーサル 4〜5層に木造階段(チェアリフト付)1か所追加設置《図の大天守五層部分に線が伸びている》 《図終わり》 調査・協議により付加の可能性がある検討項目 ・調査や付加する「安全性を担保する現代技術」等についての協議により、復元天守閣の仕様が最終的に決定されます。 [調査] ・復元年代、木材樹種の推定、各部材の形状寸法、工法等史実に忠実な復元の根拠資料 ・既存ケーソン基礎・地中の調査、石垣、文化財保護法に基づく現状変更許可の申請に必要な学術調査等 ・建築基準法第3条の適用に必要な構造及び防火・避難上の安全性を証明するために必要な調査・実験等 [協議] ・各種関係機関との協議 ・木材の樹種・仕様、石垣の整備方針 ・コスト等 ・構造計画・耐震性能 ・バリアフリー設備、防災・避難設備 等 調査・協議等により採用の可能性のある仕様 下記の項目はすべてコストに見込んでおります。 1構造 ・ケーソン内に支持層まで到達する杭を構築 2意匠 ・大天守銅板屋根の上、黒ちゃん塗り ・大天守5層の内部柱材に最高品位の国内産桧の採用(弊社提案事項) 3ユニバーサルデザイン 車いす利用者の方が大天守に登れるルートを整備 ・大天守地層〜初層、初層〜4層に車いす利用者用小型仮設エレベータ(4人乗用)を各1機設置。導入部の混雑緩和と昇降行程が最大20mのため2機を分割設置 ・大天守4〜5層に木造階段(手摺にチェアリフト付)1か所追加設置(チェアリフトを設置する場合は階段中央の手摺の付加はできません) ・橋台通路にスロープ設置。(基準勾配より急になるため補助者が必要) ・地上から小天守入り口までのスロープ(1/15勾配)設置 4防災・避難安全 火災から守られた堅牢な「仮設避難コア」をはじめとした防災設備の増強 ・大天守に仮設避難コア(大天守地層〜4層までの避難階段)を加圧ファンとともに設置 ・階段開口の水平塞ぎ戸の自動閉鎖装置設置。(階段手摺にチェアリフトを設置した場合は閉鎖できません) ・スプリンクラー増設 ・大天守東側格子窓、橋台東側塀の消防破壊進入対応 ・消防活動空地として耐圧路盤設置 ・外構に炎センサー・放水銃設置 ・小天守と本丸御殿との間にドレンチャー設置 天守閣整備にあたって克服すべき課題 →実現性のある史実に忠実な復元計画を実現します 最低限の設備・技術の付加による実現可能な史実に忠実な復元 ・より史実に忠実な復元をめざし、姫路城などと同等の防災設備・技術の付加を復元計画のベースとします。 ・付加する現代技術・設備等は、復元部分と一体化させず、将来史実に忠実な状態に復旧できるよう、部材への影響を最小限にとどめた可逆性のある設置方法を採用し、復元天守の価値を損なわないよう配慮します。