なごや人権施策基本方針 概要版    人間性豊かなまち名古屋の実現を目指して    (令和2年3月策定) 名古屋市 スポーツ市民局 人権施策推進室  〒460-8508 名古屋市中区三の丸三丁目1番1号 TEL 052-972-2583 FAX 052-972-6453 E-mail:a2580@sportsshimin.city.nagoya.lg.jp  人権とは、一人ひとりの市民が個人としての生存と自由を確保し、幸福な社会生活を営むために欠かすことのできない権利であり、人間の尊厳に基づく固有の権利です。  一人ひとりの市民が人権を享有し、平和で豊かな社会を実現していくためには、人権が調和的に行使され、市民相互の間でともに尊重されること、すなわち「人権の共存」が達成されることが重要です。  「なごや人権施策基本方針」は、まちづくりの基本理念として「人間性の尊重」を掲げる名古屋市基本構想(昭和52年策定)のもと策定された市総合計画を人権の視点から補完するものであり、市政運営の基本理念である「人間性豊かなまち・名古屋」の実現に向けて人権施策を総合的・計画的に推進していくための指針として策定されたものです。 (令和2年3月策定) 1 基本理念  市民一人ひとりの人権が尊重され、差別や偏見がない人権感覚にすぐれた「人間性豊かなまち・名古屋」の実現をめざします。 2 基本的な視点 @一人ひとりが大切にされるまちづくり  一人ひとりの人権が尊重され互いに人間としての尊厳を認めあい、すべての人が大切にされるまちづくりを推進します。 A多様性を尊重し支えあうまちづくり  誰もが、お互いの生き方や価値観の違いを認めあい、多様性を尊重し支えあうまちづくりを推進します。 B市民の参画と協働によるまちづくり  一人ひとりの市民の主体的な参画と協働により、人権尊重のまちづくりを推進します。 3 市の基本姿勢 @一人ひとりの人を大切にする施策の推進  人権尊重の理念を柱にすえた行政運営につとめ、一人ひとりの人を大切にするという視点から施策を推進します。職員は、常に人権を尊重し、公共の福祉の担い手として、公正な判断と誠実な職務遂行につとめます。 A市民が主体となる施策の推進  市民一人ひとりが人権について日常生活の中で主体的に考え、学び、行動することを尊重し、あらゆる場における自主的な市民活動や社会参加を支援します。 B総合的な施策の推進  人権課題が複雑化・多様化する中で、各分野にまたがった人権課題に対しても施策の効果的な連携をはかるなど、市政全般にわたって、人権という視点から施策を総合的に推進します。 4 推進体制と進行管理 ●「名古屋市人権施策推進会議」を設置し、人権尊重を基本とした行政運営を行うため、各局区室が緊密な連携をはかりながら、人権施策の総合的・計画的な推進に取り組みます。 ●「人権施策担当課長連絡会議」を設置し、各分野の課題解決や関係施策・事業に関する連絡調整や情報交換を行うとともに、国、愛知県、人権擁護委員を中心に関係機関との緊密な連携・協力をはかります。 ●分野ごとの個別計画との連携をはかりながら、総合的・計画的に推進します。また、施策内容については、別途実施計画を策定し、取り組み状況を把握するとともに、外部有識者の意見を踏まえ人権の視点から評価を行いながら、適切な進行管理を行っていきます。 5 共通施策 1.人権に関する教育・啓発 〜あらゆる場を通じた人権教育・啓発の推進〜  市民一人ひとりが、自らの問題として人権尊重についての理解を深め、主体的に考えて行動するためには、人権教育・人権啓発を積極的に推進することが重要です。  また、人権尊重意識が広くいきわたった地域社会づくりをすすめるため、市民の自主的・主体的な取り組みへの支援と連携をはかっていくことが必要です。  主な施策  ・人権教育の推進  ・人権啓発の推進 2.人権に関する研修 〜人権尊重の理念がより実践されるために〜  本市職員においては、人権に関する高い見識と人権を尊重し擁護する姿勢が求められており、多様な研修機会を継続的に確保することが必要です。  また、企業の社会的責任として、人権に配慮した企業活動が求められており、企業における人権尊重の取り組みの支援が必要です。  主な施策  ・職員研修等の推進  ・企業研修の支援等  ・公正な採用選考 3.人権尊重のまちづくり 〜誰もが安心で安全な生活を営めるまちをめざして〜  多様化している市民のまちづくりに対するニーズへの的確な対応が求められており、ハード面の整備だけではなく、人と人とのふれあいや心の豊かさへの配慮など、ソフト面からの取り組みもすすめていく必要があります。  主な施策  ・都市施設整備におけるバリアフリー化の推進  ・情報のバリアフリーの推進  ・意識のバリアフリーの推進  ・地域で支えあうパートナーシップの推進 4.人権に関する相談・支援 〜早期解決のための相談・支援を充実〜  人権問題の複雑化・多様化により、人権侵害に関する相談内容もさまざまなことから、あらゆる人権相談に対して、迅速で適切な対応ができる機能の充実が必要となっています。  主な施策  ・相談・支援 6 分野別施策 1.女性  〜男女共同参画社会の実現に向けて〜  依然として性差による不利益な取り扱いが、職場・地域・家庭などで発生しているほか、配偶者からの暴力やセクシュアル・ハラスメントなどの人権侵害が増加しています。  また、貧困、ひとり親、障害、同和問題(部落差別)、外国籍など様々な困難を抱える人は、性別ゆえの生きづらさと重なり、より困難な状況に置かれています。女性も男性もお互いに人権を尊重しつつ、性別にかかわりなく個性と能力を十分に発揮し、あらゆる分野において平等に参画できるよう取り組みを一層推進する必要があります。  主な施策  ・男女平等参画の総合的な推進  ・性別にかかわる人権侵害の解消  ・男女平等参画推進のための意識変革  ・方針決定過程への女性の参画  ・雇用等における男女平等  ・家庭・地域における男女の自立と平等参画 2.子ども  〜子どもの人権が尊重される社会の実現に向けて〜  子どもの人権が尊重される社会の実現のためには、市民の一人ひとりが子どもの権利についての正しい理解を深め、子どもの権利を守る文化、社会をつくることが必要です。  いじめや体罰、薬物乱用、児童虐待、子どもたちに対する商業的・性的搾取などの問題に加え、インターネットの発展やスマートフォンの普及による新たな危険から子どもを守ることも必要となってきています。  特に増加してきているいじめや児童虐待に対しては、子どもの人権に関する重大問題としてとらえ、子どもの安全確保を最優先に、家庭や地域、学校などの関係機関が連携して早期発見・早期対応につとめるなど、子育てを社会全体で支援していくことが重要です。  主な施策  ・安心して子どもを生み育てることができる環境づくり  ・子どもが健やかに育つ環境づくり  ・虐待やいじめの防止と子供の権利擁護  ・人権教育・豊かな人間性を育む教育の推進  3.高齢者  〜高齢者が安心して暮らせる社会の実現に向けて〜  高齢化が進展し、ひとり暮らしや認知症などで支援が必要な高齢者も年々増加しています。こうした高齢者が孤立することなく、地域社会とのつながりの中で安心して暮らせるよう、地域における相談・支援体制の整備など、的確な対応が重要です。  また、認知症など介護を必要とする高齢者への身体的・心理的・経済的虐待といった、人間の尊厳に関わる問題が起きています。  高齢者が社会の一員として生涯にわたって健やかで生きがいを持って人生を送ることができるよう、その主体的な生き方が十分尊重されることが重要です。  主な施策  ・健やかでいきいきとした生活の実現  ・地域で安心して暮らすための支援体制の充実  ・自立して生活するには不安がある方への支援  ・安心して暮らすことができる生活の場の確保 4.障害者  〜障害のある人もない人も共に生きる社会の実現に向けて〜  障害の有無にかかわらず、誰もが人格と個性を尊重され、住み慣れた地域で安心して暮らせる社会の実現に向けた取り組みが必要です。  障害者による自己決定、自己選択を尊重し、住み慣れた地域において自立した生活や社会参加を進めるため、必要なサービスや社会資源の充実、福祉基盤の整備など、総合的・体系的な施策の推進が重要です。  主な施策  ・地域における自立した生活の支援  ・重度障害児者への支援  ・障害者の就労の支援  ・障害者の学習機会および特別支援教育の充実   5.同和問題(部落差別)  〜同和問題(部落差別)の早期解決に向けて〜  依然として残る結婚や就職などの場面における課題、不動産取引に係る土地調査や戸籍・住民票の不正取得による人権侵害のほか、近年の情報化の進展に伴って、インターネット上で部落差別を助長する書き込みがされるなど新たな問題も生じてきています。  同和問題(部落差別)の解決のためには、市民一人ひとりがさまざまな場や機会を通じて、正しい理解と認識を深めることが重要です。部落差別のない社会の実現に向けて、啓発、教育、相談体制の充実、関係機関・団体企業等と連携した取り組みなど、総合的視点に立った施策を推進していく必要があります。 ・啓発の推進 ・教育の充実 ・相談体制の充実 ・文化センターの運営 ・部落差別のない地域づくり ・えせ同和行為の排除 6.外国人  〜多文化共生都市の実現に向けて〜  出入国管理及び難民認定法の改正により新たな在留資格が設けられるなど、わが国で暮らす外国人はさらに増加し、その国籍も多様化することが見込まれており、国籍を問わず誰にとっても暮らしやすい多文化共生の地域づくりを一層推し進める必要性が増しています。  日本人も外国人も必要な情報やサービスを受けることができ、安心して暮らせるまちづくりをすすめるとともに、外国人等に対する差別や偏見をなくし、人権尊重についての理解を深める人権教育や、多文化共生の意識醸成を図る市民への啓発活動を進め、外国人市民を地域の一員として受け入れることのできる社会を形成していくことが重要です。  主な施策  ・生活基盤づくり  ・誰もが参画する地域づくり  ・多様性を活かす社会づくり  ・ヘイトスピーチの解消に向けた取り組み 7.さまざまの人権分野  〜あらゆる差別や偏見の解消に向けて〜  このほかにも、自殺者・自死遺族等、ホームレスの人、HIV感染者・ハンセン病患者等、犯罪被害者等、性的少数者、刑を終えて出所した人等、アイヌの人々への差別や偏見の問題などがあり、正しい知識の普及と理解の促進を図るとともに、適切な支援を行うことが必要です。また、北朝鮮当局による拉致問題等についても関心と認識を深めていくことが必要です。  主な施策  ・こころの健康づくりと自殺対策の推進  ・ホームレス自立支援  ・感染症に関する正しい知識の普及と理解の促進  ・犯罪被害者等への支援  ・性的少数者に対する理解の促進や相談等の支援   ・さまざまな人権課題に対する理解の促進 8.人権を取り巻く課題  〜社会情勢の変化に対応して〜  インターネットでは、発信者が匿名で容易に情報発信できることから、電子掲示板やウェブサイトヘのひぼう中傷や差別を助長する表現、特定の個人のプライバシーに関する情報の無断掲示などの人権侵害が問題となっています。一人ひとりが個人情報の重要性と個人のプライバシーについての認識を深めるとともに、インターネットの適正な利用を心がけ、高度情報化社会に対応した人権への理解を深めることが重要です。  また、災害発生時においては、適切な避難行動を促すための情報伝達が重要であるとともに、要配慮者への支援や、人権に配慮した避難所運営など、災害時に顕在化しやすい人権問題への対応が必要となっています。  主な施策  ・インターネットの適正な利用とプライバシーの保護  ・地域防災力の向上  ・避難対策・避難生活支援の推進          公告 「人間性豊かなまち・名古屋」をめざして」を次のように宣言する。  平成10年5月1日                          名古屋市長    「人間性豊かなまち・名古屋」をめざして      〜世界人権宣言採択50周年にのぞみ〜  基本的人権の尊重は、日本国憲法の基本理念であり、名古屋市においても、まちづくりの基本理念に人間性の尊重を掲げ、これまでも様々な施策を行ってきました。しかしながら、人権については未だ多くの議論がなされ、時代とともに新たな課題も生じています。  本年は、国連総会で世界人権宣言が採択されて50周年の節目にあたります。 人権の世紀とも言うべき21世紀を間近にひかえ、一人ひとりの人権に対する意識をより一層高めることが求められています。  世界人権宣言は「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」とうたっています。このことを改めて確認し、名古屋市基本構想に掲げる「人間性豊かなまち」をめざして、市民とともに、人権が尊重され差別や偏見がない地域社会の実現に、たゆむことなく努力をつづくていくことをここに宣言します。  なごや人権啓発センター   ソレイユプラザなごや 開館時間 午前9時〜午後5時(研修室は午前9時〜午後8時) 休館日 毎週月曜日(休日の場合はその直後の平日) 年末年始(12月29日〜1月3日) 所在地 〒460-0008 名古屋市中区栄一丁目23-13 伏見ライフプラザ12階 お問合せ TEL:052-684-7017 FAX:052-684-7018 E-mail:a6847017@sportsshimin.city.nagoya.lg.jp URL:http://www.jinken.city.nagoya.Jp/