365ページから366ページ 施策25 良好な都市基盤が整った生活しやすいまちづくりを進めます 施策の柱1 市街地の整備・再生 土地区画整理事業や市街地再開発事業により、市街地の整備・再生を推進します。また、道路・河川・公園などについて、適切な維持管理や更新などの整備を行い、安心・安全で持続可能な都市基盤を提供します。 現状と課題 都市基盤の整備が不十分な地域や、都市機能の更新が必要な地域においては、市街地の整備・再生を推進し、老朽化が進行する公共土木施設に対しては、適切な維持管理・更新を行うことにより安心・安全で持続可能な都市基盤を提供し、新たな魅力を創出する必要があります。 施策の柱2 地域のまちづくりへの支援 地域の魅力や住環境を向上させるまちづくりを進めるため、アドバイザーの派遣や助成金の交付、情報提供、人材育成などを通じて、地域の多様な主体による自主的なまちづくり活動を支援します。 現状と課題 行政主体のまちづくりに加えて、多様な主体による地域ごとの課題や魅力を踏まえたまちづくりの重要性がますます高まっており、地域のまちづくり活動への支援や、行動力のある人材育成に向けた仕組みづくりが求められています。 施策の柱3 土地利用等の規制・誘導 土地利用の変化や地域の特性を踏まえつつ、快適に生活できる市街地の形成に向けた用途地域の指定などによる土地利用の規制・誘導、地区ごとの特性やニーズに応じてまちづくりを誘導する都市計画手法などの活用促進に取り組みます。 現状と課題 集約連携型都市構造の実現に向け、さまざまなまちづくり手法の活用促進に取り組んでいます。引き続き、地域地区の指定や、地区の特性に応じたまちづくりの手法の活用により、良好な市街地環境の形成を図る必要があります。 施策の柱4 自動車交通の円滑化 機能的な都市活動と安心・安全な市民生活を確保するため、都市計画道路の整備を進めるなど、自動車交通の円滑化に取り組みます。 現状と課題 幹線街路の整備状況は高い水準ですが、地域によっては整備の遅れや渋滞が見られます。引き続き、事業未着手の都市計画道路の見直しを行うとともに、都市計画道路の整備や道路と鉄道の立体交差化などにより、自動車交通の円滑化を図る必要があります。 成果指標 1 都市基盤(道路、公園、上下水道など)が整備され、生活 しやすいまちだと思う市民の割合 現状値 90.9% 目標値 90%以上 2 都市計画手法を活用した個別地区の都市計画決定数(累計) 現状値 109地区 目標値 114地区 3 主要な幹線道路において交通円滑化が達成された区間数 現状値 2区間 目標値 6区間(5か年) 4 地域の住民によるまちづくりが活発に行われていると思う市民の割合 現状値 34.7% 目標値 53% 図1 市域と土地区画整理施行面積 図2 都市計画道路(幹線街路)の整備状況 367ページから372ページ 施策を推進する事業 施策の柱1 市街地の整備・再生 事業315 土地区画整理事業の推進 事業概要 道路や公園などの都市基盤が十分に整っていない地域において、公共施設の整備改善や宅地の利用増進を図るため、土地区画整理事業を推進 事業316 市街地再開発事業の推進 事業概要 名鉄鳴海駅周辺において、居住環境を改善し、地区の活性化を図るため、公共施設や商業・業務施設、住宅施設等を整備 事業317 名古屋競馬場跡地の活用を核とした港北エリアのまちづくりの推進 事業概要 にぎわいと新たな地域ブランドを形成するため、名古屋競馬場跡地における先端技術の導入など持続可能なまちの実現に向けた官民連携の取り組み等を通じて、港北エリアのまちづくりを推進 事業318 公共土木施設の適切な維持管理・更新の推進 事業概要 都市基盤である道路、河川、公園などの公共土木施設を健全な状態に保つことで、市民に安心・安全で持続可能な魅力のある都市環境を提 供するため、施設の特性に応じた適切な維持管理や更新を実施 事業319 インフラ分野のDX推進 事業概要 良好な都市基盤(道路・河川・公園・農地)の適切な整備や維持管理、都市防災機能強化のため、建設現場の生産性や市民サービス及び市民生活の安全性の向上に関するインフラ分野のDXを推進 施策の柱2 地域のまちづくりへの支援 事業320 地域まちづくりの推進 事業概要 地域の考えにより地域の魅力や住環境を向上させる地域まちづくりを推進するため、名古屋都市センターを一元的な窓口として、地域まちづくりに取り組むさまざまな段階の団体に対して、アドバイザー派遣や助成金交付などの一貫した支援を行うとともに、地域まちづくりを担う人材を育成 事業321 名古屋都市センターの運営 事業概要 地域主体のまちづくりを推進するため、まちづくりに関する調査・研究、情報収集・提供及び人材の育成・交流事業を実施 施策の柱3 土地利用等の規制・誘導 事業322 用途地域の指定等による土地利用の規制・誘導 事業概要 良好な市街地形成を図るため、適切な用途地域の指定等により土地利用の規制・誘導を推進 事業323 都市計画手法を活用した個別地区における土地利用の規制・誘導 事業概要 地区の特性にふさわしい良好な市街地環境の整備、開発及び保全を図るため、個別地区において都市計画手法を活用したまちづくりを促進し、必要となる都市基盤の整備や建築物などに関する制限を定め、都市環境の整備・改善の誘導を実施 事業324 建築協定の活用促進 事業概要 地域の特性をいかした良好な市街地の形成を図るため、建築協定を活用したまちづくりを促進 施策の柱4 自動車交通の円滑化 事業325 都市計画道路の見直し 事業概要 事業未着手の都市計画道路について、重点的、効果的に道路整備を推進するため、整備プログラムに基づいた都市計画の見直しを進めるとともに、策定から10年を迎える整備プログラムの改定を実施 事業326 都市計画道路の整備 事業概要 交通の円滑化や機能的な都市活動と安全・安心な市民生活を確保するため、都市計画道路の整備を推進 事業327 橋りょうの整備 事業概要 地域分断や渋滞の解消など交通の円滑化のため、都市計画道路等の橋りょうの新築、改築を実施 事業328 道路と鉄道の立体交差化の推進 事業概要 地域分断の解消や交通の円滑化のため、道路と鉄道の立体交差化を推進 373ページから374ページ 施策26 持続可能な公共交通の実現と、ウォーカブルなまちづくりを進めます 施策の柱1 公共交通の維持及び機能強化による快適性・利便性の向上 誰もが公共交通をより快適で便利に利用できるよう、地下鉄駅やバスターミナル等の施設のリニューアルや設備更新等に取り組むとともに、デジタル技術の活用などによるサービス向上にも取り組みます。 現状と課題 新型コロナウイルス感染症を契機とした生活様式の変化や今後予測される人口減少など、公共交通は厳しい環境におかれています。そのような状況の中でも、持続可能な公共交通を実現するとともに、誰もが利用しやすい環境づくりや、利用者のニーズに対応したサービスの提供に取り組むことで、より快適・便利な公共交通をめざす必要があります。 施策の柱2 先進技術を活用したスマートな移動環境の形成 都市の持続的な発展のため、自動運転やICT等の先進技術を活用するとともに、地域のニーズを踏まえた新たな移動手段・仕組みの構築などを進め、将来にわたって、高齢者や子ども、障害者、外国人等の誰にでもやさしく快適でスマートな移動環境を実現します。 現状と課題 公共交通空白地への対応や、都心部におけるさらなる回遊性の向上など、交通政策を取り巻くニーズは多様化しています。そのため、新たな技術を有する移動手段・仕組みを活用しながら、ニーズに対応した持続可能でスマートな移動環境を形成していくことが必要です。 施策の柱3 まちのにぎわいを創出するウォーカブルなまちづくりの推進 官民のパブリック空間などの既存ストックを、両者が連携し、新たな魅力や価値を生み出す地域資源として活用することで、まちの回遊性やにぎわいを面的に広げ、居心地が良く歩きたくなるウォーカブルなまちなかを形成します。 現状と課題 有効活用されていない官民の既存ストック(ゆとりのある道路空間、公開空地等、既存建物の低層部の空き店舗など)が存在し、回遊性やにぎわいが不足している地区があります。官民連携の取り組みにより、既存ストックを活用し、居心地が良く歩きたくなる「ウォーカブルなまち」をめざしていくことが必要です。 成果指標 1 公共交通が便利で利用しやすいと思う市民の割合 現状値 84.9% 目標値 86% 2 市内の鉄軌道及び市バスの1日当たり乗車人員合計 現状値 226万人(令和4年度) 目標値 226万人(令和9年度) 3 市内主要地点の1日(平日)当たり自動車交通量の合計 現状値 119万台(令和4年) 目標値 108万台以下 (令和9年) 4 市内の道路、公園、その他のオープン スペースが居心地が良いと思う市民の割合 現状値 61.9% 目標値 67% 図1 市内の鉄軌道及び市バスの 1日当たり乗車人員合計の推移 図2 公共交通ネットワークに求められる役割の整理 写真3 公開空地におけるにぎわい創出 脚注 公共交通空白地:一定の距離に駅やバス停などが無い地域で公共交通の便利さの指標のひとつ。 名古屋市では、市バス500メートル、鉄道800メートル以上の地域を指す。 375ページから378ページ 施策を推進する事業 施策の柱1 公共交通の維持及び機能強化による快適性・利便性の向上 事業329 地下鉄駅のリニューアル 事業概要 開業後50年以上経過した地下鉄駅について、明るく清潔感のある快適・便利な駅空間とするため、壁・床・天井・照明などのリニューアルを実施するとともに、主要駅は名古屋の顔としてふさわしい駅とするため、個性化を実施 事業330 地下鉄駅ホームの冷房化の推進 事業概要 地下鉄駅を快適に利用できるよう、駅ホームへの冷房設備の整備を実施 事業331 バスターミナルの環境改善 事業概要 快適なバス待ち環境づくりのため、ベンチの設置や上屋の塗装替えなどを実施 事業332 キャッシュレス化による市バス・地下鉄の利便性の向上 事業概要 利便性向上を図るため、クレジットカード対応券売機の設置駅を拡大するとともに、クレジットカードのタッチ決済による乗車などの新たな方策を含め、さらなるキャッシュレス化について、研究・検討を実施 事業333 デジタル技術の活用による市バス・地下鉄の利便性の向上 事業概要 市バス・地下鉄の利便性向上を図るため、定期券WEB予約サービスを導入するとともに、時刻表や運行区間などの情報を「標準的なバス情報フォーマット」に準拠した形式で作成・提供 事業334 あおなみ線・リニモの利用促進等 事業概要 名古屋駅と金城ふ頭を結ぶあおなみ線及び本市と東部丘陵地域を結ぶリニモについて、安定的な経営のもと、高齢者や子ども、障害者など誰もが利用しやすい、安心・安全な運行を確保するため、沿線地域の魅力発信等の利用促進策を実施するとともに、将来需要等に対応するための方策を検討 事業335 地域公共交通計画の推進 事業概要 人口減少や高齢化などの社会変化を捉えつつ、持続可能な公共交通をめざすため、地域や交通事業者等の関係者と協議・調整を行い、公共交通による移動サービス水準の維持・確保を図りながら、地域の実情に応じた移動手段の確保やAI技術の活用、MaaSの実現など先進技術を活用したシームレスな移動環境の形成を推進 施策の柱2 先進技術を活用したスマートな移動環境の形成 事業336 新たな路面公共交通システム(SRT)の導入 事業概要 都心部における回遊性の向上やにぎわいの拡大を図るため、新たな路面公共交通システム(SRT)を導入 脚注 SRT:Smart Roadway Transitの略。技術の先進性による快適な乗り心地やスムーズな乗降、洗練されたデザインなどのスマート(Smart)さを備え、路面(Roadway)を走ることでまちの回遊性やにぎわいを生み出す、今までにない新しい移動手段(Transit)の呼称。 事業337 ゆとりーとラインの機能強化 事業概要 志段味地区の開発が進む本市北東部と都心部を結ぶ基幹的な公共交通として、安定的な経営のもと、高齢者や子ども、障害者など誰もが利用しやすく、安心・安全な運行を確保するため、ガイドウェイバス高架区間で自動運転技術を実装した次期システムを導入することによる需要増加への対応と、利便性向上に向けた各種施策を実施 事業338 交通支援制度の実施 事業概要 公共交通空白地などの交通課題の解決に向けて、新たな移動手段の導入等を促進するため、地域による需要調査や実証実験などの取り組みを支援する仕組みを構築 施策の柱3 まちのにぎわいを創出するウォーカブルなまちづくりの推進 事業339 居心地が良く歩きたくなるウォーカブルなまちなかの形成 事業概要 まちの回遊性やにぎわいを面的に広げ、居心地が良く歩きたくなるウォーカブルなまちなかを形成するため、官民連携の取り組みによる基本方針等を示すウォーカブル戦略を推進し、道路、空き店舗、公開空地等の官民のパブリック空間を新たな魅力や価値を生み出す地域資源として活用する取り組みを実施 事業340 都心部の駐車施策の推進 事業概要 自動車の都心部への集中緩和を図るため、フリンジ駐車場の有効活用や駐車場の集約化、規模の適正化など駐車場のあり方を見直し、自動車から公共交通への乗り換えを促進するとともに、市営路外駐車場の運営・管理を実施 脚注 フリンジ駐車場:都心部の自動車流入を抑制し、道路交通混雑の緩和を図るとともに、公共交通への乗り換えを促進することを目的として、都心周辺部に設置する駐車場。 379ページから380ページ 施策27 歩行者や自転車にとって安全で快適な道路環境を確保します 施策の柱1 安心して歩ける歩行空間の確保と自転車通行空間の整備 放置自転車の撤去や自転車駐車場の整備、柔軟な料金制度の採用による自転車駐車場の利用促進などにより、安心して歩ける歩行空間を確保するとともに、自転車を安全で快適に利用できるよう、自転車通行空間の整備を進めます。 現状と課題 一部地域において、依然として多くの自転車が放置されています。また、令和4年の市内で発生した全交通事故に占める自転車関連事故の割合は、全国の割合よりも高くなっています。そのため、放置自転車の撤去などにより、歩行空間の確保を進めるとともに、安全で快適な道路環境づくりを進めることが必要です。 施策の柱2 都心部自転車対策の推進 都心部において、地域と連携し啓発活動等の放置自転車対策を実施するとともに、自転車の所有から共有への転換による放置自転車の台数削減や、まちの回遊性向上などが期待できるコミュニティサイクルの普及促進を図ります。 現状と課題 本市都心部では、自転車等放置禁止区域の拡大や自転車駐車場の有料化等を実施しており、放置自転車は減少傾向にあるものの、依然として都心部での問題となっています。引き続き、自転車利用者等への啓発活動や、コミュニティサイクルの普及促進により、都心部における放置自転車対策を進めることが必要です。 施策の柱3 自転車の活用推進 自転車は、身近で環境にやさしいモビリティであるとともに、多方面において暮らしを豊かにする可能性を持つツールであることから、誰もが安全に利用でき、楽しむことができるよう、さまざまな目的による自転車の活用を推進します。 現状と課題 市民が自転車を利用する機会は減少傾向にあります。自転車は環境に優しいモビリティでもあるため、自転車関連イベントの開催など、自転車の魅力・楽しさに加え、自転車の適正利用などの広報・啓発を実施し、自転車の活用推進を図る必要があります。 成果指標 1 歩行者と自転車のそれぞれが、安全で快適に通行していると感じている市民の割合 現状値 37.8% 目標値 50% 2 鉄道駅及びバス停留所周辺の放置自転車等の台数 現状値 6,334台 目標値 5,100台以下 3 歩行者と自転車の通行空間が分離されている道路の延長(累計) 現状値 128.7キロメートル 目標値 197キロメートル 写真1 自転車通行空間 写真2 公共コミュニティサイクルステーション 脚注 コミュニティサイクル:専用の自転車貸出返却場所(ステーション)を設置し、ステーション間の移動であれば、どこで借りてどこへ返してもよいシステムのこと。 381ページから382ページ 施策を推進する事業 施策の柱1 安心して歩ける歩行空間の確保と自転車通行空間の整備 事業341 安心して歩ける歩行空間の確保と自転車通行空間の整備  事業概要 歩行者や自転車利用者に配慮した安全で快適な道路環境の形成や自転車の安全で快適かつ適正な利用を推進するため、有料自転車駐車場の管理運営や放置自転車等の撤去等を実施するとともに、道路空間における歩行者、自転車、自動車の構造的・視覚的な分離を実施 施策の柱2 都心部自転車対策の推進 事業342 都心部自転車対策の推進 事業概要 都心部において、歩行者や自転車に配慮した安全で快適な道路環境づくりのため、地域と連携した放置自転車対策を実施するとともに、民間主体によるコミュニティサイクルの普及を促進 施策の柱3 自転車の活用推進 事業343 自転車の活用推進 事業概要 自転車が使いやすいまちを実現し、自転車の活用を推進するため、関係局や民間団体、関係機関と連携し、全国会議やイベント等を実施するとともにさまざまな機会を捉えて自転車の適正利用等に関する広報・啓発を実施 383ページから384ページ 施策28 多様なニーズに対応した安心・ゆとりある住生活の実現・継承を図ります 施策の柱1 居住ニーズに応じて住まいを選択するための支援 子育て世帯等による住宅確保の支援や住まいに関する情報提供などにより、若年・子育て世帯や高齢者世帯などさまざまな世帯が、自らの居住ニーズに応じた適切な住まいを選ぶことができるよう支援します。 現状と課題 少子化・高齢化に伴い家族形態が多様化する中で、住まいに対するニーズも多様化しています。子どもを生み、育てやすい住環境の充実も含め、さまざまな世帯が、それぞれのライフスタイルやライフステージに応じて豊かな住生活を実現するため、適切な住まいを選択できる環境づくりが求められています。 施策の柱2 安心・安全な住まいの確保 適切な住宅を自力で確保することが困難な世帯が住まいを確保できるようにするため、市営住宅等への入居機会の確保や民間賃貸住宅の入居の円滑化などを進めます。また、入居者の高齢化が進む市営住宅において、団地自治会への支援など団地コミュニティの活性化を図ります。 現状と課題 今後、核家族世帯の減少、高齢単身世帯やひとり親世帯の増加などが見込まれる中、適切な住宅を自力で確保することが困難な住宅確保要配慮者も多様化してきています。住宅確保要配慮者の適切な住まいを確保することの困難さ、住まいをめぐる生活上のトラブル、地域での社会的な孤立などを解消していくことが必要です。 施策の柱3 住宅ストックの質の向上 高経年化が進む市営住宅の長寿命化や建て替え等を通じて、若年・子育て世帯や高齢者世帯などさまざまな世帯がいきいきと安心して暮らせる団地への再生を推進します。また、長期間使用できる環境に配慮された質の高い住宅の普及啓発を図るとともに、分譲マンションの適切な維持管理や再生の円滑化を促進します。 現状と課題 中長期的な視点で見ると、住宅数が増加傾向にある中、高経年化した住宅においては、設備の老朽化やバリアフリー化がされていないなど、居住性や安全性が懸念されます。既存の住宅ストックを改善し、有効活用することができるよう、居住性や安全性の向上、適切な維持管理等に対する支援が求められています。 成果指標 1 住んでいる住宅に満足している市民の割合 現状値 77.7%  目標値 79% 2 セーフティネット住宅の登録戸数 現状値 17,249戸 目標値 19,000戸 3 長期優良住宅の認定件数(累計) 現状値 41,475件 目標値 54,500件 図1 家族類型別世帯数の推移と将来推計 図2 住宅数・世帯数の推移 385ページから388ページ 施策を推進する事業 施策の柱1 居住ニーズに応じて住まいを選択するための支援 事業344 なごや子ども住まいるプロジェクトの推進 事業概要 子育て世帯の笑顔あふれる安心・ゆとりある住環境づくりを進めるため、住まいの安全性の向上に関する改修費補助や民間住宅及び公的賃貸住宅を活用した支援など、子育て世帯のライフステージに応じた切れ目のない支援を実施 事業345 ライフスタイルやライフステージに応じた住情報の充実 事業概要 子育て期や高齢期など、ライフステージに起因するさまざまな居住ニーズやライフスタイルの多様化に対応するため、住まい・空き家利活用に関する情報の充実を推進 施策の柱2 安心・安全な住まいの確保 事業346 市営住宅等への入居機会の確保 事業概要 住宅確保要配慮者の市営住宅等への入居機会を確保するため、その特性に応じて入居できる募集枠を設定するなど、多様なニーズに対応した入居者募集を実施 事業347 民間賃貸住宅を活用した住まいの確保 事業概要 民間賃貸住宅を活用して住宅セーフティネットの機能強化を図るため、関係機関と連携して民間賃貸住宅への入居を希望する高齢者をはじめとする住宅確保要配慮者の入居円滑化や居住の安定確保を進めるとともに、住宅確保要配慮者向けの登録住宅について、経済的支援を実施 事業348 ひとがつながる住まいへの支援 事業概要 入居者の高齢化が進む市営住宅において、コミュニティの活性化を図るため、空き家を活用した地域の活動拠点づくり、高齢者の見守りや団地自治会への支援等を実施 施策の柱3 住宅ストックの質の向上 事業349 市営住宅等のアセットマネジメントの推進    事業概要  住宅セーフティネットにおいて、中心的な役割を果たしている市営住宅等を将来にわたり持続可能で安定的に提供するため、既存ストックの長寿命化や民間活力の活用をはじめとした効率的な建て替えや余剰地の有効活用を実施 事業350 長期優良住宅の認定 事業概要 住生活の向上及び環境への負荷の低減を図るため、長期にわたり良好な状態で使用できる長期優良住宅の認定を実施 事業351 分譲マンションの適切な維持管理・再生の円滑化 事業概要 分譲マンションの高経年化や区分所有者の高齢化が進む中、建物の適切な維持管理や建て替えなどによる再生の円滑化を促進するため、管理状況に応じた支援を実施 389ページから390ページ 施策29 大気や水質などが良好に保たれた快適な生活環境を確保します 施策の柱1 大気環境の向上 二酸化窒素をはじめとした大気汚染物質等の常時監視を実施するとともに、工場などに対する大気汚染の規制・指導を行い、大気環境の向上を図ります。 現状と課題 大気汚染は全体的には改善傾向にある中、新型コロナウイルス感染症による事業活動縮小の影響も考えられるものの、令和4年度の二酸化窒素の環境目標値の達成率は100%となりました。引き続き環境目標値の達成を維持するため、工場などに対する規制・指導等により、大気汚染防止対策を推進することが重要です。 施策の柱2 水環境の向上 水質汚濁の常時監視や、工場などに対しての水質の規制・指導を行います。また、合流式下水道におけるさらなる水質浄化や水処理センターにおける高度処理の導入などを推進するとともに、親しみやすい指標を用いた普及啓発を行うことなどにより、市内河川・海域等の水環境の向上を図ります。 現状と課題 水質汚濁は全体的に改善傾向にあり、令和4年度の河川のBODの環境目標値の達成率は80%でした。水質が良好に保たれた快適な生活環境を確保するため、引き続きすべての調査地点での環境目標値の達成をめざして取り組みを進めることが重要です。 施策の柱3 快適な生活環境の確保 快適な生活環境を確保するため、騒音・悪臭・土壌汚染などに関する規制・指導を推進します。また、環境中のダイオキシン類等の状況を把握し、工場などに対する規制・指導を行うとともに、市民・事業者・行政の間で有害化学物質に関する情報の共有を図り、適正管理を促進します。 現状と課題 名古屋を公害のないまちだと思う、またはある程度そう思う市民の割合は28.2%となっています。環境改善について市民にわかりやすく啓発を行うとともに、公害の発生を抑制するため、引き続き市民・事業者・行政の協働による取り組みを進めていくことが重要です。 成果指標 1 大気の環境目標値の達成率(二酸化窒素) 現状値 100%(令和4年度) 目標値 100% 2 水質の環境目標値の達成率(BOD) 現状値 80.0%(令和4年度) 目標値 95% 3 名古屋は大気汚染、水質汚濁、土壌汚染などによる公害の心配がないまちと思う市民の割合 現状値 28.2%(令和4年度) 目標値 48% 図1 大気汚染の推移 図2 市内河川におけるBODの推移 脚注 合流式下水道:汚水及び雨水を同一の管きょで排除し処理する方式。 高度処理:従来の処理方式に比べ、主に窒素・りんを多く除去できる処理方法。 親しみやすい指標:「環境基本条例」において本市独自に設定した水質汚濁に関する環境目標値のうち、感覚的にわかりやすい、水のにごり(透明度)、水の色といった指標。 環境目標値:「環境基本条例」において本市独自に設定した目標で、大気の汚染、水質の汚濁などの環境上の条件について、それぞれ、市民の健康を保護し、及び快適な生活環境を確保する上で維持されるべき目標値。 BOD:Biochemical Oxygen Demandの略。生物化学的酸素要求量。水中の有機汚濁物質を分解するために微生物が必要とする酸素量で、数値が大きいほど水質が汚濁していることを意味する。 391ページから396ページ 施策を推進する事業 施策の柱1 大気環境の向上 事業352 大気汚染常時監視・規制指導 事業概要  大気汚染防止のため、市内の窒素酸化物、PM2.5などの大気汚染物質等の常時監視と、有害大気汚染物質モニタリングを実施するほか、工場・事業場に対する規制・指導を実施 施策の柱2 水環境の向上 事業353 水質汚濁常時監視・規制指導 事業概要  水環境向上のため、河川などにおける水質汚濁や地下水の水質状況の常時監視を実施するとともに、工場・事業場に対する規制・指導を実施 事業354 地盤沈下常時監視・規制指導 事業概要 地下水の採取による地盤沈下を防止するため、水準測量をはじめとした地盤沈下の状況の常時監視及び工場・事業場に対する規制・指導を実施 事業355 下水道による水環境の向上 事業概要 下水処理水の放流先となっている河川や名古屋港の水環境を向上させるため、下水道の整備を行うとともに、合流式下水道におけるさらなる水質浄化、水処理センターにおける高度処理の導入を推進 事業356 水質環境目標値市民モニタリング 事業概要 水環境に対する市民の意識を高めるため、水質環境目標値のうち親しみやすい指標について市民モニターが調査を実施する市民モニタリングを実施 施策の柱3 快適な生活環境の確保 事業357 環境科学調査センターにおける調査研究 事業概要 環境に関する総合的・専門的な調査研究機関としての役割を果たすため、常時監視システムによる大気汚染等の常時監視及び測定データの解析、公害の規制・指導に伴う調査、行政課題に対する調査研究、市民などを対象とした環境講座などを実施 事業358 大気・水質未規制有害物質調査 事業概要  環境汚染の未然防止に資する基礎資料とするため、大気汚染防止法や水質汚濁防止法等で規制対象物質とされていないものの、環境リスクが懸念される物質について、市内における大気や河川、海域での調査を実施 事業359 土壌汚染規制指導 事業概要  土壌汚染による健康被害や生活環境に関する被害の発生を防止するため、事業者等に対し調査や措置に関する規制・指導を実施 事業360 ダイオキシン類の常時監視・規制指導 事業概要 ダイオキシン類による環境の汚染の防止及びその除去等を行うため、大気・水質・土壌など環境中のダイオキシン類の常時監視を実施するとともに、工場・事業場に対する規制・指導を実施 事業361 アスベスト対策の推進 事業概要 アスベスト飛散防止のため、環境中のアスベスト濃度を調査するとともに、解体工事現場への立ち入りや行政検査などの規制・指導を実施するほか、災害時におけるアスベスト対策を強化 事業362 化学物質の適正管理の促進 事業概要 化学物質の適正な管理を促進するため、対象化学物質の環境への排出量等の届出を受け付けるとともに、市内の排出量等の集計・公表を実施するほか、化学物質に関する講演会を開催 397ページから398ページ 施策30 身近な自然や農にふれあえる環境をつくります 施策の柱1 緑に親しめる環境づくり 市民が身近な緑に親しめる環境をつくるため、公園の再生・利活用の推進、街路樹の再生及び緑の保全・創出など、グリーンインフラの取り組みを進めます。 現状と課題 公園や街路樹などの緑は、市民に潤いとやすらぎを与えるなど、さまざまな役割を果たしています。身近な緑に親しめる環境をつくるため、多様な主体との連携により、柔軟な発想で公園等の再生・利活用を推進するとともに、効果的に緑を保全・創出する必要があります。 施策の柱2 水循環機能の回復 都市化によって損なわれた水循環機能を回復するため、市民・事業者と連携して、雨水の浸透・貯留などの取り組みを進めます。 現状と課題 都市化の進展により、地下水のかん養機能等が低下するとともに、緑や水辺からの蒸発散が減少し、水循環機能が損なわれています。市民・事業者・行政が連携して水循環の回復に向けた取り組みを推進し、水循環機能をまちづくりに活かしていく必要があります。 施策の柱3 農のある暮らし、まちとともにある農業の推進 農業公園の魅力向上等により、市民が農にふれあえる機会を提供するとともに、都市農業の振興を図るため、地産地消を推進します。また、営農の支援を実施し、農地の保全に取り組みます。 現状と課題 市内の農地は、都市化の進展や農家の後継者不足などによって年々減少しています。そのため、市民が農にふれあえる機会の創出や営農の支援により、農地を保全するための取り組みを進める必要があります。 施策の柱4 生物多様性保全と持続可能な利用の推進 ネイチャーポジティブの実現に向け、グリーンインフラの活用や地域における生物多様性の保全に向けた取り組みを推進するとともに、市民や事業者の生物多様性に配慮した行動を促進します。 現状と課題 生物多様性は、私たち人間の活動の影響により、急速に失われ続けています。ネイチャーポジティブの実現に向け、生態系の回復や市民・事業者の行動変容など生物多様性の取り組みを進める必要があります。 成果指標 1 新たに確保された緑の面積 現状値 22ヘクタール 目標値 200ヘクタール(5か年) 2 親しみがある公園があると思う市民の割合 現状値 69.5% 目標値 73% 3 市内で身近に農にふれあえる機会があると思う市民の割合 現状値 26.2% 目標値 31% 4 暮らしの中で生物多様性に配慮した行動をしている市民の割合 現状値 51.0% 目標値 57% 写真1 地域に身近な公園 写真2 農にふれあう市民の様子 脚注 グリーンインフラ:自然環境が有する多様な機能(生きものの生息・生育の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制など)を積極的に活用して、さまざまな効果を得ようとする取り組み。 ネイチャーポジティブ:自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させること。 地下水のかん養機能:水循環機能のひとつで、雨水などが地中に浸み込み、帯水層に水が補給されること。 399ページから406ページ 施策を推進する事業 施策の柱1 緑に親しめる環境づくり 事業363 名古屋を代表する公園の再生 事業概要 名城公園をはじめとした名古屋を代表する公園のさらなる魅力向上を図るため、各公園の立地や特性、ニーズを踏まえた再整備を推進 事業364 地域に身近な公園の再生 事業概要 地域に身近な公園を子育てや交流の場として、子どもが元気いっぱい遊び楽しめ、憩いと潤いのある空間とするため、計画的な再整備を推進 事業365 公園経営の推進 事業概要 公園の魅力を高めて、より多くの市民の利活用を促進するため、民間活力の導入による整備及び運営管理を実施 事業366 街路樹再生の推進 事業概要 まちなみの景観向上と倒木などの事故リスクを軽減させるなど安全性を確保するため、街路樹の計画的なせん定・更新・撤去を実施 事業367 緑のまちづくり活動の推進 事業概要 良好な都市環境の形成、まちの魅力向上、緑の保全を図るため、花壇づくりや森づくりなどの活動に関わる人々の環を広げるとともに、緑のまちづくりの普及啓発を実施 事業368 民有地の緑の保全・創出 事業概要 緑豊かな潤いのある都市環境の形成を図るため、特別緑地保全地区など緑地保全制度により市内に残された民有の樹林地等の緑を保全するとともに、緑化地域制度や助成制度を効果的に運用することにより民有地緑化を促進 事業369 相生山緑地事業の推進 事業概要 相生山緑地の環境を保全するとともに、地域の防災性を高めることやユニバーサルデザインの観点を取り入れることにより、誰もが人や自然とふれあえる名古屋の新しい名所とするための事業を推進 施策の柱2 水循環機能の回復 事業370 健全な水循環の回復に取り組む人づくりの推進 事業概要 健全な水循環の回復に取り組む人材を育成するため、市民との協働による調査や水循環に関する講座など、普及啓発を実施 事業371 水循環機能を活かしたまちづくりの推進 事業概要 晴天時の河川流量減少、都市型水害、ヒートアイランド現象など、都市が抱える課題を解決するため、湧き水をはじめとする地下水の保全と利用、雨水貯留浸透、植物による蒸発散など、健全な水循環の機能を活かしたまちづくりを推進 施策の柱3 農のある暮らし、まちとともにある農業の推進 事業372 農業公園の魅力向上 事業概要 市民が自然とふれあいながら、農業とその大切さを学ぶため、農業センター、東谷山フルーツパーク、農業文化園を運営するとともに、農業文化園・戸田川緑地(南地区)の魅力向上を実施 事業373 農と親しむ機会の創出 事業概要 市民に農とふれあう機会を提供するため、市営市民農園の管理運営や民間による市民農園の開設を促すとともに、市民水田・田んぼアートなどの体験イベントや誰もが参加できる農業体験を実施するほか、都心部で農とふれあえる機会等を創出 事業374 地産地消の推進 事業概要 地域の生産者と消費者がより身近な関係を築く環境を整えるため、朝市・青空市の支援、食農教育の推進などを行うとともに、なごやさい・伝統野菜のPRを目的とした地産地消イベントの開催などにより、地産地消を総合的に推進 脚注 なごやさい:名古屋市内の農業者が生産した野菜のこと。 事業375 営農の支援 事業概要 農業者が安定した農業経営を継続できるようにするため、農業者等へのきめ細やかな支援を行うとともに、農業生産基盤である農業用水路の整備等を実施 事業376 担い手の育成・支援 事業概要 新しい「農」の担い手や農家を支援する人材の育成のため、意欲を持って新たに「農」や「農業」に関わろうとする人が野菜の栽培技術や知識を習得することができる、チャレンジファーマーカレッジや農業ボランティア育成講座を実施 施策の柱4 生物多様性保全と持続可能な利用の推進 事業377 生物多様性の主流化 事業概要 生物多様性の保全や持続可能な利用を、市民生活や事業活動の中に反映させるため、市民・事業者等に対して、その重要性や具体的な行動について周知・啓発を推進する取り組みを実施 事業378 生物多様性に配慮したまちづくりの推進 事業概要 都市の生物多様性の向上を図るため、自然共生サイトの認定促進等により、市内の残された自然を保全するとともに、都心の生きもの復活事業による生物多様性緑化や雨庭等のグリーンインフラにも貢献するような取り組みを実施 脚注 自然共生サイト:「民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域」として環境省が認定する区域のこと。 雨庭:地上に降った雨水を下水道に直接放流することなく一時的に貯留し、ゆっくりと地中に浸透させる構造を持った植栽空間。 事業379 なごや生物多様性センターの運営 事業概要 身近な自然の保全・再生を推進するため、なごや生物多様性保全活動協議会をはじめとした市民との協働により、調査・保全活動などを行うとともにその成果を次世代へ継承 事業380 藤前干潟の保全活用推進 事業概要 ごみ非常事態宣言を契機とする本市の環境行政の転換点を象徴する場所であり、国内有数の渡り鳥の飛来地である藤前干潟の保全活用を推進するため、その重要性を学ぶプログラムを実施するほか、湿地提携を締結しているオーストラリアのジロング市との交流事業などを実施 407ページから408ページ 施策31 市民・事業者の環境に配慮した活動を促進します 施策の柱1 環境に配慮した活動の促進 環境デーなごやをはじめとするイベントや講座の開催などにより市民の意識向上や行動の促進を図り、環境にやさしいライフスタイルへの転換を促すとともに、環境に配慮した事業活動を促進するため、事業所の登録・認定制度や環境影響評価制度の適切な運用を図ります。また、次世代自動車やエコドライブの普及啓発により、市民・事業者の環境に配慮した活動を促進します。 現状と課題 本市では、市民・事業者と行政などが協働し、ごみの減量や生物多様性の保全など環境に配慮した活動に取り組んでいます。環境負荷の少ない社会経済システムの実現が求められる中、社会経済情勢の変化も考慮しながら、市民一人ひとりのライフスタイルや事業活動が環境にやさしいものへと転換し、日常的に環境に配慮した活動を実践できるよう促進することが重要です。 施策の柱2 環境教育・協働取組の促進 持続可能な社会の実現に向けた人づくり・人の輪づくりを推進するため、市民や事業者が環境問題を自らの課題として捉え、その解決に向け主体的に行動できるよう、環境教育・学習を推進するとともに、なごや環境大学などの多様な主体の交流・連携の場を活用し、市民や事業者、教育機関、行政の協働を進めます。また、環境と社会・経済の三側面をつなぐ協働の取り組みを推進し、好循環をもたらします。 現状と課題 今日の環境問題は社会や経済のさまざまな課題と要因が複雑に関係しており、行政だけで解決することは難しく、市民や企業等の多様な主体による活動や協働の取り組み、それを支える人づくりが不可欠です。社会経済情勢が著しく変化する中、行政が環境施策を推進するにあたっては、環境保全上の効果を最大限に発揮することに留まらず、同時に社会・経済的課題の解決に資する効果をもたらすような分野横断的な施策展開を図ることが重要です。 成果指標 1 環境問題の解決には、市民自らが行動することが必要と強く思う市民の割合 現状値 41.9%(令和4年度) 目標値 58% 2 なごやSDGsグリーンパートナーズ登録・認定数(累計) 現状値 2,916件 目標値 3,900件 3 市民団体、事業者、教育機関など「なごや環境大学」を支える団体数(累計) 現状値 526団体 目標値 580団体 写真1 環境デーなごや 写真2 なごや環境大学共育講座 脚注 エコドライブ:ふんわりスタートやアイドリング・ストップなど、環境負荷の軽減に配慮した自動車の運転方法や使い方。 なごやSDGsグリーンパートナーズ:事業活動におけるSDGs及び環境に配慮した取り組みを自発的かつ積極的に実施している事業所を登録・認定し、自主的な取り組みを支援する制度。 409ページから412ページ 施策を推進する事業 施策の柱1 環境に配慮した活動の促進 事業381 環境デーなごやの開催 事業概要 環境に配慮した具体的な行動を実践する契機とするため、市民・事業者・行政の協働のもと、市内各地域で環境についての講座や自然観察会などのエコイベントを行う地域行事や、さまざまな主体が日頃の環境活動の成果を発信する中央行事を実施 事業382 なごやSDGsグリーンパートナーズ制度の推進 事業概要 事業者の自主的な環境保全の取り組みを促進するため、SDGsを意識しながら、環境に配慮した行動に積極的に取り組む事業所をなごやSDGsグリーンパートナーズとして、登録・認定するとともに、優秀な取り組みを実践している事業所の表彰及び優秀事例の紹介を実施 事業383 環境保全・省エネルギー設備資金融資 事業概要 中小企業者が市内の事業場に新設等する公害防止設備購入等の公害防止対策、電気自動車、燃料電池自動車等のエコカーの購入及びエコカー用充電・充填設備設置等の自動車対策、太陽光発電設備設置等の省エネルギー等による地球温暖化対策等を促進するため、これらの対策に必要な資金の融資及び利子補助を実施 事業384 自動車環境対策の推進 事業概要 大気環境の向上、地球温暖化防止を推進するため、ゼロエミッション車等の環境にやさしい自動車の普及啓発に努めるほか、名古屋市自動車公害対策推進協議会を通して、総合的・計画的に自動車環境対策を推進 脚注 ゼロエミッション車:走行時(PHV/PHEVはEVモード走行時)にCO2等の排出ガスを出さない電気自動車(EV/BEV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV/PHEV)、燃料電池自動車(FCV/FCEV)。 事業385 環境影響評価制度の運用 事業概要 道路や鉄道の建設など一定規模以上の事業の実施に際し、適正な環境配慮がなされることを確保するため、環境影響評価制度の適切な運用を実施 施策の柱2 環境教育・協働取組の促進 事業386 環境教育・学習の推進事業概要 事業概要 持続可能な社会の担い手づくりを推進するため、環境学習センターにおけるプログラムやテーマ別展示等による環境教育や次世代を担う子どもの各段階に応じた環境学習を支援するとともに、講習会や観察会など地域に密着した実践活動や普及啓発を実施 事業387 なごや環境大学の推進 事業概要 「持続可能な地球社会」を支える「人づくり・人の輪づくり」やSDGsの推進に向けて、行動する市民、協働する市民として、「共に育つ(共育)」ことを促進するため、市民・市民団体、企業、教育機関、行政の協働による共育講座や、ネットワークづくりなどを実施 事業388 SDGsまちづくりの推進 事業概要 地域へのSDGsの浸透・定着を図るため、環境を切り口としたSDGsの視点から地域団体等とともに地域課題解決に向けた取り組みを実践するほか、市民が参加する森づくりや森林整備、木材の利活用促進による地域循環共生圏(ローカルSDGs)の実現に向けた取り組みを推進 脚注 地域循環共生圏:各地域が美しい自然景観などの地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることをめざす考え方。 413ページから414ページ 施策32 脱炭素社会の実現に向けたまちづくりを進めます 施策の柱1 再生可能エネルギーの導入拡大と省エネルギーの推進 温室効果ガス排出量52%削減目標の達成に向け、太陽光発電設備や蓄電システムの導入促進など、再生可能エネルギーの導入拡大を進めます。また、住宅のZEH化や省エネルギー機器の導入を促進するほか、省エネルギーについての相談業務を行うなど、市民生活や事業活動における徹底した省エネルギーの推進に取り組みます。 現状と課題 本市の温室効果ガスの多くは、石油等の化石燃料の使用により発生しています。世界的にカーボンニュートラルへの機運が高まる中、本市においても、2030年度の市域における温室効果ガス排出量を52%削減(2013年度比)する目標を掲げています。脱炭素社会の実現に向け、さらなる省エネルギーの推進及び再生可能エネルギーの導入拡大が必要です。 施策の柱2 脱炭素まちづくりの推進 都市の脱炭素化を進めるため、燃料電池自動車の導入拡大や水素ステーションの拡充など、水素エネルギーの利活用拡大を推進します。また、名古屋港におけるカーボンニュートラルポート形成に向けた取り組みを進めるほか、若い世代を対象としたセミナーなどを通して、脱炭素社会の実現に取り組む人材の育成を推進します。 現状と課題 みなとアクルスにおいて、先進的な環境技術の活用による都市の脱炭素化に取り組んでいます。引き続き、脱炭素先行地域における技術等の普及展開を進めるとともに、脱炭素化の鍵とされる水素の利活用拡大を図り、水素の需要創出とインフラ整備を進めていく必要があります。また、名古屋港におけるカーボンニュートラルポート形成に向け、水素など次世代エネルギーのサプライチェーン構築に取り組むことが重要です。さらに、ハード面だけでなく、人材の育成を進めるなど、脱炭素社会の実現に向けたまちづくりを推進する必要があります。 成果指標 1 温室効果ガス排出量 (二酸化炭素換算値) 現状値 1,341万トン(令和3年度) 目標値 1,026万トン以下(令和8年度) 2 太陽光発電設備の導入容量 現状値 283,620キロワット(令和4年度) 目標値 438,500キロワット 3 温室効果ガスの削減に取り組む市民の割合 現状値 57.9%(令和4年度) 目標値 71% 4 大型車両対応水素ステーション整備数 現状値:7か所 目標値:8か所 図1 温室効果ガス排出量の推移 図2 温室効果ガス排出量の内訳 (2021年度) 脚注 ZEH:Net Zero Energy House の略。断熱性能の高い窓や LED 照明などを導入し省エネルギー化を実現した上で、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入することにより、正味の年間エネルギー消費量がゼロ以下となる住宅。 カーボンニュートラルポート:産業や港湾の競争力強化と脱炭素社会の実現に貢献するため、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素等の受入環境の整備等を図る港湾。 脱炭素先行地域:2050年の脱炭素社会の実現に向け、2030年度までに民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出を実質ゼロにするとともに、地域の課題を解決し、地域の魅力と住民の暮らしの質を向上させる地域創生に取り組む地域。 415ページから420ページ 施策を推進する事業 施策の柱1 再生可能エネルギーの導入拡大と省エネルギーの推進 事業389 市施設の脱炭素化の推進 事業概要 市施設の脱炭素化を推進するため、太陽光発電設備の導入、ZEB化の推進、照明のLED化及び再生可能エネルギー電力の導入等を実施 脚注 ZEB:Net Zero Energy Building の略。断熱性能の高い窓や LED 照明などを導入し省エネルギー化を実現した上で、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入することにより、正味の年間エネルギー消費量がゼロ以下となる建築物。 事業390 住宅等の脱炭素化促進 事業概要 災害時にも活用可能な自立・分散型エネルギーである再生可能エネルギーの導入拡大及び省エネルギーの推進のため、太陽光発電設備、ZEH、蓄電システム等の導入補助及び導入促進策の実施による、住宅・事業所の脱炭素化を促進 事業391 既存住宅における省エネ水準の向上 事業概要 住宅ストックの省エネ水準を向上させるため、民間住宅のZEH水準を満たす断熱改修工事に対する住宅金融支援機構の改修工事融資への利子補給等を実施するとともに、市営住宅の建て替えに際してZEH水準による省エネ化を推進 事業392 環境に配慮した住宅・建築物の普及啓発 事業概要 建築物の環境性能の向上に向け、建築主の自主的な取り組みを促進するため、建築物の環境性能を総合的に評価し公表する制度(CASBEE名古屋)を実施するとともに、建築物の省エネルギー基準への適合義務化など、住宅・建築物のエネルギー消費性能の向上を図るための規制・誘導措置を実施 事業393 省エネルギー訪問相談の実施 事業概要 事業者の事業活動における省エネルギー対策を促進するため、店舗やオフィスビルなどの事業所を定期的に訪問し、事業形態や資力に応じた省エネルギー対策や、二酸化炭素排出量の把握に関するアドバイス・情報提供などを実施 事業394 地球温暖化対策計画書制度の運用 事業概要 企業の省エネルギー対策を促進するため、一定規模以上のエネルギーを使用する企業に地球温暖化対策計画書の作成等を義務づけるとともに、企業への巡回訪問を行い温暖化対策の指導や助言を実施 事業395 下水汚泥の固形燃料化 事業概要 バイオマスエネルギーとして下水汚泥を有効に活用するため、下水汚泥から石炭代替燃料として利用可能な固形燃料化物を空見スラッジリサイクルセンターにおいて製造し、近隣施設での有効利用を推進 脚注 バイオマスエネルギー:森林の間伐材や家畜の排泄物、食品廃棄物など生物から生まれる資源を燃料にして得られるエネルギーのこと。 事業396 脱炭素社会に向けた施設の環境整備の推進 事業概要 脱炭素社会の実現のため、新設校等の整備や学校のリニューアル改修時等に、施設の照明のLED化や太陽光発電設備の整備等のZEB化を推進 施策の柱2 脱炭素まちづくりの推進 事業397 水素エネルギーの利活用の推進 事業概要 利用段階で二酸化炭素を排出しない水素エネルギーの利用拡大を図るため、家庭用燃料電池システム(エネファーム)の導入補助や燃料電池自動車の普及啓発等を実施 事業398 脱炭素先行地域づくり事業の推進 事業概要 地域脱炭素を推進するため、「脱炭素先行地域」に選定された「みなとアクルス」の開発事業において、2030年度までに電力消費に伴う二酸化炭素排出実質ゼロをめざすとともに、地域課題解決に取り組む脱炭素型まちづくりを民間事業者との協働により実施 事業399 名古屋港におけるカーボンニュートラルポート形成 事業概要 温室効果ガス削減を推進するため、名古屋港における脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素等の受け入れ環境の整備等を図るカーボンニュートラルポート(CNP)の形成に向けた名古屋港管理組合の取り組みを促進 事業400 脱炭素社会の実現を担う人材育成の推進 事業概要 脱炭素社会の実現を担う人づくりを推進するため、若い世代を対象に、脱炭素に資する仕事の紹介やキャリア形成に関するセミナー等を実施 事業401 脱炭素型ライフスタイルへの転換に向けた啓発 事業概要 脱炭素型ライフスタイルへの転換を促すため、環境行動促進アプリを活用した普及啓発や国が進めるデコ活と連携した広報、イベント、気候変動の影響による暑熱への適応にも資するクールシェアの推進や緑のカーテン事業等を実施 事業402 汚泥処理の脱炭素化 事業概要 下水汚泥処理において、施設の改築等にあわせて脱炭素化の推進を図るため、省エネルギー化や燃焼温度の高温化により温室効果ガス排出量を削減 事業403 環境にやさしい市バス・地下鉄の実現 事業概要 環境負荷を低減するため、省エネ効果の高いLED照明への更新を進めるほか、電気バスを1両試行導入 421ページから422ページ 施策33 循環型都市づくりを進めます 施策の柱1 さらなる3Rの推進 市民・事業者とのパートナーシップによりごみの減量を推進するとともに、社会経済情勢の変化に対応したごみ・資源の発生抑制や分別・リサイクルの取り組みを進めます。また、事業用大規模建築物に対する立入指導などを実施し事業系ごみの減量、リサイクルを進めます。 現状と課題 近年、プラスチックの資源循環や食品ロスの削減などが地球規模の課題となっています。また、少子化・高齢化の進行や価値観・コミュニティの多様化をはじめとする社会経済情勢の変化に伴い、廃棄物処理を取り巻く状況に変化が生じています。さらなるごみ減量を推進するため、市民・事業者とのパートナーシップによる取り組みを進めるとともに、社会経済情の変化に対応した収集・処理体制の整備が必要です。 施策の柱2 資源循環とビジネスが融合した社会の形成 循環経済への移行に向け、市民や事業者に対する普及啓発を行うなど、消費者と事業者が一体となって資源循環を推進します。 現状と課題 これまでの3Rの取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑え、廃棄物発生量を最小化し、持続可能な形で資源を利用する循環経済への移行が求められています。資源循環とビジネスとの融合を図り、循環経済への移行の加速化を進めるため、市民・事業者の機運醸成や、事業者と連携した取り組みが必要です。 施策の柱3 環境負荷の少ない廃棄物処理の推進 焼却灰の資源化による埋立量の削減を進めるとともに、焼却時に発生する排ガス等の高度処理や熱エネルギーの有効利用を行います。また、処分場の長寿命化などを行い、持続可能な処理・処分体制の確保に取り組みます。 現状と課題 安定的なごみ処理のため、持続可能な処理・処分体制の確保が求められています。そのため、ごみ処理施設の長寿命化や脱炭素化、処分場の適正な維持管理・運営や長期的な活用が必要です。 成果指標 1 ごみ・資源の総排出量 現状値 79.9万トン(令和4年度) 目標値 79.6万トン以下 2 ごみの処理量 現状値 57.4万トン(令和4年度) 目標値 55.3万トン以下 3 ごみの埋立量 現状値 1.6万トン(令和4年度) 目標値 1.6万トン以下 4 暮らしの中で資源の循環利用を意識した行動をしている市民の割合 現状値 54.4% 目標値 60% 図1 ごみ処理量(家庭系・事業系)の推移 図2 ごみ処理事業における温室効果ガス排出量の推移 脚注 3R:「Reduce=リデュース(発生抑制)」「Reuse=リユース(再使用)」「Recycle=リサイクル(再生利用)」の3つの頭文字をとった言葉で、ごみ減量のために必要な取り組みを表す。 423ページから426ページ 施策を推進する事業 施策の柱1 さらなる3Rの推進 事業404 リデュース・リユースの推進 事業概要 ごみ減量を推進するため、使い捨てプラスチックの削減やモノを大切にする意識の醸成に向けた普及啓発を行うとともに、各家庭での具体的な実践行動の周知やフードドライブ等を通じて食品ロス削減に向けた取り組みを実施 脚注 フードドライブ:家庭で余っている食品を集めて、食品を必要としている地域のフードバンク等の生活困窮者支援団体、子ども食堂、福祉施設等に寄付する活動。 事業405 分別・リサイクルの推進 事業概要 家庭系ごみの減量を推進するため、資源の分別収集や拠点回収を行うとともに、集団資源回収等の市民の自主的な資源化活動を支援するほか、将来を見据え、少子化・高齢化の進行や価値観・コミュニティの多様化をはじめとする社会経済情勢の変化に対応したごみ・資源の収集・処理体制のあり方を検討 事業406 事業系ごみの減量・資源化の推進 事業概要 事業系ごみの減量を推進するため、事業用大規模建築物等に廃棄物減量計画書の提出等を義務づけ、業種に応じた立入指導を行うとともに、中小事業所、テナントビルのオフィス・店舗等に資源化の指導・啓発を実施 施策の柱2 資源循環とビジネスが融合した社会の形成 事業407 資源循環とビジネスが融合した社会の形成 事業概要 循環経済への移行を促すため、資源循環に対する市民・事業者の意識を醸成するとともに、新たなビジネスモデルの実装に向けた事業者への支援を実施するなど消費者・事業者双方の行動変容へとつながる新たな仕組みを構築 施策の柱3 環境負荷の少ない廃棄物処理の推進 事業408 焼却工場等の安定的な運営 事業概要 衛生的な環境の維持や環境負荷の低減を図るため、可燃ごみ及び不燃ごみを焼却・破砕処理し、焼却溶融による減量・減容化や焼却灰の資源化を行うとともに、熱エネルギーの有効利用を実施 事業409 計画的かつ環境に配慮したごみ処理施設整備の推進 事業概要 持続可能なごみ処理体制を維持するため、施設の配置状況等にも配慮し、ごみ発電設備の高効率化による再生可能エネルギーの利活用促進を図るなど、計画的かつ環境に配慮したごみ処理施設整備を推進 事業410 安定的な埋立処分体制の維持 事業概要 安定的な埋立処分体制を維持するため、愛岐処分場及び第二処分場を適正に管理・運営・整備するとともに、愛知県が中心となって整備した広域処分場を可能な限り活用するほか、新規処分場について検討