なごや子ども条例 子どもは、生まれながらにして一人一人がかけがえのない存在であり、周りの人に大切にされ、愛され、信頼されることによって、自分に自信を持ち、安心して健やかに育つことができます。 子どもは、自分の価値が尊重されることによって、他者の価値を尊重することを知ることができます。 子どもは、子ども同士のふれあいや、様々な人、自然、社会そして文化との適切なかかわりを通じて、他を思いやる心を持ち、ルールを守るなどの社会性を身につけ、豊かな人間性と創造性を備えるとともに、自分の行動に責任を持ち、他者と共生し、社会の責任ある一員として自立することができます。 子どもは、年齢や発達に応じて、物事を考え、意見を言うことができます。 名古屋のすべての子どもが、自分自身の持っているこのような力を信じることで、その力を伸ばすとともに発揮して、未来の名古屋を担う存在になっていくことが、すべての市民の願いです。 そのために、大人は、子どもの未来の視点を大切にするとともに、子どもの年齢や発達に応じた支援をし、子どもが自立した若者に成長するまでを見守ることが必要です。 さらに、大人は、自分の言動が子どもに大きな影響を与えることを認識したうえで、子どもの手本となり、子どもから信頼される存在であることが求められます。 ここに、わたしたちは、児童の権利に関する条約を基本とし、民族、性別、障害などにかかわらず、子どもにとって大切な権利を保障するとともに、子どもの視点に立ち、子どもとともに最善の方法は何かを考え、子どもの健やかな育ちを社会全体で支援するなごやのまちを、市民が一体となってつくることを決意し、この条例を制定します。 第1章 総則 (目的) 第1条 この条例は、子どもの権利及びその権利を保障するための市、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者の責務を明らかにするとともに、子どもに関する施策の基本となる事項等を定めることにより、子どもの権利を保障し、子どもの健やかな育ちを社会全体で支援するまちの実現を目指すことを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 (1) 子ども 18歳未満の者その他これらの者と等しく権利を認めることが適当である者をいう。 (2) 保護者 親及び里親その他親に代わり子どもを養育する者をいう。 (3) 地域住民等 地域の住民及び団体をいう。 (4) 学校等関係者 学校、保育所、児童養護施設その他子どもが学び、又は育つことを目的として通学し、通園し、通所し、又は入所する施設の関係者をいう。 第2章 子どもの権利 (子どもにとって大切な権利及び責任) 第3条 この章に定める権利は、子どもにとって特に大切なものとして保障されなければならない。 2 子どもは、その年齢及び発達に応じ、社会の責任ある一員であることを自覚し、自分の権利が尊重されるのと同様に他者の権利を尊重するよう努めなければならない。 (安全に安心して生きる権利) 第4条 子どもは、安全に安心して生きるため、次に掲げることを権利として保障されなければならない。 (1) 命が守られること。 (2) かけがえのない存在として、愛情及び理解をもってはぐくまれること。 (3) 健康な生活ができるとともに、適切な医療が提供されること。 (4) あらゆる暴力及び犯罪から守られること。 (5) あらゆる差別を受けないこと。 (6) 年齢及び発達にふさわしい生活ができること。 (一人一人が尊重される権利) 第5条 子どもは、一人一人が尊重されるため、次に掲げることを権利として保障されなければならない。 (1) 個人の価値が尊重されること。 (2) 自分の考えを自由に持ち、及び表現することができること。 (3) 信頼されるとともに、自分の考えが尊重されること。 (4) プライバシー及び名誉が守られること。 (5) 自分の持っている力を発揮できること。 (豊かに育つ権利) 第6条 子どもは、豊かに育つため、次に掲げることを権利として保障されなければならない。 (1) 年齢及び発達に応じ、学び、遊び、及び休息することにより、のびのびと育つこと。 (2) 様々な人、自然及び社会並びに多彩な文化とのかかわりの中で、他と共生し、社会の責任ある一員として自立していくこと。 (主体的に参加する権利) 第7条 子どもは、自分たちにかかわることについて主体的に参加するため、その年齢及び発達に応じ、次に掲げることを権利として保障されなければならない。 (1) 意見を表明する機会が与えられること。 (2) 自分たちの意見が尊重されること。 (3) 意見を表明するために、必要な情報の提供その他必要な支援を受けられること。 第3章 子どもの権利を保障する大人の責務 (共通の責務) 第8条 市、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者は、子どもの権利を保障するため、連携し、及び協働するとともに、次に掲げる支援を行うよう努めなければならない。 (1) 子どもが他者の権利を尊重し、社会の責任ある一員として育つために必要な支援 (2) 保護者が子どもの養育及び発達に関する第一義的な責任を果たすために必要な支援 (市の責務) 第9条 市は、子どもの権利を保障するため、国、他の地方公共団体及び関係機関と連携し、及び協働するとともに、子どもに関する施策を実施しなければならない。 2 市は、子どもに関する施策を実施するため、必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。 3 市は、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者がそれぞれの責務を果たすことができるよう、必要な支援を行わなければならない。 (保護者の責務) 第10条 保護者は、子どもの養育及び発達に家庭が果たす役割を理解するとともに、その第一義的な責任は保護者が有することを自覚し、子どもを守り育てなければならない。 2 保護者は、子どもの健やかな育ちのため、子どもにとっての最善の方法を考え、子どもの年齢及び発達に応じた養育に努めなければならない。 (地域住民等の責務) 第11条 地域住民等は、子どもの豊かな人間性が地域の人、自然、社会及び文化とのかかわりの中ではぐくまれることを認識し、子どもの健やかな育ちを支援するよう努めなければならない。 2 地域住民等は、虐待等あらゆる暴力及び犯罪から子どもを守るため、安全で安心な地域づくりに努めなければならない。 3 地域住民等は、子どもが地域社会の一員であることを認識し、子どもとともに地域活動を行うよう努めなければならない。 (学校等関係者の責務) 第12条 学校等関係者は、子どもの年齢及び発達に応じ、子どもが主体的に学び、及び育つことができるよう、必要な支援に努めなければならない。 2 学校等関係者は、虐待、体罰、いじめ等から子どもを守るため、その解決に向け、関係機関と連携していくよう努めなければならない。 3 学校等関係者は、子どもの年齢及び発達に応じ、子どもが子どもの権利について理解し、及び自分の意見を表明することができるよう、必要な支援に努めなければならない。 (事業者の責務) 第13条 事業者は、子どもの健やかな育ちを支援するため、その社会的影響力及び責任を認識した事業活動を行うとともに、社会的自立に向けた就労支援、人材育成及び社会人教育を行うよう努めなければならない。 2 事業者は、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の視点から、子どもを養育する従業員が仕事と子育てとを両立できるよう、職場の環境づくりに努めなければならない。 3 事業者は、仕事と子育てとを両立できる働き方について、従業員の意識の向上を図るとともに、従業員に対し、子ども及び子どもを養育する家庭(以下「子育て家庭」という。)を支援する取組への参加又は協力を促すよう努めなければならない。 第4章 子どもに関する基本的な施策等 (虐待、体罰、いじめ等の救済等) 第14条 市は、保護者、地域住民等、学校等関係者及び関係機関と連携し、及び協働し、虐待、体罰、いじめ等の防止、相談及び救済のために必要な措置を講じなければならない。 (子どもの育ちの支援) 第15条 市は、子どもの健やかな育ちを支援するため、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者と連携し、及び協働し、次に掲げる施策を実施するものとする。 (1) 子どもが安全に安心して過ごすことができるための居場所づくり (2) 子どもが自然及び地域社会とのかかわりの中で豊かに育つことができるための遊び及び体験の場づくり (3) 子どもが社会とのかかわりの中で、他者と共生し、社会の責任ある一員として自立していくために必要な支援 (子育て家庭の支援) 第16条 市は、保護者が子どもの養育及び発達に関する第一義的な責任を果たすことにより子どもが安心して生活することができるよう、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者と連携し、及び協働し、子育て家庭を支援するネットワークづくりを進めるなど、子育て家庭の支援を行うものとする。 (子どもの参画の促進) 第17条 市は、前3条に掲げる子どもに関する基本的な施策(以下「基本的施策」という。)を策定するに当たっては、子ども会議を開催するなど、子どもが主体的に参加し、及び意見を表明する機会を設けるとともに、子どもの意見を尊重するよう努めるものとする。 (関連施策との一体的推進) 第18条 市は、基本的施策を推進するに当たっては、若者の自立支援に関する施策その他関連施策と一体的に推進しなければならない。 (調査研究等) 第19条 市は、子どもの権利、その権利の保障及び子どもに関する施策に関する調査及び研究を行うものとする。 2 市は、子どもの権利について、市民の関心を高めるための広報活動を行うものとする。 第5章 子どもに関する施策の総合的な推進 (総合計画) 第20条 市長は、子どもに関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、子どもに関する総合的な計画(以下「総合計画」という。)を策定しなければならない。 2 市長は、総合計画を策定するに当たっては、あらかじめ、なごや子ども・子育て支援協議会の意見を聴かなければならない。 3 市長は、総合計画を策定するに当たっては、子どもを含めた市民の意見を反映することができるように適切な措置を講ずるものとする。 4 市長は、総合計画を策定したときは、速やかに、これを公表しなければならない。 5 前3項の規定は、総合計画の変更について準用する。 (実施状況等の公表等) 第21条 市長は、毎年度、総合計画の実施状況等を公表しなければならない。 2 市長は、前項の総合計画の実施状況等について、なごや子ども・子育て支援協議会の意見を聴くとともに、子どもを含めた市民の意見を聴き、それらの意見を総合計画等に反映させるよう努めるものとする。 (拠点施設) 第22条 市は、子どもに関する施策を実施するとともに、子どもを社会全体で支援するため、総合的な拠点施設を整備するものとする。 (なごや子ども・子育て支援協議会) 第23条 市長の附属機関として、なごや子ども・子育て支援協議会(以下「協議会」という。)を置く。 第24条 協議会は、市長の諮問に応じ、子どもに関する施策に関する重要事項について調査審議し、その結果を市長に答申する。 2 協議会は、子どもに関する施策に関し必要と認める事項について調査審議し、市長に対し、意見を述べることができる。 第25条 協議会は、委員35人以内をもって組織する。 2 特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、協議会に臨時委員を置くことができる。 3 委員及び臨時委員は、学識経験のある者その他市長が必要と認める者のうちから、市長が委嘱する。 第26条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。 2 委員は、再任されることができる。 3 臨時委員は、特別の事項に関する調査審議が終了したときに解嘱されるものとする。 第27条 協議会には、必要に応じ、委員(その調査審議事項に係る臨時委員を含む。)の一部をもって部会を置くことができる。 2 協議会は、その定めるところにより、部会の議決をもって協議会の議決とすることができる。 第28条 第23条から前条までに定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。 第6章 雑則 (委任) 第29条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。 附 則 (施行期日) 1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。ただし、第23条の規定は、規則で定める日から施行する。 (経過措置) 2 この条例の施行の際現に次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)第8条第1項の規定により策定されている計画は、第20条第1項の規定により策定された総合計画とみなす。 (名古屋市青少年問題協議会条例の廃止) 3 名古屋市青少年問題協議会条例(昭和33年名古屋市条例第20号)は、廃止する。 (名古屋市青少年問題協議会条例の廃止に伴う経過措置) 4 この条例の施行の日の前日において名古屋市青少年問題協議会の委員である者の任期は、前項の規定による廃止前の名古屋市青少年問題協議会条例第4条第1項の規定にかかわらず、その日に満了する。 附 則(平成24年条例第44号) 1 この条例は、平成24年4月1日から施行する。 2 この条例の施行の際現になごや子ども・子育て支援協議会の委員に委嘱されている者は、この条例の施行の日にこの条例による改正後のなごや子ども条例(以下「新条例」という。)第25条第3項の規定により委嘱された委員とみなし、その任期は、新条例第26条第1項の規定にかかわらず、平成24年8月31日までとする。 問い合わせ先 名古屋市子ども青少年局企画経理課(市役所本庁舎2階) 〒460-8508 名古屋市中区三の丸三丁目1-1 電話 052-972-3081 ファックス 052-972-4437 電子メール a3081@kodomoseishonen.city.nagoya.lg.jp