表紙 「名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例の改正の考え方(案)」に対する市民意見の内容及び市の考え方 「名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例の改正の考え方(案)」に対し、貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。いただいたご意見の概要と、それに対する市の考え方を公表します。  なお、ご意見の内容は、一部を要約するとともに、趣旨の類似するものをまとめ、項目別に分割して掲載していますのでご了承ください。 令和7年1月 名古屋市 1ページ 1 意見募集の概要 (1) 意見募集期間 令和6年10月31日(木曜日)から令和6年11月29日(金曜日) (2) 意見提出状況 意見提出者数:12名  意見総数:21件 ・意見提出方法 郵送 3名 ファックス 3名 電子メール 6名 持参 0名 合計 12名 ・意見提出者区分 障害のある方 2名 障害のある方の家族 1名 障害福祉サービス従事者 1名 その他 6名 未回答 2名 合計 12名 2 意見の内訳 全般 3件 定義 0件 基本理念 0件 市の責務 3件 事業者・市民の責務 0件 事前的改善措置 0件 合理的配慮の提供 0件 相談 2件 助言又はあっせんの申立て・措置の求め・勧告等 2件 啓発等 4件 意思疎通手段の利用の促進 1件 調査研究等 0件 その他 6件 合計 21件 ※ 点字版、音声変換用テキストファイルをご希望の方は、下記へご連絡ください。 名古屋市健康福祉局障害福祉部障害企画課 電話:052-972-2538 ファックス:052-951-3999 電子メール:a2538@kenkofukushi.city.nagoya.lg.jp 2ページ <意見の概要及び市の考え方> 1 全般(3件) 【市民意見】 ・前文「今なお、障害者に対する誤解や偏見があり、また、見た目ではわからない障害者に対して周囲の理解が不十分であることから、障害者の自立や社会参加が妨げられているという現状が存在しています。」のうち「誤解」を「差別」に変更。 ・前文で「優性思想との決別」を明確にすべき。 ・「何人も、障害を理由とする差別をしてはならない。」ことを明記すべき。 【市の考え方】 本市としては、令和5年6月3日の本市主催の市民討論会における差別事案と当該差別事案についての検証委員会からの提言を重く受け止め、二度とこのような差別事案を起こさないとの決意の下、市職員、事業者及び市民が意識のバリアフリー行動を実践することや、差別事案の相手方に市を含めるといった内容の条例改正を予定しております。 また、ご意見いただきました「何人も、障害を理由とする差別をしてはならない。」ことについて、条例に明記する方向で検討してまいります。 2 定義(0件) 【市民意見】 ・なし 3 基本理念(0件) 【市民意見】 ・なし 3ページ 4 市の責務(3件) 【市民意見】 ・兵庫県知事をはじめ首長のパワハラが問題になっている現状を踏まえれば、市長がいる場で職員が対応し辛い場合もあると思われます。従って、何よりも「市長が率先して、差別解消にとりくむこと」を明記すべきと考えます。 【市の考え方】 市長も含めた市職員の責務として、市職員が、障害者差別解消法の趣旨を理解し、障害者に対して、適切に対応するための基本的事項を定めた「市職員対応要領を遵守し、率先して意識のバリアフリー行動を実践すること」と条例に追加する予定としております。 【市民意見】 ・市職員が、障害者支援事業所で実習すること等、更に踏みこんだ対応を。 ・市の責務として、市職員への「障害のある人を含めた人権教育」の徹底。民間委託事業者への教育の徹底を図ること。 【市の考え方】 市の責務として、市職員が、障害者差別解消法の趣旨を理解し、障害者に対して、適切に対応するための基本的事項を定めた「市職員対応要領を定め、市職員が適切な対応ができるよう、研修等を通じて周知すること」と条例に追加する予定としており、具体的な研修内容のご意見については、今後の施策の参考とさせていただきます。  なお、委託事業者に対しましても、市職員対応要領に準じた適切な対応を行えるよう、必要な措置をとっているところです。 5 事業者・市民の責務(0件) 【市民意見】 ・なし 4ページ 6 事前的改善措置(0件) 【市民意見】 ・なし 7 合理的配慮の提供(0件) 【市民意見】 ・なし 8 相談(2件) 【市民意見】 ・「基幹相談センター」が窓口になることの明記に賛成ですが、であれば、基幹相談センターを「社会福祉法」に位置づけ消費税対象から外すよう、国に強く要請して下さい。 【市の考え方】 障害者基幹相談支援センターについて、現在も地域の差別相談窓口として位置づけており、今回条例にその旨を明記する予定としております。引き続き、差別相談にも適切に対応できるよう努めてまいります。 また、消費税については、政令指定都市共同で国へ要望するなど、本事業が非課税として取り扱われるよう、国に対して働きかけを行っているところです。 【市民意見】 ・相談体制として地域の具体的な窓口(区役所、支所、保健センター、障害者基幹相談支援センター)を明記することを検討します。とありますが、発達障害者支援センターは窓口には入れないのでしょうか。精神の窓口として保健センターを明記するのでしたら、発達障害の窓口として発達障害者支援センターがあります。具体的な相談の窓口として、検討していただけませんでしょうか。 【市の考え方】 発達障害者の相談窓口である「発達障害者支援センター」について、広く一般から障害者差別相談を受けるような相談窓口として位置付ける予定はございません。 なお、現在も発達障害の方からの個別の障害者差別相談には、「発達障害者支援センター」を通じた対応もさせていただいているところです。 5ページ 9 助言又はあっせんの申立て・措置の求め・勧告等(2件) 【市民意見】 ・「事業者に加え、差別事案の当事者が市の場合も、助言又はあっせんの申立て、措置の求め及び勧告等の対象に含まれること」はよいことなのでぜひ加えて欲しい。 ・「障害者差別解消調整委員会から市に対して措置の求めがあった場合、必ず勧告を行うこと」はよいことなのでぜひ加えて欲しい。 【市の考え方】 ご意見については、条例に追加する予定としております。 10 啓発等(4件) 【市民意見】 ・障害のある人もない人も共に生きるためには壁があり、専門の知識をもった方の障害のある人とはどういう人か、理解を深める市民講座・企業への講演会が必要なのではないでしょうか。そして、未来へと繋がると思います。 ・名古屋城市民討論会の反省について、市職員が不適切発言を止められなかったのは残念ですが、一番悪いのは、参加者の不適切発言です。昇降機が不要と考え発言するのは自由ですが、その意見表明の方法・内容が不適切だったこと、そうした発言をする市民がいること、その場にいた市職員以外の討論会参加者も何も反応できなかったのは市職員と同罪なことといった観点が抜け落ちています。市職員を責め過ぎず、市民に共生の意識が醸成されていないこと、建設的な意見表明ができない人がいることの現状認識と改善を目指してほしい。 ・啓発事業として障害特性の理解を進めるような講演会、パンフレットやポスターの制作等は、一定の成果があると思います。しかし、障害のある人たちは、限られた生活圏(=地域)で暮らしており、ご近所レベルでの小規模な交流の場を通じて障害のある人とない人との間に関係性が生まれます。最近、大学生やまちづくり組織(NPOなど)といった、非営利かつ福祉の専門職以外の人たちが障害や福祉に新たな視点を与えるような取り組みを積極的に展開しています。こうした取り組みを評価し、積極的に後押しして欲しいと思います。 6ページ ・見守る、温かい心は保育園、幼稚園、小学校からの教育に重要性があると考える。意識のバリアフリーは、その意識を子供から大人、壮年、老人にいたるまで、共に分かち合う小さな意識の積み重ねが、小さな優しさが、つもれば山となる。広報なごやでの啓発からはじめ、名古屋市を人に優しい町にするには、四人掛けの優先イスなどを多く設置する、又、マニュアルは頭を悩ませない優しい言葉を使い、自分の心に優しくなれば、おのずから、他人にも優しくなれると思う。 【市の考え方】 条例において、市は障害や障害者に対する理解と関心を深めるために必要な広報その他啓発活動を行うことを規定しており、市民向け講演会等を実施しているところです。加えて、市職員、事業者及び市民が、意識のバリアフリー行動を実践し、障害の有無にかかわらず、全ての人が互いに人格及び個性を尊重し支え合いながら暮らすことのできる社会を目指す啓発活動である「あいサポート運動」を市全体で推進していくことを条例に追加する予定としております。 また、条例の「基本理念」において、子どもの頃から障害に関する知識や理解を深め、障害の有無にかかわらず共に助け合い、学び合う心をはぐくむことの重要性を規定しています。「あいサポート運動」の中で、小学生は「あいサポートキッズ」として認定するなど、子どもの頃からの障害理解の啓発に努めてまいります。 具体的な取り組みのご意見については、今後の施策の参考とさせていただきます。 11 意思疎通手段の利用の促進(1件) 【市民意見】 ・意思疎通手段についてはIT技術の活用の促進もするべきと考えます。例えば、筑波大学の「See-Through Captions」のようにリアルタイム字幕表示の透明ディスプレイです。こちらは障害者だけでなく翻訳機能により市役所等での外国人との対応にも活用が可能となります。 【市の考え方】 意志疎通手段の利用の促進について、条例に規定しているところであり、引き続き最新機器の情報収集等に努め、効果的な手段の普及を図ってまいります。 12 調査研究等(0件) 【市民意見】 ・なし 7ページ 13 その他(6件) 【市民意見】 ・私の主人は2年前に大人の発達障害と診断されました。彼には彼の生きづらさを感じる負担があり、一方支援する側は支援する側で生きづらさ、心の苦しさがあります。本来支えとなるべき側が元気でなければ自身も相手も支えるのが困難となってきます。家族間の問題はなかなか外部には言い辛く気軽に相談できるところも少ないのが現状です。同じ心境、環境の者でないと分かり合えない気持ちを気軽に発せる場があれば心の負担も少しは和らぐと思っています。そういった環境を整えていただければと切に思っております。 【市の考え方】 本市では、各区に設置しております「障害者基幹相談支援センター」において、生活上の困りごと・不安や家族・人間関係についての悩みなど、障害のある方とご家族の様々な相談に応じているところです。引き続き、条例を通して、障害の有無にかかわらず、誰もが人格と個性を尊重され、住み慣れた地域で安心して暮らせる社会の実現を目指してまいります。 【市民意見】 ・本条例に「本市の施設整備における当事者参画の仕組み」を明記して欲しい。 ・本条例に「本市の施設整備における当事者参画の仕組み」を明記する際、「名古屋城木造復元事業を対象要件に当てはめる」と記載して欲しい。 ・条例改正の趣旨はよくて、当事者の参画は大切だから入れてほしい。この条例が名古屋城の木造は当てはまらないと考えるのは本末転倒と思う。改正のきっかけが、説明会での酷い差別発言とその場では熱い討論だった(市長)のような差別容認とみなされる不見識からだったのだ。このことを深く反省しての改正なのだから、名古屋城木造天守はむしろ当てはまる。省いたら意味がない。 【市の考え方】 障害を理由とする差別の解消に関する施策について、「障害者及びその家族等の参画の下」実施することについて、条例に明記する方向で検討してまいります。 8ページ 【市民意見】 ・名古屋市として、障害者を含むインクルーシブな文化活動を応援していただくことは出来ないのでしょうか。 【市の考え方】 条例の「基本理念」において、全ての障害者が、社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されることを規定しており、当該理念に基づき、障害者差別の解消の推進に取り組むこととしております。ご意見については、今後の施策の参考とさせていただきます。 【市民意見】 ・障害の有無問わず共生するために条例を改善し改正していくことは、よいことと考えますが、世の中の差別は障害者だけが対象ではないので、人権条例等発展的に更なる改正を望みます。 【市の考え方】 「『名古屋城バリアフリーに関する市民討論会』における差別事案に係る検証委員会」の最終報告の提言を受けまして、人権所管局において、包括的かつ実効性のある人権条例の制定に向けて検討してまいります。