(1ページ) 第1部 総論                            第1章 計画策定にあたって  1 背景・趣旨  2 計画の位置付け  3 障害者の現状  4 計画期間  5 関連する計画との関わり  6 計画策定体制と市民意見の反映 第2章 計画の推進と進行管理  1 計画の推進体制  2 進捗状況の管理及び評価  3 計画の弾力的運用 (2ページ) 白紙 (3ページ) 第1章 計画策定にあたって 1 背景・趣旨 我が国では、平成19(2007)年に「障害者の権利及び尊厳を保護し促進するため、障害者の権利に関する条約(以下「条約」という。)」に署名し、それ以降同条約の締結に向けた国内法の整備を進めてきました。そして、平成26(2014)年1月に条約を締結したことにより、条約の効力が我が国において生じることとなりました。さらに、平成28(2016)年には「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下「障害者差別解消法」という。)」が施行され、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現につなげることを目的として掲げられました。 こうした中で、本市では、平成30(2018)年12月に「名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例(以下「障害者差別解消推進条例」という。)」を制定したほか、障害者基本法に基づく市町村障害者計画として、平成31(2019)年3月に令和5(2023)年度までを計画期間とする「名古屋市障害者基本計画(第4次)」を策定し、「障害のある人もない人もお互いに人格と個性を尊重し合いながら共に生きる地域社会」を目標に掲げ、市民の皆様と協働して、「インクルーシブな社会※1」の実現をめざしてきました。 その後も、国においては、「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(以下「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」という。)」や「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(以下「医療的ケア児支援法」という。)」、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(以下「読書バリアフリー法」という。)」などが新たに制定されました。 また、地域共生社会の実現に向けて「社会福祉法」が改正されたほか、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」という。)」、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)」、「障害者差別解消法」、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という。)」、「児童福祉法」、「災害対策基本法」などの改正も行われました。さらに、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指す世界共通の目標であるSDGs※2の推進や、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催などを通じて共生社会の実現に向けた様々な取り組みが進められています。 本市においては、障害者が地域で安心して生活できるよう障害者総合支援法の趣旨※3に基づく障害福祉サービスや本市独自の様々な施策を展開するとともに、全ての障害者にとっての身近な相談窓口として、障害者基幹相談支援センターを設置し、支援が必要な方に必要なサービスが提供されるように努めてきました。 (4ページ) また、区役所・支所において障害福祉窓口一元化を実施し、障害の種別によらず分かりやすい福祉窓口としました。さらに、障害者差別解消法に基づき本市独自の障害者差別に関する相談体制を整備するとともに、本市の都市施設の整備にあたっての技術的な基準を定めた「福祉都市環境整備指針」を改定したほか、重点整備地区のバリアフリー基本構想を策定し整備を推進するなど、「人にやさしいまち名古屋」の実現に向けて取り組んできました。 こうした取り組みを進める一方で、新型コロナウイルス感染症対応をきっかけにデジタル化への迅速な対処が必要となり、社会全体のデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」という。)※4が進む中、デジタル機器・サービスに不慣れな障害者に対する支援・配慮を行うなど、新たな社会的障壁※5とならないよう留意することが求められています。 障害福祉サービス等の利用者の多様化や事業者数が増加している状況を受け、利用者の個々のニーズに応じた良質なサービスを提供する観点から、事業者が提供する障害福祉サービス等の質の確保・向上を図ることが必要です。 また、全国的にも増加している一方で表面化しにくいと言われているヤングケアラーに対する支援なども課題となっています。 さらに、令和5(2023)年6月3日、名古屋城バリアフリーに関する市民討論会において、参加者から他の参加者に対する障害者差別発言がなされ、その場にいた職員は、言い合いを制止するため駆け付けましたが、その後、別の参加者から差別用語を含む障害者差別発言がなされたことも含め、発言の制止や注意喚起などの適切な対応を行わなかったという事案がおこるなど、引き続き、市職員をはじめ、障害者差別の解消に向けた取り組みを進めていく必要があります。 このほか、愛知・名古屋が令和8(2026)年の第20回アジア競技大会・第5回アジアパラ競技大会の開催都市として決定されており、障害のある方の社会参加の促進や多様性を尊重し合う共生社会の実現に貢献することが期待されているとともに、令和9(2027)年にはリニア中央新幹線の東京〜名古屋間の開業が予定されており、新たな整備が行われているところです。 こうした状況を踏まえ、これまで本市では、「障害者基本計画」と「障害福祉計画・障害児福祉計画」を別々の計画として策定してきましたが、今回、計画期間の終了時期が重なったことを契機に、より実効性の高い計画とするため、3つの計画を一体的に策定します。 引き続き、障害当事者やその家族をはじめ様々な方と議論を積み重ねながら、本市の障害者施策の総合的・計画的な推進を図り、障害のある人もない人もお互いに人格と個性を尊重し合いながら共に生きる地域社会の実現を目指していきます。 (5ページ) (表1:国と本市の動きの比較) 国の動き 平成19(2007)年 「障害者の権利に関する条約」に署名 平成26(2014)年 「障害者の権利に関する条約」を締結 平成27(2015)年 SDGsの採択 平成28(2016)年 「障害者差別解消法」施行 平成30(2018)年 「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」施行 令和元(2019)年 「読書バリアフリー法」施行 令和2(2020)年 「電話リレーサービス法」施行          「バリアフリー法」改正 令和3(2021)年 「医療的ケア児支援法」施行          「バリアフリー法」施行          「社会福祉法」改正          「災害対策基本法」改正          「障害者差別解消法」改正 令和4(2022)年 「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」施行          「障害者総合支援法」改正 令和5(2023)年 「精神保健福祉法」改正 令和6(2024)年 「児童福祉法」改正 本市の動き 平成26(2014)年 障害者基幹相談支援センター設置 平成29(2017)年 「福祉都市環境整備指針」改定 平成30(2018)年 「障害者差別解消推進条例」制定 平成31(2019)年 「障害者基本計画(第4次)」策定 「障害者差別解消推進条例」施行 令和3(2021)年 「今後の名古屋市早期子ども発達支援体制に関する方針」策定          「障害窓口一元化」実施 令和4(2022)年 名古屋市役所DX推進方針          「福祉都市環境整備指針」改定 令和5(2023)年 「名古屋市SDGs未来都市計画」策定 令和6(2024)年 重層的支援体制整備体制事業本格実施 令和2年から令和5年まで新型コロナウイルス感染症(第2類) (6ページ) 2 計画の位置付け 本市の障害者に関する施策全般についての個別計画と位置付けています。 (表2:各計画の位置付け) 目的 【障害者基本計画】 「障害者基本計画(第4次)」の基本的な考え方を継承し、インクルーシブな社会の実現に向けてより一層の取り組みを進めるための考え方を盛り込み、本市における障害者施策の総合的で計画的な推進を図るもの。 【障害福祉計画】 障害のある方が、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業 (以下「障害福祉サービス等」という。) の提供体制の確保に係る目標、必要なサービス量の見込み及びその確保方策について定めるもの。 国の定める基本指針に即して策定する。 【障害児福祉計画】 障害のある児童が身近な地域で支援を受けることができるよう、障害児通所支援、障害児入所支援及び障害児相談支援 (以下「障害児通所支援等」という。) の提供体制の確保に係る目標、必要なサービス量の見込み及びその確保方策について定めるもの。 国の定める基本指針に即して策定する。 対象者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの。 根拠法令 【障害者基本計画】 障害者基本法(第11条第3項)※6 【障害福祉計画】 障害者総合支援法(第88条)※7 【障害児福祉計画】 児童福祉法(第33条の20)※8 (7ページ) 3 障害者の現状 以下、平成30(2018)年と令和4(2022)年の比較 (1)身体障害者の状況   身体障害者手帳所持者数の推移 (単位 人、%) * 各年度末現在 平成30(2018)年 1級 24,660 31.3 2級 12,197 15.5 3級 16,652 21.2 4級 17,110 21.8 5級 4,276 5.4 6級 3,782 4.8 合計 78,677 100.0 令和4(2022)年 1級 24,812 31.8 2級 12,045 15.4 3級 16,099 20.6 4級 17,071 21.8 5級 4,184 5.4 6級 3,920 5.0 合計 78,131 100.0 増減 1級 152 2級 -152 3級 -553 4級 -39 5級 -92 6級 138 合計 -546 年齢別身体障害者手帳所持者数の推移 (単位 人、%) 平成30(2018)年 17歳以下 1,562 2.0 18〜64歳 22,879 29.1 65歳以上 54,236 68.9 合計 78,677 100.0 令和4(2022)年 17歳以下 1,533 2.0 18〜64歳 23,353 29.9 65歳以上 53,245 68.1 合計 78,131 100.0 増減 17歳以下 -29 18〜64歳 474 65歳以上 -991 合計 -546 (2)知的障害者の状況 愛護手帳所持者数の推移 (単位 人、%) * 各年度末現在 平成30(2018)年 1度 3,323 18.7 2度 3,478 19.6 3度 5,017 28.3 4度 5,940 33.4 合計 17,758 100.0 令和4(2022)年 1度 3,600 17.7 2度 3,757 18.4 3度 5,570 27.3 4度 7,452 36.6 合計 20,379 100.0 増減 1度 277 2度 279 3度 553 4度 1,512 合計 2,621 (8ページ)   年齢別愛護手帳所持者数の推移 (単位 人、%) 平成30(2018)年 17歳以下 5,271 29.7 18〜64歳 11,269 63.5 65歳以上 1,218 6.8 合計 17,758 100.0 令和4(2022)年 17歳以下 6,326 31.0 18〜64歳 12,638 62.0 65歳以上 1,415 7.0 合計 20,379 100.0 増減 17歳以下 1,055 18〜64歳 1,369 65歳以上 197 合計 2,621 (3)精神障害者の状況 精神障害者保健福祉手帳所持者数の推移 (単位 人、%) *各年度末現在 平成30(2018)年 1級 1,472 5.7 2級 16,161 62.9 3級 8,062 31.4 合計 25,695 100.0 令和4(2022)年 1級 1,895 5.6 2級 21,696 64.0 3級 10,322 30.4 合計 33,913 100.0 増減 1級 423 2級 5,535 3級 2,260 合計 8,218 年齢別精神障害者保健福祉手帳所持者数の推移 (単位 人、%) 平成30(2018)年 17歳以下 645 2.5 18〜64歳 20,444 79.6 65歳以上 4,606 17.9 合計 25,695 100.0 令和4(2022)年 17歳以下 1,044 3.1 18〜64歳 27,369 80.7 65歳以上 5,500 16.2 合計 33,913 100.0 増減 17歳以下 399 18〜64歳 6,925 65歳以上 894 合計 8,218 (9ページ) (4)発達障害者の状況 精神障害者保健福祉手帳所持者におけるICD区分別の推移 (単位 人、%) * 各年度末現在 * ICDは、疾病及び関連保健問題の国際統計分類のことであり、区分はICD10コードを表記。 平成30(2018)年 心理的発達の障害(F80−F89) 2,049 85.1 小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98) 359 14.9 合計 2,408 100.0 令和4(2022)年 心理的発達の障害(F80−F89) 4,849 83.2 小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98) 978 16.8 合計 5,827 100.0 増減 心理的発達の障害(F80−F89) 2,800 小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98) 619 合計 3,419 (5)重症心身障害児者の状況 重症心身障害児者の推移 (単位 人)   * 各年度6月1日現在 平成30(2018)年 1,298 令和4(2022)年 1,301 増減 3   (6)医療的ケア児の状況 医療的ケア児の人数 (単位 人) 令和元(2019)年 推計値 434 (7)難病の患者の状況 特定医療費受給者証所持者数の推移 (単位 人) * 各年度末現在 平成30(2018)年 13,769 令和4(2022)年 16,361 増減 2,592 (10ページ) (8)障害福祉サービス支給決定状況 障害福祉サービス支給決定状況 (単位 人) ※ 区分ごとに障害支援区分をまとめた表。数値は平成30(2018)年度末、令和4(2022)年度末現在の順 障害支援区分 区分1  区分2  区分3  区分4  区分5  区分6  区分なし  計  全障害 区分1  233 165 区分2  2,590 3,184 区分3  2,916 3,794 区分4  2,369 3,000 区分5  2,025 2,344 区分6  4,182 5,209 区分なし 5,680 8,146 計 19,995 25,842 身体 区分1  区分2  区分3  区分4  区分5  区分6  区分なし  計  区分1 52 29 区分2 331 278 区分3 862 880 区分4 675 755 区分5 777 825 区分6 2,585 3,070 区分なし 733 934 計 6,015 6,771 知的 区分1  区分2  区分3  区分4  区分5  区分6  区分なし  計  区分1 61 49 区分2 542 610 区分3 1,032 1,119 区分4 1,381 1,565 区分5 1,155 1,254 区分6 1,402 1,708 区分なし 766 900 計 6,339 7,205 精神 区分1  区分2  区分3  区分4  区分5  区分6  区分なし  計  区分1 115 87 区分2 1,699 2,272 区分3 1,009 1,777 区分4 305 667 区分5 87 250 区分6 184 385 区分なし 3,230 4,967 計 6,629 10,405 難病等 区分1  区分2  区分3  区分4  区分5  区分6  区分なし  計  区分1 5 0 区分2 18 24 区分3 13 18 区分4 8 13 区分5 6 15 区分6 11 46 区分なし 53 79 計 114 195 児童 区分なし  計  区分なし 898 1,266 計 898 1,266 (9)障害児福祉サービス支給決定状況  障害児福祉サービス支給決定状況 (単位 人) * 上段は平成30(2018)年度末、下段は令和4(2022)年度末現在 平成30(2018)年  5,588 令和4(2022)年 9,162 増減 3,574   (11ページ)  4 計画期間 障害者基本計画(第5次)は、令和6(2024)年度から11(2029)年度の6年間の計画とし、第7期障害福祉計画及び第3期障害児福祉計画の計画期間は、令和6(2024)年度から8(2026)年度までの3年間として一体的に策定します。障害者基本計画は3年を経過した時点で中間見直しを行います。 (図1:計画の期間) (12ページ) 5 関連する計画との関わり 名古屋市基本構想をもと、市政の基本的方向性を示した名古屋市総合計画との整合性を保ちながら策定しています。また、本市における各施策分野の個別計画ともお互いに密接に関わり連携して計画を実行していきます。 (図2:関連する計画との関わり) 6 計画策定体制と市民意見の反映 ○ 本市では計画策定に際して、名古屋市障害者施策推進協議会の下に専門部会を設け、計画の内容の検討を行いました。この専門部会には、身体障害(肢体不自由、視覚障害、聴覚障害)、知的障害、精神障害の障害当事者をはじめ、障害者団体・障害福祉施設・学識経験者・自立支援連絡会の方々等に参加していただき、障害当事者、その家族や支援者の声を反映するよう努めました。  また、計画の案の段階で、パブリックコメントにより市民の意見聴取を行いました。 ○ 障害者等のニーズを把握し、その実態を踏まえた上で計画を作成する必要があることから、「名古屋市障害者基礎調査」、「名古屋市障害福祉サービス等の利用に関するアンケート調査」及び「福祉施設入所者の地域生活移行に関するニーズ調査」を実施しました。 (13ページ) 第2章 計画の推進と進行管理 1 計画の推進体制 名古屋市の障害者施策を一体的に推進し、総合的な企画立案及び横断的な調整を確保するため、行政内部における各局相互間の緊密な連携・協力を図ります。 また、障害者の自立と社会参加に関する取り組みを社会全体で進めるため、市民や障害者関係団体、企業などとの幅広い協働に努めます。特に、障害者団体などが行っている活動は、障害者の自立及び社会参加に大きく寄与していることから、これらの団体などの活動との連携をより一層図ります。 2 進捗状況の管理及び評価 障害当事者、その家族や支援者をはじめとする関係者の意見を参考にし、障害者施策推進協議会において、この計画の進捗状況の管理及び評価を実施することとします。 3 計画の弾力的運用 社会情勢の変化や国の障害者施策の動向などにより、この計画の変更の必要性が生じた場合は計画内容の見直しを行うなど、弾力的な運用を行うよう努めます。 (14ページ) 白紙