表紙 「第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(案)」に対する市民意見の内容及び市の考え方   「第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(案)」に対して貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。 いただいたご意見と、それに対する市の考え方を公表します。 なお、ご意見のうち、内容について趣旨の類似するものは、まとめさせていただいたほか、原文を要約または分割して掲載するなど、編集上の整理を行っていますので、ご了承ください。 令和6年3月 名古屋市 ※各ページにある四角のコードは、「音声コード」といい、専用の読み取り機や音声コードに対応したアプリケーションをインストールしたスマートフォンにより、音声でこの冊子の内容を確認することができます。 表紙裏 白紙 第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(案)に対する市民意見の概要 1 募集期間 令和6年1月11日(木)~令和6年2月9日(金) 2 提出状況 意見提出者: 4名、意見件数:36件  (郵送:0名、ファックス:0名、電子メール:4名、持参:0名) 3 意見の内訳   第1 計画の策定にあたって 1件   第2 第4期計画期間中の諸状況と計画の評価等 11件   第3 第5期計画における自立支援施策の推進    1 基本的な考え方 1件   2 7つの主な取り組み   (1)住まいの確保と定着 2件   (2)就労機会の確保と定着 2件 (3)心身の健康維持・回復 1件 (4)相談・援護 7件 (5)人権の擁護と尊重 1件 (6)地域における生活環境の維持・改善 0件 (7)民間団体との連携・地域福祉 1件 その他 9件 計 36件 1ページ 第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(案)に対する市民意見の内容及び市の考え方 第1 計画策定にあたって(1件) 該当部分 1 策定の趣旨-(1)実施計画の策定に至るまでの経緯とその評価(2ページ) 【市民意見】 ・第4期計画の結果を踏まえて第5期計画を策定するので、第4期の紹介は重要である。「第5期計画」案での紹介は簡単すぎるので、「基本的な考え方」と、「基本目標」のテーマを入れる。 【市の考え方】 計画案1ページから2ページには、計画策定に至るまでの経緯とその評価の概要をまとめており、第4期計画についても全体のバランスを図りながら記載しています。第4期計画の「基本的な考え方」については計画案2ページで、「基本目標」については計画案43ページに記載しています。また、第4期計画に定める事業の実施状況、評価については計画案25ページから41ページにまとめていますので、ご理解いただきますようお願いします。 第2 第4期計画期間中の諸状況と計画の評価等(11件) 該当部分 1 市内のホームレスの状況-(1)ホームレス数 【市民意見】 ・ホームレスの数字を、十六区別で図式で表現してほしい。 【市の考え方】ホームレスに関する統計は、計画の策定に必要な範囲で掲載していますので、ご理解いただきますようお願いします。 該当部分 1 市内のホームレスの状況-(2)生活実態 【市民意見】 ・路上生活に至った理由について、家族関係の悪化や崩壊も原因に加えるとともに、再生にあたって安易に家族に頼らないようにする。 【市の考え方】路上生活となった理由については、計画案15ページ表1の10にまとめており、「家庭関係の悪化」も一定数みられます。 ホームレスの多くは、家族や親族とのかかわりが疎遠となっている実態がありま 2ページ す。本市としては、ホームレスの自立にあたっては、家族等との信頼の回復が重要であると考えており、計画案46ページ、52ページに記載しています。なお、家族等との信頼の回復を支援するにあたっては、個々の状況に配慮しながら進めます。 該当部分 1 市内のホームレスの状況-(2)生活実態 【市民意見】 ・自立支援センターについて、利用意向の低さという事実指摘だけではなく、原因の分析と対策を立てる必要がある。同様に福祉支援の拒否についても、原因の分析と対策を立てる必要がある。私見だが、福祉従事者には要支援者の人生を左右するという見識が低く、往々にして目線が上からになりやすいため、路上生活の方々の不信や不満を招いているのではないかと推察している。 【市の考え方】自立支援事業(自立支援センター)をはじめとするホームレス自立支援施策の利用希望者が少ない背景として、計画案20ページ、21ページに記載のとおり、「今のままでいい(路上(野宿)生活)」と考える現状肯定型のホームレスが一定数存在することが考えられます。また、ホームレス数は大きく減少していますが、路上に残っている人の中に、精神的な何らかの障害があると思われるかたが一定の割合含まれ、そうした人たちへの対応が課題となっています。 計画案61ページに記載のとおり、野宿生活期間が長期間に及んでいるホームレスに対しては、巡回相談等を通して継続的で粘り強い働きかけを行うとともに、ホームレス一人ひとりに寄り添った丁寧な支援を行うことで、信頼関係の構築を進めてまいります。また、計画案64ページに記載のとおり、福祉事務所での面接、相談に従事する職員等に対する研修の充実に努めることで、知識・技術の修得・蓄積、資質技術・能力の向上、人権感覚の育成を図ってきましたが、福祉事務所職員だけに限らず、自立支援関係施設等の職員も含めすべての職員についても、こうした取り組みに努め、人権尊重の視点に立った施策等を推進してまいります。 該当部分 1 市内のホームレスの状況 【市民意見】 ・ホームレスの減少・高齢化・長期化・このままでいいと考える人の増加傾向に対しては、きめの細かい、個別支援が必要です。 3ページ 【市の考え方】 計画案43ページに記載のとおり、ホームレスが抱えている課題や自立の方向性は、個々によって多様であることから、計画案では「就労と福祉等の援護による多様な自立」と「自立の定着」を基本目標として位置付け、弾力的で個別性の高い自立支援により、利用者個々の実態に合った達成可能な自立の定着を目指してまいります。 具体的には、多面的なアプローチによる個別的・継続的かつ効果的なアフターフォローの充実(計画案47ページ)、自立支援事業等における個々の状況に応じた多様な自立も視野に入れた支援(計画案51ページ)、各施策における個々の事情に配慮した支援(計画案59ページ)等を推進してまいります。 該当部分 2 計画に定める事業の実施状況-(2)主な取り組みの実施状況(25ページ) 【市民意見】 ・「ア 住まいの確保と定着」について、生活保護制度を活用して、一時保護所や保護施設から転宅して「住まいを確保」している(定着のためのアフターフォローもしている)ので、表の中に、「生活保護制度の利用」を入れ、一時保護所や保護施設の事業内容を説明するべきである。 (その実績は、「3 計画の評価 (1)成果」に記載されている。) 【市の考え方】生活保護の適用については、福祉事務所における「相談・援護」として整理しています。なお、一時保護事業の事業内容については、計画案62ページに、保護施設の内容については、計画案61ページに、それぞれ掲載しています。 該当部分 2 計画に定める事業の実施状況-(2)主な取り組みの実施状況(28ページ) 【市民意見】 ・「この取り組みでは、「福祉事務所における相談・援護」、「巡回相談事業」の実施など以下の事業を総合的に実施してきました。」を 「この取り組みでは、「福祉事務所における相談・援護」、「巡回相談事業」の実施及び名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンターにおける相談による相談支援を名古屋市で3か所設置しており、総合的に実施しております。」へ訂正。 ・生活困窮者自立支援制度に関する支援内容・利用者の状況を令和元年度より一覧表にして掲載してほしい。 4ページ 【市の考え方】ホームレス自立支援施策の推進にあたっては、生活困窮者自立支援制度等の関係施策と連携を図ることとしていますが、ホームレス等に対する主な支援施策である自立支援事業や生活保護の相談対応は福祉事務所でおこなっていることから、計画案28ページ、29ページのとおりの記載としています。 なお、関係施策である仕事・暮らし自立サポートセンターにおける相談については、計画案63ページに記載しています。 該当部分 3 計画の評価-(1) 成果(34ページ) 【市民意見】 ・三つ目の「まる」項目について、7割は「福祉等の援護による自立」であり、生活保護制度の役割が圧倒的に大きいのであるから、「生活保護制度」もいれるべきである。 「まる  ホームレスの自立支援においては、「一時保護事業」(平成 13 年3月事業開始) 及び「自立支援事業」(平成 14 年 11 月事業開始)が中心的な役割を担っており、第4期計画期間中、」を 「まる   ホームレスの自立支援においては、「一時保護事業」(平成 13 年3月事業開始)、「自立支援事業」(平成 14 年 11 月事業開始)及び生活保護制度が中心的な役割を担っており、第4期計画期間中ぜん2者は、」に変更する。 【市の考え方】ホームレス自立支援施策における生活保護制度の役割は大きなものであると認識しており、計画案36ページの3行目から5行目に記載しています。  なお、ご指摘の箇所は、ホームレス自立支援施策のうち、「一時保護事業」と「自立支援事業」に係る実績と評価について記載しているものであり、そのことが明確になるよう表現を一部修正します。 該当部分 3 計画の評価-(2) 現状と問題点-ウ 自立支援等の取り組みにみられる現状と問題点(37ページ) 3 計画の評価-(3) 第5期計画策定にあたっての主要課題-ウ 途中退所の防止               (41ページ) 【市民意見】 ・「居室環境への負担感を原因として指摘する意見」などに関しての課題が書かれていないので、41ページの最後の文章に続いて、「また、施設の居室環境として個室を目指すことが必要と思われます。」をいれる。 5ページ 【市の考え方】途中退所防止には、ソフト・ハード面の両面による多面的な取り組みが必要だと考えています。 居室環境を含めた施設環境や支援内容については、計画における7つの主な取り組みとは、別途、施設の老朽化等への対応の中で検討していきたいと考えており、そのことが明確になるよう計画案43ページの表現を一部修正します。 該当部分 3 計画の評価-(3)第5期計画策定にあたっての主要課題 (40ページ) 【市民意見】 ・24時間営業のインターネットカフェ、店舗、カプセルホテル「・サウナ等への聞き取り調査、アンケート調査等で1か月以上の宿泊者の確認をしてほしい。また、インターネットカフェ等の施設にチラシ、ステッカーの配布・添付をしてほしい ・巡回調査に、インターネットカフェ、漫画喫茶などを加える。 【市の考え方】ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある方については、実現可能な方法による実態把握に努めてまいりたいと考えており、計画案68ページに記載しています。また、ホームレス自立支援施策の周知については、計画案61ページに記載しているほか、計画案48ページ「第2のセーフティネット等の活用」においても支援が必要なかたへの制度周知について記載していることから、原案のとおりとします。なお、施策の周知にかかる具体的な方策については、第5期実施計画に基づく施策を推進する中で検討していきたいと考えています。 6ページ 第3 第5期計画における自立支援施策の推進 1 基本的な考え方(1件) 該当部分 1 基本的な考え方 【市民意見】 ・既存の取り組みは、広く住居をなくした・なくすおそれのある人を対象とするため、長らく社会から周縁化され一般の人から社会の一員とはみなされない中で生きて来たホームレスにとっては、ニーズに合うものでなく、敷居の高い、活用したいと思えるものではないということを肝に銘じて、抜本的に改変することが、「ホームレスの状況に合わせた対応」と言えることだと思います。路上生活のありかたをまずは認めることが必要です。柱の1~7への対案として、市内の高架下など数か所にホームレス対応の「シェルター(シンプルな仮設の個室。やがては自立支援ホームやドヤ、一般アパートにつないでいく。)」、「(子ども食堂のような)ホームレス食堂(簡素・質素だが栄養バランスがとれているものの提供)」、「シャワールーム、トイレ、洗濯機」、「ロッカー」、「生活・健康相談」、「就労相談と就労斡旋(work for food, food for work いつでも誰でも何もなくても今いる所を基点にやれる仕事から、雑業、日雇い、公共事業、一般就労に繋いでいく)などが同じ場所で展開される。」を提案します。上記の提案は、そのまま「一時保護所」じゃないかと言われそうですが、規則に縛られ、仕込まれたレールに乗らなければならない施設保護に対しては拒否感が強いのです。シェルターに代わって自立支援センターが設置されたにもかかわらず、長年不人気であるという事実に対して、真摯に当事者の声に耳を傾けるべきだと考えます。まずは、さまざまなパイロット事業の実行を望みます。上記は一例ですが、実行してほしいです。既存事業の束縛から自らを解放し、ホームレス支援・援護に多様な革新活動を試み、福祉や社会保障のあり方を刷新していくこころざしと覚悟を期待します。 【市の考え方】ホームレスの自立支援においては、「住まい」や「就労機会」の確保といった直接的に自立の基盤となる施策の実施とともに、心身の健康維持・回復や相談・援護といった自立を助長する施策、また、人権教育・啓発、民間団体等との連携や地域福 7ページ しの推進など自立を支える環境づくりも重要であり、これらの施策を総合的に推進することが不可欠であると考えています。したがって、第5期計画においても、従来計画において一定の成果を上げてきた「7つの主な取り組み」を基本目標の実現に向けた施策の柱として、ホームレスの自立支援を推進してまいります。また、計画案43ページに記載のとおり、具体的な事業や方策については、新規の取り組みとともに、既存事業の見直し、改善、再構築等を図りながら、従来計画の成果を引き継ぎつつ、さまざまな課題に的確に対応してまいりますので、ご理解いただきますようお願いします。 2 7つの主な取り組み (1)住まいの確保と定着(2件) 該当部分 2  7つの主な取り組み-(1)住まいの確保と定着(46ページ) 【市民意見】 ・一時保護所や更生施設の入所者も、住まいの確保に困っているので、適切な箇所に、以下の文章の趣旨を挿入する。 「また、一時保護所や更生施設からの転宅の場合にも、低廉な家賃等で入居可能な民間住宅の情報提供や入居に関する相談・助言を行い、必要に応じて不動産業者への同行等により住宅確保の支援を行うとともに、住まいが見つかった場合には入居手続 についても支援する」。 【市の考え方】一時保護所や更生施設等の保護施設に入所した方についても、住宅確保に向けた支援等が重要であると認識しています。計画案47ページ(エ)から(カ)は自立支援事業利用者だけでなく、一時保護所や保護施設等の入所者への情報提供等も想定しています。また、保護施設入所者に関しては、計画案60ページにおいて、居宅生活への円滑な移行のための個々の状況に応じた支援として、一時保護所入所者に関しては、計画案62ページにおいて、住宅確保等の個別支援として、それぞれ施設における必要な支援として記載しています。 該当部分 2  7つの主な取り組み-(1)住まいの確保と定着 【市民意見】 ・ハウジング・ファーストという考え方・施策もあるのであり、まず基本的には居宅確保をし、居宅生活維持のためにさまざまな支援をするという選択肢も検討するべきと考える。個室生活でない上に集団生活を強いられることに、多くの人は拒否感を持っている。このような施設収容主義ともいえる施策に固執するのがよい 8ページ のかどうか、再検討を期待したい。また「第4期評価報告書」は、「20 年が経過する中で、名古屋市内のホームレス数、ホームレスが 抱える課題、ホームレスを取り巻く社会環境は大きく変化した。第5期の実施計画では、これらの変化も踏まえて、ホームレス施策の枠組みを大きく見直す必要があるのではないか。」とし、第一に「ハウジング・ファースト・アプローチの実現」を提案している。第5期の実施計画にこの「ハウジング・ファースト・アプローチの実現」を直ちに具体化することができないとしても、学識経験者等の提言に対する名古屋市の現時点での基本的な見解を示すべきではないか。 【市の考え方】住居を失ったかたが生活保護を申請した場合、計画案60ページに記載のとおり、その方の希望や生活歴等を踏まえ、直ちに居宅生活が可能と判断された方については、住居の確保に必要な敷金等を支給しています。一方で、日常生活能力等から、直ちに居宅生活に移行することが困難と判定された方については、保護施設等を活用することで、居宅への円滑な移行が可能となるよう個々の状況に応じて支援を行っております。 ハウジング・ファーストの導入については、施設における支援の意義も踏まえ検討するべきであり、すべてのホームレスに対し、直ちにハウジング・ファーストを前提とした住居の提供を行うことは、課題が大きいことから、原案通りとします。 (2)就労機会の確保と定着(2件) 該当部分 2 7つの主な取り組み-(2)就労機会の確保と定着(51ページ) 【市民意見】 ・入所者と施設職員との関係で、決定的に重要なのは信頼関係である。原則3か月で就職を目指すというのでは、必要な信頼関係がつくられないまま、「助言・指導」をするので、集団生活がイヤになって、退所することになる。「職員は指導する立場で、入所者は指導を受ける立場という構図」を止め、両者が一緒に考える 9ページ 構図にするべきである。「信頼関係を重要視し、入所者の状況を理解し、一緒にどのような「自立」が可能かを探ります。」という趣旨にすること。 【市の考え方】途中退所を防ぐためには、信頼関係の構築が重要であると考えています。計画案52ページ「多様な支援の実施」の中で、途中退所を防ぐための取り組みとして、丁寧なアセスメントの実施による利用者ニーズの的確な把握の必要性について記載しています。なお、自立支援事業の利用期間は、生活困窮者自立支援制度上、原則3か月を超えない期間と定められていますが、計画案51ページに記載のとおり、個々の状況に応じた多様な自立も視野に入れて支援を行ってまいります。 該当部分 2 7つの主な取り組み-(2)就労機会の確保と定着 【市民意見】 ・支援事業に、心身の健康管理、金銭等の家計管理、栄養などの食事管理、ストレス管理を追加する。 【市の考え方】自立支援事業等では、宿所及び食事等の提供、各種相談・指導の実施等、さまざまな支援をとおして総合的にホームレスの自立を支援しています。自立支援事業等の具体的な支援内容については、計画案51ページから54ページまでに記載しています。 (3)心身の健康維持・回復(1件) 該当部分 2 7つの主な取り組み-(3)心身の健康維持・回復(56ページ) 【市民意見】 ・ホームレス等が入院した場合は、退院後再び路上生活に戻らないようにすることが重要であるが、その点に触れられていないので、以下の文章を加える。 「入院した場合は、退院後再び路上生活に戻ることがないように、居宅生活や保護施設での生活が送れるように支援します」という趣旨を入れる。 【市の考え方】医療機関での治療が終了した後も、再度野宿に戻ることがないよう、個々の状況等に応じ支援を行う必要があると認識しており、計画案59ページから60ページ「(ア)福祉事務所における相談・援護」の中で記載しています。 10ページ (4)相談・援護(7件) 該当部分 2 7つの主な取り組み-(4)相談・援護(57~59ページ) 【市民意見】 ・福祉事務所は、「最適と考えられる手法を選択し提案することが行政の役割」という意識が強く、「本人の意向を尊重」が形式になっており、基本は、施策を説明し「行政の役割として支援方針を進めていく」ことになっている。○「基本的な考え方」からすると、行政の役割は、相談者の状況を十分理解すること、相談者の希望に沿って行政として行えることを考えること、(そういうことをしながら)相談者に信頼されること、相談者と一緒に方向を考えること、である。こういう行政の役割・在り方に基づいて、書き方を変えるべきである。○「意向・尊重」自体が悪いのではないのだが、その意味することが現実におこなわれるように、福祉事務所の空気・やり方を変えるような方針を出して欲しい。○まずは相談者の状況を理解し、相談者の希望を踏まえながら、一緒に可能 な施策を模索し、方向を探ることがケースワークではないか?福祉事務所の姿勢を改めるような方針を出すべきである。 (市の考え方)第5期実施計画では、計画案43ページに記載のとおり、基本目標の実現に向けて、人権尊重の視点に立った支援を掲げ、ホームレス一人ひとりの意思を大切することを支援の基本理念としています。福祉事務所職員に実施計画の趣旨の周知を図るとともに、計画案59ページ「(ア)福祉事務所における相談・援護」で記載のとおり、面接、相談に従事する職員等に対する研修の充実に努め、適切な支援の方向性を決定するために必要なさまざまな知識の修得・蓄積とともに、状況の把握、心情の理解など相談の質を高めるための技術、能力向上や人権感覚の育成を図ってまいります。 該当部分 2 7つの主な取り組み-(4)相談・援護(58ページ) 【市民意見】 ・(キ)の最後の一文を以下のようにする。 「ホームレスの支援を行うにあたっては、こうした方々の的確なニーズ把握と適切な対応を図るために、実現可能な方法による実態の把握に努めることが必要です。」 11ページ 【市の考え方】ホームレスとなることを余儀なくされるおそれがある方への支援にあたっては、実現可能な方法による実態の把握に努めてまいりたいと考えており、計画案68ページ「(ウ)相談・援護の分野での連携」に記載しています。 該当部分 2  7つの主な取り組み-(4)相談・援護(60ページ) 【市民意見】 ・「(ア)福祉事務所における相談・援護」に、入院した後や退院後のことが書かれていないことは問題である。入院中や退院後のフォローは、ほとんどされていないと言える状況である(と思われる)。Ⅲの文章の後に、以下を付け加えること。  「入院の場合は、被保護者や病院関係者とのコミュニケーションを図り、退院後の居宅保 ごや保護施設の入所をはかり、路上生活に戻ることがないように支援します。」 【市の考え方】医療機関での治療が終了した後も、再度野宿に戻ることがないよう、個々の状況等に応じ支援を行う必要があると認識しており、計画案59ページから60ページ「(ア)福祉事務所における相談・援護」の中で記載しています。 該当部分 2 7つの主な取り組み-(4)相談・援護(61ページ) 【市民意見】 ・2023年1月に実施した「概数調査」で確認されたホームレス数は、78人であり、以前に比べると一人一人とさらに時間をかけて関わることができるようになった。今後は、福祉制度や施策の運用について知識と経験を有する保護援護生活相談員人員を増員し、(場合によってはそれぞれのホームレスに担当者を決めて、)かかり合いをじっくりもち、信頼関係を構築していくことにより、本音が聞けるような関係をつくることを目指して欲しい。最初の○の文章の最初に、「巡回相談事業を強化します。そのために」を付け加える。 【市の考え方】巡回相談事業については、現時点では必要な体制がとれていると認識していますが、社会情勢の変化等も踏まえ、引き続き適切な実施体制・実施方法について検討してまいります。 該当部分 2 7つの主な取り組み-(4)相談・援護(62ページ) 【市民意見】 ・一時保護事業(定員50人)での平均在所者数は20人前後である。原則2週 12ページ かんで、一回延長可能という運用である。個室ではなく、最大3畳に一人、6畳に一人なので、あまり在所者数を増やすわけにはいかないが、「住宅確保等の個別支援機能を強化する」とのことなので、以下を提案する。必要な人には「原則2週間で、一回延長可能」以上の在所を可能にすることを検討する。 【市の考え方】一時保護事業は、一時的な保護を要する方に宿所と食事の提供等を行う事業であり、長期間の利用は想定していませんが、ご指摘の内容については、ご意見として承り ます。 該当部分 2 7つの主な取り組み-(4)相談・援護(63ページ) 【市民意見】 ・「(キ)名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンターにおける相談」について、重点項目につき詳細掲載要望。記載内容を下記に変更。 平成27年度に始まった「生活困窮者自立支援制度」における相談と支援を一体的に支援する拠点として、サポートセンターを市内3か所に開設しており住居を失うおそれのある方など生活困窮者からの相談に対応しています。 まる  サポートセンターは、各種制度等の利用のサポート、家計の見直し、債務整理の支援、就労に向けたトレーニングや就労体験など個別に必要な支援を組み合わせながら、本人自らの力で自立した生活ができるようサポートしていきます。来所が困難であったり、本人による判断や行動に不安がある方には、訪問や同行支援を行います。また、適切な窓口・支援機関や団体があれば、丁寧に「つなぐ」支援をします。 まる  これまで支援につなげることが難しかった方々を早期に把握し支援につなげ ていくために、地域連携・訪問型自立相談支援員を各センターに2名配置して、地域連携の推進及び訪問相談の充実を図っています。また、各仕事・暮らし自立サポートセンターに就労支援推進員1名を配置し、認定就労訓練事業所の開拓や利用後の事業所へのフォローを行うなど、生活困窮者就労訓練事業の推進を図っています。 【市の考え方】「名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター」に関する記載等については、全体のバランスを考慮しながら、分かりやすく「仕事・暮らし自立サポートセンター」の概要をお示していますので、ご理解いただきますようお願いします。 13ページ 該当部分 2 7つの主な取り組み-(4)相談・援護           【市民意見】 ・地域移行前(ホームレス状態)からの脱却へのフローチャートの作成及び地域移行後の安定な生活ができる安心フローチャート(ホームレスに戻らないために)   アフターケア事業終了後も、一定期間は定期的に手紙を送付する等定着支援を行うとともに、再ホームレス化防止の取り組みとして、福祉事務所、地域包括支援センター、障がい者期間相談支援センター、居住支援法人等の関係機関へ、支援の引継ぎを確実に行っていく。をもって、フローチャート作成してほしい。 【市の考え方】計画案63ページに「名古屋市におけるホームレス自立支援の流れ」を追加します。 (5)人権の擁護と尊重(1件) 該当部分 2 7つの主な取り組み-(5)人権の擁護と尊重          【市民意見】 ・人権啓発において、市民向けチラシ・ポスターの配布等前向きに取り組んでほしい。また、どこで相談すればいいか、わかりやすい広報をしてほしい。 例)市広報(常時記載)、地下鉄ない及び市バス等公共交通機関内に掲示 【市の考え方】計画案63ページから64ページに記載のとおり、あらゆる差別や偏見をなくすために、市民一人ひとりが身近な人権問題に対して関心を持ち、人権尊重について理解と認識を深め、主体的に行動することができるよう、多様な機会や場を通じて、インターネットの普及や社会情勢の変化にも対応した、人権教育・人権啓発に努めてまいります。 なお、具体的な方策については、市全体の人権啓発の取り組みの中で、適宜、関係部署と連携、協議しながら検討したいと考えています。 (7)民間団体等との連携・地域福祉(1件) 該当部分 2 7つの主な取り組み-(7)民間団体等との連携・地域福祉          【市民意見】 ・民間のホームレス支援団体、事業者等が参画するホームレス関係者会議を定期的に開催。指針の進捗状況の点検や評価を行い、市民に広報してほしい。 14ページ 【市の考え方】計画案69ページにおいて、ホームレス等の自立と地域生活の維持・定着を図るため、行政をはじめ社会福祉協議会、アフターフォローの実施団体、ホームレス自立支援関係施設、NPO・ボランティア団体等の間で、定期的に情報・意見交換等を行い、連携促進を図ることとしています。また、計画案43ページ7段落目に記載のとおり、「ホームレス自立支援事業における自立率」などの実績を事業の進行管理における成果指標として設定して、事業の効果測定や課題の分析に活用してまいります。 その他(9件) 該当部分 その他(記載内容の整理等) 【市民意見】 ・「名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(案)」をみて、全体的に丁寧な几帳面の記載の印象を受けますが、羅列、重複記載が散見され、施策・事業推進にあたり、単に必要性・解決策を網羅記載した「報告書」としか感じられません。ぜひ整理・統合化を進めることにより、「見やすい・わかりやすい」・「「実行力」を念頭に計画を再作成してほしいと希求します。また、行政の施策、運用にあたり、人員体制、職員の知識、能力の平準化・高揚化を念頭に置いた計画の実施が必要とされる課題項目等の記載内容のご検討願います。 【市の考え方】第5期計画案の策定にあたっては、可能な限り第4期計画の記載から整理・統合に努めましたが、同一事業について7つの主な取り組みの分野ごとに、それぞれの視点で記載するなど、やむを得ず記載が重複している箇所がございます。また、計画という性質上、網羅的な記載になっていますが、実行力のある計画となるよう取り組んでまいりますので、ご理解いただきますようお願いします。 該当部分 その他(「ホームレス」及び「ホームレス等」の表記) 【市民意見】 ・文中における表示について、「ホームレス等」を「ホームレス及びホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者」として記載してほしい。 ・ホームレスの定義に関して、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が作られた時代と現在とのずれがあり、定義の見直しが必要です。そのずれを「ホームレス等」という表現でもって認めているものの、『ホームレス』と『ホームレ 15ページ ス等』を実施計画ではホームレス+ホームレス等=ホームレスとして対応し、結果として「定義されている路上のホームレス」の対応がおろそかになってしまっているのはおかしいです。 【市の考え方】計画案における「ホームレス等」は、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法で定義されるホームレス及びホームレスとなることを余儀なくされるおそれがある者としており、計画案冒頭の「文中における表記について」において定義づけています。 法や国の基本方針における表記との整合を図る観点から、市実施計画においても「ホームレス」、「ホームレス等」とします。 該当部分 その他(数値のグラフ化) 【市民意見】 ・分析・実態の表現をすういで表現していますが、棒グラフ等での図式表示にて一目でわかるよう表示してほしい。 【市の考え方】計画案8ページ「市内のホームレス数の推移」については棒グラフを取り入れていますが、他のデータについては、図式化しようとすると情報量を削る必要性が生じることを踏まえ、原案のとおりとします。 該当部分 その他(生活環境の確保) 【市民意見】 ・地域社会への復帰のために 保健、医療の適切な支援、衛生状態の改善を含めた医療機関への受診への支援と併せて現在、中区・中村区に常設しているシャワー設備がありますが散髪、休憩施設の開設を含めて、良質な生活環境への確保の一歩として推進してほしい。 【市の考え方】ご意見として承ります。 該当部分 その他(無料低額宿泊所の位置づけ) 【市民意見】 ・無料低額宿泊所に関して、その現状、問題点、名古屋市としての取り組み状況、課題などを記載するべきである。また、「第4期評価報告書」は、「第4章 ホームレス支援施策の推進に向けて」において「5 無料低額宿泊所の位置づけ」とし 16ページ て、「現実には自立支援事業を上回る数のホームレスが利用していること、また名古屋市は社会福祉法上も無料低額宿泊所の指導監督の主体として位置づけられ、前述の条例を制定してその責務を果たそうとしていることを踏まえれば、無料低額宿泊所がホームレスの自立支援の観点から適切に運営されているかどうか評価する必要があり、実施計画上も無料低額宿泊所を関連施策の一つとして位置づけることが望ましい。」としている。学識経験者等の提言に応えて、第5期計画に無料低額宿泊所の位置づけを記載するべきである。 【市の考え方】市実施計画は、国の基本方針に即して策定することとされており、国の基本方針では、無料低額宿泊所をホームレスに対する保護の実施方法の一つとして位置づけていますが、本市の場合には、保護施設等を基軸とした総合的な支援を進めてまいりたいと考えているため、無料低額宿泊所については記載していません。 一方で、本市として、国の基準及び本市の条例に基づき適切な運営が行われているかに関する調査(社会福祉法第70条)については、計画の位置づけにかかわらず、適正に実施してまいります。 該当部分 その他(自立の意思のないホームレスへの対応) 【市民意見】  ・特措法では自立の意思がないと支援対象外のように見えるが、意思に関わらず生命保護の支援を行うべき。そのために国の法解釈等にも要請をする必要がある。路上生活禁止条例の制定し、路上生活については明確に禁止するべき。個人の生活拠点の自由は尊重されるべきだが、他人の生活の平穏を侵害してまでは尊重されるべきではない。また、路上生活が憲法に定める健康で文化的な最低限度の生活と言えるのか疑わしい。ただ禁止するのではなく、健康の維持と増進、そして人生への再挑戦を促すことこそ憲法はじめ法の理念に叶う。 【市の考え方】計画案は、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づき策定しています。また、計画案65ページ、66ページに記載のとおり、公共的施設の適正利用や機能回復と保全に努めるとともに、計画案43ページに記載のとおり、支援にあたっては、人権尊重の視点に立ち、ホームレス一人ひとりの意思を大切にすることを基本理念としていますので、ご理解いただきますようお願いします。 17ページ 該当部分 その他(収入の確保) 【市民意見】  ・高収入はおろか、世代平均収入の確保も厳しいということを計画に明記する。 【市の考え方】ホームレス等の場合、就労したとしても年齢や資格、技能などさまざまな条件から、高収入は得られにくいことが多いと考えられますが、就労し、一定の収入を得ている方もいらっしゃることから、原案のとおりとします。 該当部分 その他(「第4期実施計画」評価報告書) 【市民意見】  ・実施計画案ではないが、「第4期実施計画」評価報告書に関して、一言。 「第4期実施計画」評価報告書の「ひょう 2の3 一時保護事業からの退所状況」表(33ページ)中の「生活保護」の「簡宿等保護」というのは、誤解を招くので、変えるべきである。 【市の考え方】ご意見として承ります。 18ページ 白紙 裏表紙 「第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(案)」に対する市民意見の内容及び市の考え方 令和6年3月発行 発行・編集 名古屋市ホームレス援護施策推進本部事務局 (名古屋市健康福祉局生活福祉部保護課) 〒460-8508 名古屋市中区三の丸三丁目1番1号 でんわ:052-972-2555 ファクシミリ:052-972-4148 音声コード JAVIS Appli.(特定非営利活動法人日本視覚障がい情報普及支援協会)