表紙 第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画 名古屋市 各ページにある四角のコードは、「音声コード」といい、専用の読み取り機や音声コードに対応したアプリケーションをインストールしたスマートフォンにより、音声でこの冊子の内容を確認することができます。 表紙裏 白紙 文中における表記について ○ホームレス 都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設をゆえなく起居の場とし、日常生活を営んでいる者(ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法第2条) ○ホームレス等 ホームレス(同法第2条)及びホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者(同法第3条第1項第2号) ※ ホームレス又はホームレス等は人を指す表現として用いており、本文中では重複を避ける意味からそれらの言葉に、人、かたといった表記をしておりませんのでご理解願います。 目次 第1 計画策定にあたって 1 策定の趣旨 …1ページ 2 計画期間 …5ページ 3 計画策定体制 …5ページ 第2  第4期計画期間中の諸状況と計画の評価等 1 市内のホームレスの状況 …7ページ (1) ホームレス数 …7ページ (2) 生活実態 …8ページ 2 計画に定める事業の実施状況 …25ページ (1) 基本的な考え方 …25ページ (2) 主な取り組みの実施状況 …25ページ 3 計画の評価 …34ページ (1) 成果 …34ページ (2) 現状と問題点 …36ページ (3) 第5期計画策定にあたっての主要課題 …40ページ 第3  第5期計画における自立支援施策の推進 1 基本的な考え方 …42ページ 2 7つの主な取り組み …44ページ (1) 住まいの確保と定着 …44ページ (2) 就労機会の確保と定着 …48ページ (3) 心身の健康維持・回復 …54ページ (4) 相談・援護 …57ページ (5) 人権の擁護と尊重 …63ページ (6) 地域における生活環境の維持・改善 …65ページ (7) 民間団体等との連携・地域福祉 …67ページ 1ページ 第1 計画策定にあたって 1 策定の趣旨 (1)実施計画の策定に至るまでの経緯とその評価 ○ 失業や倒産等様々な理由により仕事や住む家を失い、やむなく公園等を起居の場所としているホームレスは、一時期に比べてかなり減少したものの、都市部を中心に現在も少なくありません。 ○ ホームレスは、い・しょく・じゅうの各場面において厳しい環境での生活を強いられているだけではなく、野宿生活の長期化・高齢化により、多くのかたが健康面での不安を抱えるなど、憲法で保障される健康で文化的な最低限度の生活を送ることが困難な状況にあります。 また、これらのかたが起居する都市公園等では、利用を巡って地域社会との間であつれきが生じる場合もあります。 ○ 平成14年8月、ホームレスに関する問題の解決を図るため、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(以下法という。)が施行されました。 法では、ホームレスの自立支援等に関する施策の目標や国・地方公共団体の責務等が明示され、地方公共団体については、必要に応じた実施計画の策定と実情に応じた施策の実施が規定されました。 ○ その上で、国においては、法に基づいて実施したホームレスの実態に関する全国調査(平成15年1月実施)の結果を踏まえ、ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(以下第1期基本方針という。)を策定し、地方公共団体が実施計画に登載すべき内容を明らかにしました。 ○ 本市では、既に平成13年8月、急増する市内のホームレスに関する問題の解決に向け、市長を本部長とする名古屋市ホームレス援護施策推進本部を設置して、施策の実施に取り組んでいましたが、法の施行及び第1期基本方針の策定を受け、平成16年7月には名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(以下第1期計画という。)を策定し、それまで市独自に実施してきた各種施策を、基本方針の目的である自立の支援等に向けた施策とし 2ページ て明確に位置付けました。  ※第1期計画期間:平成16年度から平成20年度まで ○ 第1期計画では「就労による自立」と「福祉等の援護による自立」の2つを計画目標として掲げ、実現に向けた具体的な方策として「住まいの確保」や「雇用の確保」など「7つの主な取り組み」を定めました。そして、自立に向けた各段階に応じて、様々な施策と事業を、国、県、経済団体等と連携を図りながら総合的に推進することとしました。 ○ 続く「第2期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」(以下「第2期計画」という。)では、第1期計画で定めた2つの計画目標を継承し、目標達成のための「7つの主な取り組み」を継続するとともに、ホームレス個々の状態等に基づき、本人の意向を十分尊重しながら、支援の方向性を柔軟に決定することを基本とし、自立者を再度野宿に戻さない取り組みの強化を図ることとしました。 ※第2期計画期間:平成21年度から平成25年度まで ○ また、「第3期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」(以下「第3期計画」という。)では、第1期計画・第2期計画における考え方をさらに進め、「就労と福祉等の援護による多様な自立」と「自立の定着」を基本目標として位置付け、弾力的で個別性の高い自立支援により、利用者個々の実態に合った達成可能な自立を目指すこととしました。 ※第3期計画期間:平成26年度から平成30年度まで ○ さらに、「第4期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」(以下「第4期計画」という。)では、第3期計画を継承した上で、生活困窮者自立支援制度(平成27年度施行)における関係施策との連携やホームレスの状況にあわせた対応として、居宅生活の継続を支援するためのアフターフォロー事業等を推進することとしました。  ※第4期計画期間:令和元年度から令和5年度まで ○ こうした中、本市では、第4期計画の期間満了を控えた令和4年度に、学識経験者等による施策評価を行い、その結果を「第4期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画評価報告書」(令和5年3月発行 以下「第4期評価報告書」という。)として取りまとめています。   3ページ (2)次期計画の策定の必要性について ○ 市内のホームレス数は、平成15年以来、減少を続けていましたが、第2期計画策定直前には、リーマン・ショックを契機に、仕事と住まいを失い終夜営業店舗や知人宅等を転々とする方々から福祉事務所への相談が急増し、これらのかたは、ホームレス自立支援施策にも多数利用者として含まれるようになりました。 ○ 国においては、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのあるかたを含む、生活保護に至っていない生活困窮者に対する第2のセーフティネットを全国的に拡充し、包括的な支援体系を創設するため、自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給その他の支援を行うための所要の措置を講じることを定めた生活困窮者自立支援法が平成27年4月に施行されました。 ○ また、平成29年度に、国は、法に関して内容の変更は行わず、令和9年8月までの10年間の延長措置を図りました。 ○ 令和3年11月に実施した第5回ホームレスの実態に関する全国調査(以下令和3年生活実態調査という。)の分析結果に基づき、第5期のホームレスの自立の支援等に関する基本方針(以下第5期基本方針という。)が策定されました。 ○ 法では、実施計画は必要がある場合に定めるとされていますが、本市の場合、一時期に比べてかなり減少したとはいえ、市内には今もなお78人(令和5年1月現在)のホームレスが路上生活を送っており、その数は全国の指定都市(東京都区部を含む)で多い順で7番目となっています。 ○ また、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのあるかたを含めた、福祉事務所を訪れる住居のないかたの相談実世帯数は、第4期計画期間中においても、ホームレス数の10倍以上で推移しています。 ○ 本市では、このような現状を踏まえ、第5期基本方針に則った新たな実施計画(以下第5期計画という。)を策定し、ホームレス及びホームレスとなることを余儀なくされるおそれのあるかたの自立を総合的に支援する必要があると考えています。   4ページ (3)第5期計画の策定にあたって ○ 国の基本方針においては、実施計画の策定にあたり、ホームレスの実態に関する全国調査における当地域のデータ等によりホームレス数や生活実態の把握を行うとともに、関係者の意見を聴取することなどにより実施計画の評価を行い、その結果を参考にすることとされています。 ○ 本市では、令和3年生活実態調査に基づいてホームレスの実態及び特徴的な傾向を把握するとともに、令和4年9月と11月に、市の独自調査としてホームレス自立支援関係施設の職員や利用者等に対してアンケート及びヒアリング調査を行い、その結果等を踏まえ前述の第4期評価報告書をとりまとめました。 ○ 第4期評価報告書では、第4期計画に定めた施策が果たした役割について、全体として一定の評価が与えられていることから、第5期計画においても第4期計画の基本的枠組みは継承していく必要があると考えています。 ○ 第5期計画は、国の第5期基本方針等の趣旨を踏まえ、第4期評価報告書において明らかとなった課題にも的確に対応しつつ策定しました。 5ページ 2 計画期間 第5期計画の計画期間は、くにの第5期基本方針に即して令和6年度から令和10年度までの5年間とします。(同基本方針に基づき、当該期間中に法が失効した場合は、法の失効する日までとなる可能性があります。) 「計画策定の流れと策定時期」 平成15年7月 くにの基本方針、平成16年3月 県実施計画、平成16年4月~平成21年3月 市第1期計画、施策の実施と点検評価、平成20年7月 くにの第2期基本方針、平成21年3月 県第2期計画、平成21年4月~平成26年3月 市第2期計画、施策の実施と点検評価、平成25年7月 くにの第3期基本方針、平成26年3月 県第3期計画、平成26年~平成31年3月 市第3期計画、施策の実施と点検評価、平成30年7月 くにの第4期基本方針、平成31年3月 県第4期計画、平成31年4月~令和6年3月 市第4期計画、施策の実施と点検評価、令和5年7月 くにの第5期基本方針、令和6年3月 県第5期計画、令和6年4月~令和11年3月 市第5期計画  3 計画策定体制 ○ ホームレスの自立支援においては、「住まい」や「就労機会」の確保といった直接的に自立の基盤となる施策の実施とともに、心身の健康維持・回復や相談・援護といった自立を助長する施策、また、人権教育・啓発、民間団体等との連携や地域福祉の推進など自立を支える環境づくりも重要であり、これらの施策を総合的に推進することが不可欠です。 ○ そのため、第4期計画に引き続き、本市のホームレス施策の総合的企画を行う「名古屋市ホームレス援護施策推進本部」のもとに、関係局及び区の係長級職員で構成するワーキングチーム(以下「WT」という。)を設置し、素案の策定に向けた作業を行った上で、幹事会、本部会議を経て計画の策定を進めました。 ○ また、自立支援関係施設の運営法人やホームレス等の自立支援に取り組むNPO団体、くに及び県の関係機関等へのヒアリングを行い、意見の反映に努めました。 6ページ ○ さらに、第4期計画の評価に携わった学識経験者等5名からなる「アドバイザー懇談会」から、指導・助言を得て策定検討を進めました。 ○ 計画の策定にあたっては、令和6年1月11日~2月9日の期間でパブリックコメントを実施し、市民の皆さまからの様々な意見の反映に努めました。   7ページ 第2第4期計画期間中の諸状況と計画の評価等 1市内のホームレスの状況 ○国は基本方針の見直しの資料を得るためホームレスの実態に関する全国調査を実施しています。ホームレス数を把握するための概数調査と生活状況等を把握するための生活実態調査の2つで構成されています。 ○概数調査は都市公園、道路、河川等に起居しているホームレスの数を管理者が目視調査し繁華街等で起居しているホームレスの数については、深夜帯に市職員が巡回により目視調査するもので年1回定期的に実施しています。 生活実態調査は都市公園、道路、河川等に起居しているホームレスや炊き出し会場を訪れるホームレスを対象に調査員による聞き取り式のアンケート調査を概ね5年ごとに実施しています。5回目の令和3年11月の調査では48人令和3年1月概数調査で確認されたホームレスの約49%相当から回答を得ています。今回の調査では新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から炊き出し会場での調査以下炊き出し調査という。は実施せず都市公園、道路、河川等に起居しているホームレスを対象とした調査以下巡回調査という。のみ実施しました。 ○調査は都道府県に委託され市町村単位で実施しましたが本市では調査データを独自に集計し、過去の調査結果や全国調査結果との比較・分析を行いました。特徴的な事項として以下のような実態が明らかになりました。 1ホームレス数 令和5年1月概数調査より ○令和5年1月に実施した概数調査では市内に78人のホームレスが確認されています。平成15年1月全国調査では市内で1,788人が確認され20年間で1,710人減少しました ○全国的に見ても一部には増加を示した自治体があったものの、全体では15年間で25,296人から3,065人へ22,231人の減少となっており顕著な傾向が現れています。本市の減少率95.6%は令和5年1月現在、確認されているホームレス数が多い上位7都市大阪市、東京都23区、横浜市、福岡市、川崎市、仙台市、名古屋市の中で比較すると、最も大きな値となっています。 8ページ 市内のホームレス数の推移 平成15年1788人、16年1418人、17年1036人、18年804人、19年741人、20年608人、21年641人、22年502人、23年446人、24年347人、25年305人、26年264人、27年273人、28年211人、29年182人、30年167人、31年120人、れいわ2年116人、3年98人、4年84人、5年78人 注:平成16年の調査では国、県等の管理する場所の調査は行っていません。 ○ 起居先別に見たホームレスの数では、公園が最も多く31人(39.7%)で、以下、河川が19人(24.4%)、道路11人(14.1%)、その他(繁華街等)17人(21.8%)となっており、この20年間で特に減少が著しかったのは「公園」でした。 表1の1 市内のホームレス数(起居先別) 公園 平成15年1月 1185人、19年1月 283人、26年1月 86人、30年1月 64人、令和5年1月 31人  河川 平成15年1月 205人、19年1月 230人、26年1月 67人、30年1月 17人、令和5年1月 19人  道路 平成15年1月 258人、19年1月 91人、26年1月 31人、30年1月 16人、令和5年1月 11人  駅舎 平成15年1月 15人、19年1月 0人、26年1月 0人、30年1月 0人、令和5年1月 0人  その他 平成15年1月 125人、19年1月 137人、26年1月 80人、30年1月 70人、令和5年1月 17人 (2)生活実態(令和3年11月生活実態調査より) ア 年齢 ○ 平均年齢は65.1歳で前回より3.4歳上昇しました。(平成15年調査:56.5歳、平成19年調査:58.8歳、平成24年調査:58.8歳、平成28年調査:61.7歳) 9ページ ○ 60歳代が45.8%、70歳以上が33.3%であり、合わせて全体の約8割を占めていました。 表1の2 年齢構成(若年層(39歳まで)、中年層(40歳から59歳)、高年層(60歳以上)) ・平成15年:若年層2.9%、中年層59%、高年層38%、平均年齢56.5歳 ・平成19年:若年層1.4%、中年層52.1%、高年層46.5%、平均年齢58.8歳 ・平成24年:若年層2.7%、中年層40.5%、高年層56.8%、平均年齢58.8歳 ・平成28年:若年層2.8%、中年層32.4%、高年層64.8%、平均年齢61.7歳 ・令和3年:若年層0%、中年層20.8%、高年層79.2%、平均年齢65.1歳 イ 路上での生活について (ア)寝場所の状況 ○ 今回の調査では、野宿場所が「決まっている」かたは91.7%でした。 ○ どのようにして寝場所を作るかについては、「廃材やダンボール、ブルーシートによるテント又は小屋を常設」する割合は前回調査より増加しました。(平成15年調査:71.3%、平成19年調査:48.4%、平成24年調査:35.7%、平成28年調査:37.5%、令和3年調査:47.9%) ○ 一方で、令和3年調査では、「敷物(寝袋・毛布等)を敷いて寝ている」の39.6%、「ダンボール等を利用して寝場所を毎晩つくっている」の6.3%、「寝場所はつくらない」の4.2%と合わせ全体の約5割がいわゆる「非定住型」の形態で路上(野宿)生活を送っている実態があります。平成15年1月調査の時点では、テントや小屋を常設する「定住型」ホームレスが71.3%であったのと比べると、非定住型の割合 10ページ ○ なお、前回調査では「非定住型」に係る回答の7割が炊き出し調査によるものであり、今回調査において、炊き出し調査を実施しなかったことが、テント又は小屋を常設しているかたの割合の増加等、調査結果に一定の影響を及ぼしていると考えられます。 表1の3 寝場所の形態 廃材やダンボール、ブルーシートによるテント又は小屋を常設:平成15年71.3%、19年48.4%、24年35.7%、28年37.5%、令和3年47.9% ダンボール等を利用して寝場所を毎晩つくっている:平成15年8.9%、19年16.3%、24年21.4%、28年18.1%、令和3年6.3% 簡単に敷物(寝袋・毛布等)を敷いて寝ている:平成15年17.8%、19年24%、24年38.4%、28年36.1%、令和3年39.6% 寝場所はつくらない 平成15年1.5%、19年7.7%、24年4.5%、28年4.2%、令和3年4.2% その他:平成15年0.5%、19年3.6%、24年0%、28年4.2%、令和3年2.1% (イ)野宿期間  今回の路上(野宿)生活をするようになってからの期間については、1年未満の割合が2.1%であるのに対し、5年以上の割合は72.9%に上ります。そのうち、路上(野宿)生活期間が10年以上の割合は43.8%と長期間化している傾向があり、全国的にも同様の傾向がみられます。 表1の4 今回の路上(野宿)生活をするようになってからの期間 1ヶ月未満:平成15年2.9%、19年5.1%、24年0.9%、28年1.4%、令和3年0% 1ヶ月~1年未満:平成15年22.5%、19年16.8%、24年16.4%、28年11.1%、令和3年2.1% 1~3年未満:平成15年32.8%、19年20.1%、24年26.4%、28年12.5%、令和3年12.5% 3~5年未満:平成15年14.7%、19年14%、24年14.5%、28年11.1%、令和3年12.5% 5~10年未満:平成15年16.7%、19年25.2%、24年23.6%、28年22.2%、令和3年29.2% 10年以上:平成15年10.3%、19年18.7%、24年18.2%、28年41.7%、令和3年43.8%、 11ページ (ウ)収入の状況 ○ 「収入のある仕事をしている」かたの割合は77.1%で、前回調査と比較して増加していますが、全国的には減少しており、今回調査において「定住型」が多い巡回調査のみ実施した影響を考慮する必要があると考えられます(全国平均:「収入のある仕事をしている人」48.9 %、前回調査55.6%)。また、仕事内容についてはアルミ缶や段ボールなどの「廃品回収」が圧倒的に多く91.9%に達し、全国平均(66.4%)でも、最も多くなっています。 表1の5 現在、収入のある仕事をしているか している:平成15年77.1%、19年77.4%、24年61.6%、28年63.9%、3年77.1% していない:平成15年22.9%、19年22.6%、24年38.4%、28年36.1%、3年22.9% 表1の5の2 どのような仕事をしているか(複数回答)※「収入のある仕事をしている」ひと対象 建設日雇:平成15年12.7%、19年17.5%、24年10.3%、28年4.3%、令和3年5.4% 廃品回収:平成15年83.5%、19年77.8%、24年83.8%、28年78.3%、令和3年91.9% 運輸日雇:平成15年6.3%、19年4.1%、24年7.4%、28年8.7%、令和3年5.4% その他雑業:平成15年1.9%、19年1.8%、24年4.4%、28年8.7%、令和3年0% その他:平成15年10.8%、19年12.3%、24年7.4%、28年10.9%、令和3年2.7% ○ 月収の最多階層は「5~10万円未満」で41.7%、次いで「3~5万円未満」の27.8%、「1~3万円未満」の22.2%、「10万円以上」の5.6%、「1万円未満」の2.8%という結果になりました。前回調査においては「1~3万円未満」が36.4%で最も多く、次いで「3~5万円未満」のかたの割合が31.8%であり、比較的収入の多いかたが増えています。 (エ)野宿生活での困りごと 路上(野宿)生活で困ることを複数回答で求めたところ、「入浴、洗濯等ができなくて、清潔に保つことができず困っている」(19.0%)が最も多く、次いで「立ち退くよう言われて困っている」(16.7%)、「食べ物がないので困ってい 12ページ る」(14.3%)、「ホームレス以外の人にいやがらせを受けて困っている」(14.3%)の順でした。 表1の6 路上(野宿)生活で困っていること(複数回答) 食べ物がないので困っている:平成15年21%、19年40%、24年48.8%、28年15.3%、令和3年14.3% 寝る場所を探すのに苦労している:平成15年10.7%、19年25.1%、24年16.3%、28年5.6%、令和3年7.1% 雨や寒さをしのげず困っている:平成15年17.8%、19年42.9%、24年53.8%、28年26.4%、令和3年11.9% 入浴、洗濯等ができなくて、清潔に保つことができず困っている:平成15年26.3%、19年38.9%、24年42.5%、28年26.4%、令和3年19% ホームレス同士のいざこざで困っている:平成15年0%、19年12.6%、24年15%、28年1.4%、令和3年2.4% ホームレス以外の人にいやがらせを受けて困っている:平成15年0%、19年0%、24年21.3%、28年12.5%、令和3年14.3% 立ち退くよう言われて困っている:平成15年0%、19年0%、24年5%、28年5.6%、令和3年16.7% その他:平成15年24.3%、19年58.3%、24年21.3%、28年19.4%、令和3年45.2% ウ 路上(野宿)生活までのいきさつ (ア)野宿直前職と最長職 令和3年調査においては、初めて野宿生活をする前にしていた仕事(野宿直前職)と、これまで一番長くしていた仕事(最長職)について、全体的な傾向はどちらも大きくは変わらず、最も多いのが「建設・採掘従事者」(野宿直前職:39.6%、最長職:37.5%)であり、次いで「運搬・清掃・包装等従事者」(野宿直前職:18.8%、最長職:10.4%)、「生産工程従事者」(野宿直前職:8.3%、最長職:14.6%)でした。 野宿直前職と最長職の従業上の地位については、最長職時には「正社員」として働いていた人が54.2%であったのが、野宿直前職では46.8%に低下しています。   13ページ 一方で、「臨時・パート・アルバイト」は16.7%から21.3%に、「日雇」は14.6%から19.1%に増加しており、最長職時から野宿直前職にかけて雇用形態の不安定化の傾向が見られます。 最長職時と野宿直前職に住んでいた住宅については、「持家」、「民間賃貸住宅」、「公営住宅」を合わせた比較的安定した住居に住んでいた割合は、最長職時54.2%、野宿直前職時60.4%であり、「勤め先の社宅や寮」、「親族・知人宅」、「住込み先」、「はんば・作業員宿舎」、「簡易宿泊所(ドヤ)」、「ビジネスホテル・カプセルホテル・サウナ等」、「その他」を合わせた比較的不安定な住居に住んでいる割合は、最長職時45.8%、野宿直前職時39.6%となっています。 表1の7 野宿直前職と最長職(職種) 管理的職業従事者:直前職0%、最長職0% 専門的・技術的職業従事者:直前職0%、最長職0% 事務従事者:直前職2.1%、最長職2.1% 販売従事者:直前職8.3%、最長職10.4% サービス職業従事者:直前職6.3%、最長職8.3% 保安職業従事者:直前職4.2%、最長職6.3% 農林漁業従事者:直前職2.1%、最長職2.1% 生産工程従事者:直前職8.3%、最長職14.6% 輸送、機械運転従事者:直前職4.2%、最長職4.2% 建設・採掘従事者:直前職39.6%、最長職37.5% 運搬・清掃・包装等従事者:直前職18.8%、最長職10.4% その他:直前職4.2%、最長職4.2% 職業なし:直前職2.1%、最長職0% 14ページ 表1の8 のじゅく直前職と最長職(従業上の地位)  経営者・会社役員:直前職0%、最長職2.1% 自営・家族従業者:直前職10.6%、最長職10.4% 常勤職員・従業者(正社員):直前職46.8%、最長職54.2% 臨時・パート・アルバイト:直前職21.3%、最長職16.7% 日雇:直前職19.1%、最長職14.6% その他:直前職2.1%、最長職2.1% 表1の9 のじゅく直前職と最長職(住居) 持家:直前職4.2%、最長職4.2% 民間賃貸住宅:直前職54.2%、最長職47.9% 公営住宅:直前職2.1%、最長職2.1% 勤め先の社宅や寮:直前職27.1%、最長職31.3% 親族・知人宅:直前職0%、最長職2.1% 住込み先:直前職4.2%、最長職4.2% はんば・作業員宿舎:直前職2.1%、最長職2.1% 簡易宿泊所(ドヤ):直前職2.1%、最長職0% ビジネスホテル・カプセルホテル・サウナ:直前職0%、最長職0% その他:直前職4.2%、最長職6.3% 15ページ (イ)野宿生活に至った理由  路上(野宿)生活となった理由としては、「仕事が減った」(33.3%)が最も多く、次いで「倒産や失業」(20.8%)、「アパート等の家賃が払えなくなった」(12.5%)、「人間関係がうまくいかなくて、仕事を辞めた」(12.5%)という結果でした。  また、各理由について、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響によるものかを尋ねたところ、いずれの理由についても新型コロナウイルスの感染拡大の影響によるものではないとの回答がありましたが、今回調査において、炊き出し調査を実施しなかったことに留意する必要があります。 表1の10 今回の路上(野宿)生活となった理由(複数回答) 倒産や失業:平成15年31%、19年27.8%、24年30.5%、28年20.8%、令和3年20.8% 仕事が減った:平成15年29.4%、19年18.7%、24年21%、28年22.2%、令和3年33.3% 病気・けがや高齢で仕事ができなくなった:平成15年22.3%、19年23%、24年18.1%、28年13.9%、令和3年2.1% 労働環境が劣悪なため、仕事を辞めた:平成15年0%、19年2.9%、24年7.6%、28年6.9%、令和3年8.3% 人間関係がうまくいかなくて、仕事を辞めた:平成15年0%、19年18.7%、24年14.3%、28年15.3%、令和3年12.5% 上記以外の理由で収入が減った:平成15年15.2%、19年1%、24年5.7%、28年2.8%、令和3年0% 借金取立により家を出た:平成15年4.6%、19年5.3%、24年1.9%、28年2.8%、令和3年4.2% アパート等の家賃が払えなくなった:平成15年18.8%、19年8.1%、24年18.1%、28年16.7%、令和3年12.5% 契約期間満了で宿舎を出た:平成15年0%、19年1.9%、24年0%、28年0%、令和3年0% ホテル代、ドヤ代が払えなくなった:平成15年6.6%、19年4.8%、24年12.4%、28年4.2%、令和3年2.1% 差し押さえによって立ち退きさせられた:平成15年1%、19年0%、24年0%、28年0%、令和3年0% 病院や施設等から出た後行先がなかった:平成15年3%、19年1%、24年7.6%、28年0%、令和3年0% 家族との離別・死別:平成15年0%、19年0%、24年0%、28年0%、令和3年2.1% 家庭関係の悪化:平成15年11.7%、19年8.1%、24年8.6%、28年6.9%、令和3年4.2% 飲酒、ギャンブル:平成15年6.1%、19年9.6%、24年6.7%、28年1.4%、令和3年2.1% その他:平成15年17.3%、19年21.5%、24年11.4%、28年11.1%、令和3年16.7%   16ページ (ウ)名古屋市内で野宿するまでの経緯  「現在の路上(野宿)生活場所にくる前に、別の場所で路上(野宿)生活をしていたことがありますか」との質問への回答としては、他地域での野宿生活経験「あり」という回答が47.9%、「なし」という回答が52.1%とおよそ半数ずつでした。「あり」という回答のうち具体的な野宿場所は、ほとんどが「名古屋市内」(69.6%)でした。 名古屋市に来た理由としては、「以前住んでいたり、仕事先があったりで、なじみがある」(37.5%)という回答が最も多く、次いで「収入を得られるような仕事がある」(16.7%)、「ホームレスが多いと聞いた」(10.4%)という結果でした。 また、「これまでに東京・山谷、横浜・寿町、大阪・釜ヶ崎、名古屋・笹島等で、仕事をしたり探したことがありますか」との質問には、「なし」という回答が75.0%であり、「あり」という回答のうち笹島が18.8%と多く、他地域の寄せ場での就労経験があるという割合は少ないという結果でした。 エ 健康状態 (ア)健康状態及び自覚症状  現在の健康状態については、「たいへんよい」(12.5%)、「よい」(50.0%)、「あまりよくない」(35.4%)、「よくない」(2.1%)という状況でした。このうち、健康状態が「あまりよくない」、「よくない」と回答したかたがどのような対処行動をとっているかについては、「通院」が33.3%、「何もしていない」が38.9%でした。  また、路上(野宿)生活をしている間に経験した症状(複数回答)については、多い順に「腰痛」(20.8%)、「歯が悪い」(18.8%)、「体の節々が痛む」(14.6%)、「よく眠れない日が続いた」(12.5%)、「めまい」(8.3%)などとなりました。 17ページ 表1の11 路上生活での心身の症状(複数回答) めまい:平成15年26.8%、19年15.4%、24年23.6%、28年19.4%、令和3年8.3% しびれ・麻痺:平成15年22.4%、19年19.2%、24年19.1%、28年18.1%、令和3年6.3% 咳が続く:平成15年16.6%、19年11.2%、24年17.3%、28年15.3%、令和3年4.2% 微熱がつづく:平成15年4.9%、19年2.8%、24年5.5%、28年8.3%、令和3年4.2% ひどい下痢が続いた:平成15年10.2%、19年9.3%、24年11.8%、28年8.3%、令和3年0% 皮膚のかゆみや発疹:平成15年13.7%、19年10.7%、24年26.4%、28年8.3%、令和3年4.2% 目やにが出る・目がかすむ:平成15年18.5%、19年11.2%、24年20.9%、28年15.3%、令和3年6.3% 急激にやせた:平成15年10.7%、19年3.7%、24年11.8%、28年11.1%、令和3年0% ひどくだるい:平成15年8.3%、19年8.4%、24年13.6%、28年11.1%、令和3年6.3% 耳鳴りがひどい:平成15年9.3%、19年6.1%、24年11.8%、28年9.7%、令和3年4.2% 吐き気・嘔吐:平成15年12.7%、19年9.3%、24年11.8%、28年11.1%、令和3年2.1% むくみ:平成15年8.3%、19年4.7%、24年10.9%、28年4.2%、令和3年4.2% 頭痛:平成15年15.6%、19年7%、24年9.1%、28年5.6%、令和3年6.3% 腰痛:平成15年25.9%、19年23.8%、24年31.8%、28年18.1%、令和3年20.8% 歯が悪い:平成15年0%、19年22%、24年38.2%、28年27.8%、令和3年18.8% 体の節々が痛む:平成15年0%、19年15%、24年22.7%、28年8.3%、令和3年14.6% よく眠れない日が続いた:平成15年23.9%、19年15.9%、24年28.2%、28年11.1%、令和3年12.5% 2週間以上毎日のように落ち込んでいた時期があった:平成15年0%、19年8.4%、24年10%、28年5.6%、令和3年2.1% 自覚症状なし:平成15年20.5%、19年32.2%、24年20.9%、28年22.2%、令和3年35.4% (イ)病気と入院   「路上生活をしてから、次のような病気であると診断されたことがありますか」「路上生活をする前から、次のような病気であると診断されたことがありますか」との質問に対し、「病気はない」という回答の割合は、野宿生活前は47.9%であったのに対し、野宿生活後は29.2%に減少しています。診断された病名として多かったものは、「高血圧」(野宿生活後18.8%、野宿生活前12.5%)、「ヘルニア」(野宿生活後8.3%、野宿生活前10.4%)でした。   なお、「路上生活をしてから、入院したことはありますか」との質問については、「ある」という回答が25.0%、「ない」という回答が75.0%でした。 18ページ (ウ)障害者手帳 障害者手帳を持っているかどうか尋ねた質問に対しては、「持っていない」という回答の割合が95.8%と圧倒的に高く、「今持っている」が4.2%でした。 オ 福祉制度 (ア)巡回相談員 巡回相談員に「会ったことがあり、相談した」という回答は45.8%であり、「会ったことはあるが、相談したことはない」という回答は47.9%、「会ったことはない」という回答が6.3%でした。 「会ったことがあり、相談した」という回答の相談内容については、「健康に関する相談」が最も多く90.9%、次いで「仕事に関する相談」、「住まいに関する相談」がそれぞれ9.1%と続きました。(複数回答) また、巡回相談員と会ったことがあるかたの接触頻度についての質問では、「つき1回程度」が最も多く86.7%で、それより接触頻度が高い回答区分については、「つき2~3回程度」が11.1%、接触頻度が低い回答区分については、「半年に2~3回」が2.2%といった結果でした。 表1の12 巡回相談員に会った経験 会ったことがあり、相談した:平成19年27.7%、24年13.5%、28年48.6%、令和3年45.8% 会ったことはあるが、相談したことはない:平成19年34.7%、24年52.3%、28年38.9%、令和3年47.9% 会ったことはない:平成19年37.6%、24年34.2%、28年12.5%、令和3年6.3% (イ)自立支援センター  自立支援センターの認知度は56.3%で前回調査時(73.6%)と比べ低くなっています。また、「知っているが、利用したことはない」(52.1%)と回答したかたのうち、今後自立支援センターを利用したいと「思わない」と回答したかたの割合は96.0%に達し、前回調査(93.5%)と同様に、路上(野宿)生活をしているかたの自立支援センターの利用意向は低い状況にあります。 19ページ 表1の13 自立支援センターの認知度 知っており、利用したことがある:平成19年9%、24年9.9%、28年9.7%、令和3年4.2% 知っているが、 利用したことはない:平成19年61.8%、24年66.7%、28年63.9%、令和3年52.1% 知らない:平成19年29.2%、24年23.4%、28年26.4%、令和3年43.8% 表1の13の2 今後自立支援センターを利用したいと思うか ※「知っているが、利用したことはない」の回答者 思う:平成19年14%、24年6.8%、28年6.5%、令和3年4% 思わない:平成19年86%、24年93.2%、28年93.5%、令和3年96% (ウ)福祉事務所と生活保護  「これまで福祉事務所等の公的機関に相談に行ったことがありますか」との質問に対する回答については、相談に行ったことがある人は60.4%、ない人は39.6%であり、相談に行ったことがある人の相談内容としては、「病気」が51.7%、「生活保護」、「住む場所」がそれぞれ17.2%でした。 また、生活保護を受けたことがあるかたの割合は52.1%で前回調査(43.1%)から増加しました。その内容としては、単身で居宅保護を受けたことがある人が16.0%、施設入所が8.0%、入院が32.0%というものであり、施設や居宅での保護の受給歴のあるかたや入院時に保護を受給していたかたが、福祉的支援から離れ、再び路上生活に戻ってしまっている状況が確認されます。 なお、生活保護を利用したことがないと答えた人にその理由を尋ねたところ、今回の調査では「生活保護制度を知らない」との回答は1件もなく、「生活保護制度を利用したくない」が52.6%、「生活保護制度は知っているが、自分は利用できないと思っている」が10.5%という回答が多くありました。   20ページ 表1の14 生活保護制度の利用経験 ある:平成15年23.4%、19年23.9%、24年26.9%、28年43.1%、令和3年52.1% 相談に行ったが利用したことはない:平成15年8.3%、19年1.9%、24年4.6%、28年1.4%、令和3年4.2% 相談に行ったが断られた:平成15年0%、19年5.2%、24年2.8%、28年0%、令和3年0% 相談に行き他の制度を勧められた:平成15年0%、19年0%、24年0%、28年0%、令和3年4.2% ない:平成15年68.3%、19年69%、24年65.7%、28年55.6%、令和3年39.6% (エ)その他の支援サービス 前述以外のホームレスに対する公的支援の利用経験について尋ねたところ、「ある」と答えた人が45.8%、「ない」と答えた人が54.2%でした。 また、民間団体の支援については、「炊きだし」を利用したことがある人が31.9%に上ったほか、「衣類・日用品・寝袋等提供」(40.4%)、「巡回・見回り」(51.1%)を利用したことがあるという回答が多くありました。 カ 今後の生活について (ア)希望する生活形態 今後希望する生活については、「今のままでいい(路上(野宿)生活)」が47.9%という回答が最も多く、次いで「アパートに住み、就職して自活したい」が14.6%、「就職することはできないので何らかの福祉を利用して生活したい」が12.5%という結果でした。 なお、「今のままでいい(路上(野宿)生活)」と答えた人にその理由を尋ねたところ、「アルミ缶、雑誌集め等の都市雑業的な仕事があるので暮らしていける」が43.5%と最も多く、他には「今の場所になじんでいる」、「福祉の支援は受けたくない」、「今の生活で困らない」、「社会復帰することに意義を見出せない」という回答がありました。   21ページ 表1の15 今後どのような生活を望むか アパートに住み、就職して自活したい:平成15年47.8%、19年31%、24年25%、28年22.9%、令和3年14.6% 寮付きの仕事で自活したい:平成15年0%、19年0%、24年5.6%、28年4.3%、令和3年0% 都市雑業で暮らす:平成15年11.7%、19年9.4%、24年0%、28年0%、令和3年0% 就職することはできないので何らかの福祉を利用して生活したい:平成15年5.9%、19年6.6%、24年9.3%、28年14.3%、令和3年12.5% アパートで福祉の支援を受けながら、軽い仕事をみつけたい:平成15年6.8%、19年7%、24年13%、28年8.6%、令和3年8.3% 入院したい:平成15年1%、19年1.4%、24年0%、28年0%、令和3年0% 家族の元に戻りたい:平成15年0%、19年0%、24年1.9%、28年2.9%、令和3年0% 今のままでいい(路上(野宿)生活):平成15年14.6%、19年28.2%、24年29.6%、28年25.7%、令和3年47.9% わからない:平成15年2.4%、19年6.1%、24年10.2%、28年10%、令和3年6.3% その他:平成15年9.8%、19年10.3%、24年5.6%、28年11.4%、令和3年10.4% (イ)求職活動 現在の求職活動の状況では、「求職活動をしている」という人の割合は4.2%であり、「今は求職活動をしていないが、今後、求職活動をする予定である」の8.3%を合わせ就労意欲のある人の割合は全体の約1割(12.5%)でした。  また、「今は求職活動をしていないが、今後、求職活動をする予定である」と答えた人と「今も求職活動をしていないし、今後も求職活動をする予定はない」と答えた人は、計46人に対し、求職活動をしない理由を尋ねたところ、「疾病、障害、病弱、高齢で働けないから」と答えた人が14人と最も多く、次いで、「今の仕事で満足しているから」という回答が多くありました。   22ページ 表1の16 現在求職活動をしているか 求職活動をしている:平成15年28.8%、19年18.1%、24年18%、28年13.9%、令和3年4.2% 今は求職活動をしていないが、今後、求職活動をする予定である:平成15年23.4%、19年14.8%、24年15.3%、28年18.1%、令和3年8.3% 今も求職活動をしていないし、今後も求職活動をする予定はない:平成15年47.8%、19年67.1%、24年66.7%、28年68.1%、令和3年87.5% (ウ)希望する就職支援と資格 「就職するためにあなたが望む支援はなんですか」という質問に対する回答として最も多かったのは、「住所を設定する必要があるのでアパートがほしい」(42.9%)であり、次いで、「自分たちにあった仕事先を開拓してほしい」(28.6%)、「もっと身近に就職の相談や求人情報をみられるようにしてほしい」、「就職の際の身元保証の援助をしてほしい」がそれぞれ14.3%と続いています。 回答数が少ないことに留意する必要がありますが、就労支援のためには、まず求職活動の基盤となる安定した居住場所を確保することが必要であるというニーズが確認できます。 (エ)住宅探し 「路上生活を始めてから、民間賃貸住宅を探した経験はありますか」という質問に対しては、「ある」と答えた人が16.7%、「ない」と答えた人が83.3%でした。「ある」と答えた人に、具体的にどこで探したのか尋ねたところ、「不動産店」と「友人・知人の紹介」がそれぞれ37.5%、「福祉事務所や地方公共団体」と「支援団体」がそれぞれ12.5%という回答でした。 キ 生活歴 (ア)出身地及び親族との関係 中学校卒業時に生活していた場所を出身地として質問した結果、愛知県内出身者の割合は19.1%で、県外が80.9%でした。 結婚歴については、「結婚している」が4.5%、「離婚・死別」が27.3%、「未婚」が68.2%という結果でした。   23ページ また、「親や兄弟等の家族・親族はいますか」との質問に対しては、「いる」が65.2%、「いない」が15.2%、「わからない」が19.6%でした。ただし、「いる」と答えた人のうち、この1年間で家族・親族と連絡があった人は12.9%でした。 表1の17 家族・親族とこの1年間で連絡があるか ※家族・親族がいる人対象 ある:平成15年27%、19年24.4%、24年18%、28年18.5%、令和3年12.9% ない:平成15年73%、19年75.6%、24年82%、28年81.5%、令和3年87.1% (イ)公的年金 「公的年金の保険料を納付していたことがありますか」という質問については、「ある」と回答した人が57.4%でした。 年金の種類及び納付期間については、曖昧な回答が少なくありませんでしたが、年金の種類は「国民年金」が40.7%、「厚生年金」が63.0%、「共済年金」が18.5%、「企業年金」が7.4%でした。納付期間については、25年以上の納付期間があると推測される人が22.2%、10年以上25年未満の納付期間があると推測される人が29.6%であり、老齢基礎年金の受給資格を満たすと推測される人が、全体の5割を占めています。今後の支援にあたっては、年金受給資格の可能性を確認することが必要であることがわかります。 (ウ)借金 「金融機関や消費者金融等に借金はありますか」との質問に対して、「ある」と答えた人は17.4%であり、借金の金額については、最も少ない人で10万円、最も多い人で400万円という回答でした。 (エ)学歴 最終学歴については、中学校卒業が54.3%、高等学校卒業が34.8%と大半を占めています。ただし、年代別に見ると、65歳以上では中学校卒業が60.0%を占めているのに対し、65歳未満では47.6%にとどまっています。   24ページ ク その他 (ア)人権に関する相談 「法務省の人権擁護機関(法務局・人権擁護委員)においては、人権問題についての相談に応じていますが、どのような事項について相談したいですか」との質問に対しては、「特にない」と答えた人が48人中47人と多数を占めており、「通行人からの暴力」について相談したいとの回答が1件ありました。 (イ)行政や民間団体への要望・意見 最後に、「行政や民間団体への要望・意見を教えてください」という質問をしました。①仕事関連、②住居関連、③健康関連、④食事関連、⑤その他の生活関連、⑥その他、の6項目について自由回答で尋ねました。住居関連では高齢になったのでアパートに入りたいという意見、食事関連ではもっと良いものを配布してほしいとの意見、その他生活関連では「路上生活者の災害時等の緊急避難場所がほしい」、「もっとていねいな言葉で声をかけてほしい。」、「簡単に病院で無料で受診できるようにしてほしい。(生活保護申請が面倒)」、「あれこれ興味本位で聞かないでほしい。福祉はあれこれ聞かれるのがいやだ。民間も見下すように感じる。ほうっておいてほしい。」等、多種多様な意見がありました。   25ページ 2 計画に定める事業の実施状況 (1)基本的な考え方 ○ 本市においては、国の基本方針に即し、就労の機会の確保や安定した居住の場所の確保をはじめ、保健及び医療の確保、生活に関する相談及び指導等の総合的な自立支援施策を講ずるため、第4期計画において「7つの主な取り組み」を施策の柱とし、「就労と福祉等の援護による多様な自立」と「自立の定着」の2つを計画目標と定めその達成に努めてきました。 ○ 7つの主な取り組みとして住まいの確保と定着、就労機会の確保と定着、心身の健康維持・回復、相談・援護、人権の擁護と尊重、地域における生活環境の維持・改善及び民間団体等との連携・地域福祉を掲げました。 (2)主な取り組みの実施状況 ア 住まいの確保と定着 ホームレス等の自立を図るためには、生活の本拠として定まった住居を確保するとともに、住居に移った後は、再び野宿生活に戻ることがないよう、その地域に定着することが重要となります。この取り組みでは、自立支援事業における支援など以下の事業を総合的に実施しました。 個別事業名 自立支援事業における支援 事業実施内容 ○生活指導など地域で自立した生活を送るための日常生活訓練を実施 ○低廉な住宅の情報を収集して利用者に提供。必要に応じて入居手続きを支援 ○家族や親族との信頼関係の回復の仲介を実施 ○自立支援住宅(あつた:定員3人、なかむら:定員2人) 実績 利用者:元年度289人、2年度273人、3年度209人、4年度201人 自立支援住宅利用者:元年度6人、2年度9人、3年度9人、4年度8人 個別事業名 市営住宅の入居 事業実施内容 ○毎年優先入居枠の提供を受け、就労自立者の入居を実施 実績 提供戸数:元年度4戸、2年度4戸、3年度4戸、4年度4戸 入居戸数:元年度3戸、2年度2戸、3年度1戸、4年度0戸 個別事業名 県営住宅のホームレス優先入居制度 事業実施内容 ○毎年優先入居枠の提供を受け、地域で生活可能なかたの入居を実施 実績 提供戸数:元年度1戸、2年度1戸、3年度1戸、4年度1戸 入居戸数:元年度0戸、2年度0戸、3年度0戸、4年度0戸 26ページ イ 就労機会の確保と定着 ホームレス等が就労の機会を得るためには、腰を落ち着けて就職活動を行うための宿所や食事の確保、必要な知識・技術の習得、さらには雇用主に対する啓発だけでなく、就労の定着のためには就職後のアフターフォローが欠かせません。この取り組みでは「自立支援事業」の運営をはじめ、以下の事業等を総合的に実施しました。 個別事業名 自立支援事業 事業実施内容 ○自立支援事業2ヶ所運営(あつた:定員79人、なかむら:定員74人) ○利用期間は原則3ヶ月とし、就職活動に専念できるよう1にち3しょくの食事を提供 ○就職に際して身元保証人を確保するため家族、親族との関係修復を支援 ○国から就職支援ナビゲーター3人の派遣を受け職業相談や職業紹介、あっせんサービスを実施 実績 利用者数(人):元年度289、2年度273、3年度209、4年度201 退所者数(人):元年度288、2年度287、3年度220、4年度190 平均在所者数(人):元年度57.5、2年度64.4、3年度51.2、4年度43.6 就労自立率(%):元年度53.8、2年度63.1、3年度53.6、4年度48.4 職業相談件数(件):元年度1,149、2年度1,302、3年度1,233。4年度1,262 就職者数(人):元年度202、2年度266、3年度190、4年度、176 個別事業名 就業支援相談(カウンセリング)の活用(※県事業) 事業実施内容 ○県から就業カウンセラー4人の派遣を受け、自立支援事業の利用者に対して能力に応じてきめ細かな就労相談・支援を実施 実績 登録者数(人):元年度312、2年度275、3年度205、4年度193 相談件数(件):元年度1,979、2年度2,057、3年度 1,663。4年度1,754 個別事業名 ホームレス就労訓練事業 事業実施内容 ○自立支援事業の利用者に対して就労習慣の醸成等を目的とした軽作業を実施 実績 実従事者(人):元年度276、2年度281、3年度218、4年度204 延従事者(人):元年度1,562、2年度1,861、3年度1,422、4年度1,411 27ページ 個別事業名 ホームレス就業連絡会議の設置・充実 事業実施内容 ○市、県、国及び経済団体の実務者でホームレスの安定雇用の場と就業機会の確保を図るため、連絡会議を設置して施策の企画・立案と情報交換を図る ※新型コロナウイルス感染症の影響により元年度以降は書面開催 実績 開催回数(回):元年度1、2年度1、3年度1、4年度1 個別事業名 アフターフォロー事業 事業実施内容 ○自立支援事業を利用し自立したかたに対し、退所後原則1年以内の間、支援員が訪問、電話、来所等で各種相談・支援を行い、地域での安定した生活の継続を支援 実績 訪問(件):元年度92、2年度65、3年度47、4年度72 電話(件):元年度283、2年度327、3年度324、4年度275 来所(件):元年度93、2年度136、3年度226、4年度71 ウ 心身の健康維持・回復 ホームレスには体調不良を訴えるかたが4割を超え、しかも治療をしていないかたが多くいます。心身の健康維持・回復は自立に向けての基本的な事項であり、治療が必要なかたの早期発見と受診・治療機会を確保するとともに、病気予防のための健康相談等に努めることが重要であると考えています。 本市では「ホームレス健康支援事業」をはじめ以下の事業を総合的に実施しました。 個別事業名 ホームレス健康支援事業 事業実施内容 ○保健師等看護資格を有する自立支援健康相談員2人が週4回、保護援護生活相談員と共に市内を巡回し、健康相談等と療養指導を実施 ○巡回時間以外は福祉事務所で健康相談窓口を開設 実績 相談延件数(件):元年度1,462、2年度1,848、3年度1,696、4年度1,776 健康チェック(件):元年度150、2年度155、3年度159、4年度184 療養指導(件):元年度1,545、2年度1,903、3年度 1,903。4年度 1,909 28ページ 個別事業名 ホームレス結核対策事業 事業実施内容 ○自立支援事業及び無料宿泊所の入所者等に対して結核健診を実施 ○公園及び路上等で起居するホームレスに対して公園・路上等起居者結核健診を実施 ○継続した治療が必要な結核患者に対して服薬支援事業を実施 ※2~4年度は、新型コロナウイルス感染症拡大のため個別の結核健診を実施 実績 施設での健診者(人):元年度515、2年度36、3年度34、4年度177 路上での健診者(人):元年度106、2年度11、3年度11、4年度75 発見患者数(人):元年度0、2年度0、3年度0、4年度0 結核服薬指導対象者(人):元年度9人、2年度0、3年度0、4年度0 個別事業名 医療機関の確保 事業実施内容 ○ホームレスの診療を行った医療機関に診察(外来)、入院協力料を支給 実績 入院協力料支払件数(件):元年度22、2年度59、3年度11、4年度0 診察協力料支払件数(件):元年度273、2年度219、3年度158、4年度174 事業実施内容 ○医療機関に入院したホームレスに対して寝巻、歯ブラシ等の日用品を支給 実績 日用品購入数(組):元年度0、2年度50、3年度50、4年度0 エ 相談・援護 ホームレス等の中には地域社会から孤立した生活を送っており、社会との交流が滞りがちとなるかたが少なくありません。しかも家族等からも疎遠である場合が多いことから、自立しようと考えた場合にも相談に乗ってくれるかたがいなかったり、活用可能な社会資源に関する情報が得られず、自立が困難になったりする場合が少なくありません。本市では、積極的に相談の機会を提供することで、その自立を支援しています。 この取り組みでは、「福祉事務所における相談・援護」、「巡回相談事業」の実施など以下の事業を総合的に実施してきました。   29ページ 個別事業名 福祉事務所における相談・援護 事業実施内容 ○福祉事務所でホームレス等に対する援護相談を行い、相談者の意向、心身の状況、資産と稼働能力等を踏まえ、就労自立、福祉等の援護による自立、保護施設等への入所など適切な援助方針を決定して実施 実績 相談延件数(件):元年度6,211、2年度6,798、3年度4,675、4年度4,622 生活保護適用件数(件):元年度1,575、2年度1,397、3年度1,032、4年度1,116 個別事業名 巡回相談事業 事業実施内容 ○福祉施策の専門知識を有する保護援護生活相談員9人が、市内全域を巡回してホームレスに対する援護相談を実施 実績 相談延件数(件):元年度2,392、2年度2,270、3年度1,789、4年度2,002 援護施策適用者数(人):元年度46、2年度85、3年度60、4年度61 個別事業名 一時保護事業 事業実施内容 ○一時保護事業1ヶ所を運営(定員50人) ○自立支援事業利用希望者に対する利用の適否判定及び生活保護の要否判定のため、一定期間(原則2週間以内)ホームレス等に入所していただき、宿所と食事を提供 実績 利用者数(人):元年度545、2年度581、3年度490、4年度521 退所者数(人):元年度548、2年度579、3年度492、4年度524 平均在所者数(人):元年度23.8、2年度24.4、3年度19.7、4年度18.9 自立支援事業利用による退所者(人):元年度113、2年度80、3年度 95、4年度133 生活保護適用による退所者(人)元年度267、2年度304、3年度251、4年度250 個別事業名 緊急宿泊援護事業 事業実施内容 ○ホームレス自立支援施設の利用を希望されるかたなどが、定員の関係等ですぐに入所できない場合、その間の宿泊先を簡易宿所に確保(3ヶ所) 実績 延宿泊者数(人):元年度7,356、2年度8,453、3年度3,132、4年度3,204 30ページ オ 人権の擁護と尊重 生活実態調査の結果によると、ホームレスの中には通行人や近隣住民等からの暴力や嫌がらせを訴えるかたが存在します。その背景にはホームレスに対する偏見や差別意識があると考えられることから、広く人権意識の高揚を図る必要があります。 また、自立に向けた支援を行うにあたっても、ホームレス等の人権に十分配慮する必要があります。 この取り組みでは、「人権教育・人権啓発の推進」をはじめ以下の事業等を総合的に実施しました。 個別事業名 人権教育・人権啓発の推進 事業実施内容 ○「新なごや人権施策推進プラン(改訂版)」、「なごや人権施策基本方針」に基づき、人権尊重についての理解を深めるため人権教育・人権啓発を推進 実績 講演会・研修会の実施、啓発冊子・ポスターの作成、新聞等メディアへの啓発記事の掲載 個別事業名 ホームレスへの暴力、人権侵害事件に係る関係機関との連携 事業実施内容 ○事件発生の情報を入手した場合、その内容に応じて警察、法務局等、関係機関に相談の上、連携して対応 実績 相談実績(件):元年度0、2年度0、3年度0、4年度2 個別事業名 施設の運営や援護施策の実施にあたって人権の尊重と尊厳を確保 事業実施内容 ○女性ホームレスの利用に配慮し自立支援事業なかむら及び一時保護所に女性専用居室を設置 ○女性職員を配置し、女性利用者が気軽に相談できる体制を確保 ○自立支援関係施設等の職員の人権に関する研修等への参加を推進 自立支援事業の女性専用居室:3室 一時保護事業の女性専用居室:2室 自立支援事業の女性職員(人):元年度2、2年度2、3年度2、4年度1 施設職員等への人権研修:人権に関する研修への参加 31ページ カ 地域における生活環境の維持・改善 第4期計画期間中を通して全国的にホームレス数は減少傾向にありましたが、都市公園等、公共の用に供する施設の利用に関して、地域住民との間であつれきが生じる場合があります。この取り組みは、公園等の適正利用ができなくなるとき、そこに起居するホームレスの自立を促していくことを通して公共施設利用の適正化を図るものとして進めました。 個別事業名 公共施設の適正利用の確保 事業実施内容 ○公園等に起居するホームレスに対し、自立支援施策の相談・周知を図ると共に、必要な自立支援施策や福祉等の援護につなぐ ○ホームレスが起居先としていた放置物件等で施設の適正利用に支障があるときは、指導パトロールや物件の撤去指導等を実施し、必要な場合には法令に基づく監督処分等を実施 実績 公園等の不法占有物撤去(件):元年度412、2年度378、3年度117、4年度46 公園等に起居するホームレスに対する指導(件):元年度3,714、2年度4,253、3年度2,628、4年度2,482 キ 民間団体等との連携・地域福祉 前記ア~カでも触れたように、本市ではホームレス等の自立支援に向け、民間団体等と連携して様々な取り組みを実施しています。  「就労機会の確保と定着」の分野では、施策の実効性を上げるため労働行政を所管する行政機関等との連携が不可欠です。同様に、「住まいの確保と定着」の分野では、住宅の専門知識を有する民間団体の協力が、また、「相談・援護」の分野では法律の専門家やホームレスの事情に詳しいNPOやボランティア団体など市民との協働が不可欠となっています。この取り組みについては、以下の事業等を掲げ推進を図りました。 32ページ 個別事業名 雇用の確保について労働行政を所管する国、県及び地元経済団体と協議 事業実施内容 ○国、県、市、地元経済団体等で構成する「愛知県ホームレス自立支援対策推進協議会」を開催(※県主催) ※新型コロナウイルス感染症の影響により元年度以降は書面開催 実績 自立支援対策推進協議会:年1回開催 事業実施内容 ○県、地元経済団体及び市で「愛知ホームレス就業支援事業推進協議会」を設置(※くに事業) ※新型コロナウイルス感染症の影響により元年度第2回総会から3年度まではメールでの質疑応答、承認採決方法に変更 実績 総会:年2回開催 運営委員会:年1回開催 事業実施内容 ○市、国、県及び経済団体で「ホームレス就業連絡会議」を設置 ※新型コロナウイルス感染症の影響により元年度以降は書面開催 実績 前記イの「ホームレス就業連絡会議の設置・充実」で計上 事業実施内容 ○国から就職支援ナビゲーター3名の派遣を受け職業相談や職業紹介、あっせんサービスを実施 実績 前記イの「自立支援事業」で計上 事業実施内容 ○県から就業カウンセラー4名の派遣を受け、ホームレスの能力に応じてきめ細やかな就労相談・支援を実施 実績 前記イの「就業支援相談の活用」で計上 33ページ 個別事業名 ホームレスの事情や地域の実情を把握しているボランティア団体等と積極的に情報交換を行い、支援や協力を求めて援護施策を協働で推進 事業実施内容 ○行政関係者、民間支援団体、地元経済団体、地域住民、学識者で構成する「愛知県ホームレス自立支援対策推進協議会」を開催 実績 「自立支援対策推進協議会」(前ページ)で計上 事業実施内容 ○ホームレスの支援団体で構成する越冬実行委員会との団体広聴を実施 団体広聴:年1回開催 個別事業名 ホームレス状態になる前に地域の中で支援できるよう住民と行政の協働による地域福祉を推進 事業実施内容 ○名古屋市総合計画及び名古屋市地域福祉計画に則った、さまざまな活動の推進 実績 地域福祉活動を推進 34ページ 3 計画の評価 (1)成果 ○ 本市は、「就労と福祉等の援護による多様な自立」と「自立の定着」を第4期計画の基本目標に掲げ、「7つの主な取り組み」に定める施策を推進することで目標の達成に努めてきました。 ○ 事業の実施状況については、「2-(2)主な取り組みの実施状況」に示したとおりであり、全体として概ね順調に実施されてきたと考えています。 ○ ひょう1は、「一時保護事業」(平成13年3月事業開始)及び「自立支援事業」(平成14年11月事業開始)の実績を示したものです。第4期計画期間中、令和4年度末までに、延べ3,128人のかたがこれらの事業を利用し退所しています。そのうち延べ2,568人が現行計画の基本目標である「就労と福祉等の援護による多様な自立」を果たしており、ホームレス等の自立に関して一定の成果を上げてきたものと考えています。 表1 一時保護事業及び自立支援事業の実績(令和元年~4年度) 一時保護事業 退所者2,143人、就労自立者148人、就労自立率6.9%、福祉等の援護による自立者1,748人、自立者計1,896人、自立率88.5% 自立支援事業 退所者985人、就労自立者546人、就労自立率55.4%、福祉等の援護による自立者126人、自立者計672人、自立率68.2% ○ 次に、ひょう2は、自立支援事業の利用状況を示したものです。自立支援事業は、「就労による自立」を支援する中心的役割を担う事業で、「自立支援事業あつた」(平成14年11月事業開始、定員79人)、「自立支援事業なかむら」(平成16年5月事業開始、定員74人)の2か所で実施しています。 ○ 当事業の利用者も、リーマン・ショックを契機として平成20年度から大きく増加しました。自立支援事業もまた、住居を失った大量の失業者に対してホームレス化防止の受け皿として役割を担ってきました。 35ページ 表2 自立支援事業の利用状況 利用者(人):平成26年度492、27年度437、28年度375、29年度292、30年度282、令和元年 度288、2年度287、3年度220、4年度190 平均在所者(人):平成26年度107.5、27年度90.3、28年度72.0、29年度59.3、30年度58.9、令和元年 度58.1、2年度64.4、3年度51.2、4年度43.6 充足率(%):平成26年度66、27年度55.4、28年度44.2、29年度36.4、30年度36.1、令和元年 度38.0、2年度42.1、3年度33.5、4年度28.5 ○ 一方、第2期計画期間から、ホームレス等の状態から生活保護を受給してアパート生活に移行するかたが大幅に増加しました。表3は、ホームレス等住居のないかたで、生活保護により敷金等を受給し住宅を確保した世帯数を過去14年分についてみたものです。 表3 ホームレス等住居のない人で敷金等を受給し住宅を確保した世帯数(単位:人) 平成21年度:30歳未満125、30代379、40代520、50代621、60歳以上420 22年度:30歳未満87、30代197、40代258、50代307、60歳以上297 23年度:30歳未満80、30代196、40代219、50代224、60歳以上227 24年度:30歳未満43、30代127、40代142、50代130、60歳以上139 25年度:30歳未満29、30代69、40代113、50代107、60歳以上126 26年度:30歳未満25、30代61、40代71、50代66、60歳以上77 27年度:30歳未満23、30代26、40代57、50代63、60歳以上53 28年度:30歳未満7、30代28、40代51、50代56、60歳以上65 29年度:30歳未満12、30代17、40代33、50代44、60歳以上61 30年度:30歳未満7、30代14、40代29、50代46、60歳以上65 令和元年 度:30歳未満11、30代22、40代33、50代34、60歳以上29 2年度:30歳未満22、30代25、40代57、50代57、60歳以上45 3年度:30歳未満14、30代11、40代18、50代25、60歳以上28 4年度:30歳未満10、30代18、40代22、50代28、60歳以上25 ○ リーマン・ショック前の平成19年度には、生活保護の適用を受けホームレス等の状態から脱却したかたは183世帯でしたが、平成21年度には2,065世帯と約11倍に急増し、特に40歳代、30歳代の伸びが大きかっ 36ページ たと言えます。14年間で延べ6,773世帯のホームレス等が生活保護を受給して居宅生活に移行したことになります。 ○ 短期間に大量の失業者が生まれ、同時に住居も失うといった状況下で、生活保護制度は新たなホームレス化とホームレス状態に陥った人の野宿生活の長期化を食い止めてきたという意味で大きな役割を果たしてきました。 (2)現状と問題点 ア ホームレスの現状と問題点 ○ 令和3年生活実態調査の結果によると、ホームレスの平均年齢は前回調査より上昇し65.1歳であり、年齢構成では60歳以上の割合が増加し全体の約8割を占めています。加齢に伴って、野宿生活の厳しい環境が心身の健康に与える影響が懸念されます。 ○ また、野宿期間は、長期化しているかたの割合が上昇しており、5年以上のかたが7割を超えています。国の基本方針にもあるように、野宿期間の長期化は脱却を難しくする実態があります。 ○ さらに、自立に関する意向では、現状のままでよいかたが全体の約5割を占めており、支援の困難さがうかがわれます。 イ 福祉事務所での住居のないかたからの相談にみられる現状と問題点 ○ ホームレス数が減少する一方、福祉事務所に相談来所する住居のないかたの数は、平成19年度、年間3,134世帯であったのが、リーマン・ショック後の平成21年度には6,195世帯に増加しました。 ○ 平成22年度以降は減少していますが、令和4年度は年間1,624世帯の住居のないかたから相談があり、その数は令和5年1月の概数調査で確認されたホームレス数(78人)の約21倍に相当します。 ○ 住まいを失い終夜営業店舗や知人宅等を転々とし、施設や制度における支援にも定着できないかたが徐々に顕在化し、福祉事務所での相談者において、またホームレス自立支援施策の利用者において多数見られるようになり、こうしたかたは、従来のアウトリーチによる支援が届きづらいという問題点があります。   37ページ ウ 自立支援等の取り組みにみられる現状と問題点 ○ 先述のように、本市では第4期計画を評価するにあたり、利用者を含む関係者を対象としてアンケート及びヒアリング調査を実施していますが、その中で特に重要な問題である途中退所、就労自立の継続困難、居宅生活の継続困難について意見を聴取しました。 (ア) 途中退所 ○ 表4は、自立支援事業利用者の退所内訳を示しています。当事業が目標としている就労自立または福祉等の援護による自立により退所した人の割合は、第4期計画期間中、ほぼ横ばいで推移しています。一方で、自立支援事業を途中退所するかたも一定割合存在し、当事業の課題となっています。 表4 自立支援事業利用者の退所内訳 退所者(人):平成26年度492、27年度437、28年度375、29年度292、30年度282、元年度288、2年度287、3年度220、4年度190 就労自立者(人):平成26年度256、27年度253、28年度186、29年度157、30年度159、元年度155、2年度181、3年度118、4年度92 福祉等の援護による自立者(人):平成26年度35、27年度42、28年度41、29年度31、30年度29、元年度36、2年度29、3年度27、4年度34 全体自立率(%):平成26年度59.1、27年度67.5、28年度60.5、29年度64.4、30年度66.7、元年度66.3、2年度73.2、3年度65.9、4年度66.3 途中退所者(人):平成26年度201、27年度142、28年度148、29年度104、30年度94、元年度97、2年度77、3年度75、4年度64 途中退所率(%):平成26年度40.9、27年度32.5、28年度39.5、29年度35.6、30年度33.3、元年度33.7、2年度26.8、3年度34.1、4年度33.7 ○ アンケート結果では、施設での規則や支援内容、居室環境への負担感を原因として指摘する意見が多く見られたほか、ヒアリングでは途中退所に至る背景として、まとまったお金が入るとお金を使いたいという衝動性が勝って退所してしまうケースや、施設内での人間関係がうまくいかず退所してしまうケースが指摘されています。  38ページ ○ また、アルコールやギャンブル等への依存の問題が自立への取り組みを困難にしている例や、若者に多い就職のための基本的なコミュニケーション能力や生活習慣が身についていないケース、あるいは、「就労による自立」という目標そのものを支援対象者との間で共有できないケースの存在など、利用者の精神的な課題や意識、価値観、行動様式など質的な問題点が指摘されました。 (イ)就労自立の継続困難 ○ 本市では、第4期計画において「就労と福祉等の援護による多様な自立」を「自立の定着」と並んで、ホームレス自立支援の柱の一つとして位置付け、「自立支援事業あつた」と「自立支援事業なかむら」2か所の自立支援事業での取り組みを中心に就労支援を進めてきました。 表5は、自立支援事業を利用中に就労先を確保して退所したかた(就労自立者)のその後の状況について取りまとめた結果です。 表5 就労自立後2年以内の生活保護受給状況 就労自立者(人):平成20年度173、21年度188、22年度135、23年度117、24年度113、25年度130、26年度256、27年度253、28年度185、29年度157、30年度159、令和元年度155、2年度181、3年度118 生活保護受給者(人):平成20年度89、21年度75、22年度57、23年度47、24年度46、25年度46、26年度94、27年度94、28年度68、29年度65、30年度53、令和元年度49、2年度69、3年度41 就労自立非継続率(%):平成20年度51.4、21年度39.9、22年度42.2、23年度40.2、24年度40.7、25年度35.4、26年度36.7、27年度37.2、28年度36.8、29年度41.4、30年度33.3、令和元年度31.6、2年度38.1、3年度34.7 ○ 数値は、自立支援事業を就労自立で退所したかたが、退所日の属する年度の翌年度末までに、本市において生活保護を受給しているかどうかを集計したものですが、就労自立者のうち概ね3割から4割のかたが自立後2年以内に生活保護受給に至っている状況にあり、就労自立を継続することの困難さがうかがわれる結果です。 39ページ ○ 次に、表6は就労自立した翌年度末までに生活保護受給に至ったかたについて、生活保護受給までの期間を表したものです。自立継続できなかったかたのうち3ヶ月未満で生活保護受給しているかたが約27%~51%に上っています。 表6 就労自立後、生活保護受給までの期間(単位:人) 3つき未満:平成20年度28、21年度28、22年度25、23年度17、24年度17、25年度16、26年度43、27年度29、28年度19、29年度26、30年度22、令和元年度25、2年度31、3年度17 3から6つき未満:平成20年度22、21年度19、22年度12、23年度9、24年度12、25年度12、26年度15、27年度20、28年度14、29年度15、30年度10、令和元年度8、2年度16、3年度6 6から9つき未満:平成20年度18、21年度9、22年度7、23年度7、24年度6、25年度9、26年度10、27年度13、28年度11、29年度6、30年度8、令和元年度6、2年度9、3年度10 9つきから1年未満:平成20年度9、21年度11、22年度7、23年度9、24年度2、25年度7、26年度12、27年度11、28年度11、29年度5、30年度5、令和元年度5、2年度6、3年度4 1年以上:平成20年度12、21年度8、22年度6、23年度5、24年度9、25年度2、26年度14、27年度21、28年度13、29年度13、30年度8、令和元年度5、2年度7、3年度4 合計:平成20年度89、21年度75、22年度57、23年度47、24年度46、25年度46、26年度94、27年度94、28年度68、29年度65、30年度53、令和元年度49、2年度69、3年度41 40ページ ○ アンケートでは、就労が続かなかった理由として、職場の人間関係に馴染めないこと、きゅうりょうが少ないこと、精神的に不安定になったことなどが挙げられたほか、居宅生活を始めてからの問題点として、金銭管理、精神面の不調、依存傾向、体調管理・健康管理がうまくできないなどが指摘されました。 (ウ) 居宅生活の継続困難 ○ 居宅生活を継続できない理由として、アンケートからは、金銭管理の失敗や生涯設計意識の欠如、飲酒やギャンブル等への依存等の指摘が多くを占めています。また、ヒアリングでは、背景として社会的に孤立し、相談相手がいないことや家を失うことに抵抗を感じないことが指摘されています。 (3)第5期計画策定にあたっての主要課題 本市では、令和3年生活実態調査で明らかになったホームレスの現状と問題点及び第4期計画評価過程で浮き彫りとなった自立支援施策の成果と問題点を踏まえ、次期計画において重点的に取り組むべき主要課題を以下の通りと考え、必要な施策、事業のありかたを明らかにします。 ア ホームレスの高齢化・長期化を踏まえた支援 ○ 高年齢者の割合が増加し、野宿生活が長期化しています。 ○ 長期化は脱却を困難にするおそれがあるため、できる限り野宿生活の早い段階で自立支援につなぐことが重要です。 イ ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのあるかたへの適切な支援 ○ 巡回相談によるアウトリーチ型のニーズ把握や支援が届きづらい状況があるため、福祉事務所をはじめとする関係機関と民間団体等の相談窓口相互の連携が重要となります。 ○ 就労や福祉等の援護による自立支援の途中で、支援を中断又は放棄し、各種支援サービスの再利用を繰り返すかたに対しては、自立の必要性が理解され、意欲が喚起されるような働きかけを行う必要があります。 41ページ ウ 途中退所の防止 ○ 施設を短期間で退所するなど支援が定着しないケースについては、個々の状況に応じた柔軟な支援目標の設定と支援方針の選択が必要となります。 ○ 利用者のニーズと支援内容との整合性について検証が必要な状況が生まれています。自立支援関係施設での自立目標を多様化し、支援内容についても見直しを図る必要があると思われます。 エ 地域での自立生活の継続と定着 ○ 就労自立後に居宅生活を維持することが重要であることから、アフターフォローを推進していく必要があると思われます。 ○ また、住居のない状態から生活保護で居宅生活に移行した後、何らかの課題を抱え、地域での生活を維持できなくなる可能性があるかたについては、アフターフォローの必要性が高まっています。   42ページ 第3 第5期計画における自立支援施策の推進 1 基本的な考え方 第5期計画における基本的な考え方は、以下のとおりです。 ○ ホームレスの状況に合わせた対応 高齢化し、野宿生活が長期化する傾向にあるホームレスが、自立支援施策や福祉施策等につながるよう、巡回相談等を通して継続的で粘り強い働きかけを行います。  また、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれがあるかたがホームレスとならないよう、必要な支援を行います。 ○ 基本目標:「就労と福祉等の援護による多様な自立」と「自立の定着」 計画の基本目標を「就労と福祉等の援護による多様な自立」と「自立の定着」とし、継続的で長期的な視点から、個々の抱えている課題や心身の状態を踏まえた自立を支援し、生活の安定と持続を目指します。 ○ 基本目標の実現に向けた「7つの主な取り組み」の推進 基本目標の実現に向けて、以下に掲げる「7つの主な取り組み」を推進します。具体的な施策・事業の実施にあたっては、生活困窮者自立支援制度をはじめ、関連するさまざまな制度や施策と連携を図るとともに、人権尊重の視点に立った支援を基本理念とします。 <7つの主な取り組み> (1) 住まいの確保と定着 (2) 就労機会の確保と定着 (3) 心身の健康維持・回復 (4) 相談・援護 (5) 人権の擁護と尊重 (6) 地域における生活環境の維持・改善 (7) 民間団体等との連携・地域福祉 第1、2期計画では「就労による自立」と「福祉等の援護による自立」の2つを基本目標として設定しました。ホームレスの自立にあたっては、個々の状態に応じてより柔軟な支援が必要なことから、2つの目標を同じウエイトで捉えることを基本とし、具体的な場面では「就労」「福祉等の援護」の両方向からの支援を検討することとしていました。   43ページ 第3、4期計画では第1、2期計画の考え方をさらに進め、就労と福祉等の援護による多様な自立を基本目標とし、弾力的で個別性の高い自立支援により、個々の実態に合った達成可能な自立を目指すとともに、自ら自立を継続することが困難な中、自立の定着をもう1つの基本目標とし、持続的・長期的視点から、個別性の高い多面的支援を進めました。 ホームレスが抱える課題や自立の方向性は、依然として多様なため、第5期計画でも就労と福祉等の援護による多様な自立と自立の定着を基本目標とし、弾力的で個別性の高い支援により、個々の実態に合った達成可能な自立の定着を目指します。 自立支援施策では、①緊急的支援、②自立支援事業又は福祉等の援護に向けた事前評価、③自立に向けた支援、④社会生活復帰の各段階において必要な施策を展開し社会復帰を目指すとともに、丁寧なアセスメントにより、自立支援事業の途中退所防止に努めます。さらに、⑤自立定着支援では、再野宿化を防止し、地域生活が継続できるよう、アフターフォローの推進等、多面的で継続性の高い支援により社会生活の安定と持続を目指します。 また、7つの主な取り組みを基本目標実現に向けた施策の柱とし、自立支援を推進します。具体的な事業・ほう策は、新規の取り組み、既存事業の見直し、改善、再構築等を図り、従来計画の成果を引き継ぎ、さまざまな課題に対応します。 具体的な施策・事業の実施にあたり、ホームレスの高齢化・長期化に対応し、社会・経済情勢の変化や雇用動向の変動にも素早く対応できるよう、関係制度や取り組みと連携します。 さらに、人権尊重の視点に立ち、一人ひとりの意思を大切にすることを支援の基本理念とします。 事業運営にあたり、自立支援事業での自立率などを成果指標とし、事業の効果測定や課題分析に活用し効果的な運営に努めます。 また、自立支援事業や保護施設等の運営を適切に行うとともに、施設の老朽化等の課題に対応するため、施設の再整備等に係る検討を進めることとし、その中で施設環境についても検討していきます。 44ページ 2 7つの主な取り組み (1)住まいの確保と定着 ア 現状と課題 (ア)公園等で起居するホームレスが自らの意思で安定した生活を営めるよう支援を進めるにあたっては、住まいの確保が欠かせません。  また、住まいを失い終夜営業店舗や知人宅など居所を転々とするなど、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのあるかたに対しても、住まいの確保に向けた積極的支援が必要です。 (イ)しかし、住まいの確保の方向性は、個々の状態等によって異なります。 稼働能力のある自立支援事業の利用者は、就労収入で住宅を確保することが基本となります。 また、要保護者のうち、直ちに地域で自立した生活を営むことが可能なかたは、住宅確保のため、生活保護による敷金等の支給を検討する必要があります。 一方、心身の状態から日常生活を営むのに何らかのサポートが必要と考えられるかたについては、更生施設や救護施設など保護施設への入所を検討することとなります。また、高齢者は老人ホーム等への入所も検討する必要があります。 なお、一旦、保護施設に入所したかたについても、心身の状況等に応じて、地域生活に移行できるよう検討する必要があります。 (ウ)住宅の確保に際してまず問題となるのは、家賃及び敷金等(以下家賃等という。)のがくです。ホームレス等の場合、就労したとしても年齢や資格、技能など様々な条件から、高収入は得られにくいことが多く、生活保護を適用して生活する場合でも住宅扶助基準に見合った住宅を探すことが基本となります。  したがって、低廉な家賃等で入居可能な民間住宅の情報を収集し提供するとともに、公営住宅の入居制度も活用する必要があります。 (エ)家賃等の問題を解決しても保証人や緊急連絡先(以下保証人等という。)の問題があります。 ホームレス等の多くは、家族や親族との関わりが疎遠となっており、適当な住宅が見つかっても保証人等を立てられない場合がありますが、そのような場合には、民間保証会社に保証料を支払うこと等により保証人や緊急連絡先の確保が可能です。 45ページ 住宅確保を円滑にするため、住宅の貸主や不動産業者等に対し、入居者を受け入れやすい条件を整える支援、ホームレス等の自立について理解を深めていただくための啓発・広報等を進める必要があります。 (オ)長い間住居のないかたの中には、直ちに自立した生活を送ることが困難なかたもみられます。こうしたかたには、居宅生活に円滑に移行するため十分な相談・支援を事前に行い、日常生活・社会生活習慣の確立を図る必要があります。 (カ)敷金等を受給し、居宅保護に移行したかたのうち、居宅生活が継続できないかたが存在する実態があり、居宅生活の継続性を高めることが重要です。自立支援関係者へのアンケート調査では、居宅生活を失敗する原因として、金銭管理、自立意欲の欠如、人間関係、飲酒・ギャンブル等が挙げられ、評価報告書では、困難を抱えたかたはSOSを発信することが難しいと指摘されています。 (キ)住まい確保にあたり、住宅セーフティネット法に規定する居住支援協議会をはじめ、関連する施策との連携が必要です。 (ク)コロナ禍により、住居のないかたの相談件数は、令和2年度に一時的に増加したものの、令和3年度以降はコロナ禍前を下回っています。この背景には、第2のセーフティネットとして住居確保給付金等の生活困窮者自立支援施策等が一定の役割を果たしたと考えられますが、引き続き、社会情勢による影響を注視する必要があります。 イ 具体的な施策・事業 (ア)福祉事務所における相談・援護  ホームレス等のうち、就労による自立が可能と考えられるかたは、自立支援事業の利用について相談が可能ですが、その場合は本人の意向を尊重し、同意を得ながら手続きを進めます。 46ページ ○ 直ちに地域で自立した生活を営むことが可能と判断された要保護者については、個々の状況に応じて住宅が確保できるよう生活保護による敷金等の支給を行います。 ○ 心身の状況等から施設に入所することが適当と判断されたかたについては、その状況に応じて更生施設や救護施設あるいは老人ホーム、婦人保護施設(令和6年4月より女性自立支援施設)等への入所の調整・手続きを行います。 ○ なお、一旦、保護施設に入所したかたについても、地域での生活が可能と判断された場合は、地域生活へ移行できるよう支援します。 (イ) 自立支援事業における支援 住まいの確保に関して、自立支援事業では次のとおり地域で自立した生活を営めるよう支援する役割を担います。 ○ 低廉な家賃の民間住宅に関する情報を収集し、自立支援事業の利用者(以下本項において利用者という。)に対して情報提供を行うとともに、入居に関する相談・助言を行います。また、必要に応じて不動産業者への同行等により住宅確保の支援を行うとともに、住まいが見つかった場合には入居手続についても支援します。 ○ 家族等との関係が疎遠な利用者については、家族等の所在を確認して連絡を取るなど信頼関係の回復を支援し、住まいが見つかった場合には保証人等となってもらえるよう支援を行います。 ○ 利用者に対して、地域社会での生活を念頭においた日常生活管理や健康管理、社会生活上の手続きなどについて様々な指導・助言を行うなど必要な支援を行います。 ○ 中でも、入所者等で就労先を確保し、自立後に近い住環境での自活体験が、退所後の居宅生活継続に有効と思われるかたについては、自立支援事業と一体的に運営される民間借上げアパート(自立支援住宅)に移行し、家計管理や家事などの基本的な生活習慣形成ができるよう支援します。 (ウ)賃貸住宅経営者等への啓発活動 民間賃貸住宅の経営者、家主及び不動産業者並びに民間賃貸住宅を管理する団体(以下民間住宅経営者等という。)に対して、ホームレス等に対する理解を深めていただくための啓発を推進します。   47ページ (エ)民間住宅に関する情報収集等 ホームレス等に理解のある民間住宅経営者等と連携し、低廉な家賃の賃貸住宅に関する情報並びに保証人の代わりとなる民間の保証会社等に関する情報を収集し、自立支援事業の利用者等に必要な情報を提供します。 (オ)民間団体の行う住宅相談事業との連携 ホームレス等を対象として、民間住宅経営者等が行う住宅の確保や入居後の生活についての相談事業との連携を図ります。 (カ)新たな住宅セーフティネット制度の活用 低廉な家賃等で入居可能な民間住宅についての情報の収集・提供や、住宅の貸主や不動産業者等に対してホームレス等の支援について啓発・広報等を進めるにあたっては、住宅セーフティネット法に規定する居住支援法人や、名古屋市住宅確保要配慮者居住支援協議会による名古屋市居住支援コーディネート事業等との連携を図ります。 (キ)公営住宅の優先入居 就労により地域で自立した社会生活を営むことになった自立支援事業の利用者等で、入居資格を有するかたについては、市営住宅及び県営住宅の優先入居制度を活用し入居を進めます。 (ク)居宅生活の継続支援 ○ 就労自立や福祉的施策の活用により居宅生活へ移行した場合、居宅での生活の継続性を高めるために、見守りのほか、家計管理支援や健康管理支援、社会生活上の手続き支援など多面的なアプローチにより、個別的・継続的かつ効果的なアフターフォローが必要であることから、現在実施しているアフターフォローについて一層の充実を図ります。また、社会資源の積極的な活用等、社会的孤立を防ぐことができる取り組みを進めます。 ○ 住宅扶助の代理納付については、居宅での生活の継続性を高めることに効果的であることから、生活保護受給者に対し、代理納付の制度や利点について十分に説明を行った上で、活用を図ります。 48ページ (ケ)第2のセーフティネット等の活用 コロナ禍の中、第2のセーフティネットとして住居確保給付金等の生活困窮者自立支援施策等が一定の役割を果たしたと考えられますが、引き続き、社会情勢の変化を注視しつつ、支援が必要なかたへ制度の周知を行います。 (2)就労機会の確保と定着                                                ア 現状と課題 (ア)令和3年生活実態調査において、ホームレスの22.9%は何らかの形で仕事に就くことを希望していましたが、今のままでいいという回答が47.9%と多くなっています。   ホームレスやホームレスとなることを余儀なくされるおそれのあるかたの自立に向け、就労機会の確保は重要な課題であり、自立に向けた取り組みの柱の一つとして、就労意欲の喚起と向上・安定した就労の場の確保と定着が必要です。 いっぽうでホームレスになった要因は、倒産・失業等の仕事に起因するもの、病気やけが、人間関係、家庭内の問題等様々なものが複合的に重なり合っています。また、社会生活不適応、借金による生活破たん等の要因もあり複雑な問題を抱えているかたも少なくないことから、直ちに常用雇用による自立が困難なかたは、個々の事情に対応した自立を総合的に支援する必要があります。 (イ)ホームレス等の多くは食事や寝る場所の確保などその日の生活に追われており、求職活動をしようにも専念する余裕がないのが実態です。また、求職活動に有効な住所設定がないかたも多く、就労機会の確保に向けては、まず求職活動に適した環境を用意する必要があります。 (ウ)就職先を探す場合、本人の現状から、必ずしも適性があるとは言えない場合であっても、かつて自分が経験した職種やその類似職種にこだわってしまい、安定した職の確保につながらないことも少なくありません。 継続的自立につながる安定した職の確保のため、公共職業安定所等と連携した支援が必要です。 49ページ (エ)求職活動に不可欠な履歴書の書きかたや面接の心構えなどが分からず、努力が就職に結びつかない場合もあり、求職に関する基本的知識・技術習得の支援が必要です。 (オ)就労可能性向上には、求人側のニーズやホームレス等の就労ニーズ等に応じた職業能力開発・向上が重要です。 (カ)ホームレス等の多くは家族・親族と疎遠であり、身元保証人を確保できない場合が少なくなく、身元保証人となる家族等との関係回復支援が必要です。 求人開拓等では、身元保証人を必要としない就職先の開拓・確保が必要です。 (キ)ホームレス等の就職には雇用側の理解も欠かせません。愛知ホームレス就業支援事業推進協議会では、職場体験講習受入れ事業所の開拓を含む求人開拓等を行っていますが、引き続き、ホームレス等の就労機会確保への理解を深め、就労を促進するため、事業主への啓発が必要です。 (ク)自立支援事業を令和3年度に就労自立で退所した118人のうち14.4%が3ヶ月未満で、31.4%が1年以内に生活保護受給に至っています。 就労により自立を果たしても、人間関係の悪化や雇用上の問題などにより、就労が続かず、保護受給に至ったり、再度野宿生活等に戻る場合があります。 自立の継続・定着率の向上のため、就労自立者が就労を継続できるよう、今後もアフターフォローの充実強化が必要です。 (ケ)平成20年秋以降、世界金融危機が実体経済にも深刻な影響を及ぼし、職と住まいを失った非正規雇用者等が、福祉事務所を訪れました。その後、本市を始め県内の雇用情勢は改善しましたが、コロナ禍により、多くの産業・職種で活動が停止または停滞した結果、福祉事務所を訪れる相談者の増加はげん 50ページ 定的でしたが、仕事・暮らし自立サポートセンターの相談件数は急増しました。 倒産や失業等による仕事の減少はホームレスを生む要因であるため、雇用対策推進や支援施策活用が鍵となります。本市も、関連施策の中で可能な対応を行うとともに、国・県に対しても適切な対策を求める必要があります。 (コ)自立支援事業では、正規社員として就労した経験がないかたが増加し、企業側も非正規労働者の割合が増加している中、正規就労を前提とした自立目標だけでは、自立が困難です。 不安定就労でも支援を継続し、福祉等の援護を受け就労を継続する多様な自立も自立目標として設定し、日常・社会生活確立を図る必要があります。 (サ)第4期計画期間中の自立支援事業途中退所割合は31.8%です。これは、正規就労を目指す自立支援事業において、金銭管理や規則への抵抗感・負担感、集団生活になじめない、危機感・切迫感が足りない等で退所するかたが多いためと考えられます。 就労支援では、日常生活習慣形成や円滑な社会生活のための支援、金銭管理啓発・助言等のため、集団生活や規則も一定は必要ですが、利用者ニーズ等を踏まえた取り組みなどによる途中退所防止が必要です。 (シ)若者には、正規就労経験がなく、就労に必要なコミュニケーション能力や生活習慣が十分でないかたもおり、能力・習慣を身につけ、特性・能力に応じた働きかたができるよう、若者と企業のりょうほうへのサポートや、就労する自信をつける、適職を探すための支援も必要です。 不安定な仕事に就き、雇い止めなどで仕事と住まいを失いホームレスとなるかたもいます。非正規雇用の増加といった社会経済情勢変化が考えられますが、孤立し、困難を抱えていても相談ができない、十分な支援を受けられな 51ページ いといったことが考えられるため、関連する既存施策との連携が必要です。 国の基本方針では、勤労意義を十分に理解していないことなども要因として指摘されており、健全な勤労観・職業観の早期育成が必要と考えられます。 イ 具体的な施策・事業 (ア)自立支援事業等 ホームレス等に対し、宿所・食事の提供、健康相談、生活相談・指導を行い、自立意欲を喚起させるとともに、職業相談等により、就労による自立を支援する自立支援事業を市内2か所で運営します。(自立支援事業なかむら:定員74 人・中村区、自立支援事業あつた:定員79 人・熱田区) 自立支援事業では、稼働能力があるかた又は支援期間内に稼働能力の回復が見込めるかたが落ち着いて求職活動ができる生活の場を提供するとともに、基本的生活習慣習得に向けた助言・指導等を行います。また、公共職業安定所から就職支援ナビゲーターの派遣を受けるなど、国や県とも連携して就労支援を行い、就労自立を促進します。 ホームレス等の自立意識・意欲の多様化や、雇用環境等の社会情勢の変化も捉えながら、個々の状況に応じた多様な自立も視野に入れて支援します。 ○ 宿所及び食事等の提供 求職活動に必要な日用品を支給するとともに、安心して求職活動に専念できるよう宿所と食事を提供します。また、自立支援事業の施設等において、求職活動に有効な住民登録が可能です。 ○ 各種相談・指導の実施 心身の健康を調え就労に支障をきたさないよう医師・看護師による健康相談を定期的に実施するとともに、相談支援員等による日常生活上の各種相談や指導・助言を行うことで、利用者が社会復帰後、就労を継続し地域社会で自立した生活ができるよう支援します。 ○ 公共職業安定所(くに事業)との連携 公共職業安定所から毎日、専門知識を有する就職支援ナビゲーターの派遣を受け、職業相談や職業紹介、あっせんサービスを実施し、安定した生活が 52ページ 営める常勤的職業に就くことができるよう支援します。また、就労後は安定して就労継続できるよう職場定着に向けた指導・助言を行います。 ○ 就業支援相談(県事業)との連携 職業相談や自己啓発等の研修を実施するとともに、履歴書の書きかたの指導や就労面接のノウハウの講習などを行う愛知県の就業支援相談員と連携し、年齢等の特性を踏まえ、個々の状況に応じたきめ細かな就労の準備支援を行います。 ○ 家族等との関係回復による身元保証人確保支援 家族等と疎遠となり就職の際に身元保証人が立てられないかたについて、家族等の所在の確認や連絡の仲介等を行い、関係回復に向けた支援を行います。 ○ 精神障害等何らかの障害等がある利用者への支援 精神障害等何らかの障害があるかたに対しては、こころのケアを進めるとともに、アルコールやギャンブル等への依存があるかたに対しては、専門的治療が必要となることから、医療機関等との連携を図り支援することで、安心して就労できる環境を整えます。 ○ 若者等への対応 正規就労の経験がない若者等の利用者に対して、就労するために必要なコミュニケーション能力や生活習慣が身につくような支援や本人の特性や能力に応じた働きかたができるよう、企業への支援も行い、自立に向けた取り組みの定着を図ります。 また、心理的なサポートや教育的な視点に立った支援が必要と思われる利用者に対しては、専門的ノウハウを有する社会資源の活用を視野に入れ、有効な支援方策について検討を行います。 ○ 多様な支援の実施 途中退所を防ぎ、退所後の自立生活を継続することができるよう、丁寧なアセスメントの実施により利用者ニーズを的確に把握するとともに、就労支援を中心とした支援メニューに加え、金銭管理の啓発や日常生活習慣、社会生活習慣の確立に向けた多様な支援を行います。なお、そうした支援の実施にあたっては、必要に応じて専門的な技術を有するNPO等との協働について検討します。 53ページ ○ ホームレス就労訓練事業 規則正しい生活習慣や就労習慣の習得を目的とした就労訓練を実施して、就労に向けた準備支援を行います。 (イ)ホームレス等就労支援事業(くに事業)等との連携 国が実施しているホームレス就業支援事業と連携して、就業支援相談や職場体験講習((エ)で後述)の利用を推進し、ホームレス等の就労意欲の喚起や就労機会の確保を進めます。 また、ホームレス就業支援事業の一環として実施されている就業機会確保支援と連携し、就労先の開拓にあたり身元保証人を要しない求人事業所の拡充を図り、ホームレス等の求人条件を緩和するよう努めます。 (ウ)中間的就労の場の確保 直ちに就労自立が難しいかたに対して、事業所での軽易な作業等を通じて一般就労に向けた支援付きの就労体験やトレーニングを行う「中間的就労」の場の確保や活用を進めます。 また、専門的知識や技能を必要としない多種多様な職種の開拓等に関する情報収集及び情報提供等を行います。 (エ)職場体験講習・トライアル雇用事業(くに事業)との連携 仕事に対する不安感を解消するため一定期間実際の職場を体験する「職場体験講習」や自立支援事業の利用者等のうち就職が困難なかたに対して、雇用主とホームレス等双方の雇用に対する不安感を解消することを目的に実施する「トライアル(試行)雇用制度」など、国が実施する事業との連携を図り、就労の実現に向けて支援します。 (オ)技能講習事業(くに事業)との連携 職業能力の開発・向上を支援するために国が実施している技能講習事業との連携を図り、就労に必要な資格や技能の習得を希望するかたについては、同事業の利用を案内します。 (カ)広報・啓発活動 ホームレス等の就労自立について情報交換を行うとともに、就労機会の確保について事業主の理解を得るため、国、県及び地元経済団体の関係者を交えた会議を定期的に開催し、雇用の促進についての広報・啓発に努めます。 54ページ (キ)アフターフォロー事業 ○ 自立支援事業から就労自立し、地域において自立した生活を営むかたに対して、家庭訪問や電話相談等を行い、職場への定着と地域生活の継続を支援する事業(アフターフォロー事業)を推進し、再度野宿生活に戻ることがないよう支援します。 ○ アフターフォロー事業の実施にあたり、短期間で生活保護の受給に至ることのないよう、自立生活に移行した直後は、環境の変化に対応した丁寧で多面的な支援を集中的に行うとともに、中長期的に安定した生活が維持できるよう継続的な個別的な支援も行うなど事業の充実を図ります。 支援に当たっては、来所相談を受入れ、訪問によるアプローチを取り入れた支援を行う等、就労の継続ができるような支援体制を構築します。 (ク)勤労観・職業観の早期育成 学校教育の各段階や生涯を通じた学びの場においてキャリア教育を推進し、子どもや若者がさまざまな職業体験を行うことができる機会を提供する事業等を実施することで、健全な勤労観・職業観の早期育成を図ります。 (3)心身の健康維持・回復                           ア 現状と課題 (ア)令和3年生活実態調査によれば、一定数のホームレスが身体の不調を訴えており、約4割のかたが治療等を行っていない状況です。  医療が必要なかたを早期に医療機関の受診につなぐとともに、生活習慣病等で日常生活上の指導が必要なかたに対して適切な指導を行う必要があります。 (イ)医療の必要なホームレス等を医療機関の受診につなぐため、あらかじめ医療機関側にホームレス等の受診について理解を深めていただき、適切な治療が受けられるよう協力を求めていく必要があります。 (ウ)ホームレス等の状態から就労あるいは福祉等の援護による自立を目指す場合、心身の健康維持・回復はその前提となる事項です。自立支援事業の利用者等に定期的に健康状態を確認し、病気の早期の発見・治療に努める必要があります。   55ページ (エ)本市が実施している結核健診事業や医療機関への受診により、ホームレス等の中に結核患者が発見されています。ホームレス等の場合、症状が進んでから発見されることや、完治する前に路上生活に戻ってしまい治療が中断してしまうことがあります。なお、令和2年度及び令和3年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、集団結核健診の実施が困難な状況でしたが、自立支援健康相談員により保健センター等で実施する個別の結核健診の受診を勧奨する等、必要な取り組みを実施しました。 ホームレス等で結核に罹患したかたを早期に発見するとともに、治療が中断しないよう保健部門と福祉部門が連携して助言・指導を行っていく必要があります。 (オ)ホームレス等の中には、アルコールへの依存が見られたり、うつ症状や不眠など心の健康についての悩みを訴えたりするかたがいます。 また、ホームレスのうち、精神障害など何らかの障害等があると思われるかたに対する巡回相談の実施においては、相談や支援に課題があります。 (カ)また、自立支援事業の利用者等には、アルコールやギャンブル等への依存があるため、専門的治療が必要なかたが少なくありません。 イ 具体的な施策・事業 (ア)ホームレス健康支援事業 公園等への巡回及び福祉事務所で健康相談と療養指導 を実施し、医療の必要なホームレス等が適切な医療を受けられるよう、福祉部門と保健部門が密接な連携を図ります。また、生活習慣病等で日常生活を送る上で注意が必要なかたについて定期的な指導を行います。 ○ 保健師、看護師資格を有する自立支援健康相談員が福祉事務所の保護援護生活相談員(巡回相談員)とともに市内を巡回して、健康相談、健康チェック及び療養指導を実施します。その中で医療が必要と判断されたかたについては、福祉部門と保健部門とが密接な連携をとり、医療機関への受診につなぎます。 ○ また、中村区、中区の福祉事務所内にて自立支援健康相談員が巡回相談時間外に生活習慣病等健康に不安があるホームレスからの相談に応じます。   56ページ (イ)ホームレス結核対策事業 公園・路上等に起居するホームレス等は結核発病リスクが高いことから、ホームレス等に対して結核罹患者の早期発見に向けた健診機会の提供に努めるとともに、罹患者が発見された場合は入院等へつなぐ支援や結核服薬支援を実施するなど効果的な結核対策を推進します。 ○ 結核罹患者の早期発見と結核感染の予防のため、無料宿泊所の利用者や公園・路上等に起居するホームレス等に対して、感染防止策に留意しつつ結核健診を実施します。 ○ 結核に罹患しているホームレス等に対して、早期治療のため入院等の支援を実施します。また、治療の中断による結核の再発防止や薬剤耐性化防止のため、結核服薬支援事業を推進します。 (ウ)医療機関の確保 医療が必要なかたには、無料低額診療事業 の活用を図るとともに、ホームレス等が必要に応じて適切な医療を受けることができるよう次の事業を実施し、医療機関との協力関係の構築に努めます。また、病気等により急迫した状態にあるかた及び要保護者が医療機関に緊急搬送された場合については生活保護の適用を行います。 ○ 入院・診察協力料支給事業 医療機関が要保護者であるホームレス等の入院等を受け入れた場合には、生活保護を適用するとともに、円滑に受け入れを行っていただくため協力料を支払う事業を実施し、受診機会の確保に努めます。 ○ 生活用品支給事業 要保護者であって、日用品を購入することができないホームレス等が入院した場合は、必要な日用品(歯ブラシ、タオル等)を支給する事業を実施し、入院生活に困らないよう支援します。 (エ)こころのケア ◯ 福祉部門と保健部門が連携し、精神障害等何らかの障害等があるホームレスの相談に対応するとともに、医療機関への受診等、専門機関につなぐよう支援します。 57ページ ○ 自立支援事業や更生施設の利用者等で精神面の個別支援が必要なかたに対するこころのケアを推進するとともに、アルコールやギャンブル等への依存などへの対応にあたっては、専門的治療が必要となることから、医療機関等との連携を図ります。 (オ)保健と福祉の連携 ◯ 本市においては、保健部門と福祉部門を総括する組織として保健福祉センターを設置しており、保健センターと福祉事務所が、同じ組織のもと、連携を図りながら各事業を推進します。 (4)相談・援護                               ア 現状と課題 (ア)令和3年生活実態調査の結果からは、健康上の不安、食事や居住環境についての悩み、就労先の確保など深刻な悩みや葛藤を抱えて生活しているホームレスが少なくありません。多くの場合、家族等との関係が疎遠である上、地域社会からも孤立しているため、身近なところに親身に相談できる人がいないのが現状です。 (イ)どこへ行けばどのような相談が可能で、どのような情報が得られるのかといった、利用可能な社会資源や各種施策についての情報入手が困難なことから、ホームレス自身から課題の解決に向けた行動を起こすことが難しいのが実態です。  福祉事務所において各種相談に応じることに加え、ホームレスが起居する場所に赴いて相談を行うなど、行政の側からの能動的な対応が必要となります。とりわけ、令和3年生活実態調査で明らかとなったように、高年齢者の割合も高まっており、また、「今のままでいい」と考えるホームレスの割合が多い現状を踏まえると、起居先への巡回相談は今後とも重要であると考えています。 (ウ)ホームレスの中には、長引く野宿生活の中で健康を害するかたも少なくありません。適切な治療により健康を回復できるよう相談や助言を行うとともに、要保護者について生活保護を適用して必要な治療を行う必要があります。 58ページ (エ)ホームレスは激減していますが、路上に残る人の中に、精神的障害があると思われるかたが一定割合含まれ、巡回相談での対応が課題です。 平成26年度ホームレス等支援団体の調査でも、知的障害有病率34.2%、精神疾患有病率42.1%、両方を組み合わせた有病率15.8%という結果が報告されています。 支援に当たり、保健センターや精神保健福祉センターなどと連携し適切な対応に努めるほか、自立支援事業利用者にも同様の状況が見られるため、精神保健福祉士の配置など、相談に応じられる体制づくりを進めました。 (オ)ホームレスには、債務問題を抱えるかたも少なくありません。今後も、債務問題解決支援が必要です。 (カ)本人の状態等により目指す自立は多様です。相談においても、できるだけ早く本人の状態等を的確に把握し、柔軟に自立支援の方向性を検討することが重要です。  自立支援では、本人の状態等から、最適な手法を提案することが行政の役割ですが、本人の意向を尊重し、同意を得ながらの支援方針決定が基本です。 (キ)住まいを失い、終夜営業店舗や知人宅を転々とするかたなど、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのあるかたがリーマン・ショック後増加したと考えられ、その中には稼働年齢層も多く見込まれます。ホームレス支援では、これらのかたへの支援も必要です。 また、コロナ禍により、多くの産業・職種で活動が停止・停滞したことで、多くの生活に困窮したかたが、名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター(以下サポートセンターという。)を訪れました。 景気変動・社会構造の変化等によるこれら問題は、国で様々な対策が講じられています。福祉事務所やサポートセンターで、自立支援施策や生活保護、他法・他施策の活用相談に対応し、自立と持続可能な社会生活   59ページ への定着を目指し、総合的な支援を進めていく必要があります。 (ク)福祉等の援護により、ホームレス等の状態から居宅保護となったかたのほとんどが居宅生活を維持できているいっぽうで、居宅生活を維持できず、保護開始から2年以内に失踪等で住居を失うかたもいます。居宅生活を維持できなかった背景として、金銭管理の失敗、意欲の欠如や孤独等などが背景として指摘されています。居宅生活の継続性を高めていくため、アフターフォローの取り組みを推進していくことが重要となります イ 具体的な施策・事業 (ア)福祉事務所における相談・援護 ○ 福祉事務所は、ホームレス等からの包括的な相談窓口であると同時に、相談結果に基づき必要な措置を行う権限を有する機関です。支援の方向性は福祉事務所における相談で決まるものであり、その重要性を職員が認識する必要があります。 ○ 面接、相談に従事する職員等に対して、研修の充実に努め、支援の方向性を決定するために必要な知識の修得・蓄積とともに、相談の質を高めるための能力の向上や人権感覚の育成を図ります。 ○ 福祉事務所では、生活保護制度やホームレス自立支援施策等について説明を行った上で、相談内容、相談者の状況等に応じて自立を支援します。ホームレス等の中には、各種制度等の再利用を繰り返すかたがいます。相談にあたっては、経緯等の把握に努め、制度等の趣旨が支援の中で活かされるよう、本人の自立への理解促進と意欲の喚起に努めます。 Ⅰ ホームレス等の状態からの脱却を求めて相談に来たかたについては、心身の状態等を踏まえ、支援策の説明を行った上で、支援のほうこうせいを決定するとともに、個々の事情に応じた自立を総合的に支援します。支援のほうこうせいを決定するにあたっての基本的な考え方は次のとおりですが、本人の意向を尊重しながら進めます。その特性により、社会的偏見や差別を受け弱い立場に置かれやすいかたに対しては、各施策において個々の事情に配慮した支援を行います。 60ページ ①就労意欲と稼働能力があるかたについては、就労による自立を目指すことを基本とします。これらのかたに ついては自立支援事業の利用ができることから、事業内容について説明を行います。  自立支援事業においては、個々の能力や課題に応じた多様な自立も視野に入れた支援を行うことにより、就労意欲や稼働能力について課題があるかたでも、支援期間内に意欲の向上や稼働能力の回復が見込まれる場合には、本人の意向に基づいて自立支援事業を利用していただきます。 ②就労意欲はあるものの、心身の状態等から就労自立が困難と考えられ、要保護状態にあるかたについては、生活保護の適用による自立を基本とします。生活保護の要否判定及び居宅生活の可否の判定等のため、原則として一時保護所(当該機能を代替する施設を含む。以下本項において同じ。)への入所の手続きを進めます。 ③ 生活保護の要否判定のために一時保護所に入所したかたで、居宅生活が可能と判定された要保護状態にあるかたについては、生活保護を適用して居宅生活への移行を図ります。 ④ 生活保護の要否判定のために一時保護所に入所したかたで、日常生活能力等から、居宅生活への移行が困難と判定されたかたは、更生施設等への入所手続きを進め、居宅生活への移行のために状況に応じて、日常生活指導など必要な支援を行います。居宅生活が困難と判定されたかたについては、状態に応じて保護施設である救護施設や他法施設等への入所を検討します。 保護施設に入所したかたについても、心身の状況等に応じて、地域生活に移行できるよう検討します。 Ⅱ 緊急宿泊援護などの一時的な援護や物質的な援護を求めて相談に来るかたについては、必要に応じて適切な援護を行うとともに、相談を自立に向けた支援の契機として捉え、助言や指導を合わせて行うことを基本とします。 Ⅲ 体調不良で相談に来たホームレス等で要保護状態にあるかたについては、医療機関に受診していただき、必要に応じて入院など適切な医療扶助が受けられるよう支援します。要保護状態にあるホームレス等が緊急搬送された場合には、医療機関等と密接な連携を図りながら生活保護の適用を行います。なお、医療機関での治療が終了した後も、再度野宿に戻ることがないよう、状況等に応じ上記のⅠ、Ⅱのいずれかのほうこうで支援を行います。 61ページ Ⅳ 以下のとおり、保護施設を運営します。 ○ しんたいじょう又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者が入所する更生施設を運営します。笹島寮:定員60 人・中村区、植田寮:定員112 人・天白区 ○ しんたいじょう又は精神上著しい障害があるため日常生活を営むことが困難な要保護者が入所する救護施設を運営します。厚生院:定員80 人・名東区、植田寮:定員108 人・天白区 ※ 植田寮については、現在地において改築工事を行っています。改築後である令和7年度には、植田寮救護施設・更生施設、厚生院救護施設を植田寮救護施設 定員:200人へ統合することを予定しています。 ○ 住居のない要保護世帯等に対して、宿所を提供し、相談・指導等を行う宿所提供施設を運営します。熱田荘:定員27 世帯・熱田区 (イ)巡回相談事業 ○ 福祉制度や施策の運用について保護援護生活相談員を福祉事務所に配置し、巡回してホームレスの生活実態把握に努め、自立に向けた支援施策についての説明・相談を実施します。自立支援健康相談員と巡回する場合、健康相談等に協力するとともに、医療機関への受診等を勧めるなど施策につなぎます。 ○ 野宿生活期間が長期間に及んでいるホームレスに対しては、生活ニーズの把握に努め、継続的な巡回相談活動により、適切な施策等につなぐよう支援の充実に努めます。また、野宿生活期間が長期化すると脱却が困難になることから、早期の段階で自立に向けた取り組みにつながるよう関係機関で連携して支援に努めるとともに、一人ひとりに寄り添った丁寧な支援を行うことで、巡回相談を通じた信頼関係の構築を進めます。 ○ 小屋を持たないホームレスが増えるに従い、巡回相談によっても接触が困難なかたの割合が増えています。NPOやボランティア団体が実施する炊き出しなどに足を運ぶかたも多いと考えられることから、ニーズの把握や支援施策への案内、周知等の観点から、NPOやボランティア団体の活動との連携のありかたについて検討を行います。 62ページ (ウ)一時保護事業(一時保護所) ○ 生活保護適用の要否判定及び居宅生活の可否の判定等を行うため、一定期間(原則2週間以内)ホームレス等に入所していただき、宿所と食事を提供する一時保護事業 定員50 人・熱田区を引き続き運営します。 ○一時保護所は、判定等に基づき福祉事務所が決定した援助方針に意見がある場合、理由を付して福祉事務所に伝え、福祉事務所は、必要に応じ援助方針の再検討を行います。 ○利用者が居宅生活に移行し、その後の地域生活を安定して継続できるよう、住宅確保等の個別支援機能を強化するとともに、日常生活、社会生活上の課題把握のためのアセスメント機能の充実を図ります。 (エ)緊急宿泊援護事業 ホームレス自立支援施設の利用を希望されるかたなどが定員の関係等ですぐに入所できない場合、その間の宿泊場所を確保するため、本市が契約した簡易宿所に緊急的に宿泊していただく緊急宿泊援護事業を実施します。 (オ)債務問題等への対応 債務問題などホームレス等が抱える法律上の諸問題について、弁護士と相談を行う機会を提供するため、日本司法支援センター等の関係機関と連携し、問題解決に向けた支援を行います。 (カ)福祉等の援護による自立者へのアフターフォロー ○住居のない状態から生活保護で居宅生活に移行したのち、失踪等を防止し地域での生活の定着を進めるため、ケースワーカーによる生活状況の把握に努め、個々の課題に応じて適時適切に援助方針を策定し、継続的な訪問活動を行います。 ○一時保護事業を利用し居宅生活に移行したホームレス等のうち定着支援が必要なかたを対象に、年齢等の特性も踏まえ、見守りを中心に家計管理や日常生活管理、社会参加・地域参加の支援等を行うアフターフォローについては、より充実を図りつつ、社会資源の積極的な活用等、社会的な孤立を防ぐことができる取り組みを進めます。   63ページ (キ)名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンターにおける相談 ○ 平成27年度に始まった生活困窮者自立支援制度における相談と支援を一体的に実施する拠点として、サポートセンターを市内3か所に開設しており、生活困窮者からの相談に対応しています。 サポートセンターでは、住居確保給付金の支給や、家計改善支援事業など生活困窮者自立支援法の各事業に加えて、緊急食糧支援や弁護士による相談など様々なメニューを相談者の状況に応じて組み合わせながら支援を行います。 名古屋市におけるホームレス自立支援の流れ 巡回相談事業によるホームレスとうへのアウトリーチ、社会福祉事務所での相談、一時保護事業・緊急宿泊援護事業の利用、自立支援事業または保護施設(救護施設等)または他法施設(養護老人ホーム等)の利用、地域生活 (就労と福祉等による多様な自立・自立の定着)、アフターフォロー事業・社会資源の活用等 (5)人権の擁護と尊重                            ア 現状と課題 (ア) 令和3年生活実態調査の結果によると、通行人からの暴力や近隣等とのトラブルについて、人権擁護機関へ相談したいと答えたかたは、平成28年調査と比較し減少しましたが、依然としてホームレスの人権侵害につながる暴行事件などの事例は、一定数存在すると考えられます。   64ページ (イ) インターネットの普及に伴い、匿名性、情報発信の容易さから、誹謗中傷、プライバシーの侵害、差別を助長する表現の掲載など、人権に関わる問題が発生しており、ホームレスの人権についても例外ではありません。 (ウ) ホームレスが自立し、地域社会の一員として社会生活を送ることができるよう、住まい、就労、福祉、医療などの面で取り組みを行うとともに、ホームレスに対する偏見や差別意識を解消するため、市民の人権意識の高揚を図ることが大切です。 (エ) なごや人権施策基本方針においてホームレスの人権に関する問題を取り上げ、人権という視点から施策を総合的に推進することとしています。 イ 具体的な施策・事業 (ア) 人権教育・人権啓発の推進 差別や偏見をなくすために、一人ひとりが人権問題に対して関心を持ち、人権尊重についての理解と認識を深めるとともに、主体的に行動することができるよう、多様な機会や場を通じて、インターネットの普及等社会情勢の変化にも対応した、人権教育・人権啓発を推進します。 (イ) ホームレスの人権擁護 ホームレスに対する暴力、嫌がらせ等の人権侵害を通報等により認知した場合は、国、県、関係機関等との連携により、適切な解決を図ります。 (ウ) 人権尊重の視点に立った施策等の推進 相談・援護機関における対応をはじめ、自立支援関係施設の運営、ホームレス等の自立支援の取り組みにあたっては、福祉事務所職員や自立支援関係施設等の職員が常に人権尊重の視点から施策、事業を推進することが求められます。 福祉事務所での面接、相談に従事する職員等に対する研修の充実に努めることで、知識・技術の修得・蓄積、資質技術・能力の向上、人権感覚の育成を図ってきましたが、福祉事務所職員だけに限らず、自立支援関係施設等の職員も含めすべての職員についても、こうした取り組みに努めていきます。   65ページ (6)地域における生活環境の維持・改善                     ア 現状と課題 (ア) 令和5年1月概数調査の市内ホームレス数は78 人で、最高の平成15年1月の1,788 人の4.4%まで減少しています。 政令指定都市、特別区部の中では大阪市、東京都23区、横浜市、福岡市、川崎市、仙台市に次ぐ人数で、ホームレスの問題は解決途上にあるといえます。 起居場所は 公園31人、河川19人、道路11人、その他17人で、平成15年当時と比べ、公園の割合が約4割減少する一方、その他の割合は約3倍となっており、こうしたかたへの支援も必要です。その他の大半は地下街や繁華街の通路等で起居する非定住型のホームレスです。 (イ)ホームレス数は減少していますが、公園等の公共的施設の管理者 以下公園等管理者という。に対し、公園等を適正に利用できないことで苦情や相談の声が寄せられています。ごみの堆積・散乱は、第三者による新たな不法投棄を招くなど、地域社会とのあつれきや摩擦を生じる状況があり、早急な事態の解消が必要です。 (ウ)公園等の公共的施設は、設置目的に沿って適正に管理運営されなければなりませんが、施設を適正に利用できないときは、ホームレス個々の状況と人権に配慮しつつ、自立支援施策等を周知し、自立支援施策や福祉等の援護につなぐよう支援することで、公共的施設の機能が発揮されるよう改善する必要があります。 (エ)公共的施設に起居するホームレスへの指導や働きかけにより自立支援施策や福祉等の援護につながっても、施設等での生活を中途でやめたり、居宅生活に移行しても再野宿化する例があります。再野宿化を防止するためには、指導や働きかけの初期段階から、本人の意向等の把握と自立意欲の醸成を図るための方策を講じる必要があるとともに、アフターフォローによる助言も重要です。   66ページ イ 具体的な施策・事業 (ア) 公共的施設の適正利用の指導 ○ 公園等管理者は、定期的に施設を巡回する中で、荷物やテント等を常置するなど公園等に起居するホームレスの把握に努めます。 ○ 起居等により施設が適正に利用できないときは、ホームレスの人権に配慮しつつ、適正利用につながる指導や働きかけを行います。 ○ 巡回相談員をはじめ福祉事務所等との連絡調整を十分に図り、個々の状況と本人の意向を確認して、自立支援施策や福祉等の援護につなぐよう支援を行います。 ○ ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのあるかたに対しても、施設を巡回する中で声掛けに努めるなど、早期の段階から個々の状況を把握し、本人の意向を確認して自立支援施策や福祉等の援護につなぐよう支援を行います。 ○ 施設の工事等のために当該施設に起居するホームレスの退去や物件の撤去が必要となる場合は、早期の周知に努めます。 ○ 高速道路等に関係した事案の場合、当該施設の管理者と連携して、適正利用につながる指導や働きかけを行います。 ○ 施設内の清掃について、関係機関が一体となって連携し地域全体の問題と捉え、環境美化活動として対応します。 (イ) 公共的施設の機能回復と保全 公園等管理者は、当該施設がホームレスの起居等により適正に利用できないときは、福祉事務所等と連携を図り、個々の状況と本人の意向を確認し、自立支援施策や福祉等の援護につなぐことにより、施設からの退去や物件の撤去を促し、施設の機能回復や保全を図ります。なお、必要な場合には、法令に基づく監督処分等の対応をとることとします。 (ウ) ホームレスへのアフターフォロー 公園等管理者がホームレスを自立支援施策や福祉等の援護につないだ後においては、福祉事務所等は、公園等管理者と連携し、適切な助言を行うなど定着支援により、再野宿化の防止に努めます。   67ページ (7)民間団体等との連携・地域福祉                      ア 現状と課題 (ア) ホームレス等に対する自立支援施策には、住宅や就労機会の確保など、関連する施策や、国や県、関係団体との連携が不可欠です。自立定着の支援には、アフターフォローなどの個別支援や、つながり・支えあいといった、地域支援において、NPO・ボランティア団体、社会福祉協議会などの参画が不可欠な取り組みが多くあり、関係団体等と連携を図る必要があります。 (イ) 国や県、関係団体との連携は、定期的な情報交換や施策の実施を通して良好に図られていると考えています。NPO・ボランティア団体など民間団体との間では、各種事業等を通して連携を進めていますが、十分とは言いがたい状況です。 (ウ) ホームレスでは非定住型の割合が増加するとともに、ホームレスとなることを余儀なくされる状況が顕在化し、従来のアウトリーチによる相談・支援が届きづらいケースが増加しています。 今後、自立支援施策の実効性を高めていく上で、ホームレス等の支援に経験とノウハウを取り入れるため、民間団体等との協働体制の構築は検討課題の一つであると考えています。 (エ) ホームレス等が居宅生活に移行しても、金銭管理の失敗、意欲の減退、地域での孤立等により再び住居を失ってしまう場合が少なくありません。居宅生活を定着させるために、個々の状況に応じた多面的なアフターフォローの必要性が国の基本方針においても指摘されていることから、今後は、アフターフォローの取り組みの一層の充実を図っていくことが重要であると考えています。 (オ) 核家族化の進行や地域住民相互のつながりの希薄化により、家族や地域のセーフティネットが十分に機能しなくなっており、様々なリスクにより、人々が社会の中で孤立に追いやられる危険性が指摘されています。新たなホームレスを生まないよう、また、自立したかたが再びホームレス化することがないよう、地域福祉の推進を図ることが重要な課題となっています。    68ページ イ 具体的な施策・事業 (ア) 住まいの分野での連携 住まいの確保については、住宅セーフティネット法に規定する居住支援法人や名古屋市住宅確保要配慮者居住支援協議会による名古屋市居住支援コーディネート事業等などとの連携を推進します。 県と連携して引き続き県営住宅への優先入居を進めます。また、住居を失った生活困窮者に対して一時的な宿泊場所の提供等を行うため、生活困窮者自立支援法における一時生活支援事業として実施される緊急・一時宿泊支援事業とも連携を図ります。 (イ) 就労の分野での連携 就労機会の確保については、国、県及び経済団体等と連携して定期的に連絡会議を開催し、情報の共有化を図るとともに施策への協力を求めていきます。  就職支援ナビゲーターの派遣や就職支援相談など国、県が行う様々な事業と連携して就労機会の確保に努めます。さらに、中間的就労の場の確保等を進めるにあたっては、NPO等の民間団体との連携を図ります。 (ウ)相談・援護の分野での連携 相談・援護については、従来のアウトリーチによるアプローチが困難な状況にあるホームレスとなることを余儀なくされるおそれのあるかたについて、ニーズ把握と適切な対応を図るために、実現可能な方法による実態の把握に努めます。ホームレス支援等を取り組むNPOやボランティア団体等との連携を推進し、協働体制の構築を図ります。 (エ)アフターフォロー事業での連携 ○ 福祉等の援護により自立したかたへのアフターフォローにあたっては、ホームレス等の自立・定着支援に実績のあるNPO・ボランティア団体など民間団体の人材やノウハウを活かす取り組みを進めます。 ○ 多面的・個別的な支援の充実を図るために、民間団体に対し、各種福祉制度など様々な横断的領域の知識修得や情報獲得に向け、研修等において協力を進めるとともに、民間団体において蓄積された事例やノウハウについても、研修等を通じて本市の相談・援護従事者等に還元するなど、人材育成の面でも民間団体との連携・協働を進めます。   69ページ (オ)地域の安全確保等での連携 ○ 地域における安全の確保及びホームレスの被害防止を図るため、ホームレスの人権に配慮し、地域社会の理解と協力を得て警察等の関係機関との連携を図ります。 ○ 洪水等の災害により被害のおそれのあるホームレスに対しては、管理する国、県など関係機関と連携して安全確保に努めます。災害発生時にホームレスに対する差別的対応が生じないよう周知を行います。 (カ)地域福祉 ○ 自立後、地域で安定した生活を継続するためには、地域社会とのつながりなどを確保することが重要であり、ケースワーカーによる訪問活動やアフターフォローなどの個別支援の中で、本人の状況や意向を踏まえて地域との接点を見つけ、身近な社会資源や地域支援につなぐよう努めます。 ○ 地域活動やボランティア活動、軽易な就労の場など、他人の役に立つ実感を得られる機会や場への参加を促進することや、様々な生活課題を抱えたかたを地域全体で見守り、支えあう風土を醸成するなど、自立者が地域で安定した生活を続けられるよう、地域福祉の推進を図ります。 ○ ホームレス等の自立と地域生活の維持・定着を図るため、行政をはじめ社会福祉協議会、アフターフォローの実施団体、ホームレス自立支援関係施設、NPO・ボランティア団体等の間で、定期的に情報・意見交換等を行い、連携促進を図ります。   70ページ 白紙 参考資料(目次) ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成14年法律第105号) …1ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) …3ページ 第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画の策定体制 …23ページ 名古屋市ホームレス援護施策推進本部規程 …24ページ 名古屋市ホームレス援護施策推進本部事務局 …29ページ 「第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」ワーキングチーム作業班 …30ページ 第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画アドバイザー懇談会構成員名簿 …31ページ 第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画の策定に関するアドバイザー懇談会開催要綱 …32ページ 第5期実施計画策定までの経過 …33ページ 第5期愛知県ホームレス自立支援施策等実施計画の概要 …37ページ   参考資料(目次)裏 白紙   参考資料1ページ ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成14年法律第105号) 第1条から第8条、内容は略   参考資料2ページ ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成14年法律第105号) 第8条から第14条、附則第1条から第3条、内容は略   参考資料3ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第1 はじめに、内容は略   参考資料4ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第1 はじめに、第2 ホームレスに関する現状、1 ホームレスの現状、内容は略   参考資料5ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第2 ホームレスに関する現状、1 ホームレスの現状、内容は略   参考資料6ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第2 ホームレスに関する現状、1 ホームレスの現状、内容は略   参考資料7ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第2 ホームレスに関する現状、1 ホームレスの現状、2 ホームレス自立支援施策の現状、内容は略   参考資料8ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第2 ホームレスに関する現状、2 ホームレス自立支援施策の現状、第3 ホームレス自立支援施策の推進、1 基本的な考え方、内容は略   参考資料9ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、1 基本的な考え方、2 各課題に対する取組方針、内容は略   参考資料10ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、2 各課題に対する取組方針、内容は略   参考資料11ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、2 各課題に対する取組方針、内容は略   参考資料12ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、2 各課題に対する取組方針、内容は略   参考資料13ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、2 各課題に対する取組方針、内容は略   参考資料14ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、2 各課題に対する取組方針、内容は略   参考資料15ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、2 各課題に対する取組方針、内容は略   参考資料16ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、2 各課題に対する取組方針、内容は略   参考資料17ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、2 各課題に対する取組方針、内容は略   参考資料18ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、2 各課題に対する取組方針、内容は略   参考資料19ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、2 各課題に対する取組方針、3 ホームレス数が少ない地方公共団体の各課題に対する取組方針、内容は略   参考資料20ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、3 ホームレス数が少ない地方公共団体の各課題に対する取組方針、4 総合的かつ効果的な推進体制等、内容は略   参考資料21ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第3 ホームレス自立支援施策の推進、4 総合的かつ効果的な推進体制等、5 本基本方針のフォローアップ及び見直し、第4 都道府県等が策定する実施計画の作成指針、1 手続についての指針、内容は略   参考資料22ページ ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(令和5年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 第4 都道府県等が策定する実施計画の作成指針、1 手続についての指針、2 実施計画に盛り込むべき施策についての指針、3 その他、内容は略   参考資料23ページ 第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画の策定体制(令和6年3月現在) (策定主体)名古屋市ホームレス援護施策推進本部(本部会議、幹事会を開催) 本部長:副市長(健康福祉局主管)、副本部長:副市長(りょくせい土木局主管)、本部員:局長等(27人)、幹事:課長等(30人)で構成 ホームレスに関する援護施策を総合的かつ円滑に推進するために設置し、以下の事項を行う ・ ホームレスに関する援護施策の総合的な企画に関すること ・ ホームレスの援護に関する重要な事業の実施の推進に関すること ・ その他ホームレスに関する援護施策に関すること (作業部会)ワーキングチーム 局の企画担当係長・主査及び関係事業担当課の係長・主査で構成 第5期実施計画の素案作成のため、現行計画の7つの主な取り組みごとに分科会を開催 (学識経験者等懇談会)アドバイザー懇談会( 学識経験者等5人で構成 ) 第5期実施計画の策定にあたり学識経験者等から以下の事項についてアドバイスを得るために開催 ・ 実施計画に盛り込むべき事項に関すること ・ その他実施計画の策定にあたり必要となる事項に関すること   参考資料24ページ ○名古屋市ホームレス援護施策推進本部規程(令和6年3月現在) 平成13年8月1日 たつ第33号 改正 平成16年たつ第22号 平成17年たつ第5号 平成18年たつ第22号 平成19年たつ第7号 平成19年たつ第54号 平成20年たつ第10号 平成22年たつ第4号 平成23年たつ第5号 平成24年たつ第7号 平成26年たつ第5号 平成26年たつ第31号 平成27年たつ第4号 平成28年たつ第1号 平成29年たつ第3号 平成30年たつ第9号 平成31年たつ第9号 令和2年たつ第5号 令和2年たつ第58号 令和3年たつ第11号 令和4年たつ第4号 令和5年たつ第2号 注 令和2年3月から改正経過を注記した。 (設置) 第1条 住居のない者(以下「ホームレス」という。)に関する援護施策を総合的かつ円滑に推進するため、名古屋市ホームレス援護施策推進本部(以下「推進本部」という。)を置く。 (所掌事務) 第2条 推進本部は、次の各号に掲げる事項を処理する。  参考資料25ページ 第1号 ホームレスに関する援護施策の総合的な企画に関すること。 第2号 ホームレスの援護に関する重要な事業の実施の推進に関すること。 第3号 その他ホームレスに関する援護施策に関すること。 (構成) 第3条第1項 推進本部に本部長、副本部長及び本部員を置く。 第2項 本部長は健康福祉局主管副市長とし、副本部長はりょくせい土木局主管副市長とする。 第3項 本部員は、別表に掲げる職にある者をもって充てる。 (本部長等) 第4条第1項 本部長は、本部の事務を総理し、本部会議の議長となる。 第2項 副本部長は、本部長を補佐し、本部長に事故があるときは、その職務を代理する。 (本部会議) 第5条 本部会議は、必要の都度本部長が招集する。 (幹事) 第6条第1項 推進本部に幹事を置き、次に掲げる者をもって充てる。 第1号 別表に掲げる職にある者 第2号 本部長が指定する区の企画経理室長の職にある者 第3号 その他本部長が指定する職にある者 2 幹事は、本部長のめいを受け、推進本部の事務について本部員を補佐する。 (事務局) 第7条 推進本部の所掌事務を処理させるため、推進本部に事務局を置く。 (委任) 第8条 この規程に定めるもののほか、推進本部の運営その他必要な事項は、本部長が定める。 附則 このたつは、発布の日から施行する。 附則(平成16年たつ第22号)抄 1 このたつは、平成16年4月1日から施行する。 附則(平成17年たつ第5号)抄 1 このたつは、平成17年4月1日から施行する。 附則(平成18年たつ第22号)抄 1 このたつは、平成18年4月1日から施行する。 参考資料26ページ 附則(平成19年たつ第7号) このたつは、平成19年4月1日から施行する。 附則(平成20年たつ第10号)抄 1 このたつは、平成20年4月1日から施行する。 附則(平成22年たつ第4号) このたつは、平成22年4月1日から施行する。 附則(平成23年たつ第5号)抄 1 このたつは、平成23年4月1日から施行する。 附則(平成24年たつ第7号)抄 1 このたつは、平成24年4月1日から施行する。 附則(平成26年たつ第5号) このたつは、平成26年4月1日から施行する。 附則(平成27年たつ第4号) このたつは、平成27年4月1日から施行する。 附則(平成28年たつ第1号) このたつは、平成28年4月1日から施行する。 附則(平成29年たつ第3号)抄 1 このたつは、平成29年4月1日から施行する。 附則(平成30年たつ第9号)抄 1 このたつは、平成30年4月1日から施行する。 附則(平成31年たつ第9号)抄 1 このたつは、平成31年4月1日から施行する。 附則(令和2年たつ第5号)抄 1 このたつは、令和2年4月1日から施行する。 附則(令和2年たつ第58号)抄 1 このたつは、令和2年12月14日から施行する。 附則(令和3年たつ第11号)抄 1 このたつは、令和3年4月1日から施行する。 附則(令和4年たつ第4号)抄 1 このたつは、令和4年4月1日から施行する。 附則(令和5年たつ第2号)   参考資料27ページ このたつは、令和5年4月1日から施行する。 別表 (令2たつ5・令2たつ58・令3たつ11・令4たつ4・令5たつ2・一部改正) 本部員 会計室長 防災危機管理局長 市長室長 総務局長 財政局長 スポーツ市民局長 経済局長 観光文化交流局長 環境局長 健康福祉局長 子ども青少年局長 住宅都市局長 上下水道局長 交通局長 消防局長 選挙管理委員会事務局長 監査事務局長 人事委員会事務局長 教育長 市会事務局長 総務局企画調整監 りょくせい土木局公園緑地・農政監 総務局総合調整部長 健康福祉局生活福祉部長 りょくせい土木局緑地部長 中村区長 なか区長   参考資料28ページ 幹事 会計室出納課長 防災危機管理局総務課長 市長室秘書課長 総務局総務課長 総務局企画部企画課長 総務局総合調整部総合調整室長 財政局総務課長 スポーツ市民局総務課長 経済局産業労働部産業企画課長 観光文化交流局総務課長 環境局総務課長 健康福祉局総務課長 健康福祉局高齢福祉部主幹(包括的支援の推進に係る企画調整) 健康福祉局生活福祉部保護課長 健康福祉局生活福祉部主幹(援護事業・保護施設) 健康福祉局新型コロナウイルス感染症対策部感染症対策室長 子ども青少年局企画経理課長 住宅都市局企画経理課長 住宅都市局住宅部住宅企画課長 住宅都市局住宅部住宅管理課長 りょくせい土木局主幹(企画) りょくせい土木局路政部道路管理課長 りょくせい土木局河川部河川管理課長 りょくせい土木局緑地部緑地管理課長 りょくせい土木局緑地部主幹(公園適正利用) 上下水道局企画経理部経営企画課長 交通局営業本部企画財務部主幹(企画調整・外郭団体) 消防局総務部総務課長 消防局救急部救急課長 教育委員会事務局総務部企画経理課長   参考資料29ページ 「名古屋市ホームレス援護施策推進本部事務局」(令和6年3月現在) 事務局長:健康福祉局生活福祉部長 事務局次長:総務局総合調整部総合調整室長《総括及び庁内の連絡調整》 事務局次長:健康福祉局高齢福祉部主幹(包括的支援の推進に係る企画調整)健康福祉局生活福祉部主幹(困窮者支援に係る連絡調整)兼務《生活困窮者に対する自立の支援に関すること》 事務局主査:健康福祉局高齢福祉部地域ケア推進課主査(包括的支援の推進に係る企画調整)健康福祉局生活福祉部保護課主査(困窮者支援に係る連絡調整)兼務 事務局次長:健康福祉局生活福祉部保護課長《生活保護制度との連絡調整》 事務局次長:健康福祉局生活福祉部主幹(援護事業・保護施設)《住居のない者の援護・保護施設に係る企画調整》 事務局主査:健康福祉局生活福祉部保護課主査(援護事業・保護施設) 事務局次長:りょくせい土木局路政部道路管理課長《道路監理に係る総合調整》 事務局主査:りょくせい土木局路政部道路管理課監理係長 事務局次長:りょくせい土木局緑地部緑地管理課長《公園管理に係る総合調整》 事務局主査:りょくせい土木局緑地部緑地管理課指導係長 事務局次長:りょくせい土木局緑地部主幹(公園適正利用)《住居のない者に対する公園適正利用の指導》 事務局主査:りょくせい土木局緑地部緑地管理課主査(公園適正利用)2名うち1名 健康福祉局生活福祉部保護課主査(援護事業に係る連絡調整)兼務   参考資料30ページ 「第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」 ワーキングチーム作業班(令和6年3月現在) 第1班 住まいの確保と定着 班長:健康福祉局保護課主査(援護事業・保護施設)、住宅都市局企画経理課主査(企画調整)、住宅都市局住宅企画課主査(居住支援の促進等)、住宅都市局住宅管理課主査(入居に係る企画調整)、健康福祉局総務課企画係長 第2班 就労機会の確保と定着 班長:健康福祉局保護課主査(適正実施)、経済局労働企画室労働企画係長、子ども青少年局企画経理課企画係長、子ども青少年局青少年家庭課青少年自立支援係長 第3班 心身の健康維持・回復 班長:健康福祉局保護課医療保護係長、健康福祉局感染症対策室主査(特定感染症等対策)、健康福祉局健康増進課推進係長 第4班 相談・援護 班長:健康福祉局保護課保護係長、中村区民生子ども課保護第三係長、なか区民生子ども課主査(相談援護)、健康福祉局介護保険課推進係長 第5班 人権の擁護と尊重 班長:健康福祉局保護課事務係長 、スポーツ市民局人権施策推進室主査(人権企画)、教育委員会企画経理課企画経理第一係長、教育委員会人権教育室主査(人権教育) 第6班 地域における生活環境の維持・改善 班長:りょくせい土木局緑地管理課主査(公園適正利用)健康福祉局保護課主査(援護事業に係る連絡・調整)兼務、りょくせい土木局企画経理課主査(企画)、りょくせい土木局道路管理課監理係長、りょくせい土木局河川管理課管理係長、中村土木事務所維持第二係長、なか土木事務所維持第二係長、住宅都市局街路計画課高速道路係長 第7班 民間団体等との連携・地域福祉 班長:健康福祉局地域ケア推進課主査(包括的支援の推進に係る企画調整)健康福祉局保護課主査(困窮者支援に係る連絡調整)兼務、総務局企画課主査(企画)、総務局総合調整室主査(公民連携推進に係る企画調整)、スポーツ市民局地域安全推進係長、スポーツ市民局市民活動推進センター主査(市民活動に係る協働推進等)、健康福祉局地域ケア推進課地域福祉係長、中村区企画経理室主査(区の特性に応じたまちづくりに係る企画調整)、なか区地域力推進室主査(地域の魅力の向上・多文化共生の推進) 参考資料31ページ 第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画アドバイザー懇談会構成員名簿(令和6年3月現在) (敬称略)五十音順 岡本 祥浩(中京大学総合政策学部教授) 橋本 恵一(特定非営利活動法人ささしまサポートセンター事務局次長) 水谷 聖子(日本福祉大学看護学部教授) 山田 壮志郎(日本福祉大学社会福祉学部教授) 吉住 隆弘(中京大学心理学部教授)   参考資料32ページ 第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画の策定に関するアドバイザー懇談会開催要綱 (趣旨) 第1条 第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(以下「実施計画」という。)の策定にあたり学識経験者等のアドバイスを得るため、アドバイザー懇談会(以下「懇談会」という。)を開催する。 (検討事項) 第2条 懇談会は、次の各号に掲げる事項を検討する。 第1号 実施計画に盛り込むべき事項に関すること 第2号 その他実施計画の策定にあたり必要となる事項に関すること (構成) 第3条 懇談会は、次に掲げる者のうち、健康福祉局長が指名するものから構成する。 第1号 学識経験者 第2号 支援団体関係者 (謝礼) 第4条 懇談会の出席者に対する謝金のがくは、日額11,600円とする。 (庶務) 第5条 懇談会の庶務は、健康福祉局生活福祉部保護課において処理する。 (その他) 第6条 この要綱に定めるもののほか、懇談会の運営に関して必要な事項は、健康福祉局長が定める。 附則 この要綱は、令和5年7月10日から施行する。   参考資料33ページ 第5期実施計画策定までの経過 ●名古屋市ホームレス援護施策推進本部の開催状況 幹事会<書面開催> (令和5年3月23日開催) 内容 ○ 「第4期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」の評価 ○ 「第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」の策定 ・第5期実施計画策定について ・第5期実施計画ワーキングチーム(案) ○ その他 ・第30回名古屋市ホームレス援護施策推進本部幹事会日程 幹事会(令和5年10月20日開催) 内容 ○ 国「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」について ○ 「第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」について ・第5期実施計画(素案原案) ○ 策定スケジュールについて 本部会議(令和5年11月13日開催) 内容 ○ 「第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」案について   参考資料34ページ 幹事会(令和6年2月21日開催) 内容 ○ 「第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(案)」について ・「第5期実施計画(案)」に対する市民意見の内容及び市の考え方について ・第5期実施計画(案)の修正文案 本部会議(令和6年3月25日開催) 内容 ○ 「第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(案)」について ・「第5期実施計画(案)」に対する市民意見の内容及び市の考え方について ・第5期実施計画(案)の修正文案   参考資料35ページ ●ワーキングチームの分科会及び全体会議の開催状況 第1回全体会議(令和5年5月12日開催) 内容 ○ 第4期実施計画の概要 ○ 山田壮志郎教授(アドバイザー懇談会構成員)の講演 ○ 第5期実施計画の策定体制及びスケジュールについて ○ ワーキングチの進め方について 分科会(令和5年7月から8月開催) 内容 ○ 第5期実施計画における「7つの主な取り組み」の事項について素案を作成 ○ 開催状況 ・第1回ワーキングチーム分科会(6月9日から6月28日まで) ・第2回ワーキングチーム分科会(7月12日から7月26日まで) ・第3回ワーキングチーム分科会(8月7日から8月15日まで) 第2回全体会議(令和5年9月8日開催) 内容 ○ 国「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」 ○ 第5期実施計画の素案原案 ・第5期実施計画概要について ・各ワーキングチームで取りまとめた結果(「7つの主な取り組み」)について ・質疑応答 ○ 今後のスケジュール   参考資料36ページ ●アドバイザー懇談会の開催状況 第1回(令和5年9月28日開催) 内容 ○ 国「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」 ○ 第5期実施計画の素案原案 ・第5期実施計画概要について ・各ワーキングチームで取りまとめた結果(「7つの主な取り組み」)について ・構成員から助言、質疑応答 ○ 今後のスケジュール 第2回(令和6年2月16日開催) 内容 ○ 「第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画(案)」について ・「第5期実施計画(案)」に対する市民意見の内容及び市の考え方について ・第5期実施計画(案)の修正文案 ・構成員から助言、質疑応答 ○ 今後のスケジュール ●その他の実施状況 令和5年12月5日 市会所管事務調査 令和6年1月11日から2月9日まで パブリックコメントの実施   参考資料37ページ 第5期愛知県ホームレス自立支援施策等実施計画の概要 1 計画の概要 2 現状と課題 (1)本県のホームレスの現状(令和5年1月全国調査(概数調査)結果) (2)ホームレス対策の課題 3 ホームレス自立支援施策の推進 (1)施策の方向性 内容は略  参考資料38ページ 3 ホームレス自立支援施策の推進 (2)基本目標 (3)個別課題と推進すべき取組 内容は略 裏表紙裏 白紙   裏表紙 第5期名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画 令和6年3月発行 発行・編集:名古屋市ホームレス援護施策推進本部事務局 (名古屋市健康福祉局生活福祉部保護課) 〒460-8508 名古屋市中区三の丸三丁目1番1号 TEL 052-972-2555 FAX 052-972-4148 音声コード:JAVIS Appli.(特定非営利活動法人日本視覚障がい情報普及支援協会)