表紙 名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画(案) みなさまのご意見をお願いします。 この冊子は、「名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画(案)」を掲載しています。 本計画は、社会福祉法に基づき、「重層的支援体制整備事業」をより適切かつ効果的に実施するために必要な具体的な支援体制に関する事項を定め、事業の実施を通じて、支援を必要とする人を誰一人取り残さない地域共生社会の実現を目指して策定します。 この計画(案)について、ご意見がございましたら、裏表紙の「ご意見記入用紙」にご記入のうえ、お送りいただきますようお願いします。 令和4年12月 名古屋市 各ページにある四角のコードは、「音声コード」といい、専用の読み取り機や音声コードに対応したアプリケーションをインストールしたスマートフォンにより、音声でこの冊子の内容を確認することができます。 目次 第1章 計画の策定にあたって …1ページ ・計画策定の背景と趣旨 …2ページ ・本市の現状 …3ページ ・重層的支援体制整備事業とは…5ページ ・社会福祉法における重層的支援体制整備事業の内容 …5ページ ・名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画の策定 …7ページ ・計画の位置づけと計画期間 …8ページ ・SDGsを踏まえた計画の推進 …9ページ 第2章 計画が目指すもの …13ページ ・基本理念及び基本目標 …14ページ ・基本方針 …14ページ ・重層的支援体制整備事業を推進する地域(圏域)の考え方 …14ページ ・包括的相談支援チームの配置 …15ページ ・重層的支援体制整備事業の推進体制 …16ページ 第3章 具体的な取り組み …19ページ ・基本方針と具体的な施策の展開 …20ページ ・基本方針1 属性や世代を問わない相談支援体制の構築 …22ページ ・基本方針2 支援が必要な世帯に支援を届けるための仕組みづくり …26ページ ・基本方針3 多様な社会参加に向けた支援 …30ページ ・基本方針4 地域づくりに向けた支援 …34ページ 第4章 計画の推進 …37ページ ・計画の推進体制 …38ページ ・重層的支援体制整備事業の事業実施目標 …38ページ ・事業実施目標設定にあたっての考え方 …39ページ ・進捗管理 …40ページ 参考資料 …41ページ ・関連施策一覧 …42ページ ・令和3年度名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画策定のためのアンケート調査結果 …52ページ ・包括的な相談支援体制構築のための調査結果(平成31年4月から令和3年9月) …64ページ 1ページ 第1章 計画の策定にあたって ・計画策定の背景と趣旨 ・本市の現状 ・重層的支援体制整備事業とは ・社会福祉法における重層的支援体制整備事業の内容 ・名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画の策定 ・計画の位置づけと計画期間 ・SDGsを踏まえた計画の推進 2ページ 計画策定の背景と趣旨 近年、地域の「つながり」が希薄化していく中で、生活課題を抱えながらも相談する相手がなく、また制度の狭間で孤立してしまう世帯が増えています。家族構造の変化と多様化により、生活課題も複雑化や複合化が進んでおり、80歳代の高齢者の親とひきこもり状態の50歳代の単身・無職の子が同居している「8050問題」等、単一の専門分野の制度利用や支援だけでは、十分に生活課題に対応できない事例も増加しています。 平成29年6月に公布された改正社会福祉法において、市町村が、分野を超えた生活課題に総合的に相談に応じ解決する「包括的な相談支援体制づくり」に努める旨が規定されました。本市では、これを受けて、本市の包括的相談支援体制のあり方を検討するため、令和元年度から南区での調査事業を実施しました。 この調査事業では、南区内の介護、障害、子ども、生活困窮に関する相談に対応している相談支援機関が把握しているだけでも、136世帯が、複合的な生活課題を抱える等の理由により、単独の機関では対応ができない生活課題を抱えていることが、各相談支援機関へのアンケート調査により判明しました。 この結果を受けて、本市は、令和2年度に策定した「なごやか地域福祉2020(第3期名古屋市地域福祉計画・第6次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画)」策定に向けて全市的なアンケート調査を実施したところ、市内の相談支援機関や地域で福祉活動を行う団体等において、複合的な生活課題を抱えている等の理由により支援が届けられない世帯を多数把握していることが判明しました。 本市は、このような世帯に支援を届けるため、令和2年6月に社会福祉法において創設された「重層的支援体制整備事業」を「なごやか地域福祉2020」における「丸ごと相談や複合的な課題等を抱える人への包括的な相談支援の推進」と位置づけ、各区で順次開始し、令和4年度現在、4区で試行実施しています。「重層的支援体制整備事業」とは、市町村が包括的な相談支援体制を構築するため、地域住民が抱える複雑化・複合化した生活課題に関する相談を属性や世代を問わず包括的に受け止め支援する「属性を問わない相談支援」、社会とのつながりをつくるための支援を行う「参加支援」、世代や属性を超えて交流できる場や居場所を整備する「地域づくりに向けた支援」の3つの支援で対応することとしています。 この名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画(以下、「本計画」という。)は、社会福祉法第106条の5の規定に基づき、「重層的支援体制整備事業」をより適切かつ効果的に実施するために必要な具体的な支援体制に関する事項を定め、重層的支援体制整備事業の実施を通じて、支援を必要とする人を誰一人取り残さない地域共生社会の実現を目指して策定するものです。 3ページ 本市の現状 複合的な生活課題や制度の狭間の問題を抱え、支援が届かない世帯の状況を把握することや、重層的支援体制整備事業の推進に必要な体制を検討するため、市内の相談支援機関と地域で福祉活動を行う地域団体に向けて、令和3年度に名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画策定のためのアンケート調査を実施しました。 複合的な生活課題や制度の狭間の問題を抱え、支援が届かない世帯の状況 相談支援機関や地域の関係団体が関わりのあった世帯の中で、8050問題等の単独で支援をすることが難しい複合的な生活課題を抱えた世帯や、制度の狭間の問題を抱え、支援につながっていない世帯が、多くあることが判明しました。 【単独の機関・団体では解決が困難だった事例の延べ件数】 相談支援機関 706件 地域の関係団体 679件 ただし、各機関・団体で関わっている同一事例の重複計上があり得ます。 支援につながらない世帯や支援を拒否する世帯の状況 ・支援につながっていない事例では、「精神疾患等の疑いがあり、支援の必要があるのに、本人に困っているという認識がない」という事例や「ひきこもり」状態にある事例が多く、そのような世帯に粘り強く対応できる専門職が必要であることが判明しました。 ・相談支援機関へのヒアリングにおいて、「支援につながっていない人を把握するには、地域住民等のつながりを活用することが大事。」との意見や「支援を拒否している人には、地域住民や地域福祉活動を行う者等と連携し、本人と信頼関係のある人を介してアプローチする等の工夫が必要。」との意見もありました。 【相談支援機関が把握している支援につながりにくい事例の延べ件数】 精神疾患等の疑い 3,032件、ひきこもり 1,114件、8050問題 700件、支援拒否で接触不可 569件 ただし、各機関で関わっている同一事例の重複計上があり得ます。 4ページ 相談支援機関が把握している生活課題の状況 生活課題別では、「精神疾患等が疑われるが、本人に病識がなく適切な支援につながっていない」、「8050問題を抱えた世帯」や「支援を拒否」が上位を占めました。 【単独の機関では解決が困難だった事例に関する生活課題】 1、8050問題と言われる、高齢の親と中高年の子の世帯であり、子のひきこもりや経済的自立等の生活課題がある、が280件、 2、ダブルケアと言われる、親の介護と子育てを同時におこなっており、負担や孤独を感じている、が38件、 3、ヤングケアラーと言われる、18歳未満の子が家族の介護や世話を行っている、が33件、 4、必要と思われる支援や関わりを拒否し適切な支援が受けられていない、が351件、 5、精神疾患や知的障害等が疑われるが、本人に病識がなく適切な支援につながっていない、が296件、 6、地域とのつながりがない、迷惑行為、ごみ屋敷等地域とのトラブルがある、が257件、 7、収入があるが、金銭管理ができていない等経済面で支障が生じているが、生活保護等の公的な制度に該当しない、が177件、 8、生活保護世帯であるが、金銭管理等ができず生活に支障が生じている、が53件、 9、外国人市民で、意思疎通に難あり、文化の違いがあることによりコミュニケーションがとれず孤立しており、様々な生活課題が生じている、が18件、 10、生活課題があるが、該当する制度がない、例えば、基準に満たない、年齢要件に当てはまらない、在留資格が要件に当てはまらない等、が39件、 11、その他が71件あり、合計1,613件でした。 ただし、各機関で関わっている同一事例の重複計上があり得ます。 5ページ 重層的支援体制整備事業とは 重層的支援体制整備事業は、社会福祉法に規定される事業であり、市町村において、介護、障害、子ども、生活困窮といった分野別の支援体制では対応しきれないような「地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズ」に対応する包括的な相談支援体制を構築するため、既存の相談支援や地域づくり支援の取り組みを活かして、「属性を問わない相談支援」、「参加支援」、「地域づくりに向けた支援」を一体的に支援するものです。 社会福祉法における重層的支援体制整備事業の内容 社会福祉法に基づく重層的支援体制整備事業は、「属性を問わない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の3つの内容から構成されています。本市においても、本市の既存の取り組みや地域の実情に基づき、国の定める重層的支援体制整備事業を実施します。 属性を問わない相談支援 ・包括的相談支援事業(社会福祉法第106条の4第2項第1号) 介護、障害、子ども、生活困窮の各分野を担当する相談支援機関が、相談者の属性、世代、相談内容等に関わらず、まずは地域住民からの相談を幅広く受け止め、生活課題の解きほぐしや整理を行うとともに、本人に寄り添い支援します。 受け止めた相談のうち、相談を受けた相談支援機関のみでは解決が難しい場合は、地域における相談支援機関等のネットワークを活用し、他分野の相談支援機関等と連携しながら支援にあたります。 社会福祉法において、介護、障害、子ども、生活困窮を担当する相談支援機関が、包括的相談支援を行うこととされていますが、本市においては、他のより多くの分野の相談支援機関とも連携しながら包括的な相談支援を推進していきます。 【社会福祉法において包括的相談支援を行うこととされている相談支援機関】 本市における相談支援機関の名称と担当する分野は、「いきいき支援センター」が介護、「障害者基幹相談支援センター」が障害、「子育て総合相談窓口」が子ども、「仕事・暮らし自立サポートセンター」が生活困窮です。 ・多機関協働事業(社会福祉法第106条の4第2項第5号) 生活課題の複雑化・複合化により、既存のネットワークを活用した相談支援機関等の連携だけでは課題解決が困難である場合、その事例の支援に関わる相談支援機関等が参加する重層的支援会議を開催し、支援に関する必要な検討を行います。 6ページ ※重層的支援会議とは 重層的支援会議では、相談支援機関等の役割分担を協議し、支援の方針を定めたプランを作成します。各相談支援機関等は、プランに基づき支援を行います。また、プランの見直しや支援の終結についても協議します。 ・アウトリーチ等を通じた継続的支援事業(社会福祉法第106条の4第2項第4号) 複雑化・複合化した生活課題を抱え、必要な支援が届いていない世帯に支援を届けるため、支援につながっていない世帯の情報を地域のつながりや相談支援機関等との連携から把握し、訪問等により本人と直接、継続的に関わるための信頼関係の構築や、本人とのつながりづくりに向けた支援を行います。 参加支援(社会福祉法第106条の4第2項第2号) 複雑化・複合化した生活課題を抱えている等の理由により既存の社会参加に向けた支援が困難な世帯に対して、生活課題等を丁寧に把握し、その世帯の状況に応じた地域における交流・活動の場への参加や就労支援等の支援の利用に向けて支援します。 さらに、本人の状態や希望に沿った参加・支援が実施できているかフォローアップ等を行い、本人やその世帯と社会とのつながりづくりに向けた支援を行います。 地域づくりに向けた支援(社会福祉法第106条の4第2項第3号) 地域における交流・活動の場が、複雑化・複合化した生活課題を抱えている世帯等を受け入れることができるよう、介護、障害、子ども、生活困窮の各分野において実施されている既存の地域づくりに関する事業の取り組みを活かしつつ、世代や属性の枠を超えた交流・活動の場の整備やそれらのネットワークを構築します。 7ページ 名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画の策定 社会福祉法第106条の5において、市町村は、重層的支援体制整備事業を適切かつ効果的に実施するため、「重層的支援体制整備事業実施計画」を策定するよう努めることとされています。 本市の特色を活かしながら重層的支援体制整備事業を適切かつ効果的に実施し、すべての人に包括的な相談支援を届けるために本計画を策定するとともに、計画の策定を通じ、地域で福祉活動を行う関係者・関係機関との意見交換等を重ね、事業の理念や目指すべき方向性について、共通認識を醸成していくことを目指します。 コラム 「我が事・丸ごと」の地域共生社会 昨今、ご近所づきあいが薄れるとともに、地域で課題を解決する力が弱まっていると言われています。このため、かつては家族や親戚、隣近所や知人が助けあって解決していたような困りごとでも、今ではひとりで抱え込んで解決できなくなっている人や世帯があります。 悩みや不安の一つ一つは、誰もが持ち得るものですが、その数々の問題が積み重なって負担が大きくなることもあります。身近で本当に困っている人がいれば、同じ地域の一員として、その人のことを思いやり、そのうちのいくつかでも、手を差し伸べ、互いに助けあい、支えあって暮らしていくことが大切です。 そこで、制度や分野ごとの縦割りや、支え手と受け手という関係を超えて、地域の住民や多様な主体が「我が事」として参画し、人と人、人と社会資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創る「地域共生社会」の実現を目指すことが求められています。 「なごやか地域福祉2020(第3期名古屋市地域福祉計画・第6次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画)」の基本目標では、「地域共生社会の実現に向けて、地域を構成する様々な団体等が互いに手を携えて連携・協働し、地域の誰もが役割を持って、つながり支えあいながら、自分らしく暮らし活躍できる地域社会を目指す」としています。重層的支援体制整備事業も地域共生社会の実現に向けて推進するものであることから、「なごやか地域福祉2020」と連携した取り組みの検討が必要となります。 8ページ 計画の位置づけと計画期間 (1)計画の位置づけ 本計画は、「なごやか地域福祉2020(第3期名古屋市地域福祉計画・第6次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画)」の中に方策として位置づけられている「丸ごと相談や複合的な課題等を抱える人への包括的な相談支援の推進」の取り組みについて具体的に規定するものであること及び地域福祉の取り組みの中で行われる地域づくりと密接な関係があることから両計画を一体的な計画として位置づけます。また、名古屋市総合計画2023やなごや人権施策基本方針を基礎として、各福祉分野の個別計画や関係するその他の計画との調和を図りながら策定します。 (2)計画期間について 「なごやか地域福祉2020」の計画期間と併せて5年間とします。ただし、今回策定する「名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画」の計画期間は、「なごやか地域福祉2020」の期間と併せて、令和5年度~6年度とし、「第4期名古屋市地域福祉計画・第7次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画」(計画期間:令和7年度~11年度)策定時に併せて見直します。 本計画と他の計画との関係性を示した図では、各事業ごとに作成されている個別計画を下から支えているなごやか地域福祉2020及び名古屋市成年後見制度利用促進計画があり、さらにその基礎となっている名古屋市総合計画2023及びなごや人権施策基本方針が示されている。本計画は、なごやか地域福祉2020の中の具体的な事業計画として規定している。 9ページ SDGsを踏まえた計画の推進 平成27(2015)年9月、国連サミットにおいて持続可能な開発目標(SDGs:SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS)が採択されました。 SDGsでは、令和12(2030)年までの世界共通の目標として、健康や教育、経済成長に関するもの等、多岐にわたる17の持続可能な開発目標と169のターゲットが設定され、地球上の誰一人として取り残さないことを誓っています。 本計画では、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」及び目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の達成に向けて、計画の推進に取り組みます。 コラム 8050問題等の複合的な生活課題を抱えた世帯、制度の狭間にある世帯への支援 いわゆる8050問題等の複合的な生活課題を抱えた世帯等の中には、自ら支援を求めず、また周囲もその世帯の課題に気づかず、周囲の対応が遅れてしまうことにより、さらに課題が複雑化・深刻化していくこともあります。また、複数の相談支援機関が関わる場合も、それぞれの役割による支援に制約や限界があり、必要と思われる支援が届かない場合もあります。 本市で配置した包括的相談支援チームは、高齢の親と知的障害のある子との8050問題を抱えた世帯で、子が親の介護を献身的に担っている事例に対応しました。親の心身機能が低下し、50歳代の子は、介護に伴うストレスのため、深夜や早朝に大声を出したり、壁に体をたたきつける自傷行為を行ったりするようになり、近隣住民が困惑していました。 チームは、区役所、いきいき支援センター(高齢者の支援を担当する相談支援機関)、ケアマネジャー、障害福祉分野の相談支援員とともに生活課題を共有し、支援の方向性や役割分担を確認する会議を開催しました。会議後は、関係者が、「二人の世帯」という同じ幅広い視点で支援ができるよう調整し、支援方針を相談支援機関同士で共有することができる体制を整えました。 10ページ 【参考】社会福祉法における重層的支援体制整備事業の位置づけ 重層的支援体制整備事業は、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日に閣議決定)等において目指すこととされた「地域共生社会」の実現のために創設されました。 「地域共生社会」は、地域・分野ごとの縦割りや、「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会の実現を目指しています。 この「地域共生社会」を実現するための方向性として、住民同士の主体的な支えあいや地域の資源の活用を推進するための「『我が事』・『丸ごと』の地域づくりをはぐくむ仕組みへの転換」、個人や世帯の抱える複合的な生活課題等への包括的な相談支援のために「公的支援の縦割りから丸ごとへの転換」が重要であることが示されました。 これを受けて、平成30年4月に施行された改正社会福祉法において、地域住民や福祉関係者が、支援を必要とする住民が抱える多様で複合的な生活課題を把握し、関係機関と連携して解決を図ることが、「地域福祉の推進」として規定され、市町村にその取り組みを推進する環境整備が義務づけられました。 また、それに伴い、市町村が、住民の身近な圏域において分野を超えて生活課題について総合的に相談に応じ、関係機関と連絡調整を行い、相談支援機関が連携して、複合化した地域課題を解決するための体制「包括的な相談支援体制」の整備が求められるようになりました。 令和3年4月施行の改正社会福祉法において、「地域福祉の理念」「包括的な相談支援体制」の実現のための具体的な取り組みとして、重層的支援体制整備事業が創設されました。 11ページ 重層的支援体制整備事業実施までの経緯 政策・理念として、「ニッポン一億総活躍プラン」等において、地域共生社会の実現のため、『我が事』・『丸ごと』の地域づくりをはぐくむ仕組みへの転換、公的支援の縦割りから丸ごとへの転換が重要であると示されました。 平成29年6月公布の改正社会福祉法では、第4条に『我が事』・『丸ごと』の地域福祉の理念を規定し、地域住民や福祉関係者が支援を必要とする住民(世帯)の抱える多様で複合的な地域生活課題について、把握し、関係機関と連携して解決が図られることを規定しています。 また、第106条の3では市町村による包括的支援体制の整備が義務付けられ、地域住民の地域福祉活動への参加を促進するための環境整備、住民の身近な圏域において、分野を超えて地域生活課題について総合的に相談に応じ、関係機関と連絡調整を行う体制整備、市町村圏域において、相談支援機関が連携して、複合化した地域課題を解決するための体制整備が示されました。 そして、令和2年6月公布の改正社会福祉法第106条の4に、具体的な事業である重層的支援体制整備事業が創設されました。 12ページ 白紙 13ページ 第2章 計画が目指すもの ・基本理念及び基本目標 ・基本方針 ・重層的支援体制整備事業を推進する地域(圏域)の考え方 ・包括的相談支援チームの配置 ・重層的支援体制整備事業の推進体制 14ページ 基本理念及び基本目標 本計画を「なごやか地域福祉2020(第3期名古屋市地域福祉計画・第6次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画)」と一体的な計画として位置づけることや重層的支援体制整備事業に関する現状と課題を踏まえ、基本理念、基本目標を以下のように定めます。 基本理念 人権が尊重され、誰もがいきいきと暮らし、活躍できるまち、名古屋を目指して 基本目標 重層的支援体制整備事業の実施を通じて、地域に関わる住民や関係団体と連携、協働しながら、生活課題を抱え支援が必要な人に寄り添い、生活課題の解消と地域において役割を持ちながら社会参加できるよう包括的な相談支援を届け、誰一人取り残さない地域共生社会の実現を基本目標とします。 基本方針 計画を推進するにあたっての本市の基本方針は、社会福祉法に規定されている重層的支援体制整備事業の3つの内容「属性を問わない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」を本市の状況を踏まえて実施するため、「属性や世代を問わない相談支援体制の構築」「多様な社会参加に向けた支援」「地域づくりに向けた支援」とします。 さらに、令和3年度に実施した本計画策定のためのアンケート調査の結果において、ひきこもり等の理由により支援につながらない世帯へ支援を届けるため、アウトリーチにより支援を届けることが重要であることが判明したことから「支援が必要な世帯に支援を届けるための仕組みづくり」を加え、4つの取り組みを本市の基本方針として定めます。 基本方針1 属性や世代を問わない相談支援体制の構築 基本方針2 支援が必要な世帯に支援を届けるための仕組みづくり 基本方針3 多様な社会参加に向けた支援 基本方針4 地域づくりに向けた支援 4つの基本方針における取り組みを推進するため、区ごとに包括的相談支援チームを配置します。支援にあたっては、生活課題を抱える人の状況や特性を把握・理解し、寄り添いながら、一人ひとりの人権が尊重され、地域社会の中で自分らしく生活できることを目指します。 重層的支援体制整備事業を推進する地域(圏域)の考え方 重層的支援体制整備事業では、複合的な生活課題を抱えた世帯等に包括的な相談支援を届けるため、地域に設置された相談支援機関等が連携しながら支援にあたることが想定されています。本市においては、介護、障害等に関する相談支援機関等の多くが、区単位で設置されており、これまでの取り組みの中で区内の関係機関の間で、一定のネットワーク 15ページ がすでに構築されています。このため、既存の枠組みを効率的に活用し、支援を円滑に行えるよう重層的支援体制整備事業を推進する地域(圏域)を区とし、事業を推進していきます。 包括的相談支援チームの配置 本市においては、介護、障害、子ども、生活困窮等、各分野を担当する相談支援機関が、担当する分野以外の生活課題を抱えた世帯に対応する際には、複数の相談支援機関等が連携して対応しています。 一方で、南区における「包括的な相談支援体制の構築のための調査」では、相談支援機関等の連携した支援のためには、相談支援機関ごとの支援方針をとりまとめたり、世帯の状況を総合的に把握し支援するコーディネーターの存在が、必要であると明らかになりました。また、地域から孤立し、支援を拒否する世帯の存在も確認されており、そのような世帯は、各相談支援機関も接触できない等の理由により、どのような福祉的課題を抱えているか分からず、支援の糸口が掴めない状況にあります。そのような世帯に訪問等により粘り強く接触し、相談支援機関による支援や地域において社会参加につなげていく専門的な支援の必要性も判明しました。 これを受けて本市では、「第3期名古屋市地域福祉計画・第6次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画」に基づき、相談支援機関同士の連携の強化を図り、生活課題を抱えた世帯へ継続的に訪問し、伴走支援を行う包括的相談支援チームを令和4年度からの重層的支援体制整備事業の試行実施に向けて令和3年度から順次区ごとに配置することとし、全区に包括的相談支援チームが配置される令和5年度までを本格実施に向けた準備・試行実施期間と位置づけ、包括的相談支援チームの効果的な運営方法や配置の効果等について検証します。 また、包括的相談支援チームは、福祉に関する幅広い専門知識、相談支援能力、対人援助能力が必要であることから、相談支援機関等を運営した実績のある法人へ公募により委託することとします。また、社会福祉士、精神保健福祉士の資格を保有する専門職等(令和4年度時点で4名。)により組織し、試行実施を通じて必要な体制を検討します。 本市においては、包括的相談支援チームの取り組みを中心として、市・区の担当部署、相談支援機関、地域における支えあいの取り組みが相互に連携することで重層的支援体制整備事業を推進します。 包括的相談支援チームの配置スケジュール まず4区において、令和3年10月から順次配置と準備を行い、令和4年度から令和5年度に試行実施します。さらに別の4区において、令和4年10月から配置と準備を行い、令和5年度に施行実施します。 残りの8区においては、令和5年10月から配置と準備を行い、令和6年度から全16区において本格実施します。 16ページ 重層的支援体制整備事業の推進体制 区ごとに重層的支援体制整備事業を推進するにあたり、各区において把握した様々な生活課題を抱えた事例について、区や相談支援機関等が行う支援の利用につながるよう連携に努めます。また、区の関係部署や相談支援機関、地域団体等で構成する「重層的支援体制整備事業区連携会議」を設置し、重層的支援体制整備事業の情報共有・進捗管理や重層的支援体制整備事業を推進するための取り組みの検討を行います。 各区において検討した事項や課題は、名古屋市の地域福祉計画である「なごやか地域福祉2020」の策定や進捗管理を行う「地域福祉に関する懇談会」の作業部会である「重層的支援体制整備事業に関する懇談会」に報告します。学識経験者や関係団体の代表者等からなるこの懇談会において、「名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画」の進捗管理を行うとともに、新たな施策の検討等に関する意見聴取を行い、その結果を「地域福祉に関する懇談会」に報告し、「なごやか地域福祉2020」との調整を図りながら事業を推進します。 これらのことをまとめた図を示しています。 なお、包括的相談支援チームは、個別ケース検討会議において、各相談支援機関等における個別ケースに関する情報収集や支援方針の協議を行い、その上で、重層的支援会議において多機関協働事業による個別ケースの支援方針の協議・支援プランの作成を行い、その内容を、重層的支援体制整備事業区連携会議に報告します。 区連携会議は、地域包括ケア推進会議等の既存の会議と連携します。 17ページ 名古屋市における重層的支援体制整備事業の体系 各区への包括的相談支援チームの配置と区役所・市役所の連絡調整体制を推進し、4つの取り組みを重層的支援体制整備事業実施計画における基本方針として定め、重層的支援体制整備事業による包括的な相談支援体制を構築します。 基本方針1、属性や世代を問わない相談支援体制の構築では、包括的な相談支援体制の推進・多機関協働の推進・地域団体等との連携の推進、 基本方針2、支援が必要な世帯に支援を届けるための仕組みづくりでは、支援が必要な世帯に寄り添う専門員の配置・地域住民等と連携した支援対象者の把握・支援が必要な世帯を見守る体制等の構築、 基本方針3、多様な社会参加に向けた支援では、社会参加のための支援の推進・社会参加に向けた準備の場の整備・地域における様々な活動の把握、 基本方針4、地域づくりに向けた支援では、地域における多様な交流や活動の場との連携・地域と相談支援機関等との連携促進・地域の様々な活動のネットワークづくりをそれぞれ行います。 各分野における既存の相談支援や地域づくりの取り組みと連携しながら、地域共生社会の実現を目指します。 18ページ 白紙 19ページ 第3章 具体的な取り組み ・基本方針と具体的な施策の展開 ・基本方針1 属性や世代を問わない相談支援体制の構築 ・基本方針2 支援が必要な世帯に支援を届けるための仕組みづくり ・基本方針3 多様な社会参加に向けた支援 ・基本方針4 地域づくりに向けた支援 20ページ 基本方針と具体的な施策の展開 重層的支援体制整備事業における支援は、介護、障害、子ども、生活困窮等、様々な福祉分野にまたがっており、複数の分野の施策が連携しながら実施する必要があります。 本市では、以下のとおり4つの基本方針を設定のもと、具体的な施策を展開し、地域共生社会の実現を目指します。 基本方針1 属性や世代を問わない相談支援体制の構築 基本方針2 支援が必要な世帯に支援を届けるための仕組みづくり 基本方針3 多様な社会参加に向けた支援 基本方針4 地域づくりに向けた支援 21ページ 白紙 22ページ 基本方針1 属性や世代を問わない相談支援体制の構築 目標 地域で生活課題を抱えた世帯に関する相談が相談支援機関等にあった場合、介護、障害、子ども、生活困窮等、その相談支援機関等が担当する福祉分野に関するものでなくても受け止め、複数の関係機関で連携して対応する包括的な相談支援体制を構築します。 現状と課題 <現状>(令和3年度重層的支援体制整備事業実施計画策定のためのアンケート調査より) 相談支援機関や地域の関係団体が関わりのあった世帯の中で、8050問題等の複合的な生活課題や制度の狭間の問題があることによって単独では解決困難だった事例が多数判明しました。 単独の機関・団体では解決が困難だった事例の延べ件数 相談支援機関 706件 地域の関係団体 679件 複合的な生活課題や制度の狭間にある生活課題を抱えた世帯への支援について、相談支援機関等で連携して対応しています。 【55頁参照 多機関との役割分担で対応した事例の件数 延べ456件】 地域で孤立する世帯に支援を届けるため、相談支援機関等だけではなく、地域で福祉活動を行う地域団体等の協力を得て、支援している事例も存在しています。 【59頁参照 相談支援機関が実際に地域資源につないだ事例の有無】 複合的な生活課題等を受け止め、多機関と連携協働して支援にあたる上での主な課題として「相談や協議ができ、つながることができる場の設定」「コーディネートする機関や人の配置」及び「行政機関を含めた連携」が挙げられました。 【56頁参照 多機関と連携・協働して支援にあたる上での課題】 <課題> 相談支援機関等は、担当する福祉分野以外の複合的な生活課題を抱えた世帯から相談があった場合に他の相談支援機関とスムーズに連携し、支援できることが必要です。 生活課題が複雑化している世帯の対応には、多数の相談支援機関等で連携する必要がありますが、それぞれの相談支援機関等が緊密に連携するためには、連携のコーディネートを行う専門職や行政の関わりが必要です。 23ページ 地域で福祉活動を行う地域団体等の協力を得るためには、地域全体で包括的相談支援を推進する体制が必要です。 施策の展開 包括的な相談支援体制の推進 地域で生活課題を抱えた世帯に関する相談が相談支援機関等にあった場合、相談のあった相談支援機関等が担当しない分野を含む場合であっても、いったん相談を受け止め、複数の関係機関で連携して対応する包括的な相談支援体制を推進します。 多機関協働の推進 多数の生活課題が複雑に絡み合い、解決の糸口が掴めない世帯や、支援拒否が強く、なかなか支援につながらない世帯については、関係する相談支援機関等が集まり、支援の方策を検討するための会議体(重層的支援会議)を設置します。また、会議において複数の相談支援機関等が実施する支援の方向性をとりまとめ、継続して情報の共有を行う等、多機関協働をコーディネートする役割を包括的相談支援チームが担います。 地域団体等との連携の推進 地域の交流・活動の場の運営者、地域で福祉活動を行う社会福祉法人・NPO法人等の様々な団体と連携するため、市レベル・区レベルで関係者が集まる会議を開催し、重層的支援体制整備事業に係る参考事例の共有や取り組みの周知を行い、事業への協力を求めます。 施策を推進する事業 事業名等は「相談支援機関による包括的相談支援の推進」。事業概要は、相談支援機関が、単独で支援を行うことができない世帯に他の相談支援機関等と連携した対応を推進するため、研修等を実施。方向性は、令和5年度に拡充、令和6年度に実施。 事業名等は「包括的相談支援チームによる多機関協働事業の実施」。事業概要は、相談支援機関等の役割分担の整理が必要な場合に、支援に関わる相談支援機関等が参加する重層的支援会議を開催し、各相談支援機関等が連携した支援を実施。方向性は、令和5年度に拡充、令和6年度に実施。 事業名等は「重層的支援体制整備事業区連携会議」。事業概要は、区ごとに重層的支援体制整備事業を推進するにあたり、各区において重層的支援体制整備事業区連携会議を設置。方向性は、令和5年度に拡充、令和6年度に実施。 事業名等は「重層的支援体制整備事業に関する懇談会」。事業概要は、市域における重層的支援体制整備事業を推進するにあたり、実施計画の進捗管理や市レベルの施策の検討を実施。方向性は、令和5年度に実施。 24ページ 包括的な相談支援と多機関協働 8050問題、生活困窮、多頭飼育、障害・病気、ダブルケア、ひきこもり、ごみ屋敷、ヤングケアラー等の、複合的な生活課題を抱えた世帯・制度の狭間にある世帯について、本人や本人以外からの相談を、高齢分野の「いきいき支援センター」、障害分野の「障害者基幹相談センター」、子ども分野の「子育て総合相談窓口」、生活困窮分野の「仕事・暮らし自立サポートセンター」、区役所・保健センター、その他様々な相談窓口が受け付けます。 各相談支援機関は、連携による包括的な相談支援を行い、その中で、生活課題が複雑に絡み合い相談支援機関の連携だけでは対応できない事例、支援を受け入れない等支援が困難な事例について、「重層的支援会議」に報告します。 会議では、複合的な生活課題を抱えた世帯の支援のための多機関協働による支援を検討します。 会議には、包括的相談支援チーム、区役所、保健センター、相談支援機関、関係機関等、福祉事業者、医療機関等、地域で福祉活動等を行う様々な団体、地域の交流や活動の場の運営者が参画し、それぞれがつながり、支援を行います。 25ページ コラム 複数の相談支援機関の連携による支援 福祉に関する支援を担当している相談支援機関は、複数の生活課題を抱えた世帯に対し、相談支援機関どうしが互いに連携して対応しています。 高齢者を支援する「いきいき支援センター」の把握した70歳代の介護が必要な夫婦は、精神疾患があり長年ひきこもり状態の50歳代の子と同居しており、経済的に困窮していました。 いきいき支援センターは、生活困窮に関する支援を担当する「仕事・暮らし自立サポートセンター」に家計改善の支援、障害者支援を担当する「障害者基幹相談支援センター」に、精神疾患がある子の支援を依頼しました。 その後、仕事・暮らし自立サポートセンターが、定期的な訪問をし、世帯への家計改善のアドバイスを行うとともに、障害者基幹相談支援センターが、精神疾患の子に対応する訪問看護サービスの導入や就労支援を行った結果、週2回の就労が始まり、家族全員の気持ちが前向きに変化していきました。 コラム 複合的な福祉課題支援協議会 生活課題が複合化、複雑化している世帯には8050問題等複数の生活課題を抱えた世帯や精神障害等が疑われるものの本人や家族が気づかず、なかなか支援につながらない事例があります。 このような世帯を支援する場合、区役所の職員や相談支援機関の担当者は、単独で支援をすすめるには限界があり、他の福祉分野を担当する職員と連携する必要があります。西区では、令和2年度に福祉課が中心となり、介護、障害、子ども、生活困窮等様々な福祉分野の関係機関からなる「複合的な福祉課題支援協議会」を立ち上げ、関係機関で連携して支援の検討や課題の把握ができる体制の構築に努めています。 26ページ 基本方針2 支援が必要な世帯に支援を届けるための仕組みづくり 目標 生活課題を抱えながらも支援が届いていない世帯に対して、専門職が、訪問等により継続的に関わることで信頼関係を構築し、支援につなげるとともに、本人を中心に伴走する意識を持って生活課題の解消に向けて支援します。 現状と課題 <現状>(令和3年度重層的支援体制整備事業実施計画策定のためのアンケート調査より) 支援の必要があると思われても、困っているという認識がない世帯や支援を拒否する世帯が存在します。 相談支援機関が把握している支援につながりにくい事例の延べ件数 精神疾患の疑い 3,032件、ひきこもり 1,114件、8050問題 700件、支援拒否で接触不可 569件 支援を拒否する理由は、「本人には困っている認識はない」が最も多く、313件となりました。次に「困りごとがあっても制度利用等の意思がない」193件、「支援者の受け入れがよくない(支援者に関わって欲しくない。)」171件が続きました。 【58頁参照 支援を拒否する世帯が、支援を受け入れない理由として推定されるもの】 ひきこもり状態にある期間は、「10年以上」が最も多く20%でした。3年以上の合計は40%でした。【58頁参照 ひきこもりに関する状況】 地域の関係団体も支援につながりづらい事例を把握しています。 【60頁参照 事例の把握状況】 <課題> 支援が必要であるにも関わらず、困っているという認識がない世帯や支援を拒否する世帯が、支援を受けることに前向きになるためには、専門職が訪問等により接触し、きっかけや関係をつくり、寄り添いながら継続的に支援することが必要です。 専門職の訪問には、支援をしようとする世帯と信頼関係のある地域住民、地域団体の連携や協力が必要です。 地域住民や地域団体から支援が必要な世帯の情報を把握し、適切な支援につなげることが必要です。 27ページ 施策の展開 支援が必要な世帯に寄り添う専門職の配置 支援が必要であるにも関わらず、困っているという認識がない世帯や支援を拒否する世帯に対して、信頼関係を築くために訪問、電話、メール等により、継続的に接触し、支援につなげるとともに、寄り添いながら伴走支援を行う包括的相談支援チームを配置します。 地域住民等と連携した支援対象者の把握 包括的相談支援チームが、地域住民、地域団体からの情報提供を通じて支援が必要な世帯を把握し、連携しながら支援につなげます。また、地域の特性に応じて支援対象者を把握している関係者等の把握に努めます。 支援が必要な世帯を見守る体制等の構築 包括的相談支援チームが、近隣住民や日頃から関わりのある地域団体と連携し、支援が必要な世帯への接触や見守りを行います。 また、地域住民や地域団体に対し、包括的相談支援チームの取り組みに協力していただけるよう周知啓発に努めます。 施策を推進する事業 事業名等は「アウトリーチ等を通じた継続的支援の推進」。事業概要は、必要な支援が届いていない人に支援を届けるため、訪問等により本人と直接、継続的に関わり、信頼関係を構築し、生活課題の解消に向けた支援を実施。支援対象者の把握や見守りには、地域住民等と連携。方向性は、令和5年度に拡充、令和6年度に実施。 28ページ アウトリーチ等を通じた継続的支援事業 支援が必要であるにも関わらず、自ら相談支援機関等に支援を求めることができない世帯には、包括的相談支援チームが訪問等により、状況の確認や調査を行い、相談支援機関等の支援につなぐとともに、本人の意思や状況に応じて伴走支援を行い、支援が確実に届くように努めます。また、包括的相談支援チームは、地域住民や地域団体と連携し、支援が必要な世帯の把握、見守り等を行います。 これらのことをまとめた図を示しています。 また、「包括的相談支援チーム」は、「地域住民等」から情報収集、協力依頼を行います。 コラム アウトリーチを中心とした伴走支援の事例 生活課題を抱える世帯の中には、社会的に孤立し、支援を受け入れない世帯もありますが、支援を担う専門職が何度も訪問等により接触することで信頼関係を構築し、生活課題の解決に向けた支援につながる事例があります。 親が多額の資産を残して亡くなり、その家族である50歳代の男性が残されましたが、理解力や判断能力が弱く、金銭の管理に不安があったため、心配する近隣住民から包括的相談支援チームへ相談がありました。チームは、訪問を繰り返すことで、男性が両親の死後の手続きで不安を感じているとの悩みを聞くことができました。チームがその手続きに同行したところ、さらに「自分だけでは生活が大変。」と打ち明けたことから、成年後見制度等の必要な支援につなげることになりました。 その後、金融機関、税理士、民生委員、区社会福祉協議会の見守りネットワークが構築され、それぞれが、心配事をキャッチした際には、包括的相談支援チームに連絡が入る体制ができ、ゆるやかな見守りを継続しながらの伴走支援が続けられています。 29ページ コラム 猫を多頭飼育しているひとり暮らし高齢者への支援事例 ペットの多頭飼育問題の背景には、飼主の社会的孤立や経済的困窮等の問題が複雑に絡んでいる場合があります。 経済的に困窮し、8頭ほどの猫の世話をするひとり暮らし高齢者に関する相談が、地域住民から高齢者の支援を担当する「いきいき支援センター」にありました。同センターは、状況の改善に向けた支援をすすめましたが、受け入れてもらえず、包括的相談支援チームに協力依頼がありました。 チームは、家の雨漏りの修繕等の住宅に関する支援の案内や、本人が愛着をもつ猫の餌の管理等を切り口に、ペットの飼主への支援等を行う「人とペットの共生サポートセンター」とともに本人宅へ繰り返し訪問し、信頼関係を構築し、猫を引き取ってくれる飼主の募集等を実施しました。 また、家計改善の面で「仕事・暮らし自立サポートセンター」とも連携し、関係機関で互いの強みを活かした支援と情報共有を行うとともに、地域住民による見守り活動の協力を得ながら支援体制を整えました。 30ページ 基本方針3 多様な社会参加に向けた支援 目標 生活課題を抱え地域で孤立している世帯が、再び社会とつながることができるよう、地域において交流できる場や活動に参加できるよう支援します。 支援にあたっては、「支えられる」側の視点だけではなく、支援を受ける人が地域社会において「支える」側としても活躍できるような視点を持って支援します。 現状と課題 <現状>(令和3年度重層的支援体制整備事業実施計画策定のためのアンケート調査より) 地域とつながらず孤立する世帯、迷惑行為やごみ屋敷化等の地域とトラブルになっている世帯、外国人で地域とコミュニケーションがとれない世帯が存在しています。 【54頁参照 単独の機関では解決が困難だった事例に関する生活課題(相談支援機関向け) 60頁参照 事例の把握状況(地域関係団体向け)】 地域で福祉活動をする住民や団体、相談支援機関等を通じて、サロンやボランティア活動等の地域における交流・活動の場につながった事例も一定数ありますが、適切な交流・活動の場がない等の理由により社会参加につながらない事例もあります。 【59頁参照 相談支援機関が実際に地域資源につないだ事例の有無】 相談支援機関等からは、社会参加に向けた支援に必要なこととして、認知症や障害の有無、ひきこもり等の生活課題や世代の枠を超えて参加ができる場、就労できる場等があるとよいとの意見が挙げられました。 【59頁参照 社会参加に向けて必要だと思う主な地域資源】 社会参加のためにはボランティア活動や特技を活かした参加、講師役等、「支える」側としての役割づくりも必要との意見がありました。 【59頁参照 相談支援機関が実際に地域資源につないだ事例の有無】 <課題> 相談支援機関等による生活課題を解消するための支援に加えて、生活課題により地域から孤立する世帯が、社会参加により孤立が解消できるようにするための支援が必要です。 社会参加の場の確保のため、既存のサロンやボランティア活動、就業準備等の地域における交流・活動の場を社会参加の場に活用するとともに、適切な社会参加の場が見つからない場合の支援が必要です。 31ページ 支援を受けている人が、社会参加に前向きな気持ちになれるよう、必要に応じて、ボランティア活動や特技を活かしながら「支える側」としても社会参加できるように準備する場が必要です。 施策の展開 社会参加のための支援の推進 包括的相談支援チームが、生活課題を抱え地域から孤立する世帯と、地域における交流・活動の場とのマッチングを行い、その後もフォローアップする等、必要な支援を行います。 社会参加に向けた準備の場の整備 地域から孤立している世帯が、社会参加に向けて前向きな気持ちになることができるよう、各相談支援機関、社会福祉法人、NPO法人等が運営している中間的就労の場等の社会参加の準備のための居場所を活用します。 また、包括的相談支援チームは、アウトリーチ等を通じた継続的な支援等により、支援を受けることに前向きになった世帯の社会参加に向けた準備を行う居場所を整備するとともに、その人の特技等を活かして「支える側」としても社会参加できるように支援します。 地域における様々な活動の把握 支援が必要な世帯と地域における交流・活動の場や地域で福祉活動を行う団体をマッチングするため、高齢者、障害者、子ども、外国人等の対象者に応じた、地域における様々な活動を把握し、相談支援機関等に情報提供を行います。 施策を推進する事業 事業名等は「参加支援事業」。事業概要は、地域から孤立する世帯が、社会参加するための準備、地域における交流・活動の場とのマッチングやフォローアップ等の支援を実施。方向性は、令和5年度に拡充、令和6年度に実施。 32ページ 参加支援事業 支援が必要な世帯の状況に応じて、社会参加に向けて地域の交流・活動の場、福祉活動を行う団体等や支援メニューとのマッチングを行う。また、世代や福祉分野を超えた社会資源の拡充を図る。 「包括的相談支援チーム」は、「支援が必要な世帯」の状況に応じて、共生型サロン・ボランティア活動・中間的就労の場等の、「地域の交流や活動の場・福祉活動を行う団体等」と「支援が必要な世帯」とのマッチングを行います。また、「包括的相談支援チーム」は「支援が必要な世帯」に対する定着支援・フォローアップや、「地域の交流や活動の場・福祉活動を行う団体等」に、受入依頼・受入支援やフォローアップを行うとともに、社会資源の把握・拡充を図ります。 33ページ コラム つながりづくりの拠点 「ほっとはあとルーム」 外出が苦手な人や孤立状態にある人は、社会とのつながりづくりのため、就労、地域のサロンやボランティア活動への参加等が必要ですが、突然、大勢の人がいる場所に行くことに抵抗感を持っていることが多く、参加に結びつかないことがあります。そこで、ファーストステップとして、少人数で落ち着いて社会参加の準備ができる自宅以外の場所が必要となります。 北区の包括的相談支援チームは、つながりづくりの拠点「ほっとはあとルーム」を開設しました。外出のきっかけや支援につながる前のファーストステップの場、交流の場として柔軟な「参加の場」の実施を企画しています。 開設時はスタッフが常駐し、気軽に来られ、落ち着ける空間での相談、くつろぎ、作業・趣味活動、就労体験等を通じ、次のステップへ移行することができる機会を提供しています。 コラム 入退院を繰り返している人の就労支援を見据えた参加支援の事例 アルコールの過剰摂取により入退院を繰り返している50歳代男性。親族と同居していますが、経済的に困窮しています。本人は退院時に「また仕事がしたい」と話し、断酒していますが、健康状態が安定せず、就労が難しい状況にあります。 包括的相談支援チームが、「仕事・暮らし自立サポートセンター」等と会議を行い、まずは体力と自信をつけることを目的に、週1回、近所の散歩や公共交通機関を利用する練習を含めた外出同行を行うことにしました。また、定期的にゴーヤの緑のカーテンの手入れ等のボランティアを行うことで表情が明るくなり、言葉数が増え、自発性も見られるようになりました。 現在も本人の自立に向けて寄り添った支援が継続されています。 34ページ 基本方針4 地域づくりに向けた支援 目標 様々な生活課題を抱え地域から孤立する世帯が、社会とつながることができるようにするため、世代や属性の枠を超えて交流できる居場所や活動の場を拡充します。 また、地域の実情をよく知る地域住民や地域団体等が把握した、生活課題を抱えた世帯を支援につなげるため、地域住民や地域団体等と相談支援機関等が連携するためのネットワークを構築します。 現状と課題 <現状>(令和3年度重層的支援体制整備事業実施計画策定のためのアンケート調査より) 市内には、高齢者、障害者、子ども等の対象者に応じた集いの場やボランティア活動等の地域における交流・活動の場が存在しており、相談支援機関等も社会参加に活用しています。 【59頁参照 相談支援機関が実際に地域資源につないだ事例の有無】 地域におけるサロン等の交流や見守り等の活動の場において、8050問題等の複合的な生活課題を抱えた世帯を把握していますが、「対応できるサービス・活動する団体の情報が無い」「対応できる窓口が分からない」等の理由により支援につなげることができていなかった事例があります。 【62頁参照 対応できなかった原因(地域関係団体向け)】 地域関係団体からは、外国人、子ども、障害者、ひとり親家庭等への多様な支援を行うNPO法人や社会貢献のために福祉的な活動を行う民間企業等を把握していることが報告されました。 【63頁参照 地域における交流・活動の場の様々な支援関係団体の情報】 <課題> 高齢者、障害者、子ども等の対象者に応じた地域における交流・活動の場の充実に加えて、対象者の世代や属性の枠を超えて参加できる場が必要です。 既存の地域における交流・活動の場の運営主体の間においても、協働により対象者の枠を超えた参加者の受け入れや支援がしやすくなる仕組みづくりが必要です。 既存の地域における交流・活動の場の運営主体が、把握または支援している生活課題を抱えた世帯について、気軽に相談支援機関等の専門職に相談できる体制が必要です。 35ページ 施策の展開 地域における多様な交流・活動の場との連携 包括的相談支援チームや相談支援機関等が把握、支援している様々な生活課題を抱えた世帯について、支援対象者の世代や属性に応じた多様な交流・活動の場の把握に努めるとともに、既存の地域における交流・活動の場において、世代や属性の枠を超えた対象者の受け入れがされるよう、受入事例の紹介等をはじめとした働きかけを実施します。 地域と相談支援機関等との連携促進 地域における交流・活動の場の運営主体や地域で福祉活動を行う団体が把握している生活課題を抱えた世帯が、支援につながるようにするため、地域と相談支援機関等とのネットワークを構築します。 地域の様々な活動のネットワークづくり 地域における交流・活動の場の運営主体や地域で福祉活動を行う団体が、様々な生活課題を抱えた孤立する世帯を把握した場合において、連携できる体制を整え、相互に参加者や担い手を紹介しあえるような顔の見える関係づくりができるネットワークを構築します。 施策を推進する事業 事業名等は「地域づくり事業」。事業概要は、各分野で実施する地域づくりの取り組みを活用しながら、世代や属性の枠を超えて受け入れがされる交流・活動の場を拡充。方向性は、令和5年度に拡充、令和6年度に実施。 36ページ コラム 地域づくりに向けた支援 「つながり・支えあおう 地域福祉のすゝめ」 本市では名古屋市社会福祉協議会との共催により、地域福祉の取り組みに役立つ講演や、地域住民等が主体となって取り組んでいる地域福祉活動の事例を発表する機会を設けることで、地域におけるつながりや支えあい、助けあいの意義について啓発するとともに、活動者間の学び合いの場を提供しています。 地域住民による集いの場、見守り活動や住民同士の支えあい活動、地域住民と専門職の連携による取り組み等、それぞれの活動者からの実践報告をもとに、地域における生活課題を抱え、支援が必要な人の把握や支援の推進を図っています。 写真では、令和4年度「つながり・支えあおう地域福祉のすゝめ」開催の様子を示しています。 コラム 既存の社会資源を活用した若者への参加支援の事例 包括的相談支援チームが支援した20歳代の男性は、精神疾患があり、孤独を感じ、生きる希望が持てない状況でした。 そこで、チームは、児童館と連携し、男性が中学生の頃から絵を描くことやオリジナルのキャラクターづくりが好きだったことを活かし、男性が講師役となり、児童館を利用する子どもを対象とした塗り絵を教える教室を開催しました。塗り絵教室の開催には、男性が企画段階から加わりました。さらに今後は、高齢者向けの塗り絵教室を行う予定です。 本人の興味・関心のあることを捉え、今ある社会資源をうまく活用しながら本人に寄り添いつつ、好きなことを通して人と人とのつながりを実感できる機会をつくり、少しずつ自信や生きる気力を取り戻していけるような支援が大切になってきます。 37ページ 第4章 計画の推進 ・計画の推進体制 ・重層的支援体制整備事業の事業実施目標 ・事業実施目標設定にあたっての考え方 ・進捗管理 38ページ 計画の推進体制 本計画の進捗管理・評価は、庁内の関係部署で構成される「重層的支援体制整備事業に関する幹事会」及び「重層的支援体制整備事業に関する懇談会」により行います。 懇談会の構成員から聴取した意見等の内容を踏まえ、幹事会において庁内の関係部局間の協議・調整を行います。 重層的支援体制整備事業の事業実施目標 計画の進捗状況を把握するため、基本方針ごとに本計画の計画期間の最終年度となる令和6年度末時点における事業実施目標を設定します。 基本方針1「属性や世代を問わない相談支援体制の構築」の目標は、単独の相談支援機関では対応困難な事例に相談支援機関が連携して対応する割合を指標とし、現状の64.6%から80.0%にします。なお、64.6%は「令和3年度名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画策定のためのアンケート調査」より、令和3年9月末以前1年間に対応した単独の相談支援機関だけでは対応困難な事例について他機関と連携した割合です。 基本方針2「支援が必要な世帯に支援を届けるための仕組みづくり」の目標は、支援を受け入れない世帯への接触を試みる頻度を指標とし、包括的相談支援チーム等により各世帯へ月1回以上接触するようにします。 基本方針3「多様な社会参加に向けた支援」の目標は、社会参加に向けた準備の場の整備数を指標とし、現状の3か所から各区に整備します。なお、現状の3か所は令和4年10月末時点となります。 基本方針4「地域づくりに向けた支援」の目標は、地域において支援が必要な世帯の対応や受け入れについて協議できるネットワークの構築を指標とし、各区に構築します。 39ページ 事業実施目標設定にあたっての考え方                        基本方針1「属性や世代を問わない相談支援体制の構築」 単独の相談支援機関では対応困難な事例について、相談支援機関等が連携して対応する割合を、包括的相談支援チームの多機関協働事業によるコーディネート等により80.0%まで上昇させることを事業実施目標とします。 基本方針2「支援が必要な世帯に支援を届けるための仕組みづくり」 包括的相談支援チームが把握した支援を受け入れない世帯を支援につなげるため、各世帯に月1回以上、訪問、電話、メール、地域住民等との連携等により接触を試みることを事業実施目標とします。 基本方針3「多様な社会参加に向けた支援」 包括的相談支援チームが把握した地域から孤立する世帯について、社会参加に向けた準備ができる場を各区に1か所ずつ整備することを事業実施目標とします。 基本方針4「地域づくりに向けた支援」 地域における交流・活動の場の運営主体や地域で福祉活動を行う団体と相談支援機関等が、生活課題を抱えた方の支援や受け入れについて連携できるネットワークを各区に構築することを事業実施目標とします。構築にあたっては、既存の地域福祉活動等に関する協議体等を活用します。 40ページ 進捗管理 毎年度、重層的支援体制整備事業の実施状況を、「重層的支援体制整備事業に関する懇談会」に報告し、懇談会において、課題事項や今後の方向性等に関する意見を聴取することにより評価を行います。その結果を重層的支援体制整備事業に関する庁内の関係部署で構成される幹事会に報告し、関連施策に反映するよう努めます。 「重層的支援体制整備事業に関する幹事会」では、支援事例の共有、各区の会議から報告された課題整理、計画の進捗状況の把握、関係部局間の協議・調整、関連施策への反映検討を行い、「重層的支援体制整備事業に関する懇談会」へ報告します。懇談会では、学識経験者・関係団体の代表者等への意見聴取を行い、幹事会に報告します。 41ページ 参考資料 関連施策一覧 令和3年度名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画策定のためのアンケート調査結果 包括的な相談支援体制構築のための調査結果(平成31年4月から令和3年9月) 42ページ 関連施策一覧 重層的支援体制整備事業実施計画の第3章に定める各基本方針と関連する本市の事業等を掲載した一覧です。 掲載する事業 社会福祉法において位置づけられている事業等 「第3期名古屋市地域福祉計画・第6次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画」に位置づけられた施策・事業のうち本計画と連携するもの その他、重層的支援体制整備事業を実施するにあたり連携が必要な施策・事業 一覧中の「基本方針との関係性」における凡例 本計画の基本方針との関係性 基本方針1 属性や世代を問わない相談支援体制の構築 基本方針2 支援が必要な世帯に支援を届けるための仕組みづくり 基本方針3 多様な社会参加に向けた支援 基本方針4 地域づくりに向けた支援 社会福祉法との関係性 社会福祉法との関係性については割愛しているが、社会福祉法で連携が位置付けられているか、または社会福祉法に規定はないが連携が想定される事業等を掲載している。 43ページ 社会福祉法において位置づけられている事業等 いきいき支援センターや高齢者いきいき相談室は、要支援・要介護状態になるおそれのある高齢者の相談・支援をはじめ、高齢者に対する総合的な相談・支援、高齢者虐待や権利擁護の相談等を行っています。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針①②と関係します。 障害者基幹相談支援センターは、障害者とその家族の方の地域における生活を支援するため、福祉サービスの利用や各種制度の活用に関すること等、様々な相談に応じる身近な相談窓口です。 所管は健康福祉局障害者支援課です。基本方針①②と関係します。 子育て総合相談窓口(子育て世代包括支援センター)は、妊産婦や子育て中の親及び家族等が相談できる窓口として各区保健センターに子育て総合相談窓口を開設しています。 所管は子ども青少年局子育て支援課です。基本方針①②と関係します。 エリア支援保育所は、公立保育所をエリア支援保育所と位置づけ、地域における保育の質の向上と子育て支援の充実を図るため、保育所、認定こども園、幼稚園、地域型保育事業所等の職員研修をはじめとする事業の企画・調整や関係機関同士のネットワークを構築するためのコーディネート、地域の子育て家庭への支援のための企画・調整を行っています。 所管は子ども青少年局保育運営課です。基本方針①と関係します。 保育案内人の配置は、保育所等に入所を希望する保護者に対して、多様な保育サービスの内容や幼稚園等の情報を幅広く提供し、個々のニーズに即してきめ細やかな支援を実施しています。 所管は子ども青少年局保育企画室です。基本方針①と関係します。 44ページ 仕事・暮らし自立サポートセンターは、仕事のこと、家計のこと、家族のこと等生活のことで様々な悩みを抱えるかたが気軽に相談することができる窓口です。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針①②と関係します。 高齢者サロン整備等生活支援推進事業は、高齢者等の集いの場(サロン)の整備やサロン運営者の育成、生活支援のネットワークづくりを推進することにより、生活支援の基盤と充実を図っています。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針③④と関係します。 高齢者はつらつ長寿推進事業の実施は、コミュニティセンター等の身近な場所において、レクリエーション等を通じ、自主的なグループ活動につながるよう仲間づくりの支援を実施しています。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針③④と関係します。 福祉会館認知症予防教室の開催は、各区の福祉会館において、認知症予防に効果的な取り組みや、「なごや介護予防・認知症予防プログラム」の一部を実施する等、認知症予防に役立つ知識や活動について学ぶ教室を開催しています。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針③④と関係します。 生活支援の推進は、介護保険のサービス等、既存のサービスでは対応できない生活支援サービスの把握、開発、担い手の養成等を実施しています。生活支援の充実を目的として、各区の生活支援関係者が集い情報共有を行う場を開催しています。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針③④と関係します。 45ページ 地域活動支援センター事業は、在宅の障害者が通い、創作的活動又は生産活動の機会の提供を受け、社会との交流促進等を行う事業を実施しています。 所管は健康福祉局障害者支援課です。基本方針④と関係します。 地域子育て支援拠点事業は、乳幼児及びその保護者が相互の交流を行う場所を開設し、子育てについての相談、情報の提供、助言その他の援助を行っています。 所管は子ども青少年局子育て支援課保育企画室保育運営課です。基本方針①④と関係します。 子ども・子育て支援センターの運営は、子どもを生み育てやすい環境づくりを促進するため、子育て家庭を支援するネットワークづくりを進めるほか、講座の企画実施、キッズパーク運営、企業連携等を推進しています。 所管は子ども青少年局子育て支援課です。基本方針①④と関係します。 児童館における子どもの育成は、18歳未満の子どもを対象に、遊びを通して健康増進や、情操を育むため、各種行事、子育て家庭を対象とした交流事業・相談・援助、移動児童館等を実施しています。 所管は子ども青少年局青少年家庭課です。基本方針①③④と関係します。 市・区社協ボランティアセンターは、ボランティア活動をしたい方、必要とする方の相談やボランティア団体の運営上での困りごとについても相談にのります。ボランティアに関する情報誌の発行、ホームページでの活動紹介、ボランティア講座等も行っています。 所管は社会福祉協議会です。基本方針③④と関係します。 46ページ 「第3期名古屋市地域福祉計画・第6次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画」に位置づけられた施策・事業 ふれあい給食サービス事業の支援は、高齢者等の孤独感の緩和・安否の確認や連帯感を高めるために、ひとり暮らし高齢者等とボランティアが食事を介してふれあいを深めるふれあい給食サービス事業を支援します。 所管は社会福祉協議会です。基本方針②③④と関係します。 コミュニティワーカーとしての地域支援は、社会福祉協議会の職員がコミュニティワーカーとして地域支援を行います。 所管は社会福祉協議会です。基本方針③④と関係します。 子ども食堂推進事業は、子ども食堂の実施団体に対し、開設経費を助成するとともに、連絡会やシンポジウム等を開催し、市内の子ども食堂の活動を支援しています。 所管は子ども青少年局子ども未来企画室及び社会福祉協議会です。基本方針③④と関係します。 高齢者の孤立防止事業は、地域で高齢者を見守り、支えあうため、地域の住民や事業者、関係機関による地域支援ネットワークづくりを推進します。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針②④と関係します。 市営住宅ふれあい創出事業は、名古屋市内の市営住宅において、75歳以上の単身世帯、夫婦世帯等を対象として巡回員が定期的に電話連絡や戸別訪問を実施し、安否確認や簡易な生活相談等の支援を行います。 所管は住宅都市局住宅管理課です。基本方針②と関係します。 高齢者の見守り支援事業は、ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯の方に対して、見守りのネットワークの調整等、一人ひとりの状況にあわせた支援を実施しています。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針②と関係します。 47ページ 高齢者の見守り協力事業者登録事業は、高齢者見守り協力事業者の登録という簡便な手続きによって、より多くの民間事業者にひとり暮らし高齢者の見守り活動に参加していただき、高齢者の孤立防止活動の幅を広げていきます。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針②と関係します。 地域支えあい事業は、各学区で相談や調整を担う「ご近所ボランティアコーディネーター」を核に、ちょっとした困りごとを抱えた高齢者と、手助けをする地域のボランティアをつなぐ仕組みです。活動したボランティアにはボランティアポイントが付与されます。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針②③④と関係します。 子ども・若者総合相談センターは、ニート、ひきこもり等、様々な悩みを有する子ども・若者(概ね39歳まで)とそのご家族が相談することのできる窓口です。 所管は子ども青少年局青少年家庭課です。基本方針①と関係します。 ひきこもり地域支援センターは、ひきこもりのご本人やご家族からの相談等の支援を行います。 所管は健康福祉局健康増進課です。基本方針①と関係します。 民間賃貸住宅入居相談は、栄住まいの窓口「住まいの相談コーナー」において、住宅探しでお困りの方を対象に居住支援法人と連携し、民間賃貸住宅に関する入居相談を実施しています。 所管は住宅都市局住宅企画課です。基本方針①と関係します。 48ページ 障害者・認知症高齢者権利擁護事業は、知的障害者、精神障害者、認知症高齢者等で判断能力が不十分なかたが地域で安心して生活が送れるよう、福祉サービス利用援助、金銭管理サービス、財産保全サービス等の事業を行っています。 所管は社会福祉協議会です。基本方針①と関係します。 成年後見あんしんセンターは、成年後見制度の利用を必要とする方を的確に制度につなげるため、成年後見制度に関する専門相談を受けています。また、ボランティアで後見活動を行う市民後見人の養成、支援等を行っています。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針①と関係します。 高齢者虐待相談センターは、高齢者虐待の防止及び早期対応を図るため、高齢者本人やその家族、保健福祉関係者等からの高齢者虐待に関する相談を受けています。 所管は健康福祉局地域ケア推進課です。基本方針①と関係します。 障害者虐待相談センターは、障害者虐待の防止及び早期対応を図るため、障害者本人やその家族、保健福祉関係者等からの障害者虐待に関する相談を受けています。 所管は健康福祉局障害企画課です。基本方針①と関係します。 児童相談所は、18歳未満の子どもについてのあらゆる相談を家庭その他から受け、子どものニーズや置かれた環境に応じて必要な支援を行っています。 所管は子ども青少年局中央児童相談所、西部児童相談所及び東部児童相談所です。基本方針①と関係します。 配偶者暴力相談支援センターは、配偶者からの暴力被害者から相談を受け、関係機関と連携し支援を行っています。 所管は子ども青少年局子ども福祉課です。基本方針①と関係します。 49ページ 市民活動推進センターは、市民活動を促進するための総合的な支援拠点です。市民活動についての情報発信・交流・講座等を通じて市民活動のサポートを行っています。 所管はスポーツ市民局市民活動推進センターです。基本方針③と関係します。 50ページ その他、重層的支援体制整備事業を実施するにあたり連携が必要な施策・事業 なごやこどもサポート区連絡会議は、各区の地域レベルでの関係機関の連携を行うとともに、個々の要保護児童等の総合的な実態把握及び実務者レベルでの具体的な支援内容の検討を行っています。 所管は子ども青少年局子ども福祉課です。基本方針①と関係します。 母子家庭等自立支援センター事業は、ジョイナス.ナゴヤ(名古屋市ひとり親家庭就業自立支援センター)において、就業相談、職業紹介、技能習得等をめざすセミナーや講習会等、就業に向けた支援を実施するとともに、母子・父子福祉センターにおいて生活上の相談等電話相談や法律問題に対する弁護士相談等を実施しています。 所管は子ども青少年局子ども未来企画室です。基本方針①と関係します。 犯罪をした人等に寄り添い、一貫して支援する体制の整備は、名古屋市立ち直り支援コーディネート機関を設置し、コーディネーターによる一貫した支援を行うことにより、犯罪をした人等を適切な福祉サービス等につなぎ、犯罪をしなくてすむ生活環境を整備しています 所管はスポーツ市民局地域安全推進課です。基本方針①②④と関係します。 住居の不良堆積物対策は、住居やその敷地内等に物品等を堆積または放置し、周辺の生活環境に悪影響を与える、いわゆるごみ屋敷問題に対応するため、堆積物の排出や福祉サービスの申請に向けた支援等を実施しています。 所管は環境局作業課です。基本方針①②と関係します。 51ページ 人とペットの共生サポートセンターは、多頭飼育等によりやむを得ず飼えなくなったペットの飼主探しについて相談・支援を行っています。 所管は健康福祉局食品衛生課です。基本方針①②と関係します。 国際センターは、外国人市民を対象とした各種相談(行政、教育、法律、こころ等)を専門機関と連携しながら多言語で行います。 所管は観光文化交流局国際交流課です。基本方針①と関係します。 居住支援コーディネート事業は、相談機関等と連携し、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への入居円滑化を図るための支援を行います。 所管は住宅都市局住宅企画課です。基本方針①と関係します。 52ページ 令和3年度名古屋市重層的支援体制整備事業実施計画策定のためのアンケート調査結果 重層的支援体制整備事業実施計画の策定のため、複合的な生活課題や制度の狭間の問題、支援拒否等によって単独の相談支援機関では解決が難しい事例の本市の実態を把握するとともに、参加支援に関するアンケートを実施しました。 (1)調査期間 令和3年11月~12月 (2)調査対象者 相談支援機関 いきいき支援センター、障害者基幹相談支援センター、子育て総合相談窓口、仕事・暮らし自立サポートセンター、子ども・子育て支援センター、子ども・若者総合相談センター、ひきこもり地域支援センター 地域の関係団体 ふれあい・いきいきサロン運営者(高齢者・障害者・共生型)、地域支えあい事業実施学区、児童館含む学習支援事業者、子ども食堂運営者、保健医療福祉や子どもの健全育成の取り組みを行うNPO法人 (3)調査方法 ①相談支援機関向けアンケート 郵送又はメールで調査票を送付し、郵送で回答。 ②地域の関係団体向けアンケート 郵送で調査票を送付し、郵送で回答。ふれあい・いきいきサロン運営者及び地域支えあい事業実施学区には、各区社会福祉協議会を通じ、配布し、郵送で回答。 (4)配布・回収状況 相談支援機関向け 配布数 67 回収数 54 回収率 80.6% 地域の関係団体向け 配布数 824 回収数 480 回収率 58.3% 53ページ 相談支援機関向けアンケート 複合的な生活課題や制度の狭間の問題を抱え、支援が届かない世帯の状況  相談支援機関では、複合的な生活課題や制度の狭間の問題があり、単独では解決が困難な事例に1年間で706件(回答率 80.6%)対応していました。 単独の機関では解決が困難だった事例の件数(機関別) 令和2年10月1日から令和3年9月末までにおける、単独の機関では解決が困難だった事例の件数。 いきいき支援センター 456件 障害者基幹相談支援センター 128件 子育て総合相談窓口 69件 仕事・暮らし自立サポートセンター 27件 子ども・若者総合相談センター 8件 ひきこもり地域支援センター 18件 合計706件 ただし、各機関で関わっている同一事例の重複計上があり得ます。 54ページ 生活課題別では、「精神疾患等が疑われるが、本人に病識がなく適切な支援につながっていない」、「8050問題を抱えた世帯」や「支援を拒否」が上位を占めました。 単独の機関では解決が困難だった事例に関する生活課題は、 1、8050問題と言われる、高齢の親と中高年の子の世帯であり、子のひきこもりや経済的自立等の生活課題がある、が280件、 2、ダブルケアと言われる、親の介護と子育てを同時におこなっており、負担や孤立を感じている、が38件、 3、ヤングケアラーと言われる、18歳未満の子が家族の介護や世話を行っている、が33件、 4、必要と思われる支援や関わりを拒否し、適切な支援が受けられていない、が351件、 5、精神疾患や知的障害等が疑われるが、本人に病識がなく適切な支援につながっていない、が296件、 6、地域とのつながりがない、迷惑行為、ごみ屋敷等地域とのトラブルがある、が257件、 7、収入があるが、金銭管理ができていない等経済面で支障が生じているが、生活保護等の公的な制度に該当しない、が177件、 8、生活保護世帯であるが、金銭管理等ができず生活に支障が生じている、が53件 9、外国人市民で、意思疎通に難あり、文化の違いがあることによりコミュニケーションがとれず孤立しており、様々な生活課題が生じている、が18件、 10、生活課題があるが、該当する制度がない、例えば、基準に満たない、年齢要件に当てはまらない、在留資格が要件に当てはまらない等、が39件 11、その他が71件あり、合計1,613件でした。 ただし、各機関で関わっている同一事例の重複計上があり得ます。 55ページ 複合的な生活課題を抱えた世帯等に対する相談支援機関の支援の状況 相談支援機関では、担当する福祉分野以外の支援が必要な世帯の支援にあたり、他の相談支援機関を案内する等、連携して支援にあたっています。 単独の機関では解決が困難だった事例の対応状況 機関名 いきいき支援センター 多機関との役割分担で対応 292件 64.1%、自機関中心で対応 64件 14.0%、他機関中心で対応 64件 14.0%、その他 36件 7.9% 機関名 障害者基幹相談支援センター 多機関との役割分担で対応 84件 65.6%、自機関中心で対応 11件 8.6%、他機関中心で対応 23件 18.0%、その他 10件 7.8% 機関名 子育て総合相談窓口 多機関との役割分担で対応 51件 73.9%、自機関中心で対応 7件 10.2%、他機関中心で対応 10件 14.5%、その他 1件 1.4% 機関名 仕事・暮らし自立サポートセンター 多機関との役割分担で対応 17件 63.0%、自機関中心で対応 8件 29.6%、他機関中心で対応 2件 7.4%、その他 0件 0.0% 機関名 子ども・若者総合相談センター 多機関との役割分担で対応 7件 87.5%、自機関中心で対応 1件 12.5%、他機関中心で対応 0件 0.0%、その他 0件 0.0% 機関名 ひきこもり地域支援センター 多機関との役割分担で対応 5件 27.8%、自機関中心で対応 13件 72.2%、他機関中心で対応 0件 0.0%、その他 0件 0.0% 6つの機関の合計 多機関との役割分担で対応 456件 64.6%、自機関中心で対応 104件 14.7%、他機関中心で対応 99件 14.0%、その他 47件 6.7% 56ページ 相談支援機関等の連携に必要なこと 相談支援機関同士の連携をすすめるにあたり、多機関協働のための、「コーディネートを行う体制」「多機関がつながることができる場の設置」「困難な事例に積極的にアプローチできる体制」が求められました。また、区役所内の関係各課との調整や、地域住民、医療・福祉関係団体等との連携体制を構築するため、区役所をはじめとした行政機関にも主体的に関わることが求められています。 相談支援機関向け。多機関と連携・協働して支援にあたる上での課題。複数回答可。 1.相談や協議ができる、多機関とつながることができる場の設定 39件 2.多機関とのつなぎをコーディネートする機関・人の配置 36件 3.複合的な生活課題を抱えていたり、支援につながっていない世帯等に対し、積極的な訪問等ができる体制 41件 4.他制度や各関係機関の果たす役割を把握する機会の設定 35件 5.行政機関を含めての連携 36件 6.地域住民も巻き込んでの、支援ニーズを拾いあげるネットワークづくり 33件 7.本来業務の中では十分な対応が難しい 20件 8.人員体制に限りがある 25件 9.その他 12件 57ページ 支援を届けるためのアウトリーチの必要性 支援につながっていない事例では、「精神疾患等の疑いがあり、支援の必要があるのに、本人に困っているという認識がない」という事例や「ひきこもり」状態にある事例が多く、そのような世帯に粘り強く対応できる専門職が必要であることが分かりました。 相談支援機関のヒアリングにおいて、「支援につながっていない人を把握するには、地域住民等のつながりを活用することが大事。」との意見や「支援拒否している人には、地域住民や地域福祉活動を行う者等と連携し、本人と信頼関係のある人を介してアプローチする等の工夫が必要。」との意見もありました。 複合的な生活課題や制度の狭間の問題の把握件数 特に支援が届きにくい事例として、精神疾患等の疑い、ひきこもり、8050世帯、支援拒否で接触不可の計4点について整理。 いきいき支援センター 精神疾患等の疑い 722件、ひきこもり 232件、8050世帯 376件、支援拒否で接触不可 324件、合計1,654件 障害者基幹相談支援センター 精神疾患等の疑い 430件、ひきこもり 290件、8050世帯 213件、支援拒否で接触不可 156件、合計1,089件 子育て総合相談窓口 精神疾患等の疑い 792件、ひきこもり 3件、8050世帯 2件、支援拒否で接触不可 32件、合計829件 仕事・暮らし自立サポートセンター 精神疾患等の疑い 396件、ひきこもり 133件、8050世帯 70件、支援拒否で接触不可 57件、合計656件 子ども・若者総合相談センター 精神疾患等の疑い 614件、ひきこもり 306件、合計920件 ひきこもり地域支援センター 精神疾患等の疑い 78件、ひきこもり 150件、8050世帯 39件、合計267件 6つの機関の合計 精神疾患等の疑い 3,032件、ひきこもり 1,114件、8050世帯 700件、支援拒否で接触不可 569件、合計5,415件 ただし、各機関で把握した同一事例の重複計上があり得ます。また、本調査では「ひきこもり」を様々な要因の結果として義務教育を含む就学、非正規勤務等を含む就労、家庭外での交遊等の社会参加を避けて、一定期間以上に渡って家庭内にとどまり続けている状態と定義し、アンケートを行いました。 58ページ ひきこもりに関する状況 把握した事例の年齢 19歳以下 60件 6% 20代・30代 248件 22% 40代・50代 316件 28% 60歳以上 157件 14% 不明 333件 30% ひきこもり状態にある期間 1年未満 57件 5% 1年以上3年未満 95件 9% 3年以上5年未満 102件 9% 5年以上10年未満 122件 11% 10年以上 222件 20% 不明 516件 46% 支援を拒否する世帯が、支援を受け入れない理由として推定されるもの。 考えられる支援拒否の理由。複数回答可。 本人には困っている認識はない。313件。 困りごとがあっても、制度利用の意思がない。193件。 支援者の受け入れがよくない。171件。 経済的に困窮しているため、支援に否定的。73件。 外国人市民等で、ことばが通じない。7件。 その他。35件。 59ページ 社会参加に向けた支援に必要なこと 相談支援機関は、地域から孤立した世帯をサロン等の地域における交流・活動の場への参加に向け支援していますが、本人や家族が必要性を感じていなかったり、支援ニーズに合致する社会参加の場がない等の理由により、社会参加ができない事例がありました。参加支援につないだ事例では、サロン等の居場所のほか、ボランティア活動や特技を活かした参加、講師役等の「役割づくり」が挙げられており、参加支援をすすめるにあたっては、「役割づくり」という視点も必要との意見がありました。 また、誰でも気軽に参加できる場、就労の場、障害や病気、ひきこもり等枠を超えて参加できる居場所が必要との意見がありました。 相談支援機関が実際に地域資源につないだ事例の有無 1.地域資源につないだことがある 28件 51.9% 2.地域資源につないだことがない 18件 33.3% 3.必要な事例がなかった 4件 7.4% 回答なし 4件 7.4% 回答合計 54件 参加支援の主なつなぎ先 ・既存の地域サロン ・ボランティア等(役割づくり) ・就労準備の場 等 参加支援につながらなかった主な理由 ・本人、家族の支援拒否 ・本人、家族に病識が無い ・支援者の受け入れ拒否 等 必要だと思う主な地域資源 ・誰でも気軽に参加できる場 ・就労の場 ・障害や病気、ひきこもり等枠を超えて参加できる居場所 等 60ページ 地域の関係団体向けアンケート 地域の関係団体による支援等の状況 地域の関係団体において、ふれあい・いきいきサロンや地域支えあい事業等の地域における交流・活動の場においても、複合的な生活課題を抱えた世帯や、支援につながっていない世帯等を把握し、他機関へのつなぎも含めた支援を行っている事例が延べ679件確認されました。また、支援ができなかった事例もあり、「対応できる窓口が分からない」「支援のかじ取りをする専門職がいない」等がその理由として挙げられました。 事例の把握状況。複数回答可。 1、8050問題と言われる、高齢の親と中高年の子の世帯であり、子のひきこもりや経済的自立等の生活課題がある、が67件、 2、ダブルケアと言われる、親の介護と子育てを同時に行っており、負担や孤立を感じている、が33件、 3、ヤングケアラーと言われる、18歳未満の子が家族の介護や世話を行っている、が27件、 4、必要と思われる支援や関わりを拒否し、適切な支援が受けられていない、が92件、 5、精神疾患や知的障害等が疑われるが、本人に病識がなく適切な支援につながっていない、が101件、 6、地域とのつながりがない、迷惑行為、ごみ屋敷等地域とのトラブルがある、が92件、 7、収入があるが、金銭管理ができていない等経済面で支障が生じているが、生活保護等の公的な制度に該当しない、が65件、 8、生活保護世帯であるが、金銭管理等ができず生活に支障が生じている、が57件 9、外国人市民で、意思疎通に難あり、文化の違いがあることによりコミュニケーションがとれず孤立しており、様々な生活課題が生じている、が38件、 10、生活課題があるが、該当する制度がない、例えば、基準に満たない、年齢要件に当てはまらない、在留資格が要件に当てはまらない等、が64件 11、その他が43件あり、合計679件でした。 ただし、関係団体で把握した同一事例の重複計上があり得ます。 61ページ 把握された事例の対応状況。複数回答可。 1、8050世帯等 自ら支援した 34件 40.5%、他機関へつないだ 32件 38.1%、支援できなかった 12件 14.3%、未回答 6件 7.1% 2、ダブルケア 自ら支援した 14件 34.1%、他機関へつないだ 20件 48.8%、支援できなかった 5件 12.2%、未回答 2件 4.9% 3、ヤングケアラー 自ら支援した 9件 28.1%、他機関へつないだ 14件 43.8%、支援できなかった 7件 21.9%、未回答 2件 6.2% 4、必要な支援等を拒否 自ら支援した 27件 22.7%、他機関へつないだ 70件 58.8%、支援できなかった 15件 12.6%、未回答 7件 5.9% 5、精神疾患等の疑い 自ら支援した 35件 26.5%、他機関へつないだ 67件 50.8%、支援できなかった 21件 15.9%、未回答 9件 6.8% 6、地域とのトラブル 自ら支援した 38件 34.9%、他機関へつないだ 48件 44.0%、支援できなかった 16件 14.7%、未回答 7件 6.4% 7、経済面で支障があるが生活保護等に非該当 自ら支援した 25件 29.1%、他機関へつないだ 44件 51.2%、支援できなかった 10件 11.6%、未回答 7件 8.1% 8、生活保護世帯で生活に支障あり 自ら支援した 13件 19.4%、他機関へつないだ 39件 58.2%、支援できなかった 9件 13.4%、未回答 6件 9.0% 9、外国人で生活課題あり 自ら支援した 17件 37.0%、他機関へつないだ 15件 32.6%、支援できなかった 7件 15.2%、未回答 7件 15.2% 10、生活課題があるが該当する制度がない 自ら支援した 27件 33.3%、他機関へつないだ 35件 43.2%、支援できなかった 15件 18.5%、未回答 4件 5.0% 11、その他 自ら支援した 15件 27.8%、他機関へつないだ 23件 42.6%、支援できなかった 6件 11.1%、未回答 10件 18.5% ただし、関係団体で把握した同一事例の重複計上があり得ます。 62ページ 対応できなかった、またはできそうにない原因。複数回答可。 1.対応できるサービス・活動する団体の情報が無い 81件 2.対応できる窓口が分からない 98件 3.世帯全体への支援のかじ取りをする専門職が必要 91件 4.地域住民の協力が得られない 30件 5.対応できるサービス・活動する団体が無い 41件 6.対応する時間がとれない 35件 7.関係機関との連携がとれない 27件 8.自ら対応できる範囲を超える内容であった 83件 9.対応できなかったまたはできそうもないことはない 20件 10.その他 49件 63ページ 地域における交流・活動の場の様々な支援関係団体の把握状況 生活課題を抱えた世帯の社会参加や支援のための受け皿となるような、地域における交流・活動の場や支援関係団体を十分に把握している地域の関係団体は、少ない状況でした。 一方で、地域の関係団体は、外国人、子ども、脳卒中患者、精神障害者、高齢者等の支援を行うNPO法人等やひとり親家庭の支援を行う子ども食堂、障害児やその親の悩み事を聞く活動を行う団体等の多様な支援を行う団体を把握していることが確認されました。 地域における交流・活動の場の様々な支援関係団体の情報 1.十分持っている 27件 5.6% 2.少し持っている 211件 44.0% 3.持っていない 157件 32.7% 回答なし 85件 17.7% 回答合計 480件 把握している団体等 ・地域役員 ・地域ボランティア ・町内会 ・老人クラブ ・コミュニティセンター ・地元の福祉事業所や専門職 主な情報収集の方法 ・事例を通じて足で収集 ・過去につながった相談支援機関等から収集 ・新聞や回覧板で収集 ・町内の資源回収後の雑談 ・地域役員になって地域情報を収集 64ページ 包括的な相談支援体制構築のための調査結果(平成31年4月から令和3年9月) 平成30年4月に施行された改正社会福祉法において、「地域福祉の推進」と「包括的な支援体制」の整備が求められたことを受け、本市では、現状と課題の把握のための調査を実施しました。 調査の概要 地域で福祉活動をする住民や団体、いきいき支援センター等の関係する相談支援機関等へのアンケートやヒアリングを行い、複合的な生活課題を抱えていたり、生活課題を抱えていても支援を拒否する等の理由により支援につながらない世帯の状況を把握するとともに、効果的な支援の手法を調査するために相談支援機関と連携しながら、調査員が実際に生活課題を抱えた世帯への支援を行いました。 調査期間 平成31年4月から令和3年9月(2年6か月) 実施地域 南区全域 実施方法 名古屋市社会福祉協議会に委託して実施 調査の結果 調査により「8050問題」「ひきこもり」「支援拒否」等を中心として複数の生活課題を抱え、地域から孤立している世帯が多数存在することが判明しました。また、そういった世帯の支援のために相談支援機関や地域の関係団体へのアンケートやヒアリング、更には実際の相談支援対応を行う中で、包括的な相談支援を行うための専門職によるチーム体制が必要であること等が分かりました。 全市的な調査の実施 南区における包括的な相談支援体制構築のための調査結果を踏まえ、全市の状況を把握するために令和3年度に市内の相談支援機関等や地域福祉団体等の関係団体に重層的支援体制整備事業実施計画策定のためのアンケート調査を実施しました。