41ページ 参考資料4 行政手続としての勧告・公表の位置づけについて ○名古屋市行政手続条例(抜粋) (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (5) 行政指導 市の機関(議会を除く。以下同じ。)がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に該当しないものをいう。 (行政指導の一般原則) 第30条 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該市の機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。 2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。 行政手続法第32条に、本市行政手続条例第30条と同様の規定があり、以下のように解されています。 【参考】逐条解説行政手続法(総務省行政管理局編) ・「不利益な取り扱い」とは、行政指導に携わる者が、行政指導に従わなかった者に対してそれまで平等に提供してきた情報を当該者にだけ提供しなくするとか別の場面において許認可等を行う場合に意図的に差別的な取り扱いをするといった、当該者が行政指導を受ける以前には得られていた利益を損なわしめ、又はそれまで被っていなかった不利益を与えるようなことを、制裁的な意図をもって行う行為をいう。 ・法律上、勧告等の行政指導に従わない場合にその旨を公表することができることが規定されているものがあるが、これは、その相手方が一定の作為又は不作為を行わないと行政機関が実現しようとする行政目的が実現されない状態が存在し、そのまま放置することが公益上支障を生じ又は国民に被害を及ぼす等の事態が予想されるような場合に、国民に対しその情報を提供することによって国民の自己防衛を期待して行われるもの等その意義に照らして、法的に公表することが認められたものと考えることができるものであることから、本条の「不利益な取り扱い」には含まれない。  しかし、相手方の自主的な措置を促すため事実上(法律の根拠がなく)行われる公表については、国民に対する情報提供機能を有する一方で、公表されることにより経済的な損失を与えるなどかなりの不利益を被ることもあってその相手方に対する社会的制裁として機能する面があり、行政指導に従わなかったことを理由とした公表については、何を公表するかにもよるが、本条の「不利益な取り扱い」に当たる場合もあると考える。 以上を踏まえると・・・ ・勧告は、あくまでも事業者の任意の協力を求めるものであること ・公表の趣旨は、行政目的実現を目的とした市民に対する自己防衛のための情報提供として認められるものであって、制裁的な意図をもって行うものではないこと ・その場合であっても、事実上、制裁の効果があることは否定できないため、慎重な意見聴取の手続きを設定する必要があること