27ページ〜30ページ 参考資料3    愛知県障害者差別解消推進条例      全ての県民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重され、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する地域社会を実現することは私たちの願いである。  しかしながら、今なお障害のある人が、障害を理由とする不当な差別的取扱いを受けている。また、障害のある人の日常生活や社会生活における活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁も存在する。  このような状況を踏まえ、障害のある人が、障害のない人と平等の選択の機会をもって地域社会で自立した生活を営み、等しく社会参加や自己実現を図ることができる環境づくりを更に進めていくことが必要である。  そのためには、私たち一人一人が障害についての知識及び理解を深めるとともに、障害を理由とする不当な差別的取扱いをなくし、障害のある人が日常生活や社会生活を営む上で妨げとなる様々な社会的障壁を取り除くよう、社会全体で取り組まなければならない。  私たちは、このような認識を共有し、一体となって、障害を理由とする差別の解消を推進するため、ここにこの条例を制定する。  (目的) 第一条 この条例は、障害を理由とする差別の解消の推進について、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。  (定義) 第二条 この条例において「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。以下同じ。)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。  (基本理念) 第三条 障害を理由とする差別の解消の推進は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。 一 全ての障害者が、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されることを旨とすること。 二 全ての障害者が、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないことを旨とすること。 三 障害を理由とする差別の多くが障害者に対する理解の不足から生じていること及び誰もが障害を有することとなる可能性があることを踏まえ、全ての県民が、障害についての知識及び理解を深める必要があること。 四 県、県民、事業者及び市町村その他関係機関が、各々の役割を果たすとともに、社会全体で取り組むこと。  (県の責務) 第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。 2 県は、市町村と連携を図りながら協力して、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策の推進に取り組むものとする。  (県民の責務) 第五条 県民は、基本理念にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めるとともに、県が実施する障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。  (事業者の責務) 第六条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、障害を理由とする差別の解消のために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、県が実施する障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。  (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備) 第七条 県及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。 (県における障害を理由とする差別の禁止) 第八条 県は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 県は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 (事業者における障害を理由とする差別の禁止) 第九条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。 3 事業者は、その事業を行うに当たっては、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号。以下「法」という。)第十一条第一項に規定する対応指針に即して、適切な対応に努めなければならない。  (相談及び紛争の防止等のための体制の整備等) 第十条 県は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるようにするため、その相談に対応するための窓口を設置する等必要な体制の整備を図るものとする。 2 県は、市町村が実施する障害を理由とする差別に関する相談に関し、情報の提供その他必要な援助を行うものとする。 (協議会) 第十一条 医療、介護、教育その他の障害者の自立及び社会参加に関する分野の事務に従事する県の関係機関は、障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、協議会を組織するものとする。 2 前項の協議会を組織する県の関係機関は、必要があると認めるときは、当該協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができる。  一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の団体  二 学識経験のある者  三 その他当該県の関係機関が必要と認める者 3 第一項の協議会は、法第十七条第一項に規定する障害者差別解消支援地域協議会とする。 (障害を理由とする差別の解消に関する啓発等) 第十二条 県は、障害を理由とする差別の解消について県民の関心と理解を深めるため、障害を理由とする差別の解消に関する啓発及び知識の普及に必要な措置を講ずるものとする。 (助言、あっせん又は指導の求め等) 第十三条 第九条第一項の規定に違反する不当な差別的取扱いを受けたと認める障害者及びその家族その他の関係者は、知事に対し、当該不当な差別的取扱いに該当する事案の解決のために必要な助言、あっせん又は指導を行うよう求めることができる。ただし、当該求めをすることが当該障害者の意に反することが明らかであると認められる場合は、この限りでない。 2 知事は、前項の求めがあった場合において必要があると認めるときは、愛知県障害者差別解消調整委員会の意見を聴くものとする。 3 知事は、第一項の求めに係る不当な差別的取扱いをしたと認められる事業者が、あっせん案が提示された場合において当該あっせん案を受諾せず、又は指導に従わなかったときは、当該事業者に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。 4 知事は、前項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた事業者がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。 5 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ当該事業者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。  (愛知県障害者差別解消調整委員会) 第十四条 前条第二項の規定によりその権限に属させられた事項を行わせるため、愛知県障害者差別解消調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。 2 委員会は、委員十五名以内で組織する。 3 委員は、学識経験のある者、障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者、事業者を代表する者その他知事が必要と認める者のうちから、知事が任命する。 4 前二項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。  (障害を理由とする差別の禁止に関し職員が適切に対応するための要領) 第十五条 県の機関は、第八条に規定する事項に関し、当該機関の職員が適切に対応するために必要な要領を定めるものとする。 2 県の機関は、前項の要領を定めようとするときは、あらかじめ、愛知県障害者施策審議会の意見を聴くものとする。 3 県の機関は、第一項の要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。 4 前二項の規定は、第一項の要領の変更について準用する。 5 県の職員は、第一項の要領を遵守しなければならない。 6 第一項の要領(公営企業管理者及び病院事業管理者が定める要領を除く。)は、法第十条第一項に規定する地方公共団体等職員対応要領とする。  (財政上の措置) 第十六条 県は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を推進するため必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。    附 則  (施行期日) 1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 第十五条(第六項を除く。)の規定 平成二十八年一月一日 二 第九条、第十一条第三項、第十三条、第十四条及び第十五条第六項の規定 平成二十八年四月一日  (経過措置) 2 県の機関は、平成二十八年一月一日前においても、第十五条の規定の例により、同条第一項の要領を定め、これを公表することができる。 3 前項の規定により定められた要領は、平成二十八年一月一日において第十五条の規定により定められたものとみなす。 (検討) 4 県は、この条例の施行後三年を経過した場合において、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。