障害を理由とする差別の解消の推進に関する名古屋市職員対応要領 令和5年12月 名古屋市 目次 第1章 総論 1ページ 1 趣旨 1ページ 2 対応要領の対象 1ページ 3 法の背景と基本的な考え方 2ページ 4 対象となる障害者 5ページ 第2章 障害を理由とする差別 6ページ 1 不当な差別的取扱いの禁止 7ページ 2 合理的配慮の提供 9ページ 障害種別の特性について 22ページ 第3章 市民からの相談 28ページ 第4章 研修・啓発 31ページ 参考情報 32ページ 1ページ 第1章 総論 1 趣旨 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する名古屋市職員対応要領」(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法。以下「法」という。)第10条第1項に基づき、市職員が、法の趣旨を理解し、障害のある方に対して、適切に対応するための基本的事項を定めるものです。対応要領は、服務規律の一環として定められるものであり、市職員はこれを遵守しなければなりません。市職員が障害者に対し不当な差別的取り扱いをし、又は、過重な負担がないにも関わらず合理的配慮の不提供をした場合等、その態様及び結果並びに故意又は過失の度合い等によっては、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合等に該当することがあります。  併せて、本市では障害を理由とする差別の解消をさらに推進していくために、名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例(以下「条例」という。)を平成31年4月に施行し、法と同様に遵守することが求められています。  そのような中、令和5年6月には、本市主催の市民討論会において、一部の参加者から他の参加者に対する差別発言(障害者差別)がなされたにも関わらず、本市職員がその発言の制止や注意喚起といった対応をとらなかった事案が発生しました。本市として重大に受け止め、本件を市職員全体の問題、自分事としてとらえ、改めて対応要領に基づく適切な対応をとれるよう、再発防止に向けて取り組んでいく必要があります。 2 対応要領の対象 (1)対象となる職員 この対応要領の対象となるのは、原則として、いわゆる常勤の特別職職員及び一般職職員(会計年度任用職員を含む。「名古屋市職員の公正な職務の執行の確保に関する条例 」第2条第1号に規定する職員と同じ。)と「名古屋市非常勤の職員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例」別表第3に掲げる職員(ただし、報酬を支給されない者を除く。)です。 このうち、地方公営企業(上下水道局及び交通局)については、法上は、「事業者」として扱うことが適当であるとされており、各事業の主務大臣が定める対応指針とともに、この対応要領に沿った適切な対応が必要となります。 なお、地方独立行政法人である公立大学法人名古屋市立大学については、個別に対応要領を作成するため、その職員は、この対応要領の対象から除外されます。 2ページ (2)受託業者等 事務の処理等を委託(指定管理者に公の施設の管理運営を行わせること及び事業者と共同で事業を行うことを含む。)するとき又は公の施設を民営化するときは、受託業者等が、当該事業の主務大臣が定める対応指針に則って、法及び条例に適切に対応するとともに、委託等の業務に従事する職員が、この対応要領に準じて、適切な対応を行えるよう、必要な措置を講じるものとします。 具体的には、事務処理等の委託又は公の施設の民営化に際して行う競争入札又は随意契約に当たっては、仕様書等の交付時に入札参加者又は見積書の提出者に対し、「障害者差別解消に関する特記仕様書」を用いる等により、障害者差別の禁止について十分に周知します。(第三者へ再委託する場合も同様とします。) また、指定管理者の公募に当たっては、その募集要項中に、指定管理業務を行うに当たっての関係法令として、対応要領を記載します。 3 法の背景と基本的な考え方 (1)障害者制度改革 平成18年、国連において、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進するための包括的かつ総合的な国際条約である「障害者の権利に関する条約」(以下「権利条約」という。)が採択されました。 我が国では、平成19年に権利条約に署名し、以来、「障害者基本法」の改正や、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」の施行など、様々な法整備を進め、一連の取り組みの成果を踏まえて、平成26年1月、同条約を批准しました。 障害者制度改革の歩み(略譜) 平成16年6月 「障害者基本法」改正:障害者差別禁止の基本的理念を明示 平成18年12月 国連において「権利条約」採択 平成19年9月 「権利条約」署名 平成23年8月 「障害者基本法」改正:障害者差別禁止の基本原則を規定 平成24年10月 「障害者虐待防止法」施行 平成25年4月 「障害者総合支援法」施行(一部平成26年4月施行) 平成25年6月 「障害者差別解消法」制定 平成26年1月 「権利条約」批准 平成28年4月 「障害者差別解消法」施行 令和3年5月 「障害者差別解消法」改正:事業者の合理的配慮の提供を義務化 令和6年4月 「障害者差別解消法」改正の施行 3ページ (2)障害者差別禁止の基本原則 権利条約は第2条において、「『障害に基づく差別』とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。」と定義しています。 我が国においては、平成16年の障害者基本法の改正において、障害者に対する差別の禁止が基本的理念として明示されました。さらに、平成23年の同法改正の際には、権利条約の趣旨を踏まえ、同法第2条第2号において、社会的障壁について「障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。」と定義されるとともに、基本原則として、同法第4条第1項に、「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」こと、また、同条第2項に、「社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない」ことが規定されました。 そして、平成25年6月、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、差別の禁止の基本原則を具体化するものとして、法が制定されました。(施行は平成28年4月) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 (目的) 第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 4ページ (3)法の基本的な考え方 障害者基本法が目指す「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会」を実現するためには、日常生活や社会生活における障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁を取り除くことが重要です。 このため、法は、障害者に対する不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供を差別と規定し、行政機関等及び事業者に対し、差別の解消に向けた具体的取り組みを求めるとともに、普及啓発活動等を通じて、障害者も含めた国民一人ひとりが、それぞれの立場において自発的に取り組むことを促しています。 (4)行政機関等の義務 法は、第7条において、障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の不提供の禁止を行政機関等の法的義務として定めています。 本市では、「障害のある人もない人も共に生きる社会」の実現を目指し、市職員が率先して障害や障害者の理解を深めるため、平成20年度から「意識のバリアフリー行動宣言」(裏表紙「意識のバリアフリー行動宣言をしよう!」参照)を進めてきましたが、法の施行により、法的にも、各職場において、障害や障害者に配慮した対応が求められることになります。 なお、市が事業主としての立場で労働者である障害者(障害のある職員)に対して行う差別解消のための措置は、障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)で定めています。 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 (行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 5ページ 4 対象となる障害者 障害者について、法第2条第1号では「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義し、条例第2条第1号では「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難病(治療方法が確立していない疾病その他の特殊な疾病をいう。)等を原因とする障害その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的又は断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義しています。 これは、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む。)といった、「その人の身体や心の機能に障害があるから」という個人の問題のみが理由ではなく、社会に存在する障害のない人を基準につくられている事物によって生み出された障壁である「社会的障壁」によって生ずるという考え方を踏まえており、この考え方を「社会モデル」といいます。したがって、法や条例、この対応要領が対象とする障害者は、障害者手帳(身体障害者手帳・愛護手帳(他市では「療育手帳」等の他の名称で呼称)・精神障害者保健福祉手帳)の所持者に限られません。 障害の『社会モデル』とは 障害の「社会モデル」とは、障害のある人が日常生活又は社会生活で受ける様々な「制限」は、社会の側に様々な障壁(バリア)があることによって生じるもの、という考え方です。(これに対し、障害は個人の心身のはたらきの障害によるものであるという考え方を「医学モデル」といいます。) 障害のある人もない人も分けへだてなく活動できる共生社会の実現のためには、この「社会モデル」の考え方に基づき、障害のある人の活動や社会への参加を制限している様々な障壁(バリア)を取り除くことが重要です。 なお、「社会モデル」は「人権モデル」とも言われ、人権と親和性の高い概念です。 名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例とは 本市では、障害を理由とする差別の解消をさらに推進していくために、「名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例」を制定しています。(平成31年4月施行) 条例では、障害のある人やその家族、関係者からの差別に関する相談に応じる「名古屋市障害者差別相談センター」の設置、相談によっても解決しない場合の助言・あっせんの申立ての制度といった、法にはない相談・解決のしくみを設けています。 6ページ 第2章 障害を理由とする差別 市職員は、法第7条第1項の規定のとおり、事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはなりません。また、法第7条第2項の規定のとおり、事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければなりません。 ここでは、その基本的な考え方と具体例を示していますが、何を差別と感じるかは、応対の仕方によっても左右されることがあり、また、来庁される方の障害の有無や種別は、必ずしも明確ではありません。市民サービスにおいては、常に障害のある方も含まれていることを念頭に置き、丁寧で分かりやすい応対に心がけるとともに、相手の立場に立って、個別の状況に応じた配慮を行うことが重要です。 法の対象範囲 法は、行政機関や事業者を対象にしており、一般私人の行為や、個人の思想、言論は、法による規制にはなじまないと考えられることから、対象にしていません。 しかし、法第4条では、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めることが国民の責務とされており、市職員として、率先して法の趣旨の実現に向けて取り組まなければなりません。また、業務運営上、差別事象などを把握した場合、その場面に応じたしかるべき対応が必要となります。(21ページ「差別事象への対応」参照) 行政機関等と事業者の義務 「不当な差別的取扱いの禁止」及び「合理的配慮の不提供の禁止」は、行政機関等、事業者ともに法的義務とされています。(法制定時は事業者の「合理的配慮の不提供の禁止」のみは努力義務でしたが、法改正により令和6年4月からは法的義務とされました。) 障害のある人にとっての社会的障壁とは 社会には、障害のない人を基準につくられている事物が多く存在します。そのため、障害のない人にとっては障壁と感じられないものが、障害のある人にとっては生活のしづらさを感じる障壁となります。 そのような、社会の側がつくり出す様々な障壁のことを「社会的障壁」といいます。 社会的障壁(バリア)とは 1社会における物やことがら 2制度 3しきたり 4考え方 など 7ページ 1 不当な差別的取扱いの禁止 (1)基本的な考え方 ア 不当な差別的取扱いとは ・法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する、又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止しています。車いす、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障害を理由とする不当な差別的取扱いに該当します。 ・なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではありません。したがって、次のようなことは、不当な差別的取扱いには当たりません。  ・障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)  ・合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱い  ・合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認すること イ 正当な理由の判断の視点 ・正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱いに当たりません。正当な理由に相当するのは、その取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合です。 ・正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障害者や第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び本市の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。 ・正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明するものとし、理解を得るよう努めます。その際は、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが大切です。 8ページ (2)不当な差別的取扱いとなりうる事例 ・障害者を排除するような差別発言を行う。 ・障害を理由に窓口対応を拒否する。 ・障害を理由に対応の順序を後回しにする。 ・障害を理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。 ・障害を理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。 ・障害の種類や程度などについて考慮することなく、漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を拒む。 ・障害者本人を無視して介助者や支援者、付き添いの人だけに話しかける。 ・障害を理由に言葉遣いや接客の態度などの接遇の質を下げる。 ・事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害を理由に、来庁の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。 ・市主催の公開の市民討論会において、参加者から差別発言があったにもかかわらず、制止するなど、その場面に応じたしかるべき対応を行わない。 なお、ここに記載された事例はあくまで例示であり、ここに記載されていないものが差別ではないということではありません。また、記載された事例であっても、差別に当たるかどうかは、個別の事案ごとに判断する必要があり、客観的に見て正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱いに当たらないこともあります。 9ページ 2 合理的配慮の提供 (1)基本的な考え方  ア 合理的配慮とは ・権利条約第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されています。 ・法及び条例は、権利条約における定義を踏まえ、行政機関等がその事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮を行うことを求めています。 ・合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものです。また、その内容は、後述する「環境の整備との関係」に係る状況や、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものです。 ・合理的配慮は、事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意した上で、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、当該障害者本人の意向を尊重しつつ「ウ 過重な負担の判断の視点」に掲げる要素も考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされる必要があります。 ・建設的対話に当たっては、障害者にとっての社会的障壁を除去するための必要かつ実現可能な対応案を障害者とともに考えていくために、双方がお互いの状況の理解に努めることが重要です。例えば、障害者本人が社会的障壁の除去のために普段講じている対策や、市が対応可能な取組等を対話の中で共有する等、建設的対話を通じて相互理解を深め、様々な対応策を柔軟に検討していくことが円滑な対応に資すると考えられます。 ・合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等にも配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意します。 10ページ イ 意思の表明について ・意思の表明は、言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達などの手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられます。 ・障害の特性等により本人の意思表明が困難な場合には、家族や介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含みます。 ・意思の表明がない場合であっても、社会的障壁の除去を必要としていることが明白であるならば、適切と思われる配慮の提供を申し出るなど、自主的な取り組みに努めます。 ウ 過重な負担の判断の視点 ・過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法及び条例の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、次の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。  ・事務や事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)  ・実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)  ・費用や負担の程度 ・過重な負担に当たると判断した場合は、障害者に丁寧にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めます。その際には、双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めた対応を柔軟に検討することが求められます。 エ 環境の整備との関係 ・法及び条例は、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(施設や設備のバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等)を、環境の整備として実施に努めることとしています。環境の整備においては、新しい技術開発が投資負担の軽減をもたらすこともあることから、技術進歩の動向を踏まえた取組が期待されます。また、ハード面のみならず、職員に対する研修や、規定の整備等の対応も含まれます。 ・障害を理由とする差別の解消のための取組は、法やいわゆるバリアフリー法等不特定多数の障害者を対象とした事前的な措置を規定する法令に基づく環境の整備に係る施策や取組を着実に進め、環境の整備と合理的配慮の提供を両輪として進めることが重要です。 11ページ ・環境の整備は、不特定多数の障害者向けに事前的改善措置を行うものですが、合理的配慮は、環境の整備を基礎として、その実施に伴う負担が過重でない場合に、特定の障害者に対して、個別の状況に応じて講じられる措置です。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなります。 ・多数の障害者が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点から、他の障害者等への波及効果についても考慮した環境の整備を行うことや、相談・紛争事案を事前に防止する観点からは、合理的配慮の提供に関する相談対応等を契機に、マニュアル等の改正等の環境の整備を図ることは有効です。また、環境の整備は、障害者との関係が長期にわたる場合においても、その都度の合理的配慮の提供が不要となるという点で、中・長期的なコストの削減・効率化にも資することとなります。 ・環境の整備の事例  ・経路上に高低差がある場合はエレベーターやスロープを設ける。  ・視覚障害者に情報が伝わるよう、音声による案内・放送設備を設ける。  ・聴覚障害者に情報が伝わるよう、電光掲示板を設ける。  ・わかりやすいピクトグラム(ジス規格(ジス Z 8210)の案内用図記号など)も用いた案内表示を設ける。  ・パニック等を起こした際に落ち着くことのできる場所(カームダウンできるスペース)を設ける。  ・車いす使用者や介助を必要とする方などの使用に配慮した広さ、オストメイト用設備、介助用の大型ベッドなどを備えたバリアフリートイレを設ける。 環境の整備にあたっての必要な視点等 公共建築物、道路、公園、公共交通機関といった施設を本市が整備する際には、いわゆるバリアフリー法をはじめとした法令の基準や、本市の「福祉都市環境整備指針」(巻末:参考情報)の基準を満たす必要があります。 また、整備にあたっては、障害者などの配慮を必要とする当事者(バリアフリー整備においては、障害者のほかにも、高齢者、子育て家庭なども配慮を必要とする当事者に含まれます。)の意見も聞きながら進める「当事者参画」の手法を用いることにより、設備を必要とする人たちにとっても使いやすい整備を進めることができます。 12ページ (2)合理的配慮として考えられる事例 ここでは、障害の特性に応じて、一般的に考えられる事例を記載していますが、既述のとおり、合理的配慮は、障害の特性や具体的な状況に応じて異なり、個別性の高いものであるため、記載された事例について、一律に実施することを求めるものではありません。また、記載された事例の他にも、個別の状況に応じて、合理的配慮が必要な場合があります。 それぞれの障害や疾病の中でも個々の態様は様々であり、例えば、「視覚障害」といっても、見え方の困難さはそれぞれ違い、多様な見えにくさがあります。対応に迷った際には、相手の方にどのようにすべきかを確認し、個別の状況に応じた対応に努めるよう配慮します。対応が困難な場合にも、何か手立てはないかということを相手の方と共に考える姿勢が大切です。 ア 窓口・案内 全般的な事例 ・施設での移動時に介助・誘導・同行を行う。 ・本人の希望により代筆した場合は、本人に内容を確認してもらう。(視覚障害の場合は、代読して確認する。この際、個人情報に関わる事項については、周囲に聞こえないよう留意する。) ・来庁が困難な方について、申請等で可能なものは、郵送やメール等で受付できるようにする。 ・耳の不自由な方や歩行の不自由な方を窓口に呼ぶときは直接フロアーに出向いて対応する。 ・窓口にみえた際に声かけができない人に対してすぐに対応できるように呼び鈴を設置する。 ・障害のある方への連絡について、個別の事情に応じた方法(文書、電話、メールなど)で行う。 主に視覚障害を対象とする事例 ・案内や説明をするときは、「こちら」「そこ」といった指示語や「黄色の用紙」といった視覚情報を表す言葉を避ける。場所は「30センチ右」「2歩前」、物は「○○の申請書」など具体的に説明する。 ・書面は必要や希望に応じて読み上げて説明する。この際、個人情報に関わる事項については、周囲に聞こえないよう留意する。 ・応対中に席を外す場合や、席に戻った際には声をかける。 ・案内文書に点字シールの貼り付けや点字版の案内を作成する。 ・申請等で可能なものは、点字文書やメール等で受付できるようにする。 13ページ 主に聴覚障害を対象とする事例 ・「耳マーク」(注1)及び「筆談マーク」(注1)を掲出して筆談(注2)やコミュニケーションボードによる対応等を行う。 ・「耳マーク」(注1)及び「手話マーク」(注1)を掲出して手話通訳の可能な職員や案内スタッフを配置する。 ・筆談用ボードを窓口へ設置する。 ・筆談の際は、読み書きが困難な聴覚障害者がいることに留意し、本人の言語能力に合わせて、理解を確認しながら書く。 ・ゆっくり、はっきり口元がわかるように話す。 ・案内表示装置・説明カード・ホワイトボード等を活用して説明する。 ・残存聴力を有し補聴器や人工内耳を使用している場合は、聞こえの状況を確認しながら話す。 ・聞き取りにくかった場合は、推測せず、聞き返す、紙に書いてもらうなど、本人の意思を確認する。 主に言語障害を対象とする事例 ・本人の意向を確認して筆談で対応する。 ・ゆっくり、はっきり、短くわかりやすい言葉で話す。 ・依頼することは順番に1つずつ話す。 ・特に重要なことや、日時・金額などの数字はメモに書いて渡す。 ・理解されにくいときは、図や身振りなどを交えて話す。 ・聞き取りにくかった場合は、推測せず、聞き返す、紙に書いてもらうなど、本人の意思を確認する。 主に肢体不自由を対象とする事例 ・車いす使用者等のスペースの確保や低床カウンターへの案内を行う。 ・車いす使用者が180度回転できる通行幅(140㎝以上)を確保する。 主に内部障害・難病を対象とする事例 ・体調に配慮し、必要に応じて、いす等のあるところに案内して、職員が窓口から出て対応する。 主に知的障害を対象とする事例 ・穏やかな口調で、ゆっくり、丁寧に話す。 ・短くわかりやすい言葉で、できるだけ具体的に話す。 ・依頼することは順番に1つずつ、理解を確認しながら話す。 ・特に重要なことはメモに書いて渡す。 14ページ 主に精神障害を対象とする事例 ・不安を感じさせないよう、穏やかな口調で話す。 ・できるだけ静かな場所で話を聞くよう努める。 ・口頭での説明での理解が難しい場合は、メモ等に筆記して説明を分かりやすくして伝達したり、時には身振り手振りで対応する。 ・対人恐怖症など対人状況で緊張や不安が強い方に、直接会話をせずにメールで質問に答えるなどの対応をする。 主に発達障害を対象とする事例 ・穏やかな口調で、ゆっくり、丁寧に話す。 ・短くわかりやすい言葉で、できるだけ具体的に話す。 ・依頼することは順番に1つずつ話す。 ・特に重要なことはメモに書いて渡す。 ・できるだけ静かな場所で話を聞くよう努める。 主に高次脳機能障害を対象とする事例 ・短くわかりやすい言葉で、できるだけ具体的に話す。 ・依頼することは順番に1つずつ話す。 ・特に重要なことはメモに書いて渡す。 その他、庁内の物理的環境に関する配慮の例 ・入口からの動線に配慮し、通路等に障害物を置かない。 ・視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の上に障害物を置かない。 ・車いす使用者用駐車スペースは目的外の利用がされないよう注意を促す。 ・休憩用のいす等を用意する。 ・車いす利用者に配慮した記載台や机等を用意する。 ・文字だけでなく絵や図なども用いた分かりやすい案内表示に努める。 ・緊急時を含む館内放送を行う場合は、掲示板やホワイトボード等を活用し音声以外での情報提供に配慮する。 15ページ 注1 耳マーク・筆談マーク・手話マーク(聴覚障害に関するマーク) 耳マーク(マークの画像) 当事者の意思「耳が不自由なので配慮してください。」 窓口等の案内内容「聞こえない人に対して配慮します。」 筆談マーク(マークの画像) 当事者の意思「筆談で対応してください。」 窓口等の案内内容「筆談で対応します。」 手話マーク(マークの画像) 当事者の意思「手話で対応してください。」 窓口等の案内内容「手話で対応します。手話でコミュニケーションできる人がいます。」 聴覚障害者のコミュニケーションの円滑化を図るために制定されたもので、耳が不自由であることを表示し、協力を求めることを表す。また、受付等に掲示し、筆談などに応じることを知らせ、聴覚障害者がより安心して問い合わせができるよう配慮する。 窓口等で筆談で対応することを案内する場合は、「耳マーク」と「筆談マーク」を掲示し、「筆談で対応します」の説明文も添える。 窓口等で筆談と手話で対応することを案内する場合は、「耳マーク」・「筆談マーク」・「手話マーク」を掲示し、「筆談で対応します」と「筆談で対応します」の説明文も添える。 注2 聴覚障害者とのコミュニケーション手段 筆談 紙などに書いて伝える。 口話 相手の口(唇)の動きを読み取って、話の内容を理解する。 手話 手の形や動作等によって表現される。本来は独自の語彙や文法体系を持つ「言語」である。 その他にも、話の内容を手書き又はパソコンを用いて、要約してその場で伝える「要約筆記」がある。また、タブレット端末もコミュニケーション手段に活用できる。 16ページ イ 広報(印刷物・映像・ウェブサイト) 全般的なの事例 ・問合わせ先に電話番号と合わせてファックス番号やメールアドレス等も記載する。 ・施設のバリアフリー情報を掲載する。 主に視覚障害を対象とする事例 ・デザインや文字を印刷物ガイドラインや福祉都市環境整備指針に基づいた印刷・配色・字体(注3)に設定する。 ・図や表には説明書きをつける。(本文に図や表の要旨を入れ、本文を読むだけで理解できるとよい。) ・特定の人を対象とする場合は、点字版や拡大版など(注4)の希望を事前に確認して対応する。 ・不特定多数の人を対象とする場合は、点字版や拡大版など(注4)の申し出があった場合は、対応する。即時の対応が困難な場合は、本人の意思を確認し、他の手段(注4)も含めて検討する。 ・郵便物を送付する際は、希望に応じて、封筒に差出課等を点字でも記載する(点字シールを貼る)。 ・テキストデータ(音声読み上げソフトに対応した形式)(注4)を提供する。 ・音声版(文字情報が録音されたCD等)(注4)を作成する。 ・音声コード(注4)を印刷する。 ・色覚障害者に配慮して、色の凡例に色名の文字も表示して何色であるかを文字でも表示する。 ・動画を通じて情報提供する場合は、ナレーションを入れるなど映像以外での情報提供に配慮する。 ・インターネットを通じて情報提供する場合は、音声読上げソフトに対応したウェブサイトを作成するよう留意する。PDFファイルを掲載する場合は、文字情報の入ったPDFファイルを掲載する、テキスト形式のファイルを併せて掲載するなど配慮する。 ・ウェブサイトに文字サイズの拡大機能を提供する。 ・ウェブサイトには十分なコントラストの確保、色の違いに頼らない網掛け処理等の配慮をする。 ・ウェブサイトの画像にALT属性(画像の代替となるテキスト情報)を設定する。 主に聴覚障害を対象とする事例 ・動画を通じて情報提供する場合は、必要に応じて字幕やテロップを付けるなど音声以外での情報提供に配慮する。 17ページ 主に肢体不自由を対象とする事例 ・マウスを利用できない人でも情報を取得できるよう、キーボードのみの操作ですべてのページを閲覧できるようにウェブサイトを構成する。 主に知的障害・発達障害を対象とする事例 ・印刷物の内容や対象者等により、必要に応じて、難しい漢字にはふりがなをつけたり、絵や図を使ったりして、理解しやすい表現に配慮する。 ・やさしい日本語の使用に留意する。 ・ウェブサイトでは漢字にふりがなをつける機能を提供する。 (注3)配色の配慮の例(「印刷物ガイドライン」・「福祉都市環境整備指針」(巻末:参考情報)) ・代表的な例では、赤系統と緑系統の色の区別がつきにくい方がいる。色の組み合わせに注意し、「暖色系と寒色系」「明るい色と暗い色」を対比させると識別しやすい。 ・また、色だけに頼ったデザインは、弱視や色覚障害の方には理解できない場合がある。下線やドットを入れるなど、色以外の情報を付加すると識別しやすくなる。 (例1)赤字と下線で強調した文章の例  (例2)斜線やドットを入れた表の例 ・様々な色覚特性のある人の色の見え方を体験するための色覚シミュレーションツールを活用し、色覚障害によってどのように色が見えるのかをシミュレーションする。 (例)色のシミュレータ(アサダカズノリ氏作成(アンドロイド・アイオーエス対応)) https://asada.website/cvsimulator/j/ 18ページ (注4)視覚障害者の情報提供手段 点字版 点字を読むことができる方に有効。 拡大版 主に弱視の方に有効。拡大コピー・拡大印刷したものを用意する。 音声版 文字情報が録音されたCD等を用意する。デイジー版のCDは、目次から読みたい章や任意のページに飛ぶことができるもので、圧縮技術により1枚のCDに50時間以上も収録できる。 テキストファイル 音声読み上げソフトで活用できるよう、情報をテキストファイルで提供する。 注 テキストファイル作成時の留意点 ・図や写真などはそれが表すものや状況を説明する言葉や文章に変換する。 ・表やグラフは箇条書きなどに変換する。 ・固有名詞や英数字の略語などが正しく読めないときにはカナに変換する。 音声コード 音声コードとは、文字情報を格納した二次元コードで、その一つのユニボイスは、再生用機器や、対応するアプリケーションをインストールしたスマートフォン・タブレット端末により、格納された文字情報を音声で読み上げる。 (音声コードが載っている冊子の画像) 注 音声コード作成時の留意点 ・音声コードの中心は端から25mmに配置する。 ・音声コードの周囲には5mm以上の余白を確保する。 ・音声コードがあることを示す切り欠き(片面印刷は1つ、両面印刷は2つ)を入れる。 ・先頭のページ(冊子は表紙、両面印刷は表面)に音声コードの説明を記載する。(視覚障害者の介助者への案内、音声コードそのものに対する周知・啓発にも繋がる。) ・音声コードに格納される音声情報の元データはテキストファイルのような文字情報のみで構成されたデータとなるので、上記のテキストファイル作成時の留意点も踏まえて用意する必要がある。 19ページ ウ 各種行事・イベント・講座 (ア)資料その他の準備など 全般的な事例 ・申込方法や問い合わせ先は電話以外にファックスや電子メール等でも対応する。 ・障害や疾病の態様は様々であるため、参加にあたっての配慮(手話通訳・要約筆記・資料の点訳・配席等)が必要な場合には事前の相談に対応する旨を記載する。 ・エレベーターやバリアフリートイレが利用できる施設で開催する。 ・議事録を送付する。 主に視覚障害を対象とする事例 ・事前広報は、活字媒体だけでなく、インターネットの活用等、幅広い手段で行う。 ・資料は、点字版や拡大版など(注4)の希望を確認し、事前に送付する。 ・最寄り駅又は駐車場からの動線を考慮し、本人の意向を確認して、必要があれば当日の案内役等を用意する。 主に聴覚障害を対象とする事例 ・手話通訳や要約筆記の希望を確認し、対応する。 ・資料は事前に送付する。(手話通訳者や要約筆記者にも事前に送付する。) 主に言語障害・高次脳機能障害を対象とする事例 ・資料は事前に送付する。(支援者がいる場合は支援者にも事前に送付する。) 主に肢体不自由を対象とする事例 ・最寄り駅又は駐車場からの動線を考慮し、本人の意向を確認して、必要があれば当日の案内役等を用意する。 主に知的障害・発達障害を対象とする事例 ・資料は、希望を確認してふりがなをつけ、事前に送付する。(支援者がいる場合は支援者にも事前に送付する。) ・事前に説明の機会を設けることが望ましい。 主に内部障害・難病を対象とする事例 ・会話や意思伝達が困難な方等について、支援者がいる場合は、支援者にも資料を用意する。 20ページ (イ)会場など 全般の事例 ・バリアフリートイレ等の設備について案内表示をする。 ・休憩所(スペース)や救護所の設置に努める。 主に視覚障害を対象とする事例 ・席に案内した際、配席など会場内の状況を説明する。 ・床のコードやケーブルはカバーし、余分な机等を片付けるなど、会場内の移動の妨げにならないように配慮する。 ・出席者の状況により、必要に応じて、照明やカーテンの開閉など部屋の明るさを調整する。 主に聴覚障害を対象とする事例 ・手話通訳や要約筆記が見えやすい席を配慮する。 ・できるだけマイクを使用し、スピーカーの位置に配慮する。 ・出席者の希望等により、ヒアリングループ(注5)のある席を設置する。 ・会場内の案内は、電光掲示板やホワイトボードの活用、文書の配布等により、音声以外での情報提供に配慮する。 主に言語障害・高次脳機能障害を対象とする事例 ・必要に応じて支援者の席を用意する。 主に肢体不自由・内部障害・難病を対象とする事例 ・入り口からの動線など、席の位置に配慮する。 ・床のコードやケーブルはカバーし、余分な机等を片付けるなど、会場内の移動の妨げにならないように配慮する。 ・必要に応じて車いす利用者や支援者の席を用意する。 ・受付・机の配置やパネル展示等は、車いす使用者の目線にも配慮して行う。 ・待ち列に並ばせるのではなく、待機場所を設置する。 ・難病患者の方の参加が多数見込まれる場合は、休憩所(スペース)を十分確保するとともに、救護所を設置し、医療・看護スタッフを配置するよう努める。 主に知的障害・精神障害・発達障害を対象とする事例 ・必要に応じて支援者の席を用意する。 ・不安を感じさせないよう、配席等に配慮する。 ・講演会等では気分がすぐれなくなったときやパニックになった人などを落ち着かせる(カームダウンの)ための場所(部屋)の設置に努める。 ・会場内地図の配布や案内所の設置、動線の表示等、会場内の配置や利用方法を分かりやすくするよう努める。 21ページ (注5)ヒアリングループ 敷設したループ内で磁気に変換した音声を磁気コイル付補聴器や人工内耳で受信することで、難聴者の聞こえを支援する設備 <参考>ヒアリングループマーク ヒアリングループ設置場所及び対応機器を示すマーク(マークの画像) (ウ)進行など 全般的な事例 ・長時間にわたる場合は、休憩をはさむ、休憩場所を用意するなど、負担を軽減するよう配慮する。 ・体調等に応じ、途中離席が可能であることを予め周知する。 ・最初に進行予定を示し、時間の見通しが分かるようにする。 ・説明内容を簡潔にしたり、説明の早さを遅くするといった対応を行う。 主に視覚障害を対象とする事例 ・スクリーンや映像をやむを得ず使用する場合は、始めにその旨を断り、説明はわかりやすく、内容を省略せずに行う。 ・点字資料の場合は、ページの番号が違うので、説明に留意する。 主に視覚障害・聴覚障害・言語障害・知的障害・発達障害・高次脳機能障害を対象とする事例 ・進行役は、出席者に対し、できるだけ簡潔に、分かりやすい言葉で発言するよう求める。 ・進行役は、出席者の発言を整理し、審議事項を明確にしながら議事を進める。 ・進行役は、発言が重なることや、あまりにも議論の展開が速まらないように留意する(手話通訳・要約筆記も意識する)。 ・出席者は、説明や発言の際は早口にならないよう留意する(手話通訳・要約筆記も意識する。通常の速さでよい)。 差別事象への対応 窓口や会議などで差別発言があった場合、現場において差別発言を速やかに制止し、市として差別発言は許さないという姿勢を示すことが大切です。差別発言を速やかに制止できなかったときは、少なくとも会の終了までに参加者に向けて差別発言があった旨を伝えるとともに注意喚起を行います。会場内の特定の個人等への差別発言の場合、対象者へのケアも行う必要があります。 また、自由な発言が想定される会議等の場合、会の冒頭で発言・傍聴にあたってのルールを説明する必要があります。詳細は、「名古屋市職員差別事象対応ガイドブック」(注)を参照してください。 注 イントラネット(スポーツ市民局人権施策推進課のページ)に掲載 22ページ 障害種別の特性について ここでは、基本的な内容を記載しています。障害種別の特性と、障害者が実際に体験した事例等をもとに適切な接遇応対の例を紹介した冊子「こんなときどうする? 障害のある人を理解し、配慮のある接し方をするためのガイドブック」など(巻末:参考情報)も併せて活用してください。 1 視覚障害 視覚障害といっても、見え方は様々である。全く見えない(全盲)、眼鏡等で矯正しても視力が弱い(弱視(ロービジョン))、見える範囲が狭い(視野狭窄)、特定の色が区別できない(色覚障害)、まぶしくて見づらいなどの方がいる。先天性か、病気や事故による中途障害かによっても、障害の内容には個人差がある。 主な特徴 ・保有視力や聴覚、触覚などから情報を得ている ・視覚の活用による言葉の習得に課題があることにより読み書きが困難な方もいる ・慣れていない場所では一人で移動することが難しい方もいる 2 聴覚障害 聴覚障害といっても、聞こえ方は様々である。全く聞こえない、聞こえにくい、片方の耳がよく聞こえないなどの方がいる。また、言語障害を伴う方とほとんど伴わない方がいる。先天性か、病気や事故による中途障害かによっても、障害の内容には個人差がある。外見からは障害のあることが分かりにくく、周囲に気づいてもらえないことも多い。 主な特徴 ・視覚や残存聴力などから情報を得ている ・聴覚の活用による言葉の習得に制限があることにより読み書きが困難な方もいる ・声に出して話せても、聞こえているとは限らない ・補聴器をつけていても、明瞭に聞こえているとは限らない 注 視覚と聴覚の重複障害(盲ろう) 全く見えず聞こえない「全盲ろう」、見えにくく聞こえない「弱視ろう」、全く見えず聞こえにくい「盲難聴」、見えにくく聞こえにくい「弱視難聴」の方がいる。障害の状態や程度、原因、成育歴等により、コミュニケーション手段は異なり、支援方法も異なる。障害の状態や程度に応じて視覚障害や聴覚障害の方と同じ対応が可能な場合もある。手書き文字や触手話、指点字などを利用する方もいる。 23ページ 3 言語障害(音声機能障害・言語機能障害) 音声機能障害は、咽頭等音声を発する器官に障害があるため、音声や発音、話し方に障害があることをいう。言語機能障害は、言葉の理解や表現に障害があることをいい、先天的な聴覚障害のために発話習得が不十分な場合や、脳血管障害等による失語症等、様々なケースがあり、障害の内容には個人差がある。外見からは障害のあることが分かりにくく、周囲の理解を得づらいことがある。 主な特徴 ・発声機能を喪失した方の中には、食道発声法や電動式人工咽頭等を使用して会話をする方もいる ・失語症の方は一見、滑らかに話をしていても、言い間違いや聞き間違いをすることがあり、また、複雑な内容や長い文章は理解することが難しいことがある 4 肢体不自由 手や足、胴の部分に障害があることをいう。歩行、座位や立位の姿勢保持、物の持ち運び等に支障があり、多くの方が杖や装具、車いすなどを使用している。脳性マヒで意思とは関係なく身体が動く不随意運動を伴う方もいる。障害の程度は個人差があり、複数の障害が合併していることもある。 主な特徴 ・移動に制約のある方、文字の記入が困難な方もいる ・話すことが困難で、自分の意思を伝えにくい方もいる ・体温調節が困難な方もいる 24ページ 5 内部障害 病気等により内臓の働きが弱くなったり、損なわれたりする機能の障害、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)による免疫機能の障害がある。外見からは障害のあることが分かりにくく、周囲の理解を得づらいことがある。 注 主な内部障害 心臓機能障害 不整脈、狭心症、心筋症等のために心臓機能が低下した障害で、動悸、息切れ、疲れやすいなどの症状がある。ペースメーカーを体内に埋め込んでいる方もいる。 腎臓機能障害 腎機能が低下した障害で、人工透析治療を受けている方もいる。定期的に一定の時間をかけて受ける必要があり、様々な負担がかかる。 呼吸器機能障害 呼吸機能が低下した障害で、呼吸困難、息切れでいつも息苦しい状態である。酸素ボンベを携帯している方、人工呼吸器を使用している方もいる。 膀胱・直腸機能障害 膀胱疾患や腸管の通過障害で、排便・排尿のコントロールが必要。人工肛門・人工膀胱(ストマ)を造設している方(オストメイト)もいる。 小腸機能障害 小腸の機能が損なわれた障害で、食事を通じた栄養維持が困難なため、定期的に静脈から輸液の補給を受けている方もいる。 肝臓機能障害 肝炎ウィルス等により肝臓の機能が損なわれた障害で、倦怠感、易疲労感、嘔気、嘔吐、けいれん、腹水の貯留、肝性脳症等の症状がある。 ヒト免疫不全ウィルス免疫機能障害 ヒト免疫不全ウィルスによって免疫機能が低下した障害で、様々な感染症や脳・神経の障害を患ったりする。 主な特徴 ・障害のある臓器だけでなく全身状態が低下しているため、疲れやすい 25ページ 6 知的障害 生活や学習面で現れる知的な働きや発達が、同年齢の人の平均と比べゆっくりとしていることをいう。発語がなく、身の回りの全面的支援が必要な最重度障害の人から、職業生活をほぼ送れる軽度障害の人まで、障害の現れ方に様々な違いがある。また、自閉症等の他障害との合併障害により、障害の内容や程度には個人差がある。脳内の障害であるため、外見からは分かりにくく、周囲の理解を得づらいことがある。 主な特徴 ・複雑な話や抽象的な概念を理解しにくい ・人に尋ねることや言葉で自分の気持ちを伝えることが苦手な方もいる ・未経験の出来事や急な状況変化への対応が苦手な方もいる ・読み書きや計算が苦手な方もいる ・状況を判断することが苦手な方もいる ・集中することが苦手な方もいる 7 精神障害 統合失調症、うつ病、躁うつ病、てんかん、アルコールや薬物依存症等の精神疾患のために、日常生活や社会生活がしづらくなることをいう。 代表的な疾患である統合失調症では、脳(神経)の働きが活発になりすぎて、幻視、幻聴、妄想が現れたり、その後、やる気が起きない、疲労感が濃い状態になったりすることがある。外見からは障害のあることが分かりにくく、周囲の理解を得づらいことがある。また、常に不安の中に居て他人との関わりに自分を守ろうとして威圧的になることがある。 主な特徴 ・ストレスに弱い方や対人関係やコミュニケーションが苦手な方が多い ・周囲の言動を被害的に受け止め注、恐怖感を持ってしまう方もいる 注 主な例示 ・悪口を言われている ・誰かに後をつけられている ・監視されている ・盗聴されている ・他人から危害を加えられている 等 ・声の大きさの調整が適切にできない場合もある ・同じ質問を繰り返したり、つじつまの合わないことを一方的に話したりする方も いる ・病気のことを他人に知られたくないと思っている方も多い ・現実ではない声(幻聴)が聴こえて誰かに命令されていると感じる ・過去に拘りがありトラウマになっている方もいる 26ページ 8 発達障害 脳機能の発達が関係する生まれつきの障害で、「自閉スペクトラム症」(ASD)や「注意欠如多動症」(ADHD)、「限局性学習症」(SLD)などがある。知的な遅れがある場合もあれば、平均以上の能力がある場合もある。脳機能の発達のアンバランスさから、得意・不得意の差が大きいため、周囲の理解を得づらいことがある。 注 主な発達障害 自閉スペクトラム症(ASD) 社会性・コミュニケーション力が低い、興味や活動の範囲が狭く、パターン化した行動やこだわりが強いなどの特徴がある。聴覚過敏や触覚過敏、逆に痛みや疲れを感じにくい等の感覚の問題がある場合もある。 注意欠如多動性(ADHD) 不注意(集中できない、うっかりミスが多いなど)、多動(待つことが苦手で動き回る、じっとしていられないなど)、衝動性(考えるよりも先に言動や行動を起こしてしまうなど)等の特徴がある。 限局性学習症(SLD) 全般的な知的発達に遅れはないのに、読む・書く・計算するなどの特定の能力に著しい困難がある状態をいう。 主な特徴 ・遠回しの言い方やあいまいな表現は理解しにくい ・相手の表情、態度やその場の雰囲気を読み取ることが苦手な方もいる ・順序立てて論理的に話すことが苦手な方もいる ・関心のあることばかり一方的に話す方もいる 9 高次脳機能障害 事故や脳血管障害等の病気により、脳にダメージを受けることで生じる認知障害や行動障害等の症状のことをいう。身体に障害が残らないことも多く、外見からは分かりにくく、周囲の理解を得づらいことがある。 主な特徴 主な症状として、以下のようなものがある。 ・記憶障害(すぐに忘れる、新しいことを覚えられないなど) ・注意障害(不注意が多い、集中力が続かないなど) ・遂行機能障害(計画を立てて物事を進められない、指示されないと動けないなど) ・社会的行動障害(すぐに怒る、欲しいものを我慢できないなど) 27ページ 10 難病 「難病」は、医学的に明確に定義された病気の名称ではなく、原因が解明されておらず、治療法が確立していない疾病で、その病態は様々である。   注 疾患群別の特徴 血液系疾患 貧血による運動機能の低下や血小板減少による出血傾向がみられる方がいる。原発性免疫不全症候群では、感染の予防が重要となる。 免疫系疾患 多臓器が侵される場合がある。全身の血管に炎症が起きる疾病では、臓器に虚血症状を起こし、脳、シン、ジンなどの血流不全になることがある。 内分泌系疾患 ホルモンが不足又は過剰となる疾病がある。症状は様々で、変動が大きいものがある。 代謝系疾患 細胞に代謝産物が蓄積、四肢の痛み、血管腫、腎不全、心症状も出現する。 神経・筋疾患 運動障害により、歩行、食事、排泄、整容などに影響が出る。思考や感覚は低下しないことが多く、適切な介助や援助によりQOLが向上する。 視覚系疾患 視野狭窄や夜間、暗室での視力が極端に低下することがある。 聴覚・平衡機能系疾患 めまいを引き起こす疾病がある。頭や体の向きを急に変えないなどの注意も必要となる。 循環器系疾患 動悸、易疲労感、浮腫、息切れなどの心不全症状がみられる。 呼吸器系疾患 階段昇降や肉体労働が困難になる。喫煙など室内外の空気の汚れにより症状は増悪する。 消化器系疾患 腸疾病では粘血便、下痢、腹痛を慢性的に繰り返す。肝・胆・膵疾病では、肝不全症状や、皮膚のかゆみ、黄疸などがみられる。 皮膚・結合組織疾患 外見の変化や合併症のため日常生活に困難を感じることが多い。皮膚症状に加え、眼、難聴、小脳失調症など歩行障害を合併するものもある。 骨・関節系 疾患 対麻痺や四肢麻痺を起こす場合がある。 腎・泌尿器系疾患 腎機能に応じて、食塩や蛋白質、水分などの制限が必要になる。多発性嚢胞腎では感染症や打撲による腎損傷に注意が必要。 スモン 中枢神経と末梢神経を侵し、びりびり感などの異常感覚とともに、多様な合併症が出現する。 主な特徴 ・症状には頻繁に変化がみられる、日によって変化が大きいといった特徴や、進行性の症状、大きな周期での回復と悪化を繰り返すことがある ・痛みや脱力感、倦怠感など外見上分かりにくい症状に悩まされていることも多い ・言語障害や四肢麻痺などのため、会話や意思伝達に困難がある場合もある 28ページ 第3章 市民からの相談 1 概要  この対応要領には、不当な差別的取扱いとなりうる事例や、合理的配慮として考えられる事例を掲げていますが、記載された事例はあくまで例示です。 障害者差別の解消を効果的に推進するためには、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に応じることが必要です。そこで、各部署に実際に寄せられた障害者差別に関する相談事案を集約することにより、障害者差別に係る事例の集積、共有化を図り、本市における障害者差別解消の取り組みに活かしていきます。 2 対応の留意事項 市政相談「市民の声」等を通じ、市職員の対応や市が実施する事業、市が管理する施設等に関して、障害を理由とする差別に関する相談を受けた場合は、当該事業等を所管する部署において、以下の事項に留意しながら、組織として対応します。 なお、相談内容が市政とは関係のない事案である場合は、他の適切な相談機関を紹介します。 ・障害の特性は様々であり、それに応じて必要な措置も異なるため、まずは申出者の話を丁寧に聞き、何が課題なのか、何が必要なのかを考えます。 ・即時の対応が困難な場合や、過重な負担にあたると判断した場合は、代替手段がないか、検討します。 ・必要に応じて、申出者との間で事案の解決に向けた話し合いを行います。 ・対応ができない場合は、その理由を説明し、理解を得るよう努めます。 3 障害者差別に関する相談等の記録及び報告 (1)記録 ア 記録の範囲 (ア)対象となるもの ・職員の対応(差別的言動、不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供)に関する相談・要望・意見等 ・市の事務事業の実施方法等(不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供)に関する相談・要望・意見等 ・市が管理する施設のバリアフリー化(ハード面の環境整備)に関する相談・要望・意見等 29ページ (イ)対象とならないもの ・定例的な団体要望や団体広聴における要望 (ウ)留意事項 ・合理的配慮を求める意思の表明があり、その場でこれに対応した場合(代替手段で対応した場合や説明等により理解を得られた場合を含む。)は除きます。 ・本人が差別を受けたと感じて相談等があった場合、結果的に、障害者差別解消法上の不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供には当たらなかった場合であっても、記録の対象とします。(上記に該当する場合を除き、この場合の集計区分は「その他の相談等」とします。) イ 所管外の相談等を受けた場合の取り扱い ・所管部署又は他機関を案内して終わった時は、記録の必要はありません。 ・一旦相談等を受け、所管部署又は他機関に伝えることとなったときは、「相談受付票」に記録し、「対応方針」にその旨記載してください。 ・引き継いだ所管部署では、別途「相談受付票」を作成してください。 ・代替手段の検討を行った場合、その内容についても記録に残してください。 (2)報告 各局室区の人事担当課でとりまとめの上、「相談受付票」の写し及び局室区の「集計表」を健康福祉局障害企画課へ提出してください。 なお、報告は4半期ごと(7月・10月・1月・4月の15日までに前4半期分)にお願いします。 記録と報告の流れ (上記の流れをあらわした図) 30ページ 第1号様式 障害者差別相談受付票(記入例) 記載内容 ・受付者(所属・氏名) ・受付日 ・受付区分(市民の声、来庁、電話、メール、その他) ・申出者(氏名・住所・本人との関係(本人、家族、福祉事業者、その他) ・申出の対象となった障害者の氏名・住所・連絡先(申出者が本人以外の場合のみ、可能な範囲で記載) ・手帳の有無と等級 ・申出内容 ・対応方針 ・決裁欄 ・集計処理欄(職員の対応か、事務事業の実施方法か、差別的言動か、など) 31ページ 第4章 研修・啓発 1 職員研修の実施 新規採用者研修、人権指導者養成研修などの既存の職員研修の枠組みの中での研修や、障害者差別解消を目的とした研修を通じて、職員一人ひとりが障害に対する理解と障害を理由とする差別の解消に資する基本的な事項の理解を深めるとともに、障害のある人に対し、対話と共感をもとにした柔軟で丁寧な対応を心掛けられるような「意識のバリアフリー」の向上を果たしていきます。 2 各職場における取り組みの推進 管理職員は、各職場における障害を理由とする差別の解消を推進するため、日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、職員の注意を喚起し、認識を深めさせるよう努めるものとします。 また、障害者から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談・苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認し、その上で、対応の必要性が確認された場合は、職員とともに、自ら対応要領に基づいた適切な対応を行うものとし、その後の取り組みに活かしていきます。 附則 1 この対応要領は、平成28年4月1日より施行する。 2 この対応要領は、国の基本方針の見直しや、不当な差別的取扱い、合理的配慮の事例の集積等を踏まえ、必要に応じて、見直し、充実を図ることとする。 3 この対応要領の見直しに当たっては、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずることとする。 附則 この対応要領は、令和5年12月1日より施行する。 32ページ 参考情報 ・手話通訳者・要約筆記者等の派遣依頼 社会福祉法人名古屋市身体障害者福祉連合会のメイシンレン聴覚言語障害者情報文化センターでは、手話通訳者派遣事業・要約筆記者派遣事業、名古屋市盲ろう者向け通訳・ 介助員派遣事業を行っています。 また、要約筆記者派遣に必要な機材(プロジェクター、スクリーン)の貸し出しや、ヒアリングループの貸し出しなども行っています。 問い合わせ先 メイシンレン聴覚言語障害者情報文化センター 中村区中村町7-84-1 電話:413-5885 ファックス:413-5853 https://meishinren.or.jp/ (名古屋市身体障害者福祉連合会ウェブサイト) 注 上記のウェブサイト内にあるメイシンレン聴覚言語障害者情報文化センターのページに詳細及び申込書様式を掲載しています。(原則として派遣希望日の1週間前までに申し込みが必要です。) ・行政文書等の点訳依頼 健康福祉局障害福祉部障害企画課では点訳者を配置し、点字文書の墨字への翻訳、行政文書やパンフレット等の点字への翻訳などの対応をしています。 また、点字用ラベルプリンターも利用できますので、電話連絡の上、健康福祉局障害福祉部障害企画課へお越しください。(点字用テープは各所属でご準備の上、ご持参ください。) 留意点 ・電子データが存在する文書の点訳を依頼する場合は、可能な限りテキストデータ(txtファイル)またはWordデータの作成及び送付をお願いします。(PDFファイル等の場合は、依頼担当課において変換したうえでご依頼ください。) ・大量のページ数となる文書や多数の方に送付する文書の点訳については、民間事業者への作成依頼を検討していただきますようお願いします。 問い合わせ先 健康福祉局障害福祉部障害企画課 電話:972-2587・2585 ファックス:951-3999 33ページ ・点字版・音声版の作成 社会福祉法人名古屋ライトハウスの名古屋ライトハウス情報文化センターでは、点字版や音声版(デイジー版のCDも対応)の作成を行っています。 製作費や製作期間は、文書量や図表の有無等によって異なりますので、直接お問い合わせください。 問い合わせ先 名古屋ライトハウス情報文化センター 港区港陽1-1-65 電話:654-4523 ファックス:654-4481 ・ユニボイスの音声コードを付与した冊子等の作成 冊子等を作成するときにユニボイスの音声コードを付与する際には、18ページに記載している「音声コード作成時の留意点」を踏まえて対応する必要があります。(冊子等を作成する際には、「音声コード作成時の留意点」の内容を仕様書などにも記載します。) なお、ユニボイスの音声コードを管理・普及している団体のウェブサイトでは、音声コードの説明や他の行政機関・民間事業者等での採用事例なども紹介しています。 関連ウェブサイト ・特定非営利活動法人 日本視覚障がい情報普及支援協会(JAVIS) https://www.javis.jp/ ・ユニボイス事業企画株式会社 https://www.uni-voice.co.jp/ 34ページ ・その他(健康福祉局障害福祉部障害企画課にて作成・実施しているもの) こんなときどうする?障害を理解し、配慮のある接し方をするためのガイドブック 障害及び障害者の正しい理解のため、各障害の特性とこれまで実際に障害者が体験した事例等をもとに、適切な接遇応対の例を紹介したもの https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000121991.html 障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例ガイドブック 「名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例」を解説するとともに、障害の特性とそれを踏まえたサポートについても解説したもの https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000114033.html 印刷物ガイドライン ユニバーサルデザインの視点から 高齢者や障害者などへの配慮事項を中心に、ユニバーサルデザインの視点から、情報提供にあたって配慮すべきことを示すことで、すべての人にとって、できるだけ見やすくわかりやすい印刷物の作成をめざすもの 福祉都市環境整備指針 福祉のまちづくりの考え方や、本市の整備する公共建築物、道路、公園、公共交通機関といった施設の整備にあたっての技術的な基準を定めたもの https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000011886.html 障害について「知る」・「理解する」動画 障害特性ごとにその障害のある人が困っていることや具体的なサポートの方法を解説する動画、障害者差別解消や意識(こころ)のバリアフリーを解説する動画などを公開 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000121991.html 障害者理解に関する講師派遣事業 市民・事業者が、障害及び障害のある人への理解を深めるとともに、社会にある障壁(バリア)を取り除くための配慮やサポート方法等を学ぶことができるよう、障害のある人を含む講師を派遣し、講演や実体験を通じた学びの機会を提供 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000148754.html 注 本市ウェブサイト(上記URL参照)又はイントラネット(健康福祉局障害企画課のページ参照)にて詳細を掲載 35ページ ・本市の主な障害関連相談機関 相談機関 名古屋市障害者差別相談センター 北区清水4-17-1 総合社会福祉会館5階 電話856-8181 ファックス919-7585 内容等 障害者の差別に関する相談実施 内容に応じて関係者間の調整なども実施 相談機関 区役所福祉課・支所区民福祉課 内容等 身体障害児・者、知的障害児・者、精神障害児・者、難病患者の福祉に関する相談 相談機関 保健センター保健予防課 内容等 精神保健福祉に関する相談、難病患者の医療相談・生活相談 相談機関 障害者基幹相談支援センター 内容等 総合相談、障害福祉サービス等の利用に関する相談 相談機関 名古屋市障害者虐待相談センター 北区清水4-17-1 総合社会福祉会館5階 電話856-3003 ファックス919-7585(土日祝・夜間 電話301-8359 ファックス308-4409) 内容等 障害者の虐待に関する相談 相談機関 名古屋市障害者・高齢者権利擁護センター 北部:電話919-7584 ファックス919-7585 南部:電話678-3030 ファックス678-3051 東部:電話803-6100 ファックス803-6600 内容等 生活相談・法律相談 相談機関 名古屋市成年後見あんしんセンター 電話856-3939 ファックス919-7585 内容等 成年後見制度に関する相談 相談機関 身体障害者更生相談所 瑞穂区弥富町字密柑山1-2 電話:835-3821 ファックス:835-3724 内容等 身体障害者に対する専門的知識及び技術を必要とする相談や判定等 相談機関 知的障害者更生相談所 熱田区千代田町20-26 電話:678-3810 ファックス:683-8221 内容等 知的障害者に対する相談や判定等 相談機関 精神保健福祉センター ここらぼ 中村区名楽町4-7-18 電話:483-2095 ファックス:483-2029 内容等 市民の心の健康の保持増進や精神障害者の社会復帰・社会参加の促進を図るための各種相談事業や啓発活動等 相談機関 発達障害者支援センター りんくす名古屋 昭和区折戸町4-16 電話:757-6140 ファックス:757-6141 内容等 発達障害者やその家族、関係機関等に対する相談支援、各種研修や啓発活動等 相談機関 総合リハビリテーションセンター 瑞穂区弥富町字密柑山1-2 電話:835-3811 ファックス:835-3745 内容等 身体障害者の相談から医療、訓練指導、社会復帰に至るリハビリテーションサービス 高次脳機能障害支援事業も実施 36ページ ・その他の関連相談機関 区分 市政 相談機関 市民相談室(名古屋市スポーツ市民局広聴課 電話972-3160 ファックス972-3164)、区役所地域力推進室 内容等 市政全般に関する苦情、要望、意見等の受付、相談 区分 人権 相談機関 ソレイユプラザなごや(なごや人権啓発センター) 電話684-7017 ファックス684-7018 内容等 人権問題に関する一般的な相談 相談機関 法務省「みんなの人権110番」(全国共通人権相談ダイヤル) 電話0570-003-110 「インターネット人権相談」ウェブサイトからメールも可 内容等 人権侵害に関する相談 区分 法律 相談機関 総務省「くらしの行政・法律相談所」(名古屋総合行政相談所)電話961-4522 内容等 法律問題(民事) 注 弁護士による相談は要予約、収入等要件有 相談機関 愛知県弁護士会名古屋法律相談センター 電話:565-6110 内容等 一般法律相談、消費者被害相談、高齢者・障害者相談等 区分 教育 相談機関 子ども教育相談「ハートフレンドなごや」(名古屋市教育センター) 電話683-8222(予約電話683-6415) 「ハートフレンドなごや」ウェブサイトからメールも可 内容等 子どもの教育・養育上の相談全般 区分 労働 相談機関 愛知労働局総合労働相談センター 電話972-0266 内容等 解雇、配置転換、賃下げ、いじめ等労働問題の相談 区分 医療 相談機関 名古屋市医療安全相談窓口 電話972-2634 ファックス972-4154 電子メール iryou-anzen@kenkofukushi.city.nagoya.lg.jp 内容等 医療についての心配・苦情などの相談 相談機関 愛知県医師会医療安全支援センター(苦情相談センター) 電話241-4163 内容等 医療に関する苦情相談 相談機関 愛知県医師会難病相談室 電話241-4144 内容等 難病患者の医療相談、療養・生活相談 区分 消費生活 相談機関 名古屋市消費生活センター 電話222-9671 「名古屋市消費生活センター」ウェブサイトからメールも可 内容等 消費生活に関する相談 注 電話番号・ファックス番号の市外局番は、特に記載がない場合「052」です。 裏表紙 意識のバリアフリー行動宣言をしよう! 障害のある人の社会参加を妨げるバリアには、物理的なものだけでなく、誤解や偏見といった私たちの意識がつくりだしてしまうものもあります。こうした意識のバリアをなくすためには、私たちが障害に対する理解を深め感覚を磨くことにより、身近なところからバリアフリーを意識した行動を実践していくことが大切です。 障害のある人もない人もお互いに尊重し支えあえるまち「なごや」にするために、市職員であるあなたから『意識のバリアフリー行動宣言』をしましょう。 意識のバリアフリー行動宣言 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する名古屋市職員対応要領」を遵守のうえ、障害のある人もない人もお互いに尊重し支えあえるまち「なごや」を目指し、わたしは宣言します。 宣言1 障害や障害のある人のことを正しく理解します。 障害の種類や程度、またその人の置かれている環境によって生活のしづらさは様々です。まずは障害や障害のある人のことを正しく理解します。 宣言2 困っている人に積極的に声をかけます。 障害のある人が街で困ることには、周囲の少しの援助で解決できることが多くあります。困っている人に積極的に声をかけて、ご本人の意思を確認したうえで手助けをします。 宣言3 分かりやすい情報の伝え方を工夫します。 対象者の求める伝え方(手段)にあわせて、例えば、聴覚障害のある人には紙に書いて伝える、知的障害のある人には図を使って説明するなど、障害の特性に応じたコミュニケーションの仕方を工夫します。 宣言4 移動のバリアをつくりません。 視覚障害のある人は誘導ブロックをたよりにして歩いています。また、車いすを使用している人が通るには十分なスペースが必要です。歩道や点字ブロックの上に自転車や物を放置するような物理的なバリアをつくりません。 所属・名前の記入欄