表紙 なごやか地域福祉2020 第3期名古屋市地域福祉計画・第6次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画 名古屋市成年後見制度利用促進計画 概要版 令和2年度(2020年度)〜令和6年度(2024年度) 名古屋市・社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会 1ページ目 なごやか地域福祉2020 第1章 計画策定にあたって 「地域福祉」ってなんだろう? 「地域福祉」は、私たちの日常の生活にとても身近なものです。個々の生活環境によって地域との関わり方は異なりますが、誰もが少なからず、生活の拠点として、地域で暮らしを送っています。その普段暮らしているこの地域で、私たちが安心して暮らせるように、一人ひとりがお互いに協力しあうという考え方が「地域福祉」です。 今、支える側と支えられる側に分かれるのではなく、誰も役割を持ち、活躍できる地域共生社会の実現が求められています。地域の住民同士お互いを尊重し、ともに助けあい支えあいながら、地域から誰ひとり排除されない、誰もがその人らしく安心で充実した生活が送れるような地域社会を目指して、地域の全ての構成員が主体的に関わっていくことが、私たちの目指す「地域福祉」だと考えています。 地域共生社会とは? 地域の住民や地域の多様な主体が我が事として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて丸ごとつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創る「地域共生社会」の実現が求められています。本計画は、この実現を目指して改正された社会福祉法の内容を踏まえて、策定し、取り組みを進めます。 「地域福祉」を進める主体は誰でしょうか? 社会福祉法では、地域の課題に対して、地域を構成する「私たち」全員が手を携えて、互いに役割を分担しながら、地域福祉の推進に努めることが定められています。 社会福祉法(地域福祉の推進) 第4条 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるように、地域福祉の推進に努めなければならない。 2ページ目 計画の位置づけ 計画期間 令和2年度(2020年度)から令和6年度(2024年度)までの5か年とします。 本計画と他の計画との関係 市が作成する「地域福祉計画」と名古屋市社会福祉協議会が作成する「地域福祉推進計画」とを一体的に策定します。 成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29号)に基づく成年後見制度利用促進計画との整合性を図り、連携した取り組みを進めます。 総合計画・新なごや人権施策推進プランを基礎として、各福祉分野の個別計画や関係するその他の計画との調和を図りながら策定するとともに、各福祉分野が共通して取り組むべき事項を定めています。個別計画とは、はつらつ長寿プラン2018、健康なごやプラン21、子どもに関する総合計画、ひとり親家庭等自立支援計画、名古屋市子ども・子育て支援事業計画、名古屋市障害者基本計画、名古屋市障害福祉計画、いのちの支援なごやプラン、福祉都市環境整備指針、名古屋市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画、名古屋市市民活動促進基本方針、名古屋市地域防災計画、名古屋市災害対策実施計画、他局所管の様々な計画、16区社会福祉協議会地域福祉活動計画、16区役所区将来ビジョンです。 人権を尊重した計画の推進 特定の人を偏見や差別によって地域社会から排除することのないよう、市民一人ひとりの人権が尊重され、お互いに支えあい助けあえる地域づくりを目指すことを、最も大切な視点に据えて計画を策定しています。 3ページ目 第2章 現状と計画策定 1 私たちの地域をとりまく現状と福祉課題・生活課題 平成30年度に、以下のアンケート調査を実施し、その結果を計画の内容に反映させています。 市政アンケート(無作為抽出した18歳以上の市民2,000人を対象) 団体及び相談支援機関等へのアンケート(1,285の関係団体等を対象) つながりの希薄化と地域からの孤立の問題 地域での住民同士のつながりが薄れてきている、という認識が定着し始め、つながりの希薄化や社会的孤立が社会問題となっています。地域住民が生活課題に気づき、支えあうことができる住民主体の仕組みづくり、専門職や関係団体との連携が求められています。 市政アンケートでは、地域の人と人とのつながりの認識に関する質問で、「薄い」と回答した割合が84.2パーセント。 市政アンケートでは、地域の人と人とのつながりで望ましい関係に関する質問で、「困ったときにお互い助け合う」と回答した割合が39.3パーセント。 4ページ目 支援が必要な人に必要な支援が結びついていないことの問題 公的サービスや相談窓口の利用にたどり着くことができない人や必要な支援を受けることを拒否する人がいます。 市政アンケートでは、自身や家族の福祉に関する困り事について、相談することのできる窓口や機関がわからなかったことがありますかという質問で、「ある」と回答した割合が22.6パーセント。 地域福祉活動への参加とキーパーソン等の負担の問題 地域福祉活動に参加する人を増やしていく必要があります。地域福祉活動の中心として活躍しているキーパーソンをはじめとした一部の活動者に負担が集中しています。 団体等へのアンケートでは、活動をするときにどのような障害や問題点がありますかという質問で、「メンバーの不足」と回答した団体の割合が49.1パーセント。 なお、団体等とは、地域福祉推進協議会、策定懇談会関係団体、社会福祉法人、NPO法人、ボランティア団体です。 5ページ目 2 私たちの地域における今日的課題 包括的な相談支援体制の構築 同時に複数の問題が生じて、複雑に絡み合った課題を抱えた人や世帯を支援するためには、各機関がそれぞれの範囲を対応するという仕組みだけでは、中には取り残されてしまう人や世帯があるため、その隙間を埋める仕組みの構築が必要です。 地域でともに暮らす人の多様なニーズへの対応 ひとり暮らし世帯の増加、非正規雇用の増加、外国人市民の増加など生活をめぐる環境が大きく変化する中、生活していく上で生じる課題は、介護、障害、子育て等にとどまらず、住まいや就労など「暮らし」の全般に及んでいます。 課題を抱える人や世帯を把握したときの対応の状況(団体及び相談支援機関等(地域福祉推進協議会、策定懇談会関係団体、社会福祉法人、NPO法人、ボランティア団体、いきいき支援センター・障害者基幹相談支援センター、地域子育て支援拠点・子育て総合相談窓口・エリア支援保育所、民生委員児童委員)へのアンケート) 高齢者と障害者の同居世帯で複数の課題を抱えている人や世帯を把握しているという回答が218件、把握していないという回答が462件、対応状況として、自ら支援した38.1%、他につないだ68.8%、支援できなかった15.6%でした。 高齢の親が障害のある子どもの介護をしており、支援が必要と思われる人を把握しているという回答が167件、把握していないという回答が500件、対応状況として、自ら支援した41.9%、他につないだ73.1%、支援できなかった16.2%でした。 支援拒否や自ら相談や利用申請等ができない人や世帯を把握しているという回答が272件、把握していないという回答が397件、対応状況として、自ら支援した31.4%、他につないだ68.6%、支援できなかった25.1%でした。 生活に困窮しており、支援が必要と思われる人や世帯を把握しているという回答が273件、把握していないという回答が394件、対応状況として、自ら支援した25.3%、他につないだ87.2%、支援できなかった6.6%でした。 住まいの確保など居住に課題を抱えた人や世帯を把握しているという回答が178件、把握していないという回答が487件、対応状況として、自ら支援した42.1%、他につないだ65.2%、支援できなかった16.3%でした。 精神疾患を抱えている人又は抱えていると思われるが、どこにも相談していない人を把握しているという回答が190件、把握していないという回答が476件、対応状況として、自ら支援した44.7%、他につないだ69.5%、支援できなかった16.8%でした。 判断能力が不十分であることにより成年後見などの権利擁護を必要としている人や世帯を把握しているという回答が150件、把握していないという回答が519件、対応状況として、自ら支援した37.3%、他につないだ82.7%、支援できなかった8.7%でした。 刑務所から出所した人などであって、福祉的な支援を必要としている人を把握しているという回答が76件、把握していないという回答が590件、対応状況として、自ら支援した57.9%、他につないだ56.6%、支援できなかった13.2%でした。 外国人であって、地域とのつながりが持てず、地域から孤立している人を把握しているという回答が99件、把握していないという回答が566件、対応状況として、自ら支援した57.6%、他につないだ53.5%、支援できなかった16.2%でした。 6ページ目 大規模災害に備える地域ぐるみの取り組み 災害への備えには、日常的な地域のつながりや必要な支援を届ける仕組みなど、地域福祉の推進そのものを基礎として、災害が発生したときのための助け合いの仕組みを構築しておくことが必要です。 3 連携・協働・ネットワーク体制の問題 必要なときに、速やかにつながることのできる地域住民や専門職等相互の関係づくりが日頃から大切になります。 他の相談支援機関等に相談者をつなぐ際に課題と感じること(相談支援機関(※)へのアンケート)なお、相談支援機関とは、いきいき支援センター・障害者基幹相談支援センター、地域子育て支援拠点・子育て総合相談窓口・エリア支援保育所です。 相談者のニーズが複雑化・多様化しており、他制度・施策のどの相談支援機関等を紹介すれば良いか分からないの回答割合は、49.7%、相談者の個人情報の取扱いが難しいの回答割合は、48.3%、連携先の業務に関する知識に乏しいため、何をどのように支援してもらえるかわからないの回答割合は、33.1%でした。 地域福祉推進協議会とは? 名古屋市内のすべての小学校区に設置されている地域福祉推進協議会は、誰もが安心して暮らせるまちを目指して、住民が主体的に福祉活動を進めていくための組織です。民生委員児童委員、区政協力委員、保健環境委員、老人クラブ、女性会、子ども会、ボランティア、その他の福祉団体などが構成員となっています。 住民の福祉に対する意識を高めるとして、広報紙の発行等 住民の相互理解を深めるための交流として、世代間の交流行事、ふれあい給食サービス、ふれあい・いきいきサロン活動等 住民の困りごとの把握として、住民福祉座談会 住民の困りごとの把握として、ふれあいネットワーク活動、地域支えあい事業等 7ページ目 第3章 計画が目指すもの 1 基本理念 2 基本目標 3 取り組むべき方向性 基本理念は、人権が尊重され、誰もがいきいきと暮らし、活躍できるまち、名古屋を目指して 基本目標は、地域共生社会の実現に向けて、市民、地域に関わる様々な団体、社会福祉協議会や行政が互いに手を携えて連携・協働し、地域の誰もが役割を持って、つながり支えあいながら、自分らしく暮らし活躍できる地域社会を目指します。 福祉課題・生活課題は、つながりの希薄化と地域からの孤立の問題、支援が必要な人と必要な支援が結びついていないことの問題、地域福祉活動への参加とキーパーソン等の負担の問題、私たちの地域における今日的課題、連携・協働・ネットワーク体制の問題 8ページ目 第4章 課題解決に向けた私たちの取り組みの展開 1 計画の体系 方向性1 つながり支えあう地域をつくる、社会的な孤立を生まない地域を目指す、では、 方策1 孤立を生まない地域づくりとして、1 高齢者、障害者、子育て世帯、外国人市民等様々な住民が交流し、ふれあえる機会の創出、2 見守り体制の充実 方策2 困ったときに支えあい助けあえる地域づくりとして、1 住民が主体的に地域課題を取り組むことができる仕組みづくり、2 災害に備える日頃からの支えあいの取り組みの推進、3 避難生活における福祉的な配慮 方向性2 一人ひとりの「暮らし」を支える仕組みをつくる、支援を求めている人、手助けが必要な人を支える、では、 方策3 様々な困りごとを丸ごと受け止め支える仕組みづくりとして、1 相談窓口や公的サービスの利用促進、連携とアウトリーチによる支援の推進、2 丸ごと相談や複合的な課題等を抱える人への包括的な相談支援の推進、3 生活困窮、住まい、自殺対策の取り組みや犯罪をした人の社会復帰に関する支援 方策4 地域で安心して暮らし続けるための支援の仕組みづくり(権利擁護の推進)として、1 判断能力が不十分な人等への本人の意思を尊重した支援、2 高齢者、障害者、児童等に対する虐待や配偶者に対する暴力の予防、早期発見と相談支援 方向性3 地域で活躍する多様な支え手を育む、「支え手」「受け手」の関係を超えて誰もが活躍できる地域を目指す、では、 方策5 多様な主体の参加促進として、1 地域を知ることから始まる地域福祉、2 若者から高齢者までのあらゆる世代、多様な主体への働きかけ、3 多様な主体が活躍できる機会づくり 方策6 地域福祉の支え手の活動支援として、1 地域福祉活動のキーパーソンをはじめ活動者を支える仕組みづくり、2 地域福祉活動を支える社会資源づくり 最後に、以上の方策を効果的に進めていくための「連携・協働の仕組みづくり」を進めます。 9ページ目 2 具体的な取り組みの展開 方策1 孤立を生まない地域づくり 1 高齢者、障害者、子育て世帯、外国人市民等様々な住民が交流し、ふれあえる機会の創出 1)小学校区を圏域として福祉活動を進めていくための組織である「地域福祉推進協議会」の周知を図り、その活動を支援します。 2)住民同士のつながりをつくる、住民による活動を支援します。 事例 ふれあい・いきいきサロン 高齢者サロン、子育てサロンや誰もが参加することのできる共生型サロンなど、地域には、様々なサロンがあります。熱田区基幹相談支援センターでは、障害のある方と地域住民との交流の場として、月2回「かよういちサロン」が開催されています。 事例 マンナMANNA子ども食堂 子どもの孤食を防止するなど、食を通じた地域のつながりの場である「子ども食堂」が増えています。西区のマンナMANNA子ども食堂では、自治会や学校、企業等、多様な主体の協力を得て月1回開催し、毎回100名程の参加者があります。 3)すべての人が安心して生活できる共生型の地域づくりを進めます。 4)同じ悩みを抱えた当事者や家族が出会う場、機会づくりを支援します。 2 見守り体制の充実 1)地域福祉推進協議会による「ふれあいネットワーク活動」等の見守り活動の推進を支援します。 2)地域における多様な見守り体制を充実させます。 3)地域の身近な商店や企業、社会福祉法人などに対し働きかけを行い、地域での見守り活動について連携します。 事例 高齢者の見守りにかかる協力事業者登録制度 平成26年9月から導入した高齢者見守り協力事業者の登録という簡便な手続きによって、より多くの民間事業者にひとり暮らし高齢者の見守り活動に参加していただき、高齢者の孤立防止活動の幅を広げていきます。 10ページ目 方策2 困ったときに支えあい助け合える地域づくり 1 住民が主体的に地域課題に取り組むことができる仕組みづくり 1)住民の困りごとや生活のしづらさなどを住民が把握し、生活支援に結びつけるための仕組みづくりを進めます。 事例 地域支えあい事業の取り組み 東区矢田学区では、「矢田レンジャー」が地域住民の生活上のちょっとした困りごとに関する相談を受け付けています。レンジャーという名の通り、5名のコーディネーターが交代で相談を受け付け、対応可能な住民のボランティアの方々につなぎ、困りごとの相談に応じています。 2)地域の生活支援ニーズを把握し、生活支援の基盤整備と充実を図ります。 3)地域の課題を自らの事として考え、地域住民等が支えあうことのできる地域づくりを支援します。 2 災害に備える日頃からの支え合いの取り組みの推進 1)大きな災害が起こったときの安否確認や避難の方法をあらかじめ地域で話し合っておく「助け合いの仕組みづくり」の取り組みを支援します。 事例 昭和区陶生町の取り組み 昭和区陶生町町内会・自主防災会では、「助け合いの仕組みづくり」に基づき作成した防災対策名簿について、複数名で共有できるよう規約を定めています。また、「黄色いリボン」を掲出することによる安否確認訓練、マンションでの防災訓練の実施や、顔の見える関係づくりを目的とした屋外型サロン、焼き芋大会等を開催しています。 2)災害ボランティアの円滑な受け入れと効果的な活動を促進するための体制づくりを行います。 3)防災に関する訓練、研修や啓発において、福祉的な配慮を必要とする人への視点をもって対応します。 3 避難生活における福祉的な配慮 1)福祉的な配慮に対応した避難所環境の整備を進めます。 2)在宅避難を支援する仕組みづくりの検討を進めます。 11ページ目 方策3 様々な困りごとを丸ごと受け止め支える仕組みづくり 1 相談窓口や公的サービスの利用促進、連携とアウトリーチによる支援の推進 1)多様な相談窓口やサービスなどをわかりやすく市民や支援者に情報提供するとともに、担当分野を超えた相談であっても、適切な機関につなぐことのできる体制づくりを進めます。 2)サービスの評価や内容の開示を進めます。 3)身近な生活の困りごとなどを地域で相談しあえる住民相談窓口の設置を進めます。 4)相談することができない人や世帯へアウトリーチを行うための仕組みづくりを進めます。 2 丸ごと相談や複合的な課題等を抱える人への包括的な相談支援の推進 1)様々な福祉の相談を断らない丸ごと相談や複合的な課題等を抱える人や世帯への包括的な相談支援を推進します。 2)包括的な相談支援を推進するためのネットワークの構築を進めます。 3 生活困窮、住まい、自殺対策の取り組みや犯罪をした人の社会復帰に関する支援 1)生活困窮者の自立に向けた各種支援を実施します。 2)関係機関・他制度による支援との連携を進めます。 3)生活困窮者支援を通じた地域づくりを進めます。 4)住宅の確保に配慮を要する人への民間賃貸住宅における住まいの確保や生活支援等の促進に向けた取り組みを進めます。 5)自殺の危険がある人のサインに気づき、未然に防ぐ取り組みを推進します。 6)犯罪をした人の円滑な社会復帰を支援するため、関係機関の緊密な連携を進めます。 12ページ目 方策4 地域で安心して暮らし続けるための支援の仕組みづくり(権利擁護の推進) 1 判断能力が不十分な人等への本人の意思を尊重した支援 1)日頃の気付きから必要な権利擁護支援へとつなげるための取り組みを進めます。 2)判断能力が不十分な人が地域で安心して生活が送れるよう金銭管理や財産保全などを行います。 3)判断能力がない人や不十分な人などの権利や財産を守る「成年後見制度」の利用促進を図ります。 4)本人の意思に基づいた本人らしい生活を送るための仕組みをつくります。 5)消費者被害のトラブルなどに関する相談支援を行います。 2 高齢者、障害者、児童等に対する虐待や配偶者に対する暴力の予防、早期発見と相談支援 1)虐待のない地域社会を目指して、一人ひとりを地域全体で見守る機運を高めます。 2)高齢者、障害者、児童等に対する虐待や配偶者に対する暴力の予防、早期発見、相談支援などを行います。 事例 オレンジリボンキャンペーンの取り組み 平成25年4月に施行された「名古屋市児童を虐待から守る条例」では、毎年5月と11月を「児童虐待防止推進月間」と定めており、様々な取り組みを実施しています。 13ページ目 方策5 多様な主体の参加促進 1 地域を知ることから始まる地域福祉 1)福祉と接点がない人も福祉に関心を持つきっかけとなる機会をつくります。 2)地域に関する情報や配慮・支援に必要な情報を発信します。 3)私たちの住む地域を学び、地域のために活動をする意欲と技能を高めるための学習機会の提供を進めます。 4)学校や地域における福祉教育・福祉学習の推進を図ります。 2 若者から高齢者までの多様なあらゆる世代、地域で活動する多様な主体への働きかけ 1)地域の課題に対して、地域住民自らが支え手となることを支援します。 2)若者が地域福祉活動を体験し、継続した活動につなげることができるように支援します。 事例 なごやか地域福祉・大学ラウンドテーブル 未来を担う若者を育み、地域貢献意欲を高めるため、名古屋市内の大学の地域連携等支援部署の担当者がつながり、若者(大学生)のボランティア活動や地域福祉活動の意義や支援方法等について協議・共有する場「なごやか地域福祉・大学ラウンドテーブル」を年3回程度実施しています。 3)高齢者や退職前の勤労者に対して、地域支えあい事業などの地域福祉活動への参加を働きかけます。 4)社会福祉法人等による地域における公益的な取り組みを促進します。 5)地域のおいて、商店や企業等が地域活動や社会貢献活動に参画していけるよう支援します。 3 多様な主体が活躍できる機会づくり 1)地域福祉活動やボランティア、NPO活動の様子を市民に分かりやすく伝え、参加意欲の向上を図ります。 2)多様な主体が参加しやすい活動の条件や環境の整備を検討します。 14ページ目 方策6 地域福祉の支え手の活動支援 1 地域福祉活動のキーパーソンをはじめとする活動者を支える仕組みづくり 1)一部のキーパーソンや活動者に負担が集中している現状を少しでも軽減する取り組みを実施します。 2)キーパーソンや活動者に対し専門的な助言や支援を行います。 3)キーパーソンを担う人材のための研修を実施します。 4)課題の多様化に対応するため、分野に特定されることなく、様々な活動者が一緒になって取り組んでいく協働の場をつくります。 2 地域福祉活動を支える社会資源づくり 1)地域福祉活動の拠点づくりを進めます。 2)地域福祉活動を行う団体等へ助成や支援を行います。 最後に、方策を効果的に推進するための取り組みとして、3つの「取り組むべき方向性」を支える連携・協働の仕組みづくり 1)相互理解を図り、顔の見えるつながりづくりを支援します。 2)地域や分野を超えた連携・協働を進めます。 3)地域福祉活動のための個人情報の共有のあり方を引き続き整理します。 事例 連携・協働による地域福祉の推進を目指して 今回の計画をつくるために、策定懇談会における様々な団体の代表者や市民の方々、市と市・区社協の様々な部署の職員がともに地域福祉を考えてきました。地域福祉の取り組みにあたっては、計画をつくることも大切ですが、そのためにお互いの顔を見ながら話し合うことで生まれる関係が重要なポイントです。 第5章 計画の進行管理と評価 推進体制 本計画の進行管理・評価は、市及び市社協が一体となって設置する進行管理のための幹事会・ワーキング及び市民、各分野の活動関係者及び学識経験者等から意見を聴取するための地域福祉に関する懇談会により行います。 15ページ目 名古屋市成年後見制度利用促進計画 第1章 計画策定にあたって 1 計画策定の背景 成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより、判断能力が十分でない人の権利を守り、生活や財産を法律的に支援する制度です。 成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的として、平成28年5月に施行された「成年後見制度の利用の促進に関する法律」では、市町村は、国の定める「成年後見制度利用促進基本計画」を勘案して、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めるものとされています。 これらを踏まえ、支援が必要な人を適切に成年後見制度へつなぎ、その人の権利が守られる地域づくりを目指し、「名古屋市成年後見制度利用促進計画」を策定するものです。 2 計画の位置づけ 本計画は成年後見制度利用促進法第14条に基づく本市の成年後見制度の利用促進に関する基本的な計画です。また、「なごやか地域福祉2020(第3期名古屋市地域福祉計画・第6次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画)」との整合性を図り、連携した取り組みを進めます。 3 計画期間 令和2年度(2020年度)から令和6年度(2024年度)までの5か年とします。 4 計画の策定体制 本計画は、法律・福祉の専門職団体、相談支援機関、家族会等の代表者で構成する、「成年後見制度利用促進に関する懇談会」の意見などを踏まえ策定しました。 16ページ目 第2章 現状と課題 1 本市における現在の取り組み (1)成年後見あんしんセンターの運営(専門相談、広報・啓発、市民後見人養成等) (2)成年後見制度利用支援事業の実施(市長申立事務、後見報酬等の助成) (3)相談支援機関による権利擁護支援の実施(相談対応) 2 本市における成年後見制度の利用促進に向けた課題 成年後見制度の利用者数は認知症高齢者等の数と比較して著しく少なく、また、身上保護等の福祉的な視点に乏しい運用がなされているものもあると指摘されています。  本市においては、成年後見あんしんセンターの運営や成年後見制度利用支援事業の実施などにより、成年後見制度の利用促進に取り組んできましたが、市民後見人候補者や成年後見制度利用支援事業の利用者は増加傾向にあるものの、市民後見人の受任件数が候補者に比べ少ない等、更なる取り組みが必要な状況も見受けられます。  平成30年度に実施したアンケート調査の結果では、成年後見制度の利用が必要と感じていながらも、制度に関する理解が十分でないことや、相談窓口や申請機関が分かりにくいことなどから、成年後見制度が市民にとって利用しづらい面があると考えられます。 また、申立等に必要な書類の作成が煩雑であることや、制度利用の判断の難しさなども、成年後見制度を利用する上でのハードルとなっていると考えられます。 このほか、財産管理以外のメリットを感じにくいことや、本人に寄り添った身上保護に対する不安があることも、成年後見制度の普及が進まない要因の一つと考えられます。 本市における成年後見制度の利用者数(平成30年12月末現在) 後見 2,325人 保佐 416人 補助 157人 任意後見 60人 合計 2,958人 市民後見人養成・受任状況(平成30年度末現在) 養成者数 188人 候補者バンク登録者数 124人 受任件数 33件 17ページ目 今後の成年後見制度利用促進に向けた課題 1 成年後見制度の正しい理解の促進 2 制度利用に係る専門的支援の充実 3 身上保護を重視した支援の仕組みづくり これらの課題を踏まえ、成年後見制度の周知や相談窓口の広報に引き続き努めるとともに、支援者や親族等への個別の相談支援や研修等の充実を図る必要があります。 また、適切に身上保護を行うための後見人等候補者の推薦に関する仕組みや、後見人が支援者の輪に加わるなど、チームとして連携した支援を行う必要があります。 第3章 計画が目指すもの 1 基本理念 人権が尊重され、誰もがいきいきと暮らし、活躍できるまち、名古屋を目指して 2 基本目標 認知症、知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人が必要な支援を受けながら、一人ひとりの意思が尊重され、自分らしく生きていくために、地域における連携した支援の仕組みづくりを推進します。 18ページ目 第4章 取り組みの方策 権利擁護支援が必要な人の意思が尊重され、成年後見制度を自分らしい生活を実現するための制度として利用できるよう、現在の取り組みを引き続き実施するとともに、権利擁護支援の地域連携ネットワークの構築を図ります。また、その中核となる機関(以下「中核機関」という。)を設置し、成年後見制度の利用促進に関する取り組みや、地域課題の検討等を行う協議会の運営を担います。 1 権利擁護支援の地域連携ネットワークの仕組みづくり 「権利擁護支援の必要な人の発見・支援」、「早期の段階からの相談・対応体制の整備」、「意思決定支援・身上保護を重視した成年後見制度の運用に資する支援体制の構築」という3つの役割を念頭に、地域における既存のネットワークも活用しながら、地域のチーム、中核機関、協議会が有機的に連携し権利擁護が必要な人を地域全体で支援する仕組みづくりを進めます。 2 中核機関の設置 成年後見あんしんセンターを中核機関に位置付け、地域連携ネットワーク全体のコーディネートを担うとともに、広報・啓発をはじめとする様々な事業の実施により、成年後見制度の利用促進に取り組みます。 中核機関が行う取り組み (1)広報・啓発 (2)相談受付・アセスメント・支援策の検討 (3)成年後見制度の利用促進 (4)後見人等への支援 3 協議会の設置 中核機関が主体となり、専門職団体・関係機関等による協議会を設置し、構成団体間の連携強化を図るとともに、中核機関の取り組み等に対する協議や、地域の「チーム」への支援等を通じて把握した地域課題の情報共有や支援策の検討等を行います。 協議会の主な役割 (1)中核機関の取り組みや課題等に対する協議 (2)家庭裁判所との情報交換・調整 19ページ目 第5章 計画の進行管理と評価 本計画の進行管理・評価は、法律・福祉の専門職団体、相談支援機関、家族会等の代表者で構成する「成年後見制度利用促進に関する懇談会」に事業実績等を報告し意見を聴取することにより行います。 20ページ目 (参考)成年後見制度の概要 成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。 法定後見制度は、本人の判断能力が不十分となった後に、家庭裁判所によって成年後見人が選ばれる制度です。本人の判断能力に応じて、「補助」、「保佐」、「後見」の3つの類型があります。 補助 判断能力が不十分な人 保佐 判断能力が著しく不十分な人 後見 常に判断能力を欠いている人 成年後見人等は、本人の意思を尊重し、本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、本人に代わり、財産を管理したり必要な契約を結んだりすることによって、本人を保護・支援します。 成年後見人等の職務 財産管理 本人の財産の管理に関する事務 身上保護 本人の生活、療養看護に関する事務 任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、あらかじめ本人が選んだ人(任意後見人)に判断能力が低下した場合に代わりにしてもらいたいことを契約で決めておく制度です。 裏表紙 なごやか地域福祉2020 第3期名古屋市地域福祉計画・第6次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画 名古屋市成年後見制度利用促進計画[概要版] ◆発行年月令和2年3月 ◆発行・編集 【なごやか地域福祉2020】 名古屋市健康福祉局高齢福祉部地域ケア推進課 〒460−8508名古屋市中区三の丸三丁目1番1号 電 話:052−972−2548 ファクシミリ:052−955−3367 社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会 〒462−8558名古屋市北区清水四丁目17の1名古屋市総合社会福祉会館5階 電話:052−911−3193 ファクシミリ:052−917−0702 【名古屋市成年後見制度利用促進計画】 健康福祉局地域ケア推進課地域支援係 〒460−8508 名古屋市中区三の丸三丁目1番1号 電話:052−972−2549 なごやか地域福祉2020 第3期名古屋市地域福祉計画・第6次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画 名古屋市成年後見制度利用促進計画(概要版) 発行年月  令和2年3月 発行・編集 【なごやか地域福祉2020】 名古屋市健康福祉局高齢福祉部地域ケア推進課地域福祉係 〒460−8508名古屋市中区三の丸三丁目1番1号 電 話:052−972−2548 ファクシミリ:052−955−3367 社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進部 〒462−8558名古屋市北区清水四丁目17の1 名古屋市総合社会福祉会館5階 電話:052−911−3193 ファクシミリ:052−917−0702 【名古屋市成年後見制度利用促進計画】 名古屋市健康福祉局高齢福祉部地域ケア推進課地域支援係 〒460−8508名古屋市中区三の丸三丁目1番1号 電話:052−972−2549 ファクシミリ:052−955−3367