リーフレット「私たちの暮らしと生物多様性」 ●1、2ページ 生物多様性の恵みに支えられる私たちの暮らし 生物多様性とは、多様な生きものが存在し、それらの生きものがお互いにつながりあい、バランスが保たれている状態のことを言います。 地球上には様々な自然の中に、長い歴史の中でそれぞれの環境に適応して進化した多様な生きものが存在し、相互につながり、支えあって生きています。 私たちの生活は、食料や水の供給、気候の安定など、生物多様性がもたらす様々な恵みによって成り立っています。 コラム?「生物多様性と薬」 植物は薬の素材として古くから私たちの健康を支えてきました。 例えば、インフルエンザの治療薬のタミフルは、中華料理によく用いられる香辛料「ハッカク」から抽出された成分をもとにつくられました。 コラムAバイオミミクリー(生物模倣) 生きものの形や動きをヒントに人間に役立つものを作り出す科学技術のことです。 私たちの暮らしの中でも様々な生きものの知恵が使われています。 例えば、ハスの葉の表面には細かい凹凸があり、水をはじく特徴があります。 この構造を人工的に作り出すことで、水や汚れのつきにくい素材となり、ヨーグルトのフタなど様々な用途で活用されています。 ●3、4ページ 私たちの未来をおびやかす、私たちの行動 現在?からCの状況になっています。 ?環境を意識しない生活 例えば、商品を安く買いたい、快適に暮らしたい、環境問題や生物多様性って自分の生活とは関係ないという意識です。 Aその意識が、地球環境への影響を及ぼします。 私たちの何気ない日常生活によって、地球環境がおびやかされています。 私たちの豊かな生活は、資源やエネルギーを消費することで成り立っていますが、その裏側では、乱獲や開発による自然の減少、資源やエネルギーの大量消費による地球温暖化など、地球環境に影響を与えており、生物多様性の劣化にもつながっています。 B生物多様性の危機 その結果、いま生物多様性は危機的状況を迎えています。 コラム1 突然危機は訪れる生きものの絶滅の速度は1900年からの100年間で約4万倍に加速しており、現在では1日に約100種のペースで生きものが絶滅しています。 コラム2 地球上には約3000万種の生きものがつながりあい、私たちの生活や事業活動を支えています。地球を飛行機に例えると、3000万種の生きものは飛行機の部品です。年間4万個もの部品が落下し続けている私たちの飛行機はいつまで飛び続けられるでしょうか。突然その危機は訪れると言われています。 C私たちへの影響 私たちの生活にも例えばこんな影響があります。 ・衣食住への影響 農作物の生産にはミツバチなどの花粉を運ぶ生きものが欠かせません。 もしいなくなれば、野菜はもちろん、家畜のエサ不足から肉や乳製品、衣類等の生産にも影響をおよぼします。 ・安心・安全な生活への影響 健全な森林には大雨が降った際に土砂が流れ出ることを防ぐ機能があります。 開発や手入れ不足などにより森林の生態系(生きもののつながり)が劣化すると土砂災害のリスクが高まります。 ●5、6ページ 生物多様性のために私たちができること。合言葉は「ネイチャーポジティブ」! 2022年12月生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)にて生物多様性の新たな世界目標が採択されました。 世界目標では、2030年までに生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」という考え方が示され、世界の新たな潮流となっています! ・政令市初!なごやネイチャーポジティブ宣言について 2023年10月に名古屋市は市民・事業者とともにネイチャーポジティブの実現を目指すことを宣言しました。 なごやネイチャーポジティブ宣言(令和5年10月28日) 名古屋市では、市街地の拡大に伴い、生きもののすみかが縮小し、身のまわりで見かける生きものの数や種類もだんだんと少なくなっています。 地球規模でも、生きものの絶滅は急速に進み、生物多様性は失われ続けています。 その現状を受け、世界は、生物多様性の損失を反転させて回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」を2030年までのミッションに掲げ、大きく動き出しました。 かつて名古屋市は「ごみ非常事態宣言」を発表し、市民・事業者の皆さまとの協働により、大幅なごみ減量を実現し、渡り鳥の飛来地である藤前干潟を保全しました。 私たちの暮らしと生きもののいのちを共に守ることを目指したこの取り組みは、本市の環境行政の転換点となりました。 そして「今」、地球の豊かな生物多様性を次世代に継承し、未来を守るための転換点を再び迎えています。 名古屋市は、以下の4つの方針のもと、ネイチャーポジティブの実現を目指すことをここに宣言します。 1. 豊かな生態系ネットワークを形成するため、残された貴重な自然を保全・再生するとともに、都心部においても生物多様性に配慮した緑化に取り組むなど、都市ならではの生物多様性に配慮したまちづくりを進めます。 2. 名古屋を含めた世界中の生きものの恵みを持続可能なかたちで利用するため、生物多様性に配慮された市民生活や事業活動が浸透した社会の実現を目指します。 3. 生物多様性の大切さに気付き、具体的な行動に移す人が増えるよう、自然と親しむ機会の提供や、日常生活の様々な場面をとらえた普及啓発などを通して、自然と共生する人づくりを進めます。 4. 生物多様性の保全と持続可能な利用を継続的に進めるため、生物多様性の取り組みに関わる人たちのつながりを支援するなど、ネットワークを強化します。 私たちの未来を守るために、なごやの生物多様性を守り、世界中の自然の恵みを持続可能な方法で利用する一人ひとりの行動「ポジティブアクション」が必要です! 2つの視点がポイントです。 1つ目 生活スタイルの転換(日々の行動で世の中の流れを変える) 2つ目 身近な自然の保全・再生(生物多様性を回復させる) ●7、8ページ 生活スタイルの転換の視点から生物多様性のために私たちができること1日々の買い物にこだわろうです。 現状で、私たちの生活は世界の生物多様性に依存し、影響を与えています。 例えば、丸太の輸入先第1位は北米ですが、結果森林が減少しています。 マグロの漁獲高は日本が世界第2位ですが、マグロの資源量が減少しています。 この現状をポジティブに変えていこう! ポジティブアクション1つ目は、地元の食材・旬の食材を選ぼう! 地元の食材や旬の食材を選ぶことで生産や輸送に必要なエネルギーを削減でき、地球環境や生物多様性を守ることにつながります。 〇地元の食材を消費することを「地産地消」、旬の食材を消費することを「旬産旬消」といいます。 旬のものはおいしくて栄養も豊富! ポジティブアクション2つ目は、環境にやさしい商品を選ぼう!です。 私たちの消費行動は生物多様性と密接に関わっています。 日々の買い物の中で生物多様性などの環境に配慮したラベルを参考にしながら商品を選択することで、世の中の流れや社会のしくみが生物多様性に配慮したものに変わっていきます。 主に木材や木製品に関する認証ラベルに、MSC認証、ASC認証があります。 主に水産物に関する認証ラベルにFSCR認証、SGEC/PEFC森林認証があります。 主に有機農畜産物に関する認証ラベルに有機JAS認証があります。 フェアトレードに関する認証ラベルに国際フェアトレード認証があります。 ポジティブアクション3つ目はマイバックを持参しよう!です。 海に流れ出たプラスチックごみは、海の生きものの命をおびやかし、生態系に影響を及ぼす恐れがあります。 使い捨てプラスチックごみ削減の第一歩として、マイバックを持参しましょう。 ●9、10ページ 身近な自然の保全・再生の視点で、生物多様性のために私たちができること2庭やベランダを生きものの楽園に!です。 現状としてなごやの生きもののすみかとなる緑被地は大きく減少しています。 この現状をポジティブ(Positive)に変えていこう! ポジティブアクション1つ目は、生物多様性緑化に挑戦しよう!です。 生物多様性緑化とは生きもののすみか・エサ場・休息場所などに配慮した緑化のことです。 家の庭やベランダなどの小さな自然をつなげることで名古屋市全体の生態系ネットワーク(生きもののつながり)を豊かにしていきましょう! 生物多様性緑化のポイントです。 ・様々な種類の植物を植える ・花や実をつける植物を植える ・木の高さ・植える間隔に変化をつける ・水辺をつくる ・侵略性のある植物を植えない 生物多様性緑化のことをもっと知りたいときはなごやのまちなか生物多様性緑化ガイドラインをご覧ください。 ●11、12ページ 身近な自然の保全・再生の視点で生物多様性のために私たちができること3身近な自然を感じよう!です。 名古屋市でも生きものの絶滅が加速しています。 現状市内の生きもの6,697種のうち約8%が「絶滅」・「絶滅のおそれのある種」に指定されています。 この現状をポジティブ(Positive)に変えていこう! ポジティブアクション1つ目は、自然や生きものにふれてみよう!です。 自然の中へ出かけたり、動物園や水族館などを訪ねて、自然や生きものにふれてみましょう! 都市化が進む名古屋市ですが、貴重な自然もまだまだ残されています。 ポジティブアクション2つ目は、生きもの探しを楽しもう!です。 名古屋市では、スマホで撮影した生きものの種類をAIで判別するアプリ「バイオーム」を活用し、市内の身近な生きものを探すオンライン参加型イベント「なごやいきものクエスト」を毎年開催しています。 ポジティブアクション3つ目は、保全活動に参加してみよう!です。 名古屋市では市民調査員を募集しています。市民調査員には、調査や講習会のご案内や調査結果等を随時お知らせしています。 ぜひ、一緒に活動をしましょう! なごや環境大学の紹介です。 環境活動を始めたい人、広げたい人、学びたい人が、経験・年齢を問わず参加できる場を提供しています。 保全活動に関するイベント・講座などを実施しています。 ●13、14ページ その他、生物多様性のためにできること4楽しく学んでみんなでシェア!です。 ポジティブアクション1つ目は、なごや生きものライブラリーです。 なごや生物多様性センターでは、なごやの生きもののことがよくわかる市民参加型のウェブサイトのなごや生きものライブラリーを運営しています。 コンテンツの紹介です。 なごやいきものマップは、皆様から投稿いただいたなごやの野生動植物の目撃情報がマップに反映され、どこでどんな生きものが目撃されたかがわかります。 その他、生きものクイズや楽しいコラムもあります。 ポジティブアクション2つ目は、生物多様性を動画で学ぼう!です。 一見すると難しい生物多様性ですが、動画だと分かりやすく学ぶことができます。 環境省動画チャンネルやなごや環境大学動画チャンネルがあります。 ポジティブアクション3つ目は、みんなにつたえよう!です。 自然や生きものに触れて感じたことを写真や絵でみんなに伝えたり、動画などで知ったことをSNSで共有することで、生物多様性の輪が広がります。 名古屋市役所公式生物多様性インスタグラムのご紹介です。皆様が知って得する、見て楽しい情報を発信しています♪ ぜひ、フォローお願いします! ●裏表紙 生物多様性のためにできることみんなで行動していこう名古屋市は令和5年10月に「なごやネイチャーポジティブ宣言」を行いました。 発行・問い合わせ 名古屋市環境局環境企画課 〒460-8508名古屋市中区三の丸三丁目1番1号 TEL 052-972-2698/FAX052-972-4134 Mail a2662-01@kankyokyoku.city.nagoya.lg.jp