表紙 名古屋市新たな劇場の基本計画概要版 2025年(令和7年)2月 名古屋市 1ページ 1.新たな劇場整備の基本的な考え方 (1)現市民会館の施設概要 所在地 愛知県名古屋市中区金山一丁目5番1号 開館年 昭和47年(1972)年10月1日(築51年経過) 構造・規模 SRC造、一部RC造 地上6階、地下2階、塔屋1階建て、敷地面積14205㎡、延べ面積28245㎡ ホール概要  (大ホールの概要)2291席(内、車いす席5席)、舞台の間口20m、奥行21m、高さ11.5m  (中ホールの概要)1146席(内、車いす席3席)、舞台の間口16m、奥行21m、高さ7.2m (2)基本理念と基本方針 ア 基本理念  (ア)ミッション 文化芸術の裾野の裾野拡大(劇場文化の浸透) (イ)目指す姿 人々が楽しみ、引き込まれ、心打たれる、文化の薫り高い名古屋の心つながる象徴拠点 イ 基本方針 基本方針1 市民が気軽に訪れる、人と文化芸術の交流結節拠点 感動と出会い、まちと繋がる、開かれた劇場 基本方針2 国内外から注目され、多くの市民の誇りと親しみを呼び起こすトップクラスの上演施設 基本方針3 市内の多様な文化活動を支え、促進する、「名古屋発/初」の文化芸術の中核となる施設 (3)新たな劇場と他の文化施設との有機的連携 「文化芸術の裾野拡大(劇場文化の浸透)」を実現するため、新たな劇場を中心とした文化施設間の有機的連携により、文化芸術に対する市民の興味・関心の拡大、及び文化団体等の多様な文化芸術活動の促進を図ります。 2ページ (4)新たな劇場の方向性 ア 現状  (ア)大ホールの現状 舞台転換が容易な広い舞台面積と舞台機構を持つ、平面的・立体的に優れた多目的ホール (イ)中ホールの現状 大ホールと遜色ない舞台面積と舞台機構を持つ多目的ホール イ 課題 (ア)施設面の課題 ①ホールの音性能の評価の低さ ②劇場とまちのつながりや関係性が希薄 ③施設の老朽化 ④来場者、利用者の快適性及び利便性の低さ(バリアフリー性、トイレ不足等) (イ)管理運営面の課題  ①ホールの高い利用率・抽選倍率による文化芸術団体の発表機会、市民の鑑賞機会の喪失 ②利用実態よりも大きなホールへの申し込み増加により、施設が高稼働状態 ウ 新たな劇場の3つの方向性 ①アーティストに開く 本市の文化芸術の中核施設として、若手アーティストや文化芸術団体等との交流や育成を促進します。 ②市民に開く 鑑賞や練習などの目的がなくても、訪れた市民が居心地よく、一日中過ごしたくなるような場所として、気軽に文化芸術に触れられる空間を創出します。 ③まちに開く まちとの連続性のあるハード整備と、金山駅周辺地域における新たな劇場を核とした面的・一体的なソフト施策の展開を行います。 (5)新たな劇場の施設構成 ア ホール機能 (ア)第1ホール ①客席数2200席程度を想定 ②本市の文化芸術を象徴し、大ホールの劇場機能を継承するホール (イ)第2ホール ①客席数1500席程度を想定 ②演劇・舞踊から伝統芸能の公演まで中ホールの劇場機能を継承するホール (ウ)第3ホール ①客席数900席程度(スタンディング1,800名程度)を想定 ②最先端の舞台装置による先駆的な演目や舞台・客席を一体的に使った演出など、演者と観客の一体感を創出する「体感するホール」 イ 創造・活動拠点機能/交流機能 (ア)スタジオ 最先端の演出にも対応可能な音響等の設備を備え、本番利用にも対応可能 (イ)練習室 合唱や吹奏楽、バンドなどの電子・電気楽器、ダンス等を練習できる空間 (ウ)会議室 各種会議や研修等、多用途での利用が可能 (エ)共通ロビー 鑑賞目的のない人でも気軽に訪れることができる、常に開かれた場所 (オ)にぎわい・交流スペース ①イベント・コミュニティスペース 日常的にイベントを開催可能なスペースを設け、にぎわいや交流を創出する ②飲食・物販スペース カフェやショップ等を設け、施設のにぎわいと市民の交流を創出する ③情報スペース 市内の文化芸術に関する情報を一元的に集約・発信するスペースを 設け、市民が文化芸術に触れる機会を創出する 3ページ 2.新たな劇場とまちづくりの関係 (1)まちづくりのコンセプト 人・文化・芸術とともに育つまち にぎわいと感性あふれる交流創造の場づくり (2)まちづくりの方向性 ア 目指す姿 アスナル金山の再整備や新たな劇場の整備とあわせ、交通結節点に相応しい都市機能の集積や多様な文化芸術に触れられるウォーカブルなまちの形成を目指し、金山駅周辺地域全体の価値向上やブランディングを図ります。 (ア)都市機能の集積 交通結節点である金山のポテンシャルを活用し、駅前に都市機能を効果的に集積させ、にぎわいや交流の更なる発展を図ります。 (イ)交通結節点としての機能強化 ①駅利用者の利便性向上等、交通結節点としての機能強化を図ります。 ②金山総合駅連絡通路橋は、リニューアルにより、高い乗換利便性に加え、情報発信機能やにぎわい交流機能の向上を図ります。 (ウ)ウォーカブルなまちの形成 ①道路やオープンスペース等の都市基盤をウォーカブルなまちに資する空間へ再編し、アスナル金山の持つ界隈イメージを継承し、地域全体に拡大を図ります。 ②沿道建物の低層部において、新たな発見や様々な活動・交流が生まれるよう機能更新の促進を図ります。 (エ)人・文化・芸術の交流創造 まちに開かれた新たな劇場とまちとの連続性を確保し、文化芸術との交流を育むことで金山らしさの発展・拡大を図ります。 イ エリアの考え方 市有地の整備をより効果的なものとするため、駅南北地区の連携を強化し、駅周辺全体の回遊性・滞在性向上やにぎわいの創出を図ります。 (ア)アスナル金山エリア 交通利便性を活かした、様々な人が集い楽しむ駅前のにぎわい交流拠点として、金山らしい都市機能を集積させた駅前複合施設を中心とした駅前空間を整備します。 (イ)古沢公園・市民会館エリア 人と文化が行き交う文化芸術交流拠点を目指すため、まちに開かれた新たな劇場を整備します。 (ウ)駅南口エリア 地域のにぎわい創出の取り組みが継続的に行われるよう、エリアマネジメントにより、地域と協働しながら適切な維持管理を目指します。 (エ)金山総合駅連絡通路橋 乗換利便機能に加え駅南北地区のにぎわいをつなぐ施設として利活用を図り、エリアマネジメントの展開を図ります。 (オ)ウォーカブル界隈 居心地が良く歩きたくなるまちなかを形成するため、公共空間に加え、沿道建物を含む地域全体のグランドレベルのにぎわい創出により、快適に滞在できる界隈を目指します。 4ページ ウ 歩行者動線・自動車交通の考え方 (ア)歩行者動線 ①歩行者動線の強化や滞在空間の創出により、グランドレベルの回遊性向上や周囲へのにじみだしを図ります。 ②東雲東古渡町線(金山駅から続く古沢公園・市民会館エリア西側の通り)をシンボル軸として位置づけ、金山駅北地区の新たなにぎわいの象徴とします。 ③魅力的な景観形成に向け、駅から新たな劇場までの見通しを確保します。 (イ)自動車交通 ①ウォーカブルなまちの形成を見据えた適切な車両動線とします。 ②交通結節点として公共交通の自動車動線に配慮し、利便性を確保します。 ③金山駅周辺地域の駐車場機能については、公共交通機関利用者の利便性、周辺地域の商業集積の状況及び開発の事業手法を鑑みた対応を図ります。 (3)金山駅周辺地域のまちづくりの方向性イメージ 金山駅周辺地区における文化芸術施策の面的な展開イメージ図を掲載 5ページ (4)文化芸術を活かしたまちづくり ア 文化芸術施設等との連携 まちづくりコンセプトの実現にあたっては、金山駅周辺地域に文化芸術が浸透するよう、文化芸術施設間の連携強化をはじめとして、イベントなどに活用できる広場やオープンスペース等の公共空間の整備やまちなかでの文化芸術活動の展開などに取り組む必要があります。 イ 新たな劇場の配置の考え方 (ア)古沢公園・市民会館エリアの考え方 現市民会館の大ホール及び中ホールが果たしている劇場機能を継承するホールとして、本市の文化芸術を象徴する劇場機能を備える第1ホール及び伝統芸能をはじめ市民の文化芸術活動の発表の場となる第2ホールを配置します。 (イ)アスナル金山エリアの考え方 市内有数の交通結節点である金山総合駅に隣接しており、集客性の高いアスナル金山エリアに、先駆的・多目的な利用ができ、実演芸術に適した規模の劇場として多くの需要が見込める第3ホールを配置します。 (5)新たな劇場を核とした文化芸術施策の展開 (ア)金山駅周辺の文化芸術施設の連携 新たな劇場(3ホール)を中心に、金山駅周辺の文化芸術施設や地域団体が連携した催し等により、文化芸術の推進とまちの回遊性の向上を図る。 (イ)劇場施設等の連携 新たな劇場(3ホール)及び音楽プラザが連携するイベントを開催し、文化芸術施設間の交流を図る。 (ウ)アスナル金山エリアでの連携 アスナル金山エリア内で連携して催しや広報を展開し、駅前のにぎわい創出を図る。 (エ)金山南ビル美術館棟との連携 金山南ビル美術館棟の展示内容と関連性が高い催しを第3ホールでも開催し、駅前の集客性を活かした文化芸術の浸透の相乗効果を図る。 (オ)広場等を活用した文化芸術活動 金山駅周辺の広場・オープンスペースを活用したコンサート等をまちなかで展開し、文化芸術の浸透とまちの魅力向上を図る。 6ページ 3.整備計画 (1)整備エリア別の機能構成 ア 古沢公園・市民会館エリアに整備する機能 (ア)ホール機能 ①第1ホール(2,200席程度) ②第2ホール(1,500席程度) (イ)創造・活動拠点機能/交流機能 ①スタジオ ②練習室 ③会議室 ④共通ロビー ⑤にぎわい・交流スペース (2)アスナル金山エリアに整備する機能 (ア)ホール機能 第3ホール(900席程度) (イ)交流機能 共通ロビー (2)機能配置イメージ 金山駅周辺地域における機能配置イメージ図を掲載 7ページ (3)まちに開かれた劇場のイメージ(古沢公園・市民会館エリア) ア 新たな劇場南側のイメージ図 ①金山駅からの見通しの確保 ②多くの人を劇場へと導く金山駅前のランドマークとなる魅力的な外観 ③建物内部と連続性のあるオープンスペース ④劇場周辺のにぎわいを創出するカフェやショップ等 イ 新たな劇場北側のイメージ図 ①開かれた劇場と一体感を持つ魅力的な公園 ②建物内部と連続性のあるオープンスペース ③文化芸術活動の様子が建物の外からも見える空間構成 ④回遊性を高める通り抜け可能な空間 ⑤劇場周辺のにぎわいを創出するカフェやショップ等 (4)周辺環境との関係 ア ランドマーク性 国内外から金山に訪れる多くの人を劇場へと導く、金山駅前のランドマークとなる魅力的な外観を備えます。 イ 公園・オープンスペース ①新たな劇場の北側には地域の公園としての機能を維持しつつ、開かれた劇場との一体感を持つ魅力的な公園として古沢公園を活用します。 ②敷地内に誰でも気軽に利用でき、文化芸術活動の場として利用できるオープンスペースを配置します。 ウ 車両出入口 金山駅周辺地域におけるウォーカブルなまちの形成を見据え、シンボル軸の歩行者動線に配慮した搬出入車両や来館車両の出入口の配置を検討します。   (5)その他の事項 ア インクルーシブな施設整備・運営 高齢者、障害者、子どもなども含む誰もが安全に支障なく施設を利用できるよう、施設整備・運営の両面でユニバーサルデザインへの配慮を十分に行うなど、全ての人が受け入れられ参加できる、誰一人排除しない(されない)劇場を目指します。 イ 感染症パンデミック時の対応 映像や通信技術の積極的な活用など、感染症パンデミック時の公演にも対応できるよう検討します。 ウ 災害時の対応 大規模な災害が発生した場合は多くの帰宅困難者が見込まれることから、今後の金山駅周辺のまちづくりに伴う来訪者の増加も含めた受け入れ等の対応を検討します。 エ 環境面の対応 カーボンニュートラルの実現に向けて、新たな劇場の整備時及び運用時において環境負荷低減に取り組む施設計画とします。また、公園・オープンスペースにおいては、生物多様性緑化に取り組むなど、グリーンインフラの実装に努めます。 (6)施設の想定規模 ①古沢公園・市民会館エリアの延べ面積 約36,500㎡ ②アスナル金山エリアの延べ面積 約9,000㎡ 注1 古沢公園駐車場の面積は含まない 注2 アスナル金山エリアの面積については施設計画検討の中で確定する 8ページ 4.管理運営計画 (1)事業の考え方 新たな劇場の担う事業を「貸館事業」と「自主事業」に分類します。 (2)貸館事業 ア 貸館事業の基本的な考え方 ①貸館事業を「施設利用サービス事業」と捉え、次の3つの方針を軸として検討します。 ②積極的に芸術性の高い公演を誘致したり(戦略的貸館事業)、施設利用者へより良い利用方法を提案する等、高質な貸館事業の実施に努めます。 イ 貸館事業の3つの事業方針 Ⅰ 文化芸術の裾野拡大につながる利用の拡大 ①設置目的の達成に資する柔軟な利用規則の検討 ②人々の興味を誘発する、話題性のある演目の積極的な利用促進 Ⅱ アーティストの多様な創造活動の受け皿 ①先駆的/実験的な試みを伴う創造活動に対する施設利用の積極的促進 ②多様な演出に対応する、柔軟なサービスの提供 Ⅲ 地域文化芸術団体等への積極的なサポート ①市民に寄り添った居心地の良いサービスの提供 ②劇場の特性を踏まえたより良い利用方法の提案 (3)自主事業 ア 自主事業の基本的な考え方  ホールや諸室、施設全体あるいは金山のまちと連携して実施する自主事業の基本的な考え方について、次の4つの方針を掲げます。 イ 自主事業の4つの事業方針 Ⅰ 幅広い世代の興味を誘発する多様な事業の展開 多角的なアプローチにより、幅広い世代へ鑑賞機会を提供 Ⅱ 文化芸術活動における共創を促進 人と人、施設と施設等の「連携」を生み出し、市民が新しい劇場体験を享受できる、多様な文化芸術活動を促進 Ⅲ 文化力を底上げする仕組みの構築 これからを担う若手人材の育成や、シニア世代の文化活動サポートなど、多くの市民が劇場を身近に感じられ、毎日が豊かになる機会の創出 Ⅳ 開かれた劇場としての交流機会の創出 誰もが気軽に集える交流機会を提供し、金山のまち独自の賑わいを創出 9ページ (4)今後の事業展開のイメージ ①事業期間(PFI方式の場合は15年程度を想定)をひとつのサイクルとして考え、プレ期、周知・普及期、定着・育成期、成長・発展期と確実にステップアップしながら有機的連携体制を構築し、新しい文化芸術を発信していきます。 ②新たな劇場の主な機能が集積する古沢公園・市民会館エリアにて有機的連携及び文化芸術の裾野拡大の土台づくりを行い、アスナル金山エリアを中心に、まち全体の面的な広がりや新しい文化芸術の楽しみ方の促進を目指します。 ア 開館前 (ア)プレ期  開館前のプレイベントを通して金山全体のまちづくりや市内文化施設や文化団体との連携準備を進める。 イ 開館後 (イ)周知・普及期 市内文化施設や文化団体と連携しながら事業展開し、ミッションや理念を体現すると同時に、新施設の使い方を市民に伝えていく。 (ウ)定着・育成期 有機的連携の定着及び文化活動の活発化を目指す。 (エ)成長・発展期 新たな劇場に蓄積されたノウハウやネットワークを活かし、他都市大規模劇場との大型提携事業を展開。 (5)運営組織の考え方 ア 事業運営体制の構築 ①新たな劇場のミッションである「文化芸術の裾野拡大」の達成に資する、安定して継続的に事業を提供し続けることができる体制 ②市民への多様な鑑賞機会を提供するため、積極的に芸術性の高い公演(戦略的貸館事業)を誘致できるノウハウを持った体制 ③文化施設の有機的連携の核としての役割を実現できる体制 ④市内文化施設のみならず、他都市施設、地域の企業・団体等とも連携できる体制 イ 専門性を持った人材の配置 ①新たな劇場の理念を実現するための事業を先導できる高い専門性を持った人材の配置 ②文化芸術活動の活性化や水準向上を図るため、地域文化芸術団体等への支援を実施できる専門人材の配置 (6)専門人材の登用 事業計画に併せて、それを実現するための最適な専門人材の体制を検討していきます。 ア 総合プロデューサー (総合プロデューサーに期待する役割・効果) 貸館事業、自主事業全般における新たな劇場の基本理念の達成 (総合プロデューサーの新たな劇場・市内における位置づけ) ①「芸術面と財政面」から事業全般の企画・推進・助言を担う人材 ②アートマネジメント専門家として横断的かつ多角的な視点を持つ人材 イ テクニカルディレクター (テクニカルディレクターに期待する役割・効果) ①幅広い世代の興味を誘発する多様な事業の展開 ②文化力を底上げする仕組みの構築 (テクニカルディレクターの新たな劇場・市内における位置づけ) 主に第3ホールで行われる最先端アートの研究・開発の指導・助言、及び国内外との共同事業や連携事業等を推進する人材 ウ コーディネーター (コーディネーターに期待する役割・効果) ①開かれた劇場としての交流機会の創出 ②文化芸術活動における共創を促進 (コーディネーターの新たな劇場・市内における位置づけ) まちづくりや地域団体等及び名古屋版アーツカウンシルとの連携を推進する人材 10ページ 5.事業方式 (1)官民連携に向けた基本的な考え方 新たな劇場の整備では民間活力の積極的な導入を推進することとし、適切な民間活力の導入方法について検討します。 (2)整備手法 ア 事業範囲の考え方 ①古沢公園・市民会館エリアとアスナル金山エリアの2つのエリアにそれぞれ適切な事業手法を検討します。 ②「新たな劇場を核とした文化芸術施策の展開」を実現するためには、核となる3つのホールの緊密な連携が必須であることから、3つのホールの管理運営については一体的に行うことを前提とします。 ③本計画では、古沢公園・市民会館エリアにおける新たな劇場の整備手法について整理します。 イ 整備手法の比較検討 従来方式(指定管理)、DB+O方式(指定管理)、PFI方式(BTO)の各方式を比較した結果、運営・まちづくりを見据えた施設計画とともに、民間ノウハウによる効率的・安定的な事業推進が可能なPFI(BTO)方式を基本として検討を進めていきます。 (ア)従来方式(指定管理) (従来方式の概要)施設の設計、建設、維持管理、運営の全てを市が実施 (従来方式のメリット) ①市の意向を反映した施設計画・整備が容易 ②政策方針に沿った機動的な対応が容易 ③公募・選定の手続きは比較的短い (従来方式のデメリット) ①施設計画に運営事業者のノウハウ活用は期待薄 ②長期的な観点からの施設運営は実施困難 ③財政負担の平準化は困難 ④工期の短縮、早期の供用開始は困難 (イ)DB+O方式(指定管理) (DB+O方式の概要)設計、建設等を一体の業務として市が一括発注 (DB+O方式の削減率)従来方式に比べ7.15%削減 (DB+O方式のメリット) ①施設計画・整備の一体的な実施により効率的な施設整備に期待 ②政策方針に沿った機動的な対応が容易 ③公募・選定の手続きは比較的短い (DB+O方式のデメリット) ①施設計画に運営事業者のノウハウ活用は期待薄 ②長期的な観点からの施設運営は実施困難 ③財政負担の平準化は困難 (ウ)PFI方式(BTO) (PFI方式の概要)民間資金を活用し、設計、建設後に所有権を市に移転 (PFI方式の削減率)従来方式に比べ6.45%削減 (PFI方式のメリット) ①民間のノウハウを活用し、維持管理・運営面を考慮した施設計画・整備に期待 ②長期的な体制構築や経営計画による事業展開・施設運営が可能 ③民間資金の活用により財政負担の平準化が可能 (PFI方式のデメリット) ①長期契約が前提のため、政策方針に応じた柔軟な契約変更は困難 ②手続きに一定の期間が必要 (3)概算事業費(古沢公園・市民会館エリアの整備にかかる事業費) 約580億円(税込み) 注1 令和6年5月時点の建設物価に基づく試算額 注2 施設の維持管理・運営費、周辺インフラの整備費は含まない (4)想定スケジュール 令和6年度 基本計画策定 令和7年度から令和8年度 公募資料等作成 令和8年度 実施方針公表 令和8年度から令和9年度 事業者公募・選定 令和9年度末 現市民会館閉館 令和10年度~令和17年度 設計・工事(約7年) 令和17年度 開館準備、新たな劇場開館 現地改築による事業であることから、現市民会館の解体や新たな劇場の設計・建設に7年程度の期間が必要となります。閉館期間中については、当地域の文化芸術活動の機運を絶やさぬよう、民間も含めたホールの整備状況等を注視しながらできる限りの対応策を検討していきます。