人権尊重のまちづくりの推進に関する基本的な考え方 主な特徴 目的(1ページ) 誰もが人権を保障され、差別と偏見のないまちの実現をめざします。 差別等の禁止(4ページ) 以下の8つの場面を例示して、不当な差別的取扱いを禁止します。 ①医療 ②教育、療育、保育 ③雇用 ④福祉サービス ⑤商品販売、サービス提供 ⑥交通 ⑦不動産取引 ⑧婚姻(当事者間の自由意思による婚姻成立の侵害) 個人の秘密を本人の同意なく暴露することを禁止します。 相談体制(5ページ) 人権侵害行為に関するご相談に対応する相談機関を設置します。 相談機関では、相談者の方へ助言を行うとともに、相談事案の相手方への調整を行い、問題の解決を図ります。 紛争解決(6ページ) 相談機関が調整を行っても解決しない場合に、助言やあっせん、勧告等を行う調整委員会を設置します。 調整委員会は、名古屋市の施策が、人権を侵害するおそれがある場合に、市長に対し、意見書を提出することができます。 基本施策(7ページから8ページ) 公共の場所において、拡声器の使用等により、不当な差別的言動が行われた場合は、事案の概要の公表や行為者への勧告等を行います。 インターネット上における人権侵害行為に該当する書き込み等を確認した場合は、その内容の拡散防止措置や発信者への勧告等を行います。(名古屋市民や市内の人権侵害行為に関連するものに限ります。) 1ページ 1 条例制定の趣旨について 世界人権宣言では、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。」とうたわれています。 しかし、差別や偏見は今もなお存在し、これらは人々に精神的苦痛や社会的孤立をもたらし、時には生命を脅かしています。 さらに、現代社会においては、人権をめぐる問題が多様化、複雑化、複合化しています。 人権問題は、個人の考え方や行動だけが原因なのではなく、社会の仕組みやルールの中にある差別や排除によって起こることもあります。 差別、暴力、虐待その他の人権侵害行為は決して許されるものではありません。 私たち一人ひとりが、互いの多様な個性を認め合い、互いの人権を尊重するために主体的に行動することが必要です。 人権尊重の理念が人権文化として日常生活のあらゆる場面において定着した、誰もが人権を保障され、差別と偏見のないまちの実現をめざすことを決意し、この条例を制定します。 2 目的について 社会構造による差別を含むあらゆる差別の解消をはじめとする人権尊重のまちづくりに関し、基本理念を定め、市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、差別の解消に向けた体制整備及び人権が尊重されるまちづくりを推進するための施策の基本となる事項を定めることにより、誰もが人権を保障され、差別と偏見のないまちの実現をめざします。 2ページ 3 定義について 人種等の属性 人種、国籍、民族、言語、宗教、政治的意見その他の意見、年齢、性別、性的指向、性自認、障害、感染症等の疾病、外見、職業、社会的身分、被差別部落の出身であることその他の属性をいいます。 不当な差別的取扱い 正当な理由なく、人種等の属性を理由にサービスや機会の提供を拒否したり、不利な条件を付けて権利や利益を侵害すること。 不当な差別的言動 人種等の属性を理由に、差別的意識を助長、誘発する目的で危害を加えると公然と脅したり、強く侮辱したりして、その人たちを社会から排除するよう扇動する言動。 4 基本理念について 次に掲げる基本理念に基づき、誰もが人権を保障され、差別と偏見のないまちづくりを推進します。 誰もが生まれながらに等しく基本的人権を有する個人として多様性が認められ、大切にされること。 多様な個性や能力が認められ、平等な機会(積極的改善措置を含む。)が与えられることで、誰もが活躍できる発展的な組織及び社会をつくること。 誰もが同じように生活を営む上で障壁となるような制度、慣行その他一切を除去すること。 差別の解消にあたっては、誰もが意図せず差別的な結果を生じさせうることを認識し、対話による相互理解を基本とすること。 複数の属性があることで特に困難な状況にある場合に、適切な配慮がなされること。 市、事業者及び市民が一体となって人権尊重のまちづくりを行うこと。 3ページ 5 責務について 市、市職員 基本理念にのっとり、人権尊重の視点に立ったあらゆる事業や施策を実施します。 常に人権を尊重し、公共の福祉の担い手として、公正な判断と誠実な職務を遂行するとともに、条例の目的を遂行するために率先して行動します。 職員の人権意識の向上を図ります。 複数の属性が重なる問題に対し、関係機関や施策が連携して対応します。 市が設置する公の施設における不当な差別的言動の防止に努めます。 市民の人権に対する主体的な考え、学び、行動を尊重します。 家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる場における市民の自主的な市民活動や社会参加を支援します。 必要な財政上の措置を行います。 事業者 基本理念にのっとり、人権尊重のまちづくりの担い手として認識します。 従業員等の人権意識の向上を図ります。 従業員等の人権を尊重します。 事業活動において人権尊重のまちづくりへの寄与に努めます。 市が実施する人権施策への協力に努めます。 市民 基本理念にのっとり、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる場における人権尊重のまちづくりへの寄与に努めます。 市が実施する人権施策への協力に努めます。 4ページ 6 審議会について 市長の附属機関として、人権施策の推進に関する重要事項について調査審議を行う審議会を設置します。 7 基本方針について 人権施策を総合的、計画的に推進するために、基本方針を策定します。 8 差別等の禁止について 次の各場面において不当な差別的取扱いをしてはなりません。 ①医療 ②教育、療育、保育 ③雇用 ④福祉サービス ⑤商品販売、サービス提供 ⑥交通 ⑦不動産取引 ⑧婚姻(当事者間の自由意思による婚姻成立の侵害) 個人の秘密を本人の同意なく暴露したり、公表をする又はしない旨を強要することをしてはなりません。 いじめ、虐待、ハラスメント、誹謗中傷その他の人権侵害行為をしてはなりません。 差別を助長、誘発する目的での調査、情報の収集又は提供とみなされる行為をしてはなりません。具体的に禁止する行為については、事前に審議会で意見聴取を行った上で、規則に定めます。 5ページ 9 相談体制について 市は、人権侵害行為に関する相談(以下「人権相談」といいます。)に的確に対応するため、相談機関を設置します。 人権侵害行為を受けた方等(以下「相談者」といいます。)は相談機関に人権相談を行うことができます。 相談機関は、人権相談を受けた場合には、必要に応じて、事実確認を行い次に掲げる対応を行います。 ・相談者への説明又は助言 ・相談者と相談事案の相手方との調整 ・関係機関への通報・通知 市は、人権相談に的確に対応するために、必要な知識、技術を有する必要な人材を育成します。 相談員は、その職務において人権侵害行為が行われていると思われるときは、調査・調整を行うことができます(原則、人権侵害行為を受けた方の同意を必要とします。)。 市の機関は、相談機関と積極的に協力し連携を行います。 6ページ 10 紛争解決について 人種等の属性を理由とする差別に係る相談を解決するために、市長の附属機関として、調整委員会を設置します。 不当な差別的取扱いを受けた方等(以下「申立人」といいます。)は、相談機関が調整を行っても解決しないときは、調整委員会へ必要な助言又はあっせんを行うよう申立てをすることができます(ただし、他の救済制度の対象となる場合を除きます。)。 調整委員会は、申立人及び相談事案の相手方等に対し、当該申立てに係る事実について必要な調査を行い、適当でないと認める場合等を除き、助言又はあっせんを行います。 (申立人及び相談事案の相手方等に対し、説明や資料の提出等を求めることができます。) 調整委員会は、あっせん案を受諾しない相談事案の相手方等に対して勧告を行うことができます。 調整委員会は、市の機関に対して勧告をしたときは、是正の措置等について報告を求めます。 報告を求められた市の機関は、60日以内に、是正の措置等について、理由を付して報告しなければなりません。 調整委員会は、正当な理由なく、当該勧告に従わないときは、あらかじめその方に意見を述べる機会を与えた上で、その旨を公表することができます。 調整委員会は、市の施策について、人権を侵害するおそれがあると認めるときは、市長に対し、意見書を提出することができます。 市の機関は、調整委員会の職務の遂行に関し、独立性を尊重するとともに、積極的に協力しなければなりません。 7ページ 11 基本施策について 公共の場所における不当な差別的言動への対応 市長は、公共の場所において、拡声器(携帯用のものを含む。)の使用やビラ等の配布、看板等の掲示により、不当な差別的言動が行われたと認めるときは、その概要を公表します。 市長は、不当な差別的言動を行った方が再度行うおそれがある場合は、地域や期間を定め、同じ内容の差別的言動を行い、又は行わせてはならないことを勧告することができます。 市長は、勧告に従わなかった場合は、再度の勧告を同様に行うことができます。 市長は、再度の勧告に従わなかった場合は、あらかじめその方に意見を述べる機会を与えた上で、勧告の概要を公表することができます。 市長は、上記の対応を行うにあたっては、事前に調整委員会で意見聴取を行います。 5ページ インターネット上における人権侵害行為への対応 市は、インターネットの適切な利用に関するリテラシーの向上を図るための教育及び啓発を行います。 市は、インターネット上における人権を侵害する書き込み等の拡散を防止するため、モニタリング(人権侵害行為に該当する書き込み等を監視すること)を行います。 市は、市民や市内の特定の地域等に関する人権侵害行為に該当する書き込み等を確認した場合は、その内容が拡散されることを防止します。 市長は、人権侵害行為に該当する書き込み等が継続して行われ、発信者が明らかな場合は、必要な措置を行うよう勧告することができます。 市長は、インターネット上の不当な差別的言動が、虚偽の事実に基づき拡散され、かつ具体的な人権侵害行為を助長、誘発するおそれが高いときは声明を出すことができます。 市長は、上記3つの対応を行うにあたっては、事前に調整委員会で意見聴取を行います。 8ページ 人権教育・啓発 市は、全ての市民が、人種等の属性にかかわらず、一人ひとりの個性や価値観が尊重され、共に支え合い活躍できる、社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)による共生社会の実現に向けて、家庭、地域、学校、職場その他の様々な場を通じて、人権教育及び人権啓発を実施するとともに、必要な環境整備に努めます。 市は、発達段階やライフステージに応じて、人権に対する理解を深め体得できる多様な機会の提供、効果的な手法の採用及び自発性の促進を行います。 市は、人権に関する市民等の関心及び理解を深めるため、人権に関する条約等の趣旨及び内容に関する周知及び普及啓発を行います。 専門的知識・技術の向上支援 市は、教育、福祉、保健医療その他人権分野に関わる全ての職種の方に、専門的知識及び技術の資質向上を図るための支援を行います。 事業者・民間団体との連携・支援 市は、人権問題の解決に取り組む事業者及び民間の団体と連携、協力及び支援を行います。 情報の質の保障 市は、人種等の属性にかかる固定的な考え方に基づく偏見及び差別的意識を助長する表現を使用しません。 市は、人種等の属性にかかわらず誰もが、円滑に情報を取得、利用できるよう必要な措置を講ずるものとします。 9ページ 12 附則について この条例は、施行後3年を経過した時点において、その施行状況を踏まえ、審議会において実効性等について検討を行い、その結果に基づき、必要な見直しを行うものとします(ただし、必要があれば、その期間の経過を待たずに検討します。)。 「人権尊重のまちづくりの推進に関する基本的な考え方」の補足説明 「11 基本施策」の「公共の場所における不当な差別的言動への対応」は、対象を本邦外出身者の方々への言動に限定せず、人種や性別、障害、被差別部落の出身など様々な属性を有する方々への言動を対象に含めます。 10ページ 【参考】相談窓口への相談から調整委員会における対応までのイメージ (このページでは、相談対応の流れ図を記載しております) 人権相談(相談対応職員)の対応 1 傾聴 相談者に寄り添って話を聴く (対応をこの段階で終了する場合があります) 2 助言 相談者の要望に応じて、関係機関や制度の紹介など解決に向けた助言を行う (対応をこの段階で終了する場合があります) 3 調査・調整 調査 事実経過に関する相手方への聴取、インターネット上の書き込み等の確認などを実施 調整 相手方への相談者の意向の伝達など、相談者と相手方との間を取り持ち、理解を得る (対応をこの段階で終了する場合があります) 申立て 4 申立て 相談者の意向や実効性のある解決策の必要性などを判断し、申立てへ移行 紛争解決(調整委員会)の対応 5 調査 申立人、差別事案の相手方等の関係者に対し、説明、追加資料の提出を求める 6 審議 助言・あっせんの内容について議論 7 助言・あっせん 審議で決定した内容に基づき実施 (対応をこの段階で終了する場合があります) 8 勧告 任意の協力を求める行政指導として実施 (対応をこの段階で終了する場合があります) 9 公表 公表前に意見陳述機会を付与 広く市民に周知し、人権侵害行為の抑止につなげる (対応をこの段階で終了する場合があります)