31ページ~35ページ 第4章 施策の展開 1 文化芸術推進三箇条 文化芸術推進基本条例の基本理念に則り「魅力と活力にあふれるまち」を実現するために、以下のとおり文化芸術推進三箇条を定めました。 (1)其の一 文化芸術の振興及び他分野連携を推進します 本市では、本市の文化芸術を推進し、都市の魅力向上を図る名古屋アーツカウンシルを軸に、文化芸術推進評議会からの政策提言、助言・評価を受けながら、名古屋アーツカウンシルの実動組織であるクリエイティブ・リンク・ナゴヤと、本市のパートナーである名古屋市文化振興事業団、名古屋フィルハーモニー交響楽団の三者と連携し、市民、文化芸術関係者、民間事業者など文化芸術活動を行う方々が活動しやすい環境の整備を進め、文化芸術の振興に取り組んでまいります。 さらに、文化芸術と他分野との連携を一層推進し、文化芸術が創出するさまざまな価値を活かすことで、まちの魅力と活力を生み出します。 ア 体制図 ※政策形成及び実行について、市やその他団体との関係を表す図を掲載 イ 名古屋アーツカウンシルの役割 名古屋アーツカウンシルは、行政と一定の距離を保ちながら、政策提言や文化芸術と他分野との連携・波及効果の創出、専門的見地からの文化芸術活動への支援を通じて、文化芸術を推進し、都市の活力・魅力向上を図る、本市における文化芸術推進体制です。 本市では、文化芸術推進評議会とクリエイティブ・リンク・ナゴヤを包括して名古屋アーツカウンシルと位置付けています。 (ア)文化芸術推進評議会の役割 文化芸術推進評議会は、文化政策に関する学識経験者を始め、観光・まちづくりに関する学識経験者や民間企業関係者、メディア関係者、公募による市民委員など、文化政策・事業に関して専門性を持つ有識者で構成された市長の附属機関です。文化芸術推進評議会には、文化芸術推進計画の答申及び進捗状況等の確認を行う「計画部会」、推進計画の重点施策等の事業内容を評価する「評価部会」を設置しています。事業評価を踏まえた政策提言や第三者的な視点による助言を行うことで、時代の変化・本市の課題を踏まえた文化芸術政策を推進していく役割を担っています。 文化芸術推進評議会の役割は主に以下の2つがあります。 ・政策提言 市長からの諮問に対し、本市の施策や事業に対する政策提言機能を有します。提言にあたっては、本市の文化芸術活動の内容を十分に踏まえ、名古屋の実情に基づいた実現性のある提言を行います。 ・助言・評価 文化芸術推進評議会の評価部会による事業視察を実施し、第三者的な視点による事業の助言・評価を行います。当該内容は、各事業主体にフィードバックされ、翌年度以降の事業に反映させていくことで、より良い事業の実現を図ります。 (イ)クリエイティブ・リンク・ナゴヤの役割 クリエイティブ・リンク・ナゴヤは、名古屋のアーティストやその関係者が行っている多様な文化芸術活動をより活性化し、まちの魅力づくりにつなげていくことを目的に、名古屋アーツカウンシルの実動組織として令和4(2022)年10月に設置されました。文化芸術と他分野との連携を促進することで、文化芸術がもたらす多様な価値を地域の各所において創出し、まち全体の活性化に寄与する役割等が期待されます。また、名古屋アーツカウンシルの実動組織として、政策提言に資する資料等を文化芸術推進評議会に共有します。 <ミッション> ・文化芸術と他分野の連携を促進し、波及効果を創出する 名古屋の文化芸術活動を、都市の活力・魅力の向上や、市民や地域が直面する課題解決に向け、観光、まちづくり等の他分野においても積極的に活用していきます。 ・地域の文化芸術活動に対する専門的見地からの戦略的な支援 専門的かつ長期的な視点による支援・評価・調査研究等の機能を整備し、文化芸術活動を行う市民や、市内で活動する文化芸術団体・芸術家等のニーズを把握し、効果的・効率的な支援の在り方を検討します。 ・取り組みの成果を本市の文化芸術施策へ反映 本市の文化芸術施策に提言を行う文化芸術推進評議会に、クリエイティブ・リンク・ナゴヤの活動から有用な情報を共有し、名古屋アーツカウンシルの推進を担います。 <取り組みの3つの柱> ・助成・支援 他分野連携事業の推進を目的とした助成やキャリアアップのための助成・支援を専門的な見地から行います。加えて、採択団体のモニタリング・助成事業の評価、事業実施への助言等を通じて、評価機会の不足、キャリア形成の不安といったアーティストが抱える課題の解消を図ります。 ・パイロット事業 先駆的な事業や人材育成事業を企画・立案し、他分野との連携を促進させ、文化芸術による新たな価値を創造します。 ・調査研究・情報発信 本市の文化芸術施策をより良くするための調査や必要な情報を集約して発信します。 ウ 名古屋市文化振興事業団の役割 名古屋市文化振興事業団は、「名古屋市民の文化・芸術の振興に資する事業を行い、もって個性豊かな魅力ある市民文化の創造に寄与すること」を目的として、昭和58(1983)年に設立されました。豊富な実績と専門知識を有する人材、培われてきたノウハウやネットワークを活かし、芸術家等の育成や魅力ある文化芸術事業を展開することで、本市の文化芸術施策を実行する役割を担っています。 文化芸術の多様な分野への活用等に総合的に取り組み、誰もが等しく文化芸術を享受する機会を創出するとともに、文化芸術が持つ人と人とをつなげる力を活用したまちの賑わいづくりや地域コミュニティ活性化等、地域の社会的課題を解決する取り組みを進める役割が期待されます。 <主な事業> ・文化施設等を活用して、市民が文化芸術に触れる機会と場を提供する事業 ・表彰等の実施、活動の場の提供及び相談助言を通じて、文化芸術団体及び芸術家等の創造活動を支援する事業 ・文化芸術に関する情報を収集し、市民に提供する事業 エ 名古屋フィルハーモニー交響楽団の役割 名古屋フィルハーモニー交響楽団は、昭和41(1966)年7月に結成され、昭和48(1973)年4月に本市の出えんにより「交響管弦楽による音楽芸術の普及向上を図り、文化の発展に寄与すること」を目的として財団法人となりました。 中部圏随一のプロオーケストラとして、交響管弦楽による質の高い演奏事業や青少年への指導及び普及事業を実施するとともに、アウトリーチ活動等を通じ、市民の方々に音楽の素晴らしさを体感してもらう等、本市の音楽芸術の普及向上のけん引役を担います。 こうした「市民のためのオーケストラ」としての活動に加え、国際都市名古屋の文化の顔にふさわしい交響楽団として、世界的にも評価される活動が期待されます。 <主な事業> ・交響管弦楽の演奏事業 ・青少年の音楽鑑賞の指導及び普及事業 ・音楽芸術普及のための広報事業 ・交響楽団の演奏技術の維持・向上を図るために必要な事業 (2)其の二 多様な文化芸術活動の拠点として文化施設の整備・管理運営を推進します 文化施設は、文化芸術の創造発信及び市民の文化芸術活動拠点として、文化芸術への市民の興味・関心を広げ、社会的課題への取り組みも含めた多様な文化芸術活動の促進を図るための施設です。 本市では、16区全てに文化小劇場を始めとした市民の文化芸術活動拠点を設置しており、市民の誰もが文化に触れ、学び、表現し、世代を超えてつながっていく場として、文化施設は重要な役割を担っています。時代の変化に応じた役割を果たし続けられるよう、適切な維持保全、改修を推進します。 また、開館から50年以上が経過した市民会館については、老朽化やバリアフリーなど現施設が抱える諸問題を克服するとともに全市的な文化振興を促進するために、「新たな劇場」として整備します。この「新たな劇場」を「ハレ舞台・名古屋の文化芸術発信拠点」として市内文化施設の中核に位置付け、他の文化施設と有機的な連携を図ることで、文化芸術に対する市民の興味・関心を広げ、文化芸術の裾野の拡大(劇場文化の浸透)を図っていきます。 今後も引き続き、本市の文化施設が文化芸術の創造発信及び市民の文化芸術活動拠点として、利用者が快適に利用できるよう、文化施設の適切な管理運営を実施するとともに、将来を見据えた整備・改修等の検討を進め、名古屋の文化芸術を支える基盤づくりを推進します。 (3)其の三 文化芸術を支える財源の確保に努めます 文化庁を始めとした国や愛知県の補助制度等の活用のほか、ネーミングライツや企業版ふるさと納税等による民間資金の活用、個人寄附の募集等により文化芸術に係る財源の確保に努めます。また、資金の調達や人的・物的リソースの活用に向けた仕組みを検討することで、持続的な文化芸術の推進を図ります。 なお企業からの寄附の一部と個人からの寄附の全ては市民文化振興事業積立基金に積み立てられ、文化芸術事業に充当されています。今後も安定的に市民文化を支えていくために、基金の計画的な管理と、持続可能な活用のあり方を検討しながら、市民文化の基盤づくりに資する適正な管理・活用を行います。 36ページ 2 各視点ごとの重点施策及び基本施策 <親しむ> 年齢、障害の有無または経済的な状況等にかかわらず、誰もが等しく文化芸術を鑑賞し、参加し、創造できるような環境の整備を図ります。特に次世代を担う子ども・若者に対しては、文化芸術に触れ、豊かな感受性や創造性等を養う機会の充実を図ります。 また、市民への情報発信力を強化し誰もが文化芸術情報を手に入れやすくすることで、文化芸術を享受できる機会の拡大に努めます。さらに、当地域に根付く文化芸術資源を継承・保存することで、これらの文化芸術に親しむことができる環境を整備します。 【重点施策】子ども・若者への文化体験機会の提供 ア 文化芸術を鑑賞・体験するための機会確保、充実 子ども・若者の豊かな人間性を育むため、名古屋市文化振興事業団や名古屋フィルハーモニー交響楽団等の文化芸術団体や、文化小劇場や大規模ホール等の文化施設と連携しながら各施設を積極的に活用し、文化芸術を鑑賞・体験するための機会確保、充実を図ります。 また、学校部活動の地域移行化の流れを踏まえつつ、子どもたちが文化芸術を鑑賞や体験できる機会の確保に努めます。 イ 民間事業者との連携による、次世代に向けた文化体験提供事業の推進 名古屋発のスタートアップ企業等との連携を元に、企業からの寄附を原資として、子ども・若者に無償で文化体験機会を提供する事業を強力に推進していきます。 <事業例>  ・なごや子どものための巡回劇場 ・子ども・若者への文化体験提供事業 37ページ~38ページ 【基本施策】(1)誰もが等しく文化芸術を享受する機会の拡大 ア 文化施設での公演・展示機会の創出 市民アンケートでは、「身近な施設で、気軽に、文化芸術を鑑賞できる機会」へのニーズが最も高くなっています。 名古屋市文化振興事業団や名古屋フィルハーモニー交響楽団、各施設による公演や展示の実施に引き続き努めるとともに、誰もが使いやすい文化施設とすることで、日常的に発表・展示等の機会を創出します。あわせて、文化芸術関係者が意欲的に活動し、その能力を発揮できるよう図るとともに、まちなかから文化施設に気軽に足を運べるような環境づくりを目指します。 イ 多様な層へのアウトリーチ活動 文化芸術へのアクセスが難しい状況にある人々を含め、誰もが文化芸術に親しみ、豊かな感性を育むことができるように、福祉施設や児童施設等への積極的なアウトリーチ活動、公共空間の活用等によるまちなか展開、公演への招待など、誰もが等しく文化芸術に触れられる機会の拡大を図ります。 ウ 文化芸術鑑賞における情報保障 鑑賞にあたってはパンフレットや案内等の多言語化や手話通訳、字幕、音声ガイドの導入などの情報保障を行い、年齢や障害の有無、国籍にかかわらず誰もが等しく文化芸術活動に触れられる環境の整備に努めます。 また、関係者の意識向上を目的とした研修の実施等に努めます。 <事業例> ・みる・まなぶ・ダンス! ・まちかどコンサート 【基本施策】(2)文化芸術情報の発信力の強化 ア 情報の入手環境の向上 文化芸術に市民が触れやすくするため、さまざまなメディアやイベントを利用して名古屋の文化芸術の魅力を広く発信するとともに、多言語のデジタル広報を展開する等、多様な手段による広報を実施します。 イ 市民による主体的な情報発信の促進 市民の文化情報の収集方法が変化していることから、SNSの活用に力を入れ、共有しやすい情報を提供することで、市民との相乗効果による主体的な情報の発信を図ります。 <事業例> ・文化情報誌の発行 ・文化情報ひろばの運営 【基本施策】(3)文化芸術資源の継承・保存 ア 伝統芸能や生活文化・国民娯楽の継承 歴史文化に根ざした魅力向上として、文化・歴史資源の継承・保存が求められていることから、名古屋でかつて盛んに行われていた能楽等の伝統芸能や、将棋・囲碁を始めとする生活文化・国民娯楽について普及・継承を図ります。 イ 文化芸術収蔵資料の保存 郷土ゆかりの文学資料室を始めとした施設において、当地域の文学資料等を保存し、さらに展示等を行うことで活用します。 <事業例> ・将棋・囲碁文化の普及啓発事業 ・文学資料室の運営 39ページ <磨き育てる> 多様な文化芸術の保護及び発展が図られるよう、人材の発掘・育成、活動の場の提供など、新たな価値や魅力の源泉となる文化芸術創造活動の支援に取り組みます。特に次世代を担う若手アーティストに対しては、活動基盤を安定させ、安心して活動が継続できるよう、サポート体制を整えるとともに、市民の文化芸術に関する練習・創作・発表・交流環境の充実を図る等、市民の主体的な文化芸術活動を支援します。 また、名古屋の特色ある文化芸術の発展が図られるよう、名古屋ならではの文化・歴史資源の活用を推進します。 【重点施策】若手アーティストの支援 ア キャリア形成支援 次世代を担う若手アーティストやアーティストを志す学生等に対して、さまざまな分野の専門人材によるアドバイス等を通じて、アーティストとしてのキャリア形成を支援します。また、アート作品や公演のマーケティング等に関する情報提供や交流の場の提供、勉強会の実施等を通じて、アーティストが活動を継続できるように支援します。 イ 創作・発表の場の提供 若手アーティスト等に対して、コンペティションやオーディションを開催するとともに、市内文化施設やギャラリー、公共空間等を創作・発表の場として積極的に提供することで、若手アーティスト等の活動範囲の拡大を図ります。 <事業例> ・クリエイティブ・リンク・ナゴヤ キャリアアップ支援助成 ・ファン・デ・ナゴヤ美術展 40ページ~41ページ 【基本施策】(1)創造的文化芸術活動及び市民文化芸術活動の支援 ア 創造的文化芸術活動の支援 アーティストがキャリアアップを通じて経済的に自立することで、活動範囲の拡大やスキルの向上につながり、新たに生み出されるコンテンツによって名古屋の魅力向上が期待されます。そのため、アーティストに市内の文化施設やギャラリー、公共空間を創作・発表の場として提供し、新たな文化芸術の創造を支援します。また、活動実績のあるアーティストに対しては、その功績を讃え、文化芸術の振興を目的とした個人及び団体の表彰を行います。 イ 市民文化芸術活動を行う方々の活動・発表の場の提供 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により文化芸術団体の規模が縮小していることから、練習・創作・発表・交流等文化芸術活動を行いやすい環境づくりやコミュニティづくりに取り組みます。 また、市民が文化芸術活動に参画する機会のひとつとして、文化芸術事業の運営補助等に携わるボランティア活動を促進します。 <事業例> ・名古屋市芸術賞 ・Nagoya POP UP ARTIST ・名古屋市民美術展 ・名古屋いけばな芸術展   【基本施策】(2)文化・歴史資源の活用 ア 名古屋の文化・歴史資源を活用した魅力づくり 歴史的建造物や歴史的町並み等の名古屋独自の文化・歴史資源を活用し、名古屋の魅力を再発見する事業に取り組むとともに、文化芸術の発表の場や展示を目的とした歴史的建造物の活用を検討します。 イ 能楽堂の魅力向上 名城エリアは名古屋駅の近くに位置し、国内外の観光客からの認知度が高く、日常的にも市民や学生が集うエリアとなっています。 その中で名古屋城の南西に位置する能楽堂は世界最大の規模を誇り、能楽その他伝統芸能を振興する拠点となっていることから、伝統芸能を中心に本市の魅力を発信することで、名城エリアのさらなる魅力向上とにぎわい創出を図ります。 ウ メディア芸術を活用した魅力づくり 市民アンケートにおいてメディア芸術(映画、漫画、アニメーションなど)への関心が高まっていることから、メディア芸術の持つ創造性や発信力を活用し、地域の魅力向上や文化芸術の裾野拡大につながる取り組みを推進します。また、クリエイター等の関連人材の発掘・育成を通じて、メディア芸術を本市のブランディングや観光等に活用していくための基盤づくりを進めます。 <事業例>   ・やっとかめ文化祭DOORS ・NAGOYA NOH THEATER「能楽いつでもWatch」 ・「なごや文芸週間」事業 ・名古屋能楽堂オリジナルキャラクター 42ページ <活かす> 文化芸術により生み出される価値を観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各関連分野における施策との有機的な連携が図られるよう配慮し、文化芸術の多様な価値と社会との好循環の創出に取り組みます。また、まちの中においても、芸術や歴史を実感する場や空間を形成するほか、さまざまな主体と協働して文化芸術の力を活用した活力ある地域づくりを進める等、文化芸術を活かしたまちづくりを推進します。 【重点施策】文化芸術を活かしたまちづくり ア 市内における創造的文化芸術活動の創出 クリエイティブ・リンク・ナゴヤでは、文化芸術と観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業等との他分野連携事業への助成や、アーティストや文化芸術団体等とまちづくり団体が連携して行う、地域の魅力向上や将来の発展に貢献する実験的な事業等に取り組んでいます。創造的な活動を行うさまざまな人材が集積し、情報交換し、刺激し合う場づくりや地域との連携を図り、文化芸術とまちづくりとの連携を促進することで、文化芸術の多様な価値を好循環させ、文化芸術を活かした魅力と活力にあふれるまちづくりを進めます。 イ まちなかでの文化芸術活動の推進 本市がこれまで取り組んできたやっとかめ文化祭DOORSやアッセンブリッジ・ナゴヤでのまちなかで実施する文化芸術活動についてのノウハウを活かすほか、文化小劇場等と地域の文化芸術団体と連携することで、まちなかでの文化芸術活動の推進に取り組みます。 特に、金山地区では、市民会館の建て替えに伴ったまちづくりとの連携が求められていることから、まちにおける広場や公共的な空間の創出、活用を行うことで、アーティスト等が集まる場づくりを目指し、文化芸術を活かしたまちづくりを進めます。 また、アジア・アジアパラ競技大会文化プログラムを推進し、大会の開催に向けた機運を醸成するとともに、名古屋の文化芸術の魅力をアジアへ発信し、地域活性につなげます。 <事業例> ・クリエイティブ・リンク・ナゴヤ パイロット事業 ・NAGOYA NOH THEATER「能楽まちなかWatch」 43ページ~45ページ 【基本施策】観光、国際交流、福祉等他分野との連携 ア 文化・歴史資源を活かした文化観光の推進 名古屋の歴史的建造物や文化資産を観光資源として捉え、これらを活用した魅力づくりに取り組むとともに、国内外に向けたプロモーションにより新たな観光客誘致を図ることで、文化芸術と経済の好循環を目指します。特に、インバウンド向け文化体験コンテンツの造成及び発信により、名古屋の文化芸術を世界に伝えていきます。 <事業例> ・将棋「王位戦」を活用した都市魅力向上・発信事業 ・NODATE Tea Ceremony Café イ 文化芸術を活かした国際交流の推進 海外アーティスト・団体との交流や制作、ユネスコ創造都市ネットワーク等の国際的な枠組みを通じて、世界との創造的なつながりを育み、相互に経験・知識の共有を図る異文化交流の推進により、国際的な都市イメージの向上を図り、世界に開かれたまちを目指します。 <事業例> クリエイティブ・リンク・ナゴヤ 社会連携活動助成(文化芸術×国際交流)   ウ 文化芸術で切り開く福祉と共生社会 福祉・医療施設、高齢者施設、児童施設等でのアウトリーチ事業を積極的に推進することで、さまざまな理由により文化施設に足を運ぶことが難しい市民等に向けて文化芸術に触れる機会を提供します。また、障害の有無にかかわらず、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、または創造することができるよう、障害者による文化芸術活動の促進にも留意します。 <事業例> クリエイティブ・リンク・ナゴヤ 社会連携活動助成(文化芸術×福祉) エ 子ども・若者への教育における文化芸術活動の充実 子どもの頃から文化芸術に日常的に触れる体験は、子ども・若者の感性や想像力、表現力を育むなど健やかな育成において、また将来の文化芸術を支える担い手や、享受する観客を育成する意味においても重要です。 そのため、本市では、子どもたちへのアウトリーチプログラム等による文化体験の機会や、学生等が事業の企画・運営に主体的に関わる機会を提供することで、文化芸術を教育に活かし、子ども・若者の豊かな成長を支えていきます。 <事業例> ・NAGOYA GROOVIN’SUMMER ・ナゴヤ・マーチング&バトン・ウェーブ   オ クリエイティブ産業や文化芸術活動を支える産業の振興 本市は平成元(1989)年に「デザイン都市宣言」を行い、世界でも有数のものづくりの中核圏域として活力に満ちあふれ、創造性豊かな名古屋のデザインというアイデンティティとその可能性が認められた結果、平成20(2008)年には国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の「創造都市ネットワーク(デザイン分野)」への加盟が認定されました。デザインによる豊かな創造性あふれる魅力的な都市づくりを目指す「ユネスコ・デザイン都市なごや」として、デザインをテーマとする人材育成と将来へつながる豊かな社会の実現に取り組みます。 <事業例> ユネスコ・デザイン都市なごや クリエイティブ・カフェ交流事業 46ページ~48ページ <支える> 本市の文化芸術活動を持続的に発展・拡大させるための基盤づくりとして、本市の中核施設となる市民会館の整備を進めます。また、文化施設を安全かつ快適な施設として維持管理するとともに、改修等を見据えたあり方の検討、実態把握を進めます。 さらに、国費・県費等を始め民間資金や個人からの寄附による資金の活用を通じて、文化芸術事業の実施のための安定した基盤を確立します。 【重点施策】新たな劇場の整備(市民会館の改築) 近年、愛知厚生年金会館や愛知県勤労会館を始めとした市内の大中規模ホールの閉館が相次いだ影響もあり、市内文化施設の利用率は常に高い水準で推移しており、特に大中規模ホールに対する需要が高まっています。こうした文化芸術の実演・鑑賞機会の確保及び老朽化した市民会館が抱える諸課題の解消に向け、金山駅周辺のまちづくりとあわせて3つのホールを配置し、本市の文化芸術を支える中核施設となる「新たな劇場」の整備を進めます。 ア 「新たな劇場の基本計画」等に基づく施設整備 「新たな劇場の基本計画」(令和6(2024)年度)に示される新たな劇場の施設構成や規模及びその内容、管理運営に関する具体的な考え方等を基に、新たな劇場を整備します。文化芸術推進計画2030の計画期間においては、管理運営計画の詳細検討、整備手法や事業スキームの検討等を行い、事業者を公募・選定する予定です。 ※新たな劇場整備の想定スケジュール(PFI(BTO)方式による整備の場合)について、「新たな劇場の基本計画(一部加筆)」を出典とする表を掲載 イ 新たな劇場を見据えた文化芸術施策の展開 慢性的なホール不足、またそれに伴う公立文化施設の高い稼働率等による利用機会(実演・鑑賞機会)の損失への対策は、名古屋の文化芸術の発展を推進していく上で重要です。市民会館については、現在の大ホール・中ホールの2つから、金山駅周辺のまちづくりと連携しながら、規模や性格の異なる3つのホールを整備することとしています。これにより、利用者の需要に応じた適切な規模の会場選択を促進しながら、利用機会の確保を図ります。 また、質の高い文化体験の提供のための戦略的貸館事業を実施するとともに、幅広い世代の興味誘発、アーティスト間・文化施設間の連携促進、次世代の実演家・文化芸術を支える人材育成、交流機会の創出等に取り組む自主事業等を通じて、新たな劇場のミッションである「文化芸術の裾野拡大」を進めます。 事業全体は、設計・整備・管理運営に民間活力を生かすためにPFI事業を想定していますが、名古屋の文化芸術の中核として市内の多様な文化芸術を支え、促進する拠点としていくために、民間活力とともに名古屋市文化振興事業団がこれまで培ってきた地域における関係性や事業活動等を活かし、全体として市の文化芸術施策の推進・実現を図る体制を構築していきます。 こうした新たな劇場の将来像を見据え、準備段階である現時点から助走事業としてまちなかでの継続的な文化芸術施策を展開し、令和10(2028)年度以降は選定事業者等との運営体制構築のもと、開館に向けたプレ期として地域での文化芸術活動等に取り組み、新たな劇場及び金山駅周辺まちづくりの機運醸成を図ります。 ウ 「開かれた劇場」の実現 金山駅周辺のまちづくりにおいては、「人・文化・芸術とともに育つまち~にぎわいと感性あふれる交流創造の場づくり~」というコンセプトが掲げられています。このコンセプト実現のための重要な施設でもある新たな劇場は、金山駅周辺地域に文化芸術が浸透していき、地域全体で日常から文化芸術を感じられるよう、文化施設間の連携強化を始めとして、イベント等に活用できるオープンスペース等の整備やまちなかでの文化芸術活動の展開等について、関係者との協力のもと実現を目指します。 ※まちに開かれた劇場のイメージとして古沢公園・市民会館エリア南側及び北側のイメージ図を掲載 古沢公園・市民会館エリアとアスナル金山エリアに配置した新たな劇場の3ホールを核として、金山駅周辺地域の他の文化施設や地域団体等と連携した面的な文化芸術施策を展開し、文化芸術の浸透を図ります。 ※新たな劇場を核とした文化芸術施策展開のイメージとして「新たな劇場の基本計画」を出典とする図を掲載 金山駅周辺のまちづくりによる再整備とあわせて、誰もが気軽に立ち寄ることができ、文化芸術に触れることができる「開かれた劇場」とすることで、まちと連携し一体化した文化芸術の発信拠点とします。その上で、上図のようにさまざまな範囲での連携のもと、地域コミュニティとも協力しながら文化芸術施策を展開します。 北側に位置する古沢公園とも一体的な空間形成を図りながら、まちや公園に訪れるさまざまなライフステージの人々への文化芸術の浸透を図り、幅広い世代の人が文化芸術に親しむ機運醸成を行います。 49ページ~50ページ 【基本施策】(1)文化施設の整備・管理運営 ア 文化施設の適切な維持保全、改修 文化芸術の創造発信及び市民の文化芸術活動拠点である文化施設を誰もが安心・安全に利用できるよう管理・運営するとともに、快適な利用環境を整えるため、指定管理者と協力して適切な維持保全、改修を実施します。 すでに改修済みの公会堂(平成29(2017)~平成30(2018)年度に改修)と改築予定の市民会館(令和10(2028)年度~改築予定)を除く文化施設については、老朽化が進んでおり、市民会館の改築を踏まえた今後の計画的な改修・改築等の検討を進めます。 イ 文化施設の管理・運営及び文化芸術活動の裾野拡大 文化施設については、設置条例等において、各施設の設置目的及び位置付けが定められているほか、有識者や実演家等によって構成された文化施設のあり方検討会議で示された「文化施設のあり方提言」(平成23(2011)年度)における方針を踏まえ、文化施設の機能を活かし、市民会館、公会堂を鑑賞型施設、芸術創造センター、青少年文化センターを創造発信型施設と位置付けています。 各文化施設の設置目的等を達成するため、劇場法等を踏まえた効果的な文化施設の管理・運営を実施します。特に、質の高い事業や普及啓発の実施、専門的人材の養成・確保等を円滑に行えるよう、選定方法や評価方法など指定管理者制度の適切な運用のあり方について、引き続き検討します。 文化芸術の裾野の拡大のため、各文化施設の設置目的や役割分担をより明確にし、事業や人材育成等において、施設間で有機的連携を図りながら運営・事業展開を図ります。加えて、文化施設のみならず、地域団体・教育機関等と連携することで、多様な文化芸術活動の裾野の拡大を促進します。 また、市民が暮らしの中でより身近に文化に触れられる機会の創出、文化芸術活動を通じた交流の場づくりや周辺観光施設等との連携を指定管理者とともに引き続き推進する等、それぞれの文化施設が持つ機能のより一層の向上を図っていきます。あわせて、文化施設が鑑賞の場にとどまらず、施設を拠点とした文化芸術活動を推進することによって地域の活性化を促進します。 【基本施策】(2)文化芸術を支える資金等の活用 ア 国費・県費等の活用 文化庁の補助金を始めとした国庫補助や愛知県の県費補助、その他助成金の活用を行うことで文化芸術に係る財源の確保に努めます。 イ 民間資金の活用 企業等法人が地方自治体に寄附を行う際の税控除制度を活用した企業版ふるさと納税等による企業等法人からの寄附金を財源として、名古屋市内の子ども・若者への文化体験提供事業等に活用します。  また、本市が所管する文化施設について、ネーミングライツの活用を行います。令和8(2026)年4月時点では、Niterra日本特殊陶業市民会館、岡谷鋼機名古屋公会堂、アマノ芸術創造センター名古屋がネーミングライツを実施しています。ネーミングライツの適切な導入を通じて、ネーミングライツ料を各ネーミングライツ施設の工事や施設で実施される文化芸術事業に充当し、各施設の財源の確保に努めます。 加えて、名古屋フィルハーモニー交響楽団や名古屋市文化振興事業団、各実行委員会等においては地元企業からの協賛金をいただき、各文化芸術事業に充当することで持続的な文化芸術活動を推進します。   ウ 個人寄附の募集 文化振興事業寄附金を広く周知し、皆さまからの寄附を募ります。なお、集めた寄附金は市民文化振興事業積立基金に積み立てられ、本市の文化芸術事業に活用します。 エ 効率的な資金等の調達や活用に向けた仕組みの検討 企業等の法人や個人の皆さまからいただく寄附金を市民文化振興事業積立基金に積み立てる仕組みや、人的・物的リソースを活用する仕組みの構築を検討することで、本市が行う文化芸術施策の財源を継続的に生み出し、持続可能な文化芸術の推進を図ります。