名古屋市教育・保育施策の実施方針(案) 名古屋市 目次 1 策定の趣旨 2 教育・保育施策における現状 3 教育・保育施策の実施方針  (1)実施方針1 将来的な保育の量的なニーズ減少への取組  (2)実施方針2 多様化する教育・保育ニーズへの対応  (3)実施方針3 利便性向上・保護者ニーズへの対応  (4)実施方針4 配慮を必要とする子どもへの取組  (5)実施方針5 より質の高い教育・保育の提供  (6)実施方針6 質の向上に向けた教育・保育体制の整備・充実  (7)実施方針7 質の向上に向けた職員確保の取組  (8)実施方針8 幼児期の教育・保育と学校教育との円滑な連携・接続に向けた取組 4 今後について    参考資料 1 経緯    2 意見書「今後の教育・保育施策のあり方」について概要 3 補足意見「今後の教育・保育施策のあり方」について概要 1 策定の趣旨  本市においては、これまで、平成20年4月に施行した「なごや子ども条例」を、令和2年4月に「なごや子どもの権利条例」へと改正し、その理念に基づき、子どもの権利を保障し、子どもの健やかな育ちを社会全体で支援するまちの実現を目指し、施策を進めてきている。  その一方で、平成23年、24年には、保育所、認定こども園及び地域型保育事業(以下「保育所等」という。)を利用したくても利用できない待機児童が1,000人を超えて全国ワーストの状況にあり、保育を必要とする子どもに十分な保育の場の提供ができない状況であった。  そのため、これまで、保育を必要とする子どもに保育の場の提供が少しでも進むよう、積極的な「量の拡大」や、様々な教育・保育の提供等に取り組み、その結果、平成26年からは、12年連続で国基準として示されている待機児童ゼロを達成している。  近年の教育・保育に係る市民のニーズの動向に目を向けると、就学前の子どもの数は減少し続ける一方、女性就業率は上昇傾向にあり、共働き世帯の割合は増加していることから保育の量的なニーズ(保育所等の利用申込者数)は増加を続けていたが、その伸び幅は鈍化傾向から令和7年には横ばいとなり、地域によっては、保育所等の定員充足率が低下する状況にある。また、幼稚園から認定こども園への移行や、幼稚園における預かり保育事業の実施といった、幼稚園に求められる役割は保育所等の役割と重なりつつある。一方、保護者の働き方の多様化により、休日保育事業のニーズや育児休業からの職場復帰を円滑に行うことを目的とした産休あけ・育休あけ保育所等入所予約事業のニーズがある。また、障害のある子どもや外国につながる子どもといった、配慮を必要とする子どもの増加など、多様な教育・保育ニーズへの対応も引き続き求められている。さらには、子育て家庭の多くが、孤立した育児の中で抱える不安や悩みに対応するため、国により新たに「こども誰でも通園制度」(法律上の事業名:乳児等通園支援事業)が令和8年度から本格実施されるなど、全ての子どもの育ちを応援し、子育て家庭に対する支援の強化に向けた取組が進められている。  このような動向を踏まえて、本市の子どもの育ちを等しく公平に支え、保障していくためには、国の策定した「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」なども受けとめながら、教育・保育の「質の向上」に施策の重点をシフトしていくことが求められている。  教育・保育に係る市民のニーズが「量の拡大」から、これまで以上に「質の向上」に移行し、教育・保育施設に求める各々の役割も重なりつつある。さらに、子どもの数が減少していく中においては、今後、子どもたちにどのような教育・保育を提供していくのか、「教育」、「福祉」といった従来の枠組みに単純にとらわれることなく、子どもに関わる施策全体を統合的、横断的に見渡して考えなければならない。  以上のことから、これまでの子どもや子育て家庭を取り巻く環境の変化、国の動向を踏まえつつ、本市における教育・保育施策に関する今後の実施方針について策定するものである。   2 教育・保育施策における現状  教育・保育施策に関しては、これまで、「なごや子ども・子育てわくわくプラン」の中で、他の施策とともに、事業の方向性や数値的な計画目標等を掲載し、これらに基づいて施策を実施してきたところである。  このような中、就学前の子どもの数は減少しているが、保育の量的なニーズが高いことから、引き続き待機児童を発生させないための対策を実施し、教育・保育ニーズにしっかりと対応するとともに、近年保育の量的なニーズの伸び幅は鈍化傾向にあるため、これまでの量の拡大から質の向上へと施策の重点をシフトしていく必要性が高まっている。  本市の就学前の子どもの数は平成29年度以降年々減少しており、令和7年4月には96,189人となった。  子どもの数は減少しているものの、保育の量的なニーズの高まりに伴い、保育所等の2・3号利用子どもは増え続けているが、利用申込数の増加幅については、令和6年4月時点の359人は、最も大きかった平成29年4月時点の1,858人の約2割であり、近年鈍化傾向にあったものが、令和7年は横ばいとなった。  また、幼稚園の利用子ども及び認定こども園における1号利用子どもの総数は、直近10年間減少を続けているが、そのうち保育の必要性の認定を受けている子どもが約2割いる。 就学前児童数 平成28年度 就学前児童数 117,083人  前年差 288人 平成29年度 就学前児童数 116,380人  前年差  -703人 平成30年度 就学前児童数 115,905人  前年差  -475人 令和元年度 就学前児童数 114,533人  前年差  -1,372人 令和2年度 就学前児童数 112,758人  前年差  -1,775人 令和3年度 就学前児童数 109,929人  前年差  -2,829人 令和4年度 就学前児童数 106,927人  前年差  -3,002人 令和5年度 就学前児童数 103,425人  前年差  -3,502人 令和6年度 就学前児童数  99,856人  前年差  -3,569人 令和7年度 就学前児童数  96,189人  前年差  -3,667人 ※教育委員会事務局調査「名古屋市の幼児人口」(各年度4月1日現在)より 利用児童数 ・幼稚園(園児数)、認定こども園(1号利用子ども) 平成27年度 国立・公立幼稚園  2,286人  私立幼稚園  27,626人  認定こども園  650人   合計  30,562人 平成28年度 国立・公立幼稚園  2,229人  私立幼稚園  26,882人  認定こども園  1,014人  合計  30,125人 平成29年度 国立・公立幼稚園  2,224人  私立幼稚園  25,842人  認定こども園  1,290人  合計  29,356人 平成30年度 国立・公立幼稚園  2,176人  私立幼稚園  24,604人  認定こども園  1,645人  合計  28,425人 令和元年度 国立・公立幼稚園  2,121人  私立幼稚園  23,226人  認定こども園  2,163人  合計  27,510人 令和2年度 国立・公立幼稚園  1,900人  私立幼稚園  22,602人  認定こども園  2,323人  合計  26,825人 令和3年度 国立・公立幼稚園  1,685人  私立幼稚園  21,292人  認定こども園  2,611人  合計  25,588人 令和4年度 国立・公立幼稚園  1,511人  私立幼稚園  19,613人  認定こども園  2,611人  合計  23,735人 令和5年度 国立・公立幼稚園  1,463人  私立幼稚園  17,041人  認定こども園  2,678人  合計  21,182人 令和6年度 国立・公立幼稚園  1,339人  私立幼稚園  15,837人  認定こども園  2,627人  合計  19,803人 ※各年度5月1日現在。 利用児童数 ・保育所等(2号3号利用子ども) 平成28年度 公立 3歳未満 3,613人  3歳以上 7,242人  計 10,855人  民間 3歳未満 12,510人  3歳以上 17,978人  計 30,488人 民間(地域型)3歳未満 1,317人   全体合計 3歳未満 17,440人  3歳以上 25,220人  計 42,660人 平成29年度 公立 3歳未満 3,536人  3歳以上 7,004人  計 10,540人  民間 3歳未満 13,330人  3歳以上 18,815人  計 32,145人 民間(地域型)3歳未満 1,703人   全体合計 3歳未満 18,569人  3歳以上 25,819人  計 44,388人 平成30年度 公立 3歳未満 3,379人  3歳以上 6,727人  計 10,106人  民間 3歳未満 13,991人  3歳以上 19,776人  計 33,767人 民間(地域型)3歳未満 1,932人   全体合計 3歳未満 19,302人  3歳以上 26,503人  計 45,805人 令和元年度 公立 3歳未満 3,310人  3歳以上 6,572人  計 9,882人  民間 3歳未満 14,573人  3歳以上 20,715人  計 35,288人 民間(地域型)3歳未満 2,143人   全体合計 3歳未満 20,026人  3歳以上 27,287人  計 47,313人 令和2年度 公立 3歳未満 3,158人  3歳以上 6,342人  計 9,500人  民間 3歳未満 14,976人  3歳以上 21,512人  計 36,488人 民間(地域型)3歳未満 2,118人   全体合計 3歳未満 20,252人  3歳以上 27,854人  計 48,106人 令和3年度 公立 3歳未満 2,920人  3歳以上 5,988人  計 8,908人  民間 3歳未満 15,177人  3歳以上 22,439人  計 37,616人 民間(地域型)3歳未満 2,233人   全体合計 3歳未満 20,330人  3歳以上 28,427人  計 48,757人 令和4年度 公立 3歳未満 2,716人  3歳以上 5,688人  計 8,404人  民間 3歳未満 15,497人  3歳以上 23,119人  計 38,616人 民間(地域型)3歳未満 2,154人   全体合計 3歳未満 20,367人  3歳以上 28,807人  計 49,174人 令和5年度 公立 3歳未満 2,613人  3歳以上 5,412人  計 8,025人  民間 3歳未満 15,804人  3歳以上 23,637人  計 39,441人 民間(地域型)3歳未満 2,132人   全体合計 3歳未満 20,549人  3歳以上 29,049人  計 49,598人 令和6年度 公立 3歳未満 2,456人  3歳以上 5,140人  計 7,596人  民間 3歳未満 15,981人  3歳以上 23,935人  計 39,916人 民間(地域型)3歳未満 2,196人   全体合計 3歳未満 20,633人  3歳以上 29,075人  計 49,708人 令和7年度 公立 3歳未満 2,343人  3歳以上 4,981人  計 7,324人  民間 3歳未満 16,009人  3歳以上 24,198人  計 40,207人 民間(地域型)3歳未満 2,183人   全体合計 3歳未満 20,535人  3歳以上 29,179人  計 49,714人 ※1 各年度4月1日現在 ※2 事業所内保育事業の従業員枠及び市外施設を利用する子どもを除く。  保護者のニーズについて、育児休業制度の充実等から、就学前まで継続して利用できる施設のみを希望する等、保護者が本来求めていたニーズが顕在化しつつある。  また、本市のDX推進計画により今後伸びていく電子申請ニーズをとらえ、区役所に赴くことなく自宅にいながら保護者のニーズに合った施設が探せるように情報提供を行う必要がある。利用申込に限らず、保育所等を利用するための手続きを簡便に行える電子申請等の方法についても検討する必要がある。  なお、国の動向や他都市の実施状況を踏まえ、利用者負担額の軽減についても検討する必要がある。  近年の保育の量的なニーズの伸び幅は鈍化傾向にあり、定員充足率が低下傾向にある。年度途中からの利用もあり、定員充足率は年度末に向けて上がっていくものの、地域型保育事業の定員充足率については、保育所及び認定こども園と比較して低くなっている。利用する子どもの減少により経営状況が悪化し急に閉園となった場合には、転園を余儀なくされるなど利用者に大きな負担が生じることや、利用枠の不足による待機児童の発生も懸念されることから待機児童対策がソフトランディングできるよう急な閉園を防ぐ支援の仕組みづくりを検討する時期にきている。  待機児童対策のソフトランディングを進める際には、新設を柱とする、「量の拡大」を前提とした施設整備についても見直す必要がある。 施設類型別 定員充足率(各年度4月1日) 令和2年度 保育所等全施設 全年齢 92.6%  保育所等全施設 3歳未満 92.7%  地域型保育事業 72.1% 令和3年度 保育所等全施設 全年齢 91.1%  保育所等全施設 3歳未満 89.7%  地域型保育事業 71.2% 令和4年度 保育所等全施設 全年齢 90.3%  保育所等全施設 3歳未満 87.8%  地域型保育事業 69.3% 令和5年度 保育所等全施設 全年齢 90.3%  保育所等全施設 3歳未満 88.1%  地域型保育事業 69.6% 令和6年度 保育所等全施設 全年齢 90.5%  保育所等全施設 3歳未満 88.7%  地域型保育事業 75.4% 令和7年度 保育所等全施設 全年齢 91.7%  保育所等全施設 3歳未満 89.4%  地域型保育事業 78.3% ※ 令和6年度及び令和7年度は適正定員とするため、利用定員を変更している。  今後の施設整備については、既存施設における利用枠の維持・確保に向けた取組を行うことがより重要となるが、令和7年4月1日時点で、築40〜49年の施設が58あり、今後10年のうちに補助の対象となる50年を経過する施設が倍増することとなる。 民間保育所等の築年数別状況(令和7年4月1日現在) 50年以上 施設数 42か所 14.4% 40年以上49年以下 施設数 58か所 19.9% 30年以上39年以下 施設数 24か所 8.2% 20年以上29年以下 施設数 21か所 7.2% 10年以上19年以下 施設数 57か所 19.5% 9年以下 施設数 90か所 30.8% 計 施設数 292か所 100%  就学前の子どもの数が減少する一方で、働き方の多様化により休日保育事業や育児休業からの職場復帰を円滑に行うことを目的とした産休あけ・育休あけ保育所等入所予約事業のニーズがある。  また、子育て家庭の多くが、孤立した育児の中で抱える不安や悩みに対応するため、国により新たに「こども誰でも通園制度」が令和8年度から創設されるなど、全ての子ども・子育て家庭への支援の強化に向けた取組が進められている中、子どもの安全をしっかりと確保した上で、制度を検討する必要がある。  さらに、障害のある子どもや外国につながる子どもといった、特別な配慮を必要とする子どもが年々増加している。これらの多様な教育・保育ニーズへの対応を検討しなければならない。 休日保育事業 実施か所数及び利用者数 令和2年度 実施か所数 16か所 うち定員15人12か所 10人定員4か所 利用実績 7,885人 令和3年度 実施か所数 16か所 うち定員15人13か所 10人定員3か所 利用実績 8,315人 令和4年度 実施か所数 16か所 うち定員15人13か所 10人定員3か所 利用実績 8,644人 令和5年度 実施か所数 16か所 うち定員15人13か所 10人定員3か所 利用実績 8,603人 令和6年度 実施か所数 16か所 うち定員15人16か所 10人定員0か所 利用実績 8,394人 産休・育休あけ入所予約事業 実施か所数及び入所者数 令和2年度 実施か所数 110か所 事業定員 566人 入所実績 541人 令和3年度 実施か所数 111か所 事業定員 569人 入所実績 553人 令和4年度 実施か所数 113か所 事業定員 575人 入所実績 566人 令和5年度 実施か所数 113か所 事業定員 575人 入所実績 562人 令和6年度 実施か所数 117か所 事業定員 590人 入所実績 563人 保育所等利用障害児数の推移 平成27年度 民間 744人 公立 692人 計 1,436人 平成28年度   民間 849人 公立 709人 計 1,558人 平成29年度 民間 934人 公立 747人 計 1,681人 平成30年度 民間 960人 公立 763人 計 1,723人 令和元年度   民間 1,073人 公立 728人 計 1,801人 令和2年度 民間 1,176人 公立 751人 計 1,927人 令和3年度 民間 1,373人 公立 739人 計 2,112人 令和4年度 民間 1,516人 公立 779人 計 2,295人 令和5年度 民間 1,701人 公立 813人 計 2,514人 令和6年度 民間 1,851人 公立 836人 計 2,687人 各年度3月1日現在  将来的な保育の量的なニーズの減少局面においても、待機児童を発生させないよう引き続き必要な量の提供を的確に行うことが必要であることは変わらないが、昨今の教育・保育施設で不適切な保育が発生している状況を見ると、今後、保育ニーズに対応する保育の供給量が相対的に満たされていく中では、子どもが心身ともに満たされ、健やかに生きていくことを支え、保障しうる、子どもの育つ環境や子どもの経験内容等、教育・保育の「質の向上」を図ることが重要である。  現状の「質の向上」に係る具体的な施策としては、施設類型ごとに策定したビジョンやガイドラインに基づく教育・保育の実践や教育・保育施設の職員に対する研修、各施設が行う評価制度、本市が行う指導監査などがあるが、本市の教育・保育施策の実施方針を考える上で、これまでの「量の拡大」から「質の向上」に施策の重点をシフトさせていくには、統一的なビジョンやガイドラインを策定するとともに、職員研修等のさらなる充実を図る必要がある。なお、利用者の立場に立った評価制度や統一的なビジョンやガイドラインに基づく教育・保育を保障する仕組みについても継続的に検討を行う必要がある。  また、質の向上に向けては、公民が両輪となり、幼稚園や保育所等の施設類型を問わず本市全体の教育・保育の質を高めていくことが求められるため、その中での公立施設の果たすべき役割についても今一度検討する段階にある。  加えて、教育・保育を担う人材の確保は、質を担保する上では必要不可欠な課題である。本市では、これまでも保育士確保対策として、独自の処遇改善や就職支援等の取組を進めてきているが、令和6年4月には、保育所等における国の職員配置基準が改正され、引き続き、保育士確保が困難な状況が継続するものと想定される。    今後とも、処遇改善、就職支援や業務負担軽減といった保育士確保対策により一層取り組んでいく必要がある。なお、継続的な課題として教育・保育施設の職員に対するリスキリングの機会の確保を検討する必要がある。 有効求人倍率(愛知県)の推移 令和元年度 保育士 4.30倍 全職種 1.82倍 令和2年度 保育士 2.27倍 全職種 1.04倍 令和3年度 保育士 2.87倍 全職種 1.21倍 令和4年度 保育士 2.86倍 全職種 1.42倍 令和5年度 保育士 4.12倍 全職種 1.33倍 令和6年度 保育士 4.10倍 全職種 1.27倍 ※各年度12月時点  平成29〜30年度に「幼稚園教育要領」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」、「保育所保育指針」が改訂(改定)され、その中で、幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」が共通で示されたことにより、子どもの資質・能力が将来にわたり一貫して育まれるよう教育・保育施設での幼児教育・保育から小学校教育へ円滑な接続を図ることが重要な課題として位置づけられ、現在に至っている。  このような流れの中、教育・保育に係る市民のニーズも「量の拡大」から、これまで以上に「質の向上」に移行し、教育・保育施設に求める各々の役割も重なりつつある。子どもの数が減少していく中において、今後子どもたちにどのような教育・保育を提供していくのか、「教育」、「福祉」といった枠組みにとらわれることなく、子どもに関わる施策全体を統合的、横断的に考えなければならない。  教育・保育施設を利用する子どもの育ちを等しく公平に支え、保障するべく、施設類型を問わず、子どもたちやその保護者が安心して利用できるよう、子どもと保護者のそれぞれの視点から、今後の教育・保育の基盤を構築し、また、支援が効果的に届けられるように整理することが必要であり、本市においても教育・保育を支える体制についての検討が必要である。  なお、財源や人員等の整理を国に働きかけた上で、県所管の私立幼稚園の設置認可等の権限及び財源の本市への移譲や本市における乳幼児期の教育・保育の所管部局のあり方については、今後とも継続的に検討する必要がある。 3 教育・保育施策の実施方針 事項一覧 実施方針1 将来的な保育の量的なニーズ減少への取組 ・必要な地域への新設整備 ・既存施設の利用枠を維持・確保するための支援等 ・待機児童を発生させないための仕組みづくり ・利用実態に応じた適正な定員設定 ・在園児が卒園するまで民間保育所等の運営継続ができる仕組みの確立 ・広域利用の検討 ・利用者負担額の軽減を実施する場合の対応 実施方針2 多様化する教育・保育ニーズへの対応 ・未就園児の教育・保育ニーズへの対応 ・休日保育事業 ・産休あけ・育休あけ保育所等入所予約事業 ・病児・病後児デイケア事業 ・教育・保育施設の空きスペースを活用した新たな取組 実施方針3 利便性向上・保護者ニーズへの対応 ・各種申請のDXの推進  ・利用者負担額の軽減 実施方針4 配慮を必要とする子どもへの取組  ・障害児保育・医療的ケア児保育  ・外国につながる子どもの保育 実施方針5 より質の高い教育・保育の提供  ・「幼稚園教育要領」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」、「保育所保育指針」に基づく教育・保育の実践の一本化 実施方針6 質の向上に向けた教育・保育体制の整備・充実  ・評価制度と指導監査の一体的な運用  ・研修内容及び実施体制の充実  ・公立施設の果たすべき役割 実施方針7 質の向上に向けた職員確保の取組  ・就職支援・魅力発信  ・職員支援・離職防止  ・処遇改善 実施方針8 幼児期の教育・保育と学校教育との円滑な連携・接続に向けた取組  ・幼児期の教育・保育と小学校教育との円滑な連携・接続の実現  ・教育委員会と市長部局間での教育・保育の所管部署の連携・統一 (1)実施方針1 将来的な保育の量的なニーズ減少への取組 【現状】 ・就学前の子どもの数は年々減少しており、保育の量的なニーズは増加しているものの、鈍化傾向にある。 ・利用枠の維持・確保に必要な既存施設の老朽化が進んでいる。 ・地域によっては、一時的な子どもの増加が見込まれる場合がある。 ・社会情勢の変化から幼稚園に求められる役割は保育所等の役割と重なりつつある。 【方針】 ・必要な地域への新設整備  保育の量的なニーズはピークを迎えることが見込まれることから、新設整備は慎重に検討する。一方、今後も地域によっては、マンション建設や大規模な宅地開発等による一時的な子どもの増加から新設整備が必要な場合も想定されるため、慎重に地域を精査した上で、通常の民間保育所等の整備ではなく、賃貸方式による民間保育所等の設置とすることを原則とする。 ・既存施設の利用枠を維持・確保するための支援等  利用枠の維持・確保のためには既存施設の老朽化対策が重要となる。  本市ではこれまで、利用枠の増加を伴う老朽改築を整備補助の対象としてきたが、地域によっては、利用枠の増加を図る必要性が低下しつつあることを踏まえ、補助制度の見直しを行う。  また、利用枠を維持するため、既存施設の安全対策や長寿命化などの施設の修繕に係る支援を進める。  加えて、幼稚園から認定こども園への移行における整備補助については、地域の利用枠が供給過剰とならないように留意しつつ、国の補助金の見通しを踏まえ順次見直す。 ・待機児童を発生させないための仕組みづくり  将来的に保育の量的なニーズの減少による民間保育所等の急な閉園が発生するおそれがあり、その結果、利用枠が不足し待機児童が発生することも考えられる。そのような事態に備え、既存施設での一時的な超過受け入れやこれに対応できる職員体制の維持を可能にする等、待機児童が発生することがないよう進める。 ・利用実態に応じた適正な定員設定  待機児童対策として、民間保育所等に対して面積基準上可能な限り受け入れを依頼するとともに、2・3号利用定員を減少する際には一定の要件を設けてきた。その結果、各施設の考える適切な規模での保育が実現しづらいという状況が生じているため、実情に応じた適正な定員設定を促す。   ・在園児が卒園するまで民間保育所等の運営継続ができる仕組みの確立  施設や地域の状況によっては、地域型保育事業などの民間保育所等を利用する子どもが減少するなど、施設の運営に支障をきたす状況にあり、急な閉園が発生する恐れがあるため、在園児が卒園するまで運営の継続が可能となるよう、待機児童対策がソフトランディングできる仕組みを検討する。その際、必要な利用枠を維持・確保できるようにすることや、当該地域において利用枠の不足が生じないようにすることに留意する。 ・広域利用の検討  本市ではこれまで、市内に居住する子どもが利用希望施設に入れず待機児童となってしまうおそれがあることから、市外に居住する2・3号利用子どもの受け入れを行っていない状況にある。保育の量的なニーズの伸び幅は鈍化しつつあり、定員充足率が低下傾向にあることを踏まえ、様々な課題について整理した上で、広域利用の実施を検討する。 ・利用者負担額の軽減を実施する場合の対応  利用者負担額の軽減を実施する場合、一時的な保育の量的なニーズの増加が見込まれる。そのような場合には、利用枠の確保として、新設整備については慎重に検討し、保育所等での受け入れや幼稚園での預かり等による対応を原則とする。 (2)実施方針2 多様化する教育・保育ニーズへの対応 【現状】 ・社会情勢の変化もあり、教育・保育のニーズも変化している。 ・働き方、ライフスタイルの多様化も進み、様々な教育・保育ニーズへの対応が求められている。 ・全ての子どもの育ちを応援し、子育て家庭に対する支援を強化するため、令和8年度の「こども誰でも通園制度」本格実施に向けた検討が進められている。 【方針】 ・未就園児の教育・保育ニーズへの対応  一時保育事業は、子育て世帯に対する支援において重要な事業であることから、利用枠の拡充と合わせて、保護者にとっての利用のしやすさについても研究し、柔軟な対応を検討する。  また、国が令和5年度、未就園児の子どもたちの発達を促すことや、育児疲れの保護者に対する継続的な支援を目的とした「空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業」を実施したことを受けて、本市では、アウトリーチ型で利用者を決定し、これまで行政の支援につながりにくかった子育て家庭を支援することを目的にモデル事業として実施している。今後も、支援が行き届きにくい家庭への支援については、引き続き取り組んでいく。  一方で、国において令和6年度から「こども誰でも通園制度」の試行的事業が始まり、令和8年度の本格実施に向けて検討が進められている。本市としても令和7年10月から事業を実施しており、引き続き国の検討を注視しながら、全ての子どもの育ちを応援できるよう取組を進める。 ・休日保育事業  働き方の多様化等によりニーズが高まっていることを踏まえ、利用希望者が利用しやすいように制度を見直し、拡充を検討する。   ・産休あけ・育休あけ保育所等入所予約事業   出産予定日の8週前から予約を受け付ける産休あけ・育休あけ保育所等入所予約事業は、年度初めが出産予定日の子どもの方が利用しやすい状況にあり、公平性の観点から、出産予定日にかかわらず利用でき、また、利用希望者がキャンセル待ちをすることなく利用できるよう拡充を検討する。  育児休業の充実から近年低下している0歳児の定員充足率を勘案し、必要に応じて利用定員を柔軟に変更することも可能とすることで、拡充を検討する。 ・病児・病後児デイケア事業    働きながら子育てをする保護者のセーフティーネットとして、必要とする人が必要な時に利用できるよう、施設数を拡充するとともに、利用しやすい仕組みづくりについて検討する。 ・教育・保育施設の空きスペースを活用した新たな取組  将来的に発生が見込まれる空きスペースを活用する場合は、まずは、「こども誰でも通園制度」や地域子ども・子育て支援事業の拡充のための利用等を検討する。また、地域において地域子ども・子育て支援事業等が充足している場合には、保育所等の多機能化を見据え、子どもたちの育ちに資する事業への転用も検討する。 (3)実施方針3 利便性向上・保護者ニーズへの対応 【現状】 ・社会全体のデジタル化を背景として、保育所等に係る情報提供の充実や手続きの利便性向上といったニーズを踏まえ、保護者1人ひとりにより適した対応が求められている。 ・国において、3歳以上児の保育料が無償化されている一方、3歳未満児については、各自治体が独自に利用者負担額の軽減を実施しており、地域間格差が生じている。 【方針】 ・各種申請のDXの推進  社会全体のデジタル化を背景として、保護者が来庁しなくても保育所等に係る各種申請ができるよう、利用枠の空き状況の確認やオンライン申請を拡充するなど、申請にかかる利便性の向上を目指し、DXを推進する。 ・利用者負担額の軽減  本市独自事業として、利用者負担額を国基準の6割程度に抑えることや、第三子以降の子の保育料を無料とする多子軽減施策を実施してきたが、子育て世帯の経済的負担感は依然として根強い。保育料や給付費等の安定財源の確保や利用枠の確保等課題はあるが、国の動向や他都市の実施状況を踏まえ、さらなる利用者負担額の軽減について検討する。 (4)実施方針4 配慮を必要とする子どもへの取組 【現状】 ・特別な配慮を必要とする子ども(障害児、医療的ケア児、外国につながる子どもなど)が年々増加しており、それらの子どもの支援に施設が苦慮している。 【方針】 ・障害児保育・医療的ケア児保育  障害児や医療的ケア児の受け入れのセーフティーネットとして機能している公立保育所では、定員の概ね1割以上の障害児を受け入れており、保育体制がひっ迫している状況がある。そのため、より多くの施設において広く障害児の受け入れを進めるために必要な人件費補助やその他のサポートの充実を検討する必要がある。さらに、医療的ケア児については、受け入れにおける看護師の確保に課題があるほか、T型糖尿病など、在園児が急遽、医療的ケアを必要とすることもあることから、看護師を常時又は、柔軟かつ速やかに配置できるような仕組みを検討する。  また、集団保育が著しく困難であると認められる重度の医療的ケア児等については、居宅訪問型保育事業についての制度周知や居宅訪問型保育者の養成等、活用しやすい環境を整える必要がある。 ・外国につながる子どもの保育  外国につながる子どもやその家庭との保育現場での関わりにおいて、言葉が通じないことや文化や習慣が異なることに起因する課題を抱えている場合があることから、子どもや家庭とのコミュニケーションを円滑に進めることができるよう必要な支援を検討する。 (5)実施方針5 より質の高い教育・保育の提供 【現状】 ・国において、全てのこどもの誕生前から幼児期までの「はじめの100か月」から生涯にわたるウェルビーイングの向上を目的とした「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの100か月の育ちビジョン)」が示された。 ・「幼稚園教育要領」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」、「保育所保育指針」は平成30年の改訂(改定)を経て、幼児教育の指針として整合性が図られてきたところであり、令和7年度には、国において改訂(改定)に向けての検討が進められている。 【方針】 ・「幼稚園教育要領」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」、「保育所保育指針」に基づく教育・保育の実践の一本化  本市ではこれまで、幼稚園については「名古屋市幼稚園教育指針」、保育所については「名古屋市保育ガイドライン」、教育・保育施設に係るものとして「名古屋市教育・保育に関する全体的な計画・指導計画(参考)」などを策定し、それぞれの教育・保育施設が要領等に基づく教育・保育の実践に取り組んできているところである。しかしながら、教育・保育の課題が「量から質」への転換期を迎える中、本市の子どもの育ちに係る教育・保育の質を一体的に支えていく必要がある。ついては、国の動きを注視しつつ、「こども基本法」の理念や国が策定した「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」との整合性を図りながら、本市が目指すべき教育・保育施設における、子どもの育ちの質の向上に向けた統一的なビジョンやガイドラインを策定する。  また、統一的なビジョンやガイドラインを踏まえ、計画、実践、評価、改善といったPDCAサイクルをそれぞれの教育・保育施設が確立することにより、教育・保育の質の向上に向けた、よりよい施設づくりのための実践を促していく仕組みについても検討を進める。  (6)実施方針6 質の向上に向けた教育・保育体制の整備・充実 【現状】 ・保育所等は第三者評価の受審が努力義務となっているが、受審率が低い。 ・質の向上を図るための評価制度と質の確保を図るための指導監査の一体的な運用が図られていない。 ・教育・保育施設に対する研修は、一部の共催研修を除き、子ども青少年局、教育委員会でそれぞれ実施している。 ・一部の研修ではオンライン研修やアーカイブ配信を実施している。 ・教育・保育に係る市民ニーズが「量の拡大」から、これまで以上に「質の向上」に移行し、幼稚園や保育所等に求める各々の役割も重なりつつある。 ・「幼保小連携・接続の推進」を進めるためには、公民が両輪となって取り組むことが重要である。 ・市立幼稚園は、幼児教育支援室とともに本市の幼児教育のハブとして、教育の質の向上に取り組んでいる。 ・公立保育所は、「エリア支援保育所」として機能強化を図り、関係機関同士のネットワーク構築のコーディネート役を果たすとともに、地域の実情に応じた保育の質の向上に取り組んでいる。 【方針】 ・評価制度と指導監査の一体的な運用  現状の評価制度として、社会福祉法に基づく自己評価や第三者評価があるが、特に第三者評価については、実施する際の施設の負担が大きいことなどを理由として、受審率が低い状況にある。また、待機児童対策により教育・保育施設の数が増加した一方で、質の確保を目的とした指導監査や重大な事案等が発生した場合に迅速に対応するための人員や時間は限られた状況にある。これらの課題に対応するためには、施設の第三者評価受審を促すためのインセンティブの検討を進めるとともに、指導監査の改善状況や第三者評価の受審結果を踏まえて指導監査を重点的に行う施設を選定する方法を検討するなど、評価制度と本市が行う指導監査の一体的な運用を行うことができる仕組みを検討する。   加えて、利用者を含め、誰でも第三者評価の結果を容易に確認できる仕組みについても検討する。 ・研修内容及び実施体制の充実  教育・保育の質の向上を一体的に支えるためには、今後策定をする本市としての幼児期の教育・保育に関する統一的なビジョンやガイドラインに基づく、教育・保育施設の施設類型を問わない研修体系を構築する必要がある。まずは、情報の一元的な提供など、すぐにでも実現しやすいと思われるものから実施する。  また、研修の効果を上げるため、効率的に多くの職員が研修に参加できる機会を設け、オンライン研修についても実施してきたところであり、令和7年度には研修申し込みのオンライン化など、さらなるDX化を進め、研修実施体制の充実が図られた。  加えて研修の企画にあたっては、より実際的な課題やニーズに応じた知識・技能の習得を図るため、指導監査や第三者評価の結果を踏まえたテーマ設定や内容を検討する。 ・公立施設の果たすべき役割  質の向上に向けて、公民が両輪となり、幼稚園、保育所等の施設類型を問わず本市全体の教育・保育の質を高めていくことが求められるため、公立施設として市立幼稚園及び公立保育所は、モデルとなる教育・保育実践を発信することや、地域の教育・保育施設のニーズに応じた研修や交流会を開催し支援していくことで、本市全体の教育・保育の質の向上に資するよう取り組んでいく。  これまで市立幼稚園では、幼児期の教育・保育と小学校教育との円滑な接続のあり方やインクルーシブ教育を始めとした今日的な課題に対応した実践研究について、その成果が効果的に活用されるよう情報発信を行ってきたが、全市の教育・保育施設に広げていく役割をより一層果たすことができるよう、実施方法については今後も検討する必要がある。  また、これまでも公立保育所が行ってきた、地域における様々な保育のセーフティーネットとしての役割を引き続き果たしていきながら、多様な保育・子育てニーズに対応するため、機能の再点検に取り組むなど、新規事業を含めた機能の付加について検討する。  本市としての幼児期の教育・保育に関する統一的なビジョンやガイドラインを今後策定した際には、本市が目指す教育・保育の実現に向けて、公立施設が全ての教育・保育施設と連携し、積極的に実践研究を行い、その結果について教育・保育の質の向上につながるよう情報を発信していく。 (7)実施方針7 質の向上に向けた職員確保の取組 【現状】 ・保育の供給量を満たすとともに、教育・保育の「質の向上」につなげるために必要な、教育・保育に関わる人的資源の確保が困難である。 【方針】 ・就職支援・魅力発信  進路や職業選択について現実的に考え始める中高生やその保護者、学校関係者等を対象として、教育・保育施設の職場見学や保育体験など、教育・保育の仕事の魅力を積極的に情報発信する機会を増やすなどといった取組について検討する。  また、潜在保育士や新たに保育士資格を取得した他業種からの転職希望者などを採用につなげるための取組についても新卒保育士の採用の取組とともに検討する。  なお、そのような取組をより効果的なものとするために、教育・保育施設、幼稚園教諭・保育士養成校及び本市が、課題認識を共有して、これまで以上に教育・保育の仕事の魅力向上に向けた取組を連携して行う。 ・職員支援・離職防止  教育・保育の質を向上するため、物理的に子どもと離れ各種業務を行うための「ノンコンタクトタイム」の確保、臨床心理士等のカウンセリングによる心理的支援や時代に対応しうるICT環境の整備等、継続的に勤めようと思える環境づくりやより良い働き方を実現できる仕組みづくりを引き続き検討する。 ・処遇改善   国による職員配置基準の引き上げに対応できるよう保育士確保を進めるために、国の動向を踏まえながら、給与の面や離職防止・負担軽減といった働きやすさの面での処遇改善を検討する。 (8)実施方針8 幼児期の教育・保育と学校教育との円滑な連携・接続に向けた取組 【現状】 ・幼児期の教育・保育と小学校教育で育成を目指す資質・能力が一貫して育まれるように、子どもの発達や学びの姿への認識を深め、理解し合い、一貫した質の高い教育を目指すことが求められている。 ・子どもの育ちをより等しくより公平に検討できる場が求められている。 【方針】 ・幼児期の教育・保育と小学校教育との円滑な連携・接続の実現  幼児期の教育・保育と小学校教育との連携・接続を通して、目指すべき子どもの共通の資質・能力が一貫して育まれるように、これまでの取組を基礎としつつ、国が推進しようとしている「幼保小の架け橋プログラム」や本市が今後策定していく幼児期の教育・保育に関する統一的なビジョンやガイドラインを踏まえて、幼保小それぞれの想いや課題認識を共有し、幼保小接続のためにどのような取組が必要であるのかを検討し、それを実行していく体制を整備する。  また、その際には、幼稚園や保育所等と、特別支援学級や特別支援学校との円滑な連携・接続のために必要な取組についても検討していく。   ・教育委員会と市長部局間での教育・保育の所管部署の連携・統一   教育・保育施設を利用する本市の子どもの育ちを等しく公平に支え、保障していくという観点から、令和7年度において、私学助成を受ける私立幼稚園の本市における所管部署が市長部局に統一され、教育・保育を全体的な視点から一元的に企画立案し、情報発信等を行うことができる体制が実現された。  一元化された行政の体制の下、それぞれの施設の教育・保育理念を尊重しつつ、共通化・効率化すべき事項は必要に応じて実施する等、施設類型ごとの特徴を十分に活かせるような企画立案を行うことにより、子どもの最善の利益につなげる。 4 今後について  令和8年1月にパブリックコメントを実施し、市民意見を募集し、その後、令和8年3月に「名古屋市教育・保育施策の実施方針」を策定・公表する。  子どもに関する総合計画を実施するにあたっては、本方針に基づいて施策を推進していくものとする。 参考資料1 経緯 平成19年10月 本市 「名古屋市保育施策のあり方指針」策定 平成21年9月 本市 「名古屋市公立保育所整備計画」策定 ・センター保育所を設置 ・78のエリアを設定 平成22年3月 本市 「なごや子ども・子育てわくわくプラン〜子どもに関する総合計画〜」策定 平成23年1月 本市 名古屋市待機児童解消プロジェクト開始 ・待機児童対策推進会議の設置 ・名古屋市保育施策検討会議の設置 平成23年4月 本市 「保育所入所待機児童数調査」にて、全国ワースト1 平成24年10月 本市 教育子ども委員会(所管事務調査) ・センター保育所をエリア支援保育所に改称 ・公立保育所3つの役割 平成25年4月 国  「待機児童解消加速化プラン」公表 ・平成25年度から平成29年度末までの5年間で約50万人分の保育の受け皿確保 平成26年4月 本市 国定義の待機児童ゼロを達成 ・エリア支援保育所事業開始 平成26年10月 本市 「子ども・子育て支援事業計画」策定 ・平成31年度末までに約5,600 人分を新たに整備 平成26年12月 本市 教育子ども委員会(所管事務調査) ・エリア支援保育所2つの方向性 ・エリア支援の重層化として「ユニット」の考え方を導入 平成27年1月 国  「保育士確保プラン」公表 ・平成29年度末までに新たに必要となる6.9万人の保育士を確保 平成27年3月 本市 「なごや子ども・子育てわくわくプラン2015〜名古屋市子どもに関する総合計画〜」策定 平成27年4月 国  「子ども・子育て支援新制度」開始 ・幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援の量の拡充や質の向上を進めていくための制度 平成29年6月 国  「子育て安心プラン」公表 ・平成34年度末までの5年間で女性就業率80%に対応できる約32万人分の受け皿を整備 平成30年4月 国  「保育所保育指針」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」、「幼稚園教育要領」の改訂(改定) ・幼児教育を行う施設として、幼児期に育みたい資質・能力や幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の共通化 令和元年10月 国  「幼児教育・保育の無償化」開始 ・保育所、認定こども園、幼稚園等を利用する3歳から5歳の全ての子どもたちの利用料の無償化 令和2年3月 本市 「なごや子ども・子育てわくわくプラン2024 名古屋市子どもに関する総合計画」、「子ども・子育て支援事業計画」策定 ・令和6年度末までに約2,900 人分を新たに整備 令和2年12月 国  「新子育て安心プラン」公表 ・令和3年度から令和6年度末までの4年間で約14万人分の保育の受け皿を整備 令和4年4月 本市 名古屋市医療的ケア児保育支援事業本格実施 令和5年3月 本市 「子ども・子育て支援事業計画」の見直し ・令和6年度末までに約300 人分を新たに追加整備 令和5年3月 国  「こども・子育て政策の強化について(試案)」公表 令和5年4月 国  こども家庭庁発足 令和5年12月 国  「こども未来戦略」、「こども大綱」、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」策定 令和6年6月 本市 「今後の教育・保育施策のあり方」についての意見書を受領  参考資料2 令和7年3月 本市 「なごや子ども・子育てわくわくプラン2029 名古屋市子どもに関する総合計画」策定 令和7年10月 本市 「今後の教育・保育施策のあり方」についての補足意見を受領 参考資料3 参考資料2 「今後の教育・保育施策のあり方」について(意見書)の概要 教育・保育ニーズの現状と課題 ○将来的な保育ニーズの減少局面を見据え、民間保育所等が考える適正な定員規模による運営ができるよう、より柔軟な定員減少が可能となるような仕組みづくりや、地域型保育事業の閉園などに対し、待機児童対策がソフトランディングできるよう急な閉園を防ぐ支援の仕組みづくりを検討する必要がある。 ○「こども誰でも通園制度」の実施にあたっては、教育・保育の質をしっかりと担保した上で、多くの必要な子どもが利用しやすいよう、国の動向を注視しつつ、制度の検討を行うべきである。 ○社会情勢の変化から保護者が本来求めていたニーズが顕在化しつつあり、このような動向を見据えた対策が求められている。 ○年々増加している障害児保育、発達支援や医療的ケア児保育が必要な子どもについて、受け入れ体制の確保を検討する必要がある。 教育・保育の質の向上の現状と課題 ○名古屋市が目指すべき教育・保育施設における、子どもの育ちの質の向上に向けた統一的なビジョンやガイドラインを策定し、幼稚園、保育所等の施設類型を問わず教育・保育の質が担保され、維持されるスキームが必要である。 ○教育・保育の質を高めていくためには、職員研修等の充実を図るとともに、評価制度のさらなる活用や名古屋市が行う指導監査のより効果的な運用等、名古屋市の教育・保育の実施体制について必要な改善策を検討していく必要がある。また、公民が両輪となり、名古屋市全体の教育・保育の質を高めていくため、公立施設の果たすべき役割についても今一度検討する必要がある。 ○教育・保育の質を向上するためには、幼稚園教諭・保育士が継続的に勤めようと思える環境をつくり、採用につなげるための取組を行うことが必要である。 教育・保育に関わる行政の連携の現状と課題 ○幼児期の教育・保育に関する統一的なビジョンやガイドラインを踏まえて、幼保小それぞれの想いや課題認識を共有し、幼保小接続のためにどのような取組が必要であるのかを検討し、それを実行していく体制を整備していくことが必要である。また、幼稚園や保育所等を利用する全ての名古屋市の子どもの育ちを等しく公平に支え、保障していくという観点から、まずは私学助成を受ける私立幼稚園の名古屋市における所管部署を統一する。今後、全体的な視点から教育・保育を一元的に企画立案や情報発信等をできるような体制を実現することが必要である。 参考資料3 「今後の教育・保育施策のあり方」について(補足意見)概要 利用者負担額軽減に関わる現状と課題 ○利用者負担額の軽減は、子育て世帯の負担軽減や保育所等を利用していない保護者にとって選択肢を増やすことに繋がることから、国の動向や他都市の実施状況を踏まえ、さらなる利用者負担額の軽減を実施すべきであるが、保育ニーズの増加に伴う待機児童の発生も懸念されることから、実施内容及び実施時期については、就学前児童数等の状況を注視しながら慎重に検討すべきである。 保育ニーズの増加を見据えた現状と課題 ○利用者負担額の軽減を実施する場合には、保育ニーズの増加が見込まれるが、就学前児童数は年々減少しており、長期的な視点で考えると新たな施設を整備するのではなく、保育所等での受入れや幼稚園での預かりといった既存の施設を活用する等の対応を検討する必要がある。