163ページ 第二編 第2期名古屋市成年後見制度利用促進計画 164ページ 第1章 計画の策定にあたって 1 計画の趣旨 165ページ 2 計画の位置づけ 165ページ 3 計画期間 165ページ 4 計画の策定体制 165ページ 第2章 現状と課題 1 現在の取り組み 169ページ 2 権利擁護支援の充実に向けた課題 176ページ 第3章 計画が目指すもの 1 基本理念 183ページ 2 基本目標 183ページ 第4章 取り組みの展開 T 地域連携ネットワークによる権利擁護支援の推進 184ページ U 総合的な権利擁護支援策の充実 189ページ 第5章 計画の進行管理と評価 1 推進体制 190ページ 2 計画内容の変更 190ページ 参考資料 191ページ 165ページ 第1章 計画の策定にあたって 1 計画の趣旨 成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより、判断能力が十分でない人の権利を守り、生活や財産を法律的に支援する制度です。 認知症の人や障害のある人の意思決定支援を含む権利擁護支援の重要性が高まる中、判断能力が十分でなくても、人としての尊厳が損なわれることなく、その人らしく暮らし続けていくことを支援する成年後見制度は重要な役割を果たすものと考えられます。 そうした中、本市では、令和2年3月に名古屋市成年後見制度利用促進計画を策定し、成年後見あんしんセンターを権利擁護支援の中核機関に位置付け、地域の相談支援機関と連携しながら、必要なかたが適切に成年後見制度を利用できるよう、制度の広報・啓発や専門相談、利用者のニーズに合った候補者推薦、後見人への支援を行うとともに、市民後見人の養成や法人後見実施団体への活動支援など、後見活動の担い手を養成・支援することで、成年後見制度の利用促進に取り組んできました。 一方、認知症高齢者などの増加に伴い、権利擁護支援のニーズも増加する見込みであり、今後は、国における成年後見制度の運用改善や成年後見制度以外の権利擁護支援策の実施などの動向を注視しつつ、日常生活自立支援事業などの既存の支援の充実や、新たな支援策の検討など、成年後見制度を含む権利擁護支援を総合的に充実させていくことが必要です。 これらを踏まえ、支援が必要な人を適切な権利擁護支援につなぎ、その人の権利が守られる地域づくりを目指し、第2期名古屋市成年後見制度利用促進計画を策定するものです。 2 計画の位置づけ 本計画は成年後見制度の利用の促進に関する法律第14条に基づく本市の成年後見制度の利用促進に関する基本的な計画です。 また、住民や行政、社会福祉協議会、地域の様々な活動主体がともに連携・協働しながら、地域の福祉課題などを解決するための地域福祉の基本的な方向性と方策を示す計画である「なごやか地域福祉2029(第4期名古屋市地域福祉計画・第7次名古屋市社会福祉協議会地域福祉推進計画)」との整合性を図り、連携した取り組みを進めます。 3 計画期間 令和7年度(2025年度)から令和11年度(2029年度)までの5か年とします。 4 計画の策定体制 本計画は、法律・福祉の専門職団体、相談支援機関、家族会などの代表者で構成する、「成年後見制度利用促進に関する懇談会」の意見などを踏まえ策定しました。 166ページ 国の第二期成年後見制度利用促進基本計画のポイント (1)成年後見制度の運用改善 成年後見制度の見直しに向けた検討 ・利用期限の設定 ・三類型(後見、保佐、補助)の一元化 ・本人が必要とする身上保護、意思決定支援などの内容の変化に応じた円滑な交代 ・任意後見制度における適切な時期の監督人選任の確保 後見人への適切な報酬の付与 ・適切な報酬の算定に向けた検討 ・報酬助成などの制度のあり方の検討など (2)総合的な権利擁護支援策の充実 日常生活自立支援事業との連携・体制強化 生活支援・意思決定支援の検討 ・適切な生活支援などのサービス(簡易な金銭管理、入院・入所手続支援など)が確保される方策などの検討 都道府県単位での新たな取組の検討 ・寄付などの活用による多様な主体の参画の検討 ・公的な関与による後見の実施の検討など 成年後見制度の概要 成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。 法定後見制度は、本人の判断能力が不十分となった後に、家庭裁判所によって成年後見人が選ばれる制度です。本人の判断能力に応じて、「補助」、「保佐」、「後見」の3つの類型があります。 後見人は、本人の意思を尊重し、本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、本人に代わり、財産を管理したり必要な契約を結んだりすることによって、本人を保護・支援します。 任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、あらかじめ本人が選んだ人(任意後見人)に判断能力が低下した場合に代わりにしてもらいたいことを契約で決めておく制度です。 167ページ 成年後見制度の利用状況(全国) 成年後見制度の利用状況の推移(令和元年〜令和5年) 令和元年12月末日 成年後見 171,858人 保佐 38,949人 補助 10,983人 任意後見 2,652人 合計 224,442人 令和2年12月末日 成年後見 174,680人 保佐 42,569人 補助 12,383人 任意後見 2,655人 合計 232,287人 令和3年12月末日 成年後見 177,244人 保佐 46,200人 補助 13,826人 任意後見 2,663人 合計 239,933人 令和4年12月末日 成年後見 178,316人 保佐 49,134人 補助 14,898人 任意後見 2,739人 合計 245,087人 令和5年12月末日 成年後見 178,759人 保佐 52,089人 補助 15,863人 任意後見 2,773人 合計 249,484人 成年後見制度の各事件類型における利用者はいずれも増加傾向にある。 令和5年12月末日時点の利用者数については、成年後見の割合が約71.7%、保佐の割合が約20.9%、補助の割合が約6.4%、任意後見の割合が約1.1%となっている。 168ページ 本市の認知症高齢者などの状況 認知症高齢者数 113,000人 ※厚生労働省の「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」による全国の認知症有病率推計をもとに本市における令和7年の認知症高齢者数を推計 知的障害者数(18歳以上の愛護手帳所持者)14,459人 精神障害者数(18歳以上の精神障害者保健福祉手帳所持者)35,519人 本市における成年後見制度の利用者数 成年後見制度の利用状況の推移(令和元年〜令和5年) 令和元年12月末日 成年後見 2,272人 保佐 435人 補助 167人 任意後見 68人 合計 2,942人 令和2年12月末日 成年後見 2,255人 保佐 465人 補助 172人 任意後見 74人 合計 2,966人 令和3年12月末日 成年後見 2,209人 保佐 456人 補助 172人 任意後見 75人 合計 2,912人 令和4年12月末日 成年後見 2,224人 保佐 513人 補助 184人 任意後見 76人 合計 2,997人 令和5年12月末日 成年後見 2,224人 保佐 524人 補助 194人 任意後見 75人 合計 3,017人 成年後見制度利用者の総数はやや増加傾向にある。 令和5年12月末日時点の利用者数については、成年後見の割合が約73.7%、保佐の割合が約17.4%、補助の割合が約6.4%、任意後見の割合が約2.5%となっている。 169ページ 第2章 現状と課題 1 現在の取り組み (1)成年後見あんしんセンターの運営 権利擁護支援の地域連携ネットワークの中核機関として、地域の相談支援機関と連携し、必要なかたが適切に成年後見制度を利用できるよう、制度の広報・啓発や専門相談、利用者のニーズに合った候補者推薦、後見人への支援を行うとともに、市民後見人の養成や法人後見実施団体への活動支援など、後見活動の担い手を養成・支援することで、成年後見制度の利用促進に取り組んでいます。 成年後見あんしんセンターの主な事業内容 成年後見制度に関する広報・啓発(広報媒体を活用した情報発信及び講演会などのイベント開催) 成年後見制度に関する一般相談・専門相談(センター職員や弁護士・司法書士による相談支援を実施、個別相談の中で申立て支援を実施) 後見人候補者の推薦(利用者のニーズに合った後見人候補者の推薦を実施) 後見人への支援(親族後見人向けの研修会・相談会の開催や後見人からの個別相談に対する支援を実施) 協議会の運営(専門職団体や関係機関と連携し、地域課題の情報共有や支援策の検討などを実施) 市民後見人候補者養成研修(一般市民を成年後見人として養成するための研修を実施) 市民後見人候補者バンクの設置・運営(市民後見人養成研修修了者のバンク登録及びバンク登録者へのフォローアップを実施) 市民後見人の受任調整(市民後見人での受任が可能な事案について、市民後見人候補者の推薦に係る調整を実施) 市民後見人の活動支援及び監督(後見活動を行う市民後見人に対する支援や監督を実施) 法人後見支援事業(法人後見実施団体に対し、専門職による専門相談や支援員向け研修会などを実施) (2)成年後見制度利用支援事業の実施 親族による申立てが期待できない人や低所得の人に対して、成年後見制度の利用を支援することで、成年後見制度の利用促進に取り組んでいます。 市長申立事務(成年後見制度の利用が必要であると認められるものの親族による申立てが期待できない場合に、市長が後見開始の審判請求を実施) 助成事業(一定の要件に該当する低所得の人に対して、審判請求費用や後見業務の報酬などを助成) 170ページ (3)障害者・高齢者権利擁護センターの運営(日常生活自立支援事業) 認知症や知的障害、精神障害などにより、判断能力が不十分な人が、地域で安心して生活が送れるよう、本人との契約にもとづき、金銭管理サービスや財産保全サービスなどを行っています。 障害者・高齢者権利擁護センターの事業内容 金銭管理サービス(預貯金の出し入れや公共料金の支払いなどを支援) 財産保全サービス(定期預金通帳や年金証書などを預かり、センターが保管) 福祉サービスの利用援助(定期的に生活援助員が訪問し、福祉サービスの利用手続きなどを支援) 相談事業(@生活相談、日常的な金銭管理・財産保全に関する相談に対応)(A法律相談、相続、遺言、契約などの法律に関する相談に弁護士が対応) (4)あんしんエンディングサポート事業の実施 非課税などの要件を満たす身寄りのない高齢者に対して、生前の見守りや安否確認に加え、葬儀・納骨や家財処分、行政官庁などへの手続きなどを死後に代行する支援を行っています。 あんしんエンディングサポート事業のサービス内容 生前の見守り・安否確認(定期的な電話・訪問による見守りを実施) 葬儀・納骨(遺体の引き取りや火葬・納骨を実施) 賃貸住宅の家財処分・明渡し(残存家財の処分や賃貸住宅の明渡しに伴う諸手続きを実施) 行政官庁などへの届出・連絡(死亡に伴う医療保険証・介護保険証などの返却や年金事務所・公共料金収受機関への死亡連絡などを実施) (5)相談支援機関による権利擁護支援の実施 いきいき支援センターや障害者基幹相談支援センターなどの相談支援機関において、成年後見制度をはじめとする権利擁護支援に関する相談に対応しています。 171ページ 2 権利擁護支援の充実に向けた課題 (1)成年後見制度の利用等に関するアンケート調査の概要 本計画の策定にあたり、本市における成年後見制度をはじめとした権利擁護支援に関するニーズや課題などを把握するため、支援者向け、ご家族向け、受任者向けの3種類のアンケート調査を実施 1 アンケート種別 (1)支援者向けアンケート 調査対象 いきいき支援センター、居宅介護支援事業所などの関係機関 調査方法 対象事業所あて郵送又はメールで調査票を送付 LoGoフォームにて回答 (2)ご家族向けアンケート 調査対象 認知症高齢者のご家族、知的障害者のご家族、精神障害者のご家族 調査方法 各家族会を通じて調査票を配布、LoGoフォーム又は郵送・FAXにて回答 (3)受任者向けアンケート 調査対象 後見を受任している弁護士、司法書士、社会福祉士など専門職、法人後見実施団体 調査方法 各専門職団体を通じて調査票を配布、法人後見実施団体は郵送で調査票を送付、LoGoフォームにて回答 2 調査期間 令和5年9月〜12月 3 回収状況 回収数・回収率 R5 支援者向け 回収数1,057 回答率68.1% ご家族向け 回収数513 回答率33.8% 受任者向け 回収数173 回答率8.4% H30 支援者向け 回収数940 回答率61.8% ご家族向け 回収数549 回答率34.3% 受任者向け 回収数280 回答率18.0% ※受任者向けについては、名古屋市内で後見活動を行っている専門職を特定することができないため、各専門職団体を通じて協力可能な範囲で依頼したものであり、名古屋市外で活動している方や後見活動を行っていない方も配布対象者に含む。 172ページ (2)アンケート調査の結果 @成年後見制度の必要性 成年後見制度を必要とする理由は、支援者では、前回調査結果と同様、「金銭管理などが適切にできない」が最も高く、「不動産の処分など日常的な金銭管理を超える法律行為が行えない」、「診療契約などが理解できない」の順に続いています。 ご家族でも、前回調査結果と同様、「金銭管理への不安」が最も高く、「契約内容が分からず、契約できない」、「親族の高齢化による不安」の順に続いています。 また、「セルフネグレクト」が前回調査時よりも増加しているとともに、「消費者被害」、「経済的虐待」といった重大な権利侵害も一定存在し、引き続き、積極的な権利擁護支援が必要と考えられます。 支援者向け 成年後見制度の検討が必要だと思われるかたの理由(複数回答可) 診療契約やサービス利用契約を理解できず、支援が進まない。 38.5% 不動産の処分や遺産分割協議など、日常的な金銭管理を超える法律行為を行えない。 48.9% 消費者被害にあったことがある、又は現に悪徳業者につきまとわれている。 5.3% 金銭管理や資産管理(土地や建物など)が適切にできない。 58.0% 税金や施設利用料等を現に滞納しているが、適切に対応できていない。11.1%  商品を次々と購入する等、収入に見合った適切な支出ができない。 17.6% 預金や年金を取り上げられる等、虐待を受けている又は疑いがある。 4.0% 必要な医療・介護の全部又は一部を拒否している。(セルフネグレクト) 32.1% その他困難な状況があるが、適切に対応できていない。 12.2% ご家族向け 判断能力が不十分なことに伴う支援が必要だと感じたこと。(複数回答可)  契約内容が分からず、契約できない。 50.5% 遺産分割協議をする必要がある。 16.1% 利用料などを滞納している、支払いができない。 7.1% 必要な医療・サービスを拒否している。 6.8% 悪質な訪問販売の被害に遭った。 7.4% 他の親族等から、財産侵害・経済的虐待を受けている。 2.9% 不動産などの重要財産の処分ができない。 25.3% 銀行でのお金の出し入れやお金の管理に不安がある。 68.7% 支援している親族が高齢になり、将来が不安になった。 47.4% その他 10.3% 回答なし 2.6% 173ページ A申立支援での苦労 支援者では、「申立に関わったことがない」を除くと、「本人や親族への説明」、「誰を申立人にするか悩んだ」、「申立資料の書類が煩雑」の順に続いています。 ご家族では、「申立資料の書類が煩雑」が最も高く、「本人への説明」、「誰を申立人にするか悩んだ」の順に続いています。 申立てに苦労されている状況は、前回調査時から変わっておらず、引き続き、成年後見あんしんセンターによる支援者や親族などへの研修会の開催や個別の相談支援が必要と考えられます。 支援者向け 申立て支援を行うにあたり、どのような点で苦労したか。(複数回答可) 申立に関わったことがない。 56.3% 誰に申立を行ってもらうか悩んだ。 20.4% 本人や親族に、成年後見制度の必要性を説明するのに苦労した。 25.8% 申立資料の書類が煩雑で、本人や親族ではできず、苦労した。 17.3% 市長申立について、区との調整に苦労した。 7.8% 誰を後見人等候補者とすればよいか分からず、苦労した。 7.0% 診断書を作成する医師へ、本人の生活状況がうまく伝えられず、苦労した。 5.0% 親族が非協力的又はトラブルがあり、支援を行うのに苦労した。 16.9% 相談や申請機関などがよく分からない。 6.9% その他 4.4% ご家族向け 申立て支援を行うにあたり、どのような点で苦労したか。(複数回答可) 誰が申立をするか悩んだ。 22.2% 本人に、成年後見制度の必要性を説明するのに苦労した。 25.9% 申立資料の作成が煩雑で、苦労した。 44.4% 誰を後見人等候補者とすればよいのか分からず、苦労した。 14.8% 診断書を作成する医師へ、本人の生活状況がうまく伝えられず、苦労した。 0.0% 申立費用や後見報酬の負担をどうするか悩んだ。 14.8% 他の親族が非協力的又はトラブルがあり、話を進めるのに苦労した。 7.4% 相談や申請機関などがよく分からない。 14.8% その他 14.8% 回答なし 7.4% 174ページ B申立しない理由 支援者では、「対象となるかたを担当したことがない」を除くと、前回調査時と同様、「身元保証団体を紹介している」が最も高く、「後見人が選任されるまでに時間がかかる」は前回調査時より増加しています。また、「後見報酬の支払いが負担」、「制度利用の必要性の判断ができない」が高くなっています。 ご家族では、「後見人が本人の意思や希望を反映してくれるか不安」、「本人に寄り添った身上保護をしてくれるか不安」や「一度頼んだら断ることができない」、「誰が後見人になるか分からない」といった制度を利用することに対する不安が多く見受けられます。 国による制度の運用改善(報酬助成等の検討や、利用期限の設定など)の動向を注視しつつ、後見人が選任されるまでの時間の短縮に向けた取り組みや本人のニーズに合った後見人候補者の調整、制度を安心してご利用いただくための相談支援が必要であると考えられます。 支援者向け 申立てをしない又は躊躇する理由はどのようなことか。(複数回答可) 対象となるかたを担当したことがない。 33.4% 本人にとって成年後見制度の利用が適切かどうか判断できない。 26.7% 後見人等が選任されるまで時間がかかる。 27.9% 誰が後見人になるか分からないことに不安がある。 15.0% 後見人が本人の意思や希望を反映した支援をしてくれるか不安がある。 17.4% 後見人は一度選任されたら、判断能力が回復しない限り、本人が亡くなるまで続く。 11.9% 後見報酬の支払いが、本人への負担になる。 27.8% 権利擁護センターの日常生活自立支援事業(金銭管理・財産保全)で、対応できる。 20.2% いわゆる「身元保証団体」を紹介することで、対応している。 33.6% その他 5.1% ご家族向け 申立てをしない又は躊躇する理由はどのようなことか。(複数回答可) 本人が申立に同意しない。 3.2% 本人にとって成年後見が必要か判断できない。 25.2% 申立の費用負担が困難。 13.5% どのように申立準備したらいいか分からない。 24.4% 後見報酬が必要になるから。 24.6% 後見人が決まるまで時間がかかる。 3.4% 誰が後見人になるか分からないことに不安がある。 43.0% 後見人が本人の意思や希望を反映した支援をしてくれるか不安がある。 52.4% 後見人が本人に寄り添った身上保護をしてくれるか不安がある。 50.7% 後見人は一度頼んだら、断ることができない。 43.6% 本人の財産を有効に活用できなくなる。 24.1% 検討の結果、家族の支援で対応できると判断した。 34.1% 権利擁護センターの日常生活自立支援事業(金銭管理・財産管理)の利用で、対応できた。 1.1% その他 9.7% 回答なし 7.7% 175ページ C親族後見人となって困ったこと 「本人財産からの支出が制約される。(家族のために使えないなど)」と回答した割合が前回調査時と比べて増加しており、引き続き、成年後見制度への理解を進めるための親族後見人向け研修会・相談会の実施が必要であると考えられます。 また、「家庭裁判所への報告書作成が煩雑」、「何をやればよいか分からない」などと回答した割合は、前回調査時より減少していますが、引き続き、親族後見人の困りごとを解消するため、成年後見あんしんセンターによる個別支援が必要であると考えられます。 ご家族向け 後見人になって困ったことはどのようなことか。(複数回答可) 後見人として何をやればよいか、分からない。 8.3% 成年後見制度についての相談窓口が分からない。 0.0% 後見監督人とうまく連携できない。 0.0% 家庭裁判所に提出すべき報告書作成が煩雑で、一人では難しい。 16.7% 本人財産からの支出が制約される。 58.3% その他 16.7% 176ページ D受任が困難な理由 ご家族以外の受任者では、「受任が困難と感じたことがある」と回答した割合が、5割程度あります。理由としては「報酬が見込めない」、「本人の身上保護の課題が多く一人では対応しきれない」、「親族間に複雑なトラブルを抱えている」といったことにより、対応できないとの回答が多く見受けられます。 また、「既に複数受任しており、これ以上受任できない」という回答をした割合も前回調査時と比べて増加しています。 引き続き、成年後見あんしんセンターや専門職団体による後見人への支援を実施するとともに、家庭裁判所と連携し、多様な専門職や市民後見、法人後見実施団体への受任を拡大するなど、後見人の確保と負担の軽減が必要であると考えられます。また、一人では対応しきれない困難ケースを安心して受任するための支援も必要であると考えられます。 さらに、国による制度の運用改善(報酬助成などの検討)の動向を注視しつつ、市による報酬助成の拡充の検討が必要であると考えられます。 受任者向け 後見人等の就任依頼があった際、受任が困難と思ったことはあるか。 ある 55.5% ない 44.5% 受任者向け 受任が困難と思った理由はどのようなことか。(複数回答可) 既に複数受任しており、これ以上受任できない。 28.1% 報酬が見込めない。 51.0% 本人の財産管理上の課題が多く、一人では対応しきれない。 20.8% 本人の身上保護上の課題が多く、一人では対応しきれない。 46.9% 親族間に複雑なトラブルを抱えており、一人では対応しきれない。 38.5% 支援者間で方針の相違があり、どの支援者と連携すればよいか分からない。 10.4% その他 17.7% 177ページ 6後見業務についての課題 支援者では、後見人と一緒に支援をして困ったことについて、前回調査結果と同様、「どこまで、何をお願いできるのかが分からない」、「後見人の仕事ではないと断られることがある」、「財産管理以外は福祉関係者に委ねられ、関心がない」と回答した割合が高くなっています。 受任者では、前回調査結果と同様、「後見人の業務範囲を超えた役割を期待され、対応できない」が最も多いとともに、「本人の意思を確認するのが難しい」と回答した割合が前回調査時と比べて増加しています。 引き続き、後見人の業務に関する理解の促進を図るとともに、支援者・後見人への個別の相談支援や、後見人に関する苦情などへの対応が必要と考えられます。 支援者向け 後見人と一緒に支援をして困ったことはどういうことか。(複数回答可) 連絡が取れない。 13.3% 本人に会いに来ない。 18.4% 支援の方針決定について、本人や他の支援者の意見が反映されない。 12.9% 申立理由とした課題が、なかなか解決しない。 4.1% 財産の管理以外は、福祉関係者に委ねられ、関心がない。 27.7% 後見人の仕事ではないと断られることがある。 28.3% どこまで、何をお願いできるか、分からない。 47.0% 後見人の活動に疑問があるが、相談先が分からない。 7.2% その他 19.4% 受任者向け 後見業務を行う上で難しいと感じることはどのようなことか。(複数回答可) 他の業務で忙しく、家族や支援者との話し合いに参加する時間が持てない。 26.6% 支援者と意見が合わず、支援方針を共有することができない。 11.6% 後見人の業務の範囲を超えた役割を期待され、対応できない。 49.1% 連携先が分からない。 7.5% 本人の意思を確認するのが難しい。 47.4% 本人との信頼関係を構築するのが難しい。 16.8% 難しいと感じることはない。 4.0% その他 13.3% 178ページ 7日常生活自立支援事業(障害者・高齢者権利擁護支援センター)について 本人の判断能力に不安がある場合、約8割の支援者が日常生活自立支援事業を検討する一方で、「利用開始まで時間がかかる」、「サービスの内容が分からない」などにより、利用に繋がっていないとの回答が一定数ありました。 利用ニーズが高いことから、令和6年度には新たに4センター目(西部事務所)を開設するなど、体制強化を図っているところですが、支援を必要なかたが速やかに利用できるよう、センターの効率的な事務運営などにより、待機期間の短縮を進めていく必要があると考えられます。 また、日常生活自立支援事業のサービス内容を含め、センターの役割に関する広報・啓発を図る必要があると考えられます。 支援者向け 本人の判断能力に不安がある場合、日常生活自立支援事業の提案を検討しますか。 検討する 84.8% 検討しない 15.2% 支援者向け 日常生活自立支援事業の利用をしない又は躊躇する理由はありますか。(複数回答可) 本人が利用に同意しない 42.5% 利用に時間がかかる 28.2% 本人に契約能力がない 20.2% サービスの内容がわからない 13.4% その他 7.1% 特になし 28.7% 179ページ 8意思決定支援について 意思決定支援の内容について「あまり知らない」「知らない」と回答した割合が、支援者では約5割程度、受任者では約3割程度あります。 成年後見あんしんセンターにおいて、ご家族を含む市民向けに広報・啓発を図るとともに、支援者向け研修の開催などの意思決定支援を推進する取り組みが必要であると考えられます。 支援者向け・ご家族向け・受任者向け 「意思決定支援」についてその内容をご存じですか。 支援者 よく知っている 6.6% 知っている 46.7% あまり知らない 40.4% 全く知らない 6.2% ご家族 よく知っている 3.7% 知っている 21.6% あまり知らない 42.9% 全く知らない 29.8% 受任者 よく知っている 24.3% 知っている 50.9% あまり知らない 22.5% 全く知らない 2.3% (参考)支援者向け・受任者向け 支援の際に参考にしているガイドラインはありますか。(複数回答可) 支援者 身寄りがない人の入院・医療に係る意思決定が困難な人の支援に関するガイドライン(厚生労働省) 28.1% 人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省) 18.5% 認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(厚生労働省) 24.1% 障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(厚生労働省) 12.8% 身寄りのない人の権利擁護支援に関するガイドライン(名古屋市) 31.0% 特になし 36.9% 受任者 身寄りがない人の入院・医療に係る意思決定が困難な人の支援に関するガイドライン(厚生労働省) 40.5% 人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省) 26.0% 「身元保証」や「お亡くなりになられた後」を支援するサービスの契約をお考えのみなさまへ(消費者庁) 16.2% 認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(厚生労働省) 32.9% 障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(厚生労働省) 17.3% 意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン(厚生労働省) 36.4% 身寄りのない人の権利擁護支援に関するガイドライン(名古屋市) 12.7% 特になし 30.1% 180ページ 9その他、権利擁護支援に関すること 任意後見制度について 受任者が感じる任意後見制度の課題について、「報酬額の負担が難しい」、「本人に必要性を感じてもらえない」、「発効させる時期の判断が難しい」の順に続いています。 国では、成年後見制度の運用改善に向け、適切な時期における任意後見の発効など、適切な運用を確保するための方策について検討しています。 成年後見あんしんセンターにおいて、任意後見制度の広報・啓発を行っているところですが、国の運用改善に関する動向を注視しつつ、市民向けの分かりやすい説明会の開催など、任意後見制度の利用促進に向けた取り組みが必要であると考えられます。 受任者向け 任意後見制度について、課題を感じることはありますか。(複数回答可) 本人に必要性を感じてもらえない。 34.1% 報酬額の負担が難しいことにより、利用に至らないことがある。 38.2% 任意後見契約を発効させる時期の判断が難しい。 33.5% 公正証書の作成が必要でハードルが高い。 28.9% 特になし 17.9% その他 6.4 参考 受任者向け 名古屋市の方と任意後見契約をしているケースは何件ですか。 回答合計62件(令和5年8月末現在) うち弁護士4件、司法書士16件、社会福祉士6件、行政書士5件、税理士3件、社会保険労務士0件、法人後見実施団体28件 181ページ 身寄りのない人の権利擁護支援について 施設・病院が家族などに求める役割について、「急変・死亡時の対応」、「入院・入所時の身元保証」、「金銭管理・費用の支払い」の順に続いています。また、身の回りの支援などの生活支援ニーズも約6割あります。 国では、身寄りのない人への適切な支援のため、持続可能な権利擁護支援モデル事業の実施や高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの策定、身寄りのない高齢者などが抱える生活上の課題(身元保証、日常生活支援、死後事務の処理など)への支援の在り方の検討などを行っています。 本市では、「身寄りのない人の権利擁護支援に関するガイドライン」を作成し、家族などに求められている役割(支援ニーズ)を支援者がチームで対応する方法や、身元保証団体を活用する場合の留意点をまとめ、普及啓発を進めているところです。また、非課税などの要件を満たす身寄りのない高齢者に対し、死後事務支援事業を実施しています。 国の動向を注視しつつ、引き続き、権利擁護支援に関するガイドラインの普及啓発や死後事務支援事業を実施するとともに、既存の施策では対応が難しい身寄りのない人が求める支援ニーズについて、行政が支援すべき対象者や支援方法などを検討する必要があると考えられます。 支援者向け 施設・病院での支援の中で、家族等に求めるものは何ですか。(複数回答可) 急変・死亡時の対応 92.5% 入院・入所時の身元保証 90.3% 金銭管理・費用の支払い 88.3% 医療機関から説明を受けること・医療同意 80.3% 身の回りの支援(必要物品の調達、選択、心理的支援)59.5% その他 2.5% 支援者向け 身寄りのない方は、どのように対応していますか。(複数回答可) 身元保証団体を案内している。 63.5% 家族等に求めるものについて、個別対応を行っている。 47.0% その他 8.5% 182ページ (3)今後の権利擁護支援の充実に向けた課題 現在の取り組み状況やアンケート調査の結果から、今後の権利擁護支援策の充実に向けて、以下の課題に対応していくことが必要と考えます。 @支援の必要な人を迅速かつ適切に成年後見制度につなぐための支援 後見人が選任されるまでの時間の短縮に向けた取り組みや本人のニーズに合った後見人候補者を推薦するための取り組みが必要 申立書の作成や必要資料の準備に係る支援(市長申立てを含む) 成年後見あんしんセンターの個別調整によるスムーズな後見人候補者の選定 後見人候補者と本人による申立て前の事前面談の実施 家庭裁判所との候補者推薦に関する事前調整 A成年後見制度の利用者の増加を見据えた後見人の確保 多様な専門職や市民後見人、法人後見実施団体への受任拡大などにより、後見人を確保することが必要 一人では対応できない困難ケースを安心して受任するための支援が必要(成年後見あんしんセンターによる関係機関との支援調整、受任が難しいケースの分析と支援策の検討) 国の動向を注視しつつ、報酬助成の拡充の検討が必要 B安心して成年後見制度を利用していただくための相談支援の強化 地域の相談支援機関等と連携し、引き続き、成年後見あんしんセンターによる、支援者やご家族、後見人への相談支援が必要 後見人への苦情等に関する対応の強化が必要 福祉・医療に関する調整などが必要な困難ケースについて、後見人への相談支援の強化が必要 C総合的な権利擁護支援策の充実 【日常生活自立支援事業】 障害者・高齢者権利擁護支援センターの金銭管理サービスなどを利用するまでの待機期間の短縮が必要 サービス内容を含め、センターの役割に関する広報・啓発が必要 【意思決定支援】 市民向けに広報・啓発を図るとともに、支援者向け研修の開催など、意思決定支援を推進する取り組みが必要 【事前に備える制度の利用促進】 任意後見制度や民事信託に関する市民向け説明会の開催など、事前に備える制度の適切な利用の促進に向けた取り組みが必要 【身寄りのない人の権利擁護支援】 引き続き、身寄りのない人の権利擁護支援に関するガイドラインの普及啓発や死後事務支援事業を実施するとともに、身寄りのない人が求める支援ニーズについて、支援策の検討が必要 183ページ 第3章 計画が目指すもの 本市の地域福祉計画の基本理念や、成年後見制度をはじめとした権利擁護支援に関する現状と課題を踏まえ、本計画の基本理念、基本目標を以下のように定めます。 1 基本理念 人権が尊重され、誰もがいきいきと暮らし、活躍できる都市、名古屋を目指して 2 基本目標 認知症、知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人が必要な支援を受けながら、一人ひとりの意思が尊重され、その意思に基づき、自分らしく生きていくために、地域における連携した支援を推進します。 「なごやか地域福祉2029」との関連 本計画は、「なごやか地域福祉計画2029」との整合性を図り、連携した取り組みを進めることとしています。「なごやか地域福祉2029」では、誰もが意思決定を尊重され、地域で自分らしく安心して暮らし続けるための支援の推進のため、以下の取り組みを行うこととしています。 「なごやか地域福祉2029」第4章 課題解決に向けた私たちの取り組みの展開 取り組むべき方向性2 一人ひとりの「暮らし」に寄り添い支える仕組みをつくる 〜支援を求めている人、手助けが必要な人を支える〜 方策C 地域で安心して暮らし続けるための支援の仕組みづくり(権利擁護の推進) T.誰もが意思決定を尊重され、地域で自分らしく安心して暮らし続けるための支援の推進 具体的な取り組みの内容 1 地域住民が権利擁護への理解を深め、日頃の気づきから必要な権利擁護支援へとつなげるための取り組みを進めます。 2 判断能力が不十分な人が地域で安心して生活が送れるよう、金銭管理や財産保全などを行うとともに、迅速かつ適切なサービス提供に必要な取り組みを進めます。 3 判断能力が不十分な人の権利や財産を守る「成年後見制度」の利用促進を図ります。 4 支援に関わるすべての人が本人による意思決定を尊重し、誰もが自分らしい生活を送るための仕組みをつくります。  5 消費者被害のトラブルなどに関する相談支援を行います。  184ページ 第4章 取り組みの展開 権利擁護支援が必要な人の意思が尊重され、成年後見制度を自分らしい生活を実現するための制度として利用できるよう、引き続き、地域連携ネットワークによる権利擁護支援の推進を図るとともに、成年後見制度を含む総合的な権利擁護支援策の充実を図ります。 T 地域連携ネットワークによる権利擁護支援の推進 権利擁護支援の必要な人を早期に発見し、適切な支援につなげるとともに身上保護を重視した支援を行っていくためには、後見人と地域の関係者などが協力し、チームとして日常的に本人を見守り、本人の意思や状況を継続的に把握することが重要です。「権利擁護支援の必要な人の発見・支援」、「早期の段階からの相談対応」、「意思決定支援・身上保護を重視した成年後見制度の運用」という3つの役割を念頭に、地域のチーム、成年後見あんしんセンター(中核機関)、法律・福祉の専門職団体や相談支援機関などで構成する協議会が有機的に連携し、権利擁護が必要な人を地域全体で支援します。 1 成年後見あんしんセンター(中核機関)の運営 成年後見あんしんセンターは地域連携ネットワーク全体のコーディネートを担うとともに、広報・啓発や専門相談、利用者のニーズに合った候補者推薦、後見人への支援などの様々な事業の実施により、成年後見制度の利用促進に取り組みます。 成年後見あんしんセンター(中核機関)が行う取り組み (1)広報・啓発 @市民向け広報・啓発 ・研修会・講演会・出前講座などによる広報・啓発(法定後見・任意後見) ・成年後見制度に関する相談窓口(中核機関)の広報 ・市民後見人候補者バンク登録者による広報 ・効果的な広報・啓発の検討・実施 A地域での早期発見のための広報・啓発 ・つなぎの役割を担う地域の関係者への周知・啓発(福祉、医療、金融、不動産関係者など) ・行政関係者向け研修会の開催 185ページ (2)相談受付・アセスメント・支援策の検討 @個別相談 ・本人や親族、地域住民、支援者などからの成年後見制度に関する相談について、一般相談と専門職による専門相談を実施 A地域の相談支援機関及びチーム会議に対するバックアップ支援 ・権利擁護支援の必要性の有無、支援内容、申立者などを判断するための各種ツールの活用促進 ・地域の相談支援機関からの相談対応 ・チーム会議などへのセンター職員・専門職派遣(法律・福祉) ・ケアマネジャー、相談支援専門員などの支援者向け研修会の開催 186ページ (3)成年後見制度の利用促進 @迅速かつ適切に成年後見制度につなぐための支援 ・家族・福祉関係者向け研修会の開催など、成年後見制度の内容や申立方法などを学べる機会の提供 ・申立書の作成や必要資料の準備に係る支援(市長申立てを含む) ・センター職員の個別調整などによるスムーズな後見人候補者の推薦 ・家庭裁判所との候補者推薦に関する事前調整 A利用者のニーズに合った候補者推薦 ・候補者推薦ガイドラインの充実(多様な専門職後見人や市民後見人、法人後見への推薦の拡大) ・本人と後見人候補者による申立て前の面談の実施 ・協議が必要なケースについて、専門家による会議の開催 B後見人の確保と支援 ・市民後見人の養成と活動支援 ・家庭裁判所との協議を通じた多様な専門職や市民後見人、法人後見への受任拡大に向けた取り組みの推進(本人、親族申立案件への候補者の推薦や、家庭裁判所からの推薦依頼に基づく候補者推薦、法的課題解決後の後見人の交代など) ・市民後見人の活躍の場の拡充(後見人としての活動以外を含む) ・法人後見団体の確保と支援に関する取り組みの充実(法人後見団体が抱える課題を踏まえた活動支援の実施) ・市民後見人候補者養成研修と連携した法人後見の担い手の養成支援 ・一人では対応できない困難ケースを安心して受任するための支援(関係機関との支援調整、受任が難しいケースの分析と支援策の検討) C日常生活自立支援事業など関連制度との連携 ・日常生活自立支援事業利用者の移行支援  D成年後見制度利用支援事業の実施 ・国の動向を注視しつつ、後見人への報酬助成の拡充を検討 187ページ (4)後見人への支援 @研修会・相談会の開催 ・親族後見人への支援(研修会・相談会の開催など) A個別相談 ・親族後見人・専門職後見人からの相談対応 ・親族・支援者などからの相談対応 ・後見人に関する苦情などについて、専門職団体・家庭裁判所との連携した対応 B個別支援 ・チーム会議への参加やモニタリング支援などの実施 ・福祉・医療に関する調整が必要な困難ケースなどに対する関係機関との支援調整 C市民後見人への支援・監督 ・成年後見監督人への就任による重層的な支援・監督の実施 ・市民後見人受任者に対する受任者研修や受任者サロンの開催 D法人後見団体への支援 ・法人後見支援事業の実施(専門職による専門相談や支援員向け研修会など) 2 協議会の運営 中核機関が主体となり、法律・福祉の専門職団体や相談支援機関などで構成する協議会を設置し、構成団体間の連携強化を図るとともに、中核機関の取り組みなどに対する協議や、地域のチームへの支援などを通じて把握した地域課題の情報共有や支援策の検討などを行います。 [協議会の主な役割] (1)成年後見あんしんセンター(中核機関)の取り組みや課題などに対する協議 @ 多様な後見人候補者を推薦する仕組みづくり A 各専門職団体の協力体制の整備 B 権利擁護支援に関する地域課題の検討 (2)家庭裁判所との情報交換・調整 188ページ 協議会の運営イメージ 成年後見あんしんセンターを事務局として、中核機関が把握した権利擁護支援に関する課題の情報共有や必要な支援策を検討 地域連携ネットワークのイメージ 地域のチームが権利擁護支援の課題について対応できるよう、成年後見あんしんセンターによる専門的支援を実施 189ページ U 総合的な権利擁護支援策の充実 認知症高齢者などの増加に伴う、権利擁護支援ニーズの多様化に対応するため、日常生活自立支援事業などの既存の支援の充実や、新たな支援策の検討など、権利擁護支援策を総合的に充実させていきます。 1 日常生活自立支援事業の迅速かつ適切な提供 障害者・高齢者権利擁護センターによる金銭管理サービスや財産保全サービス(日常生活自立支援事業)などを必要な方が速やかに利用できるよう、センターの効率的な事務運営などにより、待機期間の短縮を進めていくとともに、サービス内容を含め、センターの広報・啓発に取り組みます。 2 意思決定支援の推進 尊厳のある本人らしい生活の継続に向けて、市民向けに広報・啓発を図るとともに、支援者向け研修の開催など、意思決定支援の推進に取り組みます。 3 事前に備える制度の適切な利用の促進 本人の意思を反映・尊重できるよう、任意後見制度に関する市民向け広報・啓発を図るとともに、民事信託について、民間企業と連携した講演会やセミナーを開催するなど、事前に備える制度の適切な利用の促進に向けた取り組みを進めます。 4 身寄りのない人の権利擁護支援 施設・病院が家族に求める支援ニーズをチームで対応する方法や身元保証団体を活用する場合の留意点をまとめた「身寄りのない人の権利擁護支援に関するガイドライン〜地域でくらすための入所・入院時等のそなえ〜」の普及啓発や、あんしんエンディングサポート事業(死後事務支援事業)を実施します。 また、既存の施策では対応が難しい身寄りのない人が求める支援ニーズ(入院・入所時の付き添いや病院・施設で必要な物品の準備など)について、行政が支援すべき対象者や支援方法などの検討を進めます。 190ページ 第5章 計画の進行管理と評価 1 推進体制 本計画の進行管理・評価は、法律・福祉の専門職団体、相談支援機関、家族会などの代表者で構成する「成年後見制度利用促進に関する懇談会」に事業実績などを報告し、意見を聴取することにより行います。 2 計画内容の変更 計画期間の途中であっても社会情勢の変化や国の動向などに応じて、計画の見直しが必要な場合には、懇談会の意見を参考に、所要の改定を行います。 191ページ 参考資料 目次 1 策定体制・策定の経過 192ページ 2 アンケート結果 193ページ 3 要綱と名簿 208ページ 4 成年後見制度の利用の促進に関する法律  210ページ 5 用語解説 215ページ 192ページ 1 策定体制・策定の経過 (1)策定体制  「成年後見制度利用促進に関する懇談会」  名古屋市における成年後見制度の一層の利用促進に活用するため、成年後見制度に関する有識者の意見を聴取する場 (2)策定の経過 令和5年8月4日 令和5年度第1回懇談会 次期名古屋市成年後見制度利用促進計画策定に向けた本市の取り組みの検討について 成年後見制度実態調査の実施について 令和5年9月13日〜12月4日 支援者向け、家族向け、受任者向けの3つのアンケートを実施 令和6年3月28日 令和5年度第2回懇談会 本市における現状と課題について 第2期名古屋市成年後見制度利用促進計画の構成(案)について 令和6年6月12日 令和6年度第1回懇談会 成年後見制度利用促進計画の素案について 令和6年9月6日 令和6年度第2回懇談会 成年後見制度利用促進計画(案)について 令和7年1月〜2月 パブリックコメントによる意見募集 令和7年3月 令和6年度第3回懇談会 193ページ 2 アンケート結果 計画策定にあたり、本市における成年後見制度をはじめとした権利擁護支援に関するニーズや課題などを把握するため、関係者向けに調査を行いました。 支援者、家族、受任者がそれぞれの立場において、成年後見制度などに関するニーズや課題などをどのように捉えているかを調査するため、支援者向け、家族向け、受任者向けの3つのアンケートを実施しました。 実施時期 令和5年9月13日〜12月4日 調査対象者 支援者向け(いきいき支援センター、居宅介護支援事業所、特別養護老人ホーム、老人保健施設、認知症グループホーム、介護付有料老人ホーム、障害者基幹相談支援センター、特定相談支援事業所、障害者支援施設、病院・診療所) ご家族向け(認知症の人と家族の会愛知県支部 会員(名古屋市在住)、名古屋手をつなぐ育成会 会員、名古屋市精神障害者家族会連合会 会員、蒼の会 会員、愛知県自閉症協会・つぼみの会 会員) 受任者向け(弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士、税理士、社会保険労務士、法人後見実施団体) 回収数・回収率 R5 支援者向け 回収数1,057 回答率68.1% ご家族向け 回収数513 回答率33.8% 受任者向け 回収数173 回答率8.4% H30 支援者向け 回収数940 回答率61.8% ご家族向け 回収数549 回答率34.3% 受任者向け 回収数280 回答率18.0% 受任者向けについては、名古屋市内で後見活動を行っている専門職を特定することが出来ないため、各専門職団体を通じて協力可能な範囲で依頼したものであり、名古屋市外で活動している方や後見活動を行っていない方も配布対象者に含みます。 194ページ 成年後見制度に関するアンケート結果(支援者向け) @ 貴事業所は次のどれに該当しますか。 いきいき支援センター 27(2.6% 居宅介護支援事業所 504(47.7% 特別養護老人ホーム 94(8.9% 介護老人保健施設 49(4.6% 認知症高齢者グループホーム 147(13.9% 介護付有料老人ホーム 85(8.0% 障害者基幹相談支援センター 14(1.3% 特定相談支援事業所 112(10.6% 障害者支援施設 19(1.8% 病院・診療所 6(0.6% 合計 1,057(100% A 成年後見制度について相談があった場合、制度の説明をすることができますか。 できる 221(20.9% 多少はできる 760(71.9% できない 76(7.2% 合 計 1,057(100% B 令和5年8月末現在、利用者(名古屋市内)は何人ですか。        97,604人 C Bのうち、判断能力が不十分なため、下表の項目に該当し、成年後見制度の検討が必要だと思われる方は何人いますか。 既に、成年後見制度を利用している方を除きます。 回答合計 4,454人 【Cで該当するかたがいる場合】どの項目に当てはまりますか。 診療契約やサービス利用契約を理解できず、支援が進まない。 1,716人 38.5% 不動産の処分や遺産分割協議など、日常的な金銭管理を超える法律行為を行えない。 2,179人 48.9% 過去に消費者被害に遭ったことがある、又は現に悪徳業者につきまとわれている。 235人 5.3% 金銭管理や資産管理(土地や建物・有価証券など)が適切にできない。 2,584人 58.0% 税金や施設利用料・その他借金等を現に滞納しているが、適切に対応できていない。 494人 11.1% 商品を次々購入する等、収入に見合った適切な支出ができない。 783人 17.6% 預金や年金を取り上げられる等、虐待を受けている又は疑いがある。 176人 4.0% 必要な医療・介護・福祉サービスの全部又は一部を拒否している。(セルフネグレクト) 1,430人 32.1% その他困難な状況があるが、適切に対応できていない。 544人 12.2% 195ページ D Cのうち、本人の意向等を踏まえて、成年後見制度の申立を準備・検討している方はいますか。(複数回答可) いる 179(16.9% いない 878(83.1% 合計 1,057(100% いる場合何人いますか。 回答合計298人   6 成年後見の申立支援を行うにあたり、どのような点で苦労したことがありますか。(複数回答可) 回答数 1,057 申立に関わったことがない。 595(56.3% 誰に申立を行ってもらうのか悩んだ。(本人・親族・市長) 216(20.4% 本人や親族に、成年後見制度の必要性について説明するのに苦労した。 273(25.8% 申立資料の書類が煩雑で、本人や親族ではできず、苦労した。 183(17.3% 市長申立について、区との調整に苦労した。 82(7.8% 誰を成年後見人等候補者とすればよいのか分からず、苦労した。 74(7.0% 診断書を作成する医師へ、本人の生活状況がうまく伝えられず、苦労した。 53(5.0% 親族が非協力的又はトラブルがあり、支援を行うのに苦労した。 179(16.9% 相談や申請機関などがよく分からない。 73(6.9% その他 46(4.4% 7 成年後見の申立をしない又は躊躇する理由はどのようなことがありますか。(複数回答可) 回答数1,057 対象となるかたを担当したことがない。 353(33.4% 本人にとって成年後見制度の利用が適切かどうか判断できない。 282(26.7% 後見人(保佐人、補助人を含む。以下、同じ。)が選任されるまで時間がかかる。 295(27.9% 誰が後見人になるか分からないことに不安がある。 159(15.0% 後見人が本人の意思や希望を反映した支援をしてくれるか不安がある。 184(17.4% 後見人は一度選任されたら、判断能力が回復しない限り、本人が亡くなるまで続く。 126(11.9% 後見報酬の支払いが、本人への負担になる。 294(27.8% 権利擁護センターの日常生活自立支援事業(金銭管理・財産保全)で対応できる。 213(20.2% いわゆる「身元保証団体」を紹介することで、対応している。 355(33.6% その他 54(5.1% 8 後見人(保佐人、補助人を含む。以下、同じ。)と一緒に利用者の支援に関わったことがありますか。 ある 566(53.5% ない 491(46.5% 合計 1,057(100% 「ある」と回答された方は、9、10の設問にお答えください。 「ない」と回答された方は、11の設問にお進みください。 196ページ 9 後見人と一緒に支援ができて良かったことはどういうことですか。(複数回答可)回答数566 安心して契約ができた。 287(50.7% 利用料などの滞納の心配がない。 326(57.6% 債務整理や遺産分割協議をすることができ、本人の生活が安定した。 118(20.8% 悪徳商法や親族等からの権利侵害から守ることができた。 135(23.9% 本人の支援について相談できる。 258(45.6% 本人の意思を尊重したサービス利用等の提案があった。 109(19.3% 入院など、緊急時の対応をしてくれる。 306(54.1% 亡くなった後の相談ができる。 181(32.0% その他 20(3.5% 10 後見人と一緒に支援をして困ったことはどういうことですか。(複数回答可) 回答数566件 連絡が取れない。 75(13.3% 本人に会いに来ない。 104(18.4% 支援の方針決定について、本人や他の支援者の意見が反映されない。 73(12.9% 申立理由とした課題が、なかなか解決しない。 23(4.1% 財産の管理以外は福祉関係者に委ねられ、関心がない。 157(27.7% 後見人の仕事ではないと断られることがある。 160(28.3% どこまで、何をお願いできるのかが、分からない。 266(47.0% 後見人の活動に疑問があるが、相談先が分からない。 41(7.2% その他 110(19.4% 11 本人の判断能力に不安がある場合、障害者・高齢者権利擁護センターの日常生活自立支援事業(金銭管理・財産保全)の提案を検討しますか。 検討する 896(84.8% 検討しない 161(15.2% 合計 1,057(100% 12 障害者・高齢者権利擁護センターの日常生活自立支援事業(金銭管理・財産保全)の利用をしない又は躊躇する理由はありますか。(複数回答可) 回答数 1,057 本人が利用に同意しない 449(42.5% サービスの内容がわからない 142(13.4% 本人に契約能力がない 214(20.2% 利用に時間がかかる 298(28.2% 特になし 303(28.7% その他 75(7.1% 13 「意思決定支援」についてその内容をご存じですか。 よく知っている 70(6.6% 知っている 494(46.7% あまり知らない 427(40.4% 全く知らない 66(6.2% 合計 1,057(100% 14 B(令和5年8月末現在の利用者)のうち、身元保証団体を利用されている方は何人いますか。 2,451人 197ページ 15 権利擁護支援に関するガイドラインについて、支援の際に参考にしているものはありますか(複数回答可) 回答数 1,057 身寄りがない人の入院・医療に係る意思決定が困難な人の支援に関するガイドライン(厚生労働省) 297(28.1% 人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省) 196(18.5% 認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(厚生労働省) 255(24.1% 障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(厚生労働省) 135(12.8% 身寄りのない人の権利擁護支援に関するガイドライン(名古屋市) 328(31.0% 特になし 390(36.9% 16その他権利擁護に関して、普段の支援の中で困ることはどういうことですか。(複数回答可)回答数 1,057 身寄りがない方などに任意後見制度を案内したいが、制度の内容が分からない。 186(17.6% 身寄りがない方などに任意後見制度を案内したいが、報酬額の負担が難しいことにより契約に至らないことがある。 426(40.3% 親族後見人からの相談を受けるが、答えられない。 53(5.0% 意思決定支援がうまくできない。 265(25.1% 成年後見人等が選任されるまでや、権利擁護センターの契約締結までの期間、どこまで支援するべきか悩む。 321(30.4% 権利擁護の課題に関する支援の必要性が判断できない。(アセスメントができない。どの支援を使えばよいか分からない。) 117(11.1% 本人の判断能力に問題はないが、身寄りがないことを理由に、病院や施設から身元保証人を求められる。 364(34.4% その他 88(8.3% 【施設・病院のかたのみご回答をお願いいたします】 18 施設・病院での支援の中で、家族等に求めるものは何ですか(複数回答可) 回答数 400 入院・入所時の身元保証 361(90.3% 医療機関から説明を受けること・医療同意 321(80.3% 身の回りの支援(必要物品の調達、洗濯、心理的支援) 238(59.5% 金銭管理・費用の支払い 353(88.3% 急変・死亡時の対応 370(92.5% その他 10(2.5% 19 身寄りのいない方は、18について、どのように対応していますか。(複数回答可)回答数 400 身元保証団体を案内している。 254(63.5% 家族等に求めるものについて、個別に対応を行っている。 188(47.0% その他 34(8.5% 20 身元保証人がいないことを理由に入院や入所、サービスの提供を断ってはいけないことを知っていますか 知っている 274(68.5% 詳しくは知らなかった 107(26.8% 知らなかった 19(4.8% 合計 400(100% 198ページ 21 職員が利用者の金銭管理を行うことはありますか。 ある 139(34.8% ない 261(65.3% 合計 400(100% 22 金銭管理を行うにあたっての課題があれば教えてください。 ある 50(36.0% ない 89(64.0% 合計 139(100% 成年後見制度に関するアンケート結果(ご家族向け) @ 成年後見制度について、どの程度ご存じですか。 よく知っている 41(8.0% 知っている 286(55.8% あまり知らない 163(31.8% 全く知らない 18(3.5% 回答なし 5(1.0% 合計 513(100% A 成年後見制度の研修に参加したことがありますか。 ある 245(47.8% ない 265(51.7% 回答なし 3(0.6% 合計 513(100% B 認知症や知的障害、精神障害のあるご家族について、判断能力が不十分なことに伴う支援が必要だと感じたことはありますか。 ある 380(74.1% ない 132(25.7% 回答なし 1(0.2% 合計 513(100% 199ページ ある場合それはどのようなことですか。 成年後見制度を利用している方は申立の理由となった項目を選択して下さい。(複数回答可) 回答数 380 契約内容が分からず、契約できない。 192(50.5% 遺産分割協議をする必要がある。 61(16.1% 利用料などを滞納している、支払いができない。 27(7.1% 必要な医療・サービスを拒否している。 26(6.8% 悪質な訪問販売の被害に遭った。 28(7.4% 他の親族等から、財産侵害・経済的虐待を受けている。 11(2.9% 不動産などの重要財産の処分ができない。 96(25.3% 銀行でのお金の出し入れやお金の管理に不安がある。 261(68.7% 支援している親族が高齢となり、将来が不安になった。 180(47.4% その他 39(10.3% 回答なし 10(2.6% ない場合その理由はどのようなことですか。(複数回答可) 回答数132 家族が代理することができるから。 108(81.8% 重要な法律行為を行う必要がないから。 37(28.0% 財産が多額ではないから。 33(25.0% ある程度の支援があれば本人ができるから。 33(25.0% 権利擁護センターの金銭管理・財産保全サービスを利用しているから。 2(1.5% その他 6(4.5% 回答なし 2(1.5% 「ある」と回答された方は、Cの設問にお進みください。 「ない」と回答された方は、15の設問にお進みください。 C Bについて、必要だと感じられた結果、成年後見制度を利用しましたか。 はい 27(7.1% いいえ 349(91.8% 回答なし 4(1.1% 合計 380(100% 「はい」と回答された方は、ひきつづきDの設問にお答えください。 「いいえ」の方は、13の設問にお進みください。  D 申立はどのように行いましたか。 本人による申立て 2(7.4% 親族による申立て 21(77.8% 市長による申立てを依頼した 3(11.1% 回答なし 1(3.7% 合計 27(100% 200ページ 6 申立を行うにあたり、どのような点で苦労しましたか。(複数回答可)  回答数27 誰が申立をするか悩んだ。 6(22.2% 本人に、成年後見制度の必要性について説明するのに苦労した。 7(25.9% 申立資料の作成が煩雑で、苦労した。 12(44.4% 誰を成年後見人等候補者とすればよいのか分からず、苦労した。 4(14.8% 診断書を作成する医師へ、本人の生活状況がうまく伝えられず、苦労した。 0(0% 申立費用や後見報酬の負担をどうするか悩んだ。 4(14.8% 他の親族が非協力的又はトラブルがあり、話を進めるのに苦労した。 2(7.4% 相談や申請機関などがよく分からない。 4(14.8% その他 4(14.8% 回答なし 2(7.4% 7 申立の結果、誰が後見人(保佐人・補助人を含む。以下、同じ。)になりましたか。(複数回答可) 回答数 27 親族 12(44.4% 弁護士 4(14.8% 司法書士 1(3.7% 社会福祉士 3(11.1% 市民後見人 1(3.7% 法人後見 3(11.1% その他 3(11.1% 回答なし 0(0% ご親族が「親族後見人」になった場合⇒ひきつづき8、9の設問にお答えください。 ご親族以外のかたが後見人になった場合⇒10の設問にお進みください。 親族後見人になった方にお聞きします。 8 後見人になって良かったことはどういうことですか。(複数回答可) 回答数 12 法定代理人として契約や各種手続きを行えるので、安心できる。 10(83.3% 利用料などの滞納の心配がない。 4(33.3% 本人の意思を尊重した支援をすることができる。 7(58.3% 悪徳商法や他の親族等からの権利侵害から守ることができた。 0(0% その他 1(8.3% 回答なし 0(0% 9 後見人になって困ったことはどういうことですか。(複数回答可) 回答数 12 後見人として何をやればよいか、分からない。 1(8.3% 成年後見制度についての相談窓口が分からない。 0(0% 後見監督人とうまく連携できない。 0(0% 家庭裁判所に提出すべき報告書作成が煩雑で、一人では難しい。 2(16.7% 本人財産からの支出が制約される。(家族のために使えないなど) 7(58.3% その他 2(16.7% 回答なし 0(0% 15の設問にお進みください。 201ページ 7でご家族以外が後見人なった方にお聞きします。 10 後見人と一緒に利用者の支援に関わったことがありますか。 ある 8(53.3% ない 6(40.0% 回答なし 1(6.7% 合計 15(0% 「ある」と回答された方は、ひきつづき 11、12の設問にお答えください。 「ない」と回答された方は、15の設問にお進みください。 11 後見人と一緒に支援ができて良かったことはどういうことですか。(複数回答可)回答数 8 安心して契約ができた。 3(37.5% 利用料などの滞納の心配がない。 6(75.0% 債務整理や遺産分割協議をすることができ、本人の生活が安定した。 1(12.5% 悪徳商法や他の親族等からの権利侵害から守ることができた。 2(25.0% 本人の支援について相談できる。 6(75.0% 本人の意思を尊重したサービス利用等の提案があった。 1(12.5% 入院など、緊急時の対応をしてくれる。 3(37.5% 亡くなった後の相談ができる。 2(25.0% その他 0(0% 回答なし 0(0% 12 後見人と一緒に支援をして困ったことはどういうことですか。(複数回答可)回答数 8 連絡が取れない。 0(0% 本人に会いに来ない。 2(25.0% 支援の方針決定について、本人や家族の意見が反映されない。 1(12.5% 申立理由とした課題が、なかなか解決しない。 2(25.0% 後見人の仕事ではないと断られることがある。 1(12.5% どこまで、何をお願いできるのかが、分からない。 4(50.0% 後見人の活動に疑問があるが、相談先が分からない。 0(0% 本人のために、お金を使ってくれない。 1(12.5% 後見報酬が高い。 1(12.5% その他 1(12.5% 回答なし 2(25.0% 15の設問にお進みください。 Cで「いいえ」とお答えした成年後見制度の申立てを行わなかった方にお聞きします 13 どのような方法をとりましたか。 (複数回答可) 回答数 349 権利擁護センターの日常生活自立支援事業(金銭管理・財産保全)を利用した。 5(1.4% 民間の身元保証や金銭管理等のサービスを利用した。 5(1.4% いきいき支援センター・障害者基幹相談支援センターに相談した。 22(6.3% すぐに権利擁護支援が必要ない、と判断した。 178(51.0% 対応を検討中。もしくは対応に困っている。 116(33.2% その他 68(19.5% 回答なし 27(7.7% 202ページ 14 成年後見の申立をしない理由はどのようなことですか。(複数回答可)  回答数 349 本人が申立に同意しない。 11)3.2% 本人にとって成年後見が必要か判断できない。 88)25.2% 申立費用の負担が困難。 47)13.5% どのように申立準備したらいいか分からない。 85)24.4% 後見報酬が必要になるから。 86)24.6% 後見人が決まるまで時間がかかる。 12)3.4% 誰が後見人になるか分からないことに不安がある。 150)43.0% 後見人が本人の意思や希望を反映した支援をしてくれるか不安がある。 183)52.4% 後見人が本人に寄り添った身上保護をしてくれるか不安がある。 177)50.7% 後見人は一度頼んだら、断ることができない。 152)43.6% 本人の財産を、有効に活用できなくなる。(家族のために使えないなど) 84)24.1% 検討の結果、家族の支援で対応できると判断した。 119)34.1% 権利擁護センターの日常生活自立支援事業(金銭管理・財産保全)の利用で、対応できた。 4)1.1% その他 34)9.7% 回答なし 27)7.7% みなさんにお聞きします 15 「意思決定支援」についてその内容をご存じですか。 回答数 513 よく知っている 19)3.7% 知っている 111)21.6% あまり知らない。 220)42.9% 全く知らない。 153)29.8% 回答なし 10)1.9% 16 その他権利擁護に関して、普段の支援の中で困ることはどういうことですか。(複数回答可) 回答数 513 自分が元気なうちは家族として支援し、支援できなくなった場合の対応を決めておきたいが、どこに相談したらいいか分からない。 273)53.2% 本人の今後のために、任意後見制度を検討したいが、利用方法が分からない。 80)15.6% 本人の今後のために、任意後見制度を検討したいが、報酬額の負担が難しいことにより、利用に至らない。 87)17.0% 意思決定支援がうまくできない。 90)17.5% 成年後見人等が選任されるまでや、権利擁護センターの契約締結までの期間、どうするべきか悩む。 40)7.8% 自分が支援できなくなった場合に頼れる親族等がいない。 149)29.0% その他 35)6.8% 回答なし 81)15.8% 203ページ 成年後見制度に関するアンケート結果(受任者向け) @ あなたの所属はどちらですか。 弁護士会 25(14.5% 司法書士会 28(16.2% 社会福祉士会 35(20.2% 行政書士会 28(16.2% 税理士会 24(13.9% 社会保険労務士会 27(15.6% 法人後見実施団体 6(3.5% 合計 173(100% A 成年後見制度の利用促進について、法律や国の基本計画をどの程度ご存知ですか。 よく知っている 23(13.3% 知っている 108(62.4% あまり知らない 41(23.7% 全く知らない 1(0.6% 合計 173(100% B 成年後見制度利用促進計画(国の基本計画)における、チームや地域連携ネットワークはご存知ですか。 よく知っている 18(10.4% 知っている 92(53.2% あまり知らない 58(33.5% 全く知らない 5(2.9% 合計 173(100% 204ページ C 令和5年8月末現在、名古屋市のかたを受任しているケースは何件ですか。 回答数 173件 後見人等449件 後見監督人等19件 任意後見人15件 任意後見監督人6件 D 令和5年8月末現在、名古屋市のかたと任意後見契約をしているケースは何件ですか。 62件 6 受任している事案の被後見人等の状況について、あてはまるものを選んでください。(複数回答可)    回答数 173 認知症の方がいる 139(80.3% 知的障害のある方がいる 74(42.8% 精神障害のある方がいる 76(43.9% 7 今後、何人程度まで受任が可能ですか。 811人 8 後見人等として就任依頼があった際、受任が困難と思われたことはありますか。 ある 96(55.5% ない 77(44.5% 合計 173(100% 「ある」と回答された方は、9の設問にお答えください。 「ない」と回答された方は、10の設問にお進みください。 205ページ 9 受任が困難と思われた理由はどのようなことですか。(複数回答可) 回答数 96 既に複数受任しており、これ以上受任できない。 27(28.1% 報酬が見込めない。 49(51.0% 本人の財産管理上の課題が多く、一人では対応しきれない。 20(20.8% 本人の身上保護上の課題が多く、一人では対応しきれない。 45(46.9% 親族間に複雑なトラブルを抱えており、一人では対応しきれない。 37(38.5% 支援者間で方針の相違があり、どの支援者と連携すればよいか分からない。 10(10.4% その他 17(17.7% 10 後見業務を行う上で、難しいと感じることはどのようなことですか。(複数回答可) 回答数 173 他の業務で忙しく、家族や支援者との話し合いに参加する時間が持てない。 46(26.6% 支援者と意見が合わず、支援方針を共有することができない。 20(11.6% 後見人の業務の範囲を超えた役割を期待され、対応できない。 85(49.1% 連携先が分からない。 13(7.5% 本人の意思を確認するのが難しい。 82(47.4% 本人との信頼関係を構築するのが難しい。 29(16.8% 難しいと感じることはない。 7(4.0% その他 23(13.3% 11 後見業務を行う上で困った時の相談先はどこですか。(複数回答可) 所属団体の成年後見制度相談窓口 98(56.6% 家庭裁判所 99(57.2% 成年後見あんしんセンター 17(9.8% 他の専門職後見人団体 25(14.5% 相談したことがない 16(9.2% その他 32(18.5% 12 後見業務を行う上で、親族や支援者と連携したことがありますか。 ある 126(72.8% ない 47(27.2% 合計 173(100% 「ある」と回答された方は、13、14の設問にお答えください。 「ない」と回答された方は、15の設問にお進みください。 206ページ 13 どのような支援者と連携していますか。(複数回答可) 回答数 126 親族 98(77.8% いきいき支援センター 39(31.0% 障害者基幹相談支援センター 40(31.7% ケアマネージャー 84(66.7% 介護サービス事業所 65(51.6% 入所施設 104(82.5% 病院 64(50.8% 民生委員 18(14.3% 行政 57(45.2% その他 15(11.9% 14 どのように連携していますか。(複数回答可) 回答数 126 ケース会議に参加している。 71(56.3% ケアマネージャーやサービス事業所と連絡をとり、サービス内容について相談している。 92(73.0% 親族に対し、定期的に本人や財産管理などの状況を報告している。 61(48.4% 自治会などの地域の話し合いの場に参加している。 3(2.4% 本人の状態に変化があった場合、対応について一緒に考える。 99(78.6% その他 4(3.2% 15 専門職後見人から市民後見人や親族等(家族会等が設立した法人を含む)へのリレーについてどのように考えられますか。 専門職後見人が関与すべき課題が解決したら、積極的に市民後見人や親族等にリレーすることが望ましい。 33(19.1% 家庭裁判所が後見人を選任する段階で、リレーを予定する市民後見人や親族等をあらかじめ複数後見人として選任し、専門職後見人が関与すべき課題が解決したら専門職後見人が辞任することが望ましい。 47(27.2% 専門職後見人が関与すべき課題が解決した段階で、本人との関係がうまくいっていないなど、後見人の交代が適当なケースについては、市民後見人や親族等にリレーすることが望ましい。 38(22.0% 家庭裁判所が専門職後見人を選任した案件については、引き続き、専門職後見人が後見業務を担うことが望ましい。 42(24.3% その他 13(7.5% 合計 173(100% 16 任意後見制度について、課題を感じることはありますか。(複数回答可) 回答数 173 本人に必要性を感じてもらえない。 59(34.1% 報酬額の負担が難しいことにより、利用に至らないことがある。 66(38.2% 任意後見契約を発効させる時期の判断が難しい。 58(33.5% 公正証書の作成が必要でハードルが高い。 50(28.9% 特になし 31(17.9% その他 11(6.4% 207ページ 17 「意思決定支援」についてその内容をご存じですか。 回答数 173 よく知っている 42(24.3% 知っている 88(50.9% あまり知らない 39(22.5% 全く知らない 4(2.3% 18 権利擁護支援に関するガイドラインについて、支援の際に参考にしているものはありますか。(複数回答可) 回答数 173 身寄りがない人の入院・医療に係る意思決定が困難な人の支援に関するガイドライン(厚生労働省)。 70(40.5% 人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省) 45(26.0% 「身元保証」や「お亡くなりになられた後」を支援するサービスの契約をお考えのみなさまへ(消費者庁) 28(16.2% 認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(厚生労働省) 57(32.9% 障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(厚生労働省) 30(17.3% 意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン(厚生労働省) 63(36.4% 身寄りのない人の権利擁護支援に関するガイドライン(名古屋市) 22(12.7% その他 0(0% 特になし 52(30.1% 208ページ 3 要綱と名簿 成年後見制度利用促進に関する懇談会開催要綱 (趣旨) 第1条 成年後見制度に関する有識者の意見を聴取し、名古屋市における成年後見制度の一層の利用促進に活用するため、「成年後見制度利用促進に関する懇談会」(以下「懇談会」という。)を開催する。  (構成) 第2条 懇談会は、次に掲げるもののうちから健康福祉局長が指名するものにより構成する。 (1)成年後見人等の活動に関して高度な知識及び経験を有する者 (2)高齢者・障害者の相談支援に関して高度な知識及び経験を有する者 (3)福祉団体関係者 (座長) 第3条 懇談会の座長は、構成員の互選により決定する。 2 座長は、懇談会の議事を進行する。 (会議の公開) 第4条 原則として公開する。ただし、健康福祉局長が必要と認めるときは、非公開とすることができる。 (謝金) 第5条 懇談会への出席に対する謝金の額は、1回11,600円とする。 (守秘義務) 第6条 構成員は、懇談会において知り得た秘密を他に漏らしてはならない。 (庶務) 第7条 懇談会の庶務は、健康福祉局高齢福祉部地域ケア推進課において処理する。 (雑則) 第8条 この要綱に定めるもののほか、懇談会の運営に関して必要な事項は、健康福祉局長が定める。 附則 この要綱は、決裁の日から施行する。 209ページ 成年後見制度利用促進に関する懇談会委員名簿 愛知県弁護士会熊田均、愛知県司法書士会小林由夏、愛知県社会福祉士会宮崎靖、愛知県行政書士会増田ちづ子、名古屋税理士会佐分房枝愛知県社会保険労務士会伊藤光江、特定非営利活動法人蒼の会岡田ひろみ、名古屋市社会福祉協議会地域包括事業部小林陽、東区障害者基幹相談支援センター羽田明史、名古屋市介護サービス事業者連絡研究会近藤芳江、愛知県医療ソーシャルワーカー協会小林哲朗※令和6年5月まで、鈴木秀季※令和6年6月から、認知症の人と家族の会愛知県支部尾之内直美、名古屋手をつなぐ育成会木ア眞理子、名古屋市精神障害者家族会連合会堀田明※令和6年3月まで広瀬美治※令和6年4月から(敬称省略)【オブザーバー】名古屋家庭裁判所 210ページ 4 成年後見制度の利用の促進に関する法律 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理又は日常生活等に支障がある者を社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊の課題であり、かつ、共生社会の実現に資すること及び成年後見制度がこれらの者を支える重要な手段であるにもかかわらず十分に利用されていないことに鑑み、成年後見制度の利用の促進について、その基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び基本方針その他の基本となる事項を定めること等により、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「成年後見人等」とは、次に掲げる者をいう。 一 成年後見人及び成年後見監督人 二 保佐人及び保佐監督人 三 補助人及び補助監督人 四 任意後見人及び任意後見監督人 2 この法律において「成年被後見人等」とは、次に掲げる者をいう。 一 成年被後見人 二 被保佐人 三 被補助人 四 任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号)第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後における任意後見契約の委任者 3 この法律において「成年後見等実施機関」とは、自ら成年後見人等となり、又は成年後見人等若しくはその候補者の育成及び支援等に関する活動を行う団体をいう。 4 この法律において「成年後見関連事業者」とは、介護、医療又は金融に係る事業その他の成年後見制度の利用に関連する事業を行う者をいう。 (基本理念) 第三条 成年後見制度の利用の促進は、成年被後見人等が、成年被後見人等でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障されるべきこと、成年被後見人等の意思決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人等の自発的意思が尊重されるべきこと及び成年被後見人等の財産の管理のみならず身上の保護が適切に行われるべきこと等の成年後見制度の理念を踏まえて行われるものとする。 2 成年後見制度の利用の促進は、成年後見制度の利用に係る需要を適切に把握すること、市民の中から成年後見人等の候補者を育成しその活用を図ることを通じて成年後見人等となる人材を十分に確保すること等により、地域における需要に的確に対応することを旨として行われるものとする。 211ページ 3 成年後見制度の利用の促進は、家庭裁判所、関係行政機関(法務省、厚生労働省、総務省その他の関係行政機関をいう。以下同じ。)、地方公共団体、民間の団体等の相互の協力及び適切な役割分担の下に、成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の権利利益を適切かつ確実に保護するために必要な体制を整備することを旨として行われるものとする。 (国の責務) 第四条 国は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、成年後見制度の利用の促進に関する施策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (関係者の努力) 第六条 成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者は、基本理念にのっとり、その業務を行うとともに、国又は地方公共団体が実施する成年後見制度の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 (国民の努力) 第七条 国民は、成年後見制度の重要性に関する関心と理解を深めるとともに、基本理念にのっとり、国又は地方公共団体が実施する成年後見制度の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 (関係機関等の相互の連携) 第八条 国及び地方公共団体並びに成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施に当たっては、相互の緊密な連携の確保に努めるものとする。 2 地方公共団体は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施に当たっては、特に、その地方公共団体の区域を管轄する家庭裁判所及び関係行政機関の地方支分部局並びにその地方公共団体の区域に所在する成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者その他の関係者との適切な連携を図るよう、留意するものとする。 (法制上の措置等) 第九条 政府は、第十一条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を速やかに講じなければならない。この場合において、成年被後見人等の権利の制限に係る関係法律の改正その他の同条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上の措置については、この法律の施行後三年以内を目途として講ずるものとする。 212ページ (施策の実施の状況の公表) 第十条 政府は、毎年一回、成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施の状況をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 第二章 基本方針 第十一条 成年後見制度の利用の促進に関する施策は、成年後見制度の利用者の権利利益の保護に関する国際的動向を踏まえるとともに、高齢者、障害者等の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。 一 成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の能力に応じたきめ細かな対応を可能とする観点から、成年後見制度のうち利用が少ない保佐及び補助の制度の利用を促進するための方策について検討を加え、必要な措置を講ずること。 二 成年被後見人等の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について検討を加え、必要な見直しを行うこと。 三 成年被後見人等であって医療、介護等を受けるに当たり意思を決定することが困難なものが円滑に必要な医療、介護等を受けられるようにするための支援の在り方について、成年後見人等の事務の範囲を含め検討を加え、必要な措置を講ずること。 四 成年被後見人等の死亡後における事務が適切に処理されるよう、成年後見人等の事務の範囲について検討を加え、必要な見直しを行うこと。 五 成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の自発的意思を尊重する観点から、任意後見制度が積極的に活用されるよう、その利用状況を検証し、任意後見制度が適切にかつ安心して利用されるために必要な制度の整備その他の必要な措置を講ずること。 六 成年後見制度に関し国民の関心と理解を深めるとともに、成年後見制度がその利用を必要とする者に十分に利用されるようにするため、国民に対する周知及び啓発のために必要な措置を講ずること。 七 成年後見制度の利用に係る地域住民の需要に的確に対応するため、地域における成年後見制度の利用に係る需要の把握、地域住民に対する必要な情報の提供、相談の実施及び助言、市町村長による後見開始、保佐開始又は補助開始の審判の請求の積極的な活用その他の必要な措置を講ずること。 八 地域において成年後見人等となる人材を確保するため、成年後見人等又はその候補者に対する研修の機会の確保並びに必要な情報の提供、相談の実施及び助言、成年後見人等に対する報酬の支払の助成その他の成年後見人等又はその候補者に対する支援の充実を図るために必要な措置を講ずること。 九 前二号の措置を有効かつ適切に実施するため、成年後見人等又はその候補者の育成及び支援等を行う成年後見等実施機関の育成、成年後見制度の利用において成年後見等実施機関が積極的に活用されるための仕組みの整備その他の成年後見等実施機関の活動に対する支援のために必要な措置を講ずること。 十 成年後見人等の事務の監督並びに成年後見人等に対する相談の実施及び助言その他の支援に係る機能を強化するため、家庭裁判所、関係行政機関及び地方公共団体における必要な人的体制の整備その他の必要な措置を講ずること。 213ページ 十一 家庭裁判所、関係行政機関及び地方公共団体並びに成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者の相互の緊密な連携を確保するため、成年後見制度の利用に関する指針の策定その他の必要な措置を講ずること。 第三章 成年後見制度利用促進基本計画 第十二条 政府は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、成年後見制度の利用の促進に関する基本的な計画(以下「成年後見制度利用促進基本計画」という。)を定めなければならない。 2 成年後見制度利用促進基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 成年後見制度の利用の促進に関する目標 二 成年後見制度の利用の促進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策 三 前二号に掲げるもののほか、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 3 法務大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、成年後見制度利用促進基本計画を変更しようとするときは、成年後見制度利用促進基本計画の変更の案につき閣議の決定を求めなければならない。 4 法務大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、変更後の成年後見制度利用促進基本計画をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 第四章 成年後見制度利用促進会議 第十三条 政府は、関係行政機関相互の調整を行うことにより、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、成年後見制度利用促進会議を設けるものとする。 2 関係行政機関は、成年後見制度の利用の促進に関し専門的知識を有する者によって構成する成年後見制度利用促進専門家会議を設け、前項の調整を行うに際しては、その意見を聴くものとする。 3 成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進専門家会議の庶務は、厚生労働省において処理する。 第五章 地方公共団体の講ずる措置 (市町村の講ずる措置) 第十四条 市町村は、成年後見制度利用促進基本計画を勘案して、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めるとともに、成年後見等実施機関の設立等に係る支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 2 市町村は、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関して、基本的な事項を調査審議させる等のため、当該市町村の条例で定めるところにより、審議会その他の合議制の機関を置くよう努めるものとする。 214ページ (都道府県の講ずる措置) 第十五条 都道府県は、市町村が講ずる前条の措置を推進するため、各市町村の区域を超えた広域的な見地から、成年後見人等となる人材の育成、必要な助言その他の援助を行うよう努めるものとする。 附 則 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条及び第五条の規定は、同日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 (検討) 第二条 認知症である高齢者、知的障害者その他医療、介護等を受けるに当たり意思を決定することが困難な者が円滑に必要な医療、介護等を受けられるようにするための支援の在り方については、第十一条第三号の規定による検討との整合性に十分に留意しつつ、今後検討が加えられ、その結果に基づき所要の措置が講ぜられるものとする。 215ページ 5 用語解説 意思決定支援(P165など) 認知症や障害などで判断能力が不十分な人について、本人らしい生活を実現するため、必要な情報を提供し、本人の意思や考えを引き出すなどして、本人が自ら意思決定するために必要な支援をすることです。 虐待防止ネットワーク支援会議(P188) 高齢者虐待や障害者虐待の処遇困難ケースについて、行政関係者、居宅介護支援事業者、介護サービス事業者、障害福祉サービス事業者などで構成する会議に、状況に応じて弁護士などのスーパーバイザーの助言を得ながら介入・支援策の検討を行います。 権利擁護支援(P165など) 認知症や障害などで判断能力が不十分な人について、個人としての権利を擁護し、本人らしい生活を実現するために必要な支援をすることです。 後見報酬(P173) 成年後見制度を利用した場合、後見人に支払われる報酬です。後見人が家庭裁判所に報酬付与の申立を行い、家庭裁判所がその後見事務内容や被後見人の財産を総合的に考慮し、相当と判断した額が被後見人の財産から支払われます。 サービス調整会議(P188) 介護保険法や障害者総合支援法にかかる居宅サービスのケアプラン作成に当たり、ケアマネジャーやコーディネーターを中心として、利用者に関わる医療・保健・福祉などのサービス提供者を集め、利用者のサービス提供について話し合い、調整を行います。 障害者自立支援連絡協議会(P188) 地域における相談支援事業をはじめとする障害者福祉に関するシステムづくりに関し中核的な役割を果たす協議の場です。 216ページ 市民後見人(P165など) 自治体などが行う養成研修を受講するなどして後見人として必要な知識を得た一般市民のうち、家庭裁判所から後見人に選任されたものです。 親族後見人(P169など) 本人の配偶者、親、子、兄弟姉妹その他親族が家庭裁判所から後見人に選任されたものです。 専門職後見人(P187など) 家庭裁判所から後見人に選任された法律や福祉の専門職。弁護士、司法書士、社会福祉士、税理士、行政書士、精神保健福祉士などです。 地域ケア会議(P188) 各区の地域包括ケアシステム構築の推進母体として、高齢者への適切な支援を図るために必要な検討を行うとともに、高齢者が地域において自立した日常生活を営むために必要な支援体制に関する検討を行います。個別ケース検討会議では、サービス担当者会議などで解決困難な個別ケース事例を多職種で検討し、地域支援ネットワークの構築、高齢者の自立支援に資するケアマネジメント支援、地域課題の把握などを行います。 日常生活自立支援事業(P165など) 知的障害者、精神障害者、認知症高齢者などの判断能力が不十分な人が、地域で安心した生活が送れるように、本人との契約に基づき金銭管理や財産保全、福祉サービス利用契約の援助を行います。名古屋市では、障害者・高齢者権利擁護センター南部・北部・東部・西部事務所において実施しています。 法人後見(P165など) 社会福祉法人や社団法人、NPO法人などの法人が家庭裁判所から後見人に選任され、後見業務を行うことです。長期間の継続支援、チーム対応による複合的課題への対応などのメリットがあります。 民事信託(P182など) 本人の判断能力が低下する場合に備え、あらかじめ親族などに財産の名義を変更した上で、管理や処分を任せる制度です。