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報告書(10)女性専用車両に関する件

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このページを印刷する最終更新日:2006年9月27日

ページの概要:報告書(10)女性専用車両に関する件について

1.調査経過

名古屋市男女平等参画苦情処理委員は、地下鉄東山線における女性専用車両運行に関する苦情申出に関して、他都市の公共交通における同種の施策および名古屋市における運用の現状を調査するとともに、平成17年3月17日には、名古屋市においてこの施策を実施している名古屋市交通局から直接意見聴取を行った。

2.地下鉄東山線における女性専用車両導入の経緯およびその運用の現状

かねてから、地下鉄東山線車両における女性に対する痴漢行為の多発という問題への対応を迫られていた名古屋市交通局は、平成14年9月13日「東山線における女性専用車両の試行導入について」を定め、名古屋市の地下鉄のなかでもっとも乗客数が多く混雑し、女性の痴漢被害届出件数の多い東山線において、女性専用車両を試行的に導入した。それは、平成14年9月30日から当分の間、平日の始発から午前9時00分まで、列車1編成につき1両を女性専用車両とするものであった。
この女性専用車両の試行導入の2ヵ月後、名古屋市交通局は、乗客への対面アンケート調査を実施し、平成14年12月18日「女性専用車両に関するお客様対面アンケート調査の結果について」に取りまとめ公表した。それによると、「賛成」68%、「反対」6%、「どちらでもない」26%、男女別では、男性の場合、「賛成」58%、「反対」11%、「どちらでもない」31%、女性の場合、「賛成」78%、「反対」1%、「どちらでもない」21%であった。そして、理由ついては、「賛成」の場合、「女性が安心して電車に乗れる」、「痴漢被害が防止できる」、「男性が痴漢の冤罪を受けなくてすむ」といった理由をあげる乗客が多く、「反対」の場合、「他の車両が混雑する」、「男女差別になる」、「便利な車両に乗れない」といった理由があげられている。
名古屋市交通局は、アンケート調査結果(前記アンケートおよび平成15年5月23日及び26日の2日間実施の同種のアンケート)および女性専用車両導入後の駅ホーム・車両の状況の確認(平成15年4月)をふまえて、平成15年6月2日から、従前の試行と同様の内容による地下鉄東山線女性専用車両運行の継続を決定し、現在に至っている。
地下鉄車両内における痴漢行為の現状は、この女性専用車両試行導入の前後の状況を痴漢申出件数(駅から警察に通報した件数)からみると、東山線の場合、導入前の平成13年度24件、試行導入の14年度23件、試行導入および継続決定の15年度18件、16年度23件となっており、全体の数という点では、試行導入の前後で女性に対する痴漢行為が減ったと一般的に評価しうるような改善がみられないのが現状である。ただし、この女性専用車両内での痴漢行為は発生しておらず、東山線において、始発から午前9時までの混雑時に、女性専用車両に乗車すれば、確実に痴漢被害にあうことなく安心して乗車できるという保障を、痴漢被害におびえる個々の女性に実際に与えていることは事実である。
名古屋市交通局にとどまらず、このところ、各地で民営鉄道、JR、そして、名古屋市交通局と同じ地方公営事業として行われている地下鉄(大阪、横浜、神戸)において、痴漢行為防止の施策として女性専用車両の導入が相次いでいる。これらの鉄道においても、名古屋市の場合と同様、全体として痴漢行為の減少をもたらす効果を発揮するような抜本的対策とはなっていないものの、痴漢被害におびえる個々の女性に具体的かつ実際的な保護を保障する点では、現実に効果をあげている。

3.地下鉄女性専用車両の適否について

前述の地下鉄車両内の女性に対する痴漢申出件数をみると、乗客数が多く混雑の激しい東山線の場合、毎年度20件前後の痴漢申出がある路線であり、この種の問題では申出に至らない被害が多いことも考慮するならば、数字に表れない潜在的な東山線車両の女性の痴漢被害は、これをはるかに上回る深刻な事態にあったことは間違いない。こうした東山線の現状は、名古屋市の他の地下鉄路線における痴漢申出件数が概ね10件に達しないことと比べても、早急の対応施策が求められる際立った問題となっていたといえる。
市民が安心して安全な地下鉄を利用できるように、適切なサービスを提供することは名古屋市交通局の義務であるため、東山線のこうした深刻な痴漢被害の現状をふまえて、応急施策として、痴漢被害におびえていた個々の女性乗客に対して、具体的かつ実際的な保護を現実に保障できる女性車両をもっとも混雑する朝のラッシュ時に限り、東山線においてのみ導入したことは、必要最小限の範囲で、かつ、乗客の任意の協力(名古屋市交通局は鉄道営業法34条2号の適用を考えていない。)に期待してとられたやむをえない措置として理解できるものである。
もちろん、男女が共に社会のあらゆる分野における活動に対等に参画することを目指す男女平等参画推進なごや条例の趣旨からすれば、男性も女性も同じ地下鉄車両に安心して乗車することが、女性も男性もお互いに人権を尊重して日常生活を営む男女共同参画社会の正常な姿であり、公共の乗り物である地下鉄に、女性専用車両を設けて男女を隔離しなければならないという事態は、きわめて残念なことである。しかし、男女を問わず(実際には大半が女性である)多くの人が、痴漢行為という犯罪行為によって、人権のなかでもその中核である「人間の尊厳」そのものの侵害を現実に受ける、またはその侵害におびえているときに、もっとも深刻な事態となっている路線と時間帯に限定して男女を隔離する緊急の施策を乗客の協力を得てとったことは、申出人が主張するように、男性差別等の男女共同参画社会推進に反するものと解することはできない。男女共同参画社会が、女性も男性もお互いに人権を尊重することを当然の前提にして初めて成立するものであることにかんがみれば、必要最小限の範囲でやむをえない措置として乗客の協力を得てとられた東山線女性専用車両の導入は、男女共同参画社会を、その成立の根幹において破壊する痴漢行為者の攻撃から、人を個別具体的かつ実際に守るための「緊急避難的施策」と解するべき正当なものである。
ただし、前述の地下鉄車両内の女性に対する痴漢申出件数の推移からみて、女性専用車両が一般的な痴漢行為の減少につながる痴漢予防対策と解することもできない。すでに、名古屋市交通局も、女性専用車両のみでは、一般的な痴漢予防対策として十分な効果を発揮できないと考えており、地下鉄利用者のマナー向上のための取り組みの一環として、痴漢防止・警告のスポット放送、ポスター掲示等の啓蒙啓発活動を実施しているところである。しかし、なおこうした対応は効果をあげておらず、東山線の混雑のいっそうの緩和といった根本的な施策を含め、さらに積極的な創意工夫による施策の実施を、名古屋市交通局には求めたい。
また、名古屋市交通局からの意見聴取では、女性専用車両が、アンケートにより男女を問わず多数の乗客に支持され現在は社会的認知を受けているという認識が強く表明されていた。しかし、男女を隔離する女性専用車両の導入については、アンケートによる多くの乗客の支持という「多数決民主主義」で正当化する、あるいは、ある時点で社会の多数者に受け入れられたから問題ないと考えるだけでは、男女共同参画社会の推進という観点からは不十分である。まず、痴漢行為が男女共同参画社会の根幹を脅かすもので、東山線ではそれが多発しているという現在の危機状況を真摯に認識しなければならない。そして、女性専用車両は、これに対する緊急避難的な施策で、やむを得ずとられたものであるという緊張感ある認識も職員が共有しなければならないと考える。

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