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緑のまちづくりフォーラム特別企画「公園経営シンポジウム」(平成28年6月4日)

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このページを印刷する最終更新日:2016年7月25日

ページID:83759

開催の様子

開催概要

日時

平成28年6月4日(土曜日) 午後1時30分から午後5時00分

場所

名古屋都市センター11階ホール(名古屋市中区金山町1丁目)

参加人数

143人

内容

講演1

演題:「元気で美しいまちづくりのために都市公園がやれること」

講師:国土交通省都市局公園緑地・景観課緑地環境室長 町田誠さん

講演2

演題:「名古屋における官民連携による稼ぐ公園づくりを考える」

講師:公園プロデューサー・World Urban Parks理事 小口健蔵さん

講演1「元気で美しいまちづくりのために都市公園がやれること」

講演1の様子

講師:町田誠さん
1982年建設省入省後、国営昭和記念公園、国営備北丘陵公園、国営明石海峡公園他、日本各地の公園緑地の業務に従事。東京都建設局公園緑地部長を務めたのち、2013年7月から国土交通省都市局公園緑地・景観課緑地環境室長。

  • 愛・地球博の時に会場整備の部長として3年間名古屋に赴任していたので懐かしく思います。万博の仕事が公園経営や広場を考えるきっかけとなりました。
  • 公園という社会資本は、法律が活用を妨げないようになっている特殊な資産です。最近、「公園は使い勝手が悪い」とよく言われますが、ボール投げができないなど禁止看板だらけです。
  • 全ての地方公共団体が公園経営基本方針を策定しているわけではないので、平成24年から取り組まれている名古屋市は大変力強く思います。
  • ニューヨークのブライアントパークは治安が悪く古い公園でしたが、公園経営に取り組むことで今では世界的に有名になっています。こういうことを全ての公園でやらなくてはならないということではないですが、やろうと思えばどこでもできます。世界各地に魅力的な広場がありますが、私達はこういう景色に触れ、こういう場所に身を置きたくて、1万キロメートルも飛行機に乗って行くわけです。日本にはそのような風景があまりありません。
  • 「公園を使い倒す」という言葉を意図的に使うようにしています。私は造園技術者ですから、人のいない公園を見て平気ではいられません。

日本における公園の歴史

  • 明治6年に太政官布達により、明治政府は、幕府の庇護下にあった税金が取れない土地を府県に貸し出すことにしました。これが公園制度の始まりです。府県は、公園を管理するお金を捻出するために、公園を経営していくということになります。

都市の緑

  • 全国で、公園は12万ヘクタール、風致地区は17万ヘクタールあります。公園行政は140年ですが、この50年は民有地の緑化に力を入れ、法改正や新制度を導入することで緑を守り、造り出してきました。都市の緑は公園だけではなく民有地にもあります。その中で公園がどのような役割を果たしていくのかが大切です。
  • 公園は2万5千ヘクタールから12万ヘクタールにまで増えました。一方、公園の建設費は、平成7年の約1兆2千億円をピークに、最近では昭和50年代と同程度の約4千億円となっています。海外と比べると日本の都市の緑は随分少ないので増やすべきだと思いますが、お金が無い中で12万ヘクタールという大きなストックを持たされているというのが事実です。
  • 日本の国土のうち、約3分の2が森林、約13%が農地であり、宅地が意外と少ないことがわかります。日本国民は1人当たり6畳分の公園を持っています。その公園には、陸上競技場、野球場、動物園、体育館などが置かれており、様々なものが置けるというのが特質です。
  • 東京都の事例ですが、昭和51年から総合設計制度で公開空地が造られるようになり、平成12年からは屋上緑化を事実上義務付ける緑化計画書制度が始まりました。この13年間では、行政が整備した公園と同程度の緑が民有地で造り出されています。

「広場」という空間

  • イタリアのカンポ広場は、世界一美しいと言われています。この広場は、市場、処刑場、闘技場など様々な用途に使われてきました。スペインのマヨール広場は、イベントが開催されるとてもにぎやかな空間です。ベルギーのグラン=プラスでは、広場の中央に花びらで絵画を描くイベントが開催されています。
  • 日本の広場は、高札場、社寺境内地、火よけ地、橋詰、横町、界隈などがありました。東京では歌舞伎町や神楽坂、名古屋では大須観音などです。現在では、SL広場やモア4番街、札幌大通公園、オアシス21などがあります。広場の管理形態は様々で、道路法や河川法によるもの、駅前広場、公開空地などがあります。都市計画決定された公園約4万箇所のうち、広場は38箇所しかありません。広場の管理法がないことが一因だと考えられます。
  • 平成22年5月、国土交通省の成長戦略において公共財産の商業利用が定められ、道路や河川にオープンカフェ等が設置できるようになりました。隅田川のタリーズ、名古屋の堀川、新宿三丁目のモア4番街など、以前では考えられないほど利活用されています。本来、公園は柔軟な運用ができるはずですが、実際にはガチガチの管理となってしまっています。

公園利用について

  • 都市公園法には設置できるものが列挙されています。最近では、地方公共団体が条例で定めることもできますし、ほとんどのものが設置できるのではないかと思います。公物管理で設置管理許可という概念があるのは公園だけで、道路や河川はその目的物を管理者以外が設置することがあり得ないために占用という概念しかありません。公園の設置許可は全国で約6万件あり、設置管理許可を使うことで公園の利活用が幅広いものとなります。また、公園では様々なものが占用でき、福岡市は「屋台」、千葉県市川市は保育所の設置を認めています。
  • イベントなど公園内でできる行為は、条例で定められています。公園内で物を売ることを禁止している地方公共団体はほとんどなく、首長の許可があれば実施できます。名古屋は禁止行為になっていますが、歴史的な経緯があるのでしょうか。
  • 民間が公共施設を管理する指定管理制度が平成15年から導入されました。似た制度にPFI制度がありますが、公園には設置管理許可制度があるため事例は多くありません。

最後に

  • 先日、国土交通省の勉強会が都市公園行政の方向性を取りまとめました。ポイントは、民間との連携を加速させて都市公園を一層柔軟に使うことで、公園の資産価値・ストック効果を高めることです。
  • 一方では、多くの地方公共団体に公園の専門家がいないことが問題だと思います。
  • 「産官学の強みを重ねていく」という、ある社長の講演が印象に残っています。連携を考える際にはとても役立つ考え方だと思います。

質疑応答

都市公園において「広告」は禁止されていますか。

屋外広告物法には明記されていませんが、国のガイドラインに「都市公園内は屋外広告物禁止」とあり、多くの地方公共団体は条例で禁止にしています。広告が出せないことで民間の投資意欲が抑制されるので、変えていかなければいけません。広告物だらけの公園はよくありませんが、広告の全面禁止は公園の利活用に悪影響を与えていると思います。

デジタルサイネージは広告に当たりますか。

当たります。デジタルサイネージが広告を認める突破口になるのではと期待しています。

名古屋ではリニア開通により名古屋駅前などに広場空間ができると思いますが、広場の管理法を制定する動きはありますか。

広場法制定の動きはありません。地方公共団体が作成する広場条例は、都市公園の管理条例を雛形にしているため、堅いものになっています。やはり利用者の意識改革をしなければ、広場の利活用も進まないと思います。

講演2「名古屋における官民連携による稼ぐ公園づくりを考える」

講演2の様子

講師:小口健蔵さん
東京都庁の職員として、東京の街づくりや公園緑地の計画・設計・整備・維持管理・運営管理など30数年間にわたり従事。建設局公園緑地部長を最後に退職。公益財団法人東京動物園協会常務理事、一般財団法人公園財団常務理事・公園管理運営研究所長を歴任。

  • 私は東京都庁で長く仕事をしてきました。町田さんには東京都庁で働いていただいたことがあり、その柔軟な考え方に東京都庁職員も大きな影響を受けました。
  • 本日のテーマ「官民連携」と「稼ぐ公園」の意味を誤解されては困ります。「官」は役所と議会で、公園をよくするための条例や仕組みを作ることができます。「民」は皆さんで、常識・知恵・お金があります。官民の役割に加えて必要なのが、公園をもっとよくしたいという熱い心です。「稼ぐ公園」とは、当然お金も稼ぎますが、公園の役割を広げることで社会の課題を解決することも含まれると考えています。

世界における公園の歴史

  • イギリス産業革命を機に、王室や貴族の狩猟の場「パーク」を公園「パブリック・パーク」としたことから公園の歴史が始まります。
  • ニューヨークのセントラルパークは370haもある有名な公園ですが、都市の発展とともに街の中心部に人が安らげる緑地が必要だということで造られました。
  • 現在の日本の公園には、レクリエーション、環境保全、防災、都市の骨格を形成するといった4つの大きな役割があります。

東京都における公園経営のはじまり

  • 昭和48年に東京都へ入庁して以来、40年以上、公園の仕事に従事してきました。
  • 財政危機で維持管理費が削られる中で、公園経営のコンセプトを考えました。維持管理経費の予算は、1996年を100とすると、2002年には58%まで削減されました。
  • このような中、日比谷公園が開園100年を迎えました。100年実行委員会を結成し、民間の知恵と資金で様々なイベントを実施しました。オクトーバーフェストや芝生でウェディングの他にも、松本楼(公園内にあるレストラン)の社長主催で公園史上初めて盆踊り大会を開催しました。また、閉鎖していた公園管理事務所を民間の経営に移行しました。その結果、東京都に年間約1,500万円の収入が入るようになりました。
  • 2004年に「パークマネジメントマスタープラン」を作成し、思い出ベンチなど民間から寄付を集める仕組みを作るとともに、民間企業が公園でイベントができるよう規制緩和しました。

東京都の取り組み

  • お台場の潮風公園に、2009年の夏休みに全長18mの等身大ガンダムを設置しました。来場者は約415万人にも上り、交通機関や周辺商業施設など地域経済に大きく貢献しました。
  • 来年100年を迎える井の頭恩賜公園に、私が所長として赴任した2008年、100年実行委員会を組織して「公園の活性化と井の頭池の再生」についての取り組みを始めました。公園の抱える課題は、池の汚濁、外来魚による生態系のかく乱、無許可の露店やパフォーマーの存在などでした。水の浄化については、2005年に井の頭公園水質浄化委員会を設立し、シンポジウムやかいぼりを実施しました。無許可の露店等については、「アートキャスト」という認定制度を作り、出店ルールを定め、年間12,000円の出店料を徴収するようにしました。
  • 上野公園の竹の台広場は、以前は政治集会をやらせないために噴水がありましたが、1万人規模のイベントができる広場にリニューアルしました。あわせて、スターバックスとパークサイドカフェを誘致しました。
  • このような取り組みを通して、公園には社会の課題を解決する力があると確信しました。人口推移を見ると、1950年は老齢人口が少なく若年層が多いピラミッド型のグラフとなっていますが、2000年以降は労働人口が減少していき、2050年には75歳以上が約2,300万人、労働人口が約5,000万人となる予測です。少子高齢社会や人口減少の他にも、防災や教育など様々な課題を解決しなければいけません。

地域社会・経済への貢献

  • 1つ目は、人口減少を少なくし、交流人口を増やすことです。茨城のひたち海浜公園では、季節に合わせた花々による見事な景観を造り、アジアからもお客さんが来るようになりました。吉野ケ里歴史公園では、公園駐車場で軽トラック市を定期的に開催し、多くの人が訪れています。土地をうまく活用すれば、税金を使わなくても地域経済を活性化することができます。
  • 2つ目は、公園のさらなる活用により、心身の健康を保ち、健康寿命を延ばし、医療費を削減することです。最近はヘルシーパークス・ヘルシーピープルやアウトドア・フィットネスの取り組みも盛んですし、カナダでは8-80 CitiesというNPOが8歳から80歳まで健康な都市づくりを目指して活動しています。
  • 3つ目は、子どもの健全な育成です。公園を子どもの居場所にする取り組みが必要です。都立東白髭公園では、指定管理者が地元の方々と協力して子ども向けのアクティビティを提供しています。

最後に

  • 公園は、余暇を楽しく過ごす場所を提供しているため、時間消費コンテンツ提供事業者と言うことができます。テレビ局と比較すると、テレビ局は楽しい番組(コンテンツ)を作るために様々な努力をしていますが、公園はその努力をしていません。これからは面白くて楽しいコンテンツを作るために、各地方公共団体がしのぎを削らなくてはいけません。また、行政は公園におけるコンテンツ提供者を一般に解放するとともに、コンテンツ提供者は社会貢献するというパブリックマインドを持ち、市民はそれらをチェックする必要があります。
  • 各都市の個性を発揮し、民間の柔軟かつ優れたアイディアや活力を導入し、公園のポテンシャルを最大限発揮させる公園経営が求められています。

質疑応答

賑わいのある公園ばかりではなく、自然を保護するための公園も必要だと感じます。そのバランスについてどのようにお考えでしょうか。

都心部の公園と郊外部の公園では役割が違うので、その役割についてうまくバランスをとることが大切です。また、平日と土日で使い方を変えるなど、時間と場所をうまく組み合わせることで、面白い使い方ができるのではないかと思います。

保育所の設置は、公園経営と言えるでしょうか。

特区制度が始まる前から、保育所部分について公園を廃止したり、保育所を仮設工作物とすることで、公園内に保育所を設置している事例がありました。公園内の保育所で育った子ども達が、公園のファンとして将来公園を支えてくれる存在になるという観点ではとてもいいことだと思います。

公園の活用として、管理者に収入がある方法と、管理者の収入はないが民間事業者の利用促進となる方法がありますが、今後はどちらが重要になるとお考えですか。

行政に収入が入る仕組みも、地域の方々が公園で価値を生産できる仕組みも両方必要です。行政は民間から稼ぐ方法を学ぶとともに、民間のリスクを低減させる方法を考える必要があります。また、お金という観点だけでなく、健康増進や都市の魅力向上など公園が持つ他の価値についても皆で考える必要があります。

アンケート結果(回答者89名)

本日のシンポジウムはいかがでしたか?

「本日のシンポジウムはいかがでしたか?」に対する回答のグラフ

大変良かった 41人
良かった 42人
ふつう 2人
あまり良くなかった 0人
良くなかった 0人
無回答 2人

あなたは、公園でどのようなことをしたいですか?(3つまで選択可)

「あなたは、公園でどのようなことをしたいですか?」に対する回答のグラフ

休養・休息 43人
散歩・健康運動 47人
スポーツ 22人
子育て・子どもと遊ぶ 23人
清掃・愛護会活動 13人
花植え・植樹 16人
イベントへの参加 24人
イベントの開催 15人
その他 3人
無回答 1人

あなたは、公園経営のどんな取り組みに参加したいですか?(3つまで選択可)

「あなたは、公園経営のどんな取り組みに参加したいですか?」に対する回答のグラフ

寄付(ベンチ・遊具・寄付金) 3人
花壇や植樹等の講座・ワークショップ 45人
愛護会活動 19人
営業施設の利用 37人
その他 7人
無回答 6人

「公園経営」という言葉や考え方について、理解や関心が深まりましたか?

「『公園経営』という言葉や考え方について、理解や関心が深まりましたか?」に対する回答のグラフ

大変深まった 28人
深まった 41人
深まらなかった 1人
無回答 19人

回答者について

性別

性別のグラフ

男性 68人
女性 21人

年齢

年齢のグラフ

10代 0人
20代 5人
30代 19人
40代 21人
50代 16人
60代 14人
70代以上 14人

住まい

住まいのグラフ

名古屋市内 49人
愛知県 31人
他県 9人

職業

職業のグラフ

会社員 37人
公務員・団体職員 28人
主婦・主夫 8人
学生 1人
無職 10人
自営業 3人
無回答 2人

公園経営シンポジウムの開催について、何でお知りになりましたか?

「公園経営シンポジウムの開催について、何でお知りになりましたか?」に対する回答のグラフ

広報なごや 5人
チラシ 32人
名古屋市公式ホームページ 2人
愛護会 11人
知人・友人・家族など 18人
SNSなど 3人
その他 16人
無回答 2人

このページの作成担当

緑政土木局緑地部緑地利活用課公園経営係

電話番号

:052-972-2489

ファックス番号

:052-972-4143

電子メールアドレス

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