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緑のまちづくりフォーラム特別企画「公園経営シンポジウム」(平成25年11月17日)

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このページを印刷する最終更新日:2019年3月19日
シンポジウムの様子

開催内容

開催日時

平成25年11月17日午後1時30分から4時30分

場所

名古屋都市センター11階ホール(名古屋市中区金山町1丁目)

参加人数

110人

テーマ:公園から始まるまちづくり-人々がつながる公園へ-

講演

演題:「公園は他人(ひと)のまちのためならず 緑は他人(ひと)のまちのためならず」

講師:兵庫県立大学大学院教授、兵庫県立淡路景観園芸学校教授 平田 富士男さん

トークセッション

テーマ:「公園から広がるまちづくり」

コーディネーター:名古屋学院大学経済学部教授 井澤 知旦さん

パネリスト:兵庫県立大学大学院教授 平田 富士男さん

パネリスト:名古屋工業大学コミュニティ創生教育研究センター特任助教 三矢 勝司さん

パネリスト:特定非営利活動法人こどもNPO理事 田尾 幸子さん

パネリスト:名古屋市緑政土木局緑地部主幹(公園経営) 水野 裕晶

講演 「公園は他人のためならず 緑は他人のまちのためならず」

講師:平田富士男さんの画像

講師:平田 富士男さん

皆さんこんにちは、ご紹介いただきました平田と申します。どうぞよろしくお願いします。

「情けは人のためならず」という言葉があります。これは「情けは人のためにならない、だからかけるな」ではなく、「情けは他人のためにかけるのではない、まわりまわって自分のためになるのだから、情けはかけましょう」という意味です。それになぞらえて、公園や緑を活かすことが、どういう風に私たちや地域・コミュニティにとって得になるのかというお話をしたいと思います。

兵庫県立淡路景観園芸学校の紹介

兵庫県立淡路景観園芸学校は、阪神・淡路大震災の被災地から景観園芸というものを提唱していこうという理念のもと、1999年に設立されました。景観園芸という言葉は兵庫県が新たに考えだした言葉ですが、その意味は「まちづくりを、経済性優先ではない自然風土を見つめなおしたものにしていく行為」としています。

災害は忘れた頃にやってくると言いますけど、日本では、忘れもしないうちにやってくるわけです。そういう災害から立ち直る、乗り越えられるまちづくりをするためには、経済性優先ではない景観園芸の考えが重視されると考えています。東北の復興においても、景観園芸の考えが生かされればと感じています。

この学校は、1.自然と共生するまちづくりの専門家の育成をする 2.市民ボランティアを育成する 3.園芸療法(園芸作業や植物に触れることを通して、高齢者やハンディキャップのある人などの生活の質を向上させること)の専門家を育成する、という目標をもって設立されました。

専門家の育成については、兵庫県立大学大学院として全寮制で2年間、1学年20人が勉強しています。このコースの修了生は、全国各地でまちづくりや公園づくりの行政マン、設計コンサルタント、造園施工業などで活躍しています。

園芸療法については、兵庫県の場合、仮設住宅での孤独死などの問題をきっかけに注目されるようになりました。草花に触れることによって気持ちをやわらげたり、機能を回復させることで、病院、福祉施設、障害者施設においても注目され、園芸療法士という専門職が求められるようになったのです。

また、市民ボランティア育成は、生涯学習課程として花と緑のまちづくり活動の実践者、リーダーを養成するもので、2クラス40人ずつが、毎月3日間、1年間通うコースです。修了した方に向けてのステップアップコースもあります。公園をどうやって生かすか、まちなかの花壇をどう維持していくかということを実践的にやっています。15年経って、この2コースだけでも3000人近い方が修了しました。参加者のうち女性が6割強、男性が4割弱であり、女性の50代、男性の60代が半数以上を占めます。男女とも退職がきっかけとなり受講する方が多いようです。

このようなたくさんの方々が受講によって何を求めようとしているのでしょうか?アンケートの中で一番多い理由は、「地元の活動に入るきっかけをつかみたい」というものでした。つまり、60歳代前後の方々は、生活の場の中心が会社からコミュニティに変わり、家庭では子どもが独立し、コミュニティでの自分の役割を考えさせられることとなる時期に、公園や花、緑に関わる場所に参加できれば、スムーズに地域に溶け込めると考えるようです。

子育て期の母親に公園デビューという言葉がありますが、それから数十年経ったらコミュニティデビューが必要になる時期を迎えるわけです。

景観園芸とは

「景観園芸」の「景観」は、ドイツ語のLandschaftの訳として1903年から使われ始めたといわれており、見た目というよりエリアというイメージに近い意味を持っていたと考えられます。

また「園芸」は、Horticultureの訳として明治の始めごろに生まれました。ガーデニング(庭造り)ではなく、もともとは、穀物以外に人間が生きていくのに必要な生産物を得るための学問でした。

今日、私たちは幸いにも食べるものに困ることはなくなりましたが、逆に食べ物以外の心配・不安が増えたとも言えなくはないでしょうか。

「景観園芸」とは、食べ物の生産だけではなく、地域の自然と共生することにより、人間らしく生きていける地域を創造しようというものです。今、私たちの周りには「不安」が満ちています。その解消と景観園芸の関係を考えてみたいと思います。

景観園芸の役割

日本の国家予算の額は約90兆円です。その使途は、社会保障、地方交付税、借金返済、に4分の3が使われています。その中でも最も多いのが社会保障(年金、医療、社会福祉等)です。

社会保障の中でも多い医療費の内訳を見てみましょう。医療費がかかる死因の上位は、がん、心筋梗塞、脳卒中で、6割を占めています。これらの原因の多くは食生活、生活習慣です。昭和25年の死因の上位は、結核、脳血管疾患、肺炎、がん、老衰等であり、これらは衛生状態が悪い、薬がない、栄養不足が原因でした。今では逆に贅沢が原因で死亡していると言えなくもない状況です。

厚生労働白書によると、都道府県別でみた1人当たりの高齢者の年間医療費総額には大きな較差があり、一番安いのが長野県(63万円)、一番高いのが福岡県(96万円)です。ではこの較差の原因は何か?同白書は、高齢者の就労率との相関関係を分析しており、高齢になっても働いている割合が高いほど、医療費が低いというデータを出しています。ではその方たちは何をして働いているのか。おそらく「畑仕事」でしょう。これだけでは因果関係は言いきれませんが、少なくとも相関関係は見られます。

中高年への調査を行うと認知症への不安が高くなっています。認知症の予防に何をされていますかという質問には、運動(ウォーキング)をする、外出(旅行)をする、友人とおしゃべりする、趣味を持つ、などがあがります。例えば、公園へ歩いていって、仲間とおしゃべりしながら、趣味の花を植えて、公園でのボランティア活動をすれば、お金はかかりませんし、「畑仕事」ができなくても「みんなで公園ボランティア」をすれば、それ以上の効果があるかもしれません。

私たちは、園芸療法と健康との関係性の分析を始めています。園芸の活動をしている方を対象に、脳波や血流への影響を実験し、脳のどの部分に影響があるのか分析しています。土に触る、指先を動かす、においをかぐ、ということが脳に影響を与えているということが分かり始めています。

ですから公園で生き生きと活動することは、皆さん自身を健康にし、そして医療費を減らすことにもなり、市の医療費・税金の負担を減らすことにつながります。

景観園芸の効果

中高年世代の健康の問題だけではなく、子どもたちの世代にはいじめの問題があり、不安を抱えながら、学校というコミュニティのなかで生活しています。まちの活性化、まちの元気にも不安があります。自然災害や気候、身の回りの生き物がどうなっていくんだろうという不安もあります。それらの不安に対し、公園を活かす、緑を増やすことが、いろいろな効果があるという分析をしています。

たとえば、学校にプランターを持ち込んで、子どもたちに野菜を育ててもらい食べる、という実験をしてもらいましたが、給食の残量が格段に減るという実験結果が得られました。また、住民が高齢化した団地で野菜を育て、団地内の空き店舗で販売することによって、商店の再生、参加者の元気を取り戻すことにつながった例もあります。

このような効果の「見える化」の一つとして、資産価値と景観との関係について話をしようと思います。現在、景観を重視し、外に布団を干さないというルールがあるマンションが増えています。外側に布団を干すと、マンションの美観を損ね、資産価値が下がるといわれます。一枚の布団干しが、すぐ価値の下落になるわけではありませんが、こういう簡単なルールさえ守らない人が多いマンションの価値は確実に下がるといわれています。つまり、景観は住民のそのコミュニティへの意識の集積・表現形であり、景観が悪ければそれ以外のところにもきっと「アラがある」と想像されるのです。だから資産価値に影響するのです。したがってコミュニティの資産価値を維持するのは、住民の意識次第なのです。

また私たちは、中古マンションの売り出し価格データを集めて、そのマンションの立地条件等から販売価格を推定する式を作り出しました。すると、マンション敷地内の緑環境(緑化率)が資産価値に大きく影響していることがわかりました。また、その緑化には維持費がかかるわけですが、それとマンション販売価格との関係を分析してみたら、維持費がかかっていないのに、推定した価格より高く売れているマンション群がありました。それらには、すべて住民の中に緑化グループボランティアがいることがわかりました。結局、彼らの活動が維持費を下げ、さらに住民の活動の様子がコミュニティの温かさを醸しだし、好印象を与えていたのでしょう。

地域経済効果

資産価値だけでは実質の経済効果は生まれません。そこでオープンガーデン活動に注目してみました。

兵庫県ではオープンガーデンがさかんです。一軒一軒の庭をきれいにして、まちじゅうを花や緑できれいにしていこうとする取り組みです。そうすると、それを見に来る人も増え、イベントとしても立派なものとなります。ガーデニングの諸費用、広告費用、見に来た人が買物をする等、地域にいろんなお金が循環します。それによって地域に生まれる経済効果を測定したことがあります。結果、宝塚市での経済効果は、6400万円、三田市の場合で2100万円と推定されました。これらの金額は、行政が行う「緑化フェア」のようなイベントの経済効果に比べたら小さなものですが、そこに投入された公的資金の大きさには大きな違いがあります。オープンガーデンの場合、数万円、せいぜい数十万円の公的な助成金が地域に数千万円の経済効果をもたらしているわけですから、行政によるお金の使い方としては非常に効果的だと言えます。行政がお金を使うなら、自らがイベントを行うよりも、このような地域住民の自主的な活動を支援したほうが、効果的な税金の使い方だと言えるわけです。

最後に

花や緑を活用することは、私たち自身の健康、脳にも影響しますし、まちに対しても、元気を生み出し、経済効果を生み出しています。こうした活動は、人のためだけではなく、いずれ自分にも返ってきます。少しでもこういう取り組みを増やしていく必要があると思います。単なる園芸ではなくて景観園芸として、震災から生まれた教訓を、人のため、地域のために活かしていきたいと考えています。そして震災後の兵庫県の経験・取り組みの成果を東北へ伝え、一日も早く復興が果たされるようにがんばりたいと思います。

質疑・応答

参加者

  • 園芸というと、内輪な楽しみのイメージを受けますが、こちらの大学で留学生を受け入れている目的は何でしょうか、また、留学生が果たす効果とは何でしょうか。

平田

  • 東アジア地域の留学生を多く受け入れています。今後発展著しい東アジアにおいては、これまで日本が経験した環境問題をこれから迎えることになると思います。日本も昭和40年代には公害問題がありました。その時、グリーンベルト等の緑でこれらの克服に取り組んできました。東アジアの諸都市でもこのような日本の経験を活かしてもらいたいと思っています。環境との共生を実現していく中で、自然の代表として植物は切っても切れない素材なので、そういうものをどうまちづくりに活かしていけるのか、学んでほしいと考えます。

トークセッション 「名古屋の公園の生かし方について」

トークセッションの様子

井澤

  • 行政が維持管理する公園から、楽しく使ってもらう、活かしながら使う「経営」への方針転換が始まっています。そのために、それぞれの公園の特長を活かして経営していく必要があります。名古屋市では市民の方々、市民の団体、企業と協力していく事業展開プランがつくられたところです。協働をテーマに、公園からまちづくりへの公園経営について考えていこうと思います。
  • 緑、花を通じて、最終的に自分やまちへ返ってくるというまちづくり。公園からまちづくりへどう展開していくのか、つなげる取り組みについてと講演の感想をお願いします。

三矢

  • 名古屋工業大学コミュニティ創成教育研究センターは、去年設立されました。名工大で研究開発された技術を地域の活動に取り入れ、地域と大学をつなぐ活動をしています。
  • 名工大のセンターに来る前までは、岡崎でまちづくりNPOの事務局長をやっていました。1999年にボランティア活動を開始し、大学時代にユーザー参加のデザイン(公園等を市民の方の意見を取り入れ、議論をしながら計画、デザインをしていくこと)を学んだ経験を活かし活動しています。
  • 「自分たちで作った公園は楽しめる」をキーワードに、地域の施設は地域の人が参加してつくり、活動することを手伝う活動をしています。

田尾

  • こどもNPOは、子どもの社会参画を理念に2001年から法人活動をしています。名古屋市緑区の新海池(にいのみいけ)公園を拠点としたボランティア活動から始まりました。市民参加の公園づくり、愛護会、子どもの遊び研究会、子どもの遊び場づくりというように発展させてきました。現在は、「自分の責任で自由に遊ぶ」ということをモットーとしたプレーパーク(冒険遊び場)という活動をしています。
  • 最近は、子どもたちにも子育て世代にも、公園が遠い存在になっています。公園が再び身近になるように子育てを支援していきたいと考えています。
  • 高齢者だけではなく、子どもたちも問題をかかえています。子育ての問題にも公園の存在は解決のヒントになると考えています。

水野

  • 4月より公園経営の担当となりました。公園をどう使ってどう地域ができるのかという視点が、皆様方にもあると思います。これまで公園管理行政に携わってきていないので、どうしてこういうことはできないのか、どうしてこういう使い方をしてこなかったのかという視点は、皆さんに近いと思います。そういう視点で行政を見つめ直すことはできると思います。

パネリストの主な意見-これまでの経験から得られたこと

田尾

  • 新海池公園にプレーパーク小屋をつくった時の経験をお話します。最初、小屋をつくるということについて、行政の判断はNOでした。行政が管理する都市公園の中に民間の施設をつくるということは、ルール上できませんでした。しかし行政と対立するのではなく、ルールを解決するにはどうすればいいのかを考えました。「なごやの森づくりパートナーシップ連絡会」のネットワークに入りアドバイスをもらいました。また、都市センターに行政側との調整にも協力をしてもらい、話し合いの場を持つことができました。地域の反対もありました。4年程かかりましたが、子ども青少年局、緑政土木局、民間で、どうやったら都市公園の中にプレーパーク小屋をつくれるのか、という方向から話し合い、つくることができました。お互いの立場を尊重しつつ、同じ目標に向かって、仲間を増やしつつ活動していくことが大切だと感じました。
  • 公園で花づくりをしている団体とも連携して活動をしています。子どもの遊び場というのは、例えばボールが花壇に入ってしまうなど、花壇づくりをされている方たちにあまり好ましく思われていない事例もあると聞いていましたので、話し合い、お互いの活動場所を住み分けしながら、うまく運営していっています。犬の散歩が非常に多く、放し飼いなどへの苦情があることも聞きますが、行政から注意するのではなく、活動団体から言うと気をつけていただけるということもあるので、当事者同士でうまくいくやり方をとっています。
  • 市民と行政、市民と市民をつなぐコーディネーターが大切であると思います。当時は都市センターが市民では越えられない壁を行政との間で調整してくれました。あとは、地域の後押しの力の大きさを感じました。

三矢

  • 岡崎市の中心市街地にある籠田(かごた)公園の芝生化の話が、今日のテーマにつながると思うので紹介します。戦災復興でつくられてから半世紀たち、老朽化のため再整備が始まったのが7年前です。市民の意見を取り入れた整備が進められました。伸びやかなイメージ、昼寝ができ、ピクニックがしたいなど、母親たちからの要望が強く、芝生にする案がでました。砂が舞うという問題も解決する案です。しかし、行政側から、施工にも維持にもお金がかかるためできない、という答えが出されました。市民から行政に対して「お金があったら、やってくれるのですか?」と問題提起がありました。そこから、できるかできないかではなくどうやったら実現できるかを、市民も行政もお互いに知恵を出し合うところから始め、何度か研究会のような話し合いの場が開かれました。
  • つくるコストを減らすために、市民がボランティアで芝を植えることを考えました。1年間に4分の1ずつ芝生化を進めており、今年で3年目です。毎年150人の市民ボランティアが集まっています。このように、お金はないならないなりに進めていくアイデアが出てきました。みんなで集まって作業をすると、まさに「自分のつくった公園は楽しめる」で、楽しそうに参加していました。
  • 維持管理の中でお金を生み出す方法として、市民が主体でイベントを企画しました。籠田公園・青空クリエイターフェスタという手作り雑貨市を開催し、出店料や売り上げの一部を芝生化基金としています。最初は37店でしたが、出店者同士のつながりから現在140店参加し、1万人が集まるイベントになっています。芝生の維持管理に向けて、市民で作り上げてきたイベントです。
  • こうした地道な市民の動きを見て、別の市民の方から道具の寄贈がある等、活動が広がっています。青空クリエイターズフェスタは、実行委員会形式で運営されており、行政との調整全般、出店料や売り上げの管理を行っています。資金調達も市民の知恵を出し合ってやっています。

水野

  • 名古屋市にある1,430公園に対し、1,112の愛護会があります。その他に、自主的な企画立案により緑地保全活動や緑化活動等を行う活動承認団体や緑のパートナーが合わせて28団体あり、大変多くの方に公園に関わっていただいていることは名古屋市の誇りだと思います。
  • 最近は、公園に求められるものも増えています。例えば花づくりをするために人が集まり、作業を通じてコミュニティがつながることで、公園での花づくりは、地域づくりの道具としてとらえることができます。公園を身近な生活基盤として考える人も増えてきました。
  • 年々予算が減っていく中で、公園の価値をあげるマネージメントをしていきたいと思います。公園を使う人が増えることも、公園の価値が高まった評価の表れだと考えます。関わっていただく人をより増やしていくことが行政の仕事だと考えます。
  • また、楽しさをつないでもらうという意味で、キャストという制度を作れないかと考えています。ディズニーランドのスタッフの呼び方をまねていますが、例えば、公園の由来や木の説明をできる人をキャストとすることで、他の利用者にその楽しさを広げてほしいと思います。

平田

  • 協働という言葉は、住民と行政との関係だけで考えてしまいがちですが、その前に住民同士の協働がうまくいき、その行司役である行政の出番がなくなることが理想ではないかと思っています。住民同士の協働がうまくいくためには、その活動が人の役に立っていることが誰から見ても分かることが重要だと思います。花壇に水をやり、きれいな花が咲くと、通る人の目も楽しませてくれる、分かりやすい結果がでます。活動をしている人も、役に立っている実感が得られ、やりがいにつながり、がんばろうという思いがわきます。公園はそういった活動がやりやすいのではないでしょうか。

井澤

  • 住民同士の行司役としての行政の役割と言う話がありました。従来から、管理者としての行政と利用者である市民は上下関係と考えがちですが、同じ立場に立つにはどうしていくべきでしょうか。

平田

  • 先ほどの話に立ち返ると、ボランティアグループは、「自分たち中心の考え」になっていないか、他の人のためにもなっていることをやっているか、を説明できることが大切です。自分たちは公園のためにやっていると考えていても、他の人から見たら「公園の独占」に見える場合もあります。だからこそ、ボランティアグループの人たちは、常に「人の役に立っているのか」を自問しながら活動すべきでしょう。
  • 昔は、公園などありませんでしたが、寺社の境内などがその機能を果たしていました。その空間の利活用は、お上が決めるわけではなく、地域の人たちが、地域のために、子どものためになることを、話し合いで決めていたので、行政の管理など必要ありませんでした。住民と行政の協働以前の状態で、きちんと管理運営がなされていたのです。そんな時代に回帰していけないかなと考えます。その上で行政の役割は、地域や人のためにやりたい人がきちんと活動できる仕組みを整えることだと考えます。
パネリストの皆さん

パネリストの主な意見-公園経営からまちづくりへ広がった経験

三矢

  • NPOとして岡崎市の公共施設の管理者をやっていましたが、公共財産の維持管理活用をした経験は公園にもつながると思います。
  • 先ほどの話にあったキャストの概念について、管理者でもなく利用者でもない、利用者を迎える立場が面白いと思いました。さらに、キャストを揃えるだけにとどまらず、キャストのマネージャー的立場の人の設定が、今後の公園経営の課題になると思います。大きな公園になると、多数の団体があって、それぞれにキャストの候補がいるので、そういう人材の把握・調整をする立場の人が必要になってくると思います。
  • 公園経営を考える3つの切り口に、1.施設管理(点検・清掃等物理的メンテナンス)、2.利用管理(予約受付・調整)、3.事業運営(イベント、プランニング)があります。例えば、公園キャストマネージャーは、ある公共施設で子供向けイベントをすると、関わる人たちはどんな人たちか考えます。施設の利用者と子供たちだけでなく、高齢者、学校、周辺商店街等に声をかけます。その場とつながる人たちを把握でき、つながっていき、活用が広がっていきます。このように、公園のキャストのマネージャーみたいな立場の人が力を入れることによって、公園づくりがまちづくりに広がっていくと考えます。

田尾

  • 子育て中の親の中には、公園は行政のものだという意識があり、クレームをつけて終わりという人が多いと思います。「公園は地域の資源」という意識に変われば、自分たちで解決していこうという意識に変わると思います。市民がそういう風潮になれば、行政に対しても対等に意見を交換できるのではないでしょうか。
  • 公園に地域コミュニティビジネスが生まれ、地域のニーズに対応できれば、得られた収益を次の地域課題に投資できるようになり、まちが活性化すると思います。
  • 最近は、地域意識の低い世代が子育て中です。子どもを保育園に預けて都市に働きに行くことも普通です。地域コミュニティビジネスにより雇用が生まれ、地域で働きながら子どもを育てる環境につながっていけば理想的だと思います。

平田

  • 公園での活動を通して、人が変わることもあります。ボランティア精神が芽生えたり、意外な人が活動に楽しみを見出すこともあります。
  • 活動を通して、公園内だけでなく地域の町並みに意識が向き、まちづくりにつながっている例として、オープンガーデンがあります。兵庫県内で15グループ程あります。公園と個人の庭とをつなげて、町を巡るイベントに広がっています。町全体が華やかになり、多くの人が訪れます。まずは、きっかけが必要です。
パネリストの皆さんの画像

パネリストの皆さん

会場参加者からの意見

参加者からの意見
  • 緑区の公園で、昔から多くのボランティアの方たちが参加していろいろなことに取り組んできましたが、理想と現実が違うということも感じました。清掃活動、防災活動、花壇の整備を進め、子どもたちの遊び場も大切にし、芝生もあるきれいな公園を維持しています。
  • 34年前にできた公園で、清掃活動、花壇の手入れをやっています。目立つごみは、タバコの吸殻、のど飴の袋、冬場はティッシュ、コンビニの袋などです。今年は、ひまわりの種を土木事務所からいただき、4箇所の花壇に植えました。心配していたいたずらもなくきれいに咲きました。今は、菜の花を植えています。食用を期待される方も多く心配です。
  • 田尾さんの話に同感しました。お話にあった新海池は、昔は臭く魚釣りのできない池でしたが、今はきれいになりました。昔は怖い場所でしたが、皆さんのご尽力で良くなりました。早朝は、年寄りが集まりいろんな活動をしています。場所が足りないほどです。午前中は、子育て中の親が集まり、昼からは遊具で遊ぶ子どもたちの姿が見られます。夕方からは、愛犬を連れて散歩する人が増えてきます。一日を通して活気があります。活動に感謝しています。これからも、もっと高齢者を利用してほしいと思います。

パネリストの主な意見-公園経営への期待

三矢

  • 「公園から始まるまちづくり」というタイトルの逆から発想して、「まちづくりから始まる公園づくり」というのもいいですね。こんな町にしたいという理想が先にあって活動する、その実践の場として公園を活用するのもいいと考えます。地域の活動とつながると公園の価値が高まると思います。いろいろな世代の人と意見を交換し合える現場としての公園であってほしいと思います。

田尾

  • 企画や仕掛けをしないと人が集まらない公園にしてはいけない、何もしなくても自然に人が集まり、そこからコミュニティが生まれていく、そんな視点で公園経営をやっていただきたいと思います。
  • これからは、今ある公園を整備するだけではなく、公園がつくられる時から市民が参加できるようになると、その公園を育てていくことができると思います。その際には、子どもの視点を入れてほしいと思います。子どもたちとともに新たに公園を作ることができれば、まちづくりにも広がり、愛着も持てるのではないでしょうか。こういうシンポジウムにも、子供連れのお父さんお母さんが参加するようになればいいと思います。

水野

  • 今日は、本当にいろいろ勉強させていただきました。あらためて市民の皆さんの、公園に対する愛情の深さに感謝します。
  • 公園経営という新しい言葉を使っていますが、その主旨は公園をいかに使っていただくかということです。公園をつくるところから参加したいという意見もいただきました。皆さんに、より公園を使っていただけるようにしていきますので、これからも応援してください。よろしくお願いします。

平田

  • 今後の公園経営は、市ではなく地元主体でやれればいいと思います。
  • 楽しくなければやっている意味がない、儲けがなければ長続きしないので、地域のみんなで笑って過ごせるようなアイデアで、儲けをだす。ただし、ポイントは、「独りよがり」にならないように、オープンにすること、儲けは公園に還元することだと思います。

井澤

  • 公園を、行政のものではなく市民のものとしてどう使っていくのか、楽しみながら儲けて還元する、そんな循環をつくることが重要だと感じます。
  • まちづくりと公園の関係は、公園から広がるまちづくりもあれば、まちづくりから広がる公園もあり、相互に視点を変えながら見ていくことが重要だと感じます。
  • コミュニティビジネスを通じてまちへ広がっていくこともあるでしょう。皆さんの知恵を出し合って実現していきましょう。皆さんの力で良い名古屋をつくって行きましょう。

アンケート結果(回答者数60人)

内容はどうでしたか?

内容はどうでしたか

大変良かった 18人
良かった 26人
ふつう 7人
あまり良くなかった 1人
良くなかった 0人
未記入 8人

公園での活動に関わってみたいと思われますか?

公園での活動に関わってみたいと思われますか

是非関わってみたい 18人
機会があれば関わってみたい 30人
関わってみたいと思わない 0人
既に関わっている 9人
未記入 3人

活動に関わってみたいと思う公園はどれですか?

活動に関わってみたいと思う公園はどれですか

都心のにぎわいのある大きな公園 7ポイント
自然が残る郊外の大きな公園 17ポイント
区や学区を代表するような公園 23ポイント
住宅街にある地域の小さな公園 25ポイント
その他 2ポイント
未記入 6人

関わってみたいと思う公園での活動はどのようなものですか?

関わってみたいと思う公園での活動は

除草・清掃活動 37ポイント
花壇の手入れ 30ポイント
ガイドボランティア 9ポイント
森や里山の保全活動 18ポイント
自然観察会 15ポイント
子供を対象とした遊びの活動 13ポイント
その他 4ポイント
未記入 1ポイント
(3つまで複数選択可)

お住まい・性別・年代

お住まい

名古屋市内 53人
愛知県 6人
他県 0人
未記入 1人

性別

男性 40人
女性 16人
未記入 4人

年代

10代 0人
20代 3人
30代 0人
40代 7人
50代 3人
60代 17人
70代以上 30人

このページの作成担当

緑政土木局 緑地部 緑地利活用室 公園経営係
電話番号: 052-972-2489
ファックス番号: 052-972-4142
電子メールアドレス: a2808@ryokuseidoboku.city.nagoya.lg.jp

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