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緑のまちづくりフォーラム(平成24年7月22日)

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このページを印刷する最終更新日:2012年8月1日
緑のまちづくりフォーラムの写真です

開催内容

開催日時

平成24年7月22日午後1時30分から4時30分

場所

栄ガスビル4階401会議室(名古屋市中区栄3丁目)

参加人数

140人

テーマ:緑と水の活用によるまちづくり

  • 講演1
    演題:「都市緑化によるまちづくり」
    講師:大阪府立大学大学院教授 山田 宏之さん
  • 講演2
    演題:「かわづくり×まちづくり:名古屋・堀川を中心に」
    講師:名古屋工業大学大学院教授 秀島 栄三さん

 

講演1 山田宏之さん

山田宏之さんの写真です

地球温暖化と都市の温暖化

 地球温暖化は、太陽の熱を地球がどれくらい保持するかで決まります。太陽の発する熱エネルギーは非常に莫大であり、太陽活動によって地球の気候は決まります。また、地表面の反射も重要な要素です。雪は反射率が90%以上あり、雪や氷の面積が増えると、地球が受けるエネルギーは減り寒冷化します。

 雲も太陽光を反射し、地球を寒冷化させます。宇宙から降り注ぐ放射線の量が多いほど雲ができやすくなるという説があります。それに従うと地球温暖化の要因は、二酸化炭素よりもこの放射線のほうが大きいといえます。温暖化の要因はメタンや二酸化炭素などの温室効果ガスだとみられていますが、太陽活動や放射線のような外部要因も大きいです。温室効果ガスの排出量のコントロールにより人類が温暖化を本当に制御できるかどうか、個人的には怪しいと思っています。

 

ヒートアイランド現象

 一方、ヒートアイランド現象については、私たちの生活が影響を与えやすいため、今後の我々の生活スタイルや努力によって比較的容易にコントロールできます。

 都市の温暖化は地球温暖化よりかなり速いスピードで進んでいます。ここ50年ほどで気温は約4度上昇しました。東京ではかつて真冬日が年間60日ほどありましたが、今はほとんどありません。熱帯夜も、昔はなかったが今では30日ほどあります。そのため昔のように夏にエアコンなしで過ごすことは、健康に悪影響を及ぼすほどになっています。

 ヒートアイランド現象の大きな原因は、エアコンなどによる人工的な排熱、地表面の改編(アスファルト化など)の2つです。衛星画像を解析すると、緑地・水面の地表面温度が周辺に比べ低くなっています。東京の調査では、新宿が33度のとき、明治神宮は25度と大きな気温差がありました。大きな樹林地があるとその中は冷涼です。道路・屋根面などは非常に高温になりやすく、また昼間に貯めた熱を夜も放出し続ける熱源となります。

 

屋上緑化

 屋根面を冷やす手段のひとつが屋上緑化です。日本は湿潤温暖なので、全面芝屋根はできず、かやぶき屋根の一番上だけに芝を張る芝棟が室町時代からみられました。今のような屋上庭園をつくるには、フラットな屋根が必要であり、レンガ造ができ始めた明治以降にみられるようになりました。明治30年代後半からは本格的な鉄筋コンクリート造が普及して広まりました。名古屋での最初の事例は、明治43年の伊藤呉服店(現:松坂屋)と思われます。

 現在は建築技術が発達したため、自由なデザインの屋上緑化が可能です。人工地盤緑化の例として、埼玉のけやき広場、名古屋のオアシス21などが挙げられ、大阪の浮庭橋は橋を緑化し、水と緑が融合した景観をつくっています。大規模屋上緑化としては、福岡のアクロス、大阪のなんばパークスなどが挙げられます。

 屋上緑化の最近の1つの傾向として、維持管理の作業を意図的に見せるようになっています。また、JR大阪駅では、ブドウやイチゴをはじめ菜園がメインの屋上庭園がつくられました。作物は人目を引きやすく、イベントにも使えます。大阪のコーポラティブハウスでは、マンションの屋上に田んぼをつくり、コミュニケーションの場としています。東京のコマツ本社ビルの屋上庭園は、珍しい山野草が生え、セミが繁殖するなど本当のビオトープが成立しています。病院や老人ホームのテラスでは、リハビリの場として屋上庭園がつくられています。コクヨの品川オフィスでは、屋上庭園もオフィスのワークスペースとして利用されています。韓国ではビオトープに特化した屋上庭園が多いです。

 現在の技術であれば、個人邸の屋上緑化も容易にできます。木造住宅の屋根を緑化した場合、断熱性が非常に高く、夏場エアコンが不用になる可能性もあります。

 

壁面緑化・緑のカーテン

 温暖な地域では花の咲くツル植物も利用できます。ツル植物をテラスや屋上から吊り下げたり、建築物とは別の基盤にツルを這わせて取り付けたりと手法はいろいろあります。千種小文化劇場、名古屋市科学館は全国的にもよくできた例であると言えます。

 緑のカーテンは、手軽に取り組める緑化です。水耕栽培式プランターを用いれば、校舎3階まで伸ばすことができます。室温を2度ほど下げる効果があり、エアコンのない学校や、エアコンの使用電力を削減するのに、非常に有効です。

 ツル植物は種類が多いため、ブドウやキウイといった果樹類など、従来使われていなかった植物を活用して農業と緑化を融合させても面白いと思われます。

 

駐車場緑化

 駐車場緑化は、高度な技術が求められます。立地条件や利用実態によって、使える素材が違ってきます。使用頻度が少なく、手入れもある程度できる駐車場では導入しやすいです。

 沖縄の海洋博記念公園では、立体駐車場の屋上階が大規模に緑化され、臨時駐車場として利用されています。臨時駐車場であれば、普段はドッグランやコミュニケーションの場にも活用できます。

 

今後の都市の緑化について

 今後は、緑化と何かをミックスするのがポイントになるのではないでしょうか。緑化と農業(作物づくり)、緑化と医療、緑化とコミュニティ形成、緑化とドッグランなど、「都会の新しい緑の形」として提案・紹介させてもらいました。

 

質疑

参加者

  いろいろな事例を紹介いただいた。緑地は適切に管理されてこそ利用されると思う。維持管理も、地域の人の参加(地域の人が草をとったりする)があってもいいと思う。

山田

 緑地は適切な管理が、絶対に必要である。ほったらかしでは利用されなくなってしまう。利用されない緑地は、その効果が半減する。緑地を作るからには、管理できる体制づくり、事前の住民との話し合いなどが益々重要になるだろう。

講演2 秀島栄三さん

秀島栄三さんの写真です

都市河川を地域資産と捉える

 堀川は400年前、名古屋城築城に合わせて作られた運河です。多くの都市は、河川を抱くように発展しましたが、名古屋に川はなかった。それだけに貴重な水辺です。しかし、学生などに聞くと、汚いので埋めてしまえばいいという声も上がります。堀川には、都心の象徴空間、歴史資源・舟運観光、水辺が与える快適性、風の道といった期待が寄せられている一方、水質が良くなく、人々に背を向けられている状況にあります。

 関心のない人にその良さを分かってもらうには、改めて皆にとっての資産であると捉えてもらえばいいと思います。松重閘門(まつしげこうもん)のような建築物は目立ち、価値が分かりやすいですが、河川は日常生活の中で当たり前に存在しているために忘れられやすいです。

 堀川などの社会基盤を資産として捉えるには、専門家だけでなく地域住民が主体となって、まちについて考える場を作ることが大切です。専門家が外側から見ると、まちの複雑さをすっきり整理したいと思いますが、地域の人は複雑であると捉えていなく、しっかりと認識して利用している事例が多いです。こういった感覚をまちづくりの中でもっと普通に持つべきです。また、専門家しか理解できない情報を、地域の人々が理解できる形で翻訳することも重要です。アセットマネジメントで言えば、費用も整備効果も金銭尺度に置き換えるようなことです。

 

自然=あたりまえと対峙する

 川は、自然と人為の間にあるもの=際(きわ)と呼べます。そこには独特の豊かさと際どさがあります。例えば、藤前干潟は豊かな生態系がありますが、市域の端にあるゆえにごみ処理場の建設をという問題がかつてありました。豊かな場所をいかに保全するか、持続可能性の視点が重要です。

 自然は当たり前すぎるところに恐さがあります。災害を無くすことはできず、災害に慣れる、受けて立てることが重要です。一方で、我々の暮らしは自然との関係を断つような方向に向かっています。自然に関心のない人に自然を気にしてもらうためには、気づきを与え、正しい理解・判断ができるようにし、最終的に正しい行動がとれるようにすることが必要です。かわづくり・まちづくりにおいては学習も大切な要素です。

 

コミュニケーションツール

 堀川の話からずれますが、木曽川の話題もさせていただきます。名古屋の発展を大きく支えた木曽川は、流域の上下流交流により、産品の流通、文化の形成などに寄与しました。ただ、陸上交通の発展により、普段の生活で流域を意識することが少なくなってしまいました。そのため、上流・中流と下流のつながりを見直すべく、市民放送局を始めました。

 市民放送局とは、流域で市民記者や交流行事、メッセ(物販)、流域塾を実施するものです。その原動力はインターネットであり、検索や掲示板など活用しています。また、過去の出来事や知識を掲載し、それに意見を書き込むことができるような認識を共有する場として活用しています。人材交流の場にもなっています。インターネットは短所もありますが、市民が利用しやすい技術であり、他の手法と組み合わせながら利用しています。

 

プロセスと政策のデザイン

 堀川のまちづくりは、いくつかの団体が、それぞれの目的(水質浄化やまちの活性化など)を持って、それぞれ取組みを行っています。一方で、ある段階から役所と一緒にやりたいとなることが多くなります。それは自分たちの考えを政策に反映したいということであり、まちづくりとはそのような政策形成プロセスを模索することでもあります。

 政策形成プロセスについて、水質浄化方法の選択のプロセスで例示します。水質浄化技術は様々です。全ての技術の詳細な検証、客観的データの確保は困難であり、堀川ならではのローカルナレッジもあります。選択の判断基準として、例えば「影響の範囲」「メンテナンスなどの事後作業」「効果の発現時期」といった軸があげられますが、人や団体でそれぞれ意見が食い違い、方向性は異なります。選択によっては不満が生じる主体が出てきます。それをいかに解消するか、政策形成プロセスは合意形成プロセスでもあります。

 連携や協働が、まちづくりではよく言われますが、簡単なことではありません。手を組んだとしても実は目的が違っていたりします。そのため、お互いの反することを解消したり、食い違いを理解する合意形成プロセスは絶対必要です。それがないと結局対立してしまいます。

 複数の主体が関わる場合、その関係性も重要になり、人あるいは人がうまく関われるしくみを作れるかどうかが重要です。個人だけでなくNPO、任意団体、民間企業、自治体といった団体なども含めた様々な主体の関わりが考えられるため、そのしくみも多様です。

 団体でことを進めるときには、議論を進めるためのマナーも必要です。議論の時間の大部分は、意見を戦わせている時間よりも、知らなかったことを知ることに費やす時間です。まちづくりの議論は学習のプロセスです。体験を共有するプロセスでもあります。大学、住民、行政など各主体はそれぞれ違う知識を持っているため、その自分にないものを持ち合って取組むまちづくり・かわづくりが、好ましい状態だと言えます。

 

おわりに

 かわづくり・まちづくりになぜ惹かれるのか、それは様々なダイナミズム、興味を引く変化に満ちているからではないかと思われます。取組みを続けることで、知識や経験が積み上がり、その結果が価値ある資産になります。また同時に、プロセスの中での苦労や達成感にも喜びを感じます。

 かわづくり・まちづくりは、政策の形成につながっていると同時に、ひとづくり・しくみづくりも掛け合わさっているものです。いろいろなことが絡む総合的な取り組みであり、真剣に取り組む価値が大いにあります。

 

アンケート結果(回答者数84人)

お住まい・性別・年代

参加者の住まいについてのグラフです

名古屋市内 54人
愛知県内 25人
他県 5人

参加者の性別についてのグラフです

男性 68人
女性 16人

参加者の年代についてのグラフです

20代 10人
30代 7人
40代 19人
50代 18人
60代 25人
70代以上 5人

緑のまちづくりフォーラムの開催について、何でお知りになりましたか

フォーラム開催を知った手段についてのグラフです

チラシ 27人
知人・友人・家族など 21人
広報なごや 17人
名古屋市ホームページ 10人
その他 9人

内容はどうでしたか?

講演の満足度についてのグラフです

満足している 28人
おおむね満足している 40人
少しもの足りない 5人
もの足りない 2人
無回答 11人

このページの作成担当

緑政土木局緑地部緑地事業課緑地計画係

電話番号

:052-972-2486

ファックス番号

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