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緑のまちづくりフォーラム(平成23年10月30日)

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このページを印刷する最終更新日:2011年11月9日
緑のまちづくりフォーラムの写真です

開催内容

開催日時

平成23年10月30日午後1時30分から4時30分

場所

栄ガスビル4階401会議室(名古屋市中区栄3丁目)

参加人数

137人

テーマ:街路樹からはじまる緑のまちづくり

  • 講演1
    テーマ:「緑が都市を変える」
    講師:千葉大学大学院教授 藤井 英二郎さん
  • 講演2
    テーマ:「安全で豊かな緑陰街路形成に向けて」
    講師:東邦レオ株式会社 木田 幸男さん

 

講演1 藤井英二郎さん

藤井英二郎さんの写真です

街路樹の現状

 近年の都市環境の変化として、地球温暖化やヒートアイランドという問題があります。関東でも、昔は見られなかった暖地性の植物を確認することができます。また、集中豪雨の驚異、斜面地の開発、建築物の高層化など都市が大きく変化している時代です。そういう中で、緑地や街路樹への期待も深まっています。名古屋市でも、昨年12月に街路樹についての討論会が開催されたようです。今回のフォーラムもその流れをくむものでしょう。

 近年の日本における街路樹の現状として、いわゆる「ぶつ切り剪定」をよく目にすることです。背景として、管理費の削減もありますが、発注者による業者指示の不足、剪定技術の低下、剪定の評価が十分になされていないということが背景となっています。その他、掘削工事後の根の手当ての不良による腐朽、植栽基盤不良による根上りなどがあります。

街路樹の機能

 街路樹はたくさんの機能があります。私は、1.生物的機能、2.物理的機能、3.心理的機能の3つに分類しています。生物的機能はCO2の供給・固定、物理的機能は木陰の提供(日傘のようなもの)、心理的機能は生理的疲労の低減・視覚的緊張の緩和などがあります。例えば、物理的機能はアーケードなどで置き換えることができますが、街路樹は生物的機能・心理的機能も合わせ持っています。1本の樹木がこれらの機能を複合的に持っていることが大きな特徴です。

街路樹の効果

 街路樹の効果について、仕切り効果、遮蔽効果、生理・心理的効果について説明します。

 仕切り効果ですが、道路の歩道のどの位置(車道側・中央・沿道側)を人が歩くのかを実験しました。街路樹があることで車道側を歩く人が増えました。街路樹によって車道側の驚異を軽減することができ、歩道空間を有効に使うことができるようになります。

 遮蔽効果ですが、対向車などの影響の少ない早朝の車の少ない時間帯で、沿道の街路樹の有無によるドライバーの視線の動きを実験しました。街路樹がないと左右に視線を多く動かしていますが、街路樹がある場合は落ち着いて運転をしていました。

 最後に生理・心理的効果ですが、街中と公園内の2箇所で踏み台昇降運動からの回復状況を比較実験しました。自然的環境では人工的環境と比較して疲労の回復が早いことが確認されました。また、騒音ストレスに対する心理的な回復具合をα波を計測して把握したところ、植物に囲まれた空間の方が早くリラックスできていました。

過度の支柱と強剪定がもたらす問題

 それでは管理面で街路樹にもたらす問題を説明します。

 1点目は、支柱の問題です。樹木に風を当て、根の発達方向を風上・側面・風下で比較しました。支柱のない場合は、風上に根が発達しました。支柱のある場合では、そこまで顕著に確認できませんでした。樹木は揺れがあることで根が発達します。過剰な支柱は不必要だと思われます。

 2点目は、強剪定の問題です。無剪定・軽剪定・強剪定の3パターンで、シラカシの根の量を比較しました。強剪定では、特に太い根の発達が阻害されていました。剪定の良否は地上部にも影響を及ぼします。強剪定されたイチョウは葉が密生し、風通しが悪く生育環境は悪化します。ケヤキは枯枝と下枝の処理だけで十分です。上部を切ってしまったケヤキは非常に見苦しいです。

 また、土壌容積によって地上部の成長が大きく異なることが確認されています。

街路樹問題の解決方策

 これから重要なのは、次の世代に残せる資産として街路樹を残していくことです。

 神宮外苑のイチョウ並木は有名ですが、その根を掘って観察すると黒土に根が広がり、赤土には根が広がっていませんでした。設計段階から、根が広く深く張れる土壌の設計が必要です。街路と街路樹をしっかり設計することが重要です。土木的な検討(歩道の強度)だけではなく、街路樹育成のことを考慮して設計できる人間が必要です。また、沿道市民とともに街路樹の育成に取り組むことが必要だと考えます。

日本の街路樹のこれからの方向性

 日本の街路樹剪定の特徴は、「日本的な非常にきめ細かな剪定」を行ってきたということです。一方で、街路樹に求められる機能は変化してきており、緑陰、人工物の圧迫感の緩和、雑然とした街並みの景観改善等の機能が求められています。今後は自然に任せた剪定方法に変更していくことも考えられます。例えば海外の事例を見ると、条件さえ許せば下枝だけ管理し、骨格的な剪定は数年に1回という例が多くあります。大きく育った街路樹のために、車道を狭くして歩行空間・生育空間を確保する発想をしてもいい段階に来ているのではないでしょうか。ヨーロッパとの比較だけでなく、東アジアの諸国との比較においても、街路樹管理に問題を抱えているのはおよそ日本だと思われます。

街路樹からはじまる街づくり

 人はその体内に内なる自然を内在しています。内なる自然は、外なる自然と影響しあっています。外なる自然に対し過剰な人為があると、自然はストレスを感じ、そのストレスは内なる自然にも影響します。

 街中の公開空地に見られる、近年の気になる傾向ですが、人工的環境に樹木を閉じ込める植栽、矮小な植栽基盤、地下の支柱で締め付けられた根と痛々しい樹木、人為が勝りすぎたデザイン、不必要な剪定などが見られます。街路樹についても、外なる自然と内なる自然の交流が重要です。

 場所に応じた管理・運営がこれからの管理・運営の方向性だと思います。官公庁街は、余計な手をかけずにできる限り自然にするため、十分な植栽基盤整備が必要です。ビジネス街は民間との連携、住宅地は適切な樹種(大木になる樹種を避けるなど)にすることが必要です。住宅地の植えますは、地域社会で管理することも重要です。公共という言葉の「公」はお上、「共」はみなさんです。ご近所で関心を持って、街の緑の管理・運営による「共」の再生が必要です。

 

質疑

参加者

 名古屋市は歩道も車道も広くて木を植える環境はあると思うが、過度な剪定が見受けられる。原則的に剪定しない、必要な時だけ剪定するという事が必要だと強く感じる。

藤井

 全くの無剪定は難しい。例えばケヤキは、新芽の時期に枯れ枝が落下する。大勢の人が利用する道路空間という性質上、事故を防ぐために最低限の管理はしなければいけない。また剪定強度を落としていくと、地上部および地下部が大きくなる。植栽基盤が悪いと、表層に太い根が張るようになり、根上がりが起こる。

参加者

 ケヤキについて、道路交通の関係から高さ4.5m以下の枝を切ってしまうと上の方にしか葉がなく、歩道を歩いていてもあまり見えない。出来るだけ切らずにいく方法はないか。

藤井

 ケヤキについて、下枝が切られすぎている状況は確かにある。東京都では、道路交通法施行令の3.8mと車道建築限界の4.5mの間の枝については、車両になびく枝であれば許容している。また、街路樹は車道側に根が張らないため、車道側からの強風に不安定である。車道側に大きく枝を張ることで根と枝のバランスをとり、強風に対して安定を保つ考え方もある。

参加者

 大阪の大学出身だが、学生時代に街路樹の管理について行政の人に聞いたら、看板が見えないので木を切ってくれという話をよく聞いた。ひどい切り方をされた枝の無い樹木については、残しておくべきものなのかどうか疑問である。街路樹は街の品格を形成するものだと思うが、街路樹を大事にする文化を育むにはどうしたらよいか。

藤井

 大阪の場合、役所が剪定しないと住民が勝手に枝を切ってしまうという話を聞いたことがある。沿道の声に対し行政は敏感になってしまう。学生が調査した結果によると、沿道住民の8割は街路樹を評価している。声を出す住民は1割程度である。これからは、声を出していない大多数の意見(サイレントマジョリティ)にしっかりと耳を傾ける事が必要だと思う。

参加者

 瑞穂区の山崎川周辺について、もっとサクラを植えてサクラの街にしてもらいたいと思っている。土木事務所に申し出たが、既に植わっている樹木をとって植えるのは難しいと言われた。街路樹にサクラを植えることについて、注意すべき点など教えていただきたい。

藤井

 ソメイヨシノは下枝が低いので幹線道路では難しいかと思う。植えるのであれば、車道から出来る限り離して植える事が必要。また、木が小さい段階から徐々に下枝の剪定を行うと、細い樹形を保って育てる事ができるので試してみてほしい。

 

講演2 木田幸男さん

木田幸男さんの写真です

街路樹の機能と課題

 街路樹には主に5つの機能があります。1.景観性向上、2.緑陰形成、3.生活環境保全、4.交通安全、5.防災です。街路樹のない風景は非常に殺風景です。街路樹の緑陰は、沿道の価値も向上させます。また街路樹の気温低減効果として、最大1.5℃の気温低減効果も確認されています。緑地と街路樹が一体となって、「風の道」を形成する取り組みが東京で計画されています。阪神大震災では樹木の防火効果も確認されました。一方で、街路樹の問題点としては、落ち葉や剪定管理、根上がり、倒木の危険、生育不良、樹種選定のミスマッチ、病害虫などが挙げられます。

街路樹の問題点

 街路樹の地上部と根の関係について、試算があります。街路樹を60年間育てるとします。樹高6m程度の場合、風に対し倒れない土の量は1.2立方メートルです。自治体の標準的な設計では、街路樹の土の量は1.4立方メートルです。その後、20年、40年、60年と時間が経てば樹木は大きくなるので必要な土の量は増えますが、土の量は限られており根上りの問題が起こります。また、根が発達できなかった街路樹は、強風に対し弱く、今年10月の台風では多くの街路樹が倒れました。

 根上りが起きやすい樹種としては、イチョウ、サクラ類、ケヤキなどがあります。これらは各都市で多く植栽されている樹種で大きくなる樹木です。一方、ハナミズキはあまり大きくならない樹木で、これも各都市にたくさん植えられており、根上りは起きにくいです。管理のことを考えると、ハナミズキを植えたくなりますが、個人的には反対です。風格ある緑陰街路の形成には大きくなる木が必要です。また名古屋には名古屋らしい樹種を選定すべきだと思います。新規植栽の場合、将来形を考えて、樹種の特性を十分に踏まえて植穴の大きさを決定すれば問題解決のポイントになります。

 また、道路空間の競合施設については、各部署での連携が必要です。通常、歩道の下は多くの埋設物があります。埋設物の施工やメンテナンスの際、掘り返すことで街路樹の根に傷がつく場合が多いです。例えば、シカゴではライフラインは車道の下に入れる工夫を行っています。歩道の下には競合施設を入れず、根を伸ばせるスペースを確保しています。

今後の街路の活用と根上り対策について

 近年、都市部での集中豪雨が問題になっています。短時間に集中的に降る雨については、一旦雨を貯める施設を都市部に確保することが有効です。海外の事例ですが、シカゴでは道路を透水ブロックとして路盤にすき間に水を貯留させています。

 街路樹は地下部の生育空間の不足による根上がりが問題となっています。そこで、街路部の地下を改良して、舗装の路盤に雨水を貯留するとともに、街路樹の根を伸ばす空間を確保していくことを提案します。現状の植栽基盤を改良する際は、根をある程度切ることとなりますが、結果として改良を行っている箇所と行っていない箇所では、地上部の生育に大きく違いがあることが分かっています。

 街路樹は、大きく育てるだけでなく健全に育てることが大切です。道路幅員に合わせて、育成管理をどのように行っていくかが今後重要であると考えます。

 

アンケート結果(回答者数86人)

お住まい・性別・年代

参加者の住まいについてのグラフです

名古屋市内 62人
愛知県内 20人
他県 4人

参加者の性別についてのグラフです

男性 65人
女性 18人
無回答 3人

参加者の年代についてのグラフです

10代 1人
20代 7人
30代 10人
40代 13人
50代 12人
60代 26人
70代以上 16人
無回答 1人

緑のまちづくりフォーラムの開催について、何でお知りになりましたか

フォーラム開催を知った手段についてのグラフです

チラシ 19人
知人・友人・家族など 18人
市からの案内・愛護会 18人
広報なごや 16人
名古屋市ホームページ 4人
その他 7人
無回答 4人

内容はどうでしたか?

講演の満足度についてのグラフです

満足している 34人
おおむね満足している 37人
少しもの足りない 2人
もの足りない 0人
無回答 13人

今後どのようなテーマの講演があればよいと思われますか?(複数回答)

今後の講演テーマについてのグラフです

公園の利用促進(公園経営)と緑のまちづくり 37人
緑の市民活動と緑のまちづくり 29人
生物多様性と緑のまちづくり 27人
緑と水の回廊と緑のまちづくり 23人
なごやの歴史と緑のまちづくり 22人
花づくり活動と緑のまちづくり 19人
森づくり活動と緑のまちづくり 11人
その他 4人
無回答 5人

このページの作成担当

緑政土木局緑地部緑地事業課緑地計画係

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